JP3773709B2 - 高速回転体のバランス修正方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高速回転体のバランス修正方法に関し、例えば、空気軸受ポリゴンスキャナに適用される高速回転を必要とする回転体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、回転体のアンバランスを矯正するためのバランス修正が知られており、このバランス修正の方法としては、回転体を回転させて回転時に発生する振動と回転体の基準位置を各々検知し、その振動原因となるアンバランス質量をキャンセルするように、回転体の所望の位置におもりを付加する方法や、あるいは回転体構成部品の一部を削除する方法などが知られている。
【0003】
近年、デジタル複写機等の高速プリント化・画質の高精細化を実現するにあたって、ポリゴンスキャナを30,000rpm以上の超高速かつ高精度に回転させる必要が生じている。しかし、高速回転させると回転体のアンバランスによる振動が問題となり、回転体のアンバランスを矯正するためにバランス修正が必要となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、バランス修正する際の回転数が高速なほど振動検出能力が向上するため高速回転させたいが、おもりを付加する方法の場合そのおもりが遠心力で飛散してしまうため高速回転によるバランス修正に不都合が生じていた。
【0005】
また、回転体構成部品の一部を削除する方法では上記不都合はないが、回転体の組立直後(バランス修正前)では各構成部品によるバラツキによるアンバランス(以下、初期アンバランスという)が大きく、その状態で高速回転させると振れ回りが多大となり軸受に損傷を与える(玉軸受等による転がり軸受の場合、ボール表面や内外輪傷が損傷する、動圧軸受等による流体軸受は負荷容量が小さいため軸受が接触し損傷することになる)。
【0006】
また、初期アンバランスを小さくすることで上記問題は軽減できるが、30,000rpm以上の場合、各構成部品の嵌合部の加工精度は全て数μm以下としなければならず部品がコスト高になるばかりか、組立の際に温度管理が必要となるなど問題が多くなっている。
【0007】
そこで、本発明は、バランス修正において、回転体の所望の位置におもりを付加する方法と、回転体構成部品の一部を削除する方法を併用することにより、バランス修正の精度を向上して、低振動のポリゴンスキャナを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため、請求項1に記載の発明は、動圧軸受によって回転自在に支持される回転体のバランス修正方法において、接着剤を塗布する方法と、回転体の一部を削除する方法と、を併用し、前記回転体の一部を削除する方法において、回転体構成部品のうち切削性の良い非磁性のアルミ合金部材からなるロータフランジまたはポリゴンミラーの一部を削除するとともに、前記接着剤を塗布する方法における接着剤の比重は、前記回転体の一部を削除する方法において削除されるアルミ合金部材の比重よりも大きくしたことを特徴とするものである。
【0009】
この請求項1に記載の発明では、接着剤の塗布と、回転体の削り取りによりバランスが修正される。したがって、接着剤により粗修正され、削り取りにより微修正される。また、回転体構成部品のうち切削性の良い非磁性の部材が削除される。したがって、容易に回転体の一部が削除される。さらに、削除される部材の比重よりも比重の大きい接着剤が塗布されバランスが修正される。したがって、塗布する接着剤の体積が小さくされる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、動圧軸受によって回転自在に支持される回転体のバランス修正工程において、回転体のバランスを異なる回転数でチェックする複数のチェック工程を設け、後工程の回転数を先工程の回転数よりも高く設定し、後工程の回転数は実使用回転数の1/2以上の回転数であることを特徴とするものである。
【0011】
この請求項2に記載の発明では、後工程の回転数が先工程の回転数より高く設定される。したがって、徐々に回転数を上げてバランスがチェックされる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、動圧軸受によって回転自在に支持される回転体のバランス修正工程において、回転体のバランスを異なる回転数でチェックする複数のチェック工程を設け、後工程の回転数を先工程の回転数よりも高く設定し、
