JP3568244B2 - 自動車トンネル換気ガスの浄化処理方法 - Google Patents

自動車トンネル換気ガスの浄化処理方法 Download PDF

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  • Separation Of Gases By Adsorption (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車トンネル換気ガスの浄化処理方法に関し、詳細には、比較的低濃度の窒素酸化物(以下,NOx ) 即ち一酸化窒素(以下 NO)及び二酸化窒素(以下NO2 )を含む被処理ガスから本質的に有害であるNO2 を除去する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アンモニアを還元剤としてNOを窒素に変換する選択的触媒還元法が、固定発生源からのNO削減技術として普及し、高温かつ高濃度(数100ppm)の対象には効果をあげている。
【0003】
しかし、自動車トンネルからの換気ガスの如く、NOx 濃度が比較的低く(一般には1〜3ppm 程度)、低温(常温)である被処理ガスに対しては、前記選択的触媒還元法は直接適用することができない(即ち、反応効率が悪いこと等により有効でなく、好適に適用できない)。そのため、かかるガスに対しては、以下の如き方法が提案されている。
【0004】
▲1▼ 被処理ガスにオゾンを添加し、NOをNO に酸化してNOの全量をNO にしてから複合金属酸化物吸着剤を用いて該NO を吸着除去する方式が提案されている(特開平3−275126号、特開平4−176335号公報)。その際に、余剰オゾンの分解を NO吸着剤にさせる方式も提案されている(特開平6−275126号公報)。
▲2▼ NOをそのまま吸着させるために、ゼオライトを用いる方式(特開平1−155934号公報)、酸化チタンにルテニウムを担持させた吸着剤を用いる方式(特開平5−123568号公報)が提案されている。
▲3▼ 本発明者らにより、表面酸化を抑制した炭素質吸着剤、その中でも特に、特定の直径の細孔の発達した炭素質吸着剤が高いNO吸着力を有することが見出されている(特開平5−76753 号公報、特願平4−329652号)。
▲4▼ 又、本発明者らにより、特定の結晶形態のマンガン酸化物がNOの常温酸化活性を有することが見出され(特開平5−253474号公報)、炭素質吸着剤と併用してNOを除去する方式が提案されている(特願平4−252872号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の▲1▼のオゾン添加方式においては、NO濃度の変動が大きな対象(被処理ガス)に対してはオゾンの添加率の正確な制御が困難であるという問題点がある。
即ち、オゾン添加量不足を防ぐために安全をみてオゾンを過剰に添加すると、NO中のNOの全量がNO に酸化されるが、NO 除去率を高く維持し続けないと規制対象であるNO の濃度がかえって高まる。又、オゾン自体が有害なオキシダントであると同時に、被処理ガス中の酸化され易い成分が酸化され、活性の高いオキシダント類を副生する恐れがある。
このとき、これらオキシダント類は適当な吸着剤や分解剤で除去できるとしても、実装置においてはオゾン注入部から該吸着剤(又は分解剤)の充填部に至る途中のダンパー等からの若干のリーク(漏洩)は定常的にも避けられず、又、その際にはNO も同時に漏洩するという不具合がある。例えば、被処理ガス中NO濃度か3ppm(自動車トンネル換気ガスではNO は0.3ppm程度、残りはNO )であり、該NO中のNOの全量をNO に酸化する場合、処理装置出口のNO 濃度を環境基準値並みの0.06ppm 以下に抑制するには、漏洩分を含めて98%以上の除去率を維持する必要があり、漏洩率が2%以上あれば、吸着剤等による除去率が 100%であっても上記出口NO 濃度:0.06ppm以下を達成できず、又、その比率でオキシダント類も漏洩するという不具合がある。
以上の不具合や危険性を回避するためにオゾンの添加を抑えると、未酸化NO濃度が増し、全体としてのNO除去率が低下するという不具合がある。
