JP3776987B2 - マンホール壁兼用筒状体を用いた立坑構築方法 - Google Patents

マンホール壁兼用筒状体を用いた立坑構築方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、推進工法で下水道用管渠その他各種配管を施工する際の立坑として用いられ、推進完了後にはマンホール壁等として兼用されるマンホール壁兼用筒状体を用いた立坑構築方法に関するものである。
【0002】
従来より、各種配管を施工する際の立坑を設けるための方法として、鋼製円筒状立坑内の下方の地盤を掘削し、かつ、その円筒立坑を立坑回動押下装置により回動しながら押し下げて地中に設置する方法が存在した(特開昭61−75198号公報等)。この方法は、立坑回動押下装置による立坑ユニットの回動押し下げと、鋼製円筒状立坑ユニットの継ぎ足し連結とを順次反復して行って、所要長さの鋼製円筒立坑を地中に設置し、その後、立坑内にコンクリート製筒状体を設置するものである。
【0003】
また、鋼製円筒を用いず、推進完了後にマンホール壁として兼用されるコンクリート製等の筒状体を、縦穴掘削時に直接沈設する方法として、特開平6−117176号公報に開示されたような方法がある。この方法も、立坑ユニットの押し下げと、継ぎ足し連結とを順次反復して行い、立坑を設けるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特開平6−117176号公報に開示された方法は、筒状体沈設時に筒状体を回動させているわけではなく、地面に筒状体を設置する前に、筒状体が安定するだけの所定の深さの孔を掘っておく必要がある。
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、推進完了後にマンホール壁として兼用されるコンクリート製等の筒状体を、縦穴掘削時に直接沈設することができ、しかも効率的に筒状体の沈設を行うことができるマンホール壁兼用筒状体を用いた立坑構築方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、配置された筒状体2内の下方の地盤を掘削し、かつその筒状体2を反復回動押下装置Qにより反復回動しながら押し下げて地中に設置する立坑構築方法であって、筒状体2内の下方の地盤の掘削と、反復回動押下装置Qによる筒状体2の反復回動押し下げと、筒状体2の継ぎ足し連結と、を順次反復して行って、所要長さの円筒立坑を地中に設置すること、及び該筒状体2は、連結され円筒立坑となってマンホール壁として使用可能なものであり、該筒状体2は、コンクリート製であり、その端部外周には埋め込みナット22aを有し、最初に反復回動される該筒状体2の先端に、掘削用刃口体1が設けられており、該掘削用刃口体1は、該筒状体に接続される刃元12と該刃元に接続される刃口11とからなり、該掘削用刃口11は、該筒状体2と略同じか又はやや大きい外径を有する環状であり、該掘削用刃口11は、円筒状の刃元外壁121と、円錐台側面形状であり下端が該刃元外壁121と接続される刃元内壁122と、該筒状体2の下端に接触し且つ該刃元外壁121及び該刃元内壁122の上端と接続される刃元底123と、を備え、該刃元内壁122と該刃元内壁122と該刃元底123とに囲まれる部屋が滑剤室Vであり、該滑剤が、該刃元外壁121に設けられた滑剤注出口32を介して該刃元外壁121の内側から外周部に供給されることを特徴とする。
【0006】
本発明の立坑構築方法においては、筒状体2は、連結され円筒立坑となってマンホール壁として使用可能なものであるため、縦穴掘削後改めてマンホール壁を構築する必要がない。また、地盤の掘削と、反復回動押下装置Qによる筒状体2の反復回動押し下げを行っているため、筒状体2の圧入に先だって地盤を掘削しておく必要がない。更に、筒状体2の継ぎ足し連結を行っているので、初めから一体の筒状体を用いる場合のように、筒状体の圧入前において地表面上に高く筒状体がそびえ立つことがなく、筒体内で掘削等の作業をおこなうのが容易である。
【0007】
