JP3777387B2 - 抗菌性繊維、抗菌性布地、及び抗菌性フィルタ材並びにそれらの製造方法 - Google Patents

抗菌性繊維、抗菌性布地、及び抗菌性フィルタ材並びにそれらの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気体或いは液体中の細菌、ウィルス、動植物細胞等を捕捉し、死滅させる抗菌性繊維、抗菌性布地、及び抗菌性フィルタ材並びにそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
銀、銅、亜鉛等の金属が抗菌性を有することは、従来より知られている。例えば、硝酸銀の水溶液が消毒剤及び殺菌剤として広く使われてきた。しかしながら、このような溶液状では取り扱い上、不便な場合があったため、これらの金属又はその化合物を紙、繊維等に含有させて使われるようになった。ところが、このような方法では、金属と紙、繊維等とは物性の違いなどによりなじみ難く、使用中に金属が脱落し易く、抗菌性が徐々に低下するため長期の使用が難しいとの問題がある。また、金属の影響で紙、繊維等が変色し易いため、その用途が制限されるという問題もある。
【0003】
上記の方法の他、紙、繊維等にイオン交換能或いは錯体形成能を有する官能基を導入し、この官能基の作用によって抗菌性金属を固定する方法も提案されている。しかし、この方法では、金属と結合した官能基と紙、繊維等との相互作用が無視できない。そのため、紙、繊維等の物性の変化を避けるには、紙、繊維等の種類及び官能基の種類と導入量が極めて限られるといった問題がある。そこで、ゼオライトに銀、銅、亜鉛のイオンを担持させ、これをポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル等のポリマーに含有させた組成物が提案されている(特公昭63−54013号公報)。しかしながら、この方法では特定のゼオライトを必要とし、また担持量にも制限があり、更にゼオライトを多量に配合すると組成物の物性変化が大きい等の問題がある。
【0004】
上記の公報に開示された方法では各種の問題があるため、ゼオライトよりも多くの金属イオンを担持させることができ、且つその担持量を任意に選択でき、担持力が大きい水酸アパタイトを担体として利用する方法が提案されている(特開平3−137298号公報、特開平4−163308号公報等)。しかしながら、この方法では、水酸アパタイト粉末を硝酸銀等の水溶液中に浸漬して銀イオン等を水酸アパタイト粉末に担持させた後、これを紙及び繊維に含有させている。そのため、紙及び繊維の内部に閉じ込められた水酸アパタイト粉末は抗菌性に寄与せず、それらの表面に存在する粉末のみが抗菌性に与かることになる。従って、抗菌性を十分に向上させるためには多量の粉末を含有させる必要があり、この場合、製紙、紡糸の成形過程及び得られる紙及び繊維の物性等の低下が懸念され、また水酸アパタイト粉末が紙、繊維から脱落するといった問題もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決するものであり、繊維又は布地を構成する繊維の表面に水酸アパタイトからなる皮膜を形成し、この皮膜に抗菌性金属、そのイオン又は塩(以下、「抗菌性金属等」ということもある。)を担持させた抗菌性繊維、抗菌性布地、及びそれらの製造方法を提供することを目的とする。この繊維、布地は抗菌性が高く、細菌等を吸着し易く、しかもその抗菌性が長期に渡って維持される。また、本発明は、織布、不織布、樹脂発泡体等の外表面及び繊維間又は細孔の内表面などに、抗菌性金属、そのイオン又は塩を担持させた水酸アパタイトからなる皮膜を設けてなる抗菌性フィルタ材及びその製造方法を提供することを目的とする。この抗菌性フィルタ材を用いて優れた抗菌性が長期に渡って持続する各種用途のフィルタを得ることができる。更に、本発明では、皮膜を、水酸アパタイトからなる層と抗菌性金属等が担持された層とを2層以上有する多層構造とすることもできる。このようにすれば表層が剥落しても優れた抗菌性が維持される。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1発明の抗菌性繊維の製造方法は、繊維の表面に水酸アパタイトの核を形成し、その後、該繊維を飽和乃至過飽和濃度の少なくともカルシウムイオンとリン酸イオンとを含む水溶液中に浸漬し、水酸アパタイトを成長させ、上記繊維の表面に水酸アパタイトからなる皮膜が形成された水酸アパタイト皮膜付き繊維を得、次いで、該水酸アパタイト皮膜付き繊維を、抗菌性金属の塩を溶解した水溶液中に浸漬し、該抗菌性金属、該抗菌性金属のイオン及び該抗菌性金属の塩のうちの少なくとも1種を上記皮膜に担持させることを特徴とする。