【0006】
▲2▼の方式の中、ゼオライトを用いる方式では、予め被処理ガスを脱湿しなければ高いNO吸着性能がえられず経済性に欠ける。尚、特開平5−123568号記載の方式ではNO の除去性能については述べられておらず、不明である。
【0007】
▲3▼に係る炭素質吸着剤を用いる方式においては、該吸着剤はNOの酸化活性を高めて高吸着性のNO を生成させる点に特徴があり、気相全体を酸化雰囲気にすることはないのでオキシダント類は生成せず、又、該吸着剤はNO の吸着除去性能が極めて高いので、NO はほぼ完全に除去される。しかしながら、該吸着剤は通常の活性炭に比べて高コストであるので、除去性能を損なうことなく充填量を減らすか、寿命を伸ばすことが望まれる。
【0008】
▲4▼の方式においては、特定の結晶形態のマンガン酸化物がNOの吸着力及びNO への酸化力を有するため、NO 吸着活性の高い炭素質吸着剤と組合せることにより、NO吸着性能を高めることができるが、本酸化物は耐熱性が低いため高強度の粒状品を製造することが困難であり、実装置における長期的な使用に難があることがわかった。
【0009】
更に、以上の各方法に共通して、NOをNO2 とともに除去対象とすることには経済上の問題がある。即ち、固定発生源から排出されるNOx は全量がNOであるが、大気中へ放出、希釈されても長時間かけてNO2 へ酸化されるため、このNOの除去は地域全体の総量規制対策として有効である。これに対し、本発明の対象の被処理ガス(自動車トンネルからの換気ガス)はNOx 濃度が低く総量も少ないため総量削減には役立たないものの、NO2 が全NOx の10〜50%も含まれ、これが原因となって環境基準を上回る測定ポイントも出現しているため、局所的な環境対策が望まれる。その対策として、NOx 全体を対象とする以上の各方式が提案されているが、これら各方式では吸着性及び反応性が低く、濃度的にも過半を占めるNOも除去対象とすることによって装置が大型化し、且つ高コスト化も避けられないという問題点がある。
【0010】
そのため、より簡便にNO2 のみを除去することが考えられる。その際、除去されなかったNOが大気中で酸化されてNO2 になることが問題となるが、0.1ppm(汚染された大気中NO濃度レベル)〜数ppm (自動車トンネルからの換気ガス中NO濃度レベル)程度の濃度のNOの酸化速度が極めて遅いのであれば、その間のガスの拡散を考慮すると、簡易法としてNO2 を除去の主対象とすることも有効である。
【0011】
本発明はこの様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、NOX全体を除去対象とする前記従来の各方式が共通して有する装置の大型化及び高コスト化という経済上の問題点を解消し、より簡便な装置で且つ低コストで本質的に有害であるNO2を除去し得、本質的にNO2濃度の環境基準値:0.06ppm以下への対応を図り得る自動車トンネル換気ガスの浄化処理方法を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係る換気ガスの除去方法は次のような構成としている。即ち、請求項1記載の方法は、一酸化窒素及び二酸化窒素をともに含み、それらの合計濃度が6ppm以下であり、且つ、前記一酸化窒素が過半を占める自動車トンネル換気ガスを、二酸化窒素吸着剤及び/又は還元剤を充填した層に通じて、前記換気ガスに含まれる前記二酸化窒素を除去し、且つ、前記換気ガスに含まれる前記一酸化窒素を本質的に除去せずに浄化ガスとして大気中に放出することを特徴とする自動車トンネル換気ガスの浄化処理方法である。
【0013】
請求項2記載の方法は、前記二酸化窒素吸着剤及び/又は還元剤が炭素質吸着剤である請求項1記載の自動車トンネル換気ガスの浄化処理方法である。
【0014】
請求項3記載の方法は、前記炭素質吸着剤での吸着及び/又は還元を終了した後、該炭素質吸着剤を100〜200℃の温度まで加熱して吸着成分を脱着させ、該炭素質吸着剤の吸着及び/又は還元活性を回復させる請求項2記載の自動車トンネル換気ガスの浄化処理方法である。
