JP3776681B2 - ガス監視装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、配管等から漏洩したプロパンやブタン等の可燃性ガスを監視カメラで撮像し、ガスの存在を示すガスイメージをリアルタイムで表示するガス監視装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のガス検知器では、一つの検知器が監視できる領域が狭く、ガスがその検知器に到達しない限りは検知は不可能という欠点のため、風向きや設置位置によってはガス漏れの際の失報に繋がる危険性があった。また例えばガス精製所等においては非常に多数のガス検知器の設置が必要となり、費用的な問題も大きかった。
【0003】
このような問題点を解決するため、遠隔よりガス漏れの存在を監視するガス可視化装置が提案されている(特開平6−288858号公報)。このガス可視化装置では、測定対象ガスの吸収波長をもつ赤外線レーザを照射するレーザ光源を用いて、背景から反射される赤外線のガス漏洩による吸収をイメージセンサで撮像し、2次元可視画像化して表示するものである。また背景の放射赤外線を利用してガスの検出を行う方法についても言及している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のガス可視化装置では、非常に大型で強力なレーザ光源が必要であり、価格的な問題が大きい。また、天候状態や温度により得られる2次元画像が大きく影響され、ガス漏れの発生と太陽の射し込みの区別が付きにくいという問題もあり、実際のガス監視には適していない。
【0005】
また太陽光の射し込みと的確に区別するためには、太陽光のエネルギーを超える強いレーザ光線が必要となり、レーザから人の目や皮膚の障害を防ぐために定められている安全規格を考慮した場合、無人化された限られた場所でしか使用できないという不具合があった。
【0006】
本発明は、大型で高価なレーザ高原を必要とせず、天候等にも影響されずに簡単且つ安全にフィールドにおけるガス漏洩を2次元的にリアルタイムで監視するガス監視装置を提供することを目的とする。
【0007】
また本発明は、画像として検知したガスの種類を簡単に特定可能とするガス可視化装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため本発明は次のように構成する。本発明のガス監視装置は、監視領域の輻射赤外線または反射赤外線による画像を撮像する赤外線撮像装置と、透過スペクトルを可変できる波長可変フィルタと、波長可変フィルタを介して赤外線撮像装置が撮像した画像を処理することで監視領域に漏洩した測定対象ガスの存在を示すガスイメージの画像を生成する画像処理部とを備える。
【0009】
この画像処理部は、特定の測定対象ガスにおける第1の吸収帯域に透過ピーク持つように波長可変フィルタを調整して撮像した画像と、第1の吸収帯域の近傍に透過ピークを持つよう波長可変フィルタを調整して撮像した画像との差分を演算し、監視領域の背景からの輻射赤外線または反射赤外線が測定対象ガスにより吸光された画素領域をガスイメージとする第1差分画像を生成し、さらに、測定対象ガスの吸収帯域の他の1つである第2の吸収帯域に透過ピークを持つように波長可変フィルタを調整して撮像した画像と、第2の吸収帯域の近傍に透過ピークを持つよう波長可変フィルタを調整して撮像した画像との画像間の差分を演算し、監視領域の背景からの輻射赤外線または反射赤外線が測定対象ガスにより吸光された第2差分画像を生成して、第1差分画像に第2差分画像を加算することによりガスイメージを強調する。
【0010】
このため、例えば波長可変フィルタを備えた赤外線監視カメラと画像処理部を備えたパソコンやノートパソコンといった簡単な構成で漏洩ガスをガスイメージとしてリアルタイムに表示でき、従来の大型で大出力のレーザ光源を必要とした装置に比べ大幅な低価格化とガス漏洩現場に持ち運びできる軽量小型化を達成する。
【0011】
また近接した2つの波長間の差分画像をとることにより、太陽の射し込みが変化したり、背景物体の温度が変わった際にも安定してガスのイメージを取得することができる。
【0012】
勿論、従来装置のようにレーザ光線を使用しないため、人体に対するレーザ光線による安全上の問題も考慮する必要がなく、非常に扱い易い装置となる。
【0014】
また画像処理部は、第1差分画像、および第2差分画像の中のガスの存在が検知された画素領域の明度を取り出してスペクトラム吸収特性として記憶し、予め求めている測定対象ガスの第1,2の吸収帯域におけるスペクトラム吸収特性と比較して、測定対象ガスのガス存在の確度(確からしさ)を求める。これによってガスイメージとして検知している漏洩ガスが、監視対象としている特定の測定対象ガスか否かを確度の値によって判断できる。
【0018】
本発明のガス監視装置で使用する波長可変フィルタとしては、圧電素子等のアクチュエータの駆動により基板間隔を可変としたファブリペロー型干渉フィルタが望ましく、これ以外に回折格子または複数の狭帯域フィルタを切り替えることのできるフィルタ群を用いることができる。
【0019】
