JP3642928B2 - 動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナに関し、詳細には、ラジアル動圧空気軸受と吸引型アキシャル磁気軸受を利用した動圧空気軸受型ポリゴンスキャナに関する。
【0002】
【従来の技術】
ディジタル複写機やレーザープリンタ等のレーザー書込系を用いた電子写真方式の記録装置は、その印字品質が良好なこと、印字速度が速いこと及び騒音が低いこと等の特徴と低価格化が進んできたことから、近時、急速に普及してきている。
【0003】
この電子写真方式の記録装置のレーザー書込系に用いられているポリゴンスキャナには、記録装置のプリント速度及び画素密度に応じた回転速度でポリゴンミラーを回転させることが要求され、特に、近年、プリント速度の高速化及び画素密度の高密度化にともない、ポリゴンスキャナには、20000rpm以上の超高速回転が要求される。
【0004】
このような超高速回転の要求されるポリゴンスキャナには、従来のボールベアリングタイプの軸受装置では、軸受寿命や軸受騒音などの面から要求される画像品質を満足させることができない。
【0005】
そこで、従来から、超高速回転の要求されるポリゴンスキャナには、動圧空気を利用した動圧空気軸受が用いられている。
【0006】
このような動圧空気軸受を使用した装置としては、例えば、特開昭60−244913号公報に記載されている回転体支持装置が提案されている。この回転体支持装置は、第1の磁気部材及びこの第1の磁気部材を囲続する状態に設けられた第2の磁気部材を有し、いずれか一方の磁気部材に回転体が回転可能に取着された磁気スラスト軸受により上記回転体のスラスト方向の支持を行うようにした回転体支持装置であって、上記第1、第2の磁気部材の両側をそれぞれ強磁性体で挟んだことを特徴としている。
【0007】
この回転体支持装置をポリゴンスキャナに適用すると、回転体に固定され鉄板等の強磁性材料からなる板状リングで上下から挟まれた内側磁気リングと、モータハウジングに固定され鉄板等の強磁性材料からなる板状リングで上下から挟まれた外側磁気リングと、から構成される吸引型の磁気軸受と動圧空気軸受でポリゴンミラーを支持することになる。
【0008】
また、特開昭61−269115号公報に記載されている回転体支持装置は、磁性材料からなる固定軸と、この固定軸にジャーナル軸受部を介して外嵌され、前記固定軸を中心として回転するモータロータを備えた回転組立体と、この回転組立体を回転させる駆動機構部とからなる回転支持装置において、スラスト荷重支持用磁気軸受は内輪が前記固定軸に設けられ、この内輪に対向する外輪が回転組立体の内側に固着され、かつ前記内輪と前記固定軸の支持部端部の間に0.5mm以上のギャップが形成されていることを特徴としている。
【0009】
この回転支持装置をポリゴンスキャナに適用すると、回転軸の支持部に固定された固定側磁気リングと回転体を構成するシリンダの内側に固定された回転側磁気リングとから構成される吸引型の磁気軸受と動圧空気軸受でポリゴンミラーを支持することになる。
【0010】
さらに、特開平5−71532号公報に記載されている軸受装置は、固定軸にスリーブが嵌合し、該スリーブに設けた一方のラジアル軸受面が固定軸に設けた他方のラジアル軸受面と対向し、前記一方のラジアル軸受面と他方のラジアル軸受面との少なくとも一方にヘリングボーン状の溝を設け、前記固定軸に取り付けた磁石部材がスリーブに取り付けた磁石部材または磁性体部材と非接触に対向して磁気軸受を構成し、前記スリーブの外周面にロータマグネット部材とミラーとを取り付けたことを特徴としている。
【0011】
また、本出願人は、先に、動圧流体軸受によって支持され、一体的に構成されたモータの駆動により回転する装置において、回転体に使用される接着剤を90℃で400MPa以上のヤング率で構成してなるブラシレスモータの回転体装置、すなわち、ラジアル方向には、動圧空気軸受が構成され、アキシャル方向には、上下反発型の磁気軸受が構成され、回転体を回転自在に支持するブラシレスモータの回転体装置を提案している(特開平8−266030号公報参照)。
【0012】
すなわち、この軸受装置は、具体的には、例えば、図8に示すように、ポリゴンスキャナの軸受装置1に適用され、ポリゴンスキャナの軸受装置1は、ハウジング2に圧入固着あるいは焼きばめ等の方法で堅固に固定された固定軸3と、固定軸3が挿入された中空回転軸4と、を備えている。
【0013】
中空回転軸4は、図9に示すように、軸方向途中に外方(径方向)に突出して図示しない光学ハウジングへの取付基準面となる鍔部4aが形成されており、当該鍔部4aの上面にポリゴンミラー5が載置されている。ポリゴンミラー5は、ミラー押さえ6により中空回転軸4の鍔部4aに押さえ付けられるとともに、ミラー押さえ6がネジ7により中空回転軸4に固定されることにより、中空回転軸4に固定されている。ミラー押さえ6は、永久磁石8を保持しており、マグネットホルダーとしての機能も有している。
【0014】
この永久磁石8に対向する上方の位置には、図8に示すように、ハウジング2に固定された上カバー9に保持された永久磁石10が所定の微小間隔を開けて配設されており、永久磁石8に対向する下方の位置には、固定軸3の上端に固定された永久磁石11が所定の微小間隔を開けて配設されている。永久磁石10及び永久磁石11は、それぞれ永久磁石8に対して相互に向かい合う面が同極となるように配設されており、永久磁石8に対してそれぞれ反発力が作用する。上カバー9には、図示しないが半導体レーザからのレーザー光の入出射用の開口部が形成されており、当該開口部には、両面テープあるいは接着剤等でガラスが設けられて、上カバー9及びハウジング2内が密閉されている。
【0015】
そして、ミラー押さえ6には、図示しない上下振動減衰用連通穴が形成されており、この上下振動減衰用連通穴は、後述するアキシャル軸受に適切なダンピング特性を持たせている。
【0016】
中空回転軸4の鍔部4aの下面であって中空回転軸4の外周面には、図8及び図9に示すように、周状にロータマグネット12が取り付けられており、ロータマグネット12は、中空回転軸4に対して内周部を嵌合させ、内周部と軸方向上面を中空回転軸4及び鍔部4aに直接接着等で固着することにより、中空回転軸4に固着されている。
【0017】
上記ロータマグネット12は、軽量かつ機械的耐力(引張強度)の高いアルミ−マンガン系の金属磁石により形成されており、中空回転軸4と固定軸3は、軽量化と高速回転のために、比重の小さいアルミニウム合金で形成されているとともに、起動停止時の摩耗を防止するために、軸受表面には、無電界複合ニッケルメッキの表面処理が施されている。また、ポリゴンミラー5及びミラー押さえ6は、アルミニウム合金で形成されている。
【0018】
上記ポリゴンミラー5、ミラー押さえ6及びロータマグネット12等の取り付けられた中空回転軸4は、回転体13を構成している。
【0019】
そして、上記ロータマグネット12に対向する下方の位置に、図8に示すように、プリント基板14を挟んでコイル部15とホール素子16が配設されており、これらプリント基板14、コイル部15及びホール素子16は、ハウジング2に取り付けられている。プリント基板14は、コネクタ17及びハーネス18を介して回路基板19に接続されており、これらロータマグネット12、プリント基板14、コイル部15、ホール素子16、コネクタ17、ハーネス18及び回路基板19の制御回路等により、アキシャルギャップ(面対向)型のモータ20が構成されている。このモータ20は、制御回路(回路基板)19により励磁切り換えを行うことにより、回転体13を回転させる。
【0020】
そして、上記ミラー押さえ6には、回転体13の不釣り合い修正用のバランス修正溝6aが形成されており、ロータマグネット12には、回転体13の不釣り合い修正用のバランス修正溝12aが形成されている。バランス修正用溝12aは、ロータマグネット12の内周面の一部を周状に切り欠くことにより形成されており、ロータマグネット12のバランス修正用溝12a以外の内周面は、中空回転軸4に精度良く嵌合されている。
【0021】
また、固定軸3の外周面には、図8に示すように、ヘリングボーン溝3a、3bが上下2対形成されており、モータ20の駆動により回転体13が回転すると、中空回転軸4と固定軸3の隙間の圧力が高まり、中空回転軸4、固定軸3及びヘリングボーン溝3a、3bにより動圧空気を利用したラジアル軸受として機能して、非接触でラジアル方向に回転体13を支持する。
【0022】
