JP3776291B2 - 環境試験装置の扉露受け構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、恒温恒湿器のような環境試験装置の本体に形成された開口を開閉する扉の内面に発生する露が床面に落ちないように露を受けるための環境試験装置の扉露受け構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
恒温恒湿器のような環境試験装置は、電子部品や化学品などの試料を一定環境条件下に保持してこれらの特性試験を行う際に用いられる。恒温恒湿器の器内が高温高湿に制御されるとき、扉の内側には結露が生じることが多い。そこで、通常は、恒温恒湿器の本体または扉に露受けパンを設けることにより、露が床面に落下して作業環境を悪化させるのを防止している。
【0003】
恒温恒湿器の本体に形成された開口を開閉するための扉として、ヒンジによって本体に回動可能に取り付けられた回動扉と、本体の開口面と平行にスライド移動するスライド扉とがある。回動扉の場合、図12(a)に示すように、扉101の下端部および本体102の下端部にこれらの幅全体にわたってそれぞれ露受けパン103、104を設けるのが通常である。このとき、図12(a)の破線で描かれた丸枠内の部分拡大図である図12(b)に示すように、扉側の露受けパン103には、閉扉時および開扉時のどちらであっても本体側の露受けパン104へと水分が流れるような通路105が設けられる。また、露受けパン104の底部に設けられたドレン孔106から外部へと水分を排出できるようになっている。
【0004】
一方、スライド扉の場合、図13に示すように、扉111の下端部には露受けパンを設けず、本体112の下端部にその幅全体にわたって露受けパン114を設けるのが通常である。これにより、扉111がどの位置にあるときでも、露を確実に露受けパン114で受けとめ、必要であればその底部に設けられたドレン孔(図示せず)から外部へと水分を排出できるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したスライド扉の露受け機構については、本体112側の露受けパン114を本体112の幅全体にわたって設ける必要があるため、比較的大型なものとなってしまうという問題がある。
【0006】
また、上述したような回動扉およびスライド扉は閉扉状態から回動或いはスライドのいずれかの一動作によって全開可能なものであるため、扉前に高温気体が短時間のうちに大量に排出され、扉前の環境が急変してしまうおそれがある。そこで、本発明者の一人は、閉扉状態から鉛直軸を中心として所定角度だけ回動した後に鉛直軸が水平にスライドすることによって開扉状態となり得る環境試験装置の扉装置を発明し、特許出願している(特願2000−152767号)。これによると、閉扉状態にある扉が回動動作およびスライド動作の2動作を経てから全開することになるので、扉前に高温気体が短時間のうちに大量に排出されることがなくなる。しかしながら、この扉装置には、上述した回動扉またはスライド扉の露受け機構をそのまま適用することができない。
【0007】
そこで、本発明の第1の目的は、比較的コンパクトな環境試験装置の露受け機構を提供することである。
【0008】
また、本発明の第2の目的は、上述したような閉扉状態から回動動作およびスライド動作を経てから開扉状態となり得る扉装置に適した環境試験装置の露受け機構を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の環境試験装置の扉露受け構造は、環境試験装置の本体に形成された開口を開閉するスライド可能な扉と、前記扉の内面に付着した露を受けることができるように、前記扉の内面に配置された第1の露受けパンと、前記開口及び前記第1の露受けパンよりも下方であって、少なくとも一部が前記第1の露受けパンと鉛直方向に重なるように配置された第2の露受けパンと、前記扉の位置に依らずに常に前記第2の露受けパンと鉛直方向に重なる前記第1の露受けパンの重なり部分に設けられたドレン孔とを備えている。
【0010】
請求項1によると、第1の露受けパンに重なり部分が設けられているために、扉が閉扉状態から回動動作およびスライド動作を経て開扉状態となるまでどの位置にあっても常に第1の露受けパンからドレン孔を介して落下した露を第2の露受けパンから確実に排出することができる。また、第2の露受けパンの長さは第1の露受けパンに重なり部分が設けられる最小限であればよいので、比較的短く形成することができ、露受け構造の体積を縮小することができる。