前記先工程の修正は、接着剤を塗布する方法により行い、前記後工程の修正は、回転体の一部である切削性の良い非磁性のアルミ合金部材からなるロータフランジまたはポリゴンミラーの一部を削除する方法により行い、前記接着剤を塗布する方法における接着剤の比重は、前記回転体の一部を削除する方法において削除されるアルミ合金部材の比重よりも大きくしたことを特徴とするものである。
【0013】
この請求項3に記載の発明では、後工程の回転数が先工程の回転数より高く設定される。したがって、徐々に回転数を上げてバランスがチェックされる。また、回転数の低い工程では接着剤によりバランス修正され、回転数の高い工程では回転体の削り取りによりバランス修正される。したがって、回転数の低い工程で粗修正され、回転数の高い工程では微修正される。また、回転体構成部品のうち切削性の良い非磁性の部材が削除される。したがって、容易に回転体の一部が削除される。さらに、削除される部材の比重よりも比重の大きい接着剤が塗布されバランスが修正される。したがって、塗布する接着剤の体積が小さくされる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、動圧軸受によって回転自在に支持される回転体のバランス修正工程において、回転体のバランスを異なる回転数でチェックする複数のチェック工程を設け、後工程の回転数を先工程の回転数よりも高く設定し、前記チェック工程において、全部または一部を光透過部材で構成され前記回転体の外周を包囲するように設けられたカバー部材における光透過部材を通して回転体へ光を入射して、非接触の光センサーにより回転体の回転数を検出することを特徴とするものである。
【0015】
この請求項4に記載の発明では、後工程の回転数が先工程の回転数より高く設定される。したがって、徐々に回転数を上げてバランスがチェックされる。また、回転体の外周を包囲するようにカバー部材が設けられる。したがって、高速回転の際の風損が軽減されるとともに、ゴミの衝突が回避される。さらに、カバー部材の全部または一部が光透過部材で構成され、光透過部材を通して回転体の回転数が検出される。したがって、非接触で回転体の回転数が検出される。
【0016】
請求項5に記載の発明は、動圧軸受によって回転自在に支持される回転体のバランス修正工程において、回転体のバランスを異なる回転数でチェックする複数のチェック工程を設け、後工程の回転数を先工程の回転数よりも高く設定し、前記複数のチェック工程において、少なくとも回転体、軸受、モータを実使用状態と同じ構成とし、かつ駆動制御回路を実使用状態と同じ制御回路定数でPLLによる定速回転制御することを特徴とするものである。
【0017】
この請求項5に記載の発明では、後工程の回転数が先工程の回転数より高く設定される。したがって、徐々に回転数を上げてバランスがチェックされる。また、少なくとも回転体、軸受、モータが実使用状態と同じ構成にされ、かつ駆動制御回路が実使用状態と同じ制御回路定数で定速回転制御される。したがって、実使用の軸受が使用され、バランス修正用の回路基板を設けることが回避される。
【0018】
請求項6に記載の発明は、動圧軸受によって回転自在に支持される回転体のバランス修正工程において、回転体のバランスを異なる回転数でチェックする複数のチェック工程を設け、後工程の回転数を先工程の回転数よりも高く設定し、前記バランスをチェックする際、回転姿勢を実使用状態と同じ傾斜姿勢で行うことを特徴とするものである。
【0019】
この請求項6に記載の発明では、後工程の回転数が先工程の回転数より高く設定される。したがって、徐々に回転数を上げてバランスがチェックされる。また、実使用状態と同じ回転姿勢でバランスチェックが行われる。したがって、動圧軸受剛性が変化することが回避される。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れかに記載の高速回転体のバランス修正方法を回転駆動装置に適用したものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。