一方、上記ミラー押さえ6に保持された磁石8、上カバー9に保持された磁石10、固定軸3の上端に固定された磁石11及びミラー押さえ6に形成された上下振動減衰用連通穴は、磁石10と磁石11がミラー押さえ6に保持された磁石8に上下双方から反発力を付与して、磁石8及び磁石8を保持するミラー押さえ6を介して回転体13を反発浮上させるアキシャル軸受として機能して、回転体13を軸方向に非接触で支持する。
【0023】
すなわち、この軸受装置1は、ラジアル方向に動圧軸受を用い、アキシャル方向に磁石反発型の磁気軸受を用いており、モータ方式として、アキシャル方向に磁気ギャップを持った、いわゆる面対向型を採用している。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の軸受装置にあっては、ポリゴンスキャナ等の高速回転の軸受としては、なお、改良の余地があった。
【0025】
すなわち、特開昭60−244913号公報記載の回転支持装置は、回転体に固定される内側磁気リングの機械的強度が低いため、この回転支持装置をポリゴンスキャナに適用した場合、高速回転によって遠心応力が働くと、破壊されやすく、特に、外径が保持されていない場合には、破壊されやすい。また、板状リングで上下から挟まれた内側磁気リングが回転体に接着固定されているため、高温と低温に繰り返し曝されると、線膨張率が異なる材料同士の接着部分に剪断応力がかかり、接着部分が徐々に劣化して、回転体のバランスが崩れ、周りを振動させて、騒音を発生させたり、書込画像の画像品質を悪化させて、信頼性を低下させるという問題があった。
【0026】
また、特開昭61−269115号公報記載の回転体支持装置にあっては、回転体を固定軸に嵌合する際にむき出しになっている永久磁石同士が接触してしまうため、その接触で発生した微小なゴミやもともと永久磁石に付着していたゴミ等が回転支持装置の組み立て中に軸受隙間内に侵入して、正常に回転しなくなるという問題がある。また、一般に、永久磁石は、寸法精度が悪いため、リング状永久磁石の外径または内径の一方を位置決めに利用し、他方を磁気ギャップとして利用しようとすると、接触を避けるために磁気ギャップを比較的大きくする必要があるが、磁気ギャップを大きくすると、吸引力が低下し、意図する吸引力を確保するには、磁気軸受部を半径方向に大型化する必要があり、装置が大型化するという問題があった。さらに、永久磁石は、機械的な強度が小さいため、接着により永久磁石を接着部に固定するのが一般的であるが、永久磁石の接着部が高温と低温に繰り返し曝されると、線膨張率の異なる材料同士の接着部分に剪断応力がかかり、接着部分が徐々に劣化して、回転体のバランスが崩れる。その結果、この回転体支持装置をポリゴンスキャナに適用すると、ポリゴンミラーの取り付けられる回転体の不釣り合い振動が発生し、回転体の取り付けられている周りの部材を振動させて、騒音を発生させたり、書込画像の画像品質を悪化させて、信頼性を低下させるという問題があった。
【0027】
さらに、特開平5−71532号公報記載の軸受装置にあっては、磁気軸受部の固定部が固定軸の先端に突出して配置されており、磁気ギャップを小さくして大きな吸引力を得ようとすると、必然的に外径部がむき出しになった状態で、動圧空気軸受の軸受隙間へとつながる空間に配置・固定される。その結果、回転体を固定軸に嵌合する際に接触しやすく、その接触で発生した微小なゴミやもともと永久磁石に付着していたゴミが装置の組立中または回転中に動圧空気軸受の軸受隙間内に脱落、侵入し、正常に回転しなくなるという問題があった。
【0028】
また、特開平8−266030号公報記載のブラシレスモータの回転体装置にあっては、磁気軸受が反発型であるため、以下のような改良の余地があった。
【0029】
すなわち、上下反発型の磁気軸受では、3個の永久磁石8、10、11が必要であり、装置が大型化して、コストが高くなる。また、3個の永久磁石8、10、11を固定するためには、3箇所の接着作業が必要であり、作業工程が多く、コストが高くなる。さらに、寒冷地での保存や実使用での温度上昇を含めると、高温と低温に繰り返し曝されることがあるが、この場合、線膨張率が異なる材料同士の接着となるため、硬化した接着剤に剪断応力がかかり、剪断破壊が生じるおそれがあり、接着部分の信頼性を向上させる上で改良の余地があった。特に、回転体13に固定される永久磁石10の接着部で剪断破壊が生じて、永久磁石10が回転軸中心から半径方向にずれると、回転体13のバランスが崩れてしまい、周囲を振動させて、騒音を発生したり、書込画像の画像品質を低下させるおそれがあった。
【0030】
また、ポリゴンミラー5がミラー押さえ6を介してネジ7により中空回転軸4に固定されていたために、中空回転軸4にネジ穴の加工が必要であり、単純にネジ穴加工の分だけ、加工コストが高くなるとともに、ネジ穴加工時に使用する切削油がネジ穴に残りやすく、ネジ穴に残った切削油が中空回転軸4の高速回転時に、ネジ穴から外側に飛散して、ポリゴンミラー5や窓ガラス等の光学部品を汚して、ポリゴンスキャナとしての品質を低下させるおそれがあるとともに、当該ポリゴンスキャナの品質低下を防止するために、ネジ穴の入念な洗浄が必要であり、ネジ穴の加工コストに加えて、ネジ穴の洗浄コストもかかり、ポリゴンスキャナのコストがさらに上昇するおそれがあった。
【0031】
さらに、ポリゴンミラー5やミラー押さえ6は、その材料としてアルミニウム合金が用いられるが、ネジの締め付け力のバラツキが大きかったり、ミラー押さえ6の端面の精度が悪いと、ポリゴンミラー5のミラー面の面精度を悪化させることとなり、光学特性を悪化させるおそれがあった。
【0032】
そこで、請求項1記載の発明は、軸方向に中空部を有する中空回転軸にポリゴンミラーが固定された回転体の中空回転軸の中空部内に固定軸が挿入され、回転体が回転されると発生する空気の動圧を利用したラジアル動圧空気軸受と吸引型磁気力を利用したアキシャル軸受により、回転体を半径方向及び軸方向に回転自在に支持し、中空回転軸の一端側に中空部を閉止する保持部材が取り付けられ、固定軸の当該保持部材側の先端部に、軸方向に2極に着磁されたリング状の永久磁石を軸方向に挟むとともに、当該リング状の永久磁石の内径よりも小さい中心円が形成され強磁性材料からなるリング状の第1固定ヨーク板及び第2固定ヨーク板がそれぞれの中心円が中空回転軸に対して同軸となる状態で配置された吸引型磁気軸受固定部を固定し、かつ、吸引型磁気軸受固定部を、その一部が前記固定軸に固定された部分に対してラジアル方向に移動可能とし、保持部材に、吸引型磁気軸受固定部内に挿入され、吸引型磁気軸受固定部の第1固定ヨーク板及び第2固定ヨーク板の内周面との間に所定の磁気ギャップを形成する円形の外周部を備え、当該外周部が中空回転軸に対して同軸になる状態で配置された吸引型磁気軸受回転部を固定することにより、吸引型磁気軸受回転部の外周部を固定軸に固定された吸引型磁気軸受固定部で覆った状態として、アキシャル軸受に付着したゴミが組み立て時や組立後の回転中及び輸送中等にラジアル動圧空気軸受の軸受隙間内に脱落・侵入して、回転異常が発生することを防止し、また、加工が容易で寸法精度の高い第1及び第2固定ヨーク板と吸引型磁気軸受固定部との間に磁気ギャップを高精度に形成して、吸引型磁気軸受固定部の永久磁石の磁気力を有効利用し、信頼性が高く画像品質の良好な小型で安価な動圧空気軸受型ポリゴンスキャナを提供することを目的としている。
【0033】
請求項2記載の発明は、吸引型磁気軸受回転部を、強磁性材料で形成することにより、吸引型磁気軸受回転部として加工精度の高い強磁性材料を使用するとともに、永久磁石を削減して、より一層信頼性が高く画像品質の良好なより一層小型で、より一層安価な動圧空気軸受型ポリゴンスキャナを提供することを目的としている。
【0034】
請求項1,2記載の発明はまた、固定軸を、非磁性材料で形成するとともに、保持部材側の端部に円筒状の凹部を形成し、当該凹部内に吸引型磁気軸受固定部を埋設することにより、吸引型磁気軸受回転部を覆う吸引型磁気軸受固定部を固定軸に形成された凹部内に埋設して、固定軸と中空回転軸の嵌合の際に、中空回転軸の動圧空気軸受面と吸引型磁気軸受固定部が接触するのを防止し、アキシャル軸受に付着したゴミが組み立て時や組立後の回転中及び輸送中等にラジアル動圧空気軸受の軸受隙間内に脱落・侵入して、回転異常が発生することを防止するとともに、固定軸と中空回転軸の嵌合作業を容易なものとし、より一層小型・安価で信頼性が高く画像品質の良好な動圧空気軸受型ポリゴンスキャナを提供することを目的としている。
【0035】
