JP3650696B2 - 抗菌性繊維類の製造方法及び抗菌性フィルタ材の製造方法 - Google Patents

抗菌性繊維類の製造方法及び抗菌性フィルタ材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気体或いは液体中の細菌、ウィルス、動植物細胞等を捕捉し、増殖抑制又は死滅させる抗菌性繊維類の製造方法及び抗菌性フィルタ材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
銀、銅、亜鉛等の金属が抗菌性を有することは、従来より知られている。例えば、これらの金属をゼオライト或いは水酸アパタイト等に担持させた抗菌剤を、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル等の合成樹脂に含有させ、この合成樹脂を用いて製造された抗菌性を有する繊維或いは成形体などが知られている(特開平4−163308号公報、特開平4−142349号公報)。しかし、これらの金属が皮膚と接触した場合に、アレルギー症状を引き起こすことが指摘されており、これらの金属に代えて、抗菌性を有し、且つ皮膚に接触しても特に問題のない二酸化チタンを使用した抗菌性繊維等も提案されている。
【0003】
また、この二酸化チタンを抗菌剤として使用し、これにバクテリア等を吸着する作用を有する水酸アパタイトを組合わせて、その抗菌性を向上させることも行われている。このように二酸化チタンと水酸アパタイトとを併用して抗菌性を有する繊維或いは成形体を得る方法としては、
(1)二酸化チタンと水酸アパタイトとを混合し、これをポリビニルアルコール等の結合剤によって繊維等の表面に付着させる方法、
(2)二酸化チタンと水酸アパタイトとの混合粉体を、不織布等の表面に溶射法によって付着させる方法(特開平6−254139号公報)、等が挙げられる。
【0004】
このポリビニルアルコール等の結合剤を使用する方法では、二酸化チタンと水酸アパタイトとが結合剤によって繊維等の表面に強固に密着はする。しかし、二酸化チタン及び水酸アパタイトの粒子表面が結合剤によって覆われてしまい、それらの本来の特性、即ち、抗菌性及び吸着性が十分に機能しないとの問題がある。また、溶射法では、二酸化チタン等の微粒子を使用し、低温において溶射したとしても、非常に短時間ではあるが、二酸化チタンが溶融するほどの高温に晒される。そのため、水酸アパタイトが分解してしまうとの問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決するものであり、繊維類を構成する個々の繊維の全表面に水酸アパタイトからなる均一な皮膜を連続的に形成し、この皮膜の表面に抗菌性を有する二酸化チタンの微粒子を担持させた抗菌性繊維類の製造方法を提供することを目的とする。この繊維類では、結合材は使用していないため、二酸化チタン等の本来の特性が十分に機能し、細菌等を吸着し易く、且つ抗菌性に優れ、しかもその抗菌性が長期に渡って維持される。また、本発明は、織布、不織布、樹脂発泡体等の外表面及び繊維間又は細孔の内表面などに、二酸化チタン粒子を担持させた水酸アパタイトからなる皮膜を設けてなる抗菌性フィルタ材の製造方法を提供することを目的とする。この抗菌性フィルタ材を用いて優れた抗菌性が長期に渡って持続する各種用途のフィルタを得ることができる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の抗菌性繊維類の製造方法は、繊維類を構成する繊維の表面に水酸アパタイトの核を形成し、その後、該繊維類を飽和乃至過飽和濃度の水酸アパタイト成分を含む水溶液に浸漬して水酸アパタイトを成長させ、上記繊維の表面に水酸アパタイトからなる皮膜が形成された水酸アパタイト皮膜付き繊維類を得、次いで、該水酸アパタイト皮膜付き繊維類を、粒径が1〜100nmの二酸化チタン粒子の水分散液に浸漬し、該二酸化チタン粒子を結合材は使用せずに上記皮膜に担持させることを特徴とする
