JP3777873B2 - 薄膜トランジスタ、アクティブマトリクス基板、電気光学装置及び電子機器 - Google Patents

薄膜トランジスタ、アクティブマトリクス基板、電気光学装置及び電子機器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜トランジスタ(以下、TFTという。)、及びそれを用いて構成したアクティブマトリクス基板並びに電気光学装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶装置を用いた電気光学装置、あるいはエレクトロルミネッセンスなどといった電流駆動型の発光素子を用いた電気光学装置では、TFTを用いて駆動回路や画素スイッチング回路などを構成することが多い。ここに用いられるTFTは、従来、図13に示すように、下地保護膜11の形成されたガラス基板などといった絶縁基板10の表面に島状のポリシリコン膜からなる多結晶性の半導体膜20が形成され、この島状の半導体膜20には、ゲート電極15に対してゲート絶縁膜13を介して対峙するチャネル領域17、およびこのチャネル領域17に接続する高濃度ソース・ドレイン領域122が形成されている。この高濃度ソース・ドレイン領域122に対しては、ゲート電極15の表面側に形成された層間絶縁膜51のコンタクトホール19を介してソース・ドレイン電極800が電気的に接続している。ここで、高濃度ソース・ドレイン領域122は、TFTの製造プロセスにおいてゲート電極15をマスクとして不純物が導入されることにより、ゲート電極15に対してセルフアライン的に形成されている。すなわち、図14に示すように、島状の半導体膜20のうち、ゲート電極15と重なるチャネル領域17の両側にはゲート電極15の端部と対峙する位置からチャネル長方向(矢印Lで示す方向)の両側に向けて高濃度ソース・ドレイン領域122が形成されている。
【0003】
このように構成したTFT1においてオン電流の増大を図るには、半導体膜20(チャネル領域17)をチャネル幅方向(矢印Wで示す方向)を拡張した構造が採用される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ポリシリコン膜などといった多結晶の半導体膜20を用いてTFT1の能動層を形成すると、半導体膜20をチャネル幅方向に拡張するほど、ソース・ドレイン間において結晶粒界が偏在する可能性が高くなる。このような場合にはソース・ドレイン電流が局部的に流れるので、そのジュール熱によってTFT1が自己発熱(セルフヒーティング)を起こし、TFT1の温度が局部的に上昇する。また、幅広の半導体膜20では結晶粒界の偏在以外の理由でソース・ドレイン電流が局部的に流れ、そのジュール熱によってTFT1が自己発熱を起こすこともある。ここで、図15(A)には、TFT1が大きな自己発熱を起こしたときのゲート電圧−ドレイン電流特性(実線L1で示す。)を、TFT1が正常な場合のゲート電圧−ドレイン電流特性(実線L2で示す。)と比較して示すように、TFT1が自己発熱すると、しきい値電圧の変動、オン電流の低下およびオフリーク電流の増大が発生する。それ故、局部的な発熱であっても、TFT1のゲート電圧−ドレイン電流特性は劣化することになる。
【0005】
また、セルフアライン構造のTFT1では、ホットキャリアに起因するオン電流の低下、およびオフリーク電流の増大という問題点がある。すなわち、N型のTFTの場合であれば、ソースからドレインに向けて走行する電子が加速されてシリコンの格子に衝突すると高エネルギーの電子(ホットキャリア)が発生し、この高エネルギーの電子はゲート絶縁膜13に注入されたり、界面でトラップされることがある。その結果、図15(B)に、ホットキャリアが発生したときのゲート電圧−ドレイン電流特性(実線L3で示す。)を、正常な場合のゲート電圧−ドレイン電流特性(実線L4で示す。)と比較して示すように、しきい値電圧は変動しないが、オン電流の低下およびオフリーク電流の増大が発生する。
【0006】
そこで、図16に示すように、ポリシリコンからなる半導体膜20を、チャネル幅方向に沿って所定の間隔をあけて並列する複数の小島領域201〜206に分割して形成し、小島領域201〜206の各々に対して高濃度ソース・ドレイン領域122をゲート電極15に対してセルフアライン的に形成する方法が考えられる。この構造によれば、各小島領域201〜206のうちの一部の小島領域201〜206に結晶粒界が集中する可能性が低いので、結晶粒界の偏在に起因するソース・ドレイン電流の集中を防止できる。しかしながら、この構造でも、図15(A)を参照して説明した自己発熱に起因するゲート電圧−ドレイン電流特性の劣化を完全に抑えることが困難であり、かつ、図15(B)を参照して説明したホットキャリアに起因するゲート電圧−ドレイン電流特性の劣化を防止することができない。
【0007】
そこで、本発明の課題は、局部的な自己発熱やホットキャリアに起因するゲート電圧−ドレイン電流特性の劣化を防止することができるTFT、およびこのTFTを用いて構成したアクティブマトリクス基板並びに電気光学装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の薄膜トランジスタは、ソース・ドレイン領域及びチャネル領域が形成されてなる半導体膜と、前記半導体膜に形成されてなるチャネル領域にゲート絶縁膜を介して対峙するゲート電極と、前記ゲート絶縁膜及び前記ゲート電極を覆うように形成されてなる層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜に開口されたコンタクトホールを介して前記ソース・ドレイン領域にソース・ドレイン電極が電気的に接続する薄膜トランジスタにおいて、前記ソース・ドレイン領域において、前記チャネルの幅方向に沿って所定の間隔をあけて複数の高濃度ソース・ドレイン領域が形成され、前記複数の高濃度ソース・ドレイン領域の間には、低濃度ソース・ドレイン領域が形成され、前記ソース・ドレイン電極は、当該高濃度ソース・ドレイン領域の各々に対して前記コンタクトホールを介して電気的に接続していることを特徴とする。