本発明では、揺動圧入(反復回動押下)により筒状体を地中に設置するので、施工速度が速く、そのため工期の短縮を図ることができる。また、騒音、振動も少ない。
更に、本発明は、開削工事及び推進工事であり、仮設の土留とマンホールを同時に組み合わせた工法である。よって、構築した立坑をそのままマンホールとするため、工期の短縮を図ることができる。
【0008】
ここで、「やや大きい」とは、環状の中心から外周までの距離にして数mm〜30mm程度大きいことをいう。本発明では、連結された筒状体2の先端に掘削用刃口体1が設置されているため、連結され円筒立坑となってマンホール壁として使用可能なものである筒状体2を直接用いて揺動圧入が可能である。また、本発明では、掘削用刃口体1の外径が筒状体2の外径よりもやや大きいため、掘削用刃口体1によって掘削された縦穴側面と筒状体2との間に隙間ができ、両者の摩擦を低減することができる。また、その隙間に滑剤を注入することで更に摩擦を低減することができる。
【0009】
滑剤供給手段31と、滑剤注出口32と、を有し、上記連結された筒状体2又は上記掘削用刃口体1に設置されて、該筒状体2又は該掘削用刃口体1の外周部に滑剤を供給する掘削用滑剤供給装置とすることができる。本発明では、筒状体2又は該掘削用刃口体1の外周部に滑剤を供給することができるため、筒状体2又は該掘削用刃口体1と掘削する土砂との間の摩擦を低減することができる。また、従来のように、筒状体2と掘削された穴との隙間に地表面から滑剤を注入する場合は、40〜50mm程度以上の隙間を設ける必要があったが、本発明では、土中の筒状体2又は該掘削用刃口体1の外周部に滑剤を供給することができるため、穴との隙間は数mm〜20mm程度でよい。よって、その隙間に地山が崩れてくる可能性を低くすることができる。
【0010】
マンホール壁として使用可能な筒状体であって、その端部外周には埋め込みナット22aを有することを特徴とするマンホール兼用沈設筒状体である。マンホール兼用沈設筒状体は、端部外周には埋め込みナット22aを有するため、接続金具をボルト止めすることで相互に容易に接続できる。また、ボルト止めにより強固に接続できるので、マンホール壁として使用可能な筒状体でありながら、そのまま揺動圧入に耐え、立坑の構築に用いることができる。
【0011】
マンホール壁として使用可能な筒状体であって、その内面には保護層を有することを特徴とするマンホール兼用沈設筒状体である。本マンホール兼用沈設筒状体は、内面に保護層を有するため、揺動圧入の際に掘削バケット等で筒状体内部を掘削しても、内面に疵がつきにくい。従って、筒状体をそのままマンホール壁として使用する場合に好適である。
この保護層の素材としては、樹脂等が考えられるが、石灰等であってもよい。
【0012】
本発明の立坑構築方法は、筒状体を用いた立坑構築方法であって、最初に反復回動しながら押し下げられる上記筒状体2が、上記刃口11を備えたものである。本発明によれば、立坑構築の現場で刃口と筒状体を接続するのではなく、製造工場等において筒状体に刃口を設けているので、刃口と筒状体との接続における不具合の発生の可能性をより低くすることができ、更に、現場での手数を減らすことにより、工期を短縮することができる。
【0013】
請求項2記載の立坑構築方法において、上記滑剤注出口32は、圧入方向と逆向きに傾斜して設けることができる。
請求項3記載の立坑構築方法において、上記筒状体2の上記端部外周は、鋼製補強リング21が更に設けられ、隣接する該筒状体2は、該鋼製補強リング21表面に設けられ且つ上記埋め込みナット22a及びここの挿入されるボルトによって締結される接続金具6によって接続することができる。
請求項4記載の立坑構築方法において、上記鋼製補強リング21aは、その外周において上記接続金具6が設置される部位に凹部が形成され、該接続金具6が設置された状態で上記筒状体2の外周と面一とすることができる。
請求項5記載の立坑構築方法において、上記筒状体は、その内面に保護層を有することができる。
請求項記載の立坑構築方法は、地表面下に横穴を設けるための立坑を構築する際に用いることができる。
