JP3774974B2 - 積層体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体洗剤、スポーツドリンク、果汁などに適する二軸延伸プラスチックフィルムを含む基材を支持体とする保存性を有する包装容器に用いられる積層体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
二軸延伸プラスチックフィルム等の基材フィルムを支持体とし、内面をヒートシール性および防湿性に優れたポリオレフィン系樹脂層とする積層体からなる包装容器は、飲料、食品、液体洗剤、シャンプー等を充填する容器として広く使用されている。
【0003】
ところが、積層体の基材の二軸延伸プラスチックフィルム表面と容器内面に積層されたポリオレフィン系樹脂層とは、通常接着剤を用いて貼り合わせているた、接着剤層に含まれる残留溶剤や未硬化成分等が、内容物であるジュースなどの飲料の味覚に影響を与えたり、液体洗剤等の内容物の成分が接着剤層に吸着されて本来の性能を発揮できなかったりする問題があった。
【0004】
また、接着剤を使用することでコストが増し、乾燥工程や熱硬化工程が必要になるなど作業工程が複雑になるという問題もあった。
【0005】
このため二軸延伸プラスチックフィルムを含む基材を支持体とする積層体の構成としては、二軸延伸プラスチックフィルム表面に低圧低温酸素プラズマ処理法、あるいは低圧低温窒素プラズマ処理法によって二軸延伸プラスチックフィルムの表面を改質して接着性改質層を設け、その上に直接ポリオレフィン系樹脂を押出ラミネート法等によって積層する方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、低圧低温酸素プラズマ処理法あるいは低圧低温窒素プラズマ処理法によって設けられた接着性改質層を介して積層された積層体では、接着性改質層が撥水性よりむしろ親水性を示すため、接着界面から内容物に含まれる水分等が浸透することにより、二軸延伸プラスチックフィルムとポリオレフィン系樹脂層の間の積層部分の接着強度が経時的に低下して、容器の耐落下性が失われるなどの問題があった。
【0007】
本発明は上記課題を解決するために二軸延伸プラスチックフィルムを含む基材を支持体として、その二軸延伸プラスチックフィルム表面に設けられた撥水性を示す接着性改質層を介して直接ポリオレフィン系樹脂層が積層された積層体を提供し、また、同時に二軸延伸プラスチックフィルム表面に低温プラズマ処理によって撥水性を示す接着性改質層を設け、その接着性改質層を介して直接ポリオレフィン系樹脂層を積層する積層体の製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の発明は、少なくとも一方の表面が二軸延伸プラスチックフィルムである基材の、該二軸延伸プラスチックフィルム表面に、低温プラズマ処理法によって設けられた撥水性を示す接着性改質層を介して直接ポリオレフィン系樹脂層が積層されたことを特徴とする積層体である。
【0010】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記二軸延伸プラスチックフィルムが二軸延伸ポリエステルフィルムであることを特徴とする積層体である。
【0011】
さらに、第3の発明は、第1の発明において、前記二軸延伸プラスチックフィルムが二軸延伸ポリプロピレンフィルムであることを特徴とする積層体である。
【0012】
上記のように本発明によれば、少なくとも一方の表面が二軸延伸プラスチックフィルムである基材の、該二軸延伸プラスチックフィルム表面に設けられた撥水性を示す接着性改質層を介して直接ポリオレフィン系樹脂層が積層されているので、接着界面から水分等が浸透せず、従って接着強度が経時により低下することがない。またそのため容器にした際の落下強度の低下も示さない。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の積層体の一構成例を示す断面図である。
【0014】
図1の構成によれば、本発明の積層体1は、少なくとも片面に二軸延伸プラスチックフィルム3を配した支持体である基材2の二軸延伸プラスチックフィルム3面側に、撥水性を示す接着性改質層4を介して直接ポリオレフィン系樹脂層5を積層した構成である。
