JP2017127798A - ハイドロキシアパタイト粒子が付着した基材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハイドロキシアパタイトが強固に付着した基材を提供すること。【解決手段】 ハイドロキシアパタイト分散液に、基材を浸漬する工程(第一工程)、前記基材を浸漬したハイドロキシアパタイト分散液を加熱する工程(第二工程)、加熱後のハイドロキシアパタイト分散液から基材を取り出す工程(第三工程)、から成ることを特徴とする、ハイドロキシアパタイト粒子が付着した基材の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、ハイドロキシアパタイト粒子が付着した基材及びその製造方法に関する。
ハイドロキシアパタイトはCa10−n(PO 6−m (OH)(AはSr2+、Pb2+、Mg2+、Zn2+、Mn2+、Fe2+、Na、Kから選択される陽イオンであり、BはCO 2‐、SO 2‐、SiO 2‐から選択される陰イオンであり、n=0〜10でありm=0〜6である)で表される骨や歯の主成分となる化合物であり、他のカルシウムとリン酸の化合物、例えばカルシウム・フォスフェート(Ca(HPO)・2HO)オクタカルシウム・フォスフェート(Ca(PO・5HO)等に比べ生体親和性が高いことで知られている。生体親和性の高いハイドロキシアパタイトは、主として、歯の再石灰化を目的とした歯磨き粉等や、欠損した骨に充填して骨を再生する等の用途で使用されている。
しかしながら近年、ハイドロキシアパタイトが有する吸着能力に注目が集まっている。ハイドロキシアパタイトが吸着できる物質として、細菌及び花粉等の微小な生物由来物質並びに重金属物質等が知られている。ハイドロキシアパタイトがこのような能力を有しているため、近年、前記生物由来物質及び重金属物質等を除去することを目的とした、ハイドロキシアパタイトを含む基材の開発が試みられている。
例えば、特許文献1は、ハイドロキシアパタイト結晶を生成させるためのサイトが導入された基材を、カルシウムイオン及びリン酸イオンを含む数種類のイオンを含む液体に浸漬して、前記基材表面にハイドロキシアパタイト結晶を生成させる方法を開示している。特許文献2は、硝酸カルシウム溶液にパルプ繊維を添加して、リン酸塩溶液を滴下し、ハイドロキシアパタイト結晶が生成したパルプ繊維を用いたアパタイトシートの製造方法を開示している。特許文献3は、紙の繊維にリン酸基を導入し、前記紙をカルシウムイオン及びリン酸イオンを含む数種類のイオンを含む液体に浸漬して、前記紙の表面にハイドロキシアパタイト結晶を生成させる方法を開示している。特許文献4は、セルロース繊維及びアパタイト粉末を含むスラリーを調製し、当該スラリーを抄紙する化学物質吸着シートの製造方法を開示している。
特開2001−31409号公報 特開2000−170092号公報 特開平10−140472号公報 特開平7−232060号公報
しかしながら、前記特許文献1の方法は、基材に対する前処理として、ハイドロキシアパタイト結晶を生成させるためのサイトを基材に導入する必要がある。また、前記基材を1週間という長期間前記液体に浸漬する必要がある。従って、前記特許文献1の方法は、生産効率が悪く大量生産に適していない。前記特許文献2の方法は、リン酸塩を滴下する最中に入念なpH調整が必要であり工程が複雑になることから、生産効率が悪く大量生産に適していない。前記特許文献3の方法は、紙の繊維にリン酸基を導入するための前処理が必要な点、及び10日間も前記液体に浸漬する必要がある点等により、生産効率が悪く大量生産に適していない。前記特許文献4の方法は、比較的簡便な方法である。しかしながら、特許文献4の方法により得られる化学物質吸着シートは、ハイドロキシアパタイト粒子が単にパルプ繊維上に置かれているだけの状態であり、ハイドロキシアパタイト粒子がパルプ繊維に付着していない。従って、前記ハイドロキシアパタイト粒子は前記シート上から容易に脱落するため、使用できる用途に限界が生じる。
従来の技術が上記のような問題を有していたため、ハイドロキシアパタイトが強固に付着した基材及び当該基材を簡便に製造できる方法が望まれていた。
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、ハイドロキシアパタイト粒子が強固に付着した基材が得られ、またその簡便な製造方法が見いだされた。
すなわち本発明は、
