JP3775036B2 - 昇降装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、照明器具等の被昇降機器を昇降する昇降装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来例を図7から図11に示す。すなわち、これはワイヤロープ100により被昇降機器101を昇降する昇降装置であり、102は天井部に取付られる固定部である。ワイヤロープ100は固定部102のモータ(図示せず)に連動連結されたドラム103より巻き出され、滑車104、105を介して被昇降機器101の滑車106、107に巻き掛けられ、端末108を固定部102に固定している。したがって、ドラム103を巻き戻し回転させると被昇降機器101が下降し、一方巻き取り回転させると被昇降機器101が上昇する。
【0003】
また図9に示すように、ワイヤロープ100の端末は固定部102の本体にスラストベアリング109および取付台118を介して支持され、またねじれ等振れ検知金具110および過負荷検知金具119を貫通して、被昇降機器101の滑車107、106を通り、ドラム103へ巻き取られるようにしている。
図8に示すようにワイヤロープ100が同図(a)から(b)のようにねじれたり、同図(a)または(b)から(c)のように揺れたりした際にそれと同期してねじれ等振れ検知金具110が図10に示すように前後および左右に往復動作し、ねじれ等振れ検知金具110でねじれ等振れ検知用マイクロスイッチ112を作動し、モータの上昇動作を電気的に停止させる。
【0004】
また過負荷検知機構については、図11に示すようにワイヤロープ100の端末に安全スリーブ113がかしめ付けられ、その下段に安全スリーブ113のかしめ力より小さいかしめ力でかしめられた常用スリーブ114が設けられ、常用スリーブ114が取付台118に係止することにより、ワイヤロープ100の端末を固定部102に固定しており、常用スリーブ114のスラストベアリング109の下側に検知スリーブ115をかしめ付けている。あらかじめ設定された安全スリーブ113と常用スリーブ114のかしめ力の間の力に相当する過負荷がワイヤロープ100に加えられると、常用スリーブ114がすべってワイヤロープ100が下方へ移動するため、図11に示すように検知スリーブ115が下降して過負荷検知金具119を押し、これにより検知動作金具116を作動して過負荷検知用マイクロスイッチ117を検知動作させ、モータの上昇動作を電気的に停止させ、過負荷による動作が不能となるようにしている。
【0005】
このように、ワイヤロープ100のねじれ等の振れや過負荷に対して、モータを停止することにより装置の安全性を保つことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この従来例は、ワイヤロープ3のねじれ等の振れおよび過負荷の各検知動作を伝達する金具類として、ねじれ等振れ検知金具110および過負荷検知金具119が必要となり、そのため部品構成が複雑で、かつ形状においても部品配置スペースをかなり要する構成となっている。
【0007】
したがって、この発明の目的は、検知の安全性を低下することなく、構造を簡素化し、部品を削減でき、コンパクト化を達成できる昇降装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の昇降装置は、可逆回転型のモータと、このモータに連結されたドラムと、このドラムに巻き付けられて被昇降機器を吊持するワイヤロープと、このワイヤロープのねじれ等の振れおよび過負荷の双方を検知する単一の検知レバーと、この検知レバーの各動作に応答するスイッチと、前記ワイヤロープの端末が貫通する貫通孔を形成し天井に固定された取付台と、前記ワイヤロープの過負荷時に前記ワイヤロープを滑ることができる程度に前記ワイヤロープの取付台貫通側に固着されて前記取付台に抜止め係止する常用スリーブと、前記取付台の前記常用スリーブと反対側の前記ワイヤロープに固着された検知スリーブとを備え、
前記検知レバーは、水平方向および垂直方向の揺動が可能に中間部が支持されて先端部に前記ワイヤロープの前記検知スリーブの下側で貫通する挿通孔を有し、
前記スイッチは、前記検知レバーの後端側に配置されて前記検知レバーの水平揺動を検知するねじれ等振れ検知スイッチと垂直揺動を検知する過負荷検知スイッチからなるものである。
【0009】
請求項1記載の昇降装置によれば、従来例ではねじれ等の振れ検知具と過負荷検知具を1つの昇降装置内においてそれぞれ独立させた構成としていたのに対して、ねじれ等の振れの検知と過負荷検知とを1つの検知具で兼用させて構成したため、構造の簡素化、部品の削減、コンパクト化を検知の安全性を低下させることなく行なえる。