【0015】
請求項4記載の方法は、前記脱着させたガス成分を冷却した後、炭素質吸着剤を含む充填層に通じ、該ガス成分中の二酸化窒素を吸着及び/又は還元せしめることにより、大気中への二酸化窒素の漏洩を防止する請求項3記載の自動車トンネル換気ガスの浄化処理方法である。請求項5記載の方法は、前記二酸化窒素吸着剤及び/又は還元剤を充填した層の一酸化窒素の層出口濃度を X (ppm)としたときに、二酸化窒素の層出口濃度が下記(1)式で計算される Y (ppm)以下となるように二酸化窒素を吸着及び/又は還元せしめる請求項1記載の自動車トンネル換気ガスの浄化処理方法である。
Y =0.06−(1500×10 -6 X 2 )/(1500×10 -6 X +1)‥‥‥‥‥(1)
【0016】
【作用】
自動車トンネルからの換気ガスの如くNOx 濃度が低い被処理ガスについてのNOx 除去方法を種々検討してきたが、かかる低濃度NOx ガスの場合、前述の如く、NOの酸化速度が極めて遅いのであれば、その間のガスの拡散を考慮すると、簡易法としてNO2 を除去の主対象とすることも有効であるとの発想に立脚し、その正否を確認すべく検討したところ、かかる低濃度NOx ガスの場合には、そのNOx の全量を除去対象としなくても、その中に含まれるNO2 を除去すれば、局所的なNO2 濃度の低減には有効であり、本発明の目的を達成し得ることが明らかになり、かかる知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0017】
即ち、自動車トンネルからの換気ガスが地表に到達する迄には3〜5分程度を要する。このガスに含まれるNOx (通常の平均濃度は1〜3ppm 、その約10%がNO2 、残りはNO)を除去するのではなく、NO2 を吸着又はNOに還元して除去した後、大気中へ放出した場合、上記地表への到達時間(即ち3〜5分程度)内に空気酸化されて生成するNO2 濃度が、上記吸着又は還元により除去できずに放出され地表に到達するガス中のNO2 の一部も含めて、環境基準値である0.06ppm 以下であれば、本質的にNO2 濃度の環境基準値:0.06ppm以下への対応を図り得ることになる。そこで、かかるNO2 濃度が環境基準値:0.06ppm以下となるための初期条件(即ち、上記NO2 除去された後大気中へ放出するガスのNO濃度〔以下、放出初期NO濃度〕)を明らかにするため、NOを空気で希釈してNO濃度(以下、初期NO濃度)が数ppm で種々異なるガス(空気)を調整し、それを透光性容器内に充填し、種々の条件下に放置し、NOの酸化生成物であるNO2 の濃度の経時変化を測定し、その変化とガスの初期NO濃度との関係を調べた結果、3分でNO2 濃度が0.06ppm に達する場合の初期NO濃度は8.2ppm程度、5分でNO2 濃度が0.06ppm に達する場合の初期NO濃度は6.4ppm程度であると評価された。この結果は、文献(大喜多敏一著,大気保全学,産業図書(1982),表 4.7)に記載されたNOの酸化反応速度定数を基にして計算した結果とほぼ一致する。これらの結果より、上記NO2 濃度が環境基準値:0.06ppm 以下となるための放出初期NO濃度は、前記地表への到達時間として最長の5分を採用した場合、6.4ppm程度であり、従って、放出初期NO濃度(即ち NO2 除去された後のガス中NO濃度)を6ppm以下にしておけば、それを大気中へ放出した場合、前記地表への到達時間(3〜5分程度)内に空気酸化されて生成するNO2 濃度は環境基準値である0.06ppm 以下になり、本質的にNO2 濃度の環境基準値:0.06ppm 以下への対応を図り得ることになる。ここで、かかる放出初期NO濃度:6ppm 以下とするには、NO2 除去前の元のガス中のNOx 濃度(即ちNO及びNO2 の合計濃度)を6ppm 以下にしておけばよい。尚、上記吸着又は還元で除去されずに放出されるNO2 の許容濃度(放出時NO2 許容濃度)は、後述の如く、被処理ガス中のNOx (=NO+NO2 )濃度、より厳密(或いは直接的)には放出初期NO濃度に依存し、かかる放出時NO2 許容濃度を含めてもNO2 除去前の元のガス中のNOx 濃度を6ppm 以下にしておけばよい。
