JP2004147651A - 植生のヘルスモニタリング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 肉眼では分からない植生の活性状況を定量的に正確に把握し、植生の弱っている状況を可視化する前に捉え、手遅れにならないようにメンテナンスを行う。
【解決手段】 対象とする植生を赤外線熱画像撮像し植生の表面温度挙動を定量的に把握し温度上昇植生を抽出し活性度の低下の可能性を把握し、一方、同植生の分光反射特性を検出し植生の活性度を確認し、活性度が低い場合は肥料散布及び植え替えなどのメンテナンスを行う植生のヘルスモニタリング方法により構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】 対象とする植生を赤外線熱画像撮像し植生の表面温度挙動を定量的に把握し温度上昇植生を抽出し活性度の低下の可能性を把握し、一方、同植生の分光反射特性を検出し植生の活性度を確認し、活性度が低い場合は肥料散布及び植え替えなどのメンテナンスを行う植生のヘルスモニタリング方法により構成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、植生の健康診断方法に関し、公園の植生や屋上緑化植生などの活性度を安全、迅速かつ高精度に検知する技術に関する。
従来、植生の点検は、主として調査員の肉眼による健全性の確認という形で行われて来たが、人的作業であることに起因する記載漏れ、調査員の主観の介在する判定結果のバラツキなどは避けがたく、また、肉眼では手遅れになり多大の費用と労力を要することとなる。
植生は、肉眼では分からないが弱っている可能性があり、活性状況を赤外線で調べるなどのメンテナンスが必要である。例えば、芝刈りや芝生の貼り替え等の芝生管理のために芝生グラウンドを上方からサーモグラフィで撮影する技術が存在する(特許文献1)。
しかしながら、従来の肉眼での点検では次の問題があった。
(イ)植生は、肉眼では分からないが弱っている可能性があり、目視点検だけでは手遅れになる。
(ロ)調査員の主観が介在し、判定結果にバラツキが生じる。
(ハ)目視では、植生の活性度を定量的に把握することができない。
(イ)植生は、肉眼では分からないが弱っている可能性があり、目視点検だけでは手遅れになる。
(ロ)調査員の主観が介在し、判定結果にバラツキが生じる。
(ハ)目視では、植生の活性度を定量的に把握することができない。
また、特許文献1の方法は、芝生グラウンドの地盤表層領域の地中温度を求めるものであり、植生の表面温度挙動に基づくものでなく、植生の活性度を検出するものでもない。
本発明は、植生のヘルスモニタリングに最適なシステムとして構築されたものであり、上記従来の問題点を解決し、植生の活性度を安全、迅速かつ高精度に検知して植生のメンテナンスに役立てることを目的とする。
本発明は、対象とする植生を赤外線熱画像撮像し植生の表面温度挙動を定量的に把握し温度上昇植生を抽出し活性度の低下の可能性を把握し、一方、同植生の分光反射特性を検出し植生の活性度を確認し、活性度が低い場合は肥料散布及び植え替えなどのメンテナンスを行う植生のヘルスモニタリング方法により構成されるものである。
即ち、第1に、対象とする植生を赤外線熱画像撮像し植生の表面温度挙動を定量的に把握し温度上昇植生を抽出し活性度の低下の可能性を把握するステップと、同植生の分光反射特性を検出し植生の活性度を確認し、活性度が低い場合は肥料散布及び植え替えなどのメンテナンスを行うステップと、から構成される植生のヘルスモニタリング方法により構成されるものである。
第2に、植生の赤外線熱画像を撮影し得るサーマルカメラと、当該植生の分光反射率を測定し得る分光反射率測定器と、上記サーマルカメラからの熱画像データ及び上記分光反射率測定器からの分光反射率データに基づいて植生の健全性低下箇所の特定を行うコンピュータとを用いた植生のヘルスモニタリング方法であって、上記サーマルカメラで撮影された上記植生の複数の静止画熱画像データをコンピュータの記憶手段に記憶するステップと、上記記憶手段に記憶された上記熱画像データの中から選択された最高温度箇所を有する画像と最小温度箇所を有する画像の2画像データを上記記憶手段に記憶するステップと、上記コンピュータの差画像作成手段が上記2画像データを減算処理して両画像データの温度差を表す差画像データを作成し、当該差画像を上記記憶手段に記憶すると共に表示手段に表示するステップと、上記表示手段に表示された上記差画像上において温度差の大きい箇所が活性度低下候補箇所として特定されると、当該活性度低下候補箇所の位置情報を上記記憶手段に記憶するステップと、上記コンピュータの温度―時間特性図作成手段が、上記記憶手段に記憶された熱画像データにおける上記活性度低下候補箇所の温度―時間特性図を作成し当該特性図を上記表示手段に表示するステップと、上記表示手段に表示された上記特性図に基づいて上記活性度低下候補箇所の内、温度変化の最も大きい活性度低下候補箇所が特定されると当該箇所を第1の活性度低下箇所として上記記憶手段に記憶するステップと、上記第1の活性度低下箇所を上記差画像上に表示するステップと、上記分光反射率測定器により上記植生の上記活性度低下候補箇所における分光反射率を複数種の波長毎に測定し、上記活性度低下候補箇所の分光反射率データを上記記憶手段に記憶するステップと、上記コンピュータの演算手段が記憶した波長毎の上記分光反射率データに基づいて上記活性度低下候補箇所における植生指標を演算するステップと、上記演算した上記植生指標に基づいて上記活性度低下候補箇所において最も活性度が低下した箇所を第2の活性度低下箇所として上記記憶手段に記憶するステップと、上記第2の活性度低下箇所を上記差画像上に表示するステップと、上記第1及び第2の活性度低下箇所において植生のメンテナンスを行うステップと、から構成される植生のヘルスモニタリング方法により構成されるものである。