【0012】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施の形態を図1から図6により説明する。すなわち、この昇降装置は、可逆回転型のモータ1と、ドラム2と、ワイヤロープ3と、検知レバー4と、スイッチ5とを有する。
モータ1およびモータ1に連結されたドラム2は、図7と同様に固定部6に設けられて天井に固定されている。
【0013】
ワイヤロープ3は、ドラム2に巻き付けられて被昇降機器7を吊持する。実施の形態の被昇降機器7は例えば照明器具であり、一対の滑車8、9を設けている。ワイヤロープ3の巻き出し端部が固定部6に固定され、被昇降機器7の滑車8、9に巻き掛けられ、さらに固定部6に設けた滑車10、11に巻き掛けられてドラム2に巻き取られている。ワイヤロープ3の巻き出し端部の固定は、図2に示すようにワイヤロープ3の端末が貫通する貫通孔12を形成し天井の固定部6に固定された取付台13と、ワイヤロープ3の過負荷時にワイヤロープ3を滑ることができる程度にワイヤロープ3の取付台貫通側に固着たとえばかしめ付けられて取付台13に抜止め係止する常用スリーブ14とで構成され、取付台13の常用スリーブ14と反対側のワイヤロープ3に固着例えばかしめ付けられた検知スリーブ15とを有する。実施の形態ではワイヤロープ3の常用スリーブ14の上段に常用スリーブ14の保持力より大きな保持力をもつ安全スリーブ16をかしめている。取付台13は固定部6に設けられたスラストベアリング17に支持され、常用スリーブ14が取付台13に係止して、ワイヤロープ3の端部が固定部6に固定されることとなる。
【0014】
検知レバー4は、ワイヤロープのねじれ等の振れおよび過負荷の双方を検知する単一のレバーである。この検知レバー4は、水平方向および垂直方向の揺動が可能に中間部が支持されて先端部にワイヤロープ3の検知スリーブ4の下側で貫通する挿通孔18を有している。実施の形態では、検知レバー4を金具により形成し、固定部6に形成したスリット19に通されるとともに固定部6のボス20に載置されて支持され、挿通孔18と反対側の端部は図2および図3のように、後述のねじれ等振れ検知スイッチ21のヒンジローラレバー21aのローラ部23を動作できるようにR状の凹曲部24をもつ形状にしている。検知レバー4は、上述の2点のみで支持されで横方向および縦方向は検知レバー4の幅および厚みより大きいスリット19の幅および高さの余裕の分だけ動作がフリーであり、ワイヤロープ3がねじれ等のときには図4のようにスリット19を支点にして検知レバー4を揺動させるように動作する。また垂直方向の動作もスリット19を中心にして図5のように垂直方向に回動することができる。このように、検知レバー4は本来のねじれ等振れの検知レバーと過負荷検知レバーの両方の機能をもたせるように構成している。
【0015】
スイッチ5は、この検知レバー4の各動作に応答する。このスイッチ5は検知レバー4の後端側に配置されて検知レバー4の水平揺動を検知するねじれ等振れ検知スイッチ21と垂直揺動を検知する過負荷検知スイッチ20からなる。いずれも例えばマイクロスイッチを用い、固定部6に取付け固定されている。
ねじれ等振れ検知スイッチ21は前述のようにマイクロスイッチのヒンジローラレバー21aを有し、その先端にローラ部23を有するもので、図4に示すように検知レバー4によりねじれ等振れ検知スイッチ21のローラ部23を動作させ、ねじれ等振れ検知スイッチ21をオンオフしてモータ2の回転を止める。そして回路的には、ねじれ等振れ検知スイッチ21の接点は自己保持せずに、ワイヤロープ3のねじれ等の振れが収まりねじれ等振れ検知スイッチ21のローラ部23が元の位置に戻る(押しボタンが元に戻る)と、モータ2の回転を始めるような構成にして、被昇降機器7が固定部6に安全に嵌合することができるねじれ等振れ検知機構を構成している。
【0016】
またワイヤロープ3に自身の破断荷重と安全スリーブ16の保持力よりも小さいが、常用スリーブ14の保持力よりも大きな過負荷の荷重が印加された際には、図5に示すようにワイヤロープ3の端末が下がることによって常用スリーブ14が安全スリーブ16の位置まですべり、検知スリーブ15がねじれ等振れ検知レバー4を押し下げるため、検知レバー4はスリット19の端部を支点として反対方向の端部が押し上げられる。したがって、図5および図6の(a)から(b)に示すように検知レバー4の常用スリーブ14と反対方向に位置する過負荷検知用マイクロスイッチ20のレバー20aを押し上げ、その接点がねじれ等振れ検知と同様に、モータ2の上昇回路に組み込まれるため、モータ2の上昇側の回転を止め、昇降装置の設計荷重に対し過負荷が印加されたことを昇降装置の機能不良(上昇不能)として知らせ、落下の危険性等の不安全モードを早く使用者に伝える機構となっている。