また、上記課題を解決するために、本発明の薄膜トランジスタは、ソース・ドレイン領域及びチャネル領域が形成されてなる半導体膜と、前記半導体膜に形成されてなるチャネル領域にゲート絶縁膜を介して対峙するゲート電極と、前記ゲート絶縁膜及び前記ゲート電極を覆うように形成されてなる層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜に開口されたコンタクトホールを介して前記ソース・ドレイン領域にソース・ドレイン電極が電気的に接続する薄膜トランジスタにおいて、前記ソース・ドレイン領域において、前記チャネルの幅方向に沿って所定の間隔をあけて複数の高濃度ソース・ドレイン領域が形成され、前記複数の高濃度ソース・ドレイン領域の間には、前記チャネル領域と不純物濃度が同等のオフセット領域が形成され、前記ソース・ドレイン電極は、当該高濃度ソース・ドレイン領域の各々に対して前記コンタクトホールを介して電気的に接続していることを特徴とする。
【0009】
本発明では、能動層としてポリシリコンを用いたためにチャネル領域などにおいて結晶粒界が偏在していても、このチャネル領域を挟んで対峙するコンクタクトホール同士を結ぶ各電流経路には高抵抗(低濃度ソース・ドレイン領域)が介挿された状態にあるので、特定の電流経路にソース・ドレイン電流が集中することはない。それ故、本発明に係るTFTでは、局部的な自己発熱が発生しないので、局所的な自己発熱に起因するゲート電圧−ソース・ドレイン電流特性の劣化が発生しない。また、本発明に係るTFTでは、チャネル領域を挟んで対峙するソース側の高濃度ソース・ドレイン領域とドレイン側の高濃度ソース・ドレイン領域との間には高抵抗の低濃度ソース・ドレイン領域が介在するため、この低濃度ソース・ドレイン領域において電位勾配が緩和されている。このため、ホットキャリアに起因するゲート電圧−ソース・ドレイン電流特性の劣化が発生しない。
【0010】
また、本発明において、前記半導体膜は、たとえば、前記ゲート電極の端部に対して前記ゲート絶縁膜を介して対峙する部分に前記チャネル領域と不純物濃度が同等のオフセット領域、あるいは低濃度ソース・ドレイン領域を備えていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明において、前記半導体膜は、たとえば、前記チャネル幅方向に沿って所定の間隔をあけて並列する複数の小島領域に分割されているとともに、該小島領域の各々に対して前記高濃度ソース・ドレイン領域が形成され、前記ソース・ドレイン電極は、当該高濃度ソース・ドレイン領域の各々に対して前記コンタクトホールを介して電気的に接続していることを特徴とする。
【0012】
また、本発明において、前記半導体膜には、たとえば、前記チャネル幅方向に向かって所定の間隔をあけて複数の前記高濃度ソース・ドレイン領域が形成され、前記ソース・ドレイン電極は、当該高濃度ソース・ドレイン領域の各々に対して前記コンタクトホールを介して電気的に接続していることを特徴とする。
【0013】
このようなTFTは、たとえば液晶表示装置の液晶装置(電気光学装置)に用いるアクティブマトリクス基板、あるいはエレクトロルミネッセンス素子などといった電流駆動型の発光素子を用いた表示装置(電気光学装置)を構成するのに用いられる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明では、説明の重複を避けるために、共通する機能を有する部分には同一の符号を付してある。また、本発明を適用したTFTは、後述する表示装置に限らず、各種の装置を構成するのに利用できるので、TFT単体の特徴点を説明する。
【0015】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係るTFTの断面図である。図2(A)、(B)はそれぞれ、このTFTの平面図、および図2(A)のB−B′線における断面図である。なお、図1は、図2(A)のA−A′線における断面図に相当する。
【0016】
図1および図2(A)、(B)において、本形態のTFT1は、下地保護膜11の形成されたガラス基板などといった絶縁基板10の表面に形成されている。すなわち、絶縁基板10の表面には島状のポリシリコン膜からなる多結晶性の半導体膜20が形成され、この島状の半導体膜20には、ゲート電極15に対してゲート絶縁膜13を介して対峙するチャネル領域17、およびこのチャネル領域17に接続するソース・ドレイン領域12が形成されている。このソース・ドレイン領域12に対しては、ゲート電極15の表面側に形成された層間絶縁膜51のコンタクトホール19を介してソース・ドレイン電極800が電気的に接続している。
【0017】
このように構成したTFT1においてそのオン電流の増大を図ることを目的に、半導体膜20(チャネル領域17)は、チャネル幅方向(矢印Wで示す方向)に拡張された構造になっている。但し、半導体膜20をチャネル幅方向に拡張するほど、ソース・ドレイン間において結晶粒界が偏在したときにソース・ドレイン電流が局部的に流れるので、そのジュール熱によってTFT1が局部的に自己発熱を起こし、TFTの温度が局部的に上昇するおそれがある。また、セルフアライン構造のTFTでは、ホットキャリアに起因するオン電流の低下、およびオフリーク電流の増大という問題点がある。
【0018】
そこで、本形態では、半導体膜20には、ゲート電極15の端部に対してゲート絶縁膜13を介して対峙する位置からチャネル長方向(矢印Lで示す方向)にずれた位置に高濃度ソース・ドレイン領域122が形成されている一方、ゲート電極15の端部に対してゲート絶縁膜13を介して対峙する部分には低濃度ソース・ドレイン領域121が形成されている。すなわち、TFT1はLDD構造を有している。従って、本形態のTFT1では、チャネル領域17を挟んで対峙するソース側の高濃度ソース・ドレイン領域122とドレイン側の高濃度ソース・ドレイン領域122との間には高抵抗の低濃度ソース・ドレイン領域121が介在する。
