JP4067686B2 - 動圧空気軸受モータ及びポリゴンスキャナ - Google Patents

動圧空気軸受モータ及びポリゴンスキャナ Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラジアル動圧空気軸受を用いた動圧空気軸受モータ及びこの動圧空気軸受モータを用いたポリゴンスキャナに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、レーザー書込装置で使用されるポリゴンミラーを高速回転させるモータ、ハードディスクドライブ用モータ、光ディスクドライブ用モータ等においては、ラジアル動圧空気軸受を用いた動圧空気軸受モータが使用されている。ラジアル動圧空気軸受は、回転体の外周面又は内周面に形成されたラジアル動圧空気軸受面と、この回転体を回転自在に保持する保持部の内周面又は外周面に形成されたラジアル動圧空気軸受面とを対向させて形成されたリング状の微小隙間であり、回転体の回転駆動時には、この微少隙間内で発生する動圧空気により回転体と保持部とが非接触状態に維持される。
【0003】
回転体の回転駆動時の運動は、回転体がその重心位置を中心として一種のスリコギ動作する運動(不釣り合いによる回転体の角変位モードの振動)と、回転体がその中心線と平行方向に移動する運動(不釣り合いによる回転体の並進モードの振動)とが複合された運動である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
不釣り合いによる回転体の角変位モードの振動に関して、回転体の重心がラジアル動圧空気軸受面と回転体の軸方向で重なる範囲から外れて位置すると、回転体からラジアル動圧空気軸受の固定部に作用する加振力が大きくなり、固定部及びこの固定部が固定されているハウジングが大きく振動する。
【0005】
また、不釣り合いによる回転体の並進モードの振動に関して、この振動は回転体の不釣り合いによる遠心力が原因となって発生するものであり、この振動が大きくなると回転体とラジアル動圧空気軸受の固定部とが接触し、ラジアル動圧空気軸受が焼付きを起こす。
【0006】
そこで本発明は、不釣り合いによる回転体の角変位モードの振動によって回転体からラジアル動圧空気軸受の固定部に作用する加振力を小さくし、固定部及びこの固定部が固定されているハウジングの振動を小さくすることができ、かつ、不釣り合いによる回転体の並進モードの振動を低下させ、この振動が大きくなった場合に発生する回転体と固定部との接触を防止することができる動圧空気軸受モータ及びポリゴンスキャナを提供することを目的とする。
【0007】
また本発明は、ラジアル動圧空気軸受を形成する部品の共通化を図り、コストダウンを図ることができる動圧空気軸受モータ及びポリゴンスキャナを提供することを目的とする。
【0008】
また本発明は、耐焼付き性に優れた動圧空気軸受モータ及びポリゴンスキャナを提供することを目的とする。
【0009】
また本発明は、中空回転軸に焼きばめ又は圧入固定されるフランジの加工を容易に、かつ、精度良く行える動圧空気軸受モータ及びポリゴンスキャナを提供することを目的とする。
【0010】
また本発明は、ラジアル動圧空気軸受の固定部として円筒状の固定スリーブを用いた場合、固定スリーブの加工コストを下げることができる動圧空気軸受モータ及びポリゴンスキャナを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、回転体がラジアル動圧空気軸受と磁気軸受のアキシャル軸受とによりそれぞれ半径方向と軸方向とに支持され、前記回転体がステータコアとロータマグネットとがラジアル方向で対向するモータ部により回転駆動され、前記ラジアル動圧空気軸受と前記アキシャル軸受とのそれぞれの固定部がハウジングに固定された動圧空気軸受モータであって、前記回転体は、外側にラジアル動圧空気軸受を設け、内側にアキシャル軸受の磁気軸受を設けた、軸径に対して軸長の短い円筒状の中空回転軸を備え、重心位置調整部としてロータマグネット部をラジアル動圧空気軸受より下方に位置させることにより前記回転体の重心の位置を調整し、前記回転体の重心を前記ラジアル動圧空気軸受のラジアル動圧空気軸受面と前記回転体の軸方向で重なる範囲内に位置させ、前記回転体の釣り合い良さがCr×ω(但し、Crは片側軸受隙間[mm]、ωは回転角速度[rad/s])以下である。
