JP6566779B2 - 水素火炎監視装置が設置された水素取扱施設 - Google Patents
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Description
かかる要請に応じ、本発明の出願人は、無色透明の水素火炎を画像処理によって可視化する技術の研究開発に努め、例えば、特許文献1(特開2013−36974号公報)および特許文献2(特開2006−267097号公報)に記載された水素火炎可視化装置を提案した。
したがって、例えば、特許文献1および2に記載の水素火炎可視化装置では、電源を使用する水素火炎撮像用のCCDカメラなどは発火源となり得るので、防爆区域内に設置することができず、監視対象領域から相当に離れた非防爆区域内に設置せざるを得なかった。そのため、小さな水素火炎の検知が難しく、また火災などによって煙が生じた場合には、水素火炎の発する光が煙で遮られ検知できなくなるといった問題がある。
不審者の侵入を連続監視する汎用の侵入者監視装置は、その多くの機種において概ね800〜950nmの波長領域を含む近赤外線画像を撮像する近赤外線画像撮像機と、同波長領域の近赤外線を照射する近赤外線照射機を備えている。その理由は、800〜950nmの比較的波長が短い近赤外線であれば、近赤外線検知機として汎用の安価なCCDカメラを用いることができるため、侵入者監視装置の価格を低く抑えることができるからである。
また、水素ガスが漏出する恐れのある防爆区域内において、監視対象領域を間近で監視でき、しかも小型でコスト性に優れた水素火炎監視装置が設置された水素取扱施設を提供することを課題とする。
さらに、汎用の近赤外線照射機を備えた侵入者監視装置から照射される近赤外線を誤検知することなく、かかる侵入者監視装置と併用することができる水素火炎監視装置が設置された水素取扱施設を提供することを課題とする。
[1] 水素火炎監視装置と侵入者監視装置とが設置された水素取扱施設であって、
上記水素火炎監視装置の監視対象領域と上記侵入者監視装置の監視対象領域の少なくとも一部が重複しており、上記水素火炎監視装置は、水素火炎を可視化する水素火炎監視装置であって、1340〜1500nmの波長領域内で設定された波長を含む近赤外線画像を撮像する近赤外線画像撮像手段、および可視光線画像を撮像する可視光線画像撮像手段を備える撮像部と、該撮像部で撮像した監視対象領域の近赤外線画像および可視光線画像を記録する記憶装置、上記近赤外線画像と上記可視光線画像との差分画像を抽出し、設定した閾値を基準に二値化して二値画像とし、さらに着色して火炎画像とし、該火炎画像を上記可視光線画像からなる背景画像に重畳した合成画像を作成する演算装置、および上記合成画像を画面に表示する表示装置を備える情報処理部を具備する水素火炎監視装置であり、上記侵入者監視装置は、1340nm未満の波長領域内で設定された波長を含む近赤外線であって、かつ上記水素火炎監視装置の近赤外線画像撮像手段によって撮像される近赤外線画像の波長領域と実質的に重ならない波長領域の近赤外線を照射する近赤外線照射機を備えることを特徴とする水素取扱施設。
したがって、本発明の水素火炎監視装置と共に汎用の安価な侵入者監視装置を設置して、両装置によって同時に同じ監視対象区域を監視することができるため、便利でありコスト性にも優れている。
また、演算装置によって、上記近赤外線画像と上記可視光線画像との差分を求めることで、両画像に写り込んだ各種照明機器から発せられる照明光などの外乱光の成分を差し引いて消去した差分画像を抽出し、かかる差分画像を設定した閾値を基準に二値化して二値画像とし、さらに着色することで火炎画像とし、得られた火炎画像を上記可視光線画像による背景画像上に重畳して合成画像を作成することができる。
そして、表示装置によって上記合成画像を画面に表示することで、水素火炎を可視化して、その火炎の大きさや発生位置を特定することができる。
まず、本発明の水素取扱施設に設置される水素火炎監視装置の第1実施形態を説明する。
図1に示す水素火炎監視装置1は、撮像部2と情報処理部3を具備する。
