JP5921311B2 - 画像処理装置及び画像処理方法 - Google Patents
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Description
しかし、衛星や航空機に搭載されているセンサが観測する場合、被写体の放射輝度が長距離の大気を伝搬してセンサに到達するため、大気伝搬の影響を受けた被写体の放射輝度がセンサに観測される。
したがって、大気透過率(センサにより観測される波長帯に依存する固有の値)と、大気散乱放射輝度の大気伝搬補正パラメータとが既知であれば、被写体本来の放射輝度を算出することができるが、センサにより観測される波長帯や、センサの観測条件(例えば、季節、エアロゾルなど)に応じて、大気伝搬補正パラメータが異なる。
このため、画像処理装置が、センサにより観測された画像を構成している各画素の輝度値(被写体の放射輝度)を補正するためには、大気伝搬補正パラメータを特定する必要がある。
また、以下の特許文献2には、地形データから海面の領域を特定し、海面の放射輝度から大気伝搬補正パラメータを算出し、その大気伝搬補正パラメータを用いて、被写体の放射輝度を補正している画像処理装置が開示されている。
また、特許文献2の場合、地形データから海面の領域を特定して、海面の放射輝度から大気伝搬補正パラメータを算出しているため、地形データを入手できなければ、大気伝搬補正パラメータを算出することができず、被写体の放射輝度を補正することができない課題があった。
図1はこの発明の実施の形態1による画像処理装置を示す構成図である。
図1において、画像入力部1はバンド数nのマルチスペクトラルセンサとデータ通信する機能(例えば、通信機器、ネットワークインタフェース)を備えており、バンド数nのマルチスペクトラルセンサにより観測された画像を入力する処理を実施する。
ヒストグラム解析部2は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、画像入力部1により入力された各センサの画像をヒストグラム解析することで、各センサの画像毎に、当該画像を構成している各画素の輝度値(放射輝度)の中で、最小の輝度値を特定する処理を実施する。
なお、画像入力部1及びヒストグラム解析部2から最小放射輝度特定手段が構成されている。
大気伝搬補正部4はマルチスペクトラルセンサにより観測された画像を構成している各画素の輝度値を補正する処理部であり、大気散乱放射輝度計算部5、大気散乱放射輝度補正部6及び大気透過率補正部7から構成されている。
大気透過率補正部7は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、大気散乱放射輝度補正部6の減算結果をセンサパラメータ記憶部3に記憶されている大気透過率τで除算することで、各画素の輝度値を補正する処理を実施する。
なお、大気散乱放射輝度補正部6及び大気透過率補正部7から放射輝度補正手段が構成されている。
画像出力部9は例えばGPU(Graphics Processing Unit)から構成されており、スペクトル解析部8から出力されたスペクトル解析画像を図示せぬディスプレイに表示する処理を実施する。
なお、スペクトル解析部8及び画像出力部9から画像出力手段が構成されている。
画像処理装置がコンピュータで構成されている場合、センサパラメータ記憶部3をコンピュータの内部メモリ又は外部メモリ上に構成するとともに、画像入力部1、ヒストグラム解析部2、大気散乱放射輝度計算部5、大気散乱放射輝度補正部6、大気透過率補正部7、スペクトル解析部8及び画像出力部9の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリ格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
図2はこの発明の実施の形態1による画像処理装置の処理内容(画像処理方法)を示すフローチャートである。
図3は大気散乱モデルを示すイメージ図である。
太陽光は、図3に示すように、被写体である地表で反射され、その反射光(強度)がマルチスペクトラルセンサに観測される。
例えば、バンドiの波長帯に対する被写体本来の放射輝度Li(被写体である地表で反射される太陽光の強度であり、以下、被写体本来の放射輝度を「被写体の放射輝度」と称する)は、大気の伝搬中に減衰されるが、波長帯に依存する大気透過率をτiとすると、被写体である地表から遠距離に位置するマルチスペクトラルセンサに伝達される放射輝度はτiLiとなる。
ただし、i=1〜nのバンドを表している。
Lscatt,iが被写体の放射輝度Liに加わるため、大気減衰及び大気散乱光を含んでいるバンドiの放射輝度はτiLi+Lscatt,iとなる。
したがって、マルチスペクトラルセンサにより観測されるバンドiの放射輝度
Lsensor,iは、下記の式(1)で表される。
Lsensor,i=τiLi+Lscatt,i (1)
画像処理装置の画像入力部1は、バンド数nのマルチスペクトラルセンサから出力される画像を入力し、n個の画像をヒストグラム解析部2に出力する(図2のステップST1)。
なお、最小の放射輝度値(Lsensor,i)minは、波長依存性があり、バンド毎に異なるデータ特性を持っているが、式(2)では、その波長特性を波長帯に依存する成分である大気散乱放射輝度比αiで正規化しているため、同特性のデータとして扱うことができる。
したがって、バンド数nのマルチスペクトラルセンサの観測データを統計的に処理することができる。
Lscatt0を算出すると、下記の式(3)に示すように、その観測環境に依存する成分Lscatt0と、波長帯に依存する成分である大気散乱放射輝度比αiとを用いて、大気中の分子又は粒子による太陽光の散乱光がバンドiのマルチスペクトラルセンサに入射されることによって発生する大気散乱放射輝度Lscatt,iを算出する(ステップST4)。