【0011】
また、請求項1の環境試験装置の扉露受け構造は、上述したような、スライド可能な軸を中心として所定角度だけ回動可能に設けられており、閉扉状態から回動動作およびスライド動作を経て開扉状態となり得る扉に適用することが可能であるという利点がある。
【0012】
請求項2の環境試験装置の扉露受け構造においては、前記第1の露受けパンは、前記ドレン孔側が低くなった傾斜面を有している。請求項2によると、第1の露受けパンにドレン孔側が低くなった傾斜面が形成されているために、効率よく露を排出することが可能である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施の形態の露受け構造を具備した恒温恒湿器の斜視図である。図2は、図1のA−A線断面図であって、ヒンジ部材の断面構造を示す図である。図3は、図1の扉部分についての部分平面図である。本実施の形態に係る恒温恒湿器は、その本体2の向かって右半分に開口3が形成されたものであり(左半分は機械室となっている)、開口3は扉11によって開閉される。以下に説明するように、扉11を具備した扉装置1は、装置本体2の開口3に対して、左右方向に扉11を大きく水平移動させるスライド式の扉開閉装置に、ヒンジ式の扉開閉機能を付加したものとなっている。扉11は、閉扉状態においてのみ、水平にスライド可能な軸25を中心として所定角度(10°以下、好ましくは5°程度)だけ回動可能であって、閉扉状態から回動動作およびスライド動作を経て開扉状態となり得る。
【0014】
露受け構造について説明する前に、まず、本実施の形態に係る扉装置1の構造および動作について説明する。図1に示すように、扉装置1は、扉11と、扉11の一端側に配設されたヒンジ部材12と、ヒンジ部材12の上側に取り付けられたスライド部材13と、ヒンジ部材12の下側に取り付けられた案内部材14と、装置本体2の上側に設けられ、スライド部材13がスライド移動可能に係合する上側のレール15と、装置本体2の下側に設けられ、案内部材14が沿う下側のレール16と、扉11とスライド部材13の間に設けられ、扉11の開き状態を制限すると共に保持するレバー機構17と、扉11と上側のレール15との間の補助的な扉サポート機構18と、扉11と装置本体2の間のロック機構19とを備えて成る。
【0015】
扉11は、開口3を覆う大きさを有する箱体で形成されている。扉11の正面中央には内部を目視できる透明な窓21が設けられ、扉11の開き側の端に取っ手22が設けられている。扉11の開口3に面する平面の周囲に図示されないシール部材が取り付けられて、扉11の内部に図示されない断熱材が充填されている。
【0016】
ヒンジ部材12は、扉11が手前に旋回動できるようにスライド部材13及び案内部材14に取り付けられている。図2に示すように、ヒンジ部材12は、扉11を上下に貫くような垂直な軸25を配置して形成されている。扉11は、軸25に嵌入された上下のブッシュ26、26を介してスライド部材13及び案内部材14に対して旋回動自在に支持されている。
【0017】
スライド部材13は、軸25の上端と上側のレール15に跨がるように配置されたL字状部材である。上側のレール15は開口3の面と平行になるように装置本体2の上側に取り付けられている。スライド部材13を形成するL字状部材の扉11側は軸25の上端に固定されている。スライド部材13を形成するL字状部材のレール15側は長手方向に一定距離を隔てて2つのスライダー27、27を有している。これら2つのスライダー27、27によって扉11の軸25が倒れることなく、扉11が水平方向にスライド可能に支持されている。
【0018】
案内部材14は、図2に示すように、軸25の下端に固定されたブラケット51と、このブラケット51に設けられ、アングル52の上に固設されたレール16を挟む一対のローラ53、53とからなる。レール16は開口3の面と平行になるように装置本体2の下側に取り付けられている。この案内部材14は、扉11の重量を支えるのではなく、扉11が前後に揺れないように案内するためのものである。従って、扉11を前後に開閉させるヒンジ部材12は、基本的には、装置本体2の上側に位置するスライド部材13によって支持される構造になっている。
【0019】
扉サポート機構18は、扉11が自重で傾かないように補助的に支持するために、レール15と扉11の間に設けられている。この扉サポート機構18は、レール15に沿ってスライド移動するスライダー28を一端に内蔵し、扉11の上に取り付けられた頭付ピン29を支持する長穴30を他端に有するアーム24により形成されている。頭付ピン29が長穴30に沿って移動することにより、扉11のヒンジ部材12による開閉を可能にしたまま、扉11のヒンジ部材12から離れた部分を支持して、扉11の姿勢を安定させている。