第3に、上記コンピュータの画像合成手段が、上記植生のデジタル静止画像上において上記第1の活性度低下箇所と上記第2の活性度低下箇所の位置を表示するステップを有することを特徴とする上記第2に記載の植生のヘルスモニタリング方法により構成されるものである。
第4に、上記植生指標はRVIであって、上記コンピュータはRVI値の最も低い箇所を上記第2の活性度低下箇所として選択することを特徴とする上記第2又は3に記載の植生のヘルスモニタリング方法により構成されるものである。
上記RVIは「A÷B」であり、上記演算手段はかかる演算を実行するものである。ここで、Aは近赤外域、例えば波長0.7[μm]〜1.15[μm]の分光反射率[%]、Bは赤色域、例えば波長0.65[μm]の分光反射率[%]である。尚、上記植生指標としては、NDVI=「(A−B)÷(A+B)」を用いることもできる。
第5に、上記活性度低下候補箇所は、上記差画像上において所定の範囲を以ってエリア指定されるものであり、上記コンピュータの上記温度―時間特性図作成手段は、上記各熱画像データにおける上記活性度低下候補箇所の平均温度を演算し、当該平均温度に基づいて温度−時間特性図を作成するものであり、上記分光反射率測定器により上記活性度低下候補箇所内の任意のポイントにおける分光反射率を測定することを特徴とする上記第2〜4の何れかに記載の植生のヘルスモニタリング方法により構成されるものである。
このように構成すると、サーマルカメラによる健全性の低下箇所の指定を面的に行うことができ、例えば芝生等の面的に広がる植生のヘルスモニタリングとして、より適したモニタリングを行うことができる。
本発明は、赤外線計測技術による植生の温度測定(サーマルカメラ)、植生の分光反射特性の測定(スペクトルフォトメーター)により、植生の活性度を安全、迅速かつ高精度に検知することができる。従って、本発明は、肉眼では分からない弱っている植生の活性状況を可視化する前に事前に把握しメンテナンスに利用することで、肉眼では手遅れになり多大の費用と労力を要することを未然に防ぐことができる手法として、社会に貢献するところ甚大である。
図1に本発明のフローチャートを示す。まず対象となる植生を面的診断として赤外線熱画像撮像しデータをコンピュータ画像処理し(図1P1,P2)、温度上昇植生を抽出し(図1P3)、活性度の低下の可能性を把握し範囲を特定する(図1P4)。次に点的診断として同植生の分光反射特性を検出し(図1P5)、植生の活性度を確認し(図1P6)、対象となる樹木の健康診断を行う。
以上の植生のヘルスモニタリングシステムは、(A)赤外線計測技術、(B)分光反射計測技術の2つの基本技術を用いた調査の結果から判定される。以下、それぞれの技術について詳細に説明する。
(A)赤外線計測技術
(A−1)表面温度分布の計測方法
絶対零度(−273℃)以上の物体はすべて赤外線の領域でその温度に応じた電磁波を放射している。赤外線の領域は、可視光線の長波長端から電波領域の短波長端までの電磁波であり、波長0.72μmから1000μmまでをいい、赤外放射温度計の実用的な温度測定範囲は、−50℃から2000℃であり使用される赤外線の波長は、3μm〜5μmまたは8μm〜12μmである。放射率がεの物体の単位面積、単位波長当たりの放射強度(Mλ)はプランクの法則に従い(1)式で与えられる。
(A−1)表面温度分布の計測方法
絶対零度(−273℃)以上の物体はすべて赤外線の領域でその温度に応じた電磁波を放射している。赤外線の領域は、可視光線の長波長端から電波領域の短波長端までの電磁波であり、波長0.72μmから1000μmまでをいい、赤外放射温度計の実用的な温度測定範囲は、−50℃から2000℃であり使用される赤外線の波長は、3μm〜5μmまたは8μm〜12μmである。放射率がεの物体の単位面積、単位波長当たりの放射強度(Mλ)はプランクの法則に従い(1)式で与えられる。
ここにMλ:分光放射発散度(単位波長、面積当たりの放射量)(W・cm−2・μm−1)
ε:放射率(%)
λ:波長(μm)
C1、C2:放射定数
T:絶対温度(K)
ε:放射率(%)
λ:波長(μm)
C1、C2:放射定数
T:絶対温度(K)
放射率とは、黒体の放射強度に対する物体の放射強度の比を表し、自然界に存在する物体の放射率はすべて0〜1の間の値を取る。キルヒホッフの法則によれば、物体の赤外線放射率と赤外線吸収率は等しく、また、赤外線放射率αと赤外線放射率βとの間には、(2)式の関係が成立する。
β=1−α・・・(2)