【0018】
本発明に係るNO の除去方法は、以上の如き知見に基づき完成されたものであり、NO(一酸化窒素)及びNO(二酸化窒素)をともに含み、それらの合計濃度が6ppm 以下である被処理ガスを、NO(二酸化窒素)吸着剤及び/又は還元剤を充填した層に通じるようにしている。従って、この層(充填層)において被処理ガス中のNO は吸着されるか、又はNOに還元されるか、あるいは吸着されると共にNOに還元されて除去されるので、充填層の出口でのガスはNO の除去されたNO濃度:6ppm 以下のガス(即ち、放出初期NO濃度:6ppm 以下のガス)となり、これを大気中へ放出しても、前記知見からわかる如く、地表への到達時間(3〜5分程度)内に空気酸化されて生成するNO 濃度は0.06ppm 以下になり、本質的にNO 濃度の環境基準値:0.06ppm 以下への対応を図り得る。尚、NO の除去されたNO濃度:6ppm 以下のガス(即ち、放出初期NO濃度:6ppm 以下のガス)とは、NO を全く含んではならないというわけではなく、被処理ガス中のNO(NO +NO)濃度、より直接的には放出初期NO濃度に対応して、ある程度まで許容できる(前記放出時NO 許容濃度まで含んでもよい)ことは前述のとおりである(この詳細については後述する)。
【0019】
このとき、NO2 除去(浄化処理)対象のガスがNOx 濃度(即ちNO及びNO2 の合計濃度):6ppm 以下の低濃度NOx ガスであれば、それを直接(事前浄化処理することなく)、上記被処理ガスとして充填層に通じればよく、本発明の処理対象のガスは低濃度NOx ガスであり、特に自動車トンネルからの換気ガス(NOx 濃度1〜3ppm 程度)であるので、それを直接充填層に通じればよく、事前浄化処理の必要がない。又、本発明法は、上記の如く、NOx全体を除去対象とするものではなく、NOx 中のNO2 を除去の対象とするものであり、かかるNOx 中のNO2 の割合は低く、例えば自動車トンネルからの換気ガスの場合には前記の如く約10%と低く、そのため吸着及び/又は還元による除去量が少なくてすむので、前記従来の各方式が共通して有する装置の大型化及び高コスト化という経済上の問題点を解消し、より簡便な装置で且つ低コストで遂行し得る。
【0020】
従って、本発明に係るNO2 の除去方法によれば、自動車トンネルからの換気ガスの如き低濃度NOx ガスに対し、前記従来の各方式に比し、より簡便な装置で且つ低コストで本質的に有害であるNO2 を除去し得、本質的にNO2 濃度の環境基準値:0.06ppm 以下への対応を図り得るようになる。
【0021】
前記NO2 吸着剤及び/又は還元剤の充填層において、被処理ガス中のNO2 は、前記の如く吸着されるか、又はNOに還元されるか、或いは吸着されると共にNOに還元されて、除去される。この充填層の出口において被処理ガスは前記の如くNO2 除去されたNO濃度:6ppm 以下のガスとなり、これを後処理することなく、そのまま大気中へ放出してもよい。
【0022】
前記NO2 吸着剤及び/又は還元剤としては、低濃度NOx 中のNOをNO2 にできるだけ酸化せず、同時にNO2 を高効率で吸着除去できる吸着剤であることが望ましい。かかる吸着剤を探索すべく多数の吸着剤について研究を重ねた結果、炭素質吸着剤が最適であるとの結論に達した。従って、この点から、前記NO2 吸着剤及び/又は還元剤として炭素質吸着剤を使用すること、即ち、炭素質吸着剤充填層を充填層として使用することが好ましい。ここで、炭素質吸着剤とは一般に活性炭を指すが、炭化のみに止め賦活を行わないもの(活性コークス等)や、他材料と活性炭との複合材料、或いは活性炭が他材料上に担持されたものであってもよい。
【0023】
上記炭素質吸着剤に代えてゼオライトや活性アルミナ等の如き極性吸着剤を用いると、該吸着剤は乾燥下ではNOをかなり吸着するものの、高湿度下では低性能であった。これに対して、疎水性の炭素質吸着剤は高湿度域でも性能低下が僅かであるか、むしろ性能が向上するものもあり、又、NOを極めて放出し難く、NOを含まないNOを通じても、吸着せずに破過したものの全量がNOであった。これは、NOが表面炭素によってNOに還元されてから破過したためであり、高い空間速度条件下でもNOに関してはほぼ完全な除去が可能である点が他の吸着剤に見られない特徴である。