【0020】
ロック機構19は、装置本体2に立設されたピン31と、引っ掛け爪32とから形成されている。引っ掛け爪32は図示されない付勢バネにより引っ掛け位置に付勢されている。取っ手22を手前に引くと、引っ掛け爪32は引っかけ位置から解放位置に旋回する。扉11を閉めると、引っ掛け爪32はピン31に当たって旋回し、自動的にピン31の引っ掛け位置になる。
【0021】
レバー機構17は、扉11の開き角度を所定角内に制限する制限手段と、扉11のスライド移動時に開き角度を前記所定角に保持する保持手段の兼用になっている。図3に示すように、レバー機構17による制限手段は、スライド部材13に軸34で軸支された両腕を有するレバー35と、レバー35の一方の腕に軸支された第1ローラ36と、レバー35の他方の腕に軸支された第2ローラ37と、第1ローラ36が係合するスライド部材13の凹部38と、第2ローラ37が係合する扉11の側の長穴39とから構成される。
【0022】
扉11が開く方向に回動すると、第2ローラ37が長穴39に係合しているために、レバー35は反時計回りに回動する。そして、扉11の開く角度が所定値αに達すると、第1ローラ36が凹部38の内面に当たってレバー35はそれ以上回転することができなくなる。つまり、扉11の最大開き角度は所定値αに制限される。この所定値αは、10°以内、例えば5°に設定される。
【0023】
レバー機構17による保持手段は、前記制限手段を構成する各部品に、更にレール15と所定間隔を隔てて平行に配置された側板40を付加して構成される。扉11が閉まっているとき、第1ローラ36はその一部が凹部38から飛び出しており、この状態では扉11をスライドさせようとしても第1ローラ36と側板40とが衝突するために、扉11をスライドさせることができないようになっている。側板40の端は斜めにカットされ、第1ローラ36が側板40とレール15との間に入り易くなっている。扉11が軸25を中心に回動し、第1ローラ36がスライド部材13の凹部38の内壁に当たる状態になると、側板40に沿って水平方向に第1ローラ36を移動させることが可能になる。第1ローラ36の位置は側板40と凹部38で挟まれて固定されるため、レバー35の姿勢が保たれ、第2ローラ37に係合する長穴39を有する扉11は所定角度αだけ開いた状態に保持される。
【0024】
なお、図3において、符号41、42は、スライド部材13に対するストッパーである。また、図2に示されるように、扉11の上側には化粧板55が取り付けられており、スライド部材12や扉サポート機構18やロック機構19の要部が外部から見えないようになっている。また、装置本体3の上側にも化粧板56が取り付けられており、レール15や側板40などが外部から見えないようになっている。
【0025】
また、後で詳述するように、扉11の内側下部には、矩形トレイ状の扉露受けパン61が配置されており、本体2の下部には矩形トレイ状の本体露受けパン62が配置されている。
【0026】
上述した構造の扉装置1の動作を図3と図4乃至図6により説明する。図4は、扉11が閉まっている状態でのレバー機構17付近の拡大図であり、図5は扉11が回動した状態でのレバー機構17付近の拡大図であり、図6は扉11がスライド移動した状態でのレバー機構17付近の拡大図である。
【0027】
図3に示すように、扉11が閉まっているとき、引っ掛け爪32がピン31に引っ掛かり、扉11が開口3に向けて引き込まれた状態が保たれている。このとき、図4に示すように、第1ローラ36は凹部38から突出しており、スライド時に側板40の端40aと衝突する位置にある。
【0028】
この状態から扉11を開くには、第1段階として、取っ手22(図1参照)を手前に(図4において時計回りに)引く。すると、図3の引っ掛け爪32がピン31から外れ、図5に示すように、扉11が軸25を中心として回動して手前に開く。これに伴って、長穴39に嵌合された第2ローラ37を一端に有するレバー35は図5において軸34を中心として反時計回りに回動し、最終的にレバー35の他端にある第1ローラ36が凹部38の内壁38aに当接してレバー35の回動が停止する。そのため、上述したように、扉11の開き角度は、所定角αに制限される。このとき、第1ローラ36は、凹部38内に引っ込み、次に説明する扉11を開ける第2段階において側板40の端40aに案内され、側板40に沿って転がることができる位置となる。