図1〜図3は本発明に係るバランス修正方法を適用する動圧空気軸受型ポリゴンスキャナの一実施形態を示す図である。
【0027】
図1において、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ10(以下、単にポリゴンスキャナという)は、回転体11、固定軸12、スペーサ部材13、ハウジング14、ステータ15、回路基板16、ホール素子17、上カバー18、から構成されるものである。
【0028】
上カバー18は、回転体11を覆うように形成され、回路基板16とで回転体11を密閉しており、レーザビーム入出射用の開口窓部18aを有し、該開口窓部18aに密着するようにガラス部材18bが固定されている。したがって、この上カバー18は、カバー部材を構成する。
【0029】
回転体11は、円筒形状をした回転スリーブ21(例えば、セラミック製)の上端部外周にフランジ22(例えば、アルミ合金からなる)の内周部を焼キバメまたは圧入固定しており、フランジ22の上部にはポリゴンミラー23を、下部にはロータ磁石組立体(ロータフランジ24とロータ磁石25)を固着し、さらにポリゴンミラー23中心部にはアキシャル方向(図中、Aの矢印の方向)を非接触で支持する磁気軸受を構成する磁性体26を固着している。
【0030】
ラジアル方向(図中、Bの矢印の方向)の動圧軸受を構成する固定軸12の外径表面にはヘリングボーン状の動圧発生溝12aが形成されており、固定軸12の下端外周部はハウジング14に焼キバメあるいは圧入固定されている。
【0031】
なお、回転スリーブ21と固定軸12は、円筒形状に形成され、例えば、セラミック材料からなり、回転スリーブ21の上端外径部に固定されるポリゴンミラー23は、例えば、アルミ合金材料で構成される。
【0032】
図2は、この回転体11の要部を拡大した図であり、図1と同等の構成については同一の符号を付している。
【0033】
固定軸12と回転スリーブ21の内周面とで構成される動圧軸受隙間(図中、C)は数μmで嵌合されている。固定軸12の内周部にはアキシャル軸受を構成する磁気軸受用永久磁石組立体(磁石31、上下の磁性板32と33、以下、単に磁気軸受という)が配置されている。
【0034】
この磁気軸受は、磁性体26の突起部26aとラジアル方向に磁気ギャップをもち、ギャップ間にはたらく吸引力を利用してアキシャル方向へ非接触支持されている。
【0035】
また、磁性体26には、固定軸12と回転体11とで形成される上部の空気溜り部34と回転体11外部とを連通させる微細穴26bが形成されており、磁気軸受(アキシャル軸受)にダンピング特性をもたせている。
【0036】
磁気軸受の下部には磁気軸受のアキシャル方向の位置決めと空気溜り部34の容積を減少させるスペーサ部材13が配置されている。(空気溜り部34の容積が小さいほど空気ばねとしての剛性が向上する。)なお、スペーサ部材13は、ハウジング14の中心部の有底部に突き当て固定している。
【0037】
このポリゴンスキャナ10のモータ方式は、ステータ15の外径方向にロータ磁石25と磁気ギャップをもつアウターロータ型といわれる方式である。これは、ロータ磁石25の磁界により回路基板16に実装されているホール素子17から出力される信号を位置信号として参照し、駆動回路によりステータ巻線15aの励磁切り替えを行い、回転体11が回転するようになっている。
【0038】
なお、図中40〜43は、後述するバランス修正の際に形成される接着剤、あるいはドリル穴などの修正箇所を示している。
【0039】
この回転体11は、高速回転時の振動を小さくするために回転体11の上下でバランス修正(いわゆる2面修正)を行っている。上側はポリゴンミラー23、下側はロータフランジ24で各々修正されている。
【0040】
このバランス修正について図2に修正箇所を示し、図3に工程について示し各々説明する。
【0041】
図2に示すように、上側の修正は、第一のバランス修正工程ステップ24のときポリゴンミラー23に設けられた円周上の凹部に接着剤40を塗布し、第二のバランス修正工程ステップ26のときポリゴンミラー23上部をドリルで削除してドリル穴41を形成するものである。
【0042】
また、下側の修正は、第一のバランス修正工程ステップ24のときロータフランジ24(またはロータ磁石25)で構成される凹部に接着剤42を塗布し、第二のバランス修正工程26のときロータフランジ24をドリルで削除してドリル穴43を形成するものである。
