JP3779459B2 - 二酸化窒素吸着・還元除去剤、および二酸化窒素除去方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、居住空間や道路トンネル、地下駐車場等の雰囲気ガス若しくは換気ガス中に含まれる、常温付近の比較的低濃度(数ppmレベルまで)の窒素酸化物[NOx ,一酸化窒素(NO)および二酸化窒素(NO2 )の総称]から、人体に直接的に有害な物質であるNO2 を吸着し、NOに還元除去することのできるNO2 吸着・還元除去剤、およびNO2 を吸着し、NOに還元除去することのできる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
低濃度NOx 中のNO2 を除去する方法としては、下記▲1▼〜▲3▼に示す種々の方法が提案されている。
【0003】
▲1▼特公平7−41142には、道路トンネル換気ガス中のNOをNO2 に酸化した後、Na、K、Ca等の酸化物を含み、好ましくは更にMn、Fe又はCu等の酸化物も含む活性アルミナ系の吸着剤と接触させることによりNOx を吸着除去した後、該吸着剤を150〜600℃に加熱して吸着剤を再生させる低濃度NOx 吸着剤および除去方法が開示されている。この公報は、低濃度NOx の除去を目的とするものであるが、上記NO酸化処理を省略すれば、実質的にNO2 吸着剤およびNO2 の除去方法が開示されていると言える。
【0004】
▲2▼特開平7−88363は、NOx のなかでもNO2 を除去するのに好適な吸着剤が開示されており、具体的には、Pt、Au、Ru、Rh及びPdより選択される少なくとも1種の貴金属若しくはそれらの化合物を、アルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ複合酸化物等の担体に担持させた吸着剤;或いは、これらの貴金属成分とMn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属酸化物とからなる吸着剤であって、必要に応じて上記担体に担持させた吸着剤が開示されている。
【0005】
▲3▼特開平8−066612には、低濃度のNOおよびNO2 を含む被処理ガスを、炭素質のNO2 吸着剤及び/又は還元剤を充填した層に通じてNO2 を除去した後、該吸着剤を100〜200℃に加熱して吸着剤を再生させる方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記▲1▼▲2▼▲3▼の方法には、各々下記の様な問題点がある。
【0007】
まず、▲1▼の吸着剤は、吸着したNO2 の大部分が、再生時にNO2 としてそのまま脱着するので、有害なNO2 が高濃度で系外に漏洩する恐れがある。そうでない場合でも、このNO2 を除去するための付加的な設備と操作(代表的にはNH3 を添加して酸化チタン系触媒上で還元する設備と操作)が必要である。また、被処理ガス中には通常、イオウ酸化物(SOx )が含まれているが、▲1▼の吸着剤を構成する成分はSOx と反応して蓄積性のイオウ化合物(硫酸塩等)を生成しやすいため、吸着剤性能の劣化を招く要因となる。
【0008】
同様の問題は▲2▼の吸着剤についても見られ、NO2 が主な脱着成分であること、SOx による影響を受けやすいという問題点が指摘される。
【0009】
▲3▼のNO2 除去剤を使用すれば、吸着したNO2 のほぼ全量が再生時にNOとして脱着するため、上記の様な問題は生じない点では有用である。しかし、本発明者らの調査により、炭素質除去剤は一般に、被処理ガスの相対湿度が低いと除去性能が低下することが明らかになり、上記▲3▼の除去剤を用いたとしても、NO2 を十分に除去できない場合があることが分かった。
【0010】
本発明は上記問題点に着目してなされたものであり、その目的は、比較的低濃度のNOx 中に含まれるNO2 を相対湿度の高低にかかわらず、効率良く除去できる新規なNO2 吸着・還元除去剤、およびこの様なNO2 吸着・還元除去剤を用いたNO2 除去方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決することのできた本発明のNO2 吸着・還元除去剤は、多孔質炭素材料(以下、炭素質材料と呼ぶ場合がある)にルテニウム化合物を担持させたものであるところに要旨を有する。