また、請求項記載の立坑構築方法は、複数の立坑を構築し、それぞれの立坑から設けられる地表面下の横穴を互いに接続して、地表面下に横穴を設けるために用いることもできる。この場合の立坑を構築するための竪穴掘削装置は、固定式ではなく、移動式装置(タイヤ又はキャタピラー、好ましくはタイヤを備えたもの)が好ましい。竪穴掘削装置を容易に所定位置まで移動でき、1つの竪穴掘削装置により複数の立坑を容易に構築できるからである。
【0014】
本発明によれば、地表面下に下水管等を設ける際に、長距離にわたって地面を掘り返すことなく地下に横穴を構築することができる。従って、工期、費用を低減できるのはもちろんのこと、地上や地表面近辺の地下に移設できない構造物がある場合にも、その下に横穴を構築することができる。
また、上記の下水管設置のように長距離にわたって地下に横穴を構築する場合には、多数の立坑を構築し、そこから横穴を構築していく必要があるが、本立坑構築方法によれば、立坑構築の工事に要する面積が少なくてすみ、また立坑構築の工期も短くて済むため特に好適である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態である立坑構築方法を図1〜22に基づいて説明する。
図1は本発明によって構築された立坑によるマンホールの一実施形態を示したもので、圧入掘削を完了した状態を示している(ただし、刃口A1は図示省略)。環状の掘削用刃口体1上に、円筒形の筒状沈設ブロック2を3〜5段程度接続し、その上部に円筒状に組み立てた鋼製の第1鋼管ケーシング4を設置し、推進施工用の立坑を形成している。また、図2は、その後マンホールを構築し、人孔の据え付けを完了した状態であり、最上段の筒状沈設ブロック2c上に、開口部Kaを一方側に偏心させた位置に形成した床版ブロックKを設置し、その上に開口部Kaと連続するマンホール用ブロックLを2段重ねている。図中、Fは現場打ベースコンクリート(水中コンクリート)である。
【0016】
図3〜5は掘削用刃口体1と最下段の筒状沈設ブロック2aの接続及び揺動圧入装置Qへの設置の状態の一例を示したものである。
本実施形態における掘削用刃口体1は、刃口11と刃元12とからなる。刃元12は、環状に組み立てた刃元外壁121の環内に刃元内壁122を設け、これらと、筒状沈設ブロック2と接触する刃元リブ123と、によって、略三角形断面形状を有する滑剤室Vを構成しているものである。刃元12の外径、内径とも、後述する筒状沈設ブロック2の外径及び内径とそれぞれ同一である。
【0017】
刃元外壁121は、図3及び4に示すように、その外周に等間隔に滑剤注出口1211(請求項記載の「滑剤注出口32」に相当。)を有し、滑剤室V内の滑剤を掘削用刃口体1外周に注出することができる。滑剤注出口1211は、図4に示すように、圧入方向と逆向きに傾斜して設けられており、掘削によって土砂等が詰まってしまうことがない。また、刃元外壁121の外周において、接続金具6が設置される部位は凹んでおり、接続金具6が設置された状態で刃元外壁121の外周と面一になるようになっている。
【0018】
刃元内壁122は、刃口11の環の内面と筒状沈設ブロック2の内面とを結ぶものであり、揺動圧入時の筒状沈設ブロック2端面の土砂との抵抗を減らす効果をも有する。また、刃元内壁122には、滑剤送出管7が接続されており、これを通じて滑剤室V内に滑剤が送り込まれる。更に、刃元内壁122は、刃元外壁121及びこれに接続されている刃口11を支えており、地盤の抵抗力によって大きく撓んだり曲がったりすることがないようにしている。また、後述するように、立坑底部のベースコンクリート打設後は、その円錐台側面のような形状により、底部のコンクリートが土圧や水圧等によって上昇してくるのを防ぐものである。
【0019】