このことは赤外線放射率が大きな物体ほど赤外線をよく吸収し、赤外線放射率が小さな物体ほど赤外線をよく反射することを表す。黒体から放射される全放射エネルギーMは、Stefan-Boltzmannの法則によると絶対温度Tの4乗に比例し、(3)式で示される。
M=σT4(W・cm−2)・・・(3)
ここにσ:Stefan-Boltzmannの定数
このStefan-Boltzmannの法則から、物体から放射される放射エネルギーの強度を測定することにより、その物体の温度を測定することができる。
β=1−α・・・(2)
このことは赤外線放射率が大きな物体ほど赤外線をよく吸収し、赤外線放射率が小さな物体ほど赤外線をよく反射することを表す。黒体から放射される全放射エネルギーMは、Stefan-Boltzmannの法則によると絶対温度Tの4乗に比例し、(3)式で示される。
M=σT4(W・cm−2)・・・(3)
ここにσ:Stefan-Boltzmannの定数
このStefan-Boltzmannの法則から、物体から放射される放射エネルギーの強度を測定することにより、その物体の温度を測定することができる。
以上の原理を用いて物体の表面温度を計測する装置が放射温度計であり、赤外線センサの検出波長帯における物体の放射率が既知であれば、赤外線センサを用いて物体の放射する強度を測定することにより、物体の表面温度を知ることができる(図1P1,P2)。
(A−2)温度上昇植生の抽出(図1P3)
赤外放射温度計のカメラ部のレンズで集光された赤外線は、検出器で赤外線の強弱にしたがった電気信号に変換され、プリアンプで増幅されて、温度信号としてコントロール部へ送られる。温度信号は、環境温度補正、放射率補正など赤外線に特有の補正回路を経た後、リニアライザによって温度と出力の関係が直線関係になるように変換され、A/D変換器によってデジタル信号に変換される。A/D変換された温度データは、画像メモリに書き込まれる。メモリ内のデータは文字データとともにテレビフォーマットで読み出され、D/A変換回路を経てアナログ信号に変換され、カラー映像信号としてモニターに表示される。こうして計測された熱画像はデジタルデータとしてハードディスクやフレキシブルディスク(FD)に記録され熱画像処理ソフトを利用してパーソナルコンピュータで画像処理を行う。
赤外放射温度計のカメラ部のレンズで集光された赤外線は、検出器で赤外線の強弱にしたがった電気信号に変換され、プリアンプで増幅されて、温度信号としてコントロール部へ送られる。温度信号は、環境温度補正、放射率補正など赤外線に特有の補正回路を経た後、リニアライザによって温度と出力の関係が直線関係になるように変換され、A/D変換器によってデジタル信号に変換される。A/D変換された温度データは、画像メモリに書き込まれる。メモリ内のデータは文字データとともにテレビフォーマットで読み出され、D/A変換回路を経てアナログ信号に変換され、カラー映像信号としてモニターに表示される。こうして計測された熱画像はデジタルデータとしてハードディスクやフレキシブルディスク(FD)に記録され熱画像処理ソフトを利用してパーソナルコンピュータで画像処理を行う。
一方、調査対象樹木を可視デジタルスチルカメラにより撮影し、前記の熱画像と合成処理を行い、温度上昇植生を抽出する。
(A−3)活性度低下植生を抽出(図1P4〜P7)
植生が光合成を行うときに蒸発散作用も同時に行われる。蒸発散作用により周囲の空気から気化熱を奪うため健全な植生の表面温度は低くなる。したがって、活性度が低下した植生は蒸発散作用が低下し、これによって周囲の空気から気化熱をあまり奪わなくなり表面温度が高くなる。このことから、前記の温度上昇植生、すなわち活性度低下植生を抽出することができる。図3は、生育機能が阻害されたサトウキビの温度状況を観測したサーマルカメラ画像で、他の健全なものと比較して温度が高くなっていることが分かる(エリアE参照)。このように、周囲の植生よりも温度が高い箇所があれば、その箇所の植生は根切れ等を起こし、健全性が阻害されている可能性が高い。
この温度上昇箇所をサ−マルカメラで観測することによって探し出す。この際、植生の温度は種類によって違うため、経時変化を見ていく必要がある。方法は、対象となる自然斜面をサ−マルカメラで経時観測し、熱赤外線画像を取得する。次に、取得した熱赤外線画像の差画像を作成し、植生の温度変化をモニタリングする。
この温度変化は、図3のように画像による確認を行い、また、対象範囲内で任意のポイントを設定し、そのポイントの温度変化を、縦軸を温度、横軸を時間とした温度変化グラフを作成することで確認する。この2種類の解析の結果、著しく温度が上昇した箇所を斜面崩壊の発生危険箇所とする。また、対象斜面においては、写真撮影を行い、この写真画像を熱赤外線画像と重ね合わせることで、詳細な発生危険箇所の特定を行う。
(B)分光反射計測技術
(B−1)分光反射特性の測定
すべての物質は、それぞれ固有の性質として電磁波を反射・吸収・透過し、それ自身放射する。たとえば植物が緑に見えるのは葉中のクロロフィルが青・赤の光を吸収し緑をよく反射するからである。このように電磁波に対する物質固有の波長特性を分光特性という。分光反射特性は一般に、波長ごとの分光反射率で表す。分光反射率は、ある面への入射光束に対する反射光束の比率であり、0から1の範囲で表現される。実際の分光反射率の測定は、同じ照明条件にした白色板を基準にして求める。ある波長における対象植生のよみとり値は、入射光の強さの対数で、式4のように表される。