【0007】
上記抗菌性繊維類は、繊維類と、該繊維類を構成する繊維の表面に形成される水酸アパタイトからなる皮膜と、該皮膜に担持される二酸化チタン粒子とを備える。また、上記抗菌性繊維類は、繊維類と、該繊維類を構成する繊維の表面に形成される水酸アパタイトからなる皮膜と、該皮膜に担持される二酸化チタン粒子とを備え、上記皮膜は、上記繊維の表面に導入されるリン酸基と水酸化カルシウムとの反応によって生成する水酸アパタイトの核を中心として形成されるものとすることができる
【0008】
発明において、上記「繊維類」とは、この繊維類を構成する上記「繊維」の外、布地、即ち、織布、不織布、編物、フェルトをも意味するものとする。この繊維は、各種の天然繊維及び合成繊維のいずれであってもよい。
【0009】
繊維の表面に形成される、水酸アパタイトからなる上記「皮膜」は、繊維を、「飽和乃至過飽和濃度」の水酸アパタイト成分を含む水溶液に浸漬することにより形成することができる。尚、上記の飽和濃度とは、水酸アパタイトが溶解し得る最大平衡濃度をいい、過飽和濃度とは、上記の飽和濃度を越えてさらに濃度を高めたときに溶液中で均一に沈殿が生じ始める濃度をいう。また、この皮膜の厚さは、1〜30μm、特に5〜20μmとすることが好ましい。皮膜の厚さが1μm未満では、ウィルス、細菌等の吸着性能が不十分となり、この厚さが30μmを越えると、繊維表面から皮膜が剥離、脱落し易くなる。
【0010】
この皮膜は、個々の繊維の全表面に連続的に形成され、その表面に二酸化チタンの微粒子が均一に分散、担持される。更に、この皮膜は、その粒径が0.1〜1μmの非常に細かい水酸アパタイトの結晶によって形成され、且つこの皮膜の表面は0.1〜0.5μm程度の凹凸を有する粗面となっている。そのため、この皮膜の表面に二酸化チタンの微粒子が担持され易く、特に結合剤を用いなくても、二酸化チタンの微粒子が皮膜から容易に脱落することはない。水酸アパタイトの粒径及び皮膜表面の凹凸の程度は、走査型電子顕微鏡による観察によって測定することができる。
【0011】
上記「二酸化チタン粒子」としては、その粒径が「1〜100nm」、特に5〜50nm、更には10〜30nmの範囲の微細な粒子からなるものが好ましい。このように微細な粒子であれば、上記の皮膜の表面の凹凸内に容易に捕捉され、固定されて確実に担持される。二酸化チタン粒子の粒径が100nmを越える場合は、皮膜から脱落し易くなる傾向にあるため好ましくない。また、この二酸化チタン粒子の担持量は、水酸アパタイトからなる皮膜100重量部に対して1〜50重量部、特に10〜30重量部の範囲が好ましい。この担持量が1重量部未満では、十分な抗菌性が得られない。一方、担持量が50重量部を越えても抗菌性については何ら問題はないが、繊維類の柔軟性が低下するとともに、二酸化チタンの微粒子が水酸アパタイトからなる皮膜から脱落し易くなるため好ましくない。二酸化チタン粒子の粒径は透過型電子顕微鏡による観察によって測定することができる。
【0012】
本発明の抗菌性繊維類の製造方法において、繊維類を構成する繊維の表面に水酸アパタイトの上記「核」を形成する方法としては、繊維を、(1)酸化カルシウム−酸化珪素系のガラスを含む擬似体液中に浸漬する、又は(2)繊維の表面にリン酸基を導入した後、飽和水酸化カルシウム水溶液中で加水分解させる、等の方法が挙げられる。このような方法によって、繊維の表面に核形成のサイトを導入し、この時点で微小な水酸アパタイトの核が形成される。