【0012】
ルテニウム化合物によるNO2 吸着能を有効に発揮させる為には、ルテニウム酸塩(例えばルテニウム酸カリウム、ルテニウム酸ナトリウム等)、ルテニウムのハロゲン化物(塩化ルテニウム等)、および硝酸ルテニウムよりなる群から選択される少なくとも1種を選択することが好ましい。これらは単独で使用しても良いし、或いは必要に応じて2種以上を併用することも可能である。また、NO2 吸着・還元除去剤中に占めるルテニウム化合物の比率を、ルテニウム金属換算で0.05%(質量%、以下同じ)以上にすれば、ルテニウム化合物による上記作用が有効に得られる。
【0013】
本発明のNO2 吸着・還元除去剤は、基本的に上記成分を含有するものであるが、更にアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物を担持させることによりNO2 除去能を一層高めることができる。
【0014】
上記アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、硝酸塩および炭酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、NO2 吸着・還元除去剤中に占める上記アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物の比率は、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属換算で10%以下とすることが好ましい。この様な種類や比率とすることにより、アルカリ金属化合物等の担持によるNO2 除去能を格段に高めることができる。
【0015】
また、上記課題を解決し得た本発明の方法とは、NO2 含有ガス中のNO2 を上記NO2 吸着・還元除去剤に吸着させ、該NO2 をNOに還元除去するところに要旨を有する。ここで、本発明吸着・還元除去剤と接触させるガスの温度は50℃以下であることが好ましい。
【0016】
本発明のNO2 吸着・還元除去剤は、ガス中の相対湿度の高低にかかわらず一部のNO2 を吸着し、残余のNO2 をNOへ還元除去することによってNO2 をほとんど除去できる点に特徴を有する。これは、ルテニウム化合物によるNO2 吸着能と、多孔質炭素材料によるNO2 →NO還元作用が、相対湿度との関係において両者は相反する関係にあることを始めて見出し、この関係をうまく利用したことにより達成し得たものである。
【0017】
具体的には、低湿分域ではルテニウム化合物によるNO2 吸着能は強く、被処理ガスの湿度が高くなるとルテニウム化合物のNO2 吸着能は低下する。よって、高湿分域ではルテニウム化合物とNO2 の錯体生成物からNO2 を分解する様になるが、このNO2 は炭素質材料によって有効にNOに還元除去することができるので、相対湿度が変動しても効率よく長時間にわたり持続的にNO2 を分解除去できる。ここで、「低湿分域」と「高湿分域」の用語は、具体的な数値を境にして明瞭に区別されるものではなく、相対的に相対湿度が低い領域若しくは高い領域という程度の意味であるが、概ね、「低湿分域」とは相対湿度で約60%以下(特に約45%以下)を、「高湿分域」とは相対湿度で約45%以上(特に約60%以上)を意味するものである。
【0018】
この様に本発明法を適用するに当たっては、ガス中の相対湿度の高低によってその態様を若干変更することも可能である。例えば低湿分ガスを処理する場合には、本発明吸着・還元除去剤にNO2 を主として吸着させ、更に加熱(好ましくは100〜250℃)・再生することにより、吸着したNO2 をNOとして排出する方法が有効であり、一方、高湿分ガスを処理する場合には、本発明吸着・還元除去剤と接触させるだけでNO2 が主として還元される。後者の方法においても吸着したNO2 をNOに還元することによってNO2 除去能を維持できるが、更に加熱・再生することが推奨され、これにより、繰返し使用に伴う性能低下を防止し、上記作用を長時間持続させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