Vλ=log10∫κEλRλTλSλdλ・・・(4)
ここに、Vλ:波長λにおけるよみとり値
Eλ:光源の相対分光エネルギー分布
Rλ:測定物体の分光反射率
Tλ:フィルタの分光透過率
Sλ:光電変換器の分光感度
κ:装置定数
(B−1)分光反射特性の測定
すべての物質は、それぞれ固有の性質として電磁波を反射・吸収・透過し、それ自身放射する。たとえば植物が緑に見えるのは葉中のクロロフィルが青・赤の光を吸収し緑をよく反射するからである。このように電磁波に対する物質固有の波長特性を分光特性という。分光反射特性は一般に、波長ごとの分光反射率で表す。分光反射率は、ある面への入射光束に対する反射光束の比率であり、0から1の範囲で表現される。実際の分光反射率の測定は、同じ照明条件にした白色板を基準にして求める。ある波長における対象植生のよみとり値は、入射光の強さの対数で、式4のように表される。
Vλ=log10∫κEλRλTλSλdλ・・・(4)
ここに、Vλ:波長λにおけるよみとり値
Eλ:光源の相対分光エネルギー分布
Rλ:測定物体の分光反射率
Tλ:フィルタの分光透過率
Sλ:光電変換器の分光感度
κ:装置定数
次に、同じ照明条件での白色板について測定したVσλと、測定物体について求めたVλから、分光反射率Rλを式5によって導く。
Rλ=∫κEλRλTλSλdλ/κEλTλSλdλ=10(Vλ−Vσλ)
・・・(5)
以上のことから、対象植生の各波長における分光反射率を求め、縦軸に分光反射率、横軸に波長としたグラフを作成することで、対象植生の分光反射特性を知ることができる。
Rλ=∫κEλRλTλSλdλ/κEλTλSλdλ=10(Vλ−Vσλ)
・・・(5)
以上のことから、対象植生の各波長における分光反射率を求め、縦軸に分光反射率、横軸に波長としたグラフを作成することで、対象植生の分光反射特性を知ることができる。
(B−2)植生の活性度低下の確認
図2は一般的な植生の活性度による分光反射特性を示したものである。植生は健全な状態のときには、可視光域において0.55μm付近の波長帯(緑色光域)で、特徴的なピークを有する。植物の葉が緑色に見えるのはこのためである。
図2は一般的な植生の活性度による分光反射特性を示したものである。植生は健全な状態のときには、可視光域において0.55μm付近の波長帯(緑色光域)で、特徴的なピークを有する。植物の葉が緑色に見えるのはこのためである。
また、0.8μm〜1.0μm付近の近赤外領域で反射が高い特性を有する。しかし、植生が病気などで弱ってくれば、この近赤外領域の反射は低下し、さらに活力を失い枯れてしまうと、近赤外領域の反射は著しく低下するとともに、可視光域においては0.65μm付近の波長帯(赤色光域)で反射が上がる。植生が赤く見えるのはこの特性によるものである。
それぞれの反射特性は、各波長領域の反射強さから計算される植生指標(Vegetation Index)によって、数値的に表すことができる。植生指標には6種類あるが、ここでは代表的RVI(Ratioed Vegetation Index)とNDVI(Normarized Differential Vegetation Index)を下記に示す。
RVI=A÷B,NDVI=(A−B)÷(A+B)
ここに、A:近赤外域の反射強さ、B:赤色帯(可視光域)の反射強さである。
RVI=A÷B,NDVI=(A−B)÷(A+B)
ここに、A:近赤外域の反射強さ、B:赤色帯(可視光域)の反射強さである。
図2から、それぞれの状態のRVIを求めると、健全な植物=60÷10=6、弱った植物=40÷10=4、枯れた植物=20÷20=1となる。このように植生指標を用いることにより、数値で植物の健全度が表され、植生指標が大きいほど健全な状態に近いことになる。
この植生指標を、対象植生においてスペクトルフォトメータを用いて経時観測し、植生指標が著しく低下した、すなわち活性度が低下した植生を特定することにより、赤外線放射温度計により抽出された活性度低下植生の活性度を確認し、肉眼では分からない弱っている植生を特定し、早めの手当が可能となる。
以上のように、サーマルカメラ、スペクトルフォトメータを用いて対象植生の温度分布、活性度状況を調べ、温度上昇、活性度低下の両方において変化が見られる植生を特定する。
このことで、今までの肉眼での調査では曖昧であった弱った植生の特定を、既存の手法よりも定量的に早く行うことができる。
図4は本発明に係る方法を実現するための装置のブロック図である。同図において5はサーマルカメラであり、被写体を撮影し該被写体の温度を表示するデジタルカラー静止画による赤外線熱画像データ及び画素毎の温度を示す温度データを所定時間毎(例えば1分毎)にパーソナルコンピュータ7(以下、「コンピュータ7」という)に出力するものである。このサーマルカメラ5から出力される熱画像データは、図5に示すように画素毎のRGBデータ(A1,A2,A3・・・)と、該RGBデータに対応する温度の高低を示す温度データ(B1,B2,B3・・・)から構成されている。当該カラー静止画像は、図3に示すように、被写体の温度の高低を色分けして表示するものであり、パーソナルコンピュータ7の表示手段13に表示された状態では、画面右側に温度と色の対比部8を有する。温度を表示する色は、温度の高い箇所を赤色で表示し、温度が低下するに従い黄色、緑色、青色、紫色、黒色で表示するものであり、各色においてもその濃淡により温度の高低を表示し得るものである。このようなサーマルカメラ5は例えばNEC社製のサーマルカメラTH3102MR等を使用することができる。