撮像部2は、主に、監視対象領域からの光を受け取る集光手段23と、集光手段23で受け取った光を近赤外線と可視光線に分ける分光手段24と、分光手段24から導かれた近赤外線による画像を撮像する近赤外線画像撮像手段21と、分光手段24から導かれた可視光線による画像を撮像する可視光線画像撮像手段22とからなる。
集光手段23は、分光手段24と光伝送ケーブル25を介して接続されており、集光手段23に備えられたレンズ(図示せず)に入射した監視対象領域からの光が、光伝送ケーブル25を通過して分光手段24へ導かれるように構成されている。
このような分光手段24の具体例としては、透過波長の中心が1350〜1450nmであって、バンド幅が半値全幅70〜90nmである光学バンドパスフィルターとして機能する分光鏡を好適に使用することができる。
かかる光伝送ケーブル25により集光手段23から分光手段24に導かれた光は、分光手段24によって近赤外線と可視光線に分光され、それぞれ近赤外線画像撮像手段21と可視光線画像撮像手段22へと導かれる。
かかるCCDカメラが静止画を撮像するものである場合には、例えば、自動的に数秒毎に撮像できるものであれば連続監視が可能となるため好ましい。さらに、多様な監視用画像を取得するために、広角から望遠まで幅広い画角をカバーできるものであることが好ましい。
なお、上記の分光手段24に光学バンドパスフィルターの機能を付与する場合には、別途に光学バンドパスフィルターを設ける必要はない。
折れ線Q1は、晴天の野外において、1分間あたり1L量で噴出する水素ガスを燃焼させ、直近位置から近赤外線の発光強度を測定した結果を示しており、水素火炎の発する近赤外線の発光強度と、太陽光に含まれる近赤外線の発光強度との合算値を表している。
また、折れ線Q2は、水素ガスを遮断して水素火炎が存在しない状態とし、その他はQ1の測定と同じ条件で近赤外線の発光強度を測定した結果を示しており、太陽光に含まれる近赤外線の発光強度のみを表している。
なお、グラフの横軸(X軸)は波長(単位:nm)を示しており、縦軸(Y軸)は、相対的な発光強度(任意単位)を示している。
不審者の侵入を連続監視する汎用の侵入者監視装置は、その多くの機種において概ね800〜950nmの波長領域の近赤外線を検知する近赤外線検知機と、同波長領域の近赤外線を照射する近赤外線照射機を備えている。このように800〜950nmの比較的波長が短い近赤外線であれば、近赤外線検知機として汎用の安価なCCDカメラを用いることができるため、侵入者監視装置のコストを低く抑えることができるからである。
なお、可視光線画像撮像手段22は、昼間の侵入者監視用の撮像機としても利用することが可能である。
情報処理部3はハードディスクなどの記憶装置31と、CPUなどの演算装置32と、ディスプレイ画面などの表示装置33を備えており、例えば、パーソナルコンピュータにより構成することができる。
記憶装置31は、平常時には、近赤外線画像と可視光線画像を時系列で連続的に記録し、新しい画像を取り込む度に過去の古い画像を消去するようにしてある。ただし、水素火炎が検知された場合には、火炎検知の前後にわたる所定時間の画像(例えば、火炎発生前後の24時間の画像)を保存する。そうすることで、ガス遮断を行った後に火炎発生箇所(水素ガスの漏出箇所)を特定したり、火炎発生の原因究明に役立てたりすることができるため便宜である。そのためには、水素火炎の検知後から所定時間の画像を取得し画像更新を停止するか、火炎検知前後の所定時間の画像を別領域に移動し上書き不可とした上で画像更新を継続するようにすればよい。
ここで、近赤外線画像と可視光線画像との差分を取る理由は、水素火炎の発する近赤外線を捉えるときにその波長領域において照明光などの外乱光が存在するので、この外乱光の成分を可視光線の波長で検知して、近赤外線画像から外乱光の成分を差し引いて消去するためである。
なお、可視光線画像がカラー画像である場合には、そのカラー画像から単色成分画像を抽出して、近赤外線画像と単色成分画像との差分を取ればよい。
二値化処理に用いる閾値は、演算装置32によって、差分画像の濃度ヒストグラムを作成し、そのヒストグラムから公知の閾値自動決定方法によって自動的に算出する。
なお、閾値の設定は、上記のように演算装置が自動的に算出して設定する方法に限られず、例えば、現場でユーザーが差分画像の表示を見ながら手動で調整して適宜に値を入力設定する方法であってもよい。