【0019】
また、高濃度ソース・ドレイン領域122に対応する領域において、層間絶縁膜51には、コンタクトホール19がチャネル幅方向(矢印Wで示す方向)に沿って複数、形成され、これらのコンタクトホール19を介してソース・ドレイン電極800が高濃度ソース・ドレイン領域122に電気的に接続している。
【0020】
このように構成した本形態のTFT1では、能動層としてポリシリコンを用いたためにチャネル領域17などにおいて結晶粒界が偏在していても、このチャネル領域17を挟んで対峙するコンクタクトホール19同士を結ぶ点線で表された各電流経路E1〜E6には高抵抗(低濃度ソース・ドレイン領域121)が介挿された状態にあるので、各電流経路E1〜E6に流れるソース・ドレイン電流は、低濃度ソース・ドレイン領域121が有する高い抵抗によって均等化される。従って、複数の電流経路E1〜E6のうち、特定の電流経路にソース・ドレイン電流が集中することはない。よって、本形態のTFT1では、局部的な自己発熱が発生しないので、図15(A)を参照して説明したような自己発熱に起因するゲート電圧−ソース・ドレイン電流特性の劣化が発生しない。
【0021】
また、本形態のTFT1では、チャネル領域17を挟んで対峙するソース側の高濃度ソース・ドレイン領域122とドレイン側の高濃度ソース・ドレイン領域122との間には高抵抗の低濃度ソース・ドレイン領域121が介在するため、この低濃度ソース・ドレイン領域121において電位勾配が緩和される。このため、図15(B)を参照して説明したようなホットキャリアに起因するゲート電圧−ソース・ドレイン電流特性の劣化が発生しない。
【0022】
なお、実施の形態1では、複数のコンタクトホールをソース及びドレイン電極に形成したが、ソース・ドレイン領域のうち少なくとも一方の領域に、チャネル幅方向に沿って形成された複数のコンタクトホールを介してソース電極もしくはドレイン電極が電気的に接続している構成とすることも可能である。望ましくはドレイン側に複数のコンタクトホールを介してドレイン電極を形成する。なお、この構成は以下の形態においても同様に実施できるものである。
【0023】
[実施の形態2]
図3(A)、(B)はそれぞれ、本形態のTFTの平面図、および図3(A)のC−C′線における断面図である。なお、図3(A)のA−A′線における断面は、実施の形態1と同様、図1に示すように表されるので、本形態の説明でも、図1を参照して説明する。
【0024】
図1および図3(A)、(B)において、本形態のTFT1でも、実施の形態1と同様、下地保護膜11の形成されたガラス基板などといった絶縁基板10の表面には、島状のポリシリコン膜からなる多結晶性の半導体膜20が形成され、この島状の半導体膜20には、ゲート電極15に対してゲート絶縁膜13を介して対峙するチャネル領域17、およびこのチャネル領域17に接続するソース・ドレイン領域12が形成されている。このソース・ドレイン領域12に対しては、ゲート電極15の表面側に形成された層間絶縁膜51のコンタクトホール19を介してソース・ドレイン電極800が電気的に接続している。
【0025】
このように構成したTFT1においてそのオン電流の増大を図ることを目的に、半導体膜20(チャネル領域17)は、チャネル幅方向(矢印Wで示す方向)に拡張された構造になっている。
【0026】
但し、本形態において、半導体膜20は、チャネル幅方向(矢印Wで示す方向)に沿って所定の間隔をあけて並列する複数の小島領域201〜206に分割されている。また、半導体膜20では、いずれの小島領域201〜206においても、ゲート電極15の端部に対してゲート絶縁膜13を介して対峙する位置からチャネル長方向(矢印Lで示す方向)にずれた位置に高濃度ソース・ドレイン領域122が形成され、ゲート電極15の端部に対してゲート絶縁膜13を介して対峙する部分には低濃度ソース・ドレイン領域121が形成されている。すなわち、TFT1はLDD構造を有している。従って、本形態のTFT1では、チャネル領域17を挟んで対峙するソース側の高濃度ソース・ドレイン領域122とドレイン側の高濃度ソース・ドレイン領域122との間には高抵抗の低濃度ソース・ドレイン領域121が介在する。
【0027】
また、半導体膜20の小島領域201〜206毎に形成された高濃度ソース・ドレイン領域122に対応する領域では、層間絶縁膜51に対してコンタクトホール19が形成されている。このため、コンタクトホール19は、チャネル幅方向(矢印Wで示す方向)に沿って複数、形成され、これらのコンタクトホール19を介してドレイン電極800が高濃度ソース・ドレイン領域122に電気的に接続している状態にある。
【0028】
このように構成した本形態のTFT1では、チャネル領域17、低濃度ソース・ドレイン領域121、および高濃度ソース・ドレイン領域122は小島領域201〜206毎に独立し、それぞれが小さなTFTとして機能する。ここで、能動層としてポリシリコンを用いたために小島領域201〜206のいずれかのチャネル領域17などに結晶粒界が偏在したとしても、チャネル領域17を挟んで対峙するコンクタクトホール19同士を結ぶ点線で表された各電流経路E1〜E6には高抵抗(低濃度ソース・ドレイン領域121)が介挿された状態にあるので、各電流経路E1〜E6に流れるソース・ドレイン電流は、低濃度ソース・ドレイン領域121が有する高い抵抗によって均等化される。従って、複数の電流経路E1〜E6のうち、特定の電流経路にソース・ドレイン電流が集中することはない。それ故、本形態のTFT1では、局部的な自己発熱が発生しないので、図15(A)を参照して説明したような自己発熱に起因するゲート電圧−ソース・ドレイン電流特性の劣化が発生しない。
【0029】