前述した様に、比較的低濃度のNOx 中に含まれるNO2 を効率良く吸着できる除去剤は種々提案されているが、同時に、被処理ガスの相対湿度にかかわらず、有害なNO2 の大部分を無害なNOにまで還元・放出させることができるNO2 吸着・還元除去剤は未だ開示されていない。本発明は、この様なNO2 吸着・還元除去剤を提供すべく鋭意検討した結果、担体として多孔質炭素材料を選択し、該多孔質炭素材料にルテニウム化合物を担持させた構成のNO2 吸着・還元除去剤とすれば、たとえ被処理ガス中の相対湿度が種々変動した場合であっても上記課題を見事に解決し得ることを見出し、本発明を完成したのである。
【0020】
まず、本発明の吸着・還元除去剤を構成する成分のうち、ルテニウム化合物はNO2 と錯体を生成することにより優れたNO2 固定化能を有するが、その作用は共存水分が少なくなるほど強く、水分が多くなる(相対湿度が高くなる)につれ作用が弱まると共に、生成した錯体が分解してしまい、NO2 を部分的に放出する傾向がある。
【0021】
一方、活性炭や活性コークス等の多孔質炭素材料は、NO2 吸着能力を有してはいるものの、本発明で対象とする低濃度のNO2 においては充分な吸着作用を発揮せず、NO2 をNOへ還元する作用が主となる。しかし、この様な多孔質炭素材料による還元作用も、被処理ガスが比較的乾燥している(水分が少ない)場合には有効に発揮させることができず、還元性能の持続時間も短い。
【0022】
従って、炭素質材料の活性が低下する低湿分域ではルテニウム化合物のNO2 固定化能が有効に作用し、ルテニウム化合物の活性が低下する高湿分域では炭素質材料の活性が強くなることが分かる。
【0023】
よって、本発明の構成要件を採用すれば、被処理ガスの湿度が高くなってルテニウム化合物のNO2 吸着能が低下し、ルテニウム化合物とNO2 の錯体生成物からNO2 が分解したとしても、このNO2 を炭素質材料が有効にNOに還元除去することができるので、相対湿度が種々変化する実際のガスを処理するに当たっても、極めて効率よく、しかも長時間にわたり持続的にNO2 をNOに分解除去することが可能になる点で非常に有用である。
【0024】
この様に相対湿度が種々変化する場合におけるルテニウム化合物とNO2 吸着能との関係、更には炭素質材料とNO2 →NO還元能との関係は本発明者らによって始めて見出された知見であり、この様なルテニウム化合物と炭素質材料をうまく利用することによって上記目的を見事に達成し得た点に技術的意義を有するものである。
【0025】
尚、前記▲2▼の吸着剤も、担体にルテニウム化合物を担持させた構成とすることによりNO2 を効率よく除去するものであり、一見したところ本発明の構成と一致する様な感を与えるかもしれない。しかし、上記▲2▼の公報では、相対湿度の変動に伴うNO2 吸着能の低下については全く認識しておらず、ましてや、吸着したNO2 をNOに還元して排出させようという課題は全く提起していない。上記公報は、基本的に、アルミナなどの酸化物担体にルテニウム化合物を担持させることによりNO2 を吸着除去するものであり、この様な作用を有効に発揮させる為にはNOは少ない程好ましく、よって、排ガス中のNOを積極的に酸化剤でNO2 に酸化している点で、被処理ガス中のNO2 の一部を吸着除去すると共に、残余のNO2 をNOに還元除去しようとする本発明とは、そもそも技術的思想が全く異なるものである。また、上記公報では担体として活性炭も例示しているが、同公報ではこの活性炭を、表面積を有し、担持物の分散性が高い担体としてしか認識しておらず、化学作用を有し、NO2 除去に積極的に寄与するという考えは全くない。
【0026】
また、特開平5−123568号公報には、アナターゼ型酸化チタンにルテニウムを担持させたNOx吸着剤が開示されている。上記公報によれば、この吸着剤を用いれば高湿度下でもNOxを吸着することができる旨記載されているが、NOx吸着能を評価しているだけで、NO2 の除去能については全く検討していない。本発明者らの検討結果によれば、上記吸着剤を使用しても所望のNO2 除去能は得られず、NO2 からNOへの還元作用も見られないことが分かった(後記する実施例参照)。