第2発明の抗菌性布地の製造方法は、布地を構成する繊維の表面に水酸アパタイトの核を形成し、その後、該布地を飽和乃至過飽和濃度の少なくともカルシウムイオンとリン酸イオンとを含む水溶液中に浸漬し、水酸アパタイトを成長させ、上記繊維の表面に水酸アパタイトからなる皮膜が形成された水酸アパタイト皮膜付き布地を得、次いで、該水酸アパタイト皮膜付き布地を、抗菌性金属の塩を溶解した水溶液中に浸漬し、該抗菌性金属、該抗菌性金属のイオン及び該抗菌性金属の塩のうちの少なくとも1種を上記皮膜に担持させることを特徴とする。
【0007】
第3発明の抗菌性繊維の製造方法は、繊維の表面に水酸アパタイトの核を形成し、その後、該繊維を、抗菌性金属の塩と、飽和乃至過飽和濃度の少なくともカルシウムイオン及びリン酸イオンと、を含む水溶液中に浸漬し、水酸アパタイトを成長させ、上記繊維の表面に水酸アパタイトからなる皮膜を形成させるとともに、上記抗菌性金属、該抗菌性金属のイオン及び該抗菌性金属の塩のうちの少なくとも1種を上記皮膜に担持させることを特徴とする。
第4発明の抗菌性布地の製造方法は、布地を構成する繊維の表面に水酸アパタイトの核を形成し、その後、該布地を、抗菌性金属の塩と、飽和乃至過飽和濃度の少なくともカルシウムイオン及びリン酸イオンと、を含む水溶液中に浸漬し、水酸アパタイトを成長させ 、上記繊維の表面に水酸アパタイトからなる皮膜を形成させるとともに、上記抗菌性金属、該抗菌性金属のイオン及び該抗菌性金属の塩のうちの少なくとも1種を上記皮膜に担持させることを特徴とする。
【0008】
本願発明において、布地とは、織布、不織布、編物、フェルトをも意味するものとする。また、繊維は、各種の天然繊維及び合成繊維のいずれであってもよい。また、上記「水酸アパタイト」としては、人工的に合成されるものに限らず、リン酸カルシウムを主成分とする天然のものと同様のものも使用することができる。更に、上記「抗菌性金属」としては、銀、銅、亜鉛及び錫などが挙げられ、特に抗菌性に優れる銀が好ましい。また、これらの抗菌性金属は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0009】
繊維の表面に形成される、水酸アパタイトからなる上記「皮膜」は、繊維を、飽和乃至過飽和濃度の少なくともカルシウムイオンとリン酸イオンとを含む水溶液に浸漬することにより形成することができる。尚、上記の飽和濃度とは、水酸アパタイトが溶解し得る最大平衡濃度をいい、過飽和濃度とは、上記の飽和濃度を越えて更に濃度を高めたときに溶液中で均一に沈殿が生じ始める濃度をいう。また、この皮膜は、抗菌性金属の塩と、飽和乃至過飽和濃度の少なくともカルシウムイオンとリン酸イオンと、を含む水溶液に浸漬することにより形成することもできる。
【0010】
この皮膜の厚さは、1〜30μm、特に5〜30μm、更には10〜20μmの範囲が好ましい。皮膜の厚さが1μm未満では、細菌、ウイルス等を吸着する性能が低下する。一方、30μmを越える場合は、繊維表面から皮膜が剥離、脱落し易くなる。また、抗菌性金属、そのイオン又は塩の担持量(塩の場合は金属元素に換算した量とする。)は、水酸アパタイト100重量%に対して0.01〜50重量%、特に0.5〜40重量%、更には1〜30重量%の範囲が好ましい。この担持量が0.01重量%未満では、皮膜の厚さを上限近くに厚くしても、十分な抗菌性が得られない。一方、50重量%の担持量であれば、皮膜が薄くても十分な抗菌性が得られ、50重量%を越えて担持させても、それ以上の効果は得られず、却って黒色化してしまうことがあるため、50重量%以下が好ましい。
【0011】
第1〜4発明において、繊維の表面に水酸アパタイトの上記「核」を形成する方法としては、繊維を、(1)酸化カルシウム−酸化珪素系のガラスを含む擬似体液中に浸漬する、又は(2)繊維の表面にリン酸基を導入した後、飽和水酸化カルシウム水溶液中で加水分解させる、等の方法が挙げられる。このような方法によって、繊維の表面には微小な水酸アパタイトの核が形成される。
【0012】