【0015】
基材2のポリオレフィン系樹脂を積層する側の表面として使用する二軸延伸プラスチックフィルム3は、液体包装用の透明フィルムで、およそ9〜25μmの範囲の厚みのものが多く使用される。
特に二軸延伸ポリエステルフィルムあるいは二軸延伸ポリプロピレンフィルムが好ましく用いられる。二軸延伸ポリエステルフィルムとはポリエチレンテレフタレート樹脂を薄膜状に押出した後、二軸延伸装置で延伸し熱固定したフィルムであり、二軸延伸ポリプロピレンフィルムとはポリプロピレン樹脂を薄膜状に押出した後、二軸延伸装置で延伸し熱固定したフィルムである。
【0016】
基材2の層構成はポリオレフィン系樹脂層を積層する側の表面が二軸延伸プラスチックフィルム3であれば制限はなく、二軸延伸プラスチックフィルム単層の場合を含め、多層構成であっても良い。
【0017】
多層を構成する層としては、例えば熱接着性を有する熱可塑性樹脂層、バリアー性や遮光性を有する金属薄膜層、金属蒸着層、金属酸化物層、二軸延伸プラスチックフィルム層、一軸延伸プラスチックフィルム層、コーティング層、無機薄膜バリアー層、有機系薄膜層、あるいは紙層、衝撃吸収層、印刷層、接着層等が挙げられる。
【0018】
基材2の厚みに制限はないが、処理工程及び積層体の容器への成形工程に適した厚み(およそ1mm以下)が望ましい。
容器内面のポリオレフィン系樹脂層5を構成する樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の非極性分子からなるポリオレフィン系樹脂が挙げられる。また容器としての物性を妨げない範囲で上記樹脂に、加工性、防湿性等を向上させるため帯電防止剤、酸化防止剤、保湿剤、消吸臭剤等の加工助剤を使用することも可能である。
【0019】
また、樹脂層同士の熱接着性及び撥水性を示す接着性改質層4との接着性が保たれている限り多層化することも可能である。
このポリオレフィン系樹脂層5の厚みは容器の成形性、樹脂層同士の熱接着強度を保つ目的から20μm以上の厚みとすることが好ましく、通常は20〜200μmの範囲で使用される。容器の成形性を損なわない限り厚みの上限はないが、通常は500μm以下で使用される。
【0020】
撥水性を示す接着性改質層4は、低温プラズマ処理法によって二軸延伸プラスチックフィルム3表面に設けられた表面改質層であり、二軸延伸プラスチックフィルム3とポリオレフィン系樹脂層5のような異種樹脂間の接着力を発現し、また、水を用いた接触角の測定値が90度以上であることから、内容物等からの水分をはじいて水分の界面への進入を防ぐことで接着力を維持する層である。
【0021】
この撥水性を示す接着性改質層4は、基材が二軸延伸ポリエステルフィルムでCF4 ガスの場合、X線光電子分光法の試料傾斜法によるフッ素の構成比がそれぞれ測定角度90度で25〜50%、10度で35〜45%であり、また、酸素原子と炭素原子の比率(O/C)が角度によらず40〜50%である。また、水を用いて測定した接触角の値は100〜110度を示す。(なお、未処理の二軸延伸ポリエステルフィルムの場合は60度である。)改質層の厚みはおよそ100Å以下である。
【0022】
また、基材が二軸延伸ポリエステルフィルムでC2 H4 ガスの場合、X線光電子分光法の試料傾斜法による炭素の構成比が測定角度90度、10度共に85〜98%であり、また、酸素原子と炭素原子の比率(O/C)が角度によらず2〜13%である。また、水を用いて測定した接触角の値は90〜105度を示す。改質層の厚みはおよそ100Å以下である。
【0023】
また、基材が二軸延伸ポリプロピレンフィルムで添加ガスがCF4 ガスの場合、X線光電子分光法の試料傾斜法によるフッ素の構成比がそれぞれ測定角度90度で40〜50%、10度で50〜60%であり、また、酸素原子と炭素原子の比率(O/C)が角度によらず15〜25%である。また、水を用いて測定した接触角の値は100〜120度を示す。改質層の厚みはおよそ100Å以下である。
【0024】
また、基材が二軸延伸ポリプロピレンフィルムで添加ガスがC2 H4 ガスの場合、X線光電子分光法の試料傾斜法による炭素の構成比が測定角度90度、10度共に82〜98%であり、また、酸素原子と炭素原子の比率(O/C)が角度によらず2〜18%である。また、水を用いて測定した接触角の値は90〜105度を示す。改質層の厚みはおよそ100Å以下である。