【0027】
以下、本発明の吸着剤を構成する各成分について説明する。
まず、本発明に用いられる担体としては、活性炭や活性コークス等の炭素質材料を使用することが必要である。この様な炭素質材料を使用すれば、被処理ガスの湿度が高くなってルテニウム化合物のNO2 吸着能が低下し、ルテニウム化合物とNO2 の錯体生成物からNO2 が分解したとしても、このNO2 を効率よくNOに還元除去することができる。この様な作用を有効に発揮させる為には比表面積ができるだけ大きいものが好ましく、500m2 /g以上、より好ましくは1000m2 /g以上のものを使用することが推奨される。
【0028】
次に、上記炭素質材料に担持されるルテニウム化合物としては、NO2 と錯体を生成する作用が強いものが好ましく、例えばルテニウム酸塩(例えばルテニウム酸カリウム、ルテニウム酸ナトリウム等)、ハロゲン化物(塩化ルテニウム、臭化ルテニウム等)、硝酸ルテニウム等が挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても構わない。これ以外の形態、例えばルテニウム金属自体やルテニウム酸化物では上述した作用に乏しい。
【0029】
上記ルテニウム化合物の含有率は、本発明吸着・還元除去剤中、ルテニウム金属換算で0.05%以上であることが好ましい。0.05%未満ではNO2 の吸着作用が著しく低下してしまう。より好ましくは0.10%以上である。ルテニウム化合物の担持量が増加するほどNO2 吸着作用は向上するが、コストも増大し、5%を超えて添加しても上記作用は飽和してしまい、経済的に無駄である。実際のルテニウム担持量は、要求される性能に応じて所望範囲に適宜設定すればよいが、一般には1.5%以下にすることが好ましい。
【0030】
本発明のNO2 吸着・還元除去剤は、基本的には、多孔質炭素材料にルテニウム化合物を担持させた構成からなるが、ルテニウム化合物によるNO2 吸着作用の更なる向上を目指して、更にアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物を担持させることが推奨される。これらの化合物を担持することによって、特に低湿度域におけるNO2 吸着能が向上する理由は詳細には不明であるが、これら化合物が親水性である点に起因するのではないかと考えられる。
【0031】
具体的には、アルカリ金属/アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、硝酸塩、炭酸塩等の形態にすることが好ましく、アルカリ金属としてはカリウムまたはナトリウム、アルカリ土類金属としてはマグネシウムまたはカルシウムの使用が推奨される。この様な例として、水酸化カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硝酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、硝酸カルシウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても構わない。
【0032】
また、本発明吸着・還元除去剤中に占める上記アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物の含有率は、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属換算で10%以下(より好ましくは8%以下)にすることが好ましい。10%を超えると、多孔質炭素材料の細孔被覆の影響により高湿度域でのNO2 除去能が低下してしまう。
【0033】
この様な構成からなる本発明吸着・還元除去剤の形状は特に限定されず、破砕状、円柱状、円筒状、ハニカム状などの形状を適宜選択することができる。
【0034】
次に、上述した本発明吸着・還元除去剤を用いてガス中のNO2 を吸着・還元除去する方法について説明する。