請求項1,2記載の発明はさらに、第1固定ヨーク板と第2固定ヨーク板のうち、保持部材側に位置する第1固定ヨーク板あるいは第2固定ヨーク板のみを、固定軸の凹部の内周面に固定して、吸引型磁気軸受固定部を凹部内に埋設・固定することにより、簡単、かつ、容易に吸引型磁気軸受固定部を固定軸の凹部内に埋設固定するとともに、固定した第1固定ヨーク板あるいは第2固定ヨーク板以外の固定ヨーク板と永久磁石が、凹部内で移動可能な状態として、温度変化による固定軸の先端部分の変形を抑制し、より一層安価で、かつ、動圧空気軸受特性の良好な動圧空気軸受型ポリゴンスキャナを提供することを目的としている。
【0036】
請求項3記載の発明は、吸引型磁気軸受固定部のリング状の永久磁石の内径を、Dmi、その外径を、Dmo、第1及び第2固定ヨーク板の内径を、Dyi、その外径を、Dyo、固定軸に形成された凹部の内径を、Ds、としたとき、永久磁石、第1固定ヨーク板、第2固定ヨーク板及び固定軸の凹部を、Dmi+Dmo>Dyi−Dyo+2Dsなる関係を満足するように形成することにより、リング状の永久磁石の内径が第1固定ヨーク板及び第2固定ヨーク板の内径の内側にはみ出すことを適切に防止し、永久磁石と第1固定ヨーク板及び第2固定ヨーク板との特別な位置決め作業を行うことなく、吸引型磁気軸受固定部を簡単に組み立てて、より一層安価で、吸引型磁気軸受特性の良好な動圧空気軸受型ポリゴンスキャナを提供することを目的としている。
【0037】
請求項4記載の発明は、保持部材を、固定軸の凹部の形成された先端部が進入可能な略カップ状に形成し、中空回転軸の保持部材側の端部に略リング状のカシメ部を設け、カップ状の保持部材を、当該カシメ部により中空回転軸の一端部に固定することにより、回転体の構成部品のうち、線膨張率の異なる材料同士が接着される部分を削減して、長期にわたる使用により回転体が高温と低温に繰り返し曝された場合に、回転体の回転バランスが崩れて、周囲の部品を振動させて騒音が発生するのを防止し、かつ、書込画像の画像品質の良好なものとするとともに、保持部材を中空回転軸に取り付けるためのネジ穴加工とその後の洗浄処理を省いて、より一層安価で、小型の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナを提供することを目的としている。
【0038】
請求項5記載の発明は、保持部材を円盤状に形成し、中空回転軸の保持部材側の端部に略リング状のカシメ部を設け、円盤状の保持部材を、当該カシメ部により中空回転軸の一端部に固定することにより、回転体の構成部品のうち、線膨張率の異なる材料同士が接着される部分を削減して、長期にわたる使用により回転体が高温と低温に繰り返し曝された場合に、回転体の回転バランスが崩れて、周囲の部品を振動させて騒音が発生するのを防止し、かつ、書込画像の画像品質の良好なものとするとともに、保持部材を中空回転軸に取り付けるためのネジ穴加工とその後の洗浄処理を省いて、より一層安価な動圧空気軸受型ポリゴンスキャナを提供することを目的としている。
【0039】
請求項8記載の発明は、固定軸の凹部の形成された部分の外周面と当該外周面に半径方向で対向する中空回転軸の内周面との間に、動圧空気軸受面の軸受隙間よりも所定量大きい隙間を有する変形許容空間部を形成することにより、長期にわたる使用により回転体が高温と低温に繰り返し曝された場合に、温度変化により固定軸と吸引型磁気軸受固定部の線膨張率の違いから固定軸の凹部の形成された先端側が多少膨らんでも、変形許容空間部で当該変形を吸収し、動圧空気軸受特性を良好なものとして、騒音の発生を防止するとともに、書込画像の画像品質の良好な動圧空気軸受型ポリゴンスキャナを提供することを目的としている。
【0040】
請求項9記載の発明は、カップ状の保持部材の内周面と固定軸の凹部の形成された部分の外周面との間に、動圧空気軸受面の軸受隙間よりも所定量大きい隙間の変形許容空間部を形成することにより、長期にわたる使用により回転体が高温と低温に繰り返し曝された場合に、温度変化により固定軸と吸引型磁気軸受固定部の線膨張率の違いから固定軸の凹部の形成された先端側が多少膨らんでも、変形許容空間部で当該変形を吸収し、動圧空気軸受特性を良好なものとして、騒音の発生を防止するとともに、書込画像の画像品質の良好な動圧空気軸受型ポリゴンスキャナを提供することを目的としている。
【0041】
請求項6記載の発明は、リング状のカシメ部の内周側に付加重りを付加して、回転体の回転バランスを修正することにより、中空回転軸及び保持部材に回転バランス修正専用の修正溝等を形成することなく、回転体の回転バランスを修正し、製造が容易で、安価な動圧空気軸受型ポリゴンスキャナを提供することを目的としている。
【0042】
請求項7記載の発明は、中空回転軸の外周部に所定幅で所定量外方に突出した鍔部を形成し、ポリゴンミラーを、中空回転軸の外周部に圧入・固定される略リング状の板ばねにより鍔部に弾性的に押し付けて中空回転軸に固定することにより、中空回転軸にネジ穴を形成することなく、ポリゴンミラーを中空回転軸に固定し、中空回転軸のネジ穴加工とその後の洗浄処理を省いて、より一層製造が容易で、安価な動圧空気軸受型ポリゴンスキャナを提供することを目的としている。
【0043】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナは、軸方向に中空部を有する中空回転軸にポリゴンミラーの固定された回転体の前記中空回転軸の前記中空部内に固定軸が挿入され、前記中空回転軸の一端側に前記中空部を閉止して所定の空気溜まりを形成する状態で所定の保持部材が取り付けられ、前記回転体がモータにより回転され、前記回転体が前記モータに回転されることにより発生する空気の動圧を前記中空回転軸の内周面と前記固定軸の外周面からなる動圧空気軸受面で受けるラジアル動圧空気軸受と吸引型磁気力を利用したアキシャル軸受により前記回転体を半径方向方向及び軸方向に回転自在に支持する動圧空気軸受型ポリゴンスキャナであって、前記アキシャル軸受は、前記固定軸の前記保持部材側の先端部に固定されたリング状の吸引型磁気軸受固定部と、前記中空回転軸に取り付けられた前記保持部材に固定され前記リング状の吸引型磁気軸受固定部内に挿入された吸引型磁気軸受回転部と、を備え、前記吸引型磁気軸受固定部は、前記軸方向に2極に着磁されたリング状の永久磁石と、前記リング状の永久磁石の内径よりも小さい中心円が形成され強磁性材料からなるリング状の第1固定ヨーク板と、前記リング状の永久磁石の内径よりも小さい中心円が形成され強磁性材料からなるリング状の第2固定ヨーク板と、を備え、前記第1固定ヨーク板と前記第2固定ヨーク板は、前記リング状の永久磁石を前記軸方向に挟むとともに、それぞれの中心円が前記中空回転軸に対して同軸に配置され、かつ、前記吸引型磁気軸受固定部は、その一部が前記固定軸に固定された部分に対してラジアル方向に移動可能であり、前記吸引型磁気軸受回転部は、前記吸引型磁気軸受固定部の前記第1固定ヨーク板及び前記第2固定ヨーク板の内周面との間に所定の磁気ギャップを形成する円形の外周部を備え、前記外周部が前記中空回転軸に対して同軸に配置されていることにより、上記目的を達成している。
【0044】
上記構成によれば、軸方向に中空部を有する中空回転軸にポリゴンミラーが固定された回転体の中空回転軸の中空部内に固定軸が挿入され、回転体が回転されると発生する空気の動圧を利用したラジアル動圧空気軸受と吸引型磁気力を利用したアキシャル軸受により、回転体を半径方向及び軸方向に回転自在に支持し、中空回転軸の一端側に中空部を閉止する保持部材が取り付けられ、固定軸の当該保持部材側の先端部に、軸方向に2極が着磁されたリング状の永久磁石を軸方向に挟むとともに、当該リング状の永久磁石の内径よりも小さい中心円が形成され強磁性材料からなるリング状の第1固定ヨーク板及び第2固定ヨーク板がそれぞれの中心円が中空回転軸に対して同軸となる状態で配置された吸引型磁気軸受固定部を固定し、保持部材に、吸引型磁気軸受固定部内に挿入され、吸引型磁気軸受固定部の第1固定ヨーク板及び第2固定ヨーク板の内周面との間に所定の磁気ギャップを形成する円形の外周部を備え、当該外周部が中空回転軸に対して同軸になる状態で配置された吸引型磁気軸受回転部を固定しているので、吸引型磁気軸受回転部の外周部を固定軸に固定された吸引型磁気軸受固定部で覆った状態として、アキシャル軸受に付着したゴミが組み立て時や組立後の回転中及び輸送中等にラジアル動圧空気軸受の軸受隙間内に脱落・侵入して、回転異常が発生することを防止することができ、また、加工が容易で寸法精度の高い第1固定ヨーク板及び第2固定ヨーク板と吸引型磁気軸受固定部との間に磁気ギャップを高精度に形成して、吸引型磁気軸受固定部の永久磁石の磁気力を有効利用することができ、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナを信頼性が高く画像品質の良好なものとすることができるとともに、小型で安価なものとすることができる。