【0012】
従って、回転体の重心がラジアル動圧空気軸受のラジアル動圧空気軸受面と軸方向で重なる範囲内に位置することにより、不釣り合いによる回転体の角変位モードの振動によって回転体からラジアル動圧空気軸受の固定部に作用する加振力がその固定部の両端側で逆方向となり、2つの加振力の合力が小さくなり、固定部及びこの固定部が固定されているハウジングの振動が小さくなる。また、回転体の釣り合い良さがCr×ω以下であることにより、不釣り合いによる回転体の並進モードの振動が低下し、回転体とラジアル動圧空気軸受の固定部との接触が防止される。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の動圧空気軸受モータにおいて、前記回転体は、前記中空回転軸の一端側外周面であってラジアル動圧空気軸受面以外の部分に焼きばめ又は圧入固定されたフランジと、このフランジに固定されて前記モータ部の一部を構成するロータヨーク部とを有し、前記ロータヨーク部に前記ロータマグネットが固定される
【0014】
従って、中空回転軸は外形寸法が均一である単純な形状となり、この中空回転軸を各種の動圧空気軸受モータで共通化することができる。中空回転軸にフランジを焼きばめ又は圧入固定したとき、ラジアル動圧空気軸受面が変形することがなく、中空回転軸にフランジを焼きばめ等した後にラジアル動圧空気軸受面を修正加工する手間がかからない。また、ラジアル動圧空気軸受の直径と中空回転軸の外形寸法が同じになり、或る直径のラジアル動圧空気軸受を得ようとする場合において、ラジアル動圧空気軸受面が内周面に形成された中空回転軸に比べてこの中空回転軸は外形寸法が小さくなり、この中空回転軸の外周に焼きばめ等されるフランジの内径寸法が小さくなり、内径寸法が小さいフランジは温度変化に伴う膨張が発生してもその膨張量は僅かとなるために中空回転軸に対するフランジの緩みや脱落が防止される。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の動圧空気軸受モータにおいて、前記中空回転軸は、セラミックスにより形成されている。
【0016】
従って、中空回転軸の耐焼付き性が高くなる。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項2又は3記載の動圧空気軸受モータにおいて、前記フランジと前記ロータヨーク部とは別個に形成され、これらのフランジとロータヨーク部とが前記中空回転軸の外周位置で固定されている。
【0018】
従って、フランジに対してポリゴンミラー等の被回転部材を取り付ける取付面を研削加工するとき、中空回転軸に焼きばめ又は圧入固定されるフランジの内周面をチャックすることが容易になり、取付面の面振れを小さく抑えることができる。
【0019】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一記載の動圧空気軸受モータにおいて、前記ラジアル動圧空気軸受の固定部は、内周面にラジアル動圧空気軸受面が形成された円筒状の固定スリーブであり、この固定スリーブ内に前記中空回転軸が嵌合され、前記固定スリーブは前記中空回転軸との嵌合範囲を超えて延長され、この延長部分における前記固定スリーブの内周面が前記ハウジングに嵌合されてこの固定スリーブが位置固定されている。
【0020】
従って、固定スリーブの外周面はラジアル動圧空気軸受として用いられず、また、固定スリーブをハウジングに固定するときの位置決め基準面としても用いられないため、固定スリーブの外周面の加工精度を高める必要がなく、固定スリーブの製造コストが低くなる。
【0021】
請求項6記載の発明のポリゴンスキャナは、請求項1ないし5のいずれか一記載の動圧空気軸受モータと、この動圧空気軸受モータの前記回転体に固定されたポリゴンミラーとを備える。
【0022】
