JP3777847B2 - 歯車の騒音低減装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は動力伝達経路上の歯車の騒音の低減を図る技術の分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動変速機を搭載する自動車では、エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路上に、変速歯車機構の出力ギヤや、差動装置の入力ギヤ、あるいはこれらのギヤ間に備えられて自動変速機側から駆動輪側へトルクを増大して伝達するための減速ギヤ等の数々の歯車が配設される。動力の伝達時、相互に噛み合ったこれらの歯車同士の歯当たりによって生じる衝撃ないし歯車の固有振動により発生する騒音は乗員室内にも伝わり不快なものである。
【0003】
これを低減する従来技術としては、実開平6−16759号公報又は実開平7−12653号公報に開示されているように、歯車本体側部に環状の部材を取り付けることが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらは環状部材の回転慣性を利用して歯車本体の回転振動を低減しようとする手法のものであり、ギヤノイズ発生メカニズムの詳細な理論を拠りどころに環状部材を取り付けたものではないから、騒音問題を抜本的に解決するものとはなり得ない。
【0005】
本発明者らは、従来にない新しい技術的思想に基づき、歯車の騒音を効果的に低減することのできる装置を創作、開発せんとして鋭意研究検討を重ねた結果、本発明を完成するに至ったものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明者らは、まず、ギヤノイズが、相互に噛み合う各歯車の歯当たり方向の変位量(たわみ量)と相関関係にあることに着目した。
【0007】
例えば、いま、第1の歯車と第2の歯車とが噛み合っており、周波数(回転数)に対する各歯車の上記変位量(コンプライアンスФ=変位の周波数応答関数)をその位相と共にボード線図で表わすと図12に示すようであったとする。なお、歯当たり方向とは、図4に示すように、矢印A方向に回転する駆動側の第1の歯車1の歯と、矢印B方向に回転する従動側の第2の歯車2の歯との接点における法線方向Cをいう。
【0008】
このとき、第2歯車2の歯は、第1歯車1の歯による押圧力により歯当たり方向Cに沿って図面上右方向にたわみ(変位し)、第1歯車1の歯は、第2歯車2の歯による反力により歯当たり方向Cに沿って図面上左方向にたわむ(変位する)。図12は、第1歯車1のその変位量が実線で示すように周波数H1でピークに達し、第2歯車2のその変位量が破線で示すように周波数H3でピークに達することを表わしている。
【0009】
そして、第1歯車1の変位量は周波数H1まで増加傾向にあり、周波数H1を過ぎて減少傾向に転ずる。同じように、第2歯車2の変位量は周波数H3まで増加傾向にあり、周波数H3を過ぎて減少傾向に転ずる。それゆえ、各歯車1,2の変位量の位相はそれぞれピーク周波数H1,H3を境に逆転する。
【0010】
すると、これらの周波数H1,H3間にある別の周波数H2において、第1、第2歯車1,2のコンプライアンスФ1,Ф2が相互に交わる交点Xができる。この交点Xでは、第1、第2歯車1,2の変位量が同じで、且つ位相が逆である。それゆえ、両歯車1,2同士の動的な結合剛性が著しく高くなり(動的に硬くなり)、歯の当たりで生じる加振力が吸収されず、そのまま各歯車1,2の本体に伝達される。その結果、この交点Xの周波数H2で、歯車1,2全体が共振し、大きなギヤノイズが発生するのである。
【0011】
このような第1の歯車1と第2の歯車2との噛み合いにより発生する音Nは、次式で示されるように、第1歯車1の歯当たり方向CのコンプライアンスФ1と、第2歯車2の歯当たり方向CのコンプライアンスФ2と、さらに両歯車1,2間の歯の噛み合いの状態で決まる噛み合いコンプライアンスФtとの三つの値の和の逆数にほぼ一致する。
【0012】
【数1】
ここで、コンプライアンスФは、振幅(変位量)と位相とをもつ値であるから、実際には複素計算を行うことになる。ただし、噛み合いコンプライアンスФtは位相が常にゼロであるから実数部のみの値となる。
【0013】