【0025】
次に本発明による積層体の構成及び積層方法を図1乃至図3を用いて説明する。
【0026】
基材2の二軸延伸プラスチックフィルム3表面に対する表面改質は処理ガスとして四フッ化炭素あるいはエチレンガスを含む低温プラズマ処理方法を用いて行われる。
【0027】
ここでいう低温プラズマ処理とは、低温プラズマ状態の処理雰囲気に処理対象物の表面を接触させることで表面改質を行う方法で、処理される対象物の物性を劣化させることなく改質することができることから、接着性の維持が可能である点が他のコーティング技術等を用いない処理方法であるコロナ処理方法、フレーム処理方法等と異なる優れた処理方法である。
【0028】
また、熱プラズマ処理において問題となる被処理物の熱劣化の問題がない点で樹脂を含む積層体等の処理に適した処理方法である。
低温プラズマ状態とは非平衡プラズマ状態とも呼ばれ、自由に動きうる多数の正イオンと負イオン(電子を含む)が巨視的に電気的中性を保って存在している状態、と定義されるプラズマ状態のなかで、プラズマを構成している種のうち電子の平均エネルギーがイオンや中性種の平均エネルギーよりも大きい状態にある状態を指すと定義されている。
【0029】
本発明に係る低温プラズマ雰囲気の発生方法としては、低温プラズマを発生し、かつ、これにより被処理物である二軸延伸プラスチックフィルム層表面を処理することができる方法であればいかなる公知の方法も採用することができる。
【0030】
例えば、印加電力は交流、直流のいずれの印加電力を使用することも出来、交流の中では、低周波、高周波、マイクロ波のいずれの周波数も使用可能である。
【0031】
また、電極も内部電極、外部電極、コイル型のような容量結合型電極、誘電結合型、マイクロトロン共鳴などが使用できる。
【0032】
低温プラズマ処理雰囲気を発生させる場合の処理ガスについては、低温プラズマ状態が発生すれば基本的に制限はないが、本発明の場合は、撥水性を示す接着性改質層を得るために、低温プラズマ状態を起こすためのガスの条件と、撥水性を示す接着性改質層を得るための添加ガスの条件を共に満たしている必要がある。
【0033】
例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素、空気、酸素、水素、二酸化炭素等の処理ガスにエチレンガス、あるいは4フッ化炭素ガスを混合した雰囲気が好ましく用いられる。
【0034】
低温プラズマ発生雰囲気の圧力は、0.005〜30トール、好ましくは0.02〜5トールの圧力で行われる。
【0035】
低温プラズマ処理の方法としては、平行平板電極間での処理、外部電極を用いたガラス等の絶縁体容器中での処理、導波管を用いたマイクロ波による低温プラズマ処理などがあるが、導波管を用いたマイクロ波による低温プラズマ処理方法で、プラズマ発生箇所と、処理室を分けた場合は処理対象物中に金属が含まれていてもスパークが飛ばないという利点がある。
【0036】
二軸延伸プラスチックフィルム表面に対するプラズマ処理時間は、およそ0.01〜60秒程度、好ましくは0.1〜20秒である。
【0037】
基材2に撥水性を示す接着性改質層を介してポリオレフィン系樹脂層5を積層する方法としては押出ラミネート方式を使用する方法が好適に用いられる。
【0038】
押出ラミネート方式とは、図2に示す押出ラミネート装置20を用いて、積層される樹脂5aをTダイ21より溶融状態で押出し、圧着ロール23と冷却ロール24を用いて基材に圧着すると共に、冷却固化させて積層する方法である。基材2の表面が撥水性を示す接着性改質層である場合には、溶融樹脂5aと基材2の間で撥水性を示す接着性改質層4が接着剤層として作用するため本発明の積層体1を得ることができる。
【0039】
本発明では、上記の基材2の二軸延伸プラスチックフィルム3の表面にポリオレフィン系樹脂層5の積層の前にあらかじめ撥水性を示す接着性改質層を設けておくことにより、積層体1として十分な接着強度が得られ、更に、内容物の保存性、特に耐水性を有することでミネラルウォーターなどの液体に適した積層体1が得られることを見いだした。
【0040】