【0029】
次に、扉11を開ける第2段階として、取っ手22(図1参照)を持ったまま扉11をレール15に沿って図3において左方に水平移動させる。すると、スライド部材13がレール15に沿ってスライド移動し、図6に示すように、第1ローラ36は側板40に沿って転がり、側板40と凹部38の内壁38aで挟まれた状態になる。そのため、レバー35の姿勢が固定され、第2ローラ37に係合する長穴39の位置すなわち扉11の開き角度も所定角αに保持されたままとなる。さらに扉11をレール15に沿ってそのまま水平移動させると、図3の左側の2点鎖線で示すように、スライド部材13の端がクッション機構付のストッパー42に当たり、扉11が装置本体2の開口3(図1参照)から完全に外れた開き状態になる。
【0030】
次に、扉11を閉める場合には、取っ手22(図1参照)を持って、扉11を図3において左方に水平移動させる。すると、スライド部材13がレール15に沿ってスライド移動し、図3の右側の2点鎖線で示すように、最後にはスライド部材13の端がクッション機構付のストッパー41に当たって扉11が停止する。それから、取っ手22(図1参照)を持って、装置本体2の開口3に向かって扉11を押し込むように回動させると、引っ掛け爪32がピン31に引っ掛かり、扉11が完全に閉まる。
【0031】
上述したような扉装置1の奏する効果は以下の通りである。
(1)扉11を開ける場合の第1段階として、ヒンジ部材12と、制限手段を構成するレバー機構17とにより、扉11を制限された所定角αだけ開く。この所定角αは10°以内が好ましく例えば5°である。そのため、装置本体2の開口3から、内部の熱気や蒸気等の高温気体又は高温高湿気体が僅かの隙間から外部に漏れだすため、安全性が向上する。また、扉11が手前に大きく開かないため、装置本体2の前後方向の設置スペースを少なくなる。
【0032】
(2)扉11を開ける場合の第2段階として、スライド部材13とレール15とにより、扉11をスライド移動させる。そのため、取っ手22(図1参照)を持ったまま、扉11を横向きに押すという単純な動作で扉11を完全に開くことが出来る。
【0033】
(3)扉11を閉めるとき、扉11を開口3に向かってスライド移動させる動作と、ヒンジ部材12により扉11を開口3に向けて押し込む動作とが分離されているため、扉11をスライド移動させることに対する力は最小限で済む。
【0034】
(4)扉11をスライド移動させている間、扉11の所定角αだけ開いた状態が、保持手段を構成するレバー機構17により保たれているため、開いた状態の扉11を安定してスライド移動させることができる。
【0035】
次に、本実施の形態に係る扉露受け構造について図7〜図10を参照して説明する。図7は、図1に示した恒温恒湿器の概略的な正面図である。図8(a)は、閉扉状態における恒温恒湿器の概略的な斜視図であり、図8(b)は閉扉状態における扉露受けパンおよび本体露受けパンの概略的な斜視図である。図9(a)は、閉扉状態から扉を回動させた状態(ロック解除状態)における恒温恒湿器の概略的な斜視図であり、図9(b)はこの状態における扉露受けパンおよび本体露受けパンの概略的な斜視図である。図10(a)は、開扉状態における恒温恒湿器の概略的な斜視図であり、図10(b)は閉扉状態における扉露受けパンおよび本体露受けパンの概略的な斜視図である。
【0036】
図7を参照すると、上述したように、扉11の内側下部には扉露受けパン61が配置されている。扉露受けパン61は、ほぼ扉11の全幅にわたって設けられている。図7から明らかなように、扉露受けパン61の下面は向かって右側が低くなった傾斜面となっている。そして、扉露受けパン61の向かって右側端部近傍には、扉露受けパン61に溜まった露を排出するためのドレン孔64が設けられている。なお、図7において、実線で描かれた扉11は閉扉状態にあるものであり、破線で描かれた扉11は開扉状態にあるものである。
【0037】
同じく図7を参照すると、本体2の下部には本体露受けパン62が配置されている。本体露受けパン62は、本体2の向かって右側に開口3よりもひとまわり大きな幅を有するように設けられている。また、本体露受けパン62の下面は向かって左側が低くなった傾斜面となっている。そして、本体露受けパン62の向かって左側端部近傍には、本体露受けパン62に溜まった露を排出するためのドレン孔65が設けられている。
【0038】