また、本形態では、本形態のTFT1では、チャネル領域17を挟んで対峙するソース側の高濃度ソース・ドレイン領域122とドレイン側の高濃度ソース・ドレイン領域122との間には高抵抗の低濃度ソース・ドレイン領域121が介在するため、この低濃度ソース・ドレイン領域121において電位勾配が緩和されている。このため、図15(B)を参照して説明したようなホットキャリアに起因するゲート電圧−ソース・ドレイン電流特性の劣化が発生しない。
【0030】
[実施の形態3]
図4(A)、(B)はそれぞれ、本形態のTFTの平面図、および図4(A)のD−D′線における断面図である。なお、図4(A)のA−A′線における断面は、実施の形態1と同様、図1に示すように表されるので、本形態の説明でも、図1を参照して説明する。
【0031】
図1および図4(A)、(B)において、本形態のTFT1も、実施の形態1、2と同様、下地保護膜11の形成されたガラス基板などといった絶縁基板10の表面には、島状のポリシリコン膜からなる多結晶性の半導体膜20が形成され、この島状の半導体膜20には、ゲート電極15に対してゲート絶縁膜13を介して対峙するチャネル領域17、およびこのチャネル領域17に接続するソース・ドレイン領域12が形成されている。このソース・ドレイン領域12に対しては、ゲート電極15の表面側に形成された層間絶縁膜51のコンタクトホール19を介してソース・ドレイン電極800が電気的に接続している。
【0032】
このように構成したTFT1においてそのオン電流の増大を図ることを目的に、半導体膜20(チャネル領域17)は、チャネル幅方向(矢印Wで示す方向)に拡張された構造になっている。
【0033】
但し、本形態において、半導体膜20には、チャネル幅方向(矢印Wで示す方向)に向かって所定の間隔をあけて複数の高濃度ソース・ドレイン領域122が形成されている。また、高濃度ソース・ドレイン領域122はいずれも、ゲート電極15の端部に対してゲート絶縁膜13を介して対峙する位置からチャネル長方向(矢印Lで示す方向)にずれた位置に形成され、これらの高濃度ソース・ドレイン領域122に対応する領域では、層間絶縁膜51に対してコンタクトホール19が形成されている。このため、コンタクトホール19は、チャネル幅方向(矢印Wで示す方向)に沿って複数、形成され、これらのコンタクトホール19を介してドレイン電極800が高濃度ソース・ドレイン領域122に電気的に接続している状態にある。
【0034】
一方、ゲート電極15の端部に対してゲート絶縁膜13を介して対峙する部分には低濃度ソース・ドレイン領域121が形成され、TFT1はLDD構造を有している。また、半導体膜20において、チャネル幅方向で隣接する高濃度ソース・ドレイン領域122の間には、低濃度ソース・ドレイン領域121と同等の不純物濃度を有する低濃度領域123が形成されている。
【0035】
このように構成した本形態のTFT1では、能動層としてポリシリコンを用いたためにチャネル領域17などにおいて結晶粒界が偏在していても、このチャネル領域17を挟んで対峙するコンクタクトホール19同士を結ぶ点線で表された各電流経路E1〜E6には高抵抗(低濃度ソース・ドレイン領域121)が介挿された状態にあるので、各電流経路E1〜E4に流れるソース・ドレイン電流は、低濃度ソース・ドレイン領域121が有する高い抵抗によって均等化される。従って、複数の電流経路E1〜E4のうち、特定の電流経路にソース・ドレイン電流が集中することはない。それ故、本形態のTFT1では、局部的な自己発熱が発生しないので、図15(A)を参照して説明したような自己発熱に起因するゲート電圧−ソース・ドレイン電流特性の劣化が発生しない。
【0036】
また、本形態のTFT1では、チャネル領域17を挟んで対峙するソース側の高濃度ソース・ドレイン領域122とドレイン側の高濃度ソース・ドレイン領域122との間には高抵抗の低濃度ソース・ドレイン領域121が介在するため、この低濃度ソース・ドレイン領域121において電位勾配が緩和されている。このため、図15(B)を参照して説明したようなホットキャリアに起因するゲート電圧−ソース・ドレイン電流特性の劣化が発生しない。
【0037】
[その他の形態]
なお、上記形態に係るTFTはいずれもLDD構造とするために、ゲート電極15の端部に対してゲート絶縁膜13を介して対峙する部分には低濃度ソース・ドレイン領域121を形成したが、この低濃度ソース・ドレイン領域121に相当する部分への不純物の導入を省略してこの部分の不純物濃度をチャネル領域17と同等にすれば、上記形態に係るいずれのTFTも、オフセットゲートLDD構造とすることができる。このようにしてオフセットゲート構造を採用する場合には、実施の形態3において、チャネル幅方向で隣接する高濃度ソース・ドレイン領域122の間は、低濃度ソース・ドレイン領域121に代えて、不純物濃度がチャネル領域17と同等の領域として形成されることになる。
【0038】
[アクティブマトリクス基板への適用例]
図5ないし図9を参照して、本発明を適用した上記の実施の形態1、2、3に係るTFTを液晶表示装置のアクティブマトリクス基板に形成した例を説明する。図5および図6はそれぞれ、本形態に係る液晶表示装置に用いた液晶装置(電気光学装置)を対向基板の側からみた平面図、および図5のH−H′線で切断したときの液晶装置の断面図である。図7は、アクティブマトリクス基板AMの構成を模式的に示すブロック図、図8は、この液晶表示装置における画素領域の一部を抜き出して示す平面図である。図9(A)、(B)はそれぞれ、2段のCMOSインバータ回路の説明図、およびCMOSインバータ回路の平面構造を拡大して示す説明図である。
【0039】