この実施の形態1では、光線の波長をセンサパラメータによって決定するため、その成分をαiとしてモデル化して、センサパラメータ記憶部3に記憶している。異なるマルチスペクトラルセンサを用いる場合でも、センサパラメータ記憶部3に記憶しているαiを交換することで対応することができる。
この実施の形態1では、上述したように、分子や粒子の構成によって決まる大気散乱の大きさを観測環境に依存する成分Lscatt0としてモデル化しているが、分子や粒子の構成は気候により異なり、また、その影響も、日照条件やマルチスペクトラルセンサの視軸条件などによって変化する。
Lscatt,iを算出すると、下記の式(4)の分子部分に示すように、画像入力部1により入力された画像(バンド数nのマルチスペクトラルセンサにより観測された画像)を構成している各画素の放射輝度値Lsensor,iから、大気散乱放射輝度計算部5により算出された大気散乱放射輝度Lscatt,iを減算する(ステップST5)。
大気透過率補正部7は、下記の式(4)に示すように、大気散乱放射輝度補正部6の減算結果をセンサパラメータ記憶部3に記憶されている波長帯に依存する大気透過率τiで除算することで、各画素の放射輝度値Lsensor,iを補正する(ステップST6)。
大気透過率補正部7による補正後の放射輝度値Liは、スペクトル解析部8に出力される。
なお、大気透過率τiのデータは、対象となるマルチスペクトラルセンサによる実測値を用いてもよいし、大気伝搬のシミュレーションにより算出された値を使用するようにしてもよい。
様々な気候条件やセンサの観測条件に対する大気透過率の平均をτiとして用いることで、統計的に確度が高い大気透過率を設定することができる。
なお、スペクトル解析部8が、例えば、各バンドの比率あるいは差分を出力する形態のスペクトルデータ解析を行う場合、上記の大気透過率τiは、相対値として各バンドの比率が与えられるものであってもよい。
画像出力部9は、スペクトル解析部8からスペクトル解析画像を受けると、そのスペクトル解析画像を図示せぬディスプレイに表示する(ステップST8)。
即ち、マルチスペクトラルセンサには、不良画素や内部回路の不具合よって、センサへの入射輝度が適切に出力されない画素が存在する。このとき、不良画素の多くは、入射輝度値がゼロ、あるいは、飽和値が出力されるため、不良画素を除いた値から最小の放射輝度値(Lsensor,i)minを特定することで、より高精度な大気散乱放射輝度の観測環境に依存する成分Lscatt0を算出することができる。
例えば、画像内の不良画素の数が総画素数の1%である場合、ヒストグラムの中で下位1%を除き、残りの上位99%のヒストグラムの中から、最小の放射輝度値(Lsensor,i)minを特定することで、不良画素や内部回路の不具合による誤信号を除去することができる。
図4はこの発明の実施の形態2による画像処理装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
植生指標値算出部10は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、大気伝搬補正部4により補正された各画素の光輝度値から植生指標値を算出して、植生の活性度を表す植生活性度分布画像を出力する処理を実施する。
画像出力部11は例えばGPUから構成されており、植生指標値算出部10から出力された植生活性度分布画像を図示せぬディスプレイに表示する処理を実施する。
なお、植生指標値算出部10及び画像出力部11から画像出力手段が構成されている。
画像処理装置がコンピュータで構成されている場合、センサパラメータ記憶部3をコンピュータの内部メモリ又は外部メモリ上に構成するとともに、画像入力部1、ヒストグラム解析部2、大気散乱放射輝度計算部5、大気散乱放射輝度補正部6、大気透過率補正部7、植生指標値算出部10及び画像出力部11の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリ格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
ただし、植生指標値算出部10及び画像出力部11以外は、上記実施の形態1と同様であるため、植生指標値算出部10及び画像出力部11の処理内容だけを説明する。
画像出力部11は、植生指標値算出部10から植生活性度分布画像を受けると、その植生活性度分布画像をディスプレイに表示する。図5は画像出力部11による植生活性度分布画像の表示例を示す説明図である。
図6はこの発明の実施の形態3による画像処理装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
温度解析部12は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、大気伝搬補正部4により補正された各画素の放射輝度値を温度に換算して、被写体の温度分布を示す温度分布画像を出力する処理を実施する。
画像出力部13は例えばGPUから構成されており、温度解析部12から出力された温度分布画像を図示せぬディスプレイに表示する処理を実施する。
なお、温度解析部12及び画像出力部13から画像出力手段が構成されている。
画像処理装置がコンピュータで構成されている場合、センサパラメータ記憶部3をコンピュータの内部メモリ又は外部メモリ上に構成するとともに、画像入力部1、ヒストグラム解析部2、大気散乱放射輝度計算部5、大気散乱放射輝度補正部6、大気透過率補正部7、温度解析部12及び画像出力部13の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリ格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
ただし、温度解析部12及び画像出力部13以外は、上記実施の形態1と同様であるため、温度解析部12及び画像出力部13の処理内容だけを説明する。