【0035】
前述した様に本発明のNO2 吸着・還元除去剤は、ガス中の相対湿度の高低にかかわらずNO2 の一部を吸着すると共に、残余のNO2 をNOへ還元除去することができる点に特徴を有する。
【0036】
例えば低湿分ガスを処理する場合には、本発明吸着・還元除去剤にNO2 を吸着させ、更に加熱・再生することにより、吸着したNO2 をNOとして排出する方法が有効である。使用していくにつれ本発明吸着・還元除去剤によるNO2 吸着能は低下し、その一部は吸着・還元除去剤に吸着したままになってしまうが、定期的に加熱することにより、この吸着能を回復させることができる。吸着・還元除去剤に吸着されたNO2 は加熱により脱着されるが、炭素質材料の還元作用により実質上NOのみになり、高濃度のNO2 を系外に漏洩する危険性を解消することができ、非常に有用である。ここで、加熱温度は100〜250℃とすることが好ましい。100℃未満では吸着したNO2 を充分脱着させることができない。より好ましくは125℃以上である。一方、250℃を超えると、炭素質材料が著しく消耗し、吸着・還元除去剤の寿命低下を招く。より好ましくは200℃以下である。
【0037】
また、高湿分ガスを処理する場合には、本発明吸着・還元除去剤と接触させるだけでNO2 の吸着・還元除去が長時間維持できる点で上記低湿分ガスを処理する場合に比べて有用である。ただし、この場合においてもNO2 が僅かづつ吸着するので、更に加熱・再生することが推奨され、これにより、繰返し使用による性能低下を防止し、上記作用を長時間持続させることが可能になる。
【0038】
尚、ガス中の温度は50℃以下であれば、本発明による作用を有効に発揮させることができる。50℃を超えるとNO2 の吸着能が低下するからである。
【0039】
この様な方法により吸着・還元除去されるガス中のNO2 除去率は、下式によって算出することができる。
【0040】
NO2 除去率(%)={1−(出口NO2 濃度/入口NO2 濃度)}×100
以下実施例に基づいて本発明を詳述する。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術範囲に包含される。
【0041】
【実施例】
実験例1(No.1〜10)
本実施例では、ルテニウム化合物担持量を種々変化させた場合のNO2 除去能を評価した。
【0042】
まず、ルテニウム酸カリウム(K2 RuO4 )を0.2g,0.3g,1.0g,1.8g,4.0g,5.0g,12.0g,17.0g,0.1g含有する水溶液を夫々調製し、これを粒状やし殻活性炭(4〜6メッシュ,比表面積1350m2 /g、以下活性炭と呼ぶ)に含浸担持させた後、乾燥器で110℃×2時間乾燥することによりNo.1〜9の吸着・還元除去剤を得た。この様にして得られた吸着・還元除去剤のルテニウム担持量(金属ルテニウム換算)を表1に示す。
【0043】
尚、比較のために、ルテニウム酸カリウムを使用せず、No.1で使用した活性炭をNo.10の吸着・還元除去剤とした。
【0044】
実験例2(No.11〜14)
本実施例では、ルテニウム化合物の種類を変化させた場合のNO2 除去能を評価した。
【0045】
[No.11]No.1において、ルテニウム酸カリウムの代わりに塩化ルテニウム(RuCl3 )1.0gを使用したこと以外はNo.1と同様に処理し、No.11の吸着・還元除去剤を得た。この様にして得られた吸着・還元除去剤のルテニウム担持量(金属ルテニウム換算)を表2に示す。
【0046】
[No.12]No.1において、ルテニウム酸カリウムの代わりにルテニウム酸ナトリウム(Na2 RuO4 )1.0gを使用したこと以外はNo.1と同様に処理し、No.12の吸着・還元除去剤を得た。この様にして得られた吸着・還元除去剤のルテニウム担持量(金属ルテニウム換算)を表2に示す。
【0047】
[No.13]No.1において、ルテニウム酸カリウムの代わりに硝酸ルテニウム1.6gを使用したこと以外はNo.1と同様に処理し、No.13の吸着・還元除去剤を得た。この様にして得られた吸着・還元除去剤のルテニウム担持量(金属ルテニウム換算)を表2に示す。
【0048】