刃口11の外周は、刃元12の外周よりもやや大きめに設けられており、寸法の一例を挙げると、半径にして20mm程度大きい。従来、滑剤は地表から流し込んでおり、滑剤を外周に十分に行きわたらせるためには、筒状沈設ブロック2と掘削穴との隙間は40〜50mm程度必要であった。即ち、刃口11の外周半径は、筒状沈設ブロック2や刃元12の外周半径よりも40〜50mm程度大きくする必要があった。しかし、本発明においては、滑剤は掘削用刃口体1から注出されるため、筒状沈設ブロック2と刃口11との半径の差、即ち筒状沈設ブロック2と掘削穴との隙間は20mm程度で十分である。
【0020】
図6〜8は筒状沈設ブロック2の接続部の一例を示したもので、外面側において鋼製補強リング21aどうしを接続し、かつボルト止めにより接合するとともに、コンクリートどうしの接触面にシール材(止水ゴム)8を介在させている。図中、23aは連結用ボルトを挿入する穴(場合により位置決め作用をも有する。)である。この穴(インサート)によりボルトを介して隣同士のブロックを連結することができる。尚、この穴はなくてもよいが、この穴があり且つ使用すれば更にブロック同志の連結を強固にすることができる。更に、ブロックの内側(若しくは外側)の端部側に一部空隙を設け、この空隙を利用してボルト等で隣接ブロックを連結固定することもできる。
なお、24aは最下段の筒状沈設ブロック2aに形成した推進管発進口である。推進管発進口24aは沈設時には塞いでおく。再度、異なる方向に推進施工を行う場合には、筒状沈設ブロック2の側面をコアカッター等で穿孔すればよい。尚、この発進口は、容易に取り外すことができる他の手段(例えば鉄板等をボルト締め等により連結させたもの等)で塞いで施行し、後でこれを取り外してもよい。
【0021】
図6及び7を参照して、筒状沈設ブロック2aの寸法の一例を挙げると、外径2120mm、内径1800mm、高さ1500mmのプレキャストコンクリートブロックの上下端に、幅200mmの鋼製補強リング(接続部補強帯)21aが取り付けられている。鋼製補強リング21aの外周は、筒状沈設ブロック2aの外周と面一になるように同一外径で制作されている。
本実施形態では、素材に高強度コンクリートブロックを使用しており、立坑構築において反力壁の必要がなく、部材をそのまま反力壁として用いて推進工事を行うことにより、工期の短縮を図ることができる。
【0022】
図中、6は筒状沈設ブロック2を接続するための接続金具、61は接続金具と掘削用刃口体1とを固定する刃口体固定ボルト、62は接続金具6と筒状沈設ブロック2とを固定する筒状ブロック固定ボルト、22a,22bは埋込みナットである。
また、掘削用刃口体1と同様に、鋼製補強リング21aの外周において、接続金具6が設置される部位は凹んでおり、接続金具6が設置された状態で鋼製補強リング21a及び筒状沈設ブロック2の外周と面一になるようになっている。
【0023】
本実施形態では、筒状沈設ブロック2を相互にボルト止めすることとしているので、強固に接続できるのはもちろんのこと、従来のように筒状沈設ブロック2の全周を溶接した場合に比べて、短時間で接続を行うことができる。また、筒状沈設ブロック2同士の間には、シール材(止水ゴム)8を介在させているため、ボルト止め接続であっても水等が漏れてくることはない。
【0024】
図9〜11は、最上段の筒状沈設ブロック2cに対する第1鋼管ケーシング4の設置状態の一例を示している。本実施形態において、第1鋼管ケーシング4は鋼製部材からなり、円筒形状を有し、土留壁を形成する。この第1鋼管ケーシング4の高さは、例えば、1500mm程度である。この大きさは、最上段の筒状沈設ブロックを地表面下どの程度まで沈設する必要があるかに応じて、様々なものとすることができる。図中、22cはボルト接合用の埋め込みナットであり、6は接続金具、62は接続金具6と筒状沈設ブロック2とを固定する筒状ブロック固定ボルト、63は接続金具6と第1鋼管ケーシング4とを固定する鋼管ケーシング固定ボルトである。尚、第1鋼管ケーシング4は施工後、引抜いて転用することができる。
【0025】