【0043】
まず、回転体11(図1における21〜26)の組立を行い(S21)、別途組み立てられた固定側ユニット(少なくとも固定軸12、磁気軸受31〜33、モータ部15〜17が組み立てられたもの→バランス修正する際に回転させるために最低必要な部品)に回転体11を嵌合させる(S22)。
【0044】
その後、第一のバランス修正工程に入るが、まずアンバランス状態をチェックするために回転数N1で定速回転させバランスチェックを行う(S23)。このとき回転駆動は自身のモータ部によって行われ、かつ定速回転制御回転を行っている。
【0045】
これは、別途回転制御装置を使う必要が無いため簡単であり、かつポリゴンスキャナ10で用いられている定速制御をそのまま使用するため回転ムラが非常に小さく、振動チェックが高精度にできる。回転ムラが大きいと回転ムラ周波数に応じて振動値が変動するため高精度チェックには限界があり、その結果高精度バランス修正が困難となる。
【0046】
なお、回転制御方式はPLL(Phase Locked Loop)制御または速度ディスクリミネータ方式による方法等があり、定速回転制御領域の広いPLL制御がより好適である。
【0047】
また、回転駆動する際の姿勢はポリゴンスキャナ10が実際にレーザを偏向する時の姿勢にて行われる(例えば複写機に搭載されている姿勢が回転軸方向が水平(90°の傾斜)の場合、バランス修正の際の回転も90°傾斜させて行う)。
【0048】
このように姿勢を実使用状態と同じとすることにより、特に動圧軸受で発生する軸受剛性の変化によるバランスへの影響を相殺し高精度バランス修正が可能となる。
【0049】
組立直後の回転体11は、部品単体の形状精度および部品嵌合部の組付ガタの影響により、大きなアンバランス(初期アンバランス)となっている(最大1,000mg・mm)。この状態で高速回転させると軸受に損傷を与えてしまう。特に動圧軸受は軸受負荷容量が玉軸受などと比較して小さいため、10,000rpm以上で1,000mg・mmのアンバランスが生じていると軸受焼き付きなどの致命的な損傷となる。
【0050】
バランスチェックの結果が許容内(20mg・mm以下)でない場合、アルミ合金よりも比重の重い接着剤40、42を塗布してバランス修正を行う(S24)。
【0051】
この方法は、接着剤に金属粉等を混入し、比重を大きくでき、第一のバランス工程におけるバランス修正方法としては望ましい。
【0052】
なお、削り取り方法は、アルミ合金が軽量(2.7g/cm)であるため、1,000mg・mmから高速回転時に軸受損傷のないレベルである20mg・mm以下のバランス修正を行うためには、削り取る体積が多く作業時間が長くなったり、凹部が大きくなり(高速回転時の風損大)不都合である。上記不都合をなくすために比重の重い部材(鉄など)を設けることも考えられるが、部品点数増加、全体質量の増加、イナーシャ大による起動時間延長など問題が多い。
【0053】
ここで、第一のバランス工程では、軸受の損傷しない回転数、あるいは接着剤が遠心力で飛散しない回転数のいずれか低い回転数を設定しチェックを行う。具体的には回転数N1は10,000rpm以下で、接着剤の比重はアルミ合金の2倍以上あれば上記不具合が無いことが実験的に確認された。
【0054】
ステップ23のチェックでバランス修正が許容内(20mg・mm以下)となった場合、塗布した接着剤の固着を行い(紫外線硬化型であれば紫外線の照射、高温硬化型なら所望の温度での硬化)、第二のバランス工程へ進む。
【0055】
第二のバランス工程におけるバランスチェック25は第一のバランス工程におけるバランスチェックの回転数N1よりも高速な回転数N2で行われる(S25)。
【0056】
回転駆動方法、PLL制御による定速回転は第一のバランスチェック23と同様である。このとき、PLL制御はN1、N2、実使用回転数のいずれにおいても同期回転できるように回路定数が設定されている。
【0057】
実際にレーザを偏向する時の回転数が30,000rpm以上の場合に10,000rpmでバランス修正を行ったとしても動圧軸受の場合、回転数の違いで軸受剛性が変化して振動が大きくなったり、遠心力増加による回転体11のバランスへの影響が問題となる。
【0058】