また、吸引型磁気軸受固定部は、その一部が前記固定軸に固定された部分に対してラジアル方向に移動可能であるので、温度変化により固定軸と吸引型磁気軸受固定部との寸法変化が生じても、固定軸の外周部の膨らみを軽減でき、動圧空気軸受特性を向上させることができる。その結果、安定して高速に回転体を回転させることができ、書込画像の画像品質を向上させることができる。
【0045】
この場合、例えば、請求項2に記載するように、前記吸引型磁気軸受回転部は、強磁性材料により形成されていてもよい。
【0046】
上記構成によれば、吸引型磁気軸受回転部を、強磁性材料で形成しているので、吸引型磁気軸受回転部として加工精度の高い強磁性材料を使用するとともに、永久磁石を削減することができ、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナをより一層信頼性が高く画像品質の良好なものとすることができるとともに、より一層小型で、より一層安価なものとすることができる。
【0047】
請求項1、2記載の発明では、固定軸は、非磁性材料で形成されているとともに、前記保持部材側の端部に円筒状の凹部が形成され、前記吸引型磁気軸受固定部は、当該固定軸の凹部内に埋設されている。
【0048】
上記構成によれば、固定軸を、非磁性材料で形成するとともに、保持部材側の端部に円筒状の凹部を形成し、当該凹部内に吸引型磁気軸受固定部を埋設しているので、吸引型磁気軸受回転部を覆う吸引型磁気軸受固定部を固定軸に形成された凹部内に埋設して、固定軸と中空回転軸の嵌合の際に、中空回転軸の動圧空気軸受面と吸引型磁気軸受固定部が接触するのを防止することができるとともに、アキシャル軸受に付着したゴミが組み立て時や組立後の回転中及び輸送中等にラジアル動圧空気軸受の軸受隙間内に脱落・侵入して、回転異常が発生することを防止することができ、固定軸と中空回転軸の嵌合作業を容易なものとすることができるとともに、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナをより一層小型で、より一層安価なものとすることができる。
【0049】
請求項1、2記載の発明では、さらに、前記吸引型磁気軸受固定部は、前記第1固定ヨーク板と前記第2固定ヨーク板のうち、前記保持部材側に位置する前記第1固定ヨーク板あるいは前記第2固定ヨーク板のみが、前記固定軸の前記凹部の内周面に固定され、前記凹部内に埋設・固定されている。
【0050】
上記構成によれば、第1固定ヨーク板と第2固定ヨーク板のうち、保持部材側に位置する第1固定ヨーク板あるいは第2固定ヨーク板のみを、固定軸の凹部の内周面に固定して、吸引型磁気軸受固定部を凹部内に埋設・固定しているので、簡単、かつ、容易に吸引型磁気軸受固定部を固定軸の凹部内に埋設固定することができるとともに、固定した第1固定ヨーク板あるいは第2固定ヨーク板以外の固定ヨーク板と永久磁石が、凹部内で移動可能な状態として、温度変化による固定軸の先端部分の変形を抑制することができ、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナを、より一層安価で、かつ、動圧空気軸受特性が良好なものとすることができる。
【0051】
また、例えば、請求項3に記載するように、前記吸引型磁気軸受固定部の前記リング状の永久磁石の内径を、Dmi、前記リング状の永久磁石の外径を、Dmo、前記第1固定ヨーク板及び第2固定ヨーク板の内径を、Dyi、前記第1固定ヨーク板及び第2固定ヨーク板の外径を、Dyo、前記固定軸に形成された前記内筒状の凹部の内径を、Ds、としたとき、前記永久磁石、前記第1固定ヨーク板、第2固定ヨーク板及び前記固定軸の凹部は、Dmi+Dmo>Dyi−Dyo+2Dsなる関係を満足するものであってもよい。
【0052】
上記構成によれば、吸引型磁気軸受固定部のリング状の永久磁石の内径を、Dmi、その外径を、Dmo、第1及び第2固定ヨーク板の内径を、Dyi、その外径を、Dyo、固定軸に形成された凹部の内径を、Ds、としたとき、永久磁石、第1固定ヨーク板、第2固定ヨーク板及び固定軸の凹部を、Dmi+Dmo>Dyi−Dyo+2Dsなる関係を満足するように形成しているので、リング状の永久磁石の内径が第1固定ヨーク板及び第2固定ヨーク板の内径の内側にはみ出すことを適切に防止することができ、永久磁石と第1固定ヨーク板及び第2固定ヨーク板との特別な位置決め作業を行うことなく、吸引型磁気軸受固定部を簡単に組み立てて、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナを、より一層安価で、吸引型磁気軸受特性の良好なものとすることができる。
【0053】
さらに、例えば、請求項4に記載するように、前記保持部材は、前記吸引型磁気軸受回転部が固定されるとともに、前記固定軸の前記凹部の形成された先端部が進入可能な略カップ状に形成され、前記中空回転軸は、前記保持部材側の端部に略リング状のカシメ部を有し、前記カップ状の保持部材は、前記カシメ部により前記中空回転軸の一端部に固定されていてもよい。
【0054】
上記構成によれば、保持部材を、固定軸の凹部の形成された先端部が進入可能な略カップ状に形成し、中空回転軸の保持部材側の端部に略リング状のカシメ部を設け、カップ状の保持部材を、当該カシメ部により中空回転軸の一端部に固定しているので、回転体の構成部品のうち、線膨張率の異なる材料同士が接着される部分を削減して、長期にわたる使用により回転体が高温と低温に繰り返し曝された場合に、回転体の回転バランスが崩れて、周囲の部品を振動させて騒音が発生するのを防止することができ、かつ、書込画像の画像品質の良好なものとすることができるとともに、保持部材を中空回転軸に取り付けるためのネジ穴加工とその後の洗浄処理を省くことができ、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナをより一層安価で、小型のものとすることができる。
【0055】
また、例えば、請求項5に記載するように、前記保持部材は、前記吸引型磁気軸受回転部に固定されるとともに円盤状に形成され、前記中空回転軸は、前記保持部材側の端部に略リング状のカシメ部を有し、前記円盤状の保持部材は、前記カシメ部により前記中空回転軸の一端部に固定されていてもよい。
【0056】
上記構成によれば、保持部材を円盤状に形成し、中空回転軸の保持部材側の端部に略リング状のカシメ部を設け、円盤状の保持部材を、当該カシメ部により中空回転軸の一端部に固定しているので、回転体の構成部品のうち、線膨張率の異なる材料同士が接着される部分を削減して、長期にわたる使用により回転体が高温と低温に繰り返し曝された場合に、回転体の回転バランスが崩れて、周囲の部品を振動させて騒音が発生するのを防止することができ、かつ、書込画像の画像品質の良好なものとすることができるとともに、保持部材を中空回転軸に取り付けるためのネジ穴加工とその後の洗浄処理を省くことができ、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナをより一層安価なものとすることができる。
【0057】
さらに、例えば、請求項8に記載するように、前記動圧空気軸受型ポリゴンスキャナは、前記固定軸の前記凹部の形成された部分の外周面と当該外周面に半径方向で対向する前記中空回転軸の内周面との間に、前記動圧空気軸受面の軸受隙間よりも所定量大きい隙間を有する変形許容空間部が形成されていてもよい。
【0058】
上記構成によれば、固定軸の凹部の形成された部分の外周面と当該外周面に半径方向で対向する中空回転軸の内周面との間に、動圧空気軸受面の軸受隙間よりも所定量大きい隙間を有する変形許容空間部を形成しているので、長期にわたる使用により回転体が高温と低温に繰り返し曝された場合に、温度変化により固定軸と吸引型磁気軸受固定部の線膨張率の違いから固定軸の凹部の形成された先端側が多少膨らんでも、変形許容空間部で当該変形を吸収することができ、動圧空気軸受特性を良好なものとして、騒音の発生を防止することができるとともに、書込画像の画像品質を向上させることができる。
【0059】
また、例えば、請求項9に記載するように、前記動圧空気軸受型ポリゴンスキャナは、前記カップ状の保持部材の内周面と前記固定軸の前記凹部の形成された部分の外周面との間に、前記動圧空気軸受面の軸受隙間よりも所定量大きい隙間の変形許容空間部が形成されていてもよい。