図5および図6において、液晶表示装置に用いる液晶装置LPは、画素電極8がマトリクス状に形成されたアクティブマトリクス基板AMと、対向電極31が形成された対向基板OPと、これらの基板間に封入、挟持されている液晶39とから概略構成されている。アクティブマトリクス基板AMと対向基板OPとは、対向基板OPの外周縁に沿って形成されたギャップ材含有のシール材52によって所定の間隙を介して貼り合わされている。また、アクティブマトリクス基板AMと対向基板OPとの間には、シール材52によって液晶封入領域40が区画形成され、この液晶封入領域40内に液晶39が封入されている。この液晶封入領域40内において、アクティブマトリクス基板AMと対向基板OPと間にはスペーサ37を介在させることもある。シール材52としては、エポキシ樹脂や各種の紫外線硬化樹脂などを用いることができる。また、シール材52に配合されるギャップ材としては、約2μm〜約10μmの無機あるいは有機質のファイバ若しくは球などが用いられる。
【0040】
対向基板OPはアクティブマトリクス基板AMよりも小さく、アクティブマトリクス基板AMの周辺部分は、対向基板OPの外周縁よりはみ出た状態に貼り合わされる。従って、アクティブマトリクス基板AMの駆動回路(走査線駆動回路70やデータ線駆動回路60)や入出力端子45は対向基板OPから露出した状態にある。ここで、シール材52は部分的に途切れているので、この途切れ部分によって、液晶注入口241が構成されている。このため、対向基板OPとアクティブマトリクス基板AMとを貼り合わせた後、シール材52の内側領域を減圧状態にすれば、液晶注入口241から液晶39を減圧注入でき、液晶39を封入した後、液晶注入口241を封止剤242で塞げばよい。なお、対向基板OPには、シール材52の内側において画面表示領域7を見切りするための遮光膜BM2も形成されている。また、対向基板OPのコーナー部のいずれにも、アクティブマトリクス基板AMと対向基板OPとの間で電気的導通をとるための上下導通材56が形成されている。
【0041】
ここで、走査線に供給される走査信号の遅延が問題にならないのならば、走査線駆動回路70は片側だけでも良いことは言うまでもない。また、データ線駆動回路60を画面表示領域7の辺に沿って両側に配列しても良い。例えば奇数列のデータ線は画面表示領域7の一方の辺に沿って配設されたデータ線駆動回路から画像信号を供給し、 偶数列のデータ線は画面表示領域7の反対側の辺に沿って配設されたデータ線駆動回路から画像信号を供給するようにしても良い。このようにデータ線を櫛歯状に駆動するようにすれば、データ線駆動回路60の形成面積を拡張することが出来るため、複雑な回路を構成することが可能となる。また、アクティブマトリクス基板AMにおいて、データ線駆動回路60と対向する辺の側では、遮光膜BM2の下などを利用して、プリチャージ回路や検査回路が設けられることもある。また、対向基板OPおよびアクティブマトリクス基板AMの光入射側の面あるいは光出射側には、使用する液晶39の種類、すなわち、TN(ツイステッドネマティック)モード、STN(スーパーTN)モードモード等々の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板などが所定の向きに配置される。
【0042】
本形態の液晶装置LPを透過型で構成した場合には、たとえば、投射型液晶表示装置(液晶プロジェクタ)において使用される。この場合、3枚の液晶装置LPがRGB用のライトバルブとして各々使用され、各液晶装置LPの各々には、RGB色分解用のダイクロイックミラーを介して分解された各色の光が投射光として各々入射されることになる。従って、本形態の液晶装置LPにはカラーフィルタが形成されていない。但し、対向基板OPにおいて各画素電極8に対向する領域にRGBのカラーフィルタをその保護膜とともに形成することにより、投射型液晶表示以外にも、カラー液晶テレビなどといったカラー液晶表示装置を構成することができる。さらにまた、対向基板OPに何層もの屈折率の異なる干渉層を積層することにより、光の干渉作用を利用して、RGB色をつくり出すダイクロイックフィルタを形成してもよい。このダイクロイックフィルタ付きの対向基板によれば、より明るいカラー表示を行うことができる。
【0043】
(アクティブマトリクス基板の構成)
図7は、アクティブマトリクス基板AMの構成を模式的に示すブロック図、図8は、この液晶表示装置における画素領域の一部を抜き出して示す平面図である。
【0044】
図7に示すように、液晶表示装置用のアクティブマトリクス基板AM上には、データ線90および走査線91に接続する画素スイッチング用のTFT10Cと、このTFT10Cを介してデータ線90から画像信号が入力される液晶セル94が存在する。データ線90に対しては、シフトレジスタ84、レベルシフタ85、ビデオライン87、アナログスイッチ86を備えるデータ線駆動回路60が形成されている。走査線91に対しては、シフトレジスタ88およびレベルシフタ89を備える走査線駆動回路70が形成されている。画素領域では、前段の走査線91との間に保持容量40(容量素子)が形成され、この保持容量40は、液晶セル94での電荷の保持特性を高める機能を有している。
【0045】
(画素領域の基本構成)
図8に示すように、画素領域では、画素用のTFT1Cのソース・ドレイン領域12Cに対して、データ線90、およびITO膜からなる透明な画素電極44がソース・ドレイン電極としてコンタクトホール19を介してそれぞれ電気的接続している。また、画素領域において、保持容量4は、画素用TFT1Cを形成するための半導体膜20C(シリコン膜)と同時形成された半導体膜を導電化したものを下層側電極41とし、この下層側電極41に対して、ゲート電極15と同時形成された前段の走査線91から張り出した上層側電極42が重なった状態にある。なお、保持容量4は、走査線91と同時形成されるのであれば専用の容量線との間に構成することもある。
【0046】
このように構成した画素領域において、図8では画素用のTFT1Cを一般的な構造で示してあるが、この画素用のTFT1Cとして、図1ないし図4を参照して説明した実施の形態1、2、3に係る構造のTFTを用いることが好ましい。この画素用のTFT1Cでは、ソース・ドレイン電流が比較的小さいので、図15(A)を参照して説明した自己発熱に起因するゲート電圧−ドレイン電流特性の劣化、あるいは図15(B)を参照して説明したホットキャリアに起因するゲート電圧−ドレイン電流特性の劣化の問題は少ないが、実施の形態1、2、3に係るLDD構造のTFTは、オフリーク電流が小さいので、表示むらなどが発生しないという利点がある。