また夜間等のように監視領域の輻射赤外線または反射赤外線が不足する場合を考慮し、監視領域に赤外線を照射する赤外線照明装置を設ける。この赤外線照明装置は、赤外線ランプで十分であり、従来の大型で大出力のレーザ光源に比べると、価格は問題にならないほど低く、また人に障害を与える恐れもなく、人通りのある場所でも、安全に使用できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は本発明のガス監視装置の設置状態の説明図である。図1において、本発明のガス監視装置は、赤外線撮像装置として機能する赤外線監視カメラ1、画像処理部を構成するパーソナルコンピュータなどを用いた画像処理装置3、ガスイメージを含む監視画像を表示するモニタ4及び赤外線照明装置5で構成される。
【0021】
赤外線監視カメラ1のレンズユニット2内には透過スペクトルを可変することのできる波長可変フィルタが内蔵されており、この実施形態にあっては、後の説明で明らかにする基板間隔を駆動電圧の切替えで可変として透過スペクトルを変えることのできるファブリペロー型干渉フィルタを使用している。
【0022】
もちろん波長可変フィルタとしてはファブリペロー型干渉フィルタ以外に、回折格子や複数の狭帯域フィルタを切り替えることのできるフィルタ群を使用することもできる。
【0023】
赤外線監視カメラ1は、監視領域6として例えばガス貯蔵設備の配管などによるガス漏洩を監視している。赤外線照明装置5は、市販の赤外線ランプ等を使用しており、日中の赤外線が十分に得られている場合は必要ないが、夜間や雨天などの赤外線が少ない環境では赤外線照明装置5を点灯し、監視領域6に赤外線を照射する。この赤外線照明装置5は赤外線監視カメラ1側に設ける必要はなく、監視区域の配管などの監視場所を照明するように設置してもよい。
【0024】
図2は本発明のガス監視装置の機能構成のブロック図である。図2において、赤外線監視カメラ1には、光学系7、波長可変フィルタ8及びCCDなどの撮像素子9が設けられる。波長可変フィルタ8としてファブリペロー型干渉フィルタを使用した場合、駆動電圧源10からの駆動電圧によって透過スペクトルのピーク波長を可変することができる。
【0025】
画像処理装置3にはMPU11、AD変換器12、出力IF13,14、画像メモリ15及び表示出力IF16が設けられる。信号処理装置3のMPU11は、プログラム制御による機能としてガスイメージ処理部24、ガスイメージ強調部25、測定ガス確度処理部26及びガス種特定処理部27を備えている。
【0026】
ガスイメージ処理部24は、特定の測定対象ガス、例えばプロパンを測定対象ガスとし、その吸収帯域の1つに透過ピークを持つように波長可変フィルタ8を調整して撮影した画像Aと、この吸収帯域の近傍に透過ピークを持つように波長可変フィルタ8を調整して撮像した画像Bとの差分を演算し、監視領域の背景から輻射赤外線または反射赤外線が、測定対象ガスにより吸収されたガス領域をガスイメージとする差分画像DF1を生成する。
【0027】
またガスイメージ強調部25は、ガスイメージ処理部24で処理対象とした測定対象ガスの吸収帯域の他の1つに透過ピークを持つように波長可変フィルタ8を調整して撮像した画像Cと、その吸収帯域の近傍に透過ピークを持つように波長可変フィルタ8を調整して撮像した画像Dとの画像間の差分を演算し、同様に監視領域の背景から輻射赤外線または反射赤外線が、測定対象ガスにより吸収された差分画像DF2を生成し、この生成した差分画像DF2をガスイメージ処理部24で生成している差分画像DF1に加算し、ガスイメージを強調する。
【0028】
測定ガス確度処理部26は、ガスイメージ処理部24及びガスイメージ強調部25によりガスイメージの差分画像が生成された後、波長可変フィルタ8の透過ピークの調整で撮像された複数の画像、例えば画像A,B,Cのガスの存在が検知されたガス領域の画素について、画素の明度データの総和を求めるなどして明度を取り出し、この明度を各波長ごとのスペクトル吸収特性として画像メモリ15に記憶し、画像メモリ15に予め記憶している測定対象ガスのスペクトル吸収特性と比較し、ガス存在の確かさを示す確度を求めてモニタ上に表示させる。
【0029】
更にガス種特定処理部27は、ガスイメージ処理部24、更にガスイメージ強調部25により検知されたガスの種類を特定する処理を行う。即ちガス種特定処理部27は、波長可変フィルタ8の透過ピークを赤外領域の波長範囲で微小間隔をおいて複数設定することにより複数の画像を撮像し、撮像した複数の画像の中のガスの存在が検知されたガス領域について、各ガスの明度の総和を求めるなどして明度を取り出し、これをスペクトル吸収特性として記憶し、予め求めている複数種類のガスのスペクトル吸収特性と比較してガス種を特定する。
【0030】
このガス種の特定については、波長可変フィルタ8の透過ピークを赤外波長域で微小波長間隔をおいて複数設定することにより複数の画像を撮像する際に、比較的短い波長間隔を持った2つの波長で得られた差分画像から明度を取り出して各波長スペクトル吸収特性として記憶し、予め求めている複数種類のガスのスペクトル吸収特性と比較してガス種を特定するようにしてもよい。
【0031】