【0013】
その後、この水酸アパタイトの核が形成された繊維により構成される繊維類を、飽和乃至過飽和濃度の水酸アパタイト成分を含む水溶液に浸漬すると、水酸アパタイトの核は溶液中のカルシウムイオン及びリン酸イオンを次々と取り込んで成長する。そして、繊維の表面に核を中心とした均一な水酸アパタイトからなる皮膜が連続的に形成される。尚、水酸アパタイトは水溶液中の炭酸イオンを取り込んでその一部が炭酸アパタイトとなることもあるが、本発明においては何ら問題となることはない。
【0014】
発明では、上記のようにして得られた水酸アパタイトからなる皮膜が形成された皮膜付き繊維類を、粒径が1〜100nmの二酸化チタン粒子の水分散液に浸漬する。これによって、皮膜の表面に二酸化チタン粒子が担持された抗菌性繊維類を得ることができる。この水分散液は、微細な二酸化チタンの粒子をアンモニアを分散剤として水中に分散させた弱アルカリ性のものとすることが好ましい。アンモニアは乾燥工程において揮散し、二酸化チタンの粒子を皮膜に均一に分散させ、担持させることができる。更に、アンモニアによって分散液がアルカリ性になるため、この分散液に水酸アパタイトが溶解することがないとの作用も併せ奏される。尚、この分散剤として有機の界面活性剤を用いた場合、揮散し難いこの界面活性剤が二酸化チタンの粒子、更には水酸アパタイトからなる皮膜の表面をも覆ってしまい、これらの本来の特性である抗菌性等が低下してしまうため好ましくない。
【0015】
また、本発明の抗菌性フィルタ材の製造方法は、透過孔を有する基材の外表面及び該透過孔の表面に水酸アパタイトの核を形成し、その後、該基材を飽和乃至過飽和濃度の水酸アパタイト成分を含む水溶液に浸漬して水酸アパタイトを成長させ、上記基材の外表面及び上記透過孔の表面に水酸アパタイトからなる皮膜が形成された複合体を得、次いで、該複合体を、粒径が1〜100nmの二酸化チタン粒子の水分散液に浸漬し、該二酸化チタン粒子を結合材は使用せずに上記皮膜に担持させることを特徴とする
【0016】
上記抗菌性フィルタ材は、透過孔を有する基材と、該基材の外表面及び該透過孔の表面に形成される水酸アパタイトからなる皮膜と、該皮膜に担持される二酸化チタン粒子とを備える
【0017】
この抗菌性フィルタ材の場合も、水酸アパタイトからなる皮膜は、上記の抗菌性繊維類の場合と同様にして水酸アパタイトの核を形成した後、核を形成した基材を飽和乃至過飽和濃度の水酸アパタイト成分を含む水溶液に浸漬することにより形成することができる。また、この抗菌性フィルタ材における好ましい皮膜の厚さ、及び好ましい二酸化チタン粒子の粒径は、抗菌性繊維類の場合と同様である。更に、二酸化チタン粒子の担持量も、抗菌性繊維類の場合と同様に、水酸アパタイト100重量部に対して1〜50重量部、特に10〜30重量部の範囲が好ましい。
【0018】
上記「透過孔を有する基材」としては、「織布、不織布、編物及びフェルト等の布地」が挙げられる。また、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン等の各種の樹脂からなる「連泡型樹脂発泡体」を使用することもできる。更に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂からなる「多孔質フィルム」及び「多孔質中空糸膜」を用いることもできる。尚、ポリエチレン、ポリプロピレン等の親水性に乏しい樹脂を使用する場合は、適宜、親水性化処理を施すことが望ましい。また、これら基材の種類及び透過孔の孔径などは、得られる抗菌性フィルタ材の目的、用途等に応じて適宜のものを選んで使用すればよい。本発明の抗菌性フィルタ材を適宜加工することによって、空気清浄用フィルタ、浄水用フィルタ、マスク用フィルタ等を作製することができる。