【0060】
上記構成によれば、カップ状の保持部材の内周面と固定軸の凹部の形成された部分の外周面との間に、動圧空気軸受面の軸受隙間よりも所定量大きい隙間の変形許容空間部を形成しているので、長期にわたる使用により回転体が高温と低温に繰り返し曝された場合に、温度変化により固定軸と吸引型磁気軸受固定部の線膨張率の違いから固定軸の凹部の形成された先端側が多少膨らんでも、変形許容空間部で当該変形を吸収することができ、動圧空気軸受特性を良好なものとして、騒音の発生を防止することができるとともに、書込画像の画像品質を向上させることができる。
【0061】
さらに、例えば、請求項6に記載するように、前記動圧空気軸受型ポリゴンスキャナは、前記リング状のカシメ部の内周側に付加重りが付加されて、前記回転体の回転バランスの修正が行われていてもよい。
【0062】
上記構成によれば、リング状のカシメ部の内周側に付加重りを付加して、回転体の回転バランスを修正しているので、中空回転軸及び保持部材に回転バランス修正専用の修正溝等を形成することなく、回転体の回転バランスを修正することができ、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナを製造が容易で、安価なものとすることができる。
【0063】
また、例えば、請求項7に記載するように、前記中空回転軸は、その外周部に所定幅で所定量外方に突出した鍔部が形成され、前記ポリゴンミラーは、前記中空回転軸の外周部に圧入・固定される略リング状の板ばねにより前記鍔部に弾性的に押し付けられて前記中空回転軸に固定されていてもよい。
【0064】
上記構成によれば、中空回転軸の外周部に所定幅で所定量外方に突出した鍔部を形成し、ポリゴンミラーを、中空回転軸の外周部に圧入・固定される略リング状の板ばねにより鍔部に弾性的に押し付けて中空回転軸に固定しているので、中空回転軸にネジ穴を形成することなく、ポリゴンミラーを中空回転軸に固定することができ、中空回転軸のネジ穴加工とその後の洗浄処理を省いて、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナをより一層製造が容易で、安価なものとすることができる。
【0065】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0066】
図1〜図3は、本発明の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナの第1の実施の形態を示す図であり、図1は、本発明の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナの第1の実施の形態を適用した動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ30の正面断面図である。
【0067】
図1において、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ30は、ハウジング31とハウジング31上にネジ固定された上カバー32により、その外観が形成され、ハウジング31の底部中央部に、固定軸33が圧入固着あるいは焼きばめ等の方法で固定されている。
【0068】
固定軸33は、その周壁部の適切な位置に2対のヘリングボーン溝33a、33bが形成されており、固定軸33の上端部中央部は、円柱状の上端凹部33c(図3参照)が形成されている。この上端凹部33c内には、アキシャル方向(軸方向)に所定長さを有したリング状の吸引型磁気軸受固定部34が埋設されており、吸引型磁気軸受固定部34は、図2に示すように、所定の大きさの中心円がその中心部に形成されアキシャル方向に2極に着磁されてアキシャル方向に磁極が向いたリング状の永久磁石35と、永久磁石35のアキシャル方向両端(軸方向両端)に固定され永久磁石35の中心円(内径)よりも小さい中心円がその中心部に形成された強磁性材料からなる一対の第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37と、で形成されている。第1固定ヨーク板36は、その外周面に所定量径方向に突出した凸部36aが形成されており、吸引型磁気軸受固定部34は、第2固定ヨーク板37及び永久磁石35を固定軸33の上端凹部33c内に収納した後、第1固定ヨーク板36を、上端凹部33c内に圧入して、第1固定ヨーク板36の凸部36aを上端凸部33cの内周壁に係合させることにより、永久磁石35を第1固定ヨーク板36と第2固定ヨーク板37で固定軸33の軸方向に挟んだ状態で、かつ、第1固定ヨーク板36の中心円と第2固定ヨーク板37の中心円が固定軸33の軸中心と一致する(同軸となる)状態で、固定軸33の上端凹部33c内に埋設されている。上記第2固定ヨーク板37は、固定軸33の上端凹部33cの内周面に密接する外径を有しており、上記第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37は、鉄鋼系の板材が用いられている。また、永久磁石35は、例えば、主に希土類系の永久磁石が用いられている。
【0069】
固定軸33は、図1に示すように、中空回転軸38の中空内に挿入されており、中空回転軸38は、その軸方向途中に外方(径方向)に突出する鍔部38aが形成されている。この鍔部38aの上面にポリゴンミラー39が載置されており、ポリゴンミラー39は、ミラー押さえ(保持部材)40により中空回転軸38の鍔部38aに押さえつけられるとともに、ミラー押さえ40がネジ41により中空回転軸38に固定されることにより、中空回転軸38に固定されている。ミラー押さえ40は、中空回転軸38の上方の中空部を閉止する状態で中空回転軸38に取り付けられており、固定軸33の上端とミラー押さえ40により閉止された中空回転軸38の中空部に空気溜まり42が形成されている。
【0070】
ミラー押さえ40の中央部には、図2に示す吸引型磁気軸受回転部43が固定されており、吸引型磁気軸受回転部43は、アキシャル方向(中空回転軸38の軸方向)に2極に着磁された永久磁石で形成されている。吸引型磁気軸受回転部43は、その着磁方向が吸引型磁気軸受固定部34の永久磁石35の着磁方向と逆方向、すなわち、半径方向で相対向する面が逆極性となる方向に着磁されている。吸引型磁気軸受回転部43は、ミラー押さえ40に固定された状態でミラー押さえ40が中空回転軸38に固定されると、上記固定軸33の上端凹部33cに埋設された吸引型磁気軸受固定部34の中心円内に侵入し、少なくとも吸引型磁気軸受固定部34に侵入する部分が、吸引型磁気軸受固定部34の長さと同じ長さを有した円柱状あるいは円筒状に形成されて、吸引型磁気軸受固定部34の第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37と対向する磁気ギャップを形成している。この吸引型磁気軸受固定部34の第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37と吸引型磁気軸受回転部43との磁気ギャップは、約0.1mm〜0.5mmの微細間隔に設定されている。吸引型磁気軸受回転部43は、円柱状に形成されて部分の軸芯が、中空回転軸38の回転中心と一致する状態、すなわち、中空回転軸38と同軸となるように配設されている。
【0071】
吸引型磁気軸受回転部43は、アルミマンガン磁石あるいは希土類系の樹脂成形磁石等のように、寸法精度の高い材料で形成されている。また、上記固定軸33、中空回転軸38及びミラー押さえ40は、アルミニウム合金等の非磁性材料で形成されており、吸引力を発生する吸引型磁気軸受固定部34と吸引型磁気軸受回転部43のギャップ中に磁束漏れが発生することを抑制して、後述するアキシャル軸受に効率よくアキシャル吸引力を発生させる。
【0072】
また、ミラー押さえ40には、図1に示すように、空気溜まり42を中空回転軸38の外部に連通する微細穴40aが吸引型磁気軸受回転部43の周囲に形成されており、微細穴40aは、微細穴40aを通過する空気の粘性抵抗により、後述するアキシャル軸受に適切なダンピング特性を持たせている。
【0073】
中空回転軸38の鍔部38aの下面であって中空回転軸38の外周面には、図1に示すように、周状にロータマグネット44が取り付けられており、ロータマグネット44は、中空回転軸38に対して内周部を嵌合させ、内周部と軸方向上面を中空回転軸38及び鍔部38aに直接接着等で固着することにより、中空回転軸38に固着されている。上記ロータマグネット44は、例えば、軽量かつ機械的耐力(引張強度)の高いアルミ−マンガン系の金属磁石により形成されている。