【0047】
(CMOSインバータ回路の基本構成)
データ側および走査側の駆動回路60、70では、図9(A)にたとえば2段のCMOSインバータ回路80を示すように、N型のTFT1AとP型のTFT1BとによってCMOS回路81が構成されている。このようなCMOS回路81は、1段あるいは2段以上でインバータ回路を構成する。
【0048】
図9(B)は、CMOSインバータ回路の平面構造を拡大して示す説明図である。この図に示すCMOSインバータ回路80(TFT回路)では、各段においてCMOS回路81を構成するいずれのP型のTFT1Bにおいても、ソース・ドレイン領域12Bの一方は、電圧Vddが供給されるアルミニウム層からなる配線層801(ソース・ドレイン電極)にコンタクトホール19を介して電気的接続し、いずれのN型のTFT1Aにおいても、ソース・ドレイン領域12Aの一方は、電圧Vssが供給されるアルミニウム層からなる配線層802(ソース・ドレイン電極)にコンタクトホール19を介して電気的接続している。
【0049】
また、各段のN型およびP型のTFT1B、1Bのアルミニウム層からなるゲート電極15A、15Bは、コンタクトホール19を介して入出力用の配線層803(ゲート配線層)に電気的接続し、この配線層803は、前段でCMOS回路81を構成するN型およびP型のTFT1B、1BにおいてN型TFT1Aのソース領域12AとP型TFT1Bのドレイン領域12Bにコンタクトホール19を介して電気的接続している。
【0050】
この図9(B)には、各駆動回路用のTFT1A、1Bを一般的な構造で示してあるが、これらの駆動回路用のTFT1A、1Bとして、図1ないし図4を参照して説明した実施の形態1、2、3に係る構造のTFTを用いることが好ましい。この駆動回路用ののTFT1A、1Bでは、ソース・ドレイン電流が比較的大きいので、実施の形態1、2、3に係るLDD構造のTFTを用いれば、チャネル幅を拡張してオン電流の増大を図っても、図15(A)を参照して説明した自己発熱に起因するゲート電圧−ドレイン電流特性の劣化、あるいは図15(B)を参照して説明したホットキャリアに起因するゲート電圧−ドレイン電流特性の劣化が発生しない。また、駆動回路用のTFT1A、1Bとして、実施の形態1、2、3に係るLDD構造のTFTを用いれば、さらに、耐電圧が向上する分、チャネル長を短くできるので、寄生容量の影響などを抑えることができるという利点がある。
【0051】
(各TFTおよび保持容量の断面構造)
このようにアクティブマトリクス基板では、図10に示すように、それぞれの領域にTFTが構成されるが、いずれもTFTも共通の製造工程の中で作り込むことができる。なお、TFT1A、1B、1Cのうち、駆動回路用のN型のTFT1Aでは、シリコン酸化膜からなる層間絶縁膜51の上層側に位置する配線層802がソース・ドレイン電極として層間絶縁膜51のコンタクホール19を介してソース・ドレイン領域12Aに電気的接続している構造になっている。P型のTFT1Bでは、層間絶縁膜51の上層側に位置する配線層801がソース・ドレイン電極として層間絶縁膜51のコンタクホール19を介してソース・ドレイン領域12Bに電気的接続している構造になっている。また、N型のTFT1AとP型のTFT1Bとの間では、層間絶縁膜51の上層側に位置する配線層803がソース・ドレイン電極として層間絶縁膜51のコンタクホール19を介してN型TFT1Aのソース領域12AとP型TFT1Bのドレイン領域12Bの双方に電気的接続している構造になっている。
【0052】
また、画素用のTFT1Cでは、層間絶縁膜51の上層側に位置するデータ線90および画素電極44がそれぞれ、ソース・ドレイン電極として層間絶縁膜51のコンタクホール19を介してソース・ドレイン領域12Cにそれぞれ電気的接続している構造になっている。なお、ガラス基板10の表面側には、シリコン酸化膜からなる下地保護膜11が形成されている。
【0053】
このように構成したアクティブマトリクス基板では、駆動回路用のN型およびP型のTFT1B、1Bと、画素用のTFT1Cとは、いずれも同じガラス基板10上に形成されるだけでなく、各素子を形成するための各工程を互いに援用していくことになる。
【0054】
(アクティブマトリクス基板の製造方法)
次に、アクティブマトリクス基板への各TFT1A、1B、1Cの製造方法の一例を、図11、図12を参照して説明する。
【0055】
まず図11(A)に示すようにガラス製の基板10に対してTEOS(テトラエトキシシラン)や酸素ガスなどを原料ガスとしてプラズマCVD法により厚さが約2000オングストロームのシリコン酸化膜からなる下地保護膜11を形成する。次に基板10の温度を350℃に設定して、下地保護膜11の表面にプラズマCVD法により厚さが約600オングストロームのアモルファスのシリコン膜からなる半導体膜200を形成する。次にアモルファスのシリコン膜からなる半導体膜200に対して、レーザアニールまたは固相成長法などの結晶化工程を行い、半導体膜200をポリシリコン膜にまで結晶化しておく。
【0056】
レーザアニール法では、たとえば、エキシマレーザのビーム長が400mmのラインビームを用い、その出力強度はたとえば200mJ/cm2 である。ラインビームについてはその幅方向におけるレーザ強度のピーク値の90%に相当する部分が各領域毎に重なるようにラインビームを走査していく。
【0057】
次に図11(B)に示すように、ポリシリコン膜となった半導体膜200をフォトリソグラフィ技術を用いてパターニングし、半導体膜20A、20B、20Cを形成する。半導体膜20A、20B、20Cは、それぞれ駆動回路用のN型のTFT1A、駆動回路用のP型のTFT1B、画素用のTFT1Cを形成するための島状の半導体膜である。これまでの工程を行う間に、TFTのしきい値を調整することを目的に低濃度の不純物を導入しておくことがある(チャネルドープ工程)。