すなわち、振幅M及び位相Pは、実数部の値R及び虚数部の値Iを用いて、それぞれ次式のように表わされる。
【0014】
【数2】
【0015】
【数3】
一方、各歯車1,2のコンプライアンスФ1,Ф2は、各実数部の値R1,R2及び各虚数部の値I1,I2を用いて、それぞれ次式のように表わされる。
【0016】
【数4】
【0017】
【数5】
ゆえに、上記数1の式は、さらに噛み合いコンプライアンスФtの実数部の値Rtを用いて、次のように変形される。
【0018】
【数6】
計算を容易にするため、共役複素数をかけて、次のように変形してもよい。
【0019】
【数7】
なお、図13に、図12の状態を実数部Rと虚数部Iとで表わすコクアド線図を示した。図示したように、交点周波数H2においては、第1歯車1のコンプライアンスФ1の実数部R1の絶対値aと、第2歯車2のコンプライアンスФ2の実数部R2の絶対値bとが同じで、且つ符号が逆になるので、その和は非常にゼロに近い値となり、よって動的剛性が非常に大きくなって、ギヤノイズNが著しく大きくなる。ただし、噛み合いコンプライアンスФtがゼロでなく、また、交点周波数H2における虚数部Iの値も符号cで示すように残っているから、ギヤノイズNは無限大とはならない。
【0020】
以上により、ギヤノイズは、コンプライアンスの交点における各歯車の歯当たり方向の変位量が小さいほど、換言すればあまりたわまないときほど大きくなり、上記変位量が大きいほど、換言すればよくたわむときほど小さくなることがわかった。したがって、本発明者らは、次に、上記交点における各歯車の歯当たり方向の変位量を大きくすれば、つまり、各歯車の歯当たり方向の変位量が大きいところで各コンプライアンスが相互に交わるようにすれば、あるいは、各歯車の歯当たり方向の変位量が小さいところの交点をなくすようにすれば、歯車の騒音を理論的に低減することができることに着目した。
【0021】
その手法としては、専ら二つのことが考えられる。一つ目は、図14に低周波数側で例示したように、変位量が小さいところでの交点X1をなくし、代わりに変位量が大きいところでの交点X1′が新たな共振点としてできるように、少なくとも一方の歯車のコンプライアンス(図例ではФ2)に別の振動系のコンプライアンス(同じくФ2′)を付加することである。二つ目は、図14に高周波数側で例示したように、変位量が小さいところでの交点X2をなくし、代わりに変位量が大きいところでの交点X2′が新たな共振点としてできるように、少なくとも一方の歯車のコンプライアンス(同じくФ2)のピークを分散して裾野を広くし、全体として変位量レベルの高いコンプライアンス(同じくФ2″)に変化させることである。
【0022】
以上の知見に基づき、本発明者らは、歯車本体に、別の部材を、それ固有の振動数を有するように取り付けることにより、上記二つの効果と、さらにハーモニックブレイク効果とが同時に実現することを見出した。
【0023】
すなわち、本発明は、自動車のエンジンと駆動輪との間の動力伝達経路上に配設された変速機構の出力ギヤである第1の歯車と、該第1の歯車と噛み合い、変速機構の出力を差動装置に伝達する第2の歯車との騒音低減装置であって、これらの第1、第2の歯車の少なくとも一方の歯車本体の側部に、環状部材が、周方向の複数の部位において結合され、該結合部位以外の部位では歯車本体と接触しないように、かつ、上記第1、第2の各歯車の回転数に対するコンプライアンスの交点における各歯車の歯当たり方向の変位量を大きくするべく別の振動系を付加するように、設けられていることを特徴とする。
【0024】
隣接する結合部位間は歯車本体から浮いており、一つの振動系を構成する。したがって、歯車本体と一体に回転することにより、各振動系はそれぞれその固有振動数のところで大きく振るえ、これらが合成された環状部材全体としての新しい別の振動系のコンプライアンスが歯車自体のもともとのコンプライアンスに付加される。その結果、一つ目の手法が実現し、変位量の小さいところで交わる共振点の代わりに変位量の大きいところで交わる新たな共振点(例えば前記X1′)を得ることができる。
【0025】
このとき、結合部位の位置を周方向に変更可能にすると、各振動系の固有振動数を変更することができ、よって新共振点を当該歯車のコンプライアンス又は相手の歯車のコンプライアンスに応じて狙いの周波数のところで生成できるようになるので好ましい。
【0026】