【0074】
上記ポリゴンミラー39、ミラー押さえ40及びロータマグネット44等の取り付けられた中空回転軸38は、回転体45を構成している。
【0075】
上記ロータマグネット44に対向する下方の位置には、プリント基板46を挟んでコイル部47とホール素子48が配設されており、プリント基板46は、コネクタ49及びハーネス50を介して回路基板51に接続されている。これらプリント基板46、コイル部47及びホール素子48等は、ハウジング31に取り付けられており、これらロータマグネット44、プリント基板46、コイル部47、ホール素子48、コネクタ49、ハーネス50及び回路基板51の制御回路等により、アキシャルギャップ(面対向)型のモータ52が構成されている。このモータ52は、制御回路(回路基板)51により励磁切り換えを行うことにより、回転体45を回転させる。
【0076】
そして、上記ミラー押さえ40には、回転体45の不釣り合い修正用のバランス修正溝40bが形成されており、ロータマグネット44には、回転体45の不釣り合い修正用のバランス修正溝44aが形成されている。バランス修正溝44aは、ロータマグネット44の内周面の一部を周状に切り欠くことにより形成されており、ロータマグネット44のバランス修正溝44a以外の内周面は、中空回転軸38に精度良く嵌合されている。ロータマグネット44の外周面は、開放されており、面対向型モータの欠点であるイナーシャをできる限り小さくしている。また、ロータマグネット44の軸方向面側は、ロータヨークなどが設けられておらず、磁気的に開放されている。
【0077】
上記固定軸33の外周面には、上述のように、ヘリングボーン溝33a、33bが形成されているため、モータ52の駆動により回転体45が回転すると、中空回転軸38と固定軸33の隙間の圧力が高まり、中空回転軸38、固定軸33及びヘリングボーン溝33a、33bにより中空回転軸38と固定軸33のヘリングボーン溝33a、33bの形成された面を動圧空気軸受面として動圧空気を利用したラジアル軸受として機能して、非接触でラジアル方向(半径方向)に回転体45を支持する。
【0078】
また、上記ミラー押さえ40に固定された永久磁石からなる吸引型磁気軸受回転部43、固定軸33の上端凹部33c内に埋設・固定された永久磁石35、第1固定ヨーク板36と第2固定ヨーク板37からなる吸引型磁気軸受固定部34は、ミラー押さえ40の吸引型磁気軸受回転部43と固定軸33に埋設・固定された吸引型磁気軸受固定部34にアキシャル方向の吸引力が発生して、回転体45を浮上させるアキシャル軸受として機能して、回転体45を軸方向に非接触で支持する。
【0079】
そして、ハウジング32には、図示しない半導体レーザからのレーザー光の入出射用の開口部にガラス窓が両面テープまたは接着剤で固定されて、内部が密閉されている。
【0080】
次に、本実施の形態の作用を説明する。動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ30は、ハウジング31に固定された固定軸33が中空回転軸38に挿入され、固定軸33の上端部中央部に上端凹部33cが形成されて、この上端凹部33c内に吸引型磁気軸受固定部34が埋設されている。吸引型磁気軸受固定部34は、アキシャル方向に2極に着磁されたリング状の永久磁石35を上下(アキシャル方向)の1対のリング状の第1固定ヨーク板36と第2固定ヨーク板37で挟んだ状態に形成され、第1固定ヨーク板36と第2固定ヨーク板37の中心円は、永久磁石35の中心円よりも小さく形成されているとともに、中空回転軸38の軸芯と一致する状態で配設されている。
【0081】
この固定軸33は、中空回転軸38の中空内に挿入されており、中空回転軸38には、ポリゴンミラー39、ミラー押さえ40及びロータマグネット44等が取り付けられて、回転体45を構成している。
【0082】
ミラー押さえ40には、固定軸33の上端凹部33cに埋設された吸引型磁気軸受固定部34の中心円内に侵入する吸引型磁気軸受回転部43が設けられており、吸引型磁気軸受回転部43は、アルミマンガン磁石あるいは希土類系の樹脂成形磁石等のように、寸法精度の高い材料で、吸引型磁気軸受固定部34の長さと同じ長さを有した円柱状あるいは円筒状に形成されて、吸引型磁気軸受固定部34の第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37と対向する磁気ギャップを形成している。
【0083】
吸引型磁気軸受回転部43は、アキシャル方向に吸引型磁気軸受固定部34の永久磁石35と逆極性の2極に着磁されており、図2に示すように、吸引型磁気軸受固定部34の永久磁石35、第1固定ヨーク板36、吸引型磁気軸受回転部43及び第2固定ヨーク板37へと向かい、再び永久磁石35へと向かう閉ループ状に磁力線が形成されて、固定軸33の上端凹部33cに埋設された吸引型磁気軸受固定部34とミラー押さえ40を介して中空回転軸38に固定された吸引型磁気軸受回転部43との間にアキシャル方向の吸引力が発生して、ミラー押さえ40に固定された吸引型磁気軸受回転部43と固定軸33の上端部の上端凹部33c内に埋設された吸引型磁気軸受固定部34は、回転体45を浮上させるアキシャル軸受として機能して、回転体45を軸方向に非接触で支持する。
【0084】
また、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ30は、ロータマグネット44に対向する下方の位置に、プリント基板46を挟んでコイル部47とホール素子48が配設されており、これらプリント基板46、コイル部47、ホール素子48及び回路基板51の制御回路等は、アキシャルギャップ(面対向)型のモータ52を構成して、制御回路(回路基板)51により励磁切り換えを行うことにより、回転体45を回転させる。
【0085】
上記固定軸33の外周面には、ヘリングボーン溝33a、33bが形成されており、モータ52の駆動により回転体45が回転すると、中空回転軸38と固定軸33の隙間の圧力が高まって、中空回転軸38、固定軸33及びヘリングボーン溝33a、33bが、動圧空気を利用したラジアル軸受として機能して、非接触でラジアル方向に回転体45を支持する。
【0086】
このように、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ30は、アキシャル軸受が回転体45を非接触で軸方向に支持し、モータ52により回転体45を回転駆動することにより、動圧空気を利用したラジアル軸受が、非接触で回転体45をラジアル方向に支持する。
【0087】
そして、このアキシャル軸受がミラー押さえ40に固定された吸引型磁気軸受回転部43と固定軸33の上端部の上端凹部33c内に埋設された吸引型磁気軸受固定部34との間に作用するアキシャル方向の吸引力により、回転体45をアキシャル方向に支持しており、吸引型磁気軸受固定部34が、アキシャル方向に2極に着磁されたリング状の永久磁石35と、この永久磁石35の中心円よりも小さい中心円を有し永久磁石35をアキシャル方向から挟む状態で配設されたリング状の第1固定ヨーク板36と第2固定ヨーク板37と、で形成され、吸引型磁気軸受回転部43が、この第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37と微細間隔、例えば、約0.1mm〜0.5mmの磁気ギャップを空けて配設されている。したがって、吸引型磁気軸受回転部43と吸引型磁気軸受固定部34の磁力線を有効に利用することができるとともに、吸引型磁気軸受回転部43と吸引型磁気軸受固定部34を固定軸33の上端凹部33c内に収納することができ、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ30を小型化することができる。また、ミラー押さえ40に固定された吸引型磁気軸受回転部43と固定軸33の上端部の上端凹部33c内に埋設された吸引型磁気軸受固定部34との間に組立バラツキ等により、偏心が発生しすると、偏心方向に吸引力が強くなるが、第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37は、鋼板材を用いて高い寸法精度で製作することができるので、組立バラツキによる偏心量を小さく抑えて、吸引力の偏りを小さくすることができる。その結果、摩耗粉の発生を極力低減させることができ、軸受にロックが発生することを防止することができる。