【0058】
ここで、駆動回路用のN型のTFT1A、駆動回路用のP型のTFT1B、および画素用のTFT1Cとして、実施の形態2に係る構造を採用する場合には、半導体膜200を、図3(A)に示すように、小島領域201〜206からなる島状の半導体膜20A、20B、20Cにパターニングする。
【0059】
次に図11(C)に示すように、半導体膜20A、20B、20Cの表面に対して、TEOS(テトラエトキシシラン)や酸素ガスなどを原料ガスとしてプラズマCVD法により厚さが約1000オングストロームのシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜13を形成する(ゲート絶縁膜形成工程)。
【0060】
次に図11(D)に示すように、駆動回路用のP型のTFT1Bの形成予定領域全体を覆うとともに、駆動回路用のN型のTFT1Aおよび画素用のTFT1Cのゲート電極形成予定領域をやや広めに覆うレジストマスク91Aを形成し、この状態で半導体膜20A、20Cに対してリンイオン(N型不純物)を約2×1015cm-2のドーズ量で導入する(高濃度N型不純物導入工程)。その結果、半導体膜20A、20Cのうちリンイオンが打ち込まれた領域は、高濃度ソース・ドレイン領域122A、122Cとなる。
【0061】
ここで、駆動回路用のN型のTFT1Aおよび画素用のTFT1Cとして、実施の形態3に係る構造を採用する場合には、高濃度のリンイオンを選択的に導入するためのレジストマスク91Aのパターンを図4に示す高濃度ソース・ドレイン領域122に対応させておく。
【0062】
次に図11(E)に示すように、駆動回路用のN型のTFT1A、および画素用のTFT1Cの形成予定領域全体を覆うとともに、駆動回路用のP型のTFT1Bのゲート電極形成予定領域をやや広めに覆うレジストマスク91Bを形成し、この状態で半導体膜20Bに対してボロンイオン(P型不純物)を約2×1015cm-2のドーズ量で導入する(高濃度P型不純物導入工程)。その結果、半導体膜20Bのうちボロンイオンが打ち込まれた領域は、高濃度ソース・ドレイン領域122Bとなる。
【0063】
ここで、駆動回路用のP型のTFT1Bとして、実施の形態3に係る構造を採用する場合には、高濃度のボロンイオンを選択的に導入するためのレジストマスク91Bのパターンを図4に示す高濃度ソース・ドレイン領域122に対応させておく。
【0064】
次に図11(F)に示すように、半導体膜20A、20B、20Cにアークランプを用いた急速加熱処理を行い、半導体膜20A、20B、20Cに導入した不純物を活性化する(急速加熱処理工程)。
【0065】
このようにして急速加熱処理工程を終えた後は、図12(A)に示すように、アルミニウムなどの金属膜からなる導電膜73をスパッタ法により形成する(導電膜形成工程)。
【0066】
次に図12(B)に示すように、導電膜73の表面にレジストマスク92を形成した後、図12(C)に示すように導電膜73をパターニングし、各TFTのゲート電極15A、15B、15Cを形成する(ゲート電極形成工程)。
【0067】
次に図12(D)に示すように、駆動回路用のP型のTFT1Bの形成予定領域全体を覆うレジストマスク93Aを形成した後、基板10の温度が350℃の条件下で、水素ガスで希釈されたホスフィン(PH3)などを用いて低濃度のリンイオン(N型不純物)を約1×1013cm-2のドーズ量で導入する(低濃度N型不純物導入工程)。半導体膜20A、20Cには水素イオンも約2×1013cm-2のドーズ量で導入される。不純物が導入されなかった部分がチャネル領域17A、17Cとなる。その結果、同一の基板10上に駆動回路用のN型のTFT1A、および画素用のN型のTFT1Cとが構成され、これらのTFTは、ソース・ドレイン領域12A、12Cのうちゲート電極15A、15Cの端部に対峙する部分に低濃度ソース・ドレイン領域121A、121Cを備えるLDD構造となる。このような低濃度N型不純物の導入工程を省略すれば、TFT1A、1Cはオフセットゲート構造となる。
【0068】
次に図12(E)に示すように、駆動回路用のN型のTFT1A、および画素用のTFT1Cを覆うレジストマスク93Bを形成した後、基板10の温度が350℃の条件下で、水素ガスで希釈されたジボラン(B2 6 )などを用いて低濃度のボロンイオン(P型不純物)を約1×1013cm-2のドーズ量で導入する(低濃度P型不純物導入工程)。半導体膜20Bには水素イオンも約2×1013cm-2のドーズ量で導入される。不純物が導入されなかった部分がチャネル領域17Bとなる。その結果、基板10上に駆動回路用のP型のTFT1Bが構成され、このTFTは、ソース・ドレイン領域12Bのうちゲート電極15Bの端部に対峙する部分に低濃度ソース・ドレイン領域121Bを備えるLDD構造となる。このような低濃度P型不純物の導入工程を省略すれば、TFT1Bはオフセットゲート構造を有することになる。
【0069】
次にフォーミングガス中で熱処理を行い、低濃度ソース・ドレイン領域121A、121B、121Cに導入した低濃度の不純物を活性化した後、図12(F)に示すように、TEOS(テトラエトキシシラン)や酸素ガスなどを原料ガスとしてプラズマCVD法により厚さが約5000オングストロームのシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜51を形成する。
【0070】
そして、図10に示すように、層間絶縁膜51にコンタクトホール19を形成し、しかる後に各配線層801、802、803および画素電極44を順次形成する。ここで、コンタクトホール19は、図1ないし図4に示すように、高濃度ソースドレイン122(122A、122B、122C)に対応する位置に対して、チャネル幅方向に沿って複数形成する。
【0071】