ところで、回転体は、一般に、回転することにより、固有の回転数(周波数)のところで、節が二つある2節モード(2NDモード)や、節が三つある3節モード(3NDモード)等の各モードシェイプをとる。例えば、上記図14において、第2歯車2のコンプライアンスФ2の低周波数側のピークは2節モードによるもの、高周波数側のピークは3節モードによるもの、等である。そこに、本発明に係る環状部材を取り付けると、その結合部位の数に応じて、各モードシェイプが、環状部材を取り付ける前のピーク周波数を挟んで、例えば低周波数側の(柔らかい)モードシェイプと高周波数側の(硬い)モードシェイプとに複数に分離する。
【0027】
例えば、結合部位を三つにすると、この環状部材が結合された歯車側の結合部位は剛性が強くなり、それ以外の環状部材が浮いている歯車側の非接触部位は剛性が弱くなる。それゆえ、新たな3節モードが強制的に付加されたようなかたちで歯車全体が回転することになり、もともとの歯車固有の3節モードシェイプが二つ又はそれ以上のモードシェイプに分離して、もともとの3節モードピークが相互に異なる複数の周波数のピークに分散することになる。その結果、コンプライアンスの裾野が広がり、全体として変位量レベルの高いものに変化して、二つ目の手法が実現し、変位量の小さいところで交わる共振点の代わりに変位量の大きいところで交わる新たな共振点(例えば前記X2′)を得ることができる。
【0028】
したがって、分離させたい狙いのピークの振動モードの節の数に応じて結合部位の数を決定すればよい。上記以外にも、例えば結合部位を二つにした場合には、図14における低周波数側のコンプライアンスФ2の2節モードピーク、あるいは4節モードピークが分散される。
【0029】
さらに、このように歯車本体に環状部材が結合されて、剛性の強い部位と弱い部位とができるから、剛性の強い部位における歯の当たり方と、剛性の弱い部位における歯の当たり方とに差異が生じ、あたかもランダムピッチギヤのような挙動を示すようになる。それゆえ、加振力が一定せず(安定せず)、ハーモニックブレイク効果が得られて、ギヤノイズが全体的に低減する周波数領域が生み出される。
【0030】
以下、発明の実施の形態を通して本発明をさらに詳しく説明する。
【0031】
【発明の実施の形態】
本実施の形態においては、本発明は、図1に示す自動変速機100の出力ギヤであるプライマリギヤ1、すなわち第1の歯車と、該変速機100の出力を差動装置200に伝達するためのセカンダリシャフト12上のセカンダリギヤ2、すなわち第2の歯車との噛み合いによって発生する騒音を低減する目的で、セカンダリギヤ2側に適用されている。
【0032】
自動変速機100は、エンジン出力軸10を介してエンジン回転が入力されるトルクコンバータ20と、プライマリギヤ1の軸心であるプライマリシャフト11を介して該コンバータ20の回転が入力される変速機構としての第1、第2遊星歯車機構30,40とを有し、プライマリシャフト11と第1歯車機構30のサンギヤ31との間のフォワードクラッチ51、同シャフト11と第2歯車機構40のサンギヤ41との間のリバースクラッチ52、同シャフト11と第2歯車機構40のピニオンキャリヤ42との間の3−4クラッチ53、第2歯車機構40のサンギヤ41を固定する2−4ブレーキ54、並びに第1歯車機構30のリングギヤ33及び第2歯車機構40のピニオンキャリヤ42と変速機ケース101との間のローリバースブレーキ55及びワンウェイクラッチ56、の複数の摩擦要素の選択的作動により前進4速及び後退1速が実現する。
【0033】
プライマリギヤ1は第1歯車機構30のピニオンキャリヤ32及び第2歯車機構40のリングギヤ43と連結してプライマリシャフト11上に回転自在に設けられ、セカンダリギヤ2と噛み合っている。また、セカンダリシャフト12上の減速ギヤ3と差動装置200の入力ギヤ4とが噛み合って、プライマリギヤ1の出力回転が差動装置200のデフケース201に入力され、該差動装置200を介して左右の車軸13,14が駆動される。
【0034】
なお、図2にこの自動変速機100の具体的構造を示した。同図、図3及び図4に示したように、セカンダリギヤ2の本体側部には、環状溝2aが形成され、該環状溝2aに収容されるように、環状部材21がセカンダリギヤ2に取り付けられている。その場合に、環状部材21は三つの結合部位21a…21aにおいてそれぞれ二つのボルト22,22で圧着固定されている。そして、隣接する結合部位21a,21a間の部分21b…21bにおいては、環状部材21はセカンダリギヤ2と接触せず、該ギヤ21から浮いている状態にある。