【0088】
さらに、吸引型磁気軸受固定部34が固定軸33の上端凹部33c内に埋設され、この吸引型磁気軸受固定部34内に吸引型磁気軸受回転部43が挿入されているので、吸引型磁気軸受固定部34や吸引型磁気軸受回転部43に付着したゴミが組立時や組立後の回転中あるいは輸送中等に動圧空気軸受であるラジアル軸受の軸受隙間内に脱落、侵入して、回転異常となるのを防止することができ、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ30の信頼性を向上させることができる。
【0089】
また、ミラー押さえ40に、空気溜まり42と中空回転軸38の外部とを連通する微細穴40aが形成され、微細穴40aによりアキシャル軸受に適切なダンピング特性を持たせているので、外乱振動に対して、減衰効果を発揮させることができ、より一層軸受ロックを防止して、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ30の信頼性を向上させることができる。
【0090】
さらに、吸引型磁気軸受回転部43の取り付けられているミラー押さえ40及び吸引型磁気軸受固定部34の埋設されている固定軸33が、上述のように、アルミ合金等の非磁性材で形成されているため、吸引力を発生する吸引型磁気軸受回転部43と吸引型磁気軸受固定部34の磁気ギャップ中に磁束漏れが発生することを抑制することができ、アキシャル軸受に効率よくアキシャル吸引力を発生させることができる。その結果、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ30をより一層小型化することができる。
【0091】
また、第1固定ヨーク板36に凸部36aを形成して、第2固定ヨーク板37及び永久磁石35を固定軸33の上端凹部33cに収納した後、第1固定ヨーク板36を固定軸33の上端凹部33cに圧入して、当該上端凹部33cの内周壁に凸部36aを係合させることにより、吸引型磁気軸受固定部34を固定軸33の上端凹部33c内に埋設・固定しているので、吸引型磁気軸受固定部34を容易に固定軸33の上端凹部33cに埋設・固定することができるとともに、第1固定ヨーク板36のみを圧入により固定軸33の上端凹部33c内に固定しているので、温度変化により固定軸33の上端凹部33cと吸引型磁気軸受固定部34の構成部品である永久磁石35と第2固定ヨーク板37の上端凹部33c内での移動を可能にして、動圧空気軸受の特性を向上させることができる。すなわち、吸引型磁気軸受固定部34の全ての部品(永久磁石35と第1及び第2固定ヨーク板36、37)を圧入あるいは接着により固定軸33の上端凹部33cに固定すると、例えば、温度上昇により接着剤が膨張したとき、固定軸33の外周部がラジアル方向に膨らんだり、第1及び第2固定ヨーク板36、37及び永久磁石35と固定軸33の線膨張率の差によって、低温時に固定軸33の外周部が膨らむことがあるが、第1固定ヨーク板36のみを固定軸33の上端凹部33cに圧入固定すると、温度変化により固定軸33と吸引型磁気軸受固定部34との寸法変化が生じても、永久磁石35と第2固定ヨーク板37が半径方向(ラジアル方向)に移動することができ、固定軸33の外周部の膨らみを、固定軸33の先端の小さい範囲に押さえることができる。したがって、温度変化による固定軸33の先端部の変形が固定軸33動圧空気軸受面に及ぶことを防止することができ、動圧空気軸受特性を向上させることができる。その結果、安定して高速に回転体45を回転させることができ、書込画像の画像品質を向上させることができる。
【0092】
また、固定軸33の上端凹部33cの形成された部分の外周部分の外径をヘリングボーン溝33a、33bの形成された動圧空気軸受面と同径に形成すると、当該外周部分を固定軸33の外径加工時の案内面として利用することができ、固定軸33の動圧空気軸受面の外径研削加工(センタレス加工)を容易に行うことができる。
【0093】
そして、吸引型磁気軸受固定部34と吸引型磁気軸受回転部43との磁気ギャップを適切に微細なギャップとするには、以下のようにする。
【0094】
すなわち、いま、図3に示すように、吸引型磁気軸受固定部34のリング状の永久磁石35の内径を、Dmi、永久磁石35の外径を、Dmo、第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37の内径を、Dyi、第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37の外径を、Dyo、固定軸33の上端凹部33cの内径を、Dsとすると、永久磁石35の内径が第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37の内径部分よりも内側に入らないようにするためには、まず、第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37の外径Dyoと固定軸33の上端凹部33cの内径Dsとの間に隙間が全くない場合には、図3において、第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37の外接部と中心円のうち当該外接部から最も遠い位置までの距離Lyと、永久磁石35の外接部と中心円のうち当該外接部から最も遠い位置までの距離Lmと、がLm>Lyの関係にあればよい。
【0095】
ここで、Lm>Lyの関係に、上記永久磁石35の内径Dmi、外径Dmo、第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37の内径Dyi、外径Dyoを代入すると、
Dmi/2+Dmo/2>Dyi/2+Dyo/2
となり、これを整理すると、次式(1)のようになる。
【0096】
Dmi+Dmo>Dyi+Dyo・・・(1)
したがって、(1)式を満足するように、吸引型磁気軸受固定部34の永久磁石35と第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37を形成することにより、吸引型磁気軸受固定部34の永久磁石35と第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37を固定軸33の上端凹部33c内に固定した際に、例え、偏心した状態で組み立てられても、永久磁石35の内径部分が第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37の内径部分よりも内側にはみ出すことを防止し、第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37の内径部分を、永久磁石35の内径部分の内側に常に位置させて、吸引型磁気軸受回転部43との間に適切な微小の磁気ギャップを形成することができる。
【0097】
また、第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37の外径Dyoと固定軸33の上端凹部33cの内径Dsとの間に多少の隙間がある場合には、Lm>Lyの右辺に、隙間分(Ds−Dyo)を追加すると、第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37の内径部分を、永久磁石35の内径部分よりも内側に常に位置させることができる。
【0098】
すなわち、Lm>Ly+(Ds−Dyo)の関係に、上記永久磁石35の内径Dmi、外径Dmo、第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37の内径Dyi、外径Dyoを代入すると、
Dmi/2+Dmo/2>Dyi/2+Dyo/2+(Ds−Dyo)
となり、これを整理すると、次式(2)のようになる。
【0099】
Dmi+Dmo>2Ds+Dyi−Dyo・・・(2)
この(2)式を、DmoまたはDyoについて整理すると、(3)式及び(4)式のようになる。
【0100】
2Ds+Dyi−Dyo−Dmi<Dmo<Ds・・・(3)
2Ds+Dyi−Dmo−Dmi<Dyo<Ds・・・(4)