温度換算式としては、下記の式(7)に示すプランクの黒体放射式を用いることができる。
熱赤外センサの中心波長λTIR0と、熱赤外センサが感度を持つ半値全幅をΔλとすると、式(7)は式(8)のように簡易化することができる。
温度解析部12は、温度Tを算出すると、各画素の温度Tからなる温度分布画像を画像出力部13に出力する。
画像出力部13は、温度解析部12から温度分布画像を受けると、その温度分布画像をディスプレイに表示する。
図7はこの発明の実施の形態4による画像処理装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
フォールスカラー画像生成部14は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、大気伝搬補正部4により補正された各画素の光輝度値からフォールスカラー画像を生成して、そのフォールスカラー画像を出力する処理を実施する。
画像出力部15は例えばGPUから構成されており、フォールスカラー画像生成部14から出力されたフォールスカラー画像を図示せぬディスプレイに表示する処理を実施する。
なお、フォールスカラー画像生成部14及び画像出力部15から画像出力手段が構成されている。
画像処理装置がコンピュータで構成されている場合、センサパラメータ記憶部3をコンピュータの内部メモリ又は外部メモリ上に構成するとともに、画像入力部1、ヒストグラム解析部2、大気散乱放射輝度計算部5、大気散乱放射輝度補正部6、大気透過率補正部7、フォールスカラー画像生成部14及び画像出力部15の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリ格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
ただし、フォールスカラー画像生成部14及び画像出力部15以外は、上記実施の形態1と同様であるため、フォールスカラー画像生成部14及び画像出力部15の処理内容だけを説明する。
また、温度分布画像の表示を目的とする場合、表示カラーのRGBバンドに、R,G,TIRを設定することで、温度分布のフォールスカラー画像を生成することができる。
また、温度分布画像の表示を目的とする場合、図6の温度解析部12と同様の温度分布画像生成機能を備え、温度分布画像を生成する際、表示カラーのRGBバンドに、R,G,TIRを設定することで、温度分布のフォールスカラー画像を生成する。
画像出力部15は、フォールスカラー画像生成部14から出力されたフォールスカラー画像をディスプレイに表示する。
Claims (6)
- センサにより観測された画像を構成している各画素の放射輝度の中で、最小の放射輝度を特定する最小放射輝度特定手段と、
大気中の分子又は粒子によって太陽光が散乱された光が上記センサに入射されることによって発生する大気散乱放射輝度の中で、上記センサにより観測される波長帯に依存する既知の成分と、上記最小放射輝度特定手段により特定された最小の放射輝度とを用いて、上記センサの観測環境に依存する成分を算出し、上記観測環境に依存する成分と上記波長帯に依存する成分から大気散乱放射輝度を算出する大気散乱放射輝度算出手段と、
上記大気散乱放射輝度算出手段により算出された大気散乱放射輝度と既知の大気透過率を用いて、上記センサにより観測された画像を構成している各画素の放射輝度を補正する放射輝度補正手段と、
上記放射輝度補正手段により各画素の放射輝度が補正された画像を出力する画像出力手段と
を備えた画像処理装置。 - 画像出力手段は、放射輝度補正手段により各画素の放射輝度が補正された画像をスペクトル解析して、そのスペクトル解析結果であるスペクトル解析画像を出力することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 画像出力手段は、放射輝度補正手段により補正された各画素の放射輝度から植生指標値を算出して、植生の活性度を表す植生活性度分布画像を出力することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 画像出力手段は、放射輝度補正手段により補正された各画素の放射輝度を温度に換算して、被写体の温度分布を示す温度分布画像を出力することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 画像出力手段は、放射輝度補正手段により補正された各画素の放射輝度からフォールスカラー画像を生成して、上記フォールスカラー画像を出力することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 最小放射輝度特定手段が、センサにより観測された画像を構成している各画素の放射輝度の中で、最小の放射輝度を特定する最小放射輝度特定処理ステップと、
大気散乱放射輝度算出手段が、大気中の分子又は粒子によって太陽光が散乱された光が上記センサに入射されることによって発生する大気散乱放射輝度の中で、上記センサにより観測される波長帯に依存する既知の成分と、上記最小放射輝度特定処理ステップで特定された最小の放射輝度とを用いて、上記センサの観測環境に依存する成分を算出し、上記観測環境に依存する成分と上記波長帯に依存する成分から大気散乱放射輝度を算出する大気散乱放射輝度算出処理ステップと、
放射輝度補正手段が、上記大気散乱放射輝度算出処理ステップで算出された大気散乱放射輝度と既知の大気透過率を用いて、上記センサにより観測された画像を構成している各画素の放射輝度を補正する放射輝度補正処理ステップと、
画像出力手段が、上記放射輝度補正処理ステップで各画素の放射輝度が補正された画像を出力する画像出力処理ステップと
を備えた画像処理方法。
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