図9及び12は、第1鋼管ケーシング4に対する第2鋼管ケーシング5の設置状態の一例が示されている。本実施形態において、第2鋼管ケーシング5も鋼製部材からなるものであり、円筒形状を有し、最上段の筒状沈設ブロック2cが所定の位置にまで圧入されると、除去される。図中、9は鋼管ケーシング固定版であり、91は鋼管ケーシング接続ボルトである。図12に示すように、第1鋼管ケーシング4と第2鋼管ケーシング5は、外周面が面一になるように嵌合しており、鋼管ケーシング固定版9、鋼管ケーシング接続ボルト91によって固定されている。なお、この第2鋼管ケーシング5も施工後、引抜いて転用することができる。
【0026】
次に、本実施形態の立坑構築方法の施工手順を説明する。
図13〜18は本発明における立坑構築手順の一例を示したもので、以下の手順で作業を行う。
【0027】
(1) 沈設位置の測量
(2) 沈設位置の舗装の切断、撤去(図13参照)
(4) 掘削用刃口体1の据付け
(5) 筒状沈設ブロック2aの据付けと固定
(6) 滑剤注入設備組立て
(7) 筒状沈設ブロック2a内の掘削と、滑剤注入を行いつつ揺動圧入(図14参照)
(8) 計画沈設深さに対応して筒状沈設ブロック2b,2cを積み重ね、掘削と揺動圧入を繰り返した後(図15,16参照)、第1鋼管ケーシング4及び第2鋼管ケーシング5を設置(図17参照)
(9) 掘削と滑剤注入を行いつつ揺動圧入
(10)第2鋼管ケーシング5を除去
(11)ベースコンクリートFの打込み(図18参照)。
【0028】
図18〜22は、本発明における立坑構築完了後の推進施工及びマンホール構築手順の一例を示したもので、以下の手順で作業を行う。
【0029】
(1) 第2鋼管ケーシング5を撤去して円形鉄板Gを設置(図18参照)
(2) 推進掘削装置H、推進支持体Iによる推進施工(図19参照)
(3) 床板ブロックKの据付け(図20参照)
(4) 床板ブロックK上へのマンホール用ブロックL立上げ(図20参照)
(5) 埋戻し(図20参照)、第1鋼管ケーシング4の引抜きと舗装復旧、ステップP設置、マンホール蓋M設置(図21及び22参照)。
【0030】
なお、床板ブロックKは立坑による推進施工が完了した後に設置されるものであり、筒状沈設ブロック2の蓋としての機能と開口部Kaによるマンホールの通路としての機能を有している。
【0031】
ここで、図13は、マンホール立坑を構築する位置の舗装を切断し、舗装を撤去した状態を示している。図14は、掘削用刃口体1と接続された筒状沈設ブロック2aを揺動圧入した状態を示している。図15は、新たな筒状沈設ブロック2bを吊り降ろし、圧入した筒状沈設ブロック2aに接続した状態を示している。図16は、筒状沈設ブロック2a,2bを揺動圧入後、更に、次の筒状沈設ブロック2cを吊り降ろし、圧入した筒状沈設ブロック2bに接続した状態を示している。
【0032】
図17は、継ぎ足した筒状沈設ブロック2a,2b,2cを所定の深さまで揺動圧入した後、第1鋼管ケーシング4及び第2鋼管ケーシング5を吊り降ろし、圧入した筒状沈設ブロック2cに接続した状態を示している。図18は、継ぎ足した筒状沈設ブロック2a,2b,2c、第1鋼管ケーシング4及び第2鋼管ケーシング5を所定の深さまで揺動圧入した後、第2鋼管ケーシング5を撤去して円形鉄板Gを設置し、底部に水中コンクリートFを打設した状態を示している。
【0033】
図19は、推進施工をしている状態を示している。図20は、立坑の最上部に残されていた第1鋼管ケーシング4を引き抜きながら、床板ブロックKを据え付け、直壁(マンホール用ブロックL)及びマンホール蓋Mを据えつけて埋め戻しをした状態を示している。図21は、立坑にステップPを取り付け、底部にインバート工を施した状態を示している。図22は、施工完了状態を示している。
このように、立坑構築後、推進により横穴を構築することで、地表面下に下水管等を構築する際にも、地表面を掘り返すことなく構築することができる。所定の間隔で立坑を構築し、推進により横穴を構築、連通していくことで、所要の区間について下水管等を設けることができるものである。
【0034】
ここで、更に、筒状沈設ブロック2の揺動圧入の過程について詳しく説明する。