そこで、実際にレーザを偏向する時の回転数でバランスを修正することにより上記問題が解決される(実際には実使用回転数の1/2以上であれば動圧軸受剛性の変化による影響は小さく、実用上問題はない)。ステップ25のチェックで許容外であればバランス修正を行う(S26)。この方法は、削り取りによる修正方法により行われる。
【0059】
削り取りは回転体11の構成部品のいずれかを削り取ることとなるが、ポリゴンミラー23とロータフランジ24で行うことが最適である。この理由は回転体の上下端の部品であり、いわゆる2面修正が容易であることと、素材がアルミ合金であるため削り取りの際の微調整が容易であること(切削性が良いので小径ドリル(φ1mm以下)による加工が容易)による。
【0060】
なお、削り取りはドリルによる機械加工のほかレーザ照射による削除も好適である。レーザ照射の場合、削り取りの時に発生する切削ゴミの処理をしなくて済む。
【0061】
以上の第一のバランス工程で20mg・mm以下に修正された回転体11は第二のバランス工程で2mg・mm以下まで高精度修正される。
【0062】
なお、ステップ25におけるバランスチェックの高速回転の際には、回転体11の風損が増加するため、上カバー18を実装し風損低減することが望ましい(実際にレーザを偏向する際のポリゴンミラー23周辺の形状と同じであることが尚望ましい)。
【0063】
上カバー18が無いと風損により電流が増大(モータの磁気力増大)し、回転体11の軸方向の挙動が変化し、バランスチェックの際の値に影響を与える。さらに、ポリゴンミラー23周辺に浮遊しているゴミが衝突する時に発生する鏡面への打痕が反射率を劣化させる恐れがある。
【0064】
このとき上カバー18全体または一部を光透過部材とすることにより、バランスチェック時に必要な回転体11の回転数検出に非接触の光センサー方式を採用でき好適である。
【0065】
一方、駆動回路から回転数の参照信号を検出する方法も考えられるが、回路基板上にチェックピン等を設ける必要があり、ポリゴンスキャナ10自身の回路を使用する場合にはコストアップとなり、また電気的な接続方法も複雑になる。
【0066】
なお、上述した実施形態においては、チェック工程が2工程ある場合を示したが、これに限定されるものではなく、更なる高速化/低振動化を達成するために第二工程以降に第三、第四工程などを設けてもよい。なお、その時のチェック回転数は後工程へ進むほど高くなるように設定することが望ましい。(より高速回転することによりチェック時の検出精度が向上する)。
【0067】
以上説明したバランス工程におけるアンバランス量とチェック回転数との良否を表1にて示した。実使用回転数は50,000rpmの時の例である。◎、○印は好適なチェック回転数を表しており、◎は最も好適な例である。くり返しになるが、第一工程の×印は高速回転することにより軸受の損傷が発生する領域。第二工程の×印は実使用回転数よりも1/2以下の回転数となり、実使用回転数とチェック回転数の差が大きく軸受剛性の違いによる振動への影響が無視できない領域であり、不適となる。
【表1】
Figure 0003773709
【0068】
このように本実施形態においては、動圧軸受によって回転自在に支持される回転体のバランスを修正する際に接着剤を塗布する方法と回転体の一部を削除する方法を併用したことにより、大きな初期アンバランス量から微少なアンバランス量までバランス修正の高精度化を簡単に達成することができる。(大きな初期アンバランスでは接着剤で修正することにより粗修正を行い、削り取りにより微修正を行うことが可能となる。)
【0069】
また、バランスチェックの際、回転数が異なった複数のチェック工程を設け、第二のバランス修正工程の回転数を第一のバランス修正工程の回転数よりも高く設定したことにより、大きな初期アンバランス量に対しても軸受の損傷を軽減し、さらに回転数の違いで軸受剛性が変化して振動が大きくなることによる、または遠心力増加による回転体のバランスへの影響を小さくすることができる。
【0070】
また、第一のバランス修正工程の修正は接着剤の塗布により行い、第二のバランス修正工程の修正は回転体の一部を削除する方法としたことにより、第一のバランス修正工程では多くの初期アンバランス量を修正するのに通常用いられるアルミ合金製のポリゴンミラーを削り取るより小さい体積で短時間に作業することができ、修正量の少ない第二のバランス修正工程では比重の小さいアルミ合金を削り取るため微修正が容易である。さらに、アルミ合金は非磁性であるので削り取る際に発生する切削ゴミがロータ磁石の磁気力によりに回転体に再付着することが防止できる。