6はスペクトルフォトメータ(分光反射率測定器)であり、切換スイッチ(図示せず)を切り換えることにより光学フィルターを切り換えて測定する電磁波の波長を切り換え可能に構成されている。従って、当該切換スイッチを切り換えることにより、電磁波の波長約0.4[μm]〜約1[μm]までの各種波長毎に被測定ポイントの分光反射率を測定し得るものである。即ち、測定波長を定めて撮影することにより、当該波長における被測定ポイントの分光反射率データがコンピュータ7に出力される。このようなスペクトルフォトメータ6は、例えば株式会社阿部設計の2703MMver0.2型ポータブルフォトメータ等を使用することができる。
7はコンピュータであり、上記外部機器5,6等との入出力を制御するI/Oインターフェース9、本発明に係るメインプログラム(図13〜図19、図22に示す)が格納されたRAM及び該メインプログラムに基づいて各種の処理を実行するCPUから構成された制御手段10、上記サーマルカメラ5からの熱画像データS、上記スペクトルフォトメータ6からの分光反射率データ11d、その他上記制御手段10の動作に基づいて各種のデータ(2画像データ11a、差画像データS’、活性度低下候補箇所データ11b、活性度低下箇所データ11c,11f、植生指標データ11e,デジタル画像データ11g等)を格納する記憶手段11、上記制御手段10に対して各種の指示を与えるための入力手段12、各種の画像、文字等を表示するための表示手段13、各種データ、画像を出力するための出力手段14から構成されている。尚、上記入力手段12はキーボード、マウス等の入力装置により構成されており、上記表示手段13は例えば液晶やCRT等の画面を有するディスプレイにより構成されており、上記出力手段14はプリンタにより構成されているものとする。また、上記記憶手段11は例えばハードディスク等の外部記憶装置により構成されているものとする。
上記制御手段10は上記RAMに記憶されたメインプログラムに基づいて各種の機能を実現するものであり、図4に示すように、機能的には後述の選択された2画像の差画像を作成する差画像作成手段10a、温度―時間特性図を作成する温度―時間特性図作成手段10b、分光反射率−波長特性図作成手段10c、及び植生指標(RVI等)を演算するRVI等演算手段10d、被写体の植生のデジタル画像と差画像とを合成する画像合成手段10eとを具備している。
(1)サーマルカメラによる活性度低下箇所の特定
次に、本発明の測定方法について説明する。まず、例えば芝生等の植生をサーマルカメラ5で撮影する。この場合、例えばコンピュータ7の制御手段10は時間t1(例えば1分)毎にサーマルカメラ5からの静止画の熱画像データS1,S2,S3…(RGBデータ及び温度データ)をI/Oインターフェース9を介して読み込み(図13P1,P2)、これらの熱画像データS1、S2、S3・・・・を記憶手段11に熱画像データSとして順次記憶していく(図13P3、P4、図6参照)。
次に、本発明の測定方法について説明する。まず、例えば芝生等の植生をサーマルカメラ5で撮影する。この場合、例えばコンピュータ7の制御手段10は時間t1(例えば1分)毎にサーマルカメラ5からの静止画の熱画像データS1,S2,S3…(RGBデータ及び温度データ)をI/Oインターフェース9を介して読み込み(図13P1,P2)、これらの熱画像データS1、S2、S3・・・・を記憶手段11に熱画像データSとして順次記憶していく(図13P3、P4、図6参照)。
次に、操作者は入力手段12を操作して上記記憶手段11内の熱画像データSを表示手段13に図3に示すように表示させ(図14P1,P2)、画面上の熱画像データを見ながら各熱画像データS1,S2,S3・・・の内、最大温度の存在する画像と最小温度の存在する画像を選択する(図14P3)。尚、ここでは説明の簡単のため、図6に示すように熱画像には3つのエリアa,b、cが存在するものと考える。この選択作業は、熱画像の内、最も濃い赤色で表示されている高温部エリアを有する画像(ここでは高温部エリアaを有する熱画像データS9とする(図6参照))に着目し、当該熱画像データS9を基準として、上記高温部エリアaにおいて最も温度の低い箇所の存在する熱画像データ(ここでは熱画像データS3とする(図6参照))を選択する。すると、コンピュータ7の制御手段10は、これらの2つの熱画像データS3,S9を記憶手段11に記憶し、かつ表示手段13に表示する(図14P4、図4、2画像データ11a参照)。