従って、このポリゴンスキャナは、請求項1ないし5のいずれか一記載の動圧空気軸受モータを使用した場合のそれぞれの作用が得られる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の第一の実施の形態を図1ないし図3に基づいて説明する。本実施の形態のポリゴンスキャナ1は、ハウジング2と、ハウジング2内に収納された動圧空気軸受モータ3と、動圧空気軸受モータ3により回転駆動されるポリゴンミラー4とにより形成されている。ハウジング2は、ケース5にカバー6を固定することにより形成され、ケース5の外周部にはポリゴンスキャナ1を光学ハウジングの所定位置へ取り付けるための取付基準部5aが鍔状に形成されている。
【0024】
動圧空気軸受モータ3は、ケース5の略中央部に固定された固定部である固定スリーブ7、固定スリーブ7の中心線周りに回転自在な回転体8、回転体8を回転駆動させるモータ部9等により形成されている。
【0025】
回転体8は、固定スリーブ7内に嵌合されてこの固定スリーブ7との間にラジアル動圧空気軸受10を形成する円筒状の中空回転軸11、中空回転軸11の外周面に焼きばめ又は圧入固定された円筒状のフランジ12、モータ部9の一部を構成するモータ部構成部品であって中空回転軸11の外周位置でフランジ12に焼きばめ又は圧入固定された円筒状のロータヨーク13、モータ部構成部品であってロータヨーク13に圧入固定されたロータマグネット14、中空回転軸11の上端部に圧入固定されてフランジ12上に載置されたポリゴンミラー4を押圧固定するミラー押え15等により形成されている。中空回転軸11は非磁性材料であるセラミックスにより形成され、フランジ12は中空回転軸11を形成するセラミックスより熱膨張率が大きいアルミニウム合金や鉄鋼などにより形成されている。また、中空回転軸11が嵌合される固定スリーブ7もセラミックスにより形成されている。
【0026】
中空回転軸11はその外径寸法が均一に形成され、中空回転軸11の外周面であって固定スリーブ7の内周面(ラジアル動圧空気軸受面)16に対向する部分がラジアル動圧空気軸受面17とされ、これらのラジアル動圧空気軸受面16,17を微小隙間をもって対向させることによりラジアル動圧空気軸受10が形成されている。中空回転軸11の外周面の上部側であってラジアル動圧空気軸受面17以外の部分にフランジ12が焼きばめ又は圧入固定されている。ラジアル動圧空気軸受面17には動圧効果を高めるための溝18が形成されている。
【0027】
中空回転軸11の内側には、ケース5に固定された柱状の固定部19と、中空回転軸11の内周部に固定されてこの中空回転軸11と一体に回転する回転部20とからなるアキシャル軸受である吸引型磁気軸受21が設けられている。この吸引型磁気軸受21は、固定部19と回転部20との間にラジアル方向の磁気ギャップが形成されている。
【0028】
回転部20は、吸引型磁気軸受21の軸方向に2極に着磁されたリング状永久磁石22と、このリング状永久磁石22を軸方向の両端で挟む一対のリング状のヨーク板23,24とから形成されている。ヨーク板23,24は強磁性材料により形成され、その中心円の直径はリング状永久磁石22の内径よりも小さく形成され、かつ、ヨーク板23,24はその中心円が同心上に位置するように配置されている。
【0029】
固定部19は鉄鋼系の強磁性材料により形成され、この固定部19には、ヨーク板23,24の中心円の内周面に対向配置されてこれらのヨーク板23,24との間に磁気ギャップを形成する外筒面が形成されている。この磁気ギャップの寸法としては、0.1〜0.5mmが好ましい。
【0030】
さらに、中空回転軸11の内側には、空気が通過するときの粘性抵抗を利用して回転体8の上下振動を減衰させる微細穴(図示せず)が形成されたキャップ部材25と、回転部20の脱落を防止するストッパ26とが圧入固定されている。
【0031】
ケース5内には、ネジ止めされたプリント基板27とステータコア28とが固定され、ステータコア28に巻かれた巻線コイル29がプリント基板27に接続されている。また、プリント基板27にはホール素子30が実装され、パターン配線されている。巻線コイル29が巻かれたステータコア28とロータマグネット14とがラジアル方向で対向しており、これらのプリント基板27、ステータコア28、巻線コイル29、ホール素子30、ロータヨーク13、ロータマグネット14等により、回転体8を回転駆動させるモータ部9が形成されている。モータ部9は、ホール素子30の位置検出信号に従って順次巻線コイル29への通電を切り替えることにより回転体8を定速回転制御する。