図3は図2の赤外線監視カメラ1の内部構造を透視状態で表わしている。赤外線監視カメラ1は、レンズユニット2に、対物レンズ7a、波長可変フィルタ8及び結像レンズ7を設けており、本体側に撮像素子9として例えばCCDを備えている。
【0032】
図4は図3の波長可変フィルタ8を取り出したもので、ファブリペロー型干渉フィルタを使用している。この波長可変フィルタ8はレンズ枠の中に所定の基板間隔を隔てて2枚のガラス基板17,19を配置しており、ガラス基板17,19の内面には反射層を形成する金属膜が蒸着されている。
【0033】
ガラス基板17,19の基板間隔は圧電素子21を用いたアクチュエータによりミクロンオーダの範囲で可変することができる。圧電素子21を用いたアクチュエータはレンズ枠の3箇所に均等に配置されており、ガラス基板17,19を平行間隔を保ったまま基板距離を可変することができる。
【0034】
図5は図4の波長可変フィルタ8を構成するファブリペロー型干渉フィルタの原理構造である。図5において、ファブリペロー型干渉フィルタを構成する波長可変フィルタ8は、Auなどの金属膜18,20を蒸着した一対のガラス基板17,19を周囲に配置したアクチュエータとしての圧電素子21を介して対向配置し、その間にd1の空隙を形成している。圧電素子21は外部の駆動電圧源10による直流電圧の印加を受けて間隙d1を変化させることができる。
【0035】
この波長可変フィルタ8は、ガラス基板17側からの入射光に対し、金属膜18,20を光が透過することによって生ずる多重干渉に起因して、複数種類のスペクトルを有する光が間隔d1に対応して選択的に透過されるようになる。
【0036】
図6は図5の波長可変フィルタ8のスペクトル特性であり、駆動電圧源10から圧電素子21に加わる駆動電圧を2段階に切り替えることで間隔d1を変えて、実線のスペクトル特性と破線のスペクトル特性を得ることができる。
【0037】
本発明のガス監視装置にあっては、プロパンやブタンなどの測定対象ガスが、その分子構造の特徴を表わす吸収スペクトルを赤外線域に持つ点に着眼し、この赤外線光分光を利用して漏洩ガスのガスイメージを生成する。
【0038】
図7は本発明の測定対象ガスとしてプロパンを例にとって、その赤外線域での吸収スペクトルを表わしている。
【0039】
図7の吸収スペクトルを持つプロパンにつき本発明の波長可変フィルタ8は、まずプロパンの特徴吸収スペクトル帯域であるλ1=3.4μmに透過ピークを持つように調整する。ここで図7の吸収スペクトルは、横軸に波数「cm−1」と、その逆数となる波長λ[μm]をプロットしている。
【0040】
このように波長可変フィルタ8をλ1=3.4μmに透過ピークを持つように調整した状態で、波長可変フィルタ8を介して監視領域の画像Aを撮像し、画像メモリ15に記憶する。この画像Aは、監視領域の背景からの輻射赤外線または反射赤外線の画像であり、測定対象ガスが存在する領域では輻射赤外線または反射赤外線の吸光された背景がガスイメージとして撮像される。
【0041】
次に波長可変フィルタ8をプロパンの吸収スペクトル以外の波長、例えば図7のλ2=4.0μmとなるように透過ピークを調整し、この状態で波長可変フィルタ8を介して監視領域の画像を画像Bとして撮像して画像メモリ15に記憶する。この画像Bは、監視領域の背景からの輻射赤外線または反射赤外線の画像であり、測定対象ガスが存在しても、輻射赤外線または反射赤外線は吸光されず、背景のみが撮像される。
【0042】
図8(A)(B)は、駆動電圧を切替えて波長可変フィルタ8の透過ピークをλ1=3.4μmとλ2=4.0μmに可変し、画像A,Bを撮像する場合のガス吸収スペクトルとの対応関係を表わしている。
【0043】
図9は図2のMPU11に設けたガスイメージ処理部24の機能を表わしている。画像メモリ15には図8(A)(B)のように、プロパンに吸収スペクトル帯域であるλ1=3.4μmに透過ピークを持つように調整された波長可変フィルタ8を介して撮像された画像データAと、吸収スペクトル以外の波長例えばλ2=4.0μmに透過ピークを持つように調整された波長可変フィルタ8を介して撮像された画像データBが格納されている。
【0044】
この画像データA,Bにつき、差分画像生成部22が2つの画像データA,Bの各画素間の差分を演算し、差分画像データDF1を画像メモリ15に記憶する。この差分画像データDF1は表示処理部23により読み出され、モニタ4に表示される。
【0045】
図10は、図9のガスイメージ処理部24の処理機能によって生成される処理画像の説明図である。図10(A)が波長帯域を制限しない通常の可視画像であり、ガス配管28とその背景30を表わし、背景30は説明を簡単にするため斜線で表わしている。
【0046】
図10(B)は、図8の(A)(B)のように、プロパンの特徴吸収スペクトル帯域であるλ1=3.4μmに波長可変フィルタ8の透過ピークを調整して撮像した画像Aであり、配管28aから漏洩したプロパンガスによって背景30aからの輻射赤外線または反射赤外線が吸収され、プロパンの存在する領域だけが明度の落ちたガスイメージ32aとして背景30a上に表れるため、ガスイメージ32aを含む背景30aと背景28aが画像Aとして記憶される。
【0047】