その後、この水酸アパタイトの核が形成された繊維やこの繊維により構成される布地を、水酸アパタイトの形成には飽和乃至過飽和なカルシウムイオン及びリン酸イオンを含む水溶液、例えば上記の擬似体液などに浸漬する。そして、水酸アパタイトの核は溶液中のカルシウムイオン及びリン酸イオンを次々と取り込んで成長し、繊維の表面に核を中心とした水酸アパタイトからなる皮膜が形成される。尚、水酸アパタイトは水溶液中の炭酸イオンを取り込んでその一部が炭酸アパタイトとなることもあるが、本発明においては何ら問題とはならない。
【0013】
第1発明や第2発明では、上記のようにして得られた水酸アパタイトからなる皮膜が形成された皮膜付き繊維やこの繊維により構成される布地を、抗菌性金属の塩、例えば硝酸塩、硫酸塩などの水溶液に浸漬する。これによって、皮膜に抗菌性金属等が担持された抗菌性繊維や抗菌性布地を得ることができる。第1発明や第2発明の製造方法では、皮膜は、繊維の表面に形成される水酸アパタイトからなる層と、この層に連続して形成される水酸アパタイトに抗菌性金属等が担持された層と、により構成される。一方、第発明や第 4発明では、水溶液中に予め抗菌性金属の塩が含まれているため、水酸アパタイトからなる皮膜の形成とともに、水酸アパタイトに抗菌性金属等が担持される。そのため、形成される皮膜は、水酸アパタイトからなる層の全体に、抗菌性金属等が分散され、担持されたものとなる。
【0014】
抗菌性金属は、金属及びそのイオン又は塩として皮膜中に存在させることができる。例えば硝酸銀のような抗菌性金属の塩の水溶液に、水酸アパタイトからなる皮膜が形成された皮膜付き繊維類を浸漬し、銀イオンを水酸アパタイトのカルシウムイオンサイトとイオン交換させて担持させることができる。また、抗菌性金属若しくはその塩として皮膜中に物理的に担持させることもできる。
【0015】
従来の抗菌性繊維では、抗菌性の金属などが担持された水酸アパタイトの粉末とポリマーとを予め混練した後、紡糸している。そのため、水酸アパタイト粉末は繊維全体に分散されてしまい、繊維の単位体積あたりの水酸アパタイトの含有量、言い換えれば抗菌性の金属などの含有量が少なく、その抗菌性は不十分であった。また、抗菌性を向上させるため水酸アパタイトの配合量を多くすれば、繊維が本来有する物性等が損なわれることになる。
【0016】
一方、本発明の抗菌性繊維や抗菌性布地を構成する繊維の表面には、水酸アパタイトからなる皮膜が形成され、また、皮膜は水酸アパタイトの非常に細かい結晶粒からなるものである。そして、この微細な結晶粒に抗菌性金属、そのイオン又は塩が均一に担持されているため、細菌等を吸着及び死滅させる効果が高い。本発明の抗菌性繊維や抗菌性布地は、上記のような構成であるため、抗菌性金属のイオンなどが担持された水酸アパタイトを多量に含有させる必要があった従来の抗菌性繊維とは違って、担持される抗菌性金属、そのイオン又は塩のほとんどが抗菌作用に与かる。従って、皮膜を非常に薄いものとすることができ、繊維が本来有する物性が損なわれることもない。また、特に、第1発明や第2発明の製造方法によれば、皮膜全体ではなく、その表面側の一部に抗菌性物質が均質に担持されているため、細菌等を吸着及び死滅させる効果のより高い繊維や布地を得ることができる。
【0017】
発明の抗菌性繊維は、繊維と、該繊維を構成する繊維の表面に形成される皮膜とにより構成され、該皮膜は、水酸アパタイトからなる層と、水酸アパタイトに抗菌性金属、該抗菌性金属のイオン及び該抗菌性金属の塩のうちの少なくとも1種が担持されてなる層とが、交互に積層されてなることを特徴とする。
第6発明の抗菌性布地は、布地と、該布地を構成する繊維の表面に形成される皮膜とにより構成され、該皮膜は、水酸アパタイトからなる層と、水酸アパタイトに抗菌性金属、該抗菌性金属のイオン及び該抗菌性金属の塩のうちの少なくとも1種が担持されてなる層とが、交互に積層されてなることを特徴とする。
【0018】
また、第発明の抗菌性繊維の製造方法は、繊維の表面に水酸アパタイトの核を形成し、その後、該繊維を飽和乃至過飽和濃度の少なくともカルシウムイオンとリン酸イオンとを含む水溶液中に浸漬し、水酸アパタイトを成長させ、上記繊維の表面に水酸アパタイトからなる皮膜が形成された水酸アパタイト皮膜付き繊維を得る第1工程と、該水酸アパタイト皮膜付き繊維を、抗菌性金属の塩を溶解した水溶液中に浸漬し、該抗菌性金属、該抗菌性金属のイオン及び該抗菌性金属の塩のうちの少なくとも1種を上記皮膜に担持させる第2工程と、を少なくとも2回繰り返すことを特徴とする。