このように、実施の形態1、2、3のいずれの構造のTFTを製造する場合でも、一般的なLDD構造あるいはオフセットゲート構造のTFTを製造する場合と比較して、パターニング時、不純物注入時、およびコンタクトホールの孔開け時に用いるマスクのパターンを変更するだけでよく、工程数が増えることはない。
【0072】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るTFTでは、能動層としてポリシリコンを用いたためにチャネル領域などにおいて結晶粒界が偏在していても、このチャネル領域を挟んで対峙するコンクタクトホール同士を結ぶ各電流経路には高抵抗(低濃度ソース・ドレイン領域)が介挿された状態にあるので、特定の電流経路にソース・ドレイン電流が集中することはない。それ故、本発明に係るTFTでは、局部的な自己発熱が発生しないので、局所的な自己発熱に起因するゲート電圧−ソース・ドレイン電流特性の劣化が発生しない。また、本発明に係るTFTでは、チャネル領域を挟んで対峙するソース側の高濃度ソース・ドレイン領域とドレイン側の高濃度ソース・ドレイン領域との間には高抵抗の低濃度ソース・ドレイン領域が介在するため、この低濃度ソース・ドレイン領域において電位勾配が緩和されている。このため、ホットキャリアに起因するゲート電圧−ソース・ドレイン電流特性の劣化が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したTFTの断面図である。
【図2】(A)、(B)それぞれは、本発明の実施の形態1に係るTFTの平面図、および(A)のB−B′線における断面図である。
【図3】(A)、(B)それぞれは、本発明の実施の形態2に係るTFTの平面図、および(A)のC−C′線における断面図である。
【図4】(A)、(B)それぞれは、本発明の実施の形態2に係るTFTの平面図、および(A)のD−D′線における断面図である。
【図5】本発明を適用したTFTを用いた液晶表示装置の液晶装置を対向基板の側からみた平面図である。
【図6】本発明を適用したTFTを用いた液晶表示装置の液晶装置を図5のH−H′線で切断したときの断面図である。
【図7】図6に示すアクティブマトリクス基板の構成を模式的に示すブロック図である。
【図8】図7に示すアクティブマトリクス基板の画素領域の一部を抜き出して示す平面図である。
【図9】(A)、(B)はそれぞれ、2段のCMOSインバータ回路の説明図、およびCMOSインバータ回路の平面構造を拡大して示す説明図である。
【図10】図7に示すアクティブマトリクス基板に形成される3種類のTFTの構成を示す断面図である。
【図11】図10に示すアクティブマトリクス基板の製造方法の一例を示す工程断面図である。
【図12】図10に示すアクティブマトリクス基板の製造工程のうち、図11に示す工程に続いて行う各工程の工程断面図である。
【図13】従来のTFTの断面図である。
【図14】従来のTFTの平面図である。
【図15】(A)、(B)はそれぞれ、ゲート電圧−ドレイン電流特性が自己発熱に起因して劣化する様子を示すグラフ、およびゲート電圧−ドレイン電流特性がホットキャリアに起因して劣化する様子を示すグラフである。
【図16】結晶粒界の偏在に起因する局部的な自己発熱に対する対策を施した参考例に係るTFTの平面図である。
【符号の説明】
1 TFT
10 絶縁基板
11 下地保護膜
12 ソース・ドレイン領域
13 ゲート絶縁膜
15 ゲート電極
17 チャネル領域
19 コンタクトホール
20 多結晶性の半導体膜
51 層間絶縁膜
121 低濃度ソース・ドレイン領域
122 高濃度ソース・ドレイン領域
123 高濃度ソース・ドレイン領域の間の低濃度領域
201〜206 半導体膜を分割した小島領域
800 ソース・ドレイン電極
E1〜E6 電流経路

Claims (5)

  1. ソース・ドレイン領域及びチャネル領域が形成されてなる半導体膜と、前記半導体膜に形成されてなるチャネル領域にゲート絶縁膜を介して対峙するゲート電極と、前記ゲート絶縁膜及び前記ゲート電極を覆うように形成されてなる層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜に開口されたコンタクトホールを介して前記ソース・ドレイン領域にソース・ドレイン電極が電気的に接続する薄膜トランジスタにおいて、
    前記ソース・ドレイン領域において、前記チャネルの幅方向に沿って所定の間隔をあけて複数の高濃度ソース・ドレイン領域が形成され、前記複数の高濃度ソース・ドレイン領域の間には、低濃度ソース・ドレイン領域が形成され、
    前記ソース・ドレイン電極は、当該高濃度ソース・ドレイン領域の各々に対して前記コンタクトホールを介して電気的に接続していることを特徴とする薄膜トランジスタ。
  2. ソース・ドレイン領域及びチャネル領域が形成されてなる半導体膜と、前記半導体膜に形成されてなるチャネル領域にゲート絶縁膜を介して対峙するゲート電極と、前記ゲート絶縁膜及び前記ゲート電極を覆うように形成されてなる層間絶縁膜と、前記層間絶縁膜に開口されたコンタクトホールを介して前記ソース・ドレイン領域にソース・ドレイン電極が電気的に接続する薄膜トランジスタにおいて、
    前記ソース・ドレイン領域において、前記チャネルの幅方向に沿って所定の間隔をあけて複数の高濃度ソース・ドレイン領域が形成され、前記複数の高濃度ソース・ドレイン領域の間には、前記チャネル領域と不純物濃度が同等のオフセット領域が形成され、
    前記ソース・ドレイン電極は、当該高濃度ソース・ドレイン領域の各々に対して前記コンタクトホールを介して電気的に接続していることを特徴とする薄膜トランジスタ。
  3. 請求項1又は2に規定する薄膜トランジスタを用いて構成したことを特徴とするアクティブマトリクス基板。
  4. 請求項1な又は2に規定する薄膜トランジスタを用いて構成したことを特徴とする電気光学装置。
  5. 請求項4に規定する電気光学装置を用いて構成したことを特徴とする電子機器。
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