図10(C)は、図8でプロパンの吸収スペクトル以外の波長として例えばλ2=4.0μmに透過ピークを持つように波長可変フィルタ8を調整して撮像した画像Bであり、この画像には漏洩ガスによる背景からの輻射赤外線及び反射赤外線の吸収はないことから、透過ピークの帯域を通った明度の背景30bが配管28bと共に得られる。
【0048】
そして本発明のガスイメージ処理にあっては、例えば図10(C)の画像Bから図10(B)の画像Aを差し引く差分処理、即ち各画素毎の差分をとることで差分画像DF1を生成して記憶する。この差分画像DF1は、図10(D)のように、画像Bの背景30bの部分を画像Aのガスイメージ32aの領域でほぼ切り出したことに相当するガスイメージ32が残った画像として得られる。尚、実際は、背景の輻射赤外線または反射赤外線もごくわずかにλ1とλ2におけるエネルギー量が異なることから、ガスイメージ32以外に配管や背景が、ごく僅かであるが画像として得られる。
【0049】
このように本発明のガスイメージ処理によれば、生成された差分画像の中に配管から漏洩しているプロパンガスの存在がガスイメージ32として見ることができる。
【0050】
ここで画像Aと画像Bは非常に短い間隔をおいて撮像されるため、昼間にあっても光源となる太陽光の揺らぎなどに影響されることなく、ガスの存在箇所を示すガスイメージ32のみを表示することができる。
【0051】
また本発明により得られる画像はガスが存在する場合にだけガスイメージ32の信号成分が表れることから、従来行っているガスのない場合の画像と比較して変化があったら警報を出すというような自動警報に必要な背景処理を別途必要とすることがなく、画像によるガス監視の処理を簡単且つ容易に実現することができる。
【0052】
また太陽光が十分に得られない夜間や曇りもしくは雨などの場合には、赤外線照明装置5を点灯して監視領域に赤外線照明を加えるが、赤外線照明装置5の光源としては安価な赤外線ランプで十分であり、従来の大型で非常に高価なレーザ光源を使用した装置に比べ、赤外線照明装置のコストは極めて僅かであり、またレーザ光源で問題となっていた安全上の問題も一切生じない。
【0053】
もちろん本発明のガス監視装置は、フィールドにおけるガス漏れ監視のみならず、クリーンルームなどの室内監視にも適用でき、この場合には赤外線照明装置を常時点灯することにより、十分な反射赤外線及び輻射赤外線が撮像できる環境を作り出せばよい。
【0054】
更に、図10(D)のガスイメージ32については、所定のカラーで着色する画像処理を施すことによりカラーガスイメージとして表示し、明瞭にガスイメージが認識できるようにしてもよい。
【0055】
ところで本発明のガス監視装置によれば、ガスの二次元的な監視表示が実現できるが、1つの吸収スペクトルの波長を中心とした測定ではガスの種類をただ1つに特定することができない。例えば図7に示したように、プロパンはλ1=3.4μmに吸収スペクトルを持つことは分かっているが、この帯域に吸収スペクトルを持つガスはプロパンだけではなく、例えば図11に示すブタンでもλ1=3.4μmに吸収スペクトルを持っている。しかしながら両者を比較してみると、5〜11μmの波長帯域でのスペクトルに違いが見られる。
【0056】
そこで図2に示したMPU11にあっては、ガスイメージ処理部24の処理が終了した後、必要であればガスイメージ強調部25により図7のプロパンの第2の吸収スペクトルであるλ3=6.8μmを中心にガスイメージを求める。即ち、ガスイメージ処理部24によりλ1=3.4μmとλ2=4.0μmの差分画像DF1を記憶した後、波長可変フィルタ8を図8(C)のようにλ3=6.8μm及びλ4=7.5μmに透過ピークを持つよう調整して、それぞれ同じ領域の画像C,Dを撮像し、その差分画像DF2を求める。
【0057】
このようにして求めた第2の差分画像DF2を、既に求めている第1の差分画像DF1に加算して、新たなガスイメージを求める。このような2つの差分画像の加算により求めたガスイメージは、プロパンとしての確率に応じた明度を持って表示される。
【0058】
即ち測定対象ガスがプロパンであった場合には、2つの差分画像のガスイメージの明度が加算されることで、1つの差分画像の場合に比べ、より明るいガスイメージを得ることができる。
【0059】
これに対し測定対象ガスが図11のブタンであった場合には、最初の波長λ1=3.4μmとλ2=4.0μmの差分画像については、ある明度を持ったガスイメージが得られるが、次のλ3=6.8μmとλ4=7.5μmからの差分画像については吸収スペクトルでないことから差分によるガスイメージが得られず、これを最初の差分画像DF1に加えてもガスイメージの明度は変わらない。
【0060】
このため、ガスイメージ強調処理を行ってガスイメージの明度が増加したらプロパンガスであることが特定でき、これに対しガスイメージの強調処理を行ってもガスイメージの明度が変化せずに暗い場合にはプロパンガスではなく、それ以外のガスであることが分かる。
【0061】
この場合、プロパンガス以外のガスであった場合には、例えば図11のブタンにおける特有の吸収波長と、その近傍に透過ピークを調整して差分画像を得ることで、最初の差分画像に加えることでガスイメージの明度が明るくなり、これによってブタンであることも特定できる。