第8発明の抗菌性布地の製造方法は、布地を構成する繊維の表面に水酸アパタイトの核を形成し、その後、該布地を飽和乃至過飽和濃度の少なくともカルシウムイオンとリン酸イオンとを含む水溶液中に浸漬し、水酸アパタイトを成長させ、上記繊維の表面に水酸アパタイトからなる皮膜が形成された水酸アパタイト皮膜付き布地を得る第1工程と、該水 酸アパタイト皮膜付き布地を、抗菌性金属の塩を溶解した水溶液中に浸漬し、該抗菌性金属、該抗菌性金属のイオン及び該抗菌性金属の塩のうちの少なくとも1種を上記皮膜に担持させる第2工程と、を少なくとも2回繰り返すことを特徴とする。
【0019】
発明の抗菌性繊維、第6発明の抗菌性布地では、繊維の表面に、水酸アパタイトからなる層と、水酸アパタイトに抗菌性金属等が担持された層とが、交互に複数層、積層され、皮膜が形成されている。そのため、表層が剥落しても優れた抗菌性が保たれ、抗菌性繊維や抗菌性布地としての抗菌性が長期間維持される。これらの層はそれぞれ3〜10層、特に5〜7層、積層されることが好ましい。また、皮膜の厚さは、上記と同様の理由により1〜30μm、特に5〜30μm、更には10〜20μmの範囲が好ましい。更に、抗菌性金属等の担持量も、上記と同様の理由により、水酸アパタイト100重量%に対して0.01〜50重量%、特に0.5〜40重量%、更には1〜30重量%の範囲が好ましい。尚、第発明の抗菌性繊維の製造方法や第8発明の抗菌性布地の製造方法は、第1発明や第2発明における水酸アパタイトからなる皮膜を形成する工程と、抗菌性金属等を担持させる工程とを交互に繰り返すものであり、第発明の特定の構成の抗菌性繊維や第6発明の特定の構成の抗菌性布地を容易に製造することができる。
【0020】
また、第発明の抗菌性フィルタ材の製造方法は、透過孔を有する基材の外表面及び該透過孔の表面に水酸アパタイトの核を形成し、その後、該基材を飽和乃至過飽和濃度の少なくともカルシウムイオンとリン酸イオンとを含む水溶液中に浸漬し、水酸アパタイトを成長させ、上記基材の外表面及び上記透過孔の表面に水酸アパタイトからなる皮膜が形成された複合体を得、次いで、該複合体を抗菌性金属の塩が溶解した水溶液中に浸漬し、該抗菌性金属、該抗菌性金属のイオン及び該抗菌性金属の塩のうちの少なくとも1種を上記皮膜に担持させることを特徴とする。
【0021】
更に、第10発明の抗菌性フィルタ材の製造方法は、透過孔を有する基材の外表面及び該透過孔の表面に水酸アパタイトの核を形成し、その後、該基材を、抗菌性金属の塩と、飽和乃至過飽和濃度の少なくともカルシウムイオン及びリン酸イオンと、を含む水溶液中に浸漬し、水酸アパタイトを成長させ、上記基材の外表面及び上記透過孔の表面に水酸アパタイトからなる皮膜を形成させるとともに、上記抗菌性金属、該抗菌性金属のイオン及び該抗菌性金属の塩のうちの少なくとも1種を上記皮膜に担持させることを特徴とする。
【0022】
この抗菌性フィルタ材の場合も、水酸アパタイトからなる皮膜は、上記の抗菌性繊維や抗菌性布地の場合と同様にして水酸アパタイトの核を形成した後、核を形成した基材を飽和乃至過飽和濃度の少なくともカルシウムイオンとリン酸イオンとを含む水溶液中に浸漬することにより形成することができる。また、この皮膜は、抗菌性金属の塩と飽和乃至過飽和濃度の少なくともカルシウムイオンとリン酸イオンと、を含む水溶液に浸漬することにより形成することもできる。尚、第発明の製造方法では、第発明の場合と同様に、繊維の表面に形成される水酸アパタイトからなる層と、この層に連続して形成される水酸アパタイトに抗菌性金属等が担持された層とからなる皮膜が形成される。一方、第10発明では、第発明の場合と同様に、皮膜は、水酸アパタイトからなる層の全体に、抗菌性金属等が分散され、担持されたものとなる。
【0023】
抗菌性フィルタ材における皮膜の厚さも、抗菌性繊維や抗菌性布地の場合と同様、1〜30μm、特に5〜30μm、更には10〜20μmの範囲が好ましい。更に、抗菌性金属、そのイオン又は塩の担持量(塩の場合は金属元素に換算した量とする。)も、抗菌性繊維や抗菌性布地の場合と同様、水酸アパタイト100重量%に対して0.01〜50重量%、特に0.5〜40重量%、更には1〜30重量%の範囲が好ましい。
【0024】