【0035】
したがって、この環状部材21がセカンダリギヤ2と一体に回転することにより、該環状部材21からもたらされる別の振動系としての新たなコンプライアンスがセカンダリギヤ2のもともとのコンプライアンスに付加されることになる。その場合に、二つのボルト22,22の周方向の締付位置を変えることによって、各非接触部位21b…21bの長さを変更することができ、これにより、付加された新共振点を当該セカンダリギヤ2のコンプライアンス又はプライマリギヤ1のコンプライアンスに応じて狙いの周波数のところに生成させることが可能となる。
【0036】
また、この環状部材21を三点で固定しているので、セカンダリギヤ2の3節モードシェイプが二つ又はそれ以上のモードシェイプに分離して、該3節モードにおける変位量のピークが相互に異なる複数の周波数のピークに分散されることになる。一方、例えば、この環状部材21を二点で固定すれば、セカンダリギヤ2の2節又は4節モードシェイプが二つ又はそれ以上のモードシェイプに分離して、該2節又は4節モードにおける変位量のピークが相互に異なる複数の周波数のピークに分散されることになる。
【0037】
そして、いずれの場合も、セカンダリギヤ2のコンプライアンスとプライマリギヤ1のコンプライアンスとが、それぞれ歯当たり方向Cの変位量の大きいところで交差するようになって、ギヤノイズが効果的に低減されることになる。
【0038】
図5は、この環状部材21を取り付けた効果を示すグラフ図である。プライマリギヤ1のコンプライアンスを実線で示すと共に、環状部材21を取り付けない場合のセカンダリギヤ2のコンプライアンスを破線で、また環状部材21を取り付けた場合のセカンダリギヤ2のコンプライアンスを鎖線でそれぞれ示した。ピーク(ア)は、プライマリギヤ1の2節モードピーク、ピーク(イ)は、セカンダリギヤ2のオリジナルの2節モードピーク、ピーク(ウ)は、プライマリギヤ1の3節モードピーク、及びピーク(エ)は、セカンダリギヤ2のオリジナルの3節モードピークである。
【0039】
環状部材21を取り付けない場合の相対的に変位量の小さい位置でのコンプライアンス交点(カ)、(キ)、(ク)で発生していた過大なギヤノイズ(サ)、(シ)、(ス)がなくなり、代わりに、それぞれ、相対的に変位量の大きい位置でのコンプライアンス交点(タ)、(チ)、(ツ)が生み出されたことにより、ギヤノイズが効果的に(ナ)、(ニ)、(ヌ)のように低減していることがわかる。
【0040】
ここで、ギヤノイズの(シ)から(ニ)への低減は、別の振動系としての環状部材21のコンプライアンスピーク(ハ)が付加された結果によるものであり、ギヤノイズの(ス)から(ヌ)への低減は、セカンダリギヤ2の3節モードピーク(エ)が二つのピーク(ヒ),(フ)に分散された結果によるものである。また、ギヤノイズの(サ)から(ナ)への低減は、これらの効果によってセカンダリギヤ2のコンプライアンス全体のレベルが上昇した結果によるものである。
【0041】
なお、図6に、ピーク(ハ)における環状部材21の振動モードシェイプの一例(3節モードシェイプ)を、図7に、ピーク(エ)におけるセカンダリギヤ2のオリジナルの3節モードシェイプの一例を、図8に、分離した低周波数側のピーク(ヒ)におけるセカンダリギヤ2の3節モードシェイプの一例を、及び、図9に、分離した高周波数側のピーク(フ)におけるセカンダリギヤ2の3節モードシェイプの一例をそれぞれ概念的に図示した。
【0042】
さらに、図10は、この環状部材21を取り付けたことによるハーモニックブレイク効果を示すグラフ図である。環状部材21を取り付けない場合のギヤノイズを実線で示すと共に、環状部材21を取り付けた場合のギヤノイズを破線で示した。図示したように、ギヤノイズが周波数領域(マ)において著しく低減している。この周波数領域(マ)では、プライマリギヤ1のコンプライアンスとセカンダリギヤ2のコンプライアンスとの交点がそれほど変位量の大きいところへ移動しておらず、したがって、この広い範囲(マ)でのギヤノイズの大幅な低減は、環状部材21を取り付けることによる第三の効果のハーモニックブレイク効果が奏されているものである。
【0043】