【0071】
また、バランス修正工程におけるバランスチェックの際、ポリゴンミラーの外周を包囲するように上カバーを設けたことにより、高速回転の際の風損を低減し、軸方向の挙動変化によるバランスチェックの際の値への影響を軽減できる。さらに、ポリゴンミラー周辺に浮遊しているゴミが衝突する時に発生する鏡面への打痕をなくし反射率の劣化を防止することができる。
【0072】
また、ポリゴンミラーを包囲する上カバーの全部または一部を光透過部材で構成し、光透過部を通して回転体へ光を入射し回転体の回転数を検出することにより、非接触で回転数を検出することが可能となり、容易に回転数検出が可能となる。
【0073】
また、バランスチェック時は少なくとも回転体、軸受、モータを実使用状態と同じ構成とし、かつ駆動制御回路を実使用状態と同じ制御回路定数で定速回転制御することにより、バランス修正用として回転させる際に専用の回路基板を設けることがないため、工程を簡素化できる。さらに実使用の軸受を使用することができ、軸受(径)のバラツキによる軸受剛性の違いによるバランス修正への影響を無くすことができる。
【0074】
また、バランス修正の際のバランスチェック時の回転姿勢を実使用状態と同じ姿勢で行うことにより、各姿勢における動圧軸受剛性の変化(バランス変化)がなくなるため、高精度バランス修正が可能となる。
【0075】
【発明の効果】
本発明によれば、動圧軸受によって回転自在に支持される回転体のバランスを修正する際に接着剤を塗布する方法と回転体の一部を削除する方法を併用し、大きな初期アンバランスでは接着剤で修正することにより粗修正を行い、削り取りにより微修正を行っているので、大きな初期アンバランス量から微少なアンバランス量まで、バランス修正の高精度化を容易に達成することができる。
【0076】
また、回転数が異なった複数のチェック工程を設け、後工程の回転数を先工程の回転数よりも高く設定すれば、大きな初期アンバランス量に対しても軸受の損傷を軽減し、さらに回転数の違いで軸受剛性が変化して振動が大きくなることによる、または遠心力増加による回転体のバランスへの影響を小さくすることができ、バランス修正の精度を向上させることができる。
【0077】
また、先工程の修正は接着剤を塗布する方法で行い、後工程の修正は回転体の一部を削除する方法で行えば、先工程では低い回転数で粗修正でき、後工程では高い回転数で微修正でき、バランス修正の精度を向上させることができる。
【0078】
また、回転体構成部品のうち切削性の良い非磁性の部材を削除してバランス修正すれば、微修正が容易にでき、削り取る際に発生する切削ゴミが回転体に再付着することが防止でき、作業性を向上させるとともに、バランス修正の精度を向上させることができる。
【0079】
また、接着剤の比重を削除される部材の比重より大きくすれば、小さい体積で短時間に作業することができ、作業性を向上させるとともに、バランス修正の精度を向上させることができる。
【0080】
また、回転体の外周を包囲するようにカバー部材を設ければ、高速回転の際の風損を低減し、軸方向の挙動変化によるバランスチェックの際の値への影響を軽減でき、ポリゴンミラー周辺に浮遊しているゴミが衝突する時に発生する鏡面への打痕をなくし反射率の劣化を防止でき、バランス修正の精度を向上させることができる。
【0081】
また、カバー部材の全部または一部を光透過部材で構成し、光透過部を通して回転体へ光を入射し回転体の回転数を検出すれば、非接触で回転数を検出することができ、容易に回転数を検出でき、バランス修正の精度を向上させることができる。
【0082】
また、バランスチェック時は少なくとも回転体、軸受、モータを実使用状態と同じ構成とし、かつ駆動制御回路を実使用状態と同じ制御回路定数で定速回転制御すれば、バランス修正用として回転させる際に専用の回路基板を設けることがなく、工程を簡素化できるとともに、実使用の軸受を使用することにより、軸受(径)のバラツキによる軸受剛性の違いによるバランス修正への影響を無くすことができ、バランス修正の精度を向上させることができる。
【0083】