上記「透過孔を有する基材」としては、織布、不織布、編物及びフェルト等の布地が挙げられる。また、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン等の各種の樹脂からなる連泡型樹脂発泡体を使用することもできる。更に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂からなる多孔質フィルム及び多孔質中空糸膜を用いることもできる。また、これら基材の種類及び透過孔の孔径などは、得られる抗菌性フィルタ材の目的、用途等に応じて適宜のものを選んで使用すればよい。本発明の抗菌性フィルタ材を適宜加工することによって、空気清浄用フィルター、浄水用フィルター、マスク用フィルター等を作製することができる。
【0025】
11発明の抗菌性フィルタ材は、透過孔を有する基材と、該基材の外表面及び該透過孔の表面に形成される皮膜とからなり、該皮膜は、水酸アパタイトからなる層と、水酸アパタイトに抗菌性金属、該抗菌性金属のイオン及び該抗菌性金属の塩のうちの少なくとも1種が担持されてなる層とが、交互に積層されてなることを特徴とする。
【0026】
また、第12発明の抗菌性フィルタ材の製造方法は、透過孔を有する基材の外表面及び該透過孔の表面に水酸アパタイトの核を形成し、その後、該基材を飽和乃至過飽和濃度の少なくともカルシウムイオンとリン酸イオンとを含む水溶液中に浸漬し、水酸アパタイトを成長させ、上記基材の外表面及び上記透過孔の表面に水酸アパタイトからなる皮膜が形成された複合体を得る第1工程と、該複合体を、抗菌性金属の塩を溶解した水溶液中に浸漬し、該抗菌性金属、該抗菌性金属のイオン及び該抗菌性金属の塩のうちの少なくとも1種を上記皮膜に担持させる第2工程と、を少なくとも2回繰り返すことを特徴とする。
【0027】
この第11発明の抗菌性フィルタ材では、基材の外表面及び透過孔の表面に、水酸アパタイトからなる層と、この層に抗菌性金属等が担持された層とが、交互に複数層、積層され、皮膜が形成される。そのため、表層が剥落しても優れた抗菌性が保たれ、抗菌性繊維としての抗菌性が長期間維持される。これらの層はそれぞれ3〜10層、特に5〜7層、積層されることが好ましい。また、皮膜の厚さは、上記と同様の理由により1〜30μm、特に5〜30μm、更には10〜20μmの範囲が好ましい。更に、抗菌性金属等の担持量も、上記と同様の理由により、水酸アパタイト100重量%に対して0.01〜50重量%、特に0.5〜40重量%、更には1〜30重量%の範囲が好ましい。尚、第12発明の抗菌性フィルタ材の製造方法は、第発明における水酸アパタイトからなる皮膜を形成する工程と、抗菌性金属等を担持させる工程とを交互に繰り返すものであり、第11発明の特定の構成の抗菌性フィルタ材を容易に製造することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例によって詳しく説明する。
実施例1
セルロース繊維からなる織布にリン酸基を導入した後、これを飽和水酸化カルシウム水溶液中に室温で8日間浸漬して加水分解させ、セルロース繊維の表面に水酸アパタイトの核を形成した。その後、この織布の約1gを表1に示す種類及び量のイオンを含む50mlの水溶液中に浸漬し、36.5℃の恒温槽中に10日間静置して、セルロース繊維の表面において水酸アパタイトを析出、成長させた。尚、この溶液は毎日新しいものと取り替えた。
【0029】
10日間経過した後、水溶液中から取り出した織布を電子顕微鏡により観察したところ、セルロース繊維の表面には約25μmの厚さの水酸アパタイトからなる皮膜が形成されていた。次いで、この織布の約1.5gを0.05モル%の硝酸銀水溶液100ml中に室温で24時間浸漬した。その後、織布を水溶液中より取り出して純水でよく洗浄し、これを真空中、80℃で乾燥した。得られた織布のセルロース繊維の表面の皮膜には、水酸アパタイト1gに対して0.1g(10重量%)の銀が担持されていた。
【0030】
表1 水酸アパタイトからなる皮膜の形成に使用した水溶液中のイオンの組成(ミリモル)
Figure 0003777387
【0031】
次に、上記のようにして作製された抗菌性が付与された織布の抗菌性の評価を行った。この銀が吸着された皮膜を有するセルロース繊維からなる織布1gを、初期菌数1.0×10の大腸菌を含む水中に浸漬し、30℃で24時間保持した後の生存菌数を測定することにより死滅率を算出した。その結果、ほぼ全ての大腸菌が死滅しており、死滅率は略100%であることが分かった。
【0032】