【0062】
図12は、図11の吸収スペクトルを持つブタンガスについて、波長λ1=3.4μmとλ2=4.0μmに波長可変フィルタ8を調整して得られた画像の差分画像の実際の表示写真であり、噴出したブタンガスがリアルタイムでモニタ上に表示されている。
【0063】
このように、従来、大出力で高価なレーザ光源を必要としたガスイメージの表示が、本発明にあっては非常に簡単で且つ小型の装置によって手軽にガスイメージとしてリアルタイムで表示することができ、ガス漏れの監視を極めて容易で且つ適切なものにすることができる。
【0064】
図13は、図2のMPU11に設けている測定ガス確度処理部26の処理機能を説明したものである。測定ガス確度処理部26は、ガスイメージ処理部24及びガスイメージ強調部25によるガスイメージの生成処理が終了した段階で、オペレータがガス確度の処理要求を行った際に、波長ごとの吸収スペクトルを詳細に測定することによりガスの存在する確かさである確度を求める。
【0065】
即ちガスイメージング処理により、例えば図10(D)の差分画像のようにガスイメージ32が表示されたガスの存在が確認できた領域に着目し、測定対象としているガスの複数の波長における吸収度を測定し、この測定結果を予めリファレンスとして記憶してある測定対象ガスの吸収度と比較することにより、特定の測定対象ガスであることの確度を求める。
【0066】
例えば測定対象ガスとして図7に示したスペクトル特性のプロパンを測定対象ガスとした場合、プロパンの特徴を表す波長としてλ1=3.4μm、λ2=4.0μm、及びλ3=6.8μmの3つの波長を設定し、各波長における透過量(パーセンテージ)をLx,Ly,Lzとした場合、図13の各波長の吸収度を座標軸とする三次元空間のリファレンスガス座標P(Lx,Ly,Lz)として記憶しておく。
【0067】
この状態でガスイメージ処理によって図10(A)の差分画像に表示されたガスイメージ32からプロパンガスの存在を確認できた領域のガスについて、波長可変フィルタの透過ピークをλ1=3.4μmに調整した際の画像A、λ2=4.0μmに調整した際の画像B及びλ3=6.8μmに調整した際の画像Cのそれぞれについて、明度(La,Lb,Lc)を測定する。
【0068】
このような画像A,B,Cについての明度の測定結果が、例えばLa=70%、Lb=2%、Lc=10%となったとすると、この3つの明度を三次元座標値(La,Lb,Lc)=(70%,2%,10%)とするQ点を図13の三次元座標に設定する。
【0069】
そして測定ガス座標Qとリファレンスガス座標Pとの三次元空間上の距離Rを算出し、この距離Rが測定されたガスがプロパンであることの確度を表す値とする。このようにして算出された確度Rは、測定ガス座標Qがリファレンスガス座標Pに近いほどプロパンである可能性が高いことが示される。
【0070】
この実施例では測定する波長として3つの波長を例にとっているが、ガスの存在する確度を求めるために測定する波長は幾つでもよく、測定する波長数に対応したn次元空間での測定点と予め求めたリファレンスデータとしての基準点との間の距離として確度を求めて判定する。
【0071】
また図13のように、波長数で決まる座標空間でのリファレンスデータと測定データとの間の距離を確度として算出する方法以外にも、例えば測定波長ごとの吸収度とガスの存在確度との関係を多項式として表すことも可能である。
【0072】
このようにしてガスの確度を求めて測定対象ガスの存在を確認した後は、オペレータの指示要求に基づき、ガスイメージとして検知されたガスの種類の特定を行う処理に進む。
【0073】
このガスの種類の特定を行う処理は、図2のMPU11に設けたガス種特定処理部27により行われる。ガス種特定処理部27は、ガスイメージ処理によって図10(D)の差分画像DF1のようにガスイメージ32が表示されてガスの存在が確認された領域に着目し、このガスの存在が確認された領域のスペクトル特性を詳細に測定することによりガスの種類の特定を行う。
【0074】
具体的には、波長可変フィルタ8の透過ピークを微小間隔Δλを置いて変化させ、その都度、波長可変フィルタ8を介して監視対象の画像を撮像し、撮像した画像の中のガスの存在領域を明度を求めて波長可変フィルタ8の透過ピーク波長と関連付けて、これをフィールドのスペクトル吸収特性として記憶する。
【0075】
一方、波長可変フィルタ8の透過ピークを微小間隔Δλを置いて変化させるときの各波長の特性を複数種類のガスについて予め求め、これをリファレンスデータとして記憶しておく。そしてフィールドのスペクトル吸収特性として記憶された測定結果とリファレンスデータとして予め記憶された複数のガスのスペクトル吸収特性とを比較し、フィールドで測定されたガスがどのようなガス種であるかを特定する。
【0076】
ここでフィールドのスペクトル吸収特性は、波長可変フィルタ8を介して撮像された画像の明度をそのまま用いてもよいし、微小間隔Δλを置いて波長可変フィルタ8の透過ピークを変化させた際の差分画像の明度を用いてもよい。各波長の画像の明度を用いた場合には、後処理を必要としないことから迅速な測定ができる。また差分画像の明度を使用した場合には光源の揺らぎなどの影響を受けることなく正確にガスの種類を特定することができる。