本体露受けパン62の設置位置、幅および奥行きは、扉露受けパン61がどの位置にあっても常に本体露受けパン62と鉛直方向に重なる重なり部分が扉露受けパン61に形成されるように決定されている。そして、この重なり部分に、扉露受けパン61のドレン孔64が設けられている。
【0039】
具体的に説明すると、図8(a)に示す閉扉状態では、図8(b)に示すように、扉露受けパン61は本体露受けパン62とほぼ平行に配向されており、ほぼその全体において本体露受けパン62と鉛直方向に重なっている。また、図9 (a)に示すロック解除状態では、扉露受けパン61が本体露受けパン62に対して角度αだけ傾いて配向されることになるので、図9(b)に示すように、扉露受けパン61の向かって右側端部の本体2とは反対側付近(および、向かって左側端部の本体2側付近)は本体露受けパン62とは重ならなくなり、それ以外の部分で両者が鉛直方向に重なることになる。そのため、本実施の形態において、ドレン孔64は、扉露受けパン61の向かって右側端部近傍であって、本体2に近い側に形成されている。また、図10(a)に示す開扉状態では、扉11が向かって左側の端部までスライドするので、図10(b)に示すように、扉露受けパン61はドレン孔64が設けられた付近においてのみ本体露受けパン62と鉛直方向に重なっている。
【0040】
いずれの状態でも、扉露受けパン61に溜まった露はドレン孔64から本体露受けパン62へと落下してドレン孔65から図示しない管状部材を経て外部へと排出される。そのため、本実施の形態によると、扉11の内面に付着した露で床面が濡れて作業環境が悪化するのを確実に防止することが可能となる。本実施の形態では、扉露受けパン61の下面はドレン孔側が低くなった傾斜面となっているので、効率よく露を排出することが可能になっている。
【0041】
また、上述の説明から理解されるように、本体露受けパン62は本体2の全幅にわたって設けられる必要はなく、扉露受けパン61の位置に依らずに常に本体露受けパン62と鉛直方向に重なる重なり部分が扉露受けパン61に設けられるような最小限度の幅および奥行きで設けられればよい。そのため、図13で説明したような従来のスライド扉に設けられていた露受けパンと比較すると、本体露受けパン62の長さおよび体積はおよそ1/2となる。
【0042】
この点について、図11を参照して説明する。図11(a)は図13で説明した従来のスライド扉の露受けパン114の模式図であり、図11(b)は本実施の形態の扉露受け構造で用いられている2つの露受けパン61および62の模式図である。図11(a)から明らかなように、従来技術では、露を効率的に外部に排出するために傾斜角度を一定以上にする必要から、露受けパン114を設置するには本体幅×高さHに相当する取付面積71が必要となる。これに対して、本実施の形態では、図11(a)の場合と同じ傾斜角度を確保した場合に2つの露受けパン61および62を設置するのに必要な取付面積72および体積は、扉幅(≒本体幅/2)×高さHに相当し、図11(a)のおよそ1/2となる。このように、本実施の形態によると、露受け構造を大幅に小型化し、これに伴ってコストダウンを図ることが可能となる。
【0043】
本実施の形態において、ドレン孔64の位置および本体露受けパン62の位置は、上述したものに限らず様々に変更することが可能である。例えば、本体露受けパン62は、上述の実施の形態では向かって右側に設けられていたが、これを中央部或いは左側に設けても何ら支障はない。ただし、本体露受けパン62の位置が変わると扉露受けパン61のうちで扉11の位置に依らずに常に本体露受けパン62と鉛直方向に重なる重なり部分の位置も変わるため、ドレン孔64を設ける位置もそれに合わせて変更する必要がある。また、ドレン孔64の位置を変更した場合、ドレン孔64側が低くなるように扉露受けパン61の傾斜形状も変更する必要がある。
【0044】
また、本実施の形態は、閉扉状態から回動動作およびスライド動作を経て開扉状態となり得る扉を有する恒温恒湿器についてのものであったが、本発明は、図13で説明したような通常のスライド扉を有する恒温恒湿器にも適用可能である。また、本発明は、恒温恒湿器以外の環境試験装置にも適用することが可能である。
【0045】
なお、前述した実施の形態は、扉装置について以下のように変更して実施することができる。
【0046】
(1)扉11を左右に開閉する場合、制限手段と保持手段を兼用するレバー機構17が好ましいが、制限手段と保持手段とを分離して設けることもできる。例えば、図1において、扉サポート機構18の長穴30を前方に閉じたものとし、頭付ピン29が長穴30の端に当たって扉11の開き角度を所定角αにすることができる。この場合、レバー機構17は保持手段だけの機能を有するものにすることができる。すなわち、第1ローラ36が凹部38の内壁に当たらないものとすることができる。