【0032】
また、この回転体8は、回転体8の重心“M”が、ラジアル動圧空気軸受10のラジアル動圧空気軸受面16,17と軸方向で重なる範囲内に位置するように構成されている。具体的には、フランジ12に圧入固定されているロータヨーク13及びロータヨーク13に圧入固定されたロータマグネット14を、中空回転軸11の下端部より下方に位置させることにより、回転体8の重心“M”の位置を下げている。ここで、ロータヨーク13とロータマグネット14を重心位置調整部と称す。ロータヨーク13の材料として鉄鋼やステンレス鋼などの比重の大きな強磁性体を用いることにより、回転体8の重心“M”の位置を下げる効果が高くなる。さらに、強磁性体を用いることにより、ロータマグネット14の磁力を有効に利用することができる。
【0033】
また、この回転体8は、不釣り合いによる回転体8の並進モードの振動が小さくなるようにするため、回転体8の釣り合い良さ[mm / s](JIS B0905:回転機械−ロータの釣り合い良さ)が少なくともCr×ω(Cr:片側軸受隙間[mm]、ω:回転角速度[rad/s])以下となるようにバランス修正が行われている。このバランス修正は、回転体8の上下2ヶ所の修正面(ミラー押え15の上端面、ロータマグネット14の内周面)15a,14aに樹脂などを接着することにより行われている。
【0034】
このような構成において、ポリゴンスキャナ1の駆動時には、回転体8とポリゴンミラー4とは、半径方向にはラジアル動圧空気軸受10により支持され、軸方向には吸引型磁気軸受21により支持されて高速回転する。
【0035】
ここで、このポリゴンスキャナ1における回転体8の回転駆動時の運動は、回転体8がその重心位置を中心として一種のスリコギ動作する運動(不釣り合いによる回転体8の角変位モードの振動)と、回転体8がその中心線と平行方向に移動する運動(不釣り合いによる回転体8の並進モードの振動)とが複合された運動であるので、この運動を、不釣り合いによる回転体8の角変位モードの振動と、不釣り合いによる回転体8の並進モードの振動とに分けて説明する。
【0036】
まず、不釣り合いによる回転体8の角変位モードの振動について図2に基づいて説明する。図2(a)は、中空回転軸11を含む回転体8の重心“M”の位置が、ラジアル動圧空気軸受10のラジアル動圧空気軸受面16,17と回転体8の軸方向で重なる範囲内に位置している場合である。図2(b)は、中空回転軸11を含む回転体8の重心“M”の位置が、ラジアル動圧空気軸受10のラジアル動圧空気軸受面16,17と回転体8の軸方向で重なる範囲から上方へ外れている場合である。
【0037】
回転体8に角変位モードの振動が発生すると、ラジアル動圧空気軸受10の上端と下端とにできる隙間はそれぞれ偏りが生じ、その隙間が小さくなった側では空気の圧力が高くなり、その空気の圧力が空気ばねとして働き、回転体8から固定スリーブ7に加振力が作用する。ここで、図2(a)に示すように、回転体8の重心“M”がラジアル動圧空気軸受面16,17と軸方向で重なる範囲内に位置している場合には、回転体8から固定スリーブ7に作用する加振力が回転体8の上下両端で逆向きになり、2つの加振力の合力が小さくなり、固定スリーブ7及び固定スリーブ7が固定されているハウジング2の振動が小さくなる。固定スリーブ7及びハウジング2の振動が最小となるのは、重心“M”がラジアル動圧空気軸受面16,17の軸方向に沿った中心位置に位置する場合である。
【0038】
一方、図2(b)に示すように、回転体8の重心“M”がラジアル動圧空気軸受面16,17と軸方向で重なる範囲から上方へ外れていると、回転体8から固定スリーブ7に作用する加振力が回転体8の上下両端で同じ向きになり、2つの加振力の合力が大きくなり、固定スリーブ7及び固定スリーブ7が固定されているハウジング2の振動が大きくなる。
【0039】