【0024】
NO2 と僅かにNOを吸着した炭素質吸着剤は、その性能が低下すると加熱再生することによって繰り返し使用が可能になる。即ち、前記炭素質吸着剤での吸着及び還元を終了した後、該炭素質吸着剤を100 〜200 ℃の温度まで加熱して吸着ガス成分を脱着させ、該炭素質吸着剤の吸着及び還元活性を回復させることができる。このとき、上記加熱温度(再生温度)を150 〜200 ℃とすると、脱着がより完全に起こるので好ましい。上記加熱により、NO2 (或いは共存水と反応してできた硝酸)の大部分は表面炭素と反応してNOに還元されて脱着する。NO2 のままで脱着するゼオライトや活性アルミナ等に比べて脱着NO2 の除去を殆ど考慮しなくてよい点で有利である。
【0025】
上記脱着の際、吸着していたNO2 濃度等によって、僅かではあるがNO2 のままで脱着する可能性もあるが、その場合には脱着させたガス成分を冷却した後、炭素質吸着剤を含む充填層に通じ、該ガス成分中のNO2 を吸着及び/又は還元せしめるとよく、それにより大気中への二酸化窒素の漏洩を防止できる。複数の充填層を設け連続的に被処理ガスを浄化する場合には、この充填層の中の吸着操作中の充填層に脱着ガスを通してもよい。
【0026】
前記の如く炭素質吸着剤充填層を使用する場合、該炭素質吸着剤充填層の上流側にゼオライトや活性アルミナ等のNO2吸着剤充填層を設けると、該炭素質吸着剤充填層のNO2負荷を下げて該炭素質吸着剤の寿命を伸ばすことができる。但し、この場合、吸着剤の加熱再生の際、ゼオライトや活性アルミナ等では前述の如くNO2 のままで脱着するので、この脱着したNO2 は無害化処理(前述の選択的触媒還元法等による処理)後に放出する必要がある。その反面、大風量装置等で大量の炭素質吸着剤を必要とする場合等には、その充填量を下げて取り替え頻度を減らすことが可能となる利点がある。
【0027】
前述の如く放出初期NO濃度:6ppm 以下のガスは放出時NO 許容濃度までNO を含んでもよく、この放出時NO 許容濃度は被処理ガス中のNO(=NO+NO)濃度、より直接的には放出初期NO濃度に依存する。この詳細を以下説明する。
【0028】
NOの空気中でのNO への酸化反応は 2NO+O→2NOで表現され、その反応速度は、−d[NO]/dt=d[NO]/dt =k[NO](但し、[NO], [NO]:濃度、k:反応速度定数)の式に従う。これを積分すると、c=c+(ktc )/(ckt +1) の式が得られる。但し、c:反応開始前のNO濃度(本発明では換気設備等から放出される時の濃度)、c:反応開始前のNO 濃度(本発明では換気設備等から放出される時の濃度、即ち除去できなかったNO の濃度)、k:反応速度定数、t:反応時間(本発明では、放出〜地表への到達時間)、c:時間t の時点でのNO濃度である。ここで、前述の如きNO含有空気中でのNOの酸化生成物であるNO の濃度経時変化の測定実験と同様の実験を行った結果、濃度をモル分率(〔例〕3ppm の場合→3×10−6)、時間を分で表した場合に、常温において、 k=300 [min−1] で表されることが分かった。
【0029】
上記式を用いて、種々のcに対して、 t=3及び5[min] の場合のcを計算すると、次のようになる(下記表イ)。この計算結果の NO濃度にcを加えたものが、実際の予想NO濃度になる。
【0030】
表 イ
Figure 0003568244
【0031】
前述の如く地表への到達時間(3〜5分)後の地表での総NO 濃度が0.06ppm 以下であればよい。そこで、5分後の総NO 濃度の許容値を0.06ppm 以下として計算すると、c即ち放出時の許容NO 濃度(放出時NO 許容濃度)が求められ、上記表イの最終カラムに記した濃度〔放出時NO 許容濃度〕になる。従って、放出時のNO濃度(放出初期NO濃度)が1〜3ppm 程度の一般的な対象に対しては、放出時NO許容濃度が0.05ppm 程度になるように除去性能を設定すればよく、逆に6ppm 程度に達する場合には、0.01ppm 程度以下まで除去する必要がある。このように、放出時NO 許容濃度は放出初期NO濃度に依存し、放出初期NO濃度が小さいほど大きく、放出初期NO濃度6ppm のとき0.006ppm以下、放出初期NO濃度1ppm のとき0.058ppm以下である。これらのことからも、NO 除去前の元のガス中のNO濃度としては6ppm 以下にしておけば充分であることがわかる。