【0019】
従来の抗菌性繊維或いは抗菌性フィルタ材は、抗菌性の金属又は二酸化チタンなどの粒子と水酸アパタイトとを混合し、これをポリビニルアルコール等の結合剤によって繊維等の表面に付着させることにより作製されている。そのため、二酸化チタンと水酸アパタイトとが結合剤によって繊維等の表面に強固に密着される。しかし、二酸化チタン及び水酸アパタイトの粒子表面が結合剤によって覆われてしまい、それらの本来の特性、即ち、抗菌性及び吸着性が十分に機能しないとの問題がある。また、特開平6−254139号公報に開示されている、アパタイトと二酸化チタンとの混合粉末を基材表面に溶射して得られる殺菌吸着機能体においても同様の問題がある。
【0020】
一方、本発明により得られる抗菌性繊維類等を構成する繊維等の表面には、水酸アパタイトからなる皮膜が形成され、また、皮膜は水酸アパタイトの非常に細かい結晶粒からなるものである。そして、この皮膜の表面の微細な結晶粒間の凹凸に二酸化チタンの微粒子が均一に担持されているため、細菌等を吸着及び死滅させる効果が高い。本発明の抗菌性繊維類等は、上記のような構成であるため、抗菌性の金属などが担持された水酸アパタイトを多量に含有させる必要があった従来の抗菌性繊維等とは違って、担持される二酸化チタン粒子のほとんど全てが抗菌作用に与かる。従って、皮膜を非常に薄いものとすることができ、繊維等が本来有する物性が損なわれることもない。また、特に、発明の製造方法によれば、皮膜全体ではなく、その表面近傍にのみ二酸化チタン粒子を均一に担持させることができ、細菌等を吸着及び死滅させる効果のより高い繊維類等を容易に得ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例によって詳しく説明する。
実施例1
セルロース繊維からなる不織布にリン酸基を導入した後、これを飽和水酸化カルシウム水溶液に室温で8日間浸漬して加水分解させ、セルロース繊維の表面に水酸アパタイトの核を形成した。その後、この不織布の約0.1gを表1に示す種類及び量のイオンを含む250mlの水溶液に浸漬し、36.5℃の恒温槽中に5日間静置して、セルロース繊維の表面に水酸アパタイトを析出させ、成長させた。尚、この溶液は毎日新しいものと取り替えた。
【0022】
5日間経過した後、水溶液から取り出した不織布を水洗し、60℃で減圧乾燥して、電子顕微鏡により観察したところ、セルロース繊維の表面には約25μmの厚さの水酸アパタイトからなる皮膜が形成されていた。次いで、この不織布を、平均粒径が約10nm(粒径範囲;5〜30nm)の二酸化チタン粒子をアンモニアによって分散させて1重量%の濃度とした水分散液に室温で10分間浸漬した。その後、不織布を水分散液より取り出して水洗し、これを60℃で減圧乾燥した。このようにして得られた不織布を電子顕微鏡により観察したところ、水酸アパタイトらかなる皮膜の表面には二酸化チタン粒子が均一に分散して担持されているのが観察された。二酸化チタン粒子の担持量は水酸アパタイト100重量部に対して約20重量部であった。
【0023】
表1 水酸アパタイトからなる皮膜の形成に使用した水溶液中のイオンの組成
(ミリモル)
【表1】
Figure 0003650696
【0024】
次に、上記のようにして製造された二酸化チタン粒子が担持された不織布及び対照のための二酸化チタン粒子が担持されていない不織布の各0.1gを、それぞれ初期菌数5.6×10個の大腸菌を含む培養液に浸漬し、3000ルクスの蛍光燈を照射しながら35℃で18時間培養した後の生存菌数を測定して抗菌性の評価を行った。その結果、二酸化チタン粒子が担持された不織布では、大腸菌は1.3×10個と大幅に減少し、菌の増殖が十分に抑えられ、優れた抗菌性が確認された。一方、対照の不織布では、培養後の菌数は1.7×10個にまで増加していた。