つぎに、不釣り合いによる回転体8の並進モードの振動について図3に基づいて説明する。この並進モードの振動は、中空回転軸11を含む回転体8の重心“M”がラジアル方向に平行移動する運動であり、その原動力は、残留不釣り合いによる遠心力である。そこで、修正面15a,14aに樹脂などを接着することにより回転体8のバランス修正を行い、回転体8の釣り合い良さ(JIS B0905:回転機械−ロータの釣り合い良さ)を少なくともCr×ω以下にする。これにより、中空回転軸11のラジアル動圧空気軸受面17と固定スリーブ7のラジアル動圧空気軸受面16との接触が防止され、接触によるラジアル動圧空気軸受の焼きつきが防止される。
【0040】
このラジアル動圧空気軸受10では、ラジアル動圧空気軸受10を形成する部品である中空回転軸11が外形寸法を均一にした単純な円筒形状に形成されており、寸法が異なるポリゴンミラー4を取り付ける場合には必要に応じて異なる寸法のフランジ12を焼きばめ又は圧入固定する。従って、中空回転軸11及びこの中空回転軸11が嵌合される固定スリーブ7を各形式の動圧空気軸受モータ3において共通化することができ、動圧空気軸受モータ3のコストダウンを図ることができる。
【0041】
中空回転軸11に対するフランジ12の固定は、中空回転軸11の一端側外周面であってラジアル動圧空気軸受面17以外の部分に焼きばめ又は圧入固定により行われているため、フランジ12を固定することにより中空回転軸11の内周面がつづみ状に変形してもラジアル動圧空気軸受面17が変形することがなく、フランジ12を固定した後に中空回転軸11の変形を修正する後加工が不要となる。
【0042】
また、中空回転軸11がセラミックスにより形成され、フランジ12が中空回転軸11を形成するセラミックスより熱膨張率が大きい材料で形成されているので、焼きばめによる中空回転軸11へのフランジ12の固定を確実に行える。かつ、中空回転軸11及び固定スリーブ7がセラミックスで形成されていることにより、ラジアル動圧空気軸受10の耐摩耗性及び耐焼付性が向上する。
【0043】
また、中空回転軸11の外周面にラジアル動圧空気軸受面17が形成されているため、ラジアル動圧空気軸受10の直径と中空回転軸11の外径寸法とが同じになり、或る直径のラジアル動圧空気軸受を得ようとする場合において、ラジアル動圧空気軸受面17が外周面に形成された中空回転軸11と内周面に形成された中空回転軸とを比較すると、ラジアル動圧空気軸受面17が外周面に形成された中空回転軸11のほうが外径寸法が小さくなり、この中空回転軸11の外周に固定されるフランジ12の内径寸法を小型化することができる。そして、フランジ12の内径寸法が小型化されることにより、温度上昇に伴うフランジ12の膨張が発生してもその膨張量は僅かとなり、中空回転軸11に対するフランジ12の緩みや脱落が防止される。
【0044】
また、中空回転軸11の外周面にラジアル動圧空気軸受面17が形成され、この中空回転軸11の内側に吸引型磁気軸受21が形成されているので、吸引型磁気軸受21の組立時や組立後に吸引型磁気軸受21から発生したゴミがラジアル動圧空気軸受10内に入り込むことがなく、吸引型磁気軸受21から発生したゴミの入り込みによる動圧空気軸受モータ3の回転異常の発生が防止される。
【0045】
つぎに、本発明の第二の実施の形態を図4に基づいて説明する。なお、図1ないし図3において説明した部分と同じ部分は同じ符号で示し、説明も省略する。本実施の形態の動圧空気軸受モータ31は、ケース5の略中央部に固定された固定部である固定スリーブ32、固定スリーブ32の中心線周りに回転自在な回転体33、回転体33を回転駆動させるモータ部34等により形成されている。
【0046】
回転体33は、固定スリーブ32内に嵌合されてこの固定スリーブ32との間にラジアル動圧空気軸受10を形成する円筒状の中空回転軸11、中空回転軸11の上部外周面に焼きばめ又は圧入固定されたフランジ12、モータ部34の一部を構成するモータ部構成部品であって中空回転軸11の外周位置でフランジ12に焼きばめ又は圧入固定された円筒状のロータヨーク35、モータ部構成部品であってロータヨーク35に圧入固定されたロータマグネット14、中空回転軸11の上端部に圧入固定されてフランジ12上に載置されたポリゴンミラー4を押圧固定するミラー押え15等により形成されている。
【0047】