[No.14]No.1において、ルテニウム酸カリウムの代わりにルテニウム酸カリウム0.9gと塩化ルテニウム0.5gを使用したこと以外はNo.1と同様に処理し、No.14の吸着・還元除去剤を得た。この様にして得られた吸着・還元除去剤のルテニウム担持量(金属ルテニウム換算)を表2に示す。
【0049】
[No.15]比較のために、No.11において、活性炭の代わりにアナターゼ型酸化チタン(1/8”ペレット)を使用したこと以外はNo.11と同様に処理し、No.15の吸着・還元除去剤を得た(これは、前記特開平5−123568号に記載の除去剤に相当する)。この様にして得られた吸着・還元除去剤のルテニウム担持量(金属ルテニウム換算)を表2に示す。
【0050】
実験例3(No.16〜21)
本実施例では、アルカリ金属化合物である炭酸カリウムの添加量を変化させた場合のNO2 除去能を評価した。
【0051】
[No.16〜19]No.4の吸着・還元除去剤に、更に炭酸カリウム(K2 CO3 )3.0g,8.0g,14.0g,18.0gを純水に溶解して夫々含浸担持させた後、乾燥器で110℃×2時間乾燥し、No.16〜19の吸着・還元除去剤を得た。この様にして得られた吸着・還元除去剤の炭酸カリウム担持量は、金属カリウム換算で、各々1.6%,4.3%,8.0%,10.0%であった。
【0052】
[No.20,21]No.16において、炭酸カリウムの量を22.0g,27.0gにしたこと以外はNo.16と同様に処理し、No.20,21の吸着・還元除去剤を得た。この様にして得られた吸着・還元除去剤の炭酸カリウム担持量(金属カリウム換算)を表3に示す。
【0053】
実験例4(No.22〜25)
本実施例では、アルカリ金属化合物/アルカリ土類金属化合物の種類を変化させた場合のNO2 除去能を評価した。
【0054】
[No.22]No.4の吸着・還元除去剤に、更に炭酸ナトリウム10.0gを純水に溶解して含浸担持させた後、乾燥器で110℃×2時間乾燥することによりNo.22の吸着・還元除去剤を得た。この様にして得られた吸着・還元除去剤の炭酸ナトリウム担持量(金属ナトリウム換算)を表4に示す。
【0055】
[No.23]No.22において、炭酸ナトリウムの代わりに水酸化カリウム6.0gを加えたこと以外はNo.22と同様に処理し、No.23の吸着・還元除去剤を得た。この様にして得られた吸着・還元除去剤の水酸化カリウム担持量(金属カリウム換算)を表4に示す。
【0056】
[No.24]No.22において、炭酸ナトリウムの代わりに硝酸カルシウム18gを加えたこと以外はNo.22と同様に処理し、No.24の吸着・還元除去剤を得た。この様ににして得られた吸着・還元除去剤の硝酸カルシウム担持量(金属カルシウム換算)を表4に示す。
【0057】
[No.25]No.17において、炭酸カリウムの代わりに炭酸カリウム4.0gと硝酸カルシウム9.0gを使用したこと以外はNo.17と同様に処理し、No.25の吸着・還元除去剤を得た。この様にして得られた吸着・還元除去剤の炭酸カリウム担持量(金属カリウム換算)と硝酸カルシウム担持量(金属カルシウム換算)の和を表4に示す。
【0058】
上記No.1〜25の各吸着・還元除去剤を内径16mmのステンレス鋼製円筒容器に充填し、下記条件でガスを流した後、出口側のNO2 除去率を化学発光式分析計で測定した。
【0059】
吸着・還元除去剤充填量:6.0cm3 (充填高さ:3.0cm)
NO2 :5ppm/空気バランス
供給ガス流量:4.0Nl/min
吸着温度:25℃
相対湿度:60%
尚、No.4、16〜21については、相対湿度を変化させ、30%及び80%におけるNO2 除去能も併せて測定した。
【0060】
また、No.4については吸着温度を15〜70℃の範囲で種々変化させた場合におけるNO2 除去能も併せて測定した。
【0061】
各吸着・還元除去剤のNO2 除去能は、20時間平均のNO2 除去率を算出することにより評価した。
【0062】
20h平均のNO2 除去率(%)={1−(20h平均の出口NO2 濃度/20h平均の入口NO2 濃度)}×100