図3に示すように、揺動圧入装置Qの環状クランプにより筒状沈設ブロック2aを外側から把持し、次に昇降式掘削バケット(図示せず)により下部の筒状沈設ブロック2a内の下方の地盤を掘削し、且つ揺動圧入装置Qにおける一対の反復回動用油圧シリンダにより環状クランプを介して下部の筒状沈設ブロック2aを交互に異なる方向に反復回動させながら、揺動圧入装置Qにおける押下用油圧シリンダにより環状クランプを介して下部の筒状沈設ブロック2aを地中に押下げていく。
【0035】
前記押下用油圧シリンダにより下部の筒状沈設ブロック2aを適当量だけ押下げた後、環状クランプを弛緩して押下用油圧シリンダによりその環状クランプを上限位置まで上昇移動させ、次いで、再び環状クランプにより下部の筒状沈設ブロック2aを把持して、押下用油圧シリンダにより下部の筒状沈設ブロック2aの押下げを行い、このようにして下部の筒状沈設ブロック2aを反復して押下げていく。
【0036】
図14に示すように、下部の筒状沈設ブロック2aが適当な深さまで押下げられた後、図6に示すように、下部の筒状沈設ブロック2aの上端に筒状沈設ブロック2bの下端部を嵌合して接続金具6、筒状ブロック固定ボルト62により連結し、次いで図15に示すように、揺動圧入装置Qの環状クランプにより上側の筒状沈設ブロック2bを外側から把持する。
【0037】
次に前述のように、昇降式掘削バケットにより下部の筒状沈設ブロック2a内の下方の地盤を掘削し、且つ、揺動圧入装置Qにおける反復回動用油圧シリンダにより環状クランプを介し、一体となった筒状沈設ブロック2a,2bを交互に異なる方向に反復回動させながら、揺動圧入装置Qにおける押下用油圧シリンダにより環状クランプを介して筒状沈設ブロック2a,2bを地中に押下げていく。
【0038】
以下同様にして上側の筒状沈設ブロック2の継ぎ足し連結と、筒状沈設ブロック2の連結体からなる円筒状立坑内の下方の地盤の掘削及び揺動圧入装置Qによる円筒状立坑の反復回動押下げとを必要回数繰返して行って、最後には、第1鋼管ケーシング4及び第2鋼管ケーシング5を接続して所要長さの円筒状立坑を地中の所定深さに沈設する。図16及び17は3つの筒状沈設ブロック2からなる円筒状立坑を押下施工している状態を示している。
【0039】
本実施形態においては、最後に第1鋼管ケーシング4及び第2鋼管ケーシング5を接続することにより、筒状沈設ブロック2を地表面下の所定の位置まで圧入することができる。また、その際、筒状沈設ブロックではなく、鋼管を用いるため、取扱が容易である。
更に、鋼管ケーシングが、第1鋼管ケーシング4と第2鋼管ケーシング5に分かれているので、筒状沈設ブロック2を所定の位置まで圧入した後、地表面の上に出ている第2鋼管ケーシング5は、作業を容易にするために撤去し、地表面の下にある第1鋼管ケーシング4は、土留として用いることができる。
【0040】
本立坑構築法によれば、次のような効果が得られる。
(1) 薬液注入工法による地盤改良は不要である。
(2) コンクリートの連結部分はすべてボルト固定なので、工期の短縮を図ることができる。
(3) 掘削用刃口体に滑剤注出口を設けているため、揺動によるコンクリート管と地山の摩擦抵抗が軽減され、地山の崩壊を防止できる。
(4) 最終の仮設鋼管(第1鋼管ケーシング、第2鋼管ケーシング)は撤去し何度も使用できるため、損料扱いになり、施工コストの低減につながる。
【0041】
尚、本発明においては、前記具体的な実施形態に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施形態とすることもできる。
例えば、掘削用刃口体と接続し、最初に沈設する筒状沈設ブロックは、後に接続する筒状沈設ブロックよりも長いものとすることができる。上記のようにすることにより、最初の揺動圧入をより深く行うことができる。また、最初に沈設する筒状沈設ブロックは、あらかじめ掘削用刃口体と一体で制作しておいてもよい。更に、本実施形態では、滑剤送出管は、掘削用刃口体、筒状沈設ブロック等の環状体の内側にあるものとしたが、掘削用刃口体、筒状沈設ブロック等に内蔵されるものとすることもできる。また、本発明の立坑構築方法においては、滑剤の供給を滑剤送出管によるものとせず、従来のように地表面からの供給によって行うものとすることもできる。