固定スリーブ32の内周面はラジアル動圧空気軸受面16が形成され、この固定スリーブ32内には中空回転軸11が嵌合されている。固定スリーブ32はラジアル動圧空気軸受面16と同じ内径寸法で中空回転軸11との嵌合範囲を超えて延長され、その延長部分における固定スリーブ32の内周面がハウジング2に嵌合されることにより固定スリーブ32が位置固定されている。
【0048】
ロータヨーク35及びロータマグネット14の外周側には、ハウジング2内に固定されたステータコア36が配置されている。ステータコア36には巻線コイル37が巻かれている。そして、これらのステータコア36、巻線コイル37、ロータヨーク35、ロータマグネット14、プリント基板27、ホール素子30等により、回転体33を回転駆動させるモータ部34が形成されている。
【0049】
このような構成において、本実施の形態では、固定スリーブ32の内周面にラジアル動圧空気軸受面16が形成され、ハウジング2への固定スリーブ32の固定が固定スリーブ32の内周面を利用して行われている。このため、固定スリーブ32の外周面はラジアル動圧空気軸受として用いられず、また、固定スリーブ32をハウジング2に固定するときの位置決め基準面としても用いられないため、固定スリーブ32の外周面の加工精度を高める必要がなく、固定スリーブ32の製造コストが低くなる。
【0050】
また、ロータヨーク35及びロータマグネット14がステータコア36の内側に配置されているため、ロータヨーク35及びロータマグネット14の直径を小型化することができる。これにより、回転体33に作用する遠心力を小さくでき、また、ロータマグネット14の周囲の風損を小さくでき、高速回転に適した動圧空気軸受モータ31を得ることができる。
【0051】
なお、上述した各実施の形態においては、アキシャル軸受として吸引型軸受21を例に挙げて説明したが、アキシャル軸受としては他の構造のものであってもよく、例えば、本出願人が特開平8−266030公報で開示しているように磁気ギャップを軸方向に設けたものであってもよい。
【0052】
【発明の効果】
請求項1記載の発明の動圧空気軸受モータによれば、回転体の重心がラジアル動圧空気軸受のラジアル動圧空気軸受面と回転体の軸方向で重なる範囲内に位置することにより、不釣り合いによる回転体の角変位モードの振動によって回転体からラジアル動圧空気軸受の固定部に作用する加振力がその固定部の両端側で逆方向となり、2つの加振力の合力が小さくなり、固定部及びこの固定部が固定されているハウジングの振動を小さくすることができる。また、回転体の釣り合い良さがCr×ω以下であることにより、不釣り合いによる回転体の並進モードの振動を低下させることができ、回転体とラジアル動圧空気軸受の固定部との接触を防止することができる。
【0053】
請求項2記載の発明の動圧空気軸受モータによれば、中空回転軸は外形寸法が均一である単純な形状となるので、この中空回転軸を各種の動圧空気軸受モータで共通化することができ、動圧空気軸受モータの製造コストを下げることができる。また、中空回転軸にフランジを焼きばめ又は圧入固定したとき、ラジアル動圧空気軸受面が変形することがないので、中空回転軸にフランジを焼きばめ等した後にラジアル動圧空気軸受面を修正加工する手間が不要となり、動圧空気軸受モータの製造コストが安くなる。また、ラジアル動圧空気軸受の直径と中空回転軸の外形寸法が同じになるので、或る直径のラジアル動圧空気軸受を得ようとする場合において、ラジアル動圧空気軸受面が内周面に形成された中空回転軸に比べてこの中空回転軸は外形寸法が小さくなり、この中空回転軸の外周に焼きばめ等されるフランジの内径寸法を小さくすることができ、内径寸法が小さいフランジは温度変化に伴う膨張が発生してもその膨張量は僅かとなるために中空回転軸に対するフランジの緩みや脱落を防止することができる。
【0054】
請求項3記載の発明の動圧空気軸受モータによれば、中空回転軸はセラミックスにより形成されているので、耐焼付き性に優れた動圧空気軸受モータを得ることができる。
【0055】
請求項4記載の発明の動圧空気軸受モータによれば、フランジに対してポリゴンミラー等の被回転部材を取り付ける取付面を研削加工するとき、中空回転軸に焼きばめ又は圧入固定されるフランジの内周面をチャックして研削加工することが容易になり、フランジの形成される取付面の面振れを小さく抑えることができる。