かかる判別手段によって水素火炎が検知された場合、情報処理部3は、水素火炎発生の警報を発報すると共に、記憶装置31に水素火炎発生の前後にわたる所定時間の近赤外線画像および可視光線画像を保存するように作動する。
次に、本発明の水素取扱施設に設置される水素火炎監視装置の第2実施形態を説明する。
図2に示す水素火炎監視装置10は、上記の水素火炎監視装置1に検知部4を付加して構成されており、検知部4は、監視対象領域からの紫外線を受け取り可視光線に変換する集光手段43と、集光手段43から導かれた可視光線から特定波長の紫外線を検知する紫外線検知手段41を備える。また、検知部4は、監視対象領域からの遠赤外線を受け取る集光手段44と、集光手段44から導かれた特定波長の遠赤外線を検知する遠赤外線検知手段42を備える。
以下、検知部4および情報処理部3について説明するが、撮像部2は上記第1実施形態の撮像部2と同じものなので、ここでは説明を省略する。
集光手段43は、監視対象領域からの光を受け取るレンズ(図示せず)と、200〜400nmの波長領域の紫外線を可視光線に変換する波長変換器(図示せず)を備えており、紫外線検知手段41と光伝送ケーブル45を介して接続されている。かかる構成により、水素火炎が発する上記波長領域の紫外線がレンズに入射すると、波長変換器によって可視光線に変換されて光伝送ケーブル45を通過して紫外線検知手段41へと導かれる。
なお、光伝送ケーブル45で伝送された可視光線が微弱である場合には、増幅器(図示せず)によって増幅した後に紫外線検知手段41へと導くようにすればよい。
かかる可視光線変換器の具体例としては、住田光学ガラス社製の機能性蛍光ガラス「ルミラス」(型番ルミラス−G9)を好適に使用することができる。
したがって、紫外線検知手段41のセンサは、特定波長領域の可視光線にのみ感度を有する受光素子により構成することができ、また、特定領域の可視光線のみを透過させる光学バンドパスフィルターとフォトダイオードの組み合わせにより構成してもよい。
かかる紫外線検知手段41の具体例としては、住田光学ガラス社製の紫外センサ(型番UV−200)を好適に使用することができる。
かかる遠赤外線検知手段42(遠赤外線センサ)の具体例としては、ニッタン社製の赤外線式炎検知器(型番:1RB−EW)を好適に使用することができる。
さらに、かかる遠赤外線画像撮像機によって取得した遠赤外線画像に基づいて、監視対象領域中の最高温度の位置表示と温度表示を行うことや、機器の温度上昇を検知し電気的に温度を出力するサーモグラフィーとして使用するなど、監視対象領域における温度監視を行うことも可能である。
水素火炎監視装置10の情報処理部3は、上記第1実施形態の水素火炎監視装置1の情報処理部3と同様に、記憶装置31と演算装置32と表示装置33を備えており、例えばパーソナルコンピュータによって構成することができる。
かかる演算装置32には、上記第1実施形態の演算装置32の構成要素に加えて、検知部4において、水素火炎の発する波長の紫外線と、水素火炎の熱に起因する波長の遠赤外線とを同時に検知した場合に水素火炎が発生したものと判定する判定手段が設けられている。
さらに、かかる水素火炎発生の検知をトリガーとして、記憶装置31への水素火炎発生の前後における所定時間の近赤外線画像および可視光線画像の保存を開始すると共に、演算装置32による近赤外線画像と可視光線画像との差分画像抽出から水素火炎画像と背景画像との合成画像作成までの一連の画像処理を開始するようになっている。
例えば、「判定手段」によって水素火炎の発生が検知された場合であって、かつ「判別手段」によって水素火炎の存在が検知された場合に、水素火炎が発生したものと判断して、警報を発報したり、記憶装置31への近赤外線画像および可視光線画像の保存を開始したりすることができる。
このように、水素火炎監視装置10を防犯用の監視装置として利用する場合には、同じ監視対象領域について別の防犯用の監視装置を設けることが不要となり便宜である。
次に、本発明の水素取扱施設を説明する。