[1] ハイドロキシアパタイトが付着した基材、
[2]ハイドロキシアパタイト分散液に、基材を浸漬する工程(第一工程)、
前記基材を浸漬したハイドロキシアパタイト分散液を加熱する工程(第二工程)、
加熱後のハイドロキシアパタイト分散液から基材を取り出す工程(第三工程)、
から成ることを特徴とする、ハイドロキシアパタイト粒子が付着した基材の製造方法、及び
[3][2]に記載の方法により製造されたことを特徴とする、ハイドロキシアパタイト粒子が付着した基材、
に関する。
本発明の基材は、ハイドロキシアパタイト粒子が基材表面に強固に付着していることから、幅広い用途に使用できる。さらに、本発明の基材は、微細なハイドロキシアパタイト粒子を多数含むことにより、微小な生物由来物質及び重金属物質等を吸着する性能に優れている。
また、本発明の方法により、基材の前処理、複雑なpH調整及び長期に及ぶ浸漬等の煩わしい工程を必要とせず、ハイドロキシアパタイトが強固に付着した基材を簡便に製造できる。
実施例1の基材の電子顕微鏡写真 実施例4の基材の電子顕微鏡写真 実施例5の基材の電子顕微鏡写真 実施例7の基材の電子顕微鏡写真
ハイドロキシアパタイト粒子が付着した基材
1.基材
基材を構成する素材としては、例えば、木材、綿、羊毛、麻及びパルプ(木材パルプ、リンターパルプなど)などの天然素材、レーヨン、タンパク繊維及びコラーゲン繊維などの再生繊維素材、アセテートなどの半合成素材、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ナイロン、アクリル及びポリウレタンなどの合成樹脂素材、並びにガラス、石膏、炭素、活性炭素、チタン、アルミナ、ジルコニア及びステンレスなどの無機素材等が例示できる。これらの素材を単独で、又は2以上の素材を組み合わせて基材を製造できる。
基材の形状に特に制限は無く、前記素材から得られた立体的形状の基材又は平面形状の基材のいずれも選択できる。基材の表面は、平滑、凹凸状又は多孔状のいずれのものであっても良い。
平面形状の基材として、例えば、上記素材により製造された板、シート及びフィルムを挙げることが出来る。板の具体例として、例えば、石膏ボード、木材ボード、板紙及び段ボール紙等が挙げられる。シートの具体例として、例えば、織布及び不織布等が挙げられる。なお、本発明において不織布とは、繊維が絡み合ったウェブ構造を有するフェルト等の不織布だけでなく、ウェブ構造や抄紙構造を有する紙類も意味する。フィルムの具体例として、例えば、ポリエチレンフィルム及びポリエステルフィルム等の合成樹脂フィルムが挙げられる。
立体的形状の基材として、例えば、ポリウレタン発泡フォーム等の上記素材により製造された樹脂発泡体等を挙げることが出来る。
2.付着したハイドロキシアパタイト粒子
本発明における「ハイドロキシアパタイト」とは、Ca10−n(PO 6−m (OH)(Aは、Sr2+、Pb2+、Mg2+、Zn2+、Mn2+、Fe2+、Na、Kから選択される陽イオンであり、BはCO 2‐、SO 2‐、SiO 2‐から選択される陰イオンであり、n=0〜10でありm=0〜6である。好ましくはn=5〜10でありm=3〜6である)で表される化合物を意味する。
ハイドロキシアパタイト粒子は、前記基材の「表面」に「付着」している。ここで、本発明における「表面」とは、例えば、基材が繊維からなる布地や紙である場合には、布地や紙を構成する繊維の表面を意味する。また、例えば基材が樹脂発泡体又は多孔質フィルム等の場合には、底を有する孔、貫通孔及び/又は連通孔等の表面も含むことを意味する。また、本発明において「付着」とは、物理的結合や化学的結合等原理の種類を問わず、ハイドロキシアパタイト粒子が前記基材の表面に強固に固着している状態を指す。「付着」しているか否かの判断は、例えば、織布にハイドロキシアパタイトを付着させて得られた基材の場合、JIS L 0217 繊維製品の取扱いに関する表示記号及び表示方法に規定されている103法(洗浄 40℃×5分、すすぎ 30℃×2分)及び室温自然乾燥のセットを5回繰り返しさせた後に、当該基材に残存するハイドロキシアパタイト粒子の残存量が、洗浄前のハイドロキシアパタイト粒子の40質量%以上であることを意味する。
3.付着したハイドロキシアパタイトの量