【0025】
実施例2
実施例1の二酸化チタン粒子が担持された不織布を使用し、黄色ブドウ球菌を用いて実施例1と同様にして抗菌性の評価を行った。初期菌数を4.5×10個として試験した結果、菌数は20個以下にまで大幅に低下し、優れた抗菌性が確認された。一方、対照の不織布では、菌数は3.3×10個と培養前と大きくは変わらなかった。
【0026】
実施例3
実施例1と同様にして不織布を形成するセルロース繊維の表面に水酸アパタイトからなる皮膜を形成した後、二酸化チタンの0.5重量%の水分散液を用いた他は実施例1と同様にして、この皮膜の表面に二酸化チタン粒子が均一に分散して担持された不織布を得た。水酸アパタイトからなる皮膜の厚さは25μmであり、二酸化チタン粒子の担持量は水酸アパタイト100重量部に対して約9重量部であった。また、実施例1と同様にして、その抗菌性を評価したところ、培養後の大腸菌は2.3×10個にまで減少し、菌の増殖が十分に抑えられていた。
【0027】
実施例4
実施例3の二酸化チタン粒子が担持された不織布を使用し、黄色ブドウ球菌を用いて実施例1と同様にして抗菌性の評価を行った。初期菌数を4.5×10個として試験した結果、菌数は20個以下にまで大幅に低下し、優れた抗菌性が確認された。
【0028】
比較例1
実施例1と同様にして不織布を形成するセルロース繊維の表面に水酸アパタイトからなる厚さ25μmの皮膜を形成し、二酸化チタン粒子は担持させずに、その抗菌性を実施例1と同様にして評価した。その結果、培養後の大腸菌は3.7×10個であり、対照の不織布ほどではないが、菌数は相当に増加しており、抗菌性は認められなかった。
【0029】
比較例2
実施例1と同様にして不織布を形成するセルロース繊維の表面に水酸アパタイトからなる厚さ25μmの皮膜を形成し、二酸化チタン粒子は担持させずに、その抗菌性を実施例3と同様にして評価した。その結果、培養後の黄色ブドウ球菌は4.1×10個と培養前とほぼ同程度であった。
【0030】
比較例3
平均粒径約4μmの水酸アパタイト粒子5g及び平均粒径約2μmの二酸化チタン粒子0.5gと、これら粒子に対して約1重量%のポリビニルアルコール及び約0.05重量%のカルボン酸塩系分散剤とを含む100mlの水分散液に、セルロース繊維からなる不織布0.1gを室温で10秒間浸漬した。その後、この不織布を水分散液より取り出して余剰の水分散液を除去した後、これを60℃で乾燥した。このようにして得られた不織布を使用し、実施例1と同様にして抗菌性を評価した。その結果、培養後の大腸菌は9.5×10個と極く僅かに低下したのみであった。これは結合剤であるポリビニルアルコール及び分散剤が水酸アパタイト及び二酸化チタンの粒子の表面を覆ってしまったためであると考えられる。
【0031】
比較例4
比較例3と同様にして調製された不織布を使用し、黄色ブドウ球菌を用いて実施例3と同様にして抗菌性の評価を行った。初期菌数を4.5×10個として試験した結果、菌数は8.2×10個と少し減少したのみであった。この理由は比較例3の場合と同様であると考えられる。
【0032】
尚、本発明においては、上記の具体的な実施例に記載したものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。例えば、黄色ブドウ球菌、緑膿菌等の大腸菌以外の細菌或いはカンジダ、黒麹カビ等のカビなどに対しても、本発明により得られる抗菌性繊維類及び抗菌性フィルタ材は有効である。
【0033】
【発明の効果】