図3に示す水素取扱施設5は、燃料電池自動車Cに水素ガスを充填するための水素供給ステーションであり、水素供給装置53とその周辺に配置された図示しない水素輸送配管や水素貯蔵タンクなどの水素取扱機器を備え、さらに管理棟51とこれらを覆うキャノピー(屋根)52が設置されている。
水素取扱施設5の水素供給装置53の付近には、発火源となり得るものの設置が禁止されている防爆区域E1が設けられており、かかる防爆区域E1以外の区域は非防爆区域E2とされている。
なお、集光ユニット54は、図2に示す3つの集光手段23、43および44を、まとめて1つの小さな筐体内に配置したものであり、また、光伝送ケーブルユニット55は、図2に示す3本の光伝送ケーブル25、45および46を一体に束ねて形成したケーブルである。
また、水素火炎監視装置10のうち、集光ユニット54と光伝送ケーブルユニット55以外の本体部分は、非防爆区域E2にある管理棟51内に配置されているので、かかる本体部分を防爆仕様にする必要がなく、水素取扱施設5をコスト性に優れたものとすることができる。
この侵入者監視装置56は、一般に普及している侵入者監視装置であり、侵入者を近赤外線画像撮像機で捉えて監視するものであるが、夜間は近赤外線照射機から概ね800〜950nmの波長領域の近赤外線を照射して、その反射光を近赤外線画像撮像機で捉えるようになっている。
したがって、侵入者監視装置56の近赤外線照射機による照射光やその反射光を、水素火炎による近赤外線であると誤検知する恐れがないため、水素火炎監視装置10は、汎用の侵入者監視装置56と併用することができるものであり便利である。
2 ・・撮像部
21 ・・近赤外線画像撮像手段
22 ・・可視光線画像撮像手段
23 ・・集光手段
24 ・・分光手段
25 ・・光伝送ケーブル
3 ・・情報処理部
31 ・・記憶装置
32 ・・演算装置
33 ・・表示装置
4 ・・検知部
41 ・・紫外線検知手段
42 ・・遠赤外線検知手段
43,44 ・・集光手段
45,46 ・・光伝送ケーブル
5 ・・水素取扱施設(水素供給ステーション)
51 ・・管理棟
52 ・・キャノピー
53 ・・水素供給装置
54 ・・集光ユニット
55 ・・光伝送ケーブルユニット
56 ・・侵入者監視装置
C ・・燃料電池自動車
F ・・水素火炎
E1 ・・防爆区域
E2 ・・非防爆区域
S ・・監視対象領域
Claims (2)
- 水素火炎監視装置と侵入者監視装置とが設置された水素取扱施設であって、
上記水素火炎監視装置の監視対象領域と上記侵入者監視装置の監視対象領域の少なくとも一部が重複しており、
上記水素火炎監視装置は、水素火炎を可視化する水素火炎監視装置であって、
1340〜1500nmの波長領域内で設定された波長を含む近赤外線画像を撮像する近赤外線画像撮像手段、
および可視光線画像を撮像する可視光線画像撮像手段を備える撮像部と、
該撮像部で撮像した監視対象領域の近赤外線画像および可視光線画像を記録する記憶装置、
上記近赤外線画像と上記可視光線画像との差分画像を抽出し、設定した閾値を基準に二値化して二値画像とし、さらに着色して火炎画像とし、該火炎画像を上記可視光線画像からなる背景画像に重畳した合成画像を作成する演算装置、
および上記合成画像を画面に表示する表示装置を備える情報処理部を具備する水素火炎監視装置であり、
上記侵入者監視装置は、1340nm未満の波長領域内で設定された波長を含む近赤外線であって、かつ上記水素火炎監視装置の近赤外線画像撮像手段によって撮像される近赤外線画像の波長領域と実質的に重ならない波長領域の近赤外線を照射する近赤外線照射機を備えることを特徴とする水素取扱施設。 - 請求項1に記載の水素取扱施設であって、
上記水素火炎監視装置が、さらに、水素火炎の発する紫外線の波長領域内で設定された波長を含む紫外線を検知する紫外線検知手段、
および水素火炎の発する遠赤外線の波長領域内で設定された波長を含む遠赤外線を検知する遠赤外線検知手段を備える検知部を具備し、
上記情報処理部の演算装置は、検知部において上記の設定された波長を含む紫外線および上記の設定された波長を含む遠赤外線が同時に検知された場合に、水素火炎の発生と判定する判定手段を有する水素火炎監視装置であることを特徴とする水素取扱施設。
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