次に、操作者は入力手段12から差画像S’を作成する指令をコンピュータ7に与える(図14P5)。すると、コンピュータ7の差画像作成手段10aは、上記記憶手段11内の2画像データ11aに基づいて熱画像データS3,S9を抽出し、上記熱画像データS3と熱画像データS9の各画素毎の温度データの差を演算して差画像データS’(図7参照)を作成し、当該差画像データS’を記憶手段11に記憶すると共に、表示手段13に表示する(図14P6)。このとき、上記差画像作成手段10aは、図7(b)に示すように、記憶手段11に記憶されている上記熱画像データS9,S3の各画素毎の温度データを各画素毎に減算を実行して差画像データS’を得る。尚、図7(b)では各エリアa,b、cの各画素の温度データが、熱画像データS9では「40」「20」「10」、熱画像データS3では「20」「15」「5」であり、これらが減算されて、差画像データS’においては各々「20」「5」「5」となっていることを示す。従って、表示手段13においては同図(a)の差画像S’のようにエリアaのみが最も温度が高く(赤色)表示されることになり、これによりエリアaにおいて最も温度変化が大きい、即ち植生の健全性が低下している可能性が高いということがわかる。尚、図7(b)では差画像S’の各エリアa,b,c内においては温度データが均一としているが、実際には各エリア内においても温度の高低(濃淡)は存在する。
その後、操作者は上記画面上に表示された差画像S’の内、温度差の大きいエリアa内において、特に濃い赤色で表示された温度差の大きい複数のポイント又はエリアを活性度低下候補箇所として指定する(図14P7)。本実施形態では図8に示すように、エリアa内において、Q1,Q2,Q3の3つのポイントを指定したとする。すると、コンピュータ7の制御手段10は指定されたポイントのxy座標位置Q1(x1、y1)、Q2(x2、y2)、Q3(x3、y3)を活性度低下候補箇所の位置データ11bとして記憶手段11に記憶する(図14P8)。
次に、コンピュータ7の温度―時間特性図作成手段10bは、上記記憶手段11の熱画像データS(S1,S2,S3・・・)を参照し、活性度低下候補データ11bの位置データQ1,Q2,Q3に対応する上記熱画像データS1、S2,S3・・・の位置Q1(x1、y1)、Q2(x2、y2)、Q3(x3、y3)における温度データを上記記憶手段11から読み出し(図6参照)、図9に示すように横軸を経過時間、縦軸を温度とした温度−時間特性図Gを作成し、当該特性図Gを表示手段13に表示する(図14P9,P10)。
その後、操作者は、画面上に表示された特性図Gを見て、入力手段12を以って、傾きの最も大きい箇所、即ち温度変化の最も大きい箇所(本実施形態では活性度低下候補箇所Q1とする)を特定する(図15P1)。すると、上記制御手段10は当該活性度低下候補箇所Q1の位置データ(x1、y1)を活性度低下箇所データ11c(第1の活性度低下箇所)として記憶手段11に記憶すると共に(図15P2)、上記差画像データS’を上記記憶手段11から抽出して表示手段13に再度表示して(図15P3)、上記活性度低下箇所Q1(x1,y1)を差画像S’上に他の活性度低下候補箇所Q2,Q3と区別し得るように、例えば色分け、或いは丸印その他の方法で表示する(図15P4、図8参照)。
以上の処理により、サーマルカメラ5による活性度低下箇所Q1(第1の活性度低下箇所)の特定処理が終了する。
上記図14のステップP7において、本実施形態では活性度低下候補箇所をポイント(点)で指定したが、ポイントに限らず複数の範囲を面として指定をすることにより、エリア指定することもできる(図22P7参照)。この場合、図21に示すように差画像における画素1〜9のエリアQ1を指定したとすると、上記制御手段10は上記エリアを活性度低下候補箇所Q1として認識し、記憶手段11に記憶する(図22ステップP8a)。上記制御手段10の温度−時間特性図作成手段10bは次に記憶手段11内の熱画像データSの各熱画像データS1,S2・・・において、当該活性度低下候補箇所(画素1〜9のエリアQ1)の平均温度Tavを求める(図22ステップP8b)。即ち、画素1〜9における温度データがT1〜T9とすると、上記コンピュータは、平均温度データとして(T1+T2+…T8+T9)/9=Tavを求める。他の活性度低下候補箇所Q2,Q3等も同様にエリア指定することにより、同様に指定された各エリアの平均温度が求められる。その後、上記熱画像データS1、S2…のエリアQ1,Q2,Q3の各平均温度Tavに基づいて温度―時間特性図G(図9)を同様に作成する(図22P9a)。このように構成すると、活性度低下候補箇所を面的に把握することができる。
(2)スペクトルフォトメータによる危険箇所の特定
次に操作者は、上記自然斜面における上記(1)の処理で特定した活性度低下候補箇所Q1,Q2,Q3についてスペクトルフォトメータ6で分光反射特性の測定を行う。ここで、電磁波の波長は例えば波長0.4[μm]から1[μm]の範囲における複数の波長に対する分光反射率を測定する。すると、各波長毎に分光反射率データがコンピュータ7に入力し(図16P1)、該コンピュータ7は波長毎の分光反射率データを記憶手段11に記憶する(図16P2、記憶手段11の分光反射データ11d参照)。全ての活性度低下候補箇所Q1、Q2、Q3について測定が修了すると処理を終了する(図16P3)。尚、上記記憶手段11に記憶される各ポイント毎の分光反射率データC1,C2・・・、D1,D2・・・、E1,E2・・・を図10(a)〜(c)に示す。尚、上記活性度低下候補箇所をエリア指定した場合は、スペクトルフォトメータ6において、当該活性度低下箇所のエリア内における任意のポイントについて分光反射率を測定すれば良い。例えば、活性度低下候補箇所Q1、Q2,Q3の各エリアについて各々1点ずつのポイント(Q1,Q2,Q3)の分光反射率を測定するように構成することができる。