本発明の抗菌性繊維類の製造方法及び本発明の抗菌性フィルタ材の製造方法によれば、簡易な操作によって、優れた抗菌性を有する繊維類又はフィルタ材を容易に製造すること ができる発明により得られる抗菌性繊維類では、その表面に、水酸アパタイトからなる皮膜が形成され、この皮膜の表面に抗菌性を有する二酸化チタン粒子が担持されている。そのため、これら二酸化チタン粒子のほとんどすべてが抗菌剤として有効に作用し、優れた抗菌性が長期に渡って維持される。また、発明により得られる抗菌性フィルタ材では、織布、不織布、樹脂発泡体、多孔質フィルム等の透過孔の表面などに、水酸アパタイトからなる皮膜が形成され、この皮膜に抗菌性を有する二酸化チタン粒子が担持されている。そのため、抗菌性に優れたフィルタ材を得ることができ、この抗菌性フィルタ材を所要形状に加工等することにより、特定の用途の種々の抗菌性フィルタとすることができる。

Claims (11)

  1. 繊維類を構成する繊維の表面に水酸アパタイトの核を形成し、その後、該繊維類を飽和乃至過飽和濃度の水酸アパタイト成分を含む水溶液に浸漬して水酸アパタイトを成長させ、上記繊維の表面に水酸アパタイトからなる皮膜が形成された水酸アパタイト皮膜付き繊維類を得、次いで、該水酸アパタイト皮膜付き繊維類を、粒径が1〜100nmの二酸化チタン粒子の水分散液に浸漬し、該二酸化チタン粒子を結合材は使用せずに上記皮膜に担持させることを特徴とする抗菌性繊維類の製造方法
  2. 上記水酸アパタイトの核は、上記繊維の表面に導入されるリン酸基と水酸化カルシウムとの反応によって生成する請求項1記載の抗菌性繊維類の製造方法
  3. 上記水酸アパタイトの核は、繊維を酸化カルシウム−酸化珪素系のガラスを含む擬似体液中に浸漬する方法又は繊維の表面にリン酸基を導入した後、飽和水酸化カルシウム水溶液中で加水分解させる方法により生成する請求項1記載の抗菌性繊維類の製造方法
  4. 上記皮膜の厚さが1〜30μmである請求項1乃至3のいずれかに記載の抗菌性繊維類の製造方法。
  5. 上記皮膜は、粒径が0.1〜1μmの水酸アパタイトの結晶によって形成されている請求項1乃至4のいずれかに記載の抗菌性繊維類の製造方法
  6. 上記二酸化チタン粒子の水分散液は、二酸化チタンの粒子をアンモニアを分散剤として水中に分散させた水分散液である請求項1乃至5のいずれかに記載の抗菌性繊維類の製造方法
  7. 透過孔を有する基材の外表面及び該透過孔の表面に水酸アパタイトの核を形成し、その後、該基材を飽和乃至過飽和濃度の水酸アパタイト成分を含む水溶液に浸漬して水酸アパタイトを成長させ、上記基材の外表面及び上記透過孔の表面に水酸アパタイトからなる皮膜が形成された複合体を得、次いで、該複合体を、粒径が1〜100nmの二酸化チタン粒子の水分散液に浸漬し、該二酸化チタン粒子を結合材は使用せずに上記皮膜に担持させることを特徴とする抗菌性フィルタ材の製造方法
  8. 上記水酸アパタイトの核は、上記繊維の表面に導入されるリン酸基と水酸化カルシウムとの反応によって生成する請求項7記載の抗菌性フィルタ材の製造方法
  9. 上記水酸アパタイトの核は、繊維を酸化カルシウム−酸化珪素系のガラスを含む擬似体液中に浸漬する方法又は繊維の表面にリン酸基を導入した後、飽和水酸化カルシウム水溶液中で加水分解させる方法により生成する請求項7記載の抗菌性フィルタ材の製造方法
  10. 上記皮膜は、粒径が0.1〜1μmの水酸アパタイトの結晶によって形成されている請求項7乃至9のいずれかに記載の抗菌性フィルタ材の製造方法
  11. 上記基材が、織布、不織布、編物、フェルト、連泡型樹脂発泡体、多孔質フィルム又は多孔質中空糸膜である請求項7乃至10のうちのいずれかに記載の抗菌性フィルタ材の製造方法
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