【0042】
更に、筒状沈設ブロックの接続は、接続金具によるものに限定されるわけではなく、筒状沈設ブロックの接続部補強体が筒状沈設ブロックの上端と下端とで凹と凸の関係となるように設けられており、その接続部補強体により互いに他の筒状沈設ブロックの接続部補強体と嵌合して、これをボルト等で接続するとすることもできる。そうすることにより、より強固な接続を行うことができる。また、接続はボルトによるものに限定されるわけではなく、他の接続方法によるものとしてもよい。
また、掘削用刃口体、筒状沈設ブロック、第1鋼管ケーシング及び第2鋼管ケーシング等は、円形断面に限られるものではなく、本発明の効果を発揮できる範囲で、多角形等とすることもできる。
【0043】
【発明の効果】
本発明のマンホール壁兼用筒状体を用いた立坑構築方法は、以上に述べたような構成を備えるため、推進完了後にマンホール壁として兼用されるコンクリート製等の筒状体を、立坑掘削時に直接沈設することができ、しかも効率的に筒状体の沈設を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンクリート製円筒状立坑ユニットの沈設を完了した状態の断面を示す説明図である。
【図2】本発明によるマンホール立坑の構築を完了した後の状態を示す説明図である。
【図3】掘削用刃口体と接続された筒状沈設ブロックを揺動圧入装置に装着した状態を示す説明図である。
【図4】掘削用刃口体と接続された筒状沈設ブロックの、掘削用刃口体取付部の滑剤注出機構を示す説明図である。
【図5】掘削用刃口体と接続された筒状沈設ブロックの、掘削用刃口体取付部のボルト止めの状態を示す説明図である。
【図6】掘削用刃口体と接続された筒状沈設ブロックの、掘削用刃口体取付部のボルト止めの状態及び筒状沈設ブロックとの接続部のボルト止め状態を示す説明図である。
【図7】掘削用刃口体と接続された筒状沈設ブロックの、他の筒状沈設ブロックとの接続部のボルト止め状態を示す水平断面での説明図である。
【図8】掘削用刃口体と接続された筒状沈設ブロックの、他の筒状沈設ブロックとの接続部のボルト止め状態を示す縦断面での説明図である。
【図9】筒状沈設ブロックの鋼管ケーシングとの接続部のボルト止め状態、及び鋼管ケーシング同士の接続部のボルト止め状態を示す側面の説明図である。
【図10】筒状沈設ブロックの、鋼管ケーシングとの接続部のボルト止め状態を示す水平面での説明図であり、1側が鋼管ケーシング側の状態を示す説明図であり、2側が筒状沈設ブロック側の状態を示す説明図である。
【図11】筒状沈設ブロックの鋼管ケーシングとの接続部のボルト止め状態を示す縦断面の説明図である。
【図12】鋼管ケーシング同士の接続部のボルト止め状態を示す縦断面の説明図である。
【図13】マンホール立坑を構築する位置の舗装を切断し、路盤を撤去した状態を示す説明図である。
【図14】掘削用刃口体と接続された筒状沈設ブロックを揺動圧入した状態を示す説明図である。
【図15】新たな筒状沈設ブロックを吊り降ろし、圧入した筒状沈設ブロックに接続した状態を示す説明図である。
【図16】筒状沈設ブロックを揺動圧入後、更に、次の筒状沈設ブロックを吊り降ろし、圧入した筒状沈設ブロックに接続した状態を示す説明図である。
【図17】継ぎ足した筒状沈設ブロックを所定の深さまで揺動圧入した後、鋼管ケーシングを吊り降ろし、圧入した筒状沈設ブロックに接続した状態を示す説明図である。
【図18】継ぎ足した筒状沈設ブロック及び鋼管ケーシングを所定の深さまで揺動圧入した後、一部鋼管ケーシングを撤去して円形鉄板を設置し、底部に水中コンクリートを打設した状態を示す説明図である。
【図19】推進施工をしている状態を示す説明図である。
【図20】立坑の最上部に残されていた鋼管ケーシングを引き抜きながら、床板を据え付け、直壁及び蓋を据えつけて埋め戻しをした状態を示す説明図である。
【図21】立坑にステップを取り付け、底部にインバート工を施した状態を示す説明図である。