次に操作者は、上記自然斜面における上記(1)の処理で特定した活性度低下候補箇所Q1,Q2,Q3についてスペクトルフォトメータ6で分光反射特性の測定を行う。ここで、電磁波の波長は例えば波長0.4[μm]から1[μm]の範囲における複数の波長に対する分光反射率を測定する。すると、各波長毎に分光反射率データがコンピュータ7に入力し(図16P1)、該コンピュータ7は波長毎の分光反射率データを記憶手段11に記憶する(図16P2、記憶手段11の分光反射データ11d参照)。全ての活性度低下候補箇所Q1、Q2、Q3について測定が修了すると処理を終了する(図16P3)。尚、上記記憶手段11に記憶される各ポイント毎の分光反射率データC1,C2・・・、D1,D2・・・、E1,E2・・・を図10(a)〜(c)に示す。尚、上記活性度低下候補箇所をエリア指定した場合は、スペクトルフォトメータ6において、当該活性度低下箇所のエリア内における任意のポイントについて分光反射率を測定すれば良い。例えば、活性度低下候補箇所Q1、Q2,Q3の各エリアについて各々1点ずつのポイント(Q1,Q2,Q3)の分光反射率を測定するように構成することができる。
次に操作者は入力手段12から波長―分光反射率特性図の作成指令を行うと(図17P1)、コンピュータ7の分光反射率−波長特性図作成手段10cは、記憶手段11から分光反射率データ11dを抽出し(図17P2)、その波長データ及び分光反射率データに基づいて各活性度低下候補箇所Q1,Q2,Q3の分光反射率−波長特性図H(図11参照)を作成し(図17P3)、当該特性図Hを表示手段13に表示する(図17P4)。尚、上記図16のステップP3において全てのポイントの分光反射率データの記憶が終了した時点で、コンピュータ7が自動的に上記分光反射率−波長特性図Hを作成するように構成しても良い。
次に、操作者はコンピュータ7に対しRVI(植生指標)の演算指令を行う(図17P5)。すると、コンピュータ7の演算手段10dは、Q1〜Q3の各ポイントについてRVI(=A/B)の演算を行い、記憶手段11に植生指標データ11eとして記憶する(図17P6、P7)。尚、演算結果は以下のようになったとする。
Q1(x1、y1)のRVI≒1
Q2(x2、y2)のRVI≒5
Q3(x3、y3)のRVI≒4
尚、A:近赤外域、波長0.75μm近傍の分光反射率[%]
B:赤色域、波長0.65μm近傍の分光反射率[%]
Q2(x2、y2)のRVI≒5
Q3(x3、y3)のRVI≒4
尚、A:近赤外域、波長0.75μm近傍の分光反射率[%]
B:赤色域、波長0.65μm近傍の分光反射率[%]
引き続いて、コンピュータ7の制御手段10は上記演算したRVI値の内、最低のRVI値を持つ活性度低下候補箇所、即ち植生の活性度が最も低下している箇所、この場合活性度低下候補箇所Q1を選択し、当該箇所を活性度低下箇所データ11f(第2の活性度低下箇所)として記憶手段11に記憶する(図18P8)。その後、制御手段10は、記憶手段11から差画像データS’を呼び出し表示手段13に表示し(図18P9)、かつ上記活性度低下箇所Q1を他のポイントQ2,Q3と区別し得るように(例えば、色分け、二重丸印等)で表示する(図18P10、図12の活性度低下箇所Q1参照)。
以上の処理により、サーマルカメラで特定された第1の活性度低下箇所Q1、スペクトルフォトメータにおいても活性度低下箇所であると特定された第2の活性度低下箇所Q1を特定し表示手段13に表示することができる。尚、上記実施形態では両活性度低下箇所が同一である場合を示したが、異なる場合は各活性度低下箇所を各々画面上の差画像に表示する。また、上記実施形態では植生指標としてRVIを用いたが、NDVIを用いることも勿論可能である。
その後、操作者は入力手段12から画像合成指令をコンピュータ7に与えると(図19P1)、制御手段10の画像合成手段10eは、デジタルカメラ15で予め撮影し記憶手段11に記憶している被写体である植生のデジタル静止画像データ11gを抽出し(図19P2)、当該デジタル画像11gと上記差画像データS’とを合成し(図19P3,P4)、自然斜面のデジタル画像上に上記活性度低下箇所Q1を表示し、操作者の出力指令に基づいて(図19P5)、当該デジタル静止画像を出力手段14にてプリントアウトするものである(図19P6)。即ち、上記デジタル静止画像上において、第1の活性度低下箇所と第2の活性度低下箇所を表示することができる。尚、合成画像の一例を図20に示す。
その後は、上記活性度低下箇所Q1(第1及び第2の活性度低下箇所Q1)を中心に肥料散布、植え替え等を行うことで、目視では確認できない活性度の低下箇所のメンテナンスを効果的に行うことができる。