【0077】
図14は、図2に示した画像処理装置3のMPU11による本発明のガス監視処理のフローチャートである。まずステップS1で監視領域について赤外線照明が必要か否かチェックする。昼間の太陽光が十分に得られている監視状態にあっては、太陽光による輻射赤外線が十分に得られることから赤外線照明は必要なく、この場合にはステップS3に進み、赤外線照明中でなければ、ステップS4をスキップしてS5のガス監視イメージ処理に進む。もし赤外線照明装置による照明中であれば、ステップS4で赤外線照明を消灯する。
【0078】
一方、夜間や雨天のように監視領域から輻射赤外線が弱まっている場合には、ステップS2に進み、赤外線照明装置5を点灯し、監視領域から反射赤外線が十分に得られるようにする。
【0079】
続いてステップ5のガスイメージ処理を行う。このガスイメージ処理はガスイメージ処理部24による処理であり、例えば図10(B)〜(D)のように、測定対象ガスの吸収波長λ1とその近傍の波長λ2に波長可変フィルタ8の透過ピークを調整して撮像した画像A,Bから差分画像DF1を求めて、ガスイメージを持った画像をモニタ4に表示する。
【0080】
続いてステップS6でイメージ強調要求の有無をチェックし、オペレータがイメージ強調要求を行えば、ステップS7に進み、ガスイメージ強調処理を行う。このガスイメージ強調処理は、MPU11に設けているガスイメージ強調部25による処理であり、図7のプロパンガスについて、更に、吸収波長λ3とその近傍λ4に波長可変フィルタ8の透過ピークを調整して画像を撮像して差分画像を求め、差分画像を最初に得られた差分画像に加算することでガスイメージの明度を高くする強調処理を行う。
【0081】
次にステップS8で測定ガスの確度要求の有無をチェックし、オペレータが測定ガスの確度要求を行っていれば、ステップS9で測定ガスの確度処理を行う。この測定ガスの確度処理はMPU11に設けている測定ガス確度処理部26による処理となり、例えば測定対象ガスが図7のプロパンの場合には、ステップS5のガスイメージ処理、及びステップS7のガスイメージ強調処理で得られている波長λ1、λ2及びλ3の3波長の画像A,B,Cについて、ガスの存在する領域について明度を求め、これを図13に示した三次元空間の測定ガス座標Qとして設定し、リファレンスデータガス座標Pとの距離Rをガスの確度として算出して表示する。
【0082】
更にステップS10でオペレータによるガス種の特定要求の有無をチェックし、ガス種の特定要求があればステップS11に進み、ガスの種類の特定処理を行う。このガス種特定処理は、MPU11のガス種特定処理部27による処理となる。このようなステップS1〜S11の処理は、ステップS12でガス監視の停止要求があるまで繰り返される。
【0083】
図15は、図14のステップS5のガスイメージ処理のフローチャートであり、図2のMPU11に設けたガスイメージ処理部24による処置となる。このガスイメージ処理は図7のスペクトル特性を持つプロパンを例にとっており、まずステップS1でMPU11は出力IF13介して駆動電圧源10を作動し、赤外線監視カメラ1の波長可変フィルタ8に駆動電圧V1を印加し、フィルタ透過ピークを波長λ1=3.4μmに調整する。
【0084】
この状態でステップS2で監視対象を撮像して画像Aを画像メモリ15に記憶する。次に駆動電圧源10を切り替えて、波長可変フィルタ8に駆動電圧V2を印加してフィルタ透過ピークλ2=4.0μmに調整し、この状態ではステップS4で監視対象を撮像して画像Bを画像メモリ15に記憶する。
【0085】
続いてステップS5で画像メモリに記憶している画像Aと画像Bの差分画像DF1を演算し、具体的には画像Aと画像Bの各画素毎との差分を演算して差分画像DF1を求めてモニタ4に表示することで、例えば図10(D)のようなガスイメージ32が表示された監視画像を得ることができる。
【0086】
図16は、図14のステップS7におけるガスイメージ強調処理のフローチャートである。このガスイメージ強調処理は、ステップS1で駆動電圧源10による波長可変フィルタ8の駆動電圧V3に切り替え、フィルタ透過ピークを波長λ3=6.8μmに調整し、ステップS3で監視対象を撮像して画像Cを画像メモリ15に記憶する。
【0087】
続いてステップS3で波長可変フィルタ8の駆動電圧をV4に切り替えてフィルタ透過ピークをλ4=7.5μmに調整し、ステップS4で監視対象を撮像して画像Dを画像メモリ15に記憶する。最終的にステップS5で画像Cと画像Dの差分画像を第2差分画像DF2として演算し、図15のガスイメージ処理で得られている第1差分画像DF1に加算してモニタ4に表示する。
【0088】
これによってモニタ上の表示画像のガスイメージは、λ1=3.4μmの吸収特性とλ3=6.8μmの吸収特性で切り出された背景の明度を加算した明るい画像になり、モニタ画像中のガスイメージを明瞭に表示することができる。
【0089】