実施例2
セルロース繊維からなる不織布に、実施例1と同様にリン酸基を導入し、セルロース繊維の表面に水酸アパタイトの核を形成した。その後、この不織布の約1gを上記の表1に示すイオン組成の水溶液50mlに浸漬し、36.5℃の恒温槽中に5日間静置し、セルロース繊維の表面に水酸アパタイトを析出、成長させた。尚、この溶液は毎日新しいものと取り替えた。
【0033】
5日間経過した後、水溶液中から取り出した不織布を電子顕微鏡によって観察したところ、繊維の表面には厚さ約10μmの水酸アパタイトからなる皮膜が形成されていた。次いで、この不織布の1.5gを0.01モル%の硝酸銀水溶液100ml中に浸漬した後、水溶液中から取り出して純水でよく洗浄し、これを真空中、80℃で乾燥した。得られた不織布のセルロース繊維の表面の皮膜には水酸アパタイト1gに対して0.05g(5重量%)の銀が担持されていた。この抗菌性が付与された不織布について実施例1と同様にしてその抗菌性の評価を行った。その結果、大腸菌の死滅率は99%であった。
【0034】
実施例3
セルロース繊維からなる織布にリン酸基を導入した後、これを飽和水酸化カルシウム水溶液中で加水分解させ、セルロース繊維の表面に水酸アパタイトの核を形成した。その後、この織布の約0.1gを表2に示す種類及び量のイオンを含む50mlの水溶液中に浸漬し、36.5℃の恒温槽中に5日間静置して、セルロース繊維の表面において水酸アパタイトを析出、成長させた。尚、この溶液は毎日新しいものと取り替えた。
【0035】
5日間経過した後、水溶液中から取り出した織布を純水でよく洗浄し、これを真空中、60℃で乾燥した。得られた織布のセルロース繊維の表面を電子顕微鏡によって観察したところ、約10μmの厚さの皮膜が形成されていた。また、この皮膜には、水酸アパタイト1gに対して0.02g(2重量%)の銀が担持されていた。
【0036】
表2 水酸アパタイトからなる皮膜の形成に使用した水溶液中のイオンの組成(ミリモル)
Figure 0003777387
この抗菌性が付与された織布について実施例1と同様にしてその抗菌性の評価を行った。その結果、大腸菌の死滅率は略100%であることが分かった。
【0037】
実施例4
実施例3において、イオンを含む水溶液を表3のものとし、恒温槽中に静置する日数を5日間とした他は同様にして抗菌性織布を調製した。得られた織布のセルロース繊維の表面を電子顕微鏡によって観察したところ、約25μmの厚さの皮膜が形成されていた。また、この皮膜には、水酸アパタイト1gに対して0.06g(6重量%)の銀が担持されていた。
【0038】
表3 水酸アパタイトからなる皮膜の形成に使用した水溶液中のイオンの組成(ミリモル)
Figure 0003777387
この抗菌性が付与された織布について実施例1と同様にしてその抗菌性の評価を行った。その結果、大腸菌の死滅率は約95%であることが分かった。
【0039】
実施例5
セルロース繊維からなる不織布にリン酸基を導入した後、これを飽和水酸化カルシウム水溶液中に室温で8日間浸漬して加水分解させ、セルロース繊維の表面に水酸アパタイトの核を形成した。その後、この不織布の約0.1gを前記の表1に示す種類及び量のイオンを含む50mlの水溶液中に浸漬した状態で、36.5℃の恒温槽中に1日間静置して、セルロース繊維の表面において水酸アパタイトを析出、成長させる工程と、この不織布を0.01モル%の硝酸銀水溶液100ml中に室温で1日間浸漬した後、不織布を水溶液中より取り出して純水でよく洗浄し、これを真空中、80℃で乾燥して銀を担持させる工程と、を6回繰り返した。得られた織布のセルロース繊維の表面を電子顕微鏡によって観察したところ、約30μmの厚さの皮膜が形成されていた。また、この皮膜には、水酸アパタイト1gに対して0.03g(3重量%)の銀が担持されていた。
【0040】
この抗菌性が付与された不織布について実施例1と同様にしてその抗菌性の評価を行った。その結果、大腸菌の死滅率は約95%であることが分かった。また、意図的に繊維表面の水酸アパタイトを剥落させるために不織布を少し擦り合わせた。このものを電子顕微鏡によって観察したところ、皮膜が剥落して厚さが10μm程度に減少している部位が観察された。この不織布について、再度、実施例1と同様にしてその抗菌性の評価を行った。その結果、皮膜の厚さの減少にもかかわらず、大腸菌の死滅率は約90%であることが分かった。
【0041】
比較例1