【図22】施工完了状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1;掘削用刃口体、11;刃口、12;刃元、121;刃元外壁、1211;滑剤注出口、122;刃元内壁、123;刃元底、2,2a,2b,2c;筒状沈設ブロック、21a;接続部補強帯(鋼製補強リング)、22a;埋め込みナット、23a;インサート、24a;推進管発進口、31;滑剤供給手段、32;滑剤注出口、4;第1鋼管ケーシング、41;第1鋼管ケーシング外壁、42;第1鋼管ケーシング端接部、43;第1鋼管ケーシング端部補強部、5;第2鋼管ケーシング、6;接続金具、61;刃口体固定ボルト、62;筒状ブロック固定ボルト、63;鋼管ケーシング固定ボルト、7;滑剤送出管、8;シール材(止水ゴム)、9;鋼管ケーシング固定板、91;鋼管ケーシング接続ボルト、V;滑剤室、F;ベースコンクリート、G;円形鉄板、H;推進掘削装置、I;推進支持体、J;横穴、K;床板ブロック、Ka;開口部、L;マンホール用ブロック、M;マンホール蓋、P;ステップ、N;土砂、O;インバート、Q;揺動圧入装置。

Claims (7)

  1. 配置された筒状体2内の下方の地盤を掘削し、かつその筒状体2を反復回動押下装置Qにより反復回動しながら押し下げて地中に設置する立坑構築方法であって、
    筒状体2内の下方の地盤の掘削と、反復回動押下装置Qによる筒状体2の反復回動押し下げと、筒状体2の継ぎ足し連結と、を順次反復して行って、所要長さの円筒立坑を地中に設置すること、及び該筒状体2は、連結され円筒立坑となってマンホール壁として使用可能なものであり、
    該筒状体2は、コンクリート製であり、その端部外周には埋め込みナット22aを有し、
    最初に反復回動される該筒状体2の先端に、掘削用刃口体1が設けられており、該掘削用刃口体1は、該筒状体に接続される刃元12と該刃元に接続される刃口11とからなり、該掘削用刃口11は、該筒状体2と略同じか又はやや大きい外径を有する環状であり、
    該掘削用刃口11は、円筒状の刃元外壁121と、
    円錐台側面形状であり下端が該刃元外壁121と接続される刃元内壁122と、
    該筒状体2の下端に接触し且つ該刃元外壁121及び該刃元内壁122の上端と接続される刃元底123と、を備え、該刃元内壁122と該刃元内壁122と該刃元底123とに囲まれる部屋が滑剤室Vであり、
    該滑剤が、該刃元外壁121に設けられた滑剤注出口32を介して該刃元外壁121の内側から外周部に供給されることを特徴とする立坑構築方法。
  2. 上記滑剤注出口32は、圧入方向と逆向きに傾斜して設けられている請求項1記載の立坑構築方法。
  3. 上記筒状体2の上記端部外周は、鋼製補強リング21が更に設けられ、
    隣接する該筒状体2は、該鋼製補強リング21表面に設けられ且つ上記埋め込みナット22a及びここの挿入されるボルトによって締結される接続金具6によって接続されている請求項1又は2記載の立坑構築方法。
  4. 上記鋼製補強リング21は、その外周において上記接続金具6が設置される部位に凹部が形成され、該接続金具6が設置された状態で上記筒状体2の外周と面一となる請求項3項記載の立坑構築方法。
  5. 上記筒状体、その内面に保護層を有する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の立坑構築方法。
  6. 地表面下に横穴を設けるための立坑を構築する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の立坑構築方法。
  7. 複数の立坑を構築し、それぞれの立坑から設けられる地表面下の横穴を互いに接続して、地表面下に横穴を設けるための立坑を構築する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の立坑構築方法。
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