【0017】
この昇降装置の動作について説明する。図1の状態でモータ2が回転すると、それに伴いドラム1が回転しワイヤロープ3が巻取りまたは繰り出される。これにより被昇降機器7が上昇または下降する。被昇降機器7を吊り下げるワイヤロープ3が図8に示すようにねじれまたは振れると、それに伴い検知レバー4がスリット19を支点にして水平回動し、検知レバー4の端部が凹曲部24を形成しておりローラ部23がその凹曲部24内に位置するので、いずれの方向の揺動に対しても検知スイッチ21のレバー21aを押してスイッチ動作し、モータ1を停止する。またワイヤロープ3に過負荷が加わると常用スリーブ14がすべってワイヤロープ3の端末が下降し安全スリーブ16が常用スリーブ14に当接して停止する。このとき、図5に示すように検知スリーブ15で検知レバー4を押圧し検知レバー4がスリット19を支点にして垂直方向に回動する。これにより図6に示すように検知レバー4の後端部で検知スイッチ20のレバー20aを押圧しスイッチ動作してモータ2を停止する。
【0018】
この実施の形態によれば、従来例ではねじれ等の振れ検知具と過負荷検知具を1つの昇降装置内においてそれぞれ独立させた構成としていたのに対して、ねじれ等の振れの検知と過負荷検知とを1つの検知レバー4で兼用させて構成としたため、構造の簡素化、部品の削減、コンパクト化を検知の安全性を低下させることなく行なえる。
【0019】
なお、この実施の形態の昇降装置は、検知レバー4の水平および垂直方向の揺動に個別に応動するように複数のマイクロスイッチを設けたが、単一のマイクロスイッチで水平および垂直方向の揺動に応動できるようにねじれ等振れ検知スイッチと過負荷検知スイッチとを兼用してもよい。またマイクロスイッチはヒンジローラ型に限らない。
【0020】
【発明の効果】
請求項1記載の昇降装置によれば、従来例ではねじれ等の振れ検知具と過負荷検知具を1つの昇降装置内においてそれぞれ独立させた構成としていたのに対して、ねじれ等の振れの検知と過負荷検知とを1つの検知レバーで兼用させて構成したため、構造の簡素化、部品の削減、コンパクト化を検知の安全性を低下させることなく行なえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態の概略図である。
【図2】その要部詳細断面図である。
【図3】検知レバーの平面図である。
【図4】検知レバーのねじれ等振れの検知動作状態の平面図である。
【図5】検知レバーの過負荷検知動作状態の断面図である。
【図6】検知レバーの過負荷検知動作状態の端面図である。
【図7】従来例の概略図である。
【図8】ワイヤロープのねじれ等の振れ動作状態の説明図である。
【図9】その要部詳細断面図である。
【図10】振れ検知レバーのねじれ等振れの検知動作状態の平面図である。
【図11】過負荷検知レバーの過負荷検知動作状態の断面図である。
【符号の説明】
1 モータ
2 ドラム
3 ワイヤロープ
4 検知レバー
5 スイッチ
7 被昇降機器
12 貫通孔
13 取付台
14 常用スリーブ
15 検知スリーブ
18 挿通孔
20 過負荷検知スイッチ
21 ねじれ等振れ検知スイッチ
Claims (1)
- 可逆回転型のモータと、このモータに連結されたドラムと、このドラムに巻き付けられて被昇降機器を吊持するワイヤロープと、このワイヤロープのねじれ等の振れおよび過負荷の双方を検知する単一の検知レバーと、この検知レバーの各動作に応答するスイッチと、前記ワイヤロープの端末が貫通する貫通孔を形成し天井に固定された取付台と、前記ワイヤロープの過負荷時に前記ワイヤロープを滑ることができる程度に前記ワイヤロープの取付台貫通側に固着されて前記取付台に抜止め係止する常用スリーブと、前記取付台の前記常用スリーブと反対側の前記ワイヤロープに固着された検知スリーブとを備え、
前記検知レバーは、水平方向および垂直方向の揺動が可能に中間部が支持されて先端部に前記ワイヤロープの前記検知スリーブの下側で貫通する挿通孔を有し、
前記スイッチは、前記検知レバーの後端側に配置されて前記検知レバーの水平揺動を検知するねじれ等振れ検知スイッチと垂直揺動を検知する過負荷検知スイッチからなる昇降装置。
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