本発明のハイドロキシアパタイトが付着した基材におけるハイドロキシアパタイトの量は、基材表面の単位面積当たり、例えば5cm×10cm当たり、0.1〜2000mg、好ましくは0.5〜1500mg、より好ましくは1〜1000mg、さらに好ましくは2〜500mg、特に好ましくは5〜100mgである。ハイドロキシアパタイトの量が上記の範囲内であることにより、ハイドロキシアパタイトが有する吸着能力等の諸性能が十分に発揮でき、且つ基材表面から脱落するハイドロキシアパタイト粒子の量を抑えることが出来る。なお、基材に付着したハイドロキシアパタイトの量は、例えば、ハイドロキシアパタイトがCa10(PO46 (OH)2である場合には、以下のように測定できる。基材を5cm×10cmの大きさに切断して試料を作製し、当該試料を50mlの0.5Nの希塩酸に24時間浸漬する。24時間後試料を引き上げ、浸漬後の希塩酸をICP発光分析装置(例えば、島津製作所製ICP発光分析装置(型番:ICPS-8100))で測定し、浸漬後の希塩酸に含まれるカルシウム濃度を測定する。当該カルシウム濃度C(ppm)に基づいて、基材に付着したハイドロキシアパタイトW(mg)の量を計算する。計算式は、以下の通りである:W=C×0.05(L)×1.01(g/ml)×1004.6(g/mol)÷400.8(g/mol)。
4.付着したハイドロキシアパタイト粒子の大きさ
基材表面に付着したハイドロキシアパタイト粒子の大きさは、例えば電子顕微鏡(株式会社日立社製、型番S3000N)を用いて測定できる。基材表面に付着したハイドロキシアパタイト粒子の数平均粒子径は、1nm〜500μm、好ましくは5nm〜300μm、より好ましくは10nm〜200μm、さらに好ましくは50nm〜200μm、特に好ましくは100nm〜150μmである。数平均粒子径が上記範囲内であることにより、ハイドロキシアパタイトが有する吸着能力等の諸性能が十分に発揮でき、且つ基材表面から脱落するハイドロキシアパタイト粒子の量を抑えることが出来る。
ハイドロキシアパタイト粒子が付着した基材の用途
ハイドロキシアパタイト粒子が付着した基材の用途は、基材の種類により代わり得る。例えば、基材として織布を選択した場合、当該織布を用いて衣服を製造することで、微小な生物由来物質及び重金属物質等を吸着できる衣服を製造できる。また、織布や不織布をフィルターとして使用することにより、微小な生物由来物質及び重金属物質等を吸着できるフィルターを安価に提供できる。また、機能材等を吸着させることで更に追加の機能を付与する事が出来る。
ハイドロキシアパタイト粒子が付着した基材の製造方法
ハイドロキシアパタイト粒子が付着した基材の製造は、前記の通り、
ハイドロキシアパタイト分散液に、基材を浸漬する工程(第一工程)、
前記基材を浸漬したハイドロキシアパタイト分散液を加熱する工程(第二工程)、及び
加熱後のハイドロキシアパタイト分散液から基材を取り出す工程(第三工程)、
と言う3つの工程から成る。
第一工程
1.ハイドロキシアパタイト分散液
ハイドロキシアパタイト分散液は、ハイドロキシアパタイトを溶媒に分散させることにより調製できる。
使用されるハイドロキシアパタイトに特に制限は無く、合成されたハイドロキシアパタイトを使用しても良いし、天然由来のハイドロキシアパタイトを使用しても良い。また、結晶化されたハイドロキシアパタイトだけで無く、結晶性の低い低結晶型のハイドロキシアパタイトのいずれも使用できる。
前記溶媒は、水及びアルコール(エタノールやメタノール)等の有機溶媒のいずれも特に制限無く使用できる。但し、作業場の安全性を確保するため、水を主な溶媒として使用することがより好ましい。
本方法において使用する基材は、前記基材を特に制限無く使用できる。但し、前記溶媒として水を使用する場合には、ハイドロキシアパタイト分散液を基材表面に濡れやすくして、ハイドロキシアパタイト粒子の生成を効率よく行う観点から、親水性の基材を選択することがより好ましい。親水性の基材として、例えば、木材、パルプ及び綿等の天然素材が挙げられる。また、本発明の方法においては、特別な前処理をすることなく、前記基材をそのまま使用できる。勿論、必要に応じて、洗浄又は塗料等のコーティング剤で塗装した後の基剤を用いることも可能である。
ハイドロキシアパタイト分散液の製造は、分散液を製造するために従来から使用されているいずれの方法も特に制限無く採用できる。例えば、ビーズミルやロールミルを用いて、前記溶媒にハイドロキシアパタイトを分散させることにより得ることが出来る。分散を行う際には、溶媒に分散剤等、ハイドロキシアパタイトの分散を補助するための添加剤を加えることが出来る。