【0047】
(2)制限手段はレバー機構17に限らず、スライド部材13と扉11との間に設けられ、両者の間の隔離間隔を制限するものであれば種々のものが採用できる。前述したように、扉サポート機構18を制限手段兼用とすることができる。
【0048】
(3)保持手段もレバー機構17に限らず、スライド部材13と扉11との間に設けられ、両者の間の隔離間隔を保持するものであれば種々のものが採用できる。前述した実施の形態のように扉11が開いた状態を固定するものに限らず、扉11が開いた状態を係合手段で保持するものであってもよい。例えば、扉11の適所に凹部を設け、扉11が開いたときに、この凹部に係合するボールを付勢したいわゆるボールプランジャ式の係合手段をレバー35又は扉サポート機構18に設けることができる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1によると、第1の露受けパンに重なり部分が設けられているために、扉が閉扉状態から回動動作およびスライド動作を経て開扉状態となるまでどの位置にあっても常に第1の露受けパンからドレン孔を介して落下した露を第2の露受けパンから確実に排出することができる。また、第2の露受けパンの長さは第1の露受けパンに重なり部分が設けられる最小限であればよいので、比較的短く形成することができ、露受け構造の体積を縮小することができる。また、請求項1によると、閉扉状態から回動動作およびスライド動作を経て開扉状態となり得る扉に適した露受け構造を提供することができる。請求項2によると、第1の露受けパンにドレン孔側が低くなった傾斜面が形成されているために、効率よく露を排出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の露受け構造を具備した恒温恒湿器の斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図であって、ヒンジ部材の断面構造を示す図である。
【図3】図1の扉部分についての部分平面図である。
【図4】扉が閉まっている状態でのレバー機構付近の拡大図である。
【図5】扉が回動した状態でのレバー機構付近の拡大図である。
【図6】扉がスライド移動した状態でのレバー機構付近の拡大図である。
【図7】図1に示した恒温恒湿器の概略的な正面図である。
【図8】図8(a)は、閉扉状態における恒温恒湿器の概略的な斜視図であり、図8 (b)は閉扉状態における扉露受けパンおよび本体露受けパンの概略的な斜視図である。
【図9】図9(a)は、閉扉状態から扉を回動させた状態における恒温恒湿器の概略的な斜視図であり、図9(b)はこの状態における扉露受けパンおよび本体露受けパンの概略的な斜視図である。
【図10】図10(a)は、開扉状態における恒温恒湿器の概略的な斜視図であり、図10(b)は閉扉状態における扉露受けパンおよび本体露受けパンの概略的な斜視図である。
【図11】本発明の効果を説明するための露受けパンの模式図である。
【図12】回動扉を有する恒温恒湿器の概略的な斜視図である。
【図13】スライド扉を有する恒温恒湿器の概略的な斜視図である。
【符号の説明】
1 扉装置
2 装置本体
3 開口
11 扉
12 ヒンジ部材
13 スライド部材
15 上側のレール
17 レバー機構(制限手段、保持手段)
35 レバー
36 第1ローラ
37 第2ローラ
38 凹部
39 長穴
40 側板
61 扉露受けパン
62 本体露受けパン
64、65 ドレン孔
Claims (2)
- 環境試験装置の本体に形成された開口を開閉するスライド可能な扉と、
前記扉の内面に付着した露を受けることができるように、前記扉の内面に配置された第1の露受けパンと、
前記開口及び前記第1の露受けパンよりも下方であって、少なくとも一部が前記第1の露受けパンと鉛直方向に重なるように配置された第2の露受けパンと、
前記扉の位置に依らずに常に前記第2の露受けパンと鉛直方向に重なる前記第1の露受けパンの重なり部分に設けられたドレン孔とを備えていることを特徴とする環境試験装置の扉露受け構造。 - 前記第1の露受けパンは、前記ドレン孔側が低くなった傾斜面を有していることを特徴とする請求項1に記載の環境試験装置の扉露受け構造。
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