以上説明したように、本発明は、(イ)赤外線計測技術による植生の温度測定(サーマルカメラ)、(ロ)赤外線計測技術による植生の分光反射特性の測定(スペクトルフォトメーター)等の画像処理技術を駆使し、植生の活性度を安全、迅速かつ高精度に検知することができる。従って、本発明は、肉眼では分からない弱っている植生の活性状況を可視化する前に事前に把握しメンテナンスに利用することで、肉眼では手遅れになり多大の費用と労力を要することを未然に防ぐことができる手法として、社会に貢献するところ甚大である。
P1〜P7 植生のヘルスモニタリング方法の手順
5 サーマルカメラ
6 スペクトルフォトメータ
7 コンピュータ
10 制御手段
10a 差画像作成手段
10b 温度―時間特性図作成手段
10d 演算手段
10e 画像合成手段
11 記憶手段
11a 2画像データ
11d 分光反射率データ
S 熱画像データ
S1,S2・・・ 熱画像データ
S’ 差画像データ
Q1,Q2,Q3 活性度低下候補箇所
5 サーマルカメラ
6 スペクトルフォトメータ
7 コンピュータ
10 制御手段
10a 差画像作成手段
10b 温度―時間特性図作成手段
10d 演算手段
10e 画像合成手段
11 記憶手段
11a 2画像データ
11d 分光反射率データ
S 熱画像データ
S1,S2・・・ 熱画像データ
S’ 差画像データ
Q1,Q2,Q3 活性度低下候補箇所
Claims (5)
- 対象とする植生を赤外線熱画像撮像し植生の表面温度挙動を定量的に把握し温度上昇植生を抽出し活性度の低下の可能性を把握するステップと、
同植生の分光反射特性を検出し植生の活性度を確認し、活性度が低い場合は肥料散布及び植え替えなどのメンテナンスを行うステップと、
から構成される植生のヘルスモニタリング方法。 - 植生の赤外線熱画像を撮影し得るサーマルカメラと、当該植生の分光反射率を測定し得る分光反射率測定器と、上記サーマルカメラからの熱画像データ及び上記分光反射率測定器からの分光反射率データに基づいて植生の健全性低下箇所の特定を行うコンピュータとを用いた植生のヘルスモニタリング方法であって、
上記サーマルカメラで撮影された上記植生の複数の静止画熱画像データをコンピュータの記憶手段に記憶するステップと、
上記記憶手段に記憶された上記熱画像データの中から選択された最高温度箇所を有する画像と最小温度箇所を有する画像の2画像データを上記記憶手段に記憶するステップと、
上記コンピュータの差画像作成手段が上記2画像データを減算処理して両画像データの温度差を表す差画像データを作成し、当該差画像を上記記憶手段に記憶すると共に表示手段に表示するステップと、
上記表示手段に表示された上記差画像上において温度差の大きい箇所が活性度低下候補箇所として特定されると、当該活性度低下候補箇所の位置情報を上記記憶手段に記憶するステップと、
上記コンピュータの温度―時間特性図作成手段が、上記記憶手段に記憶された熱画像データにおける上記活性度低下候補箇所の温度―時間特性図を作成し当該特性図を上記表示手段に表示するステップと、
上記表示手段に表示された上記特性図に基づいて上記活性度低下候補箇所の内、温度変化の最も大きい活性度低下候補箇所が特定されると当該箇所を第1の活性度低下箇所として上記記憶手段に記憶するステップと、
上記第1の活性度低下箇所を上記差画像上に表示するステップと、
上記分光反射率測定器により上記植生の上記活性度低下候補箇所における分光反射率を複数種の波長毎に測定し、上記活性度低下候補箇所の分光反射率データを上記記憶手段に記憶するステップと、
上記コンピュータの演算手段が記憶した波長毎の上記分光反射率データに基づいて上記活性度低下候補箇所における植生指標を演算するステップと、
上記演算した上記植生指標に基づいて上記活性度低下候補箇所において最も活性度が低下した箇所を第2の活性度低下箇所として上記記憶手段に記憶するステップと、
上記第2の活性度低下箇所を上記差画像上に表示するステップと、
上記第1及び第2の活性度低下箇所において植生のメンテナンスを行うステップと、
から構成される植生のヘルスモニタリング方法。 - 上記コンピュータの画像合成手段が、上記植生のデジタル静止画像上において上記第1の活性度低下箇所と上記第2の活性度低下箇所の位置を表示するステップを有することを特徴とする請求項2に記載の植生のヘルスモニタリング方法。
- 上記植生指標はRVIであって、上記コンピュータはRVI値の最も低い箇所を上記第2の活性度低下箇所として選択することを特徴とする請求項2又は3に記載の植生のヘルスモニタリング方法。
- 上記活性度低下候補箇所は、上記差画像上において所定の範囲を以ってエリア指定されるものであり、
上記コンピュータの上記温度―時間特性図作成手段は、上記各熱画像データにおける上記活性度低下候補箇所の平均温度を演算し、当該平均温度に基づいて温度−時間特性図を作成するものであり、
上記分光反射率測定器により上記活性度低下候補箇所内の任意のポイントにおける分光反射率を測定することを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の植生のヘルスモニタリング方法。
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