【0032】
上記のことを一般化すると、5分後の総NO 濃度を0.006ppm以下とする(地表での総NO濃度の許容値以下とする)のに必要な、放出時NO許容濃度(モル分率)は、放出初期NO濃度(モル分率)をCとすると下記▲1▼式で表され、このとき濃度をppm で表すと下記▲2▼式で表される。
(0.06×10−6)−(1500C )/(1500C+1) −−−−−−−− ▲1▼式
0.06−(1500×10−6 )/(1500×10−6+1) −−−− ▲2▼式
【0033】
尚、上記式より、NO(NO +NO)濃度:6ppm 以下の被処理ガスを、NO 吸着剤及び/又は還元剤の充填層に通じ、該ガス中のNO を吸着及び/又は還元せしめて除去するに際し、該充填層出口でのNO濃度をXとすると、該充填層出口でのNO濃度が〔0.06−(1500×10−6)/(1500×10−6X+1)〕ppm 以下になるように制御してやればよいといえる。
【0034】
【実施例】
炭素質吸着剤として、市販の武田薬品工業社製粒状椰子殻活性炭GX(以下、吸着剤A)と、NOのNOへの酸化触媒活性を高めるように、直径4〜10Åの細孔径を発達させると共に、表面酸化を抑制するために賦活後に窒素雰囲気中で冷却したフェノール樹脂賦活粒状炭(神戸製鋼所社製)(以下、吸着剤B)とを用意した。また、住友化学工業社製粒状活性アルミナ KHD(以下、吸着剤C)も用意した。そして、これら吸着剤を別々に内寸 3.2cmの吸着管内に充填して充填高さ:150mm の吸着剤充填層を形成し、これら充填層に、温度:35℃、相対湿度:60%、NO濃度:5.0ppm(NO:4.5ppm, NO:0.5ppm )の空気を被処理ガスとして通じて処理した。このとき、吸着温度:35℃、空間速度:12000/h 、処理時間:連続60hとした。
【0035】
そして、上記処理の際、吸着剤充填層出口のNO濃度及びNO濃度を化学発光式NO分析計(最小測定範囲:0−2ppm )で測定し、両濃度の差からNO 濃度を求めた。このようにして求めたNO及びNO 濃度変化を表1に示す。表1からわかる如く、吸着剤充填層出口のNO濃度は 1.1〜4.4ppmで、いづれの場合も6ppm 以下である。一方、充填層出口のNO 濃度は、吸着剤A充填層の場合は処理時間60hの間 N.D(:検出されず〔検出下限 0.02ppm〕)のレベルであり、吸着剤B充填層の場合は処理時間24hまでの間 N.Dのレベルであるので、これらは放出初期NO濃度6ppm 以下のガス(即ち、NO除去されたNO濃度:6ppm 以下のガス)に相当し、従って、それを直接大気中へ放出しても、地表への到達時間(3〜5分程度)内に空気酸化され生成するNO 濃度は0.06ppm 以下になり(0.02ppm 程度のNOが常時放出されていたと仮定しても地表でのNO濃度は0.06ppm 以下になり)、本質的にNO濃度の環境基準値:0.06ppm 以下への対応を図り得ることになる。尚、吸着剤B充填層の場合、処理時間36〜60hでの充填層出口のNO 濃度は0.03〜0.10ppm であり、この中、処理時間48h以降では直接大気中へ放出するとNO濃度の環境基準値:0.06ppm 以下への対応が図り難いが、少なくとも処理時間36h迄は直接大気中へ放出してもNO濃度の環境基準値:0.06ppm 以下への対応が図れる。又、吸着剤C充填層の場合、処理時間12〜60hでの充填層出口のNO濃度は0.03〜0.37ppm であり、この中、処理時間24h以降では直接大気中へ放出するとNO濃度の環境基準値:0.06ppm 以下への対応が図り難いが、少なくとも処理時間12h迄は直接大気中へ放出してもNO濃度の環境基準値:0.06ppm 以下への対応が図れる。