分散の程度は、ハイドロキシアパタイトの数平均粒子径が、例えば、1nm〜500μm、好ましくは10nm〜300μm、より好ましくは10nm〜200μm、さらに好ましくは50nm〜200μm、特に好ましくは100nm〜150μmとなるまで分散する。ハイドロキシアパタイトの数平均粒子径を上記範囲にすることにより、ハイドロキシアパタイトが有する吸着能力等の諸性能が十分に発揮でき、且つ基材表面から脱落するハイドロキシアパタイト粒子の量を抑えることが出来る。
また、分散液におけるハイドロキシアパタイトの濃度は、例えば、0.01〜35質量%、好ましくは0.05〜25質量%、より好ましくは0.05〜20質量%、さらに好ましくは0.1〜20質量%、特に好ましくは0.1〜15質量%とする。分散液におけるハイドロキシアパタイトの濃度を上記範囲にすることにより、例えば本発明の基材として布や多孔質の基材を使用した場合に、ハイドロキシアパタイトを基材の内部まで均一に、効率よく展着することが出来る。
2.第一工程で使用する機材等
第一工程において、ハイドロキシアパタイト分散液を入れる容器には特に制限が無く、一定量のハイドロキシアパタイト分散液及び基材を収容できる大きさの容器であればよい。容器を形成する素材は、後述の第二工程における加熱によって変形しない素材であることを条件として、いかなる素材のものも使用できる。
3.第一工程の具体的な内容
第一工程は、前記ハイドロキシアパタイト分散液を前記容器に入れ、前述の基材を前記分散液に浸漬する。浸漬後、必要に応じて、前記容器に蓋をしても良い。
第二工程
1.第二工程で使用する機材等
第二工程において、前記基材を浸漬したハイドロキシアパタイト分散液を加熱する方法に特に制限は無い。例えば、前記ハイドロキシアパタイト分散液を入れた容器の湯煎や容器の外面に熱風や熱蒸気を当てる間接的な加熱だけで無く、ハイドロキシアパタイト分散液中にヒーターを沈めて加熱を行う直接的な加熱でも良い。
加熱工程では、ハイドロキシアパタイト分散液の平均温度を、例えば、20〜240℃、好ましくは30〜150℃、より好ましくは35〜140℃上昇させるまで加熱を行う。加熱温度を前記範囲とすることにより、基材の性能の変化を少なくし、効率的に均一にハイドロキシアパタイトを付着させることができる。加熱温度が前記温度範囲に到達した後は、当該温度を維持しても良いし、上記温度範囲内で変動させても良い。
加熱時間は、1〜6000分、好ましくは30〜600分、より好ましくは60〜360分である。加熱時間を前記範囲とすることにより、基材の性能の変化を少なくし効率的に均一に付着させることができる。
加熱中、容器を振盪させても良い。振盪させることにより、ハイドロキシアパタイト分散液がより均等に基材と接触することにより、ハイドロキシアパタイトがより均等に基材に付着できる。例えば、市販の多色回転ポット染色試験機(株式会社テクサム技研製、品名UR・MINI−COLOR.V5)を使用する場合には、内径6cmの染色ポットで40回転/分で振盪できる。
第三工程
第二工程終了後、ハイドロキシアパタイト分散液から、ハイドロキシアパタイト粒子が付着した基材を取り出す。取り出した前記基材を洗浄して、基材に付着した余分なハイドロキシアパタイト分散液を洗い流してもよい。また、ハイドロキシアパタイト分散液から取り出した基材を乾燥させてもよい。乾燥方法に特に制限は無く、自然乾燥及び強制乾燥のいずれも採用できる。但し、乾燥時の温度を100℃以下、好ましくは98℃以下、より好ましくは95℃以下にすることで、溶媒蒸発に伴うハイドロキシアパタイト粒子の脱落を抑制できる。
第三工程終了後、前述のようなハイドロキシアパタイト粒子が付着した基材が得られる。
以下、実施例により、本発明をより詳細に説明する。なお、実施例が本発明の範囲に影響を与えないことは言うまでも無い。
ハイドロキシアパタイト粒子が付着した基材の製造
1.使用した材料・機器等
基材:ポリエステル編布(ポリエステル仮撚り加工糸 83dtex36f)
加熱装置:多色回転ポット染色試験機(株式会社テクサム技研製、品名UR・MINI−COLOR.V5)
容器:前記染色試験に付属した容器(容量300ml、株式会社テクサム技研社製、品名:高温高圧用ステンレスポット)
ハイドロキシアパタイト分散液1:トレスバイオ技研製ハイドロキシアパタイト分散液(商品名バイオアパタイトスラリータイプ20ミクロングレード) (Ca10(PO46 (OH)2、ハイドロキシアパタイト濃度:17質量%、分散媒:水、分散液中のハイドロキシアパタイト粒子の数平均粒径:21μm)