【0056】
請求項5記載の発明の動圧空気軸受モータによれば、固定スリーブの外周面はラジアル動圧空気軸受として用いられず、また、固定スリーブをハウジングに固定するときの位置決め基準面としても用いられないため、固定スリーブの外周面の加工精度を高める必要がなく、固定スリーブの製造コストを低くすることができる。
【0057】
請求項6記載の発明のポリゴンスキャナによれば、請求項1ないし5のいずれか一記載の動圧空気軸受モータを使用した場合に得られる効果と同じ効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態のポリゴンスキャナを示す縦断正面図である。
【図2】不釣り合いによる回転体の角変位モードの振動について説明する説明図である。
【図3】不釣り合いによる回転体の並進モードの振動について説明する説明図である。
【図4】本発明の第二の実施の形態のポリゴンスキャナを示す縦断正面図である。
【符号の説明】
3,31 動圧空気軸受モータ
4 ポリゴンミラー
7,32 ラジアル動圧空気軸受の固定部、固定スリーブ
8,33 回転体
9,34 モータ部
10 ラジアル動圧空気軸受
11 中空回転軸
12 フランジ
13,14,35 モータ部構成部品
16,17 ラジアル動圧空気軸受面
19 アキシャル軸受の固定部
21 アキシャル軸受

Claims (6)

  1. 回転体がラジアル動圧空気軸受と磁気軸受のアキシャル軸受とによりそれぞれ半径方向と軸方向とに支持され、前記回転体がステータコアとロータマグネットとがラジアル方向で対向するモータ部により回転駆動され、前記ラジアル動圧空気軸受と前記アキシャル軸受とのそれぞれの固定部がハウジングに固定された動圧空気軸受モータであって、
    前記回転体は、外側にラジアル動圧空気軸受を設け、内側にアキシャル軸受の磁気軸受を設けた、軸径に対して軸長の短い円筒状の中空回転軸を備え、
    重心位置調整部としてロータマグネット部をラジアル動圧空気軸受より下方に位置させることにより前記回転体の重心の位置を調整し、前記回転体の重心を前記ラジアル動圧空気軸受のラジアル動圧空気軸受面と前記回転体の軸方向で重なる範囲内に位置させ、
    前記回転体の釣り合い良さがCr×ω(但し、Crは片側軸受隙間[mm]、ωは回転角速度[rad/s])以下であることを特徴とする動圧空気軸受モータ。
  2. 前記回転体は、前記中空回転軸の一端側外周面であってラジアル動圧空気軸受面以外の部分に焼きばめ又は圧入固定されたフランジと、このフランジに固定されて前記モータ部の一部を構成するロータヨーク部とを有し、前記ロータヨーク部に前記ロータマグネットが固定されることを特徴とする請求項1記載の動圧空気軸受モータ。
  3. 前記中空回転軸は、セラミックスにより形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の動圧空気軸受モータ。
  4. 前記フランジと前記ロータヨーク部とは別個に形成され、これらのフランジとロータヨーク部とが前記中空回転軸の外周位置で固定されていることを特徴とする請求項2又は3記載の動圧空気軸受モータ。
  5. 前記ラジアル動圧空気軸受の固定部は、内周面にラジアル動圧空気軸受面が形成された円筒状の固定スリーブであり、この固定スリーブ内に前記中空回転軸が嵌合され、前記固定スリーブは前記中空回転軸との嵌合範囲を超えて延長され、この延長部分における前記固定スリーブの内周面が前記ハウジングに嵌合されてこの固定スリーブが位置固定されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一記載の動圧空気軸受モータ。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一記載の動圧空気軸受モータと、この動圧空気軸受モータの前記回転体に固定されたポリゴンミラーとを備えることを特徴とするポリゴンスキャナ。
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