まず、実験例1の結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
No.1〜8は、ルテニウム化合物の担持量を本発明の好ましい範囲に担持させた例であるが、担持量が多くなるにつれNO2 除去率が大幅に上昇することが分かる。ただし、その上昇程度は、ルテニウム担持量が1.5%を超えるあたりから小さくなり、この様な傾向は、更に担持量が増加するにつれ顕著に見られた。
【0064】
次に、実験例2の結果を表2に示す。尚、比較のためにNo.4の結果も併記する。
【0065】
【表2】
ルテニウム化合物の種類を種々変えても或いは2種併用したとしても同様に優れたNO2 除去能を発揮することが分かる。尚、活性炭の代わりに酸化アナターゼ型チタンを使用したNo.15ではNO2 除去能が著しく低下することが分かる。
【0066】
更に実験例3の結果を表3に示す。尚、比較のためにNo.4の結果も併記する。
【0067】
【表3】
表より、炭酸カリウムを担持させた場合は、これを担持しないNo.4に比べてNO2 除去能が向上することが分かる。詳細には、担持量が8%以下では、特に低湿度でのNO2 除去能が向上するが、担持量が8%を超えると低湿度域の除去能は低下し始め、10%を超えると全湿度域でNO2 除去能が大きく低下した。
【0068】
更に実験例4の結果を表4に示す。尚、比較のためにNo.14の結果も併記する。
【0069】
【表4】
アルカリ金属化合物/アルカリ土類金属化合物の種類を炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、硝酸カルシウムに変えても、或いは2種併用した場合でも、炭酸カリウムを担持させたNo.14の吸着・還元除去剤と同様、優れたNO2 除去能を有している。
【0070】
更に吸着温度を種々変えた場合の結果を表5に示す。
【0071】
【表5】
表5より、吸着温度が50℃以下では良好なNO2 除去能が得られたのに対し、50℃を超えると除去能が低下していくことが分かる。
【0072】
【発明の効果】
本発明のNO2 吸着・還元除去剤は上記の様に構成されているので、相対湿度が様々に変化するガス雰囲気下においても、被処理ガス中のNO2 を効率よく除去、即ちNO2 の一部を吸着させ、残余をNOへ還元放出させることができ、しかも前記の吸着NO2 も加熱再生時にNOに還元してから脱着させることができるため、高濃度NO2 が系外に漏洩する危険性を回避し得る点で極めて有用である。
Claims (5)
- 多孔質炭素材料に、ルテニウム酸塩、ルテニウムのハロゲン化物および硝酸ルテニウムよりなる群から選択される少なくとも1種であるルテニウム化合物を担持させたものであることを特徴とする二酸化窒素吸着・還元除去剤。
- 二酸化窒素吸着・還元除去剤中に占めるルテニウム化合物の比率が、ルテニウム金属換算で0.05%(質量%、以下同じ)以上である請求項1に記載の二酸化窒素吸着・還元除去剤。
- アルカリ金属の酸化物、水酸化物、硝酸塩および炭酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種であるアルカリ金属化合物、および/またはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、硝酸塩および炭酸塩よりなる群から選択される少なくとも1種であるアルカリ土類金属化合物を担持させた請求項1または2に記載の二酸化窒素吸着・還元除去剤。
- 二酸化窒素吸着・還元除去剤中に占める前記アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物の比率が、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属換算で10%以下である請求項3に記載の二酸化窒素吸着・還元除去剤。
- 二酸化窒素含有ガス中の二酸化窒素を請求項1〜4のいずれかに記載の二酸化窒素吸着・還元除去剤に吸着させ、該二酸化窒素を一酸化窒素に還元除去する方法。
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