なお、前述したように、環状部材を複数の結合部位において取り付けることにより、歯車側に剛性の強い部位と弱い部位とが生成し、これにより、モードシェイプの分離ないしコンプライアンスピークの分散が生じ、またハーモニックブレイクが起こるのであるから、例えば図11に示すような穴開き構造の歯車2′を採用してもよい。この歯車2′は、中心部と周縁部とを連結する五つの連結部位2a′…2a′において剛性が高く、五つの穴開き部位2b′…2b′において剛性が小さい。したがって、新たな5節モードが強制的に付加されたようなかたちで歯車2′全体が回転することになり、ピーク分散によるノイズ低減効果、ないしハーモニックブレイク効果を得ることができる。なお、穴開きは四つ、六つ等、その他の数であってよいことはいうまでもない。
【0044】
また、環状部材21をプライマリギヤ1側に設けてもよく、さらに両ギヤ1,2に設けてもよい。
【0045】
その場合に、環状部材21を環状溝2a内に収容するようにして取り付けたから、該環状部材21が突出せず、ギヤの回転の支障とならず、ギヤのレイアウト性が損なわれない。
【0046】
さらに、穴開き構造の歯車2′をプライマリギヤ1に採用してもよく、あるいはセカンダリギヤ2に採用してもよく、さらに両ギヤ1,2に採用してもよい。
【0047】
そして、一方のギヤ1又は2に環状部材21を取り付け、他方のギヤ2又は1を穴開き構造の歯車としてもよい。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ギヤノイズの発生メカニズムの理論を根拠として、従来にない新しい技術的思想に基づき、歯車の騒音を効果的に低減することができるから、本発明は、自動車産業をはじめ、動力の伝達に歯車を使用する機械産業等一般に広く好ましく適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用した自動車用自動変速機の機械的構成を示す骨子図である。
【図2】 同自動変速機の変速歯車機構の周辺構造を示す断面図である。
【図3】 本発明に係る環状部材を取り付けた歯車周辺の構造を示す断面図である。
【図4】 同歯車の正面図である。
【図5】 同歯車の騒音低減効果を示すグラフ図である。
【図6】 上記環状部材の振動モードシェイプの一例を示す模式図である。
【図7】 上記歯車のオリジナルの3節モードシェイプの一例を示す模式図である。
【図8】 同歯車の分離した低周波数側の3節モードシェイプの一例を示す模式図である。
【図9】 同じく高周波数側の3節モードシェイプの一例を示す模式図である。
【図10】 同歯車の騒音低減効果としてのハーモニックブレイク効果を示すグラフ図である。
【図11】 ハーモニックブレイク効果等を生み出す別の構造の歯車を示す正面図である。
【図12】 本発明の説明図である。
【図13】 同じく本発明の説明図である。
【図14】 同じく本発明の説明図である。
【符号の説明】
1 プライマリギヤ(第1の歯車)
2 セカンダリギヤ(第2の歯車)
2a 環状溝(凹部)
21 環状部材
21a 結合部位
21b 非接触部位
30,40 遊星歯車機構(変速機構)
100 自動変速機
200 差動装置
Claims (3)
- 自動車のエンジンと駆動輪との間の動力伝達経路上に配設された変速機構の出力ギヤである第1の歯車と、該第1の歯車と噛み合い、変速機構の出力を差動装置に伝達する第2の歯車との騒音を低減する装置であって、
これらの第1、第2の歯車の少なくとも一方の歯車本体の側部に、環状部材が、周方向の複数の部位において結合され、該結合部位以外の部位では歯車本体と接触しないように、かつ、上記第1、第2の各歯車の回転数に対するコンプライアンスの交点における各歯車の歯当たり方向の変位量を大きくするべく別の振動系を付加するように、設けられていることを特徴とする歯車の騒音低減装置。 - 環状部材は、第1、第2の各歯車の回転数に対するコンプライアンスの交点における各歯車の歯当たり方向の変位量を大きくするべくコンプライアンスのピークを分散するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の歯車の騒音低減装置。
- 結合部位の数は、コンプライアンスがピークとなるときの歯車の振動モードの節の数に応じて定められていることを特徴とする請求項2に記載の歯車の騒音低減装置。
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