【0036】
吸着剤A、B、Cの三者の性能を比較するに、吸着剤CはNO吸着能を殆ど示さず、又、当初からNOの破過が認められ、最も性能が劣っていた。これに対し、吸着剤A、Bは性能に優れ、この両者を比較すると、NOを含むNO全体の除去性能は吸着剤Bの方が優れていたが、しかしNOのみに着目すると吸着剤Aの方が優れ、実験期間(処理時間60h)中NOの破過は認められなかった。ここで、活性炭へのNOの吸着は活性炭の酸化触媒能によってNOがNOに酸化されることに起因しているため、この酸化触媒能力を強化した吸着剤Bは、同一運転(処理)時間で比較すると、より多量のNOを処理した(一部は吸着し、一部は表面炭素との反応によってNOに再還元されて再放出された)ことになる。従って、本発明法の場合のようなNOのみの除去に対しては、吸着剤Bの如くNO吸着活性を強化せしめた高価な活性炭よりも、吸着剤Aの如くNO吸着活性を強化していない安価な活性炭の方がむしろ高性能であり、従来のNO全体を処理する方法に比べて経済的である。
【0037】
【表1】
Figure 0003568244
【0038】
以上の実施例からもわかる如く、本発明によれば、自動車トンネルからの換気ガスの如き低濃度NOx ガスの浄化のためのNOx の除去対象をNO2 に限定することによって、一般的な安価な吸着剤を用いて高い空間速度で浄化処理を行わせることができるようになる。この場合、特に、前記吸着剤A等の如き炭素質吸着剤を用いると、NO2 のほぼ全量が、吸着操作時の破過ガスとして或いは再生操作時の脱着ガスとしてNOの形で脱離するため、吸着剤の再生操作によって生成するNO2 の処理という問題がなく、経済的である。
【0039】
【発明の効果】
本発明に係る自動車トンネル換気ガスの浄化処理方法は、自動車トンネルからの換気ガスの如き低濃度NOx ガスの浄化に際し、本質的に有害であるNO2を除去対象とするものであり、NOx 全体を除去対象とする従来の各方式が共通して有する装置の大型化及び高コスト化という経済上の問題点を解消し、従来の各方式に比し、より簡便な装置で且つ低コストで本質的に有害であるNO2 を除去し得、本質的にNO2 濃度の環境基準値:0.06ppm 以下への対応を図り得るようになるという効果を奏する。又、本発明法は、オゾンを添加するものではなく、脱湿を要するものでもないから、従来のオゾン添加方式(1)及びゼオライト充填方式(2)の如き問題点はなくて解消することができるという効果を奏する。

Claims (5)

  1. 一酸化窒素及び二酸化窒素をともに含み、それらの合計濃度が6ppm以下であり、且つ、前記一酸化窒素が過半を占める自動車トンネル換気ガスを、二酸化窒素吸着剤及び/又は還元剤を充填した層に通じて、前記換気ガスに含まれる前記二酸化窒素を除去し、且つ、前記換気ガスに含まれる前記一酸化窒素を本質的に除去せずに浄化ガスとして大気中に放出することを特徴とする自動車トンネル換気ガスの浄化処理方法。
  2. 前記二酸化窒素吸着剤及び/又は還元剤が炭素質吸着剤である請求項1記載の自動車トンネル換気ガスの浄化処理方法
  3. 前記炭素質吸着剤での吸着及び/又は還元を終了した後、該炭素質吸着剤を100〜200℃の温度まで加熱して吸着成分を着させ、該炭素質吸着剤の吸着及び/又は還元活性を回復させる請求項2記載の自動車トンネル換気ガスの浄化処理方法
  4. 前記脱着させたガス成分を冷却した後、炭素質吸着剤を含む充填層に通じ、該ガス成分中の二酸化窒素を吸着及び/又は還元せしめることにより、大気中への二酸化窒素の漏洩を防止する請求項3記載の自動車トンネル換気ガスの浄化処理方法
  5. 前記二酸化窒素吸着剤及び/又は還元剤を充填した層の一酸化窒素の層出口濃度をX(ppm)としたときに、二酸化窒素の層出口濃度が下記(1)式で計算されるY(ppm)以下となるように二酸化窒素を吸着及び/又は還元せしめる請求項1記載の自動車トンネル換気ガスの浄化処理方法
    Y=0.06−(1500×10-6X2)/(1500×10-6 X+1)‥‥‥‥‥(1)
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