1リットルの蒸留水に水酸アパタイト粉末100gと硝酸銀3.2gとを加えて攪拌し、予め水酸アパタイトに銀を担持させた抗菌性水酸アパタイトを得た。銀の吸着量は水酸アパタイト1gに対して約0.05g(約5重量%)であった。その後、メチルアクリレート10重量%、アクリル酸スルホン酸ソーダ1重量%及びアクリルニトリル89重量%からなるアクリル系コポリマーの25重量%ジメチルフォルムアミド溶液に、上記の銀が担持された水酸アパタイトを上記コポリマー100重量%に対して、5重量%添加し混合した。次いで、常法に従い湿式で紡糸し、アクリル繊維を得た。その後、この繊維を編んで織布とし、実施例1と同様の方法でその抗菌性を評価した。その結果、死滅率は80%であり、本発明の抗菌性繊維に比べて抗菌性に劣るものであった。
【0042】
尚、本発明においては、前記具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。例えば黄色ブドウ球菌、緑膿菌等の大腸菌以外の細菌或いはカンジダ、黒麹カビ等のカビなどに対しても有効である。
【0043】
【発明の効果】
第1〜第4発明により製造された抗菌性繊維又は抗菌性布地では、繊維の表面に、水酸アパタイトからなる皮膜が形成され、この皮膜に抗菌性金属、そのイオン又は塩が担持されている。そのため、これら金属、そのイオン又は塩のほとんどすべてが抗菌剤として有効に作用し、優れた抗菌性が長期に渡って維持される。また、皮膜を薄いものとすることができるため、繊維が本来有する物性等が大きく変化することもない。また、第発明の抗菌性繊維や第6発明の抗菌性布地では、皮膜は、水酸アパタイトからなる層と、抗菌性金属等が担持された層とが積層された構成であり、表層が剥落した場合にも優れた抗菌性がそのまま維持される。
【0044】
更に、第9〜第10発明により製造された抗菌性フィルタ材では、織布、不織布、編物、フェルト、樹脂発泡体、多孔質フィルム、多孔質中空糸膜等の透過孔の表面などに、抗菌性繊維や抗菌性布地と同様に水酸アパタイトからなる皮膜を形成することにより、抗菌性に優れたフィルタ材を得ることができる。この抗菌性フィルタ材を所要形状に加工等することにより、特定の用途の種々の抗菌性フィルタとすることができる。また、第11発明では、水酸アパタイトからなる層と、抗菌性金属等が担持された層とが積層された皮膜を有するフィルタ材を得ることができ、表層が剥落した場合にも優れた抗菌性がそのまま維持される。更に、第1発明、第2発明、第3発明、第4発明、第7発明、第8発明、第9発明、第10発明、第12発明によれば、簡易な操作によって、優れた抗菌性を有する繊維若しくは布地又はフィルタ材を容易に製造することができる。

Claims (12)

  1. 繊維の表面に水酸アパタイトの核を形成し、その後、該繊維を飽和乃至過飽和濃度の少なくともカルシウムイオンとリン酸イオンとを含む水溶液中に浸漬し、水酸アパタイトを成長させ、上記繊維の表面に水酸アパタイトからなる皮膜が形成された水酸アパタイト皮膜付き繊維を得、次いで、該水酸アパタイト皮膜付き繊維を、抗菌性金属の塩を溶解した水溶液中に浸漬し、該抗菌性金属、該抗菌性金属のイオン及び該抗菌性金属の塩のうちの少なくとも1種を上記皮膜に担持させることを特徴とする抗菌性繊維の製造方法。
  2. 布地を構成する繊維の表面に水酸アパタイトの核を形成し、その後、該布地を飽和乃至過飽和濃度の少なくともカルシウムイオンとリン酸イオンとを含む水溶液中に浸漬し、水酸アパタイトを成長させ、上記繊維の表面に水酸アパタイトからなる皮膜が形成された水酸アパタイト皮膜付き布地を得、次いで、該水酸アパタイト皮膜付き布地を、抗菌性金属の塩を溶解した水溶液中に浸漬し、該抗菌性金属、該抗菌性金属のイオン及び該抗菌性金属の塩のうちの少なくとも1種を上記皮膜に担持させることを特徴とする抗菌性布地の製造方法。
  3. 繊維の表面に水酸アパタイトの核を形成し、その後、該繊維を、抗菌性金属の塩と、飽和乃至過飽和濃度の少なくともカルシウムイオン及びリン酸イオンと、を含む水溶液中に浸漬し、水酸アパタイトを成長させ、上記繊維の表面に水酸アパタイトからなる皮膜を形成させるとともに、上記抗菌性金属、該抗菌性金属のイオン及び該抗菌性金属の塩のうちの少なくとも1種を上記皮膜に担持させることを特徴とする抗菌性繊維の製造方法。