図3は、導波管を用いたマイクロ波による低温プラズマ処理装置30の構成の一例を示した図である。図中31は処理ガス導入部、32は導波管、33はマイクロ波発振装置、34はプラズマガス供給パイプ、35は真空ポンプをそれぞれ示している。また、2は改質層形成前の基材、36は撥水性を示す接着性改質層形成後の基材を表している。
【0041】
積層された耐水性を有する積層体1は、ポリオレフィン系樹脂層5が熱接着性を有することからヒートシールやホットエアーシールを行って液体用等の容器として用いることができる。
【0042】
以上のように、基材の二軸延伸プラスチックフィルムにその二軸延伸プラスチックフィルム表面に設けられた撥水性を示す接着性改質層を介して直接ポリオレフィン系樹脂層を積層した積層体は、その構成及び製造方法により、ミネラルウォーター等の液体飲料他を充填し保存した状態で、二軸延伸プラスチックフィルムとポリオレフィン系樹脂層間の接着強度が維持されると同時に、接着剤等による味覚や内容物成分の変化のない液体包装用に適した積層体である。
【0043】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例を説明する。
〈実施例1〉
東洋紡績株式会社製、二軸延伸ポリエステルフィルム(E5100、厚み12μm)の未処理面に以下に示す条件で低温プラズマ処理を行って改質層を形成した。
【0044】
処理方法 ;マイクロ波プラズマ
処理ガス ;ヘリウム
添加ガス ;4フッ化炭素ガス(添加量 1%)
圧力 ;4トール
処理時間 ;10秒
発振出力 ;1KW
発振周波数;2450メガヘルツ
【0045】
改質層表面の撥水性を確認するために水を用いて接触角の測定を行ったところ、100〜110度の値を得た。
【0046】
その後上記改質層表面にポリオレフィン系樹脂層として、三井石油化学株式会社製、低密度ポリエチレン樹脂(ミラソン14P)を押出ラミネート装置を使って樹脂温度320°Cで、厚み60μmとなるように積層し、実施例1の積層体を得た。
【0047】
〈実施例2〉
東洋紡績株式会社製、二軸延伸ポリエステルフィルム(E5100、厚み12μm)の未処理面に以下に示す条件で低温プラズマ処理を行って改質層を形成した。
水の接触角の値は90〜105度であった。
【0048】
処理方法 ;マイクロ波プラズマ
処理ガス ;ヘリウム
添加ガス ;エチレンガス(添加量 1%)
圧力 ;4トール
処理時間 ;10秒
発振出力 ;1KW
発振周波数;2450メガヘルツ
【0049】
その後上記改質層表面に実施例1と同様にポリオレフィン系樹脂層として、三井石油化学株式会社製、低密度ポリエチレン樹脂(ミラソン14P)を押出ラミネート装置を使って樹脂温度320°Cで、厚み60μmとなるように積層し、実施例2の積層体を得た。
【0050】
〈実施例3〉
東セロ株式会社製、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(U−1、厚み20μm)の未処理面に以下に示す条件で低温プラズマ処理を行って改質層を形成し、改質層表面の撥水性を確認するために水を用いて接触角の測定を行ったところ、100〜120度の値を得た。
【0051】
処理方法 ;マイクロ波プラズマ
処理ガス ;ヘリウム
添加ガス ;4フッ化炭素ガス(添加量 1%)
圧力 ;4トール
処理時間 ;10秒
発振出力 ;1KW
発振周波数;2450メガヘルツ
【0052】
その後上記改質層表面に実施例1と同様にポリオレフィン系樹脂層として、三井石油化学株式会社製、低密度ポリエチレン樹脂(ミラソン14P)を押出ラミネート装置を使って樹脂温度320°Cで、厚み60μmとなるように積層し、実施例3の積層体を得た。
【0053】
〈実施例4〉
東セロ株式会社製、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(U−1、厚み20μm)の未処理面に以下に示す条件で低温プラズマ処理を行って改質層を形成した。
水の接触角の値は90〜105度であった。
【0054】
処理方法 ;マイクロ波プラズマ
処理ガス ;ヘリウム
添加ガス ;エチレンガス(添加量 1%)
圧力 ;4トール
処理時間 ;10秒
発振出力 ;1KW
発振周波数;2450メガヘルツ
【0055】