もちろん、測定対象ガスがプロパンでなく図11に示したブタンであった場合には、λ3=6.8μm及びλ4=7.5μmのいずれも吸収帯域ではないことから、第2差分画像DF2にはガスイメージが表れていない。このため。第2差分画像DF2を第1差分画像DF1に加算してもモニタ画面上のガスイメージは明るくならず、この場合には測定対象ガスがプロパン以外のガスであることを判断できる。
【0090】
図17は、図14のステップS9における測定ガスの確度処理のフローチャートである。この測定ガスの確度処理にあっては、ステップS1で、既にガスイメージ処理及びガスイメージ強調処理によって得られている波長可変フィルタ8の透過ピーク波長λ1=3.4μm、λ2=4.0μm、及びλ3=6.8μmの画像A,B,Cのガスの存在する領域の明度La,Lb,Lcを各ガスの総和として演算する。
【0091】
続いてステップS2で検知ガスの空間座標Q(La,Lb,Lc)と、予め求めている測定対象ガスであるプロパンのリファレンスガスとしての空間座標P(Lx,Ly,Lz)との距離Rを算出する。そしてステップS3で、算出した距離Rを測定ガスが測定対象ガスであるプロパンであることの確かさを示す確度として表示する。
【0092】
図18は図14のステップS11のガス種特定処理のフローチャートである。このガス種特定処理にあっては、まずステップS1で波長可変フィルタ8の透過ピークの設定波長λiの初期化を行う。即ちガス種特定処理の透過ピークの開始波長を設定する。
【0093】
続いてステップS2で、波長可変フィルタの透過ピークを設定波長λiに調整する駆動電圧を印加する。続いてステップS3で、波長λiに調整した波長可変フィルタを介して得られた画像Giを撮像して画像メモリ15に記憶する。次にステップS4で画像Giのガスの存在が認識された領域について明度Liを算出して、そのときの透過ピークの波長に関連付けてメモリに記憶する。
【0094】
ステップS5で、予め定めた最終波長に達したか否かチェックし、達していない場合にはステップS6で現在の設定波長λiに微小間隔Δλを加算して設定波長を更新し、再びステップS2に戻り、更新した設定波長に波長可変フィルタの透過ピークを調整して、監視領域の画像の撮像による明度の算出を繰り返す。
【0095】
ステップS5で、予め定めた最終波長に達したら、ステップS7で、予め求めている複数種類のリファレンスガスのスペクトル吸収特性と、ステップS2〜S6の処理で測定したフィールドガスのスペクトル吸収特性を比較し、この比較結果から、ステップS8で測定ガスの種類を特定して表示する。
【0096】
また、上記の実施形態においては、波長可変フィルタとして可変型のファブリペロー型干渉フィルタを用いたが、これを回析格子型の分光器におきかえてもよい。
【0097】
また複数の狭帯域フィルタを切り替えることのできるフィルタ群を用いることでも実現できる。この場合には、例えば図15に示したガス監視イメージ処理を行おうとすれば、λ1=3.4μmとλ2=4.0μmの2種類の狭帯域フィルタを順次切り替えるようにすればよい。
【0098】
また図18で示したガス種特定処理を行おうとすれば、Δλに相当する波長間隔をもつ複数の狭帯域フィルタを用意すればよい。
【0099】
尚、上記の実勢形態は測定対象ガスとしてプロパン、ブタンを例にとるものであったが、これ以外に赤外線域に吸収スペクトルを持つガスであれば、任意のガスについて本発明によるガス監視がそのまま適用できる。例えば、半導体製造工程でクリーンルーム内等で使用されるシラン(SiH4)、ホスティン(PH3)等の有毒ガスの監視にも適用できる。また本発明は、その目的と利点を損なわない適宜の変形を含む。更に本発明は上記の実施形態に示した数値による限定を受けない。
【0100】
【発明の効果】
以上説明してきたように本発明によれば、透過スペクトルを可変できる波長可変フィルタを備えた赤外線監視カメラにより測定対象ガスの吸収帯域の1つとその近傍に透過ピークを持つように波長可変フィルタを調整して撮像した2つの画像の差分画像により、監視領域の背景からの輻射赤外線または反射赤外線が測定対象ガスにより吸収されたガス領域をガスイメージとして表示することができ、簡単な装置で確実にフィールド系におけるガス漏洩を二次元的にリアルタイムで監視することができる。
【0101】
また監視領域からの輻射赤外線もしくは反射赤外線が不足する夜間や室内での監視にあっては、簡単な赤外線照明装置を使用することで監視に十分な反射赤外線が背景から得られ、従来装置で大型で大出力のレーザ光源を必要とした場合に比べ、本発明のガス監視装置は大幅な低価格化と装置の小型化が達成でき、従来装置が固定設置以外考えられなかったものが、本発明にあっては画像処理装置をノートパソコンなどの携帯型とすることで、ガス漏れ事故などの際に現場にそのまま持ち込んでガス漏れをガスイメージで発見できる携帯装置としての適用も簡単にできる。
【0102】
また、従来装置にあっては強力なレーザ光線の照射を必要としたため、強力なレーザ光の人間の目や皮膚に対する障害を防ぐため完全に無人化されたような特殊な場所でしか使用できないような問題を、本発明のガス監視装置は完全に克服し、人通りのある地下街や道路などのガス漏れ事故の際にも、レーザ光線を使用する場合のような安全上の問題を考慮することなく、迅速且つ的確にガスの漏洩状況を監視画面の画像から発見、確認することができる。
【0103】