  4. 布地を構成する繊維の表面に水酸アパタイトの核を形成し、その後、該布地を、抗菌性金属の塩と、飽和乃至過飽和濃度の少なくともカルシウムイオン及びリン酸イオンと、を含む水溶液中に浸漬し、水酸アパタイトを成長させ、上記繊維の表面に水酸アパタイトからなる皮膜を形成させるとともに、上記抗菌性金属、該抗菌性金属のイオン及び該抗菌性金属の塩のうちの少なくとも1種を上記皮膜に担持させることを特徴とする抗菌性布地の製造方法。
  5. 繊維と、該繊維の表面に形成される皮膜とにより構成され、該皮膜は、水酸アパタイトからなる層と、水酸アパタイトに抗菌性金属、該抗菌性金属のイオン及び該抗菌性金属の塩のうちの少なくとも1種が担持されてなる層とが、交互に積層されてなることを特徴とする抗菌性繊維。
  6. 布地と、該布地を構成する繊維の表面に形成される皮膜とにより構成され、該皮膜は、水酸アパタイトからなる層と、水酸アパタイトに抗菌性金属、該抗菌性金属のイオン及び該抗菌性金属の塩のうちの少なくとも1種が担持されてなる層とが、交互に積層されてなることを特徴とする抗菌性布地
  7. 繊維の表面に水酸アパタイトの核を形成し、その後、該繊維を飽和乃至過飽和濃度の少なくともカルシウムイオンとリン酸イオンとを含む水溶液中に浸漬し、水酸アパタイトを成長させ、上記繊維の表面に水酸アパタイトからなる皮膜が形成された水酸アパタイト皮膜付き繊維を得る第1工程と、該水酸アパタイト皮膜付き繊維を、抗菌性金属の塩を溶解した水溶液中に浸漬し、該抗菌性金属、該抗菌性金属のイオン及び該抗菌性金属の塩のうちの少なくとも1種を上記皮膜に担持させる第2工程と、を少なくとも2回繰り返すことを特徴とする抗菌性繊維の製造方法。
  8. 布地を構成する繊維の表面に水酸アパタイトの核を形成し、その後、該布地を飽和乃至過飽和濃度の少なくともカルシウムイオンとリン酸イオンとを含む水溶液中に浸漬し、水酸アパタイトを成長させ、上記繊維の表面に水酸アパタイトからなる皮膜が形成された水酸アパタイト皮膜付き布地を得る第1工程と、該水酸アパタイト皮膜付き布地を、抗菌性金属の塩を溶解した水溶液中に浸漬し、該抗菌性金属、該抗菌性金属のイオン及び該抗菌性金属の塩のうちの少なくとも1種を上記皮膜に担持させる第2工程と、を少なくとも2回繰り返すことを特徴とする抗菌性布地の製造方法。
  9. 透過孔を有する基材の外表面及び該透過孔の表面に水酸アパタイトの核を形成し、その後、該基材を飽和乃至過飽和濃度の少なくともカルシウムイオンとリン酸イオンとを含む水溶液中に浸漬し、水酸アパタイトを成長させ、上記基材の外表面及び上記透過孔の表面に水酸アパタイトからなる皮膜が形成された複合体を得、次いで、該複合体を、抗菌性金属の塩を溶解した水溶液中に浸漬し、該抗菌性金属、該抗菌性金属のイオン及び該抗菌性金属の塩のうちの少なくとも1種を上記皮膜に担持させることを特徴とする抗菌性フィルタ材の製造方法。
  10. 透過孔を有する基材の外表面及び該透過孔の表面に水酸アパタイトの核を形成し、その後、該基材を、抗菌性金属の塩と、飽和乃至過飽和濃度の少なくともカルシウムイオン及びリン酸イオンと、を含む水溶液中に浸漬し、水酸アパタイトを成長させ、上記基材の外表面及び上記透過孔の表面に水酸アパタイトからなる皮膜を形成させるとともに、上記抗菌性金属、該抗菌性金属のイオン及び該抗菌性金属の塩のうちの少なくとも1種を上記皮膜に担持させることを特徴とする抗菌性フィルタ材の製造方法。
  11. 透過孔を有する基材と、該基材の外表面及び該透過孔の表面に形成される皮膜とからなり、該皮膜は、水酸アパタイトからなる層と、水酸アパタイトに抗菌性金属、該抗菌性金属のイオン及び該抗菌性金属の塩のうちの少なくとも1種が担持されてなる層と、が交互に積層されてなることを特徴とする抗菌性フィルタ材。
  12. 透過孔を有する基材の外表面及び該透過孔の表面に水酸アパタイトの核を形成し、その後、該基材を飽和乃至過飽和濃度の少なくともカルシウムイオンとリン酸イオンとを含む水溶液中に浸漬し、水酸アパタイトを成長させ、上記基材の外表面及び上記透過孔の表面に水酸アパタイトからなる皮膜が形成された複合体を得る第1工程と、該複合体を、抗菌性金属の塩を溶解した水溶液中に浸漬し、該抗菌性金属、該抗菌性金属のイオン及び該抗菌性金属の塩のうちの少なくとも1種を上記皮膜に担持させる第2工程と、を少なくとも2回繰り返すことを特徴とする抗菌性フィルタ材の製造方法。
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