また、バランスチェック時の回転姿勢を実使用状態と同じ姿勢で行なえば、各姿勢における動圧軸受剛性の変化(バランス変化)をなくすことができ、バランス修正の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るバランス修正方法を適用する動圧空気軸受型ポリゴンスキャナの一実施形態を示す図であり、その全体構成図である。
【図2】その回転体の要部を示す拡大図である。
【図3】そのバランス修正方法を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
10 ポリゴンスキャナ
11 回転体
12 固定軸
12a 動圧発生溝
13 スペーサ部材
14 ハウジング
15 ステータ
15a ステータ巻線
16 回路基板
17 ホール素子
18 上カバー
18a 開口窓部
18b ガラス部材
21 回転スリーブ
22 フランジ
23 ポリゴンミラー
24 ロータフランジ
25 ロータ磁石
26 磁性体
26a 突起部
26b 微細穴
31 磁気軸受
34 空気溜り部
40、42 接着剤
41、43 ドリル穴

Claims (7)

  1. 動圧軸受によって回転自在に支持される回転体のバランス修正方法において、
    接着剤を塗布する方法と、回転体の一部を削除する方法と、を併用し
    前記回転体の一部を削除する方法において、回転体構成部品のうち切削性の良い非磁性のアルミ合金部材からなるロータフランジまたはポリゴンミラーの一部を削除するとともに、
    前記接着剤を塗布する方法における接着剤の比重は、前記回転体の一部を削除する方法において削除されるアルミ合金部材の比重よりも大きくしたことを特徴とする高速回転体のバランス修正方法。
  2. 動圧軸受によって回転自在に支持される回転体のバランス修正工程において、
    回転体のバランスを異なる回転数でチェックする複数のチェック工程を設け、
    後工程の回転数を先工程の回転数よりも高く設定し、後工程の回転数は実使用回転数の1/2以上の回転数であることを特徴とする高速回転体のバランス修正方法。
  3. 動圧軸受によって回転自在に支持される回転体のバランス修正工程において、
    回転体のバランスを異なる回転数でチェックする複数のチェック工程を設け、
    後工程の回転数を先工程の回転数よりも高く設定し、
    前記先工程の修正は、接着剤を塗布する方法により行い、
    前記後工程の修正は、回転体の一部である切削性の良い非磁性のアルミ合金部材からなるロータフランジまたはポリゴンミラーの一部を削除する方法により行い、
    前記接着剤を塗布する方法における接着剤の比重は、前記回転体の一部を削除する方法において削除されるアルミ合金部材の比重よりも大きくしたことを特徴とする高速回転体のバランス修正方法。
  4. 動圧軸受によって回転自在に支持される回転体のバランス修正工程において、
    回転体のバランスを異なる回転数でチェックする複数のチェック工程を設け、
    後工程の回転数を先工程の回転数よりも高く設定し、
    前記チェック工程において、全部または一部を光透過部材で構成され前記回転体の外周を包囲するように設けられたカバー部材における光透過部材を通して回転体へ光を入射して、非接触の光センサーにより回転体の回転数を検出することを特徴とする高速回転体のバランス修正方法。
  5. 動圧軸受によって回転自在に支持される回転体のバランス修正工程において、
    回転体のバランスを異なる回転数でチェックする複数のチェック工程を設け、
    後工程の回転数を先工程の回転数よりも高く設定し、
    前記複数のチェック工程において、少なくとも回転体、軸受、モータを実使用状態と同じ構成とし、かつ駆動制御回路を実使用状態と同じ制御回路定数でPLLによる定速回転制御することを特徴とする高速回転体のバランス修正方法。
  6. 動圧軸受によって回転自在に支持される回転体のバランス修正工程において、
    回転体のバランスを異なる回転数でチェックする複数のチェック工程を設け、
    後工程の回転数を先工程の回転数よりも高く設定し、
    前記バランスをチェックする際、回転姿勢を実使用状態と同じ傾斜姿勢で行うことを特徴とする高速回転体のバランス修正方法。
  7. 前記請求項1〜6の何れかに記載の高速回転体のバランス修正方法を用いた回転駆動装置。
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