更に本発明にあっては、測定対象ガスの複数帯域について波長可変フィルタの透過ピークを調整して、その近傍の波長とのそれぞれの差分画像を求めて加算することで、測定対象ガスの持つ複数の吸収特性を加え合わせた明度を持つ明瞭なガスイメージを表示することができ、これによって表示画像のSN比を大幅に向上することが期待できる。
【0104】
またガスイメージの強調処理を行った場合、ガスイメージの明度が変化しないような場合には測定対象としているガスが予定した特定ガスとは別のガスであることも分かる。
【0105】
更に、波長可変フィルタの透過ピークの波長を微小間隔で変化させて撮像した画像の明度を求め、これをフィールドのスペクトル吸収特性とし、予め記憶している複数種類のガスのスペクトル吸収特性と比較することで、現在測定されているガスがどんなガス種であるかを適切に特定することができ、漏洩ガスの種類が分からないような場合にも本発明のガス監視装置により迅速且つ確実にガス種を特定することができ、適切なガス漏洩に対応する対応措置を取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるガス監視装置の説明図
【図2】本発明による装置構成のブロック図
【図3】本発明で使用する監視カメラの説明図
【図4】図3の波長可変フィルタの説明図
【図5】図4の波長可変フィルタの原理構造の説明図
【図6】図4の波長可変フィルタの駆動電圧を切替えた場合のスペクトル透過特性の説明図
【図7】プロパンのスペクトル吸収特性の説明図
【図8】プロパンのスペクトル吸収特性に対する波長可変フィルタの透過ピークの調整を示す説明図
【図9】図2のMPUに設けたガスイメージ処理部の機能ブロック図
【図10】図9で処理する画像の説明図
【図11】ブタンのスペクトル吸収特性の説明図
【図12】ブタンのガスイメージ処理で実際に表示された表示画面の説明図
【図13】三次元空間を利用した測定ガス確度処理の説明図
【図14】本発明によるガス監視処理のフローチャート
【図15】図14のガスイメージ処理のフローチャート
【図16】図14のガスイメージ強調処理のフローチャート
【図17】図14の測定ガス確度処理のフローチャート
【図18】図14のガス種特定処理のフローチャート
【符号の説明】
1:赤外線監視カメラ(赤外線撮像装置)
2:レンズユニット
3:画像処理装置(画像処理部)
4:モニタ
5:赤外線照明装置
6:監視領域
7:光学系
7a:対物レンズ
7b:結像レンズ
8:波長可変フィルタ
9:撮像素子(CCD)
10:駆動電圧源
11:MPU
12:AD変換器
13,14:出力IF
15:画像メモリ
16:表示出力IF
17,19:ガラス基板
18,20:金属膜
21:圧電素子(アクチュエータ)
22:差分画像生成部
23:表示処理部
24:ガスイメージ処理部
25:ガスイメージ強調部
26:測定確度処理部
27:ガス種特定処理部
28,28a,28b:配管
30,30a,30b:背景
32:ガスイメージ
Claims (4)
- 監視領域の輻射赤外線または反射赤外線による画像を撮像する赤外線撮像装置と、
透過スペクトルを可変できる波長可変フィルタと、
前記波長可変フィルタを介して前記赤外線撮像装置が撮像した画像を処理することで、監視領域に漏洩した測定対象ガスの存在を示すイメージの画像を生成する画像処理部と、
を備え、
前記画像処理部は、特定の測定対象ガスにおける第1の吸収帯域に透過ピーク持つように前記波長可変フィルタを調整して撮像した画像と、前記第1の吸収帯域の近傍に透過ピークを持つよう前記波長可変フィルタを調整して撮像した画像との差分を演算し、監視領域の背景からの輻射赤外線または反射赤外線が測定対象ガスにより吸光された画素領域をガスイメージとする第1差分画像を生成し、さらに、前記測定対象ガスの吸収帯域の他の1つである第2の吸収帯域に透過ピークを持つように前記波長可変フィルタを調整して撮像した画像と、前記第2の吸収帯域の近傍に透過ピークを持つよう前記波長可変フィルタを調整して撮像した画像との画像間の差分を演算し、監視領域の背景からの輻射赤外線または反射赤外線が測定対象ガスにより吸光された第2差分画像を生成して、前記第1差分画像に前記第2差分画像を加算することにより前記ガスイメージを強調することを特徴とするガス監視装置。 - 請求項1記載のガス監視装置に於いて、前記画像処理部は、前記第1差分画像、および該第2差分画像の中のガスの存在が検知された画素領域の明度を取り出してスペクトラム吸収特性として記憶し、予め求めている前記測定対象ガスの前記第1,2の吸収帯域におけるスペクトラム吸収特性と比較して、前記測定対象ガスのガス存在の確度を求めることを特徴とするガス監視装置。
- 請求項1記載のガス監視装置に於いて、前記波長可変フィルタとして、基板間隔を可変としたファブリペロー型干渉フィルタ、回折格子、または複数の狭帯域フィルタを切り替えることのできるフィルタ群を備えたことを特徴とするガス監視装置。
- 請求項1記載のガス監視装置に於いて、前記監視領域に赤外線を照射する赤外線照明装置を設けたことを特徴とするガス監視装置。
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