ハイドロキシアパタイト分散液2:トレスバイオ技研製ハイドロキシアパタイト分散液(商品名バイオアパタイトスラリータイプ600ミクロングレード) (Ca10(PO46 (OH)2、ハイドロキシアパタイト濃度:17質量%、分散媒:水、分散液中のハイドロキシアパタイト粒子の数平均粒径:600μm)
(実施例1)
第一工程
前記ハイドロキシアパタイト分散液1(ハイドロキシアパタイト濃度17質量%)分散液2.4gに、水117.6gを加えて、0.34質量%濃度のハイドロキシアパタイト分散液120gを得た。前記得られた分散液を、前記容器に入れた。さらに、前記基材を分散液に浸漬し、容器の蓋を閉じて前記染色試験機にセットした。前記ハイドロキシアパタイト分散液の加熱前の温度は、15℃であった。
第二工程
前記染色試験機の温度セッティングを130℃(115℃の加熱に相当)に設定し、1時間振盪させた。振盪条件は、40回転/分(ポット内径6cm)であった。
第三工程
二工程終了後の基材を、ハイドロキシアパタイト分散液から取り出し、10分間水洗して脱水し、80℃で乾燥させて、ハイドロキシアパタイト粒子が付着した基材を得た。
ハイドロキシアパタイト粒子が付着した基材の分析
前記得られたハイドロキシアパタイト粒子が付着した基材(実施例1)を、5cm×10cm角に切り取り試料を作製した。前記試料を、50mlの0.5N希塩酸に24時間浸漬した。浸漬後の希塩酸を、ICP発光分析装置(島津製作所製、ICPS−8100)で分析したところ、希塩酸中のカルシウム濃度が61.8ppmであった。前記濃度から、前記試料中に含まれるハイドロキシアパタイト量が、7.8mgであったことがわかった。
水洗により脱落した物質を回収しX線回折を実施し、展着物がハイドロキシアパタイトであると同定した。
前記得られた基材表面を、電子顕微鏡を用いて1000倍に拡大した映像が、図1に示す写真である。ハイドロキシアパタイト粒子が基材表面に付着していることが確認できる。
(実施例2〜16及び参考例1〜3)
以下の表1に記載する条件にて、実施例2〜16を実施した。同様に、本発明の内容をより理解するための参考例1〜3を実施した。結果は、表1に示してある。尚、実施例7及び8では前記ハイドロキシアパタイト分散液1の希釈比率を実施例1から変更して、下記表の所定の濃度に調整した。
*1:乾燥温度を80℃から160℃に変更。
実施例4、5及び7の顕微鏡写真が、それぞれ図2〜4の写真である。
ハイドロキシアパタイト粒子の付着性試験
実施例1の基材を、JIS L 0217 繊維製品の取扱いに関する表示記号及び表示方法に規定されている103法(洗浄 40℃×5分、すすぎ 30℃×2分)及び室温自然乾燥のセットを5回繰り返しさせた後に、電子顕微鏡で確認したところ、ハイドロキシアパタイト粒子が基材の表面に残存していることが確認できた。また、洗濯後の基材の単位面積当たり(5cm×10cm)に付着したハイドロキシアパタイトの量を測定したところ3.9mg(残存率50質量%)であった。
一方、加熱を行っていない参考例1は、洗濯後の処理布からCaは検出されずほぼすべてのハイドロキシアパタイトが脱落していた。
本発明の基材は、ハイドロキシアパタイト粒子が基材表面に強固に付着していることから、幅広い用途に使用できる。さらに、本発明の基材は、微細なハイドロキシアパタイト粒子を多数含むことにより、微小な生物由来物質及び重金属物質等を吸着する性能に優れている。
また、本発明の方法により、基材の前処理、複雑なpH調整及び長期に及ぶ浸漬等の煩わしい工程を必要とせず、ハイドロキシアパタイトが強固に付着した基材を簡便に製造できる。
更に機能材などの特殊な物質等を吸着させることで特殊な機能性能を付与する事が出来る。

Claims (3)

  1. ハイドロキシアパタイトが付着した基材。
  2. ハイドロキシアパタイト分散液に、基材を浸漬する工程、
    前記基材を浸漬したハイドロキシアパタイト分散液を加熱する工程、
    加熱後のハイドロキシアパタイト分散液から基材を取り出す工程、
    から成ることを特徴とする、ハイドロキシアパタイト粒子が付着した基材の製造方法。
  3. 請求項2に記載の方法により製造されたことを特徴とする、ハイドロキシアパタイト粒子が付着した基材。



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