その後上記改質層表面に実施例1と同様にポリオレフィン系樹脂層として、三井石油化学株式会社製、低密度ポリエチレン樹脂(ミラソン14P)を押出ラミネート装置を使って樹脂温度320°Cで、厚み60μmとなるように積層し、実施例4の積層体を得た。
【0056】
〈比較例1〉
東洋紡績株式会社製、二軸延伸ポリエステルフィルム(E5100、厚み12μm)の未処理面に、実施例1と同様にポリオレフィン系樹脂層として、三井石油化学株式会社製、低密度ポリエチレン樹脂(ミラソン14P)を押出ラミネート装置を使って樹脂温度320°Cで、厚み60μmとなるように積層し、比較例1の積層体を得た。
未処理面の水接触角は60度であった。
【0057】
〈比較例2〉
東洋紡績株式会社製、二軸延伸ポリエステルフィルム(E5100、厚み12μm)のコロナ処理面に以下の条件でウレタン系接着剤を塗布、乾燥させ接着剤層を形成した。水接触角は53度であった。
【0058】
塗布方法;グラビア印刷
主接着剤;東洋モートン株式会社製、AD−980A
硬化剤 ;東洋モートン株式会社製、AD−980B
塗布厚 ;2μm
乾燥条件;80°C、2秒
【0059】
その後、接着剤層表面にポリオレフィン系樹脂層として、三井石油化学株式会社製、低密度ポリエチレン樹脂(ミラソン14P)を押出ラミネート装置を使って樹脂温度320°Cで、厚み60μmとなるように積層し、50°Cで72時間の熱硬化を行って比較例2の積層体を得た。
【0060】
〈比較例3〉
東洋紡績株式会社製、二軸延伸ポリエステルフィルム(E5100、厚み12μm)の未処理面に以下の条件で低温プラズマ処理を行って改質層を形成した。水接触角は45度であった。
【0061】
処理方法 ;マイクロ波プラズマ
処理ガス ;酸素
圧力 ;4トール
処理時間 ;10秒
発振出力 ;1KW
発振周波数;2450メガヘルツ
【0062】
その後、改質層表面に実施例1と同様にポリオレフィン系樹脂層として、三井石油化学株式会社製、低密度ポリエチレン樹脂(ミラソン14P)を押出ラミネート装置を使って樹脂温度320°Cで、厚み60μmとなるように積層し、比較例3の積層体を得た。
【0063】
〈比較例4〉
東セロ株式会社製、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(U−1、厚み20μm)の未処理面に、実施例1と同様にポリオレフィン系樹脂層として、三井石油化学株式会社製、低密度ポリエチレン樹脂(ミラソン14P)を押出ラミネート装置を使って樹脂温度320°Cで、厚み60μmとなるように積層し、比較例4の積層体を得た。
未処理面の水接触角は100〜110度であった。
【0064】
〈比較例5〉
東セロ株式会社製、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(U−1、厚み20μm)のコロナ処理面に以下の条件でウレタン系接着剤を塗布、乾燥させ接着剤層を形成した。水接触角は53度であった。
【0065】
塗布方法;グラビア印刷
主接着剤;東洋モートン株式会社製、AD−980A
硬化剤 ;東洋モートン株式会社製、AD−980B
塗布厚 ;2μm
乾燥条件;80°C、2秒
【0066】
その後、接着剤層表面にポリオレフィン系樹脂層として、三井石油化学株式会社製、低密度ポリエチレン樹脂(ミラソン14P)を押出ラミネート装置を使って樹脂温度320°Cで、厚み60μmとなるように積層し、50°Cで72時間の熱硬化を行って比較例5の積層体を得た。
【0067】
〈比較例6〉
東セロ株式会社製、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(U−1、厚み20μm)の未処理面に以下の条件で低温プラズマ処理を行って改質層を形成した。水接触角は70〜80度であった。
【0068】
処理方法 ;マイクロ波プラズマ
処理ガス ;酸素
圧力 ;4トール
処理時間 ;10秒
発振出力 ;1KW
発振周波数;2450メガヘルツ
【0069】
その後、改質層表面に実施例1と同様にポリオレフィン系樹脂層として、三井石油化学株式会社製、低密度ポリエチレン樹脂(ミラソン14P)を押出ラミネート装置を使って樹脂温度320°Cで、厚み60μmとなるように積層し、比較例6の積層体を得た。
【0070】
こうして得られた実施例4、比較例6、合計10種類の積層体の▲1▼基材フィルムとポリオレフィン系樹脂層間の接着強度、▲2▼耐水接着強さ、▲3▼耐落下性、▲4▼味覚評価、の4点を以下に示す試験方法に従って測定、評価した。その結果を表1に示す。
接着強度 ‥‥基材フィルムとポリオレフィン系樹脂層の初期の剥離強度をT型剥離、剥離速度 300mm/min.、試料幅 15mmの条件で測定。
耐水接着強さ‥‥積層体のポリオレフィン系樹脂層を対向させて、200mm×100mmの三方シール袋を熱接着法により製袋し、中に400mlのミネラルウォ−タ−を入れて密封し、40°Cの恒温槽に1週間および2週間保存し、その時の積層体の基材フィルムとポリオレフィン系樹脂層間の剥離強度を接着強度の測定と同条件で測定。
耐落下性 ‥‥耐水接着強さと同様に、400mlのミネラルウォ−タ−を充填した200mm×100mmの三方シール袋を40°Cの恒温槽に2週間保存後、1.0mの高さからコンクリート床に水平及び垂直落下させて破袋状態を観察。
○ ‥ 10回以上落下させても破袋しない。
× ‥ 1〜2回の落下で破袋する。
味覚評価 ‥‥耐水接着強さと同様に、400mlのミネラルウォ−タ−を充填した200mm×100mmの三方シール袋を5°Cの恒温槽に2週間保存後、ミネラルウォーターの味覚をブランクのミネラルウォーターと比較し評価。
○ ‥ 有意差なし
× ‥ 有意差あり
− ‥ 評価できず
総合評価 ‥‥接着強度、耐水接着強さが150g/15mm、以上に維持され、落下によっても破袋等の問題が発生せず、また味覚評価によって内容物のミネラルウォーターの味の劣化が判別できない場合に、積層体、特に液体包装用の積層体として使用できると判断し、総合評価を○とした。
上記項目を1つでもクリアーできないものは、総合評価を×とした。
【0071】
【表1】
【0072】
表1から明らかなように、二軸延伸ポリエステルフィルムや二軸延伸ポリプロピレンフィルムの表面に低温プラズマ法により撥水性を示す接着性改質層を設け、その上に低密度ポリエチレン樹脂層を積層した積層体は、接着強度や耐水接着強さが低下せず、耐落下性も悪くならず、味覚劣化も認められないことが分かる(実施例1〜実施例4)。
【0073】
【発明の効果】
上記のように本発明による積層体は、基材の二軸延伸プラスチックフィルム表面に撥水性を示す接着性改質層を介して直接ポリオレフィン系樹脂層を積層してあるために、内容物に含まれる水分によって層間の接着強度が低下して耐落下性が落ちることを防止でき、また、接着剤を使用することなく積層してあるため、接着剤の臭気による内容物の味覚変化がなく、特に液体容器用の積層体として好適である。
【0074】
また、接着剤を使用しないことで、製造工程やコストを改善することも可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層体の一構成例を示す断面図である。
【図2】押出ラミネート装置による本発明の積層体の作製方法の一例を示す構成図である。
【図3】マイクロ波低温プラズマ処理装置の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
1‥‥積層体
2‥‥基材
3‥‥二軸延伸プラスチックフィルム
4‥‥撥水性を示す接着性改質層
5‥‥ポリオレフィン系樹脂層
5a‥積層される樹脂、溶融樹脂
20‥‥押出ラミネート装置
21‥‥Tダイ
23‥‥圧着ロール
24‥‥冷却ロール
30‥‥低温プラズマ処理装置
31‥‥処理ガス導入部
32‥‥導波管
33‥‥マイクロ波発振装置
34‥‥プラズマガス供給パイプ
35‥‥真空ポンプ
36‥‥改質層形成後の基材
Claims (3)
- 少なくとも一方の表面が二軸延伸プラスチックフィルムである基材の、該二軸延伸プラスチックフィルム表面に、低温プラズマ処理法によって設けられた撥水性を示す接着性改質層を介して直接ポリオレフィン系樹脂層が積層されたことを特徴とする積層体の製造方法。
- 前記二軸延伸プラスチックフィルムが二軸延伸ポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項1記載の積層体。
- 前記二軸延伸プラスチックフィルムが二軸延伸ポリプロピレンフィルムであることを特徴とする請求項1記載の積層体。
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