したがって、吸引型磁気軸受固定部34の永久磁石35の外径Dmoと第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37の外径Dyoを、上記(3)式あるいは(4)式に示す条件を満足するように設定すると、第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37の外径Dyoと固定軸33の上端凹部33cの内径Dsとの間に隙間がある場合にも、第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37の内径部分を、永久磁石35の内径部分よりも内側に常に位置させることができ、永久磁石35の内径部分が第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37の内径部分よりも内側にはみ出すことを防止することができる。
【0101】
ただし、第1固定ヨーク板36を固定軸33の上端凹部33cに圧入する場合には、第1固定ヨーク板36の外径Dyoを固定軸33の上端凹部33cの内径Dsよりも大きく設定する。
【0102】
このように吸引型磁気軸受固定部34の永久磁石35の内径が第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37の内径の内側にはみ出すことがないので、永久磁石35と第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37の固定軸33の上端凹部33cへの埋設時に、永久磁石35と第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37の特別な位置決め作業を行うことなく、吸引型磁気軸受固定部34の組立作業を簡単、かつ、速やかに行うことができ、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ30を安価で、組立作業の容易なものとすることができる。
【0103】
なお、上記実施の形態においては、吸引型磁気軸受回転部43を永久磁石で形成しているが、吸引型磁気軸受回転部43としては、永久磁石である必要はなく、図4に示すように、強磁性体により形成した回転ヨーク43aであってもよい。吸引型磁気軸受回転部43としての回転ヨーク43aは、例えば、鉄鋼系の強磁性体で形成することができ、永久磁石で形成する場合よりも、その寸法精度を向上させることができる。
【0104】
このように、吸引型磁気軸受回転部43を強磁性体の回転ヨーク43aで形成すると、上述のように、その寸法精度を向上させることができ、より一層吸引型磁気軸受回転部43と吸引型磁気軸受固定部34の磁気ギャップを適切なものとして、より一層動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ30を小型で、安価なものとすることができる。
【0105】
また、この回転ヨーク43aは、上記第1の実施の形態の吸引型磁気軸受回転部43と同様に、円柱状であってもよいし、図4に示すように、第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37と対向する部分に、リング状の外筒凸部43bが形成されていてもよい。このようにすると、当該外筒凸部43bと吸引型磁気軸受固定部34との磁気ギャップの精度を向上させることができる。
【0106】
さらに、上記実施の形態においては、第1固定ヨーク板36に凸部36aを形成して、第2固定ヨーク板37及び永久磁石35を固定軸33の上端凹部33cに収納した後、第1固定ヨーク板36を固定軸33の上端凹部33cに圧入して、当該上端凹部33cの内周壁に凸部36aを係合させることにより、吸引型磁気軸受固定部34を固定軸33の上端凹部33c内に埋設・固定しているが、吸引型磁気軸受固定部34の上端凹部33cへの埋設・固定方法は、上記方法に限るものではなく、例えば、図4に示すように、少なくとも第1固定ヨーク板36の外径全体を固定軸33の上端凹部33cの内径よりも多少大きく形成して、第1固定ヨーク板36を上端凹部33cに圧入するものであってもよいし、第1固定ヨーク板36を接着してもよい。
【0107】
図5は、本発明の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナの第2の実施の形態を示す図であり、図5は、本発明の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナの第2の実施の形態を適用した動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ60の正面断面図である。
【0108】
本実施の形態は、中空回転軸の上部開放端を閉止するとともに吸引型磁気軸受回転部を保持するカップ状の保持部材をカシメ等で固定し、ポリゴンミラーを板ばねで固定したものである。
【0109】
なお、本実施の形態は、上記第1の実施の形態と同様の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナに適用したものであり、本実施の形態の説明においては、上記第1の実施の形態の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナと同様の構成部分には、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0110】
図5において、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ60は、固定軸33、固定軸33の上端部の上端凹部33c及び当該上端凹部33c内に埋設される吸引型磁気軸受固定部34は、上記第1の実施の形態と同様の構成である。
【0111】
動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ60は、その中空回転軸61が、図6に示すように、固定軸33の挿入される中空を有するとともに、鍔部61aを備え、上端部に、リング状のカシメ部61bを備えている。このリング状のカシメ部61bの内周側には、リング状の平面部61cが形成されており、リング状のカシメ部61bの内側の平面部61c上にカップ状の保持部材62が嵌合されて、中空回転軸61の開放上端部が、図5に示すように、固定軸33との間に空気溜まり63を形成した状態で閉止される。保持部材62は、カシメ部61bが内側にカシメられる(塑性変形される)ことにより、中空回転軸61の上端の平面部61cに固定され、カップ状の保持部材62の内周部62aは、その径が中空回転軸61の固定軸33との動圧空気軸受面の内径よりも大きく形成されている。保持部材62の中心部の中空回転軸61側には、吸引型磁気軸受回転部43として図4に示した強磁性材料で形成された回転ヨーク43aが固定されており、固定軸33の上端凹部33c内に埋設されている吸引型磁気軸受固定部34の第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37と適切な微細磁気ギャップを形成している。
【0112】
保持部材62の回転ヨーク43aの周辺には、空気溜まり63と中空回転軸61の外部とを連通する微細穴62bが形成され、微細穴62bは、微細穴62bを通過する空気の粘性抵抗により、後述するアキシャル軸受に適切なダンピング特性を持たせている。また、中空回転軸61のカシメ部61bは、カップ状の保持部材62との嵌合部よりも軸方向に長く形成されており、カップ状の保持部材62との間に形成されるリング状の溝61dを利用して回転のバランス修正が行われる。すなわち、このリング状の溝61dに付加重りを付加して、回転バランスの調整を行うことができる。
【0113】
そして、中空回転軸61の鍔部61aの上面にポリゴンミラー39が載置され、ポリゴンミラー39は、板ばね64を中空回転軸61のカシメ部61bよりも下側の部分に固定して、ポリゴンミラー39を中空回転軸61の鍔部61aに軸方向に弾性的に押さえつけることにより、固定されている。すなわち、板ばね64は、略リング状に形成されるとともに、その中央部に、中空回転軸61のカシメ部61bよりも下側の部分の外径よりもわずかに小さい内径となる位置まで突出した突出固定部64aが複数形成され、その外周部に、中空回転軸61に固定された際に軸方向下側に弾性力を発生させる複数の押さえ部64bが突出固定部64aの内接円を中心として放射状に形成されている。この押さえ部64bは、突出固定部64aの内接円の接線と平行な線で下方に折り曲げられており、板ばね64は、中空回転軸61の上方からカシメ部61bよりも下側の部分まで押し込まれると、突出固定部64aが当該中空回転軸61に圧縮されて、中空回転軸61に固定されるとともに、軸方向に弾性力が発生して、押さえ部64bがポリゴンミラー39を中空回転軸61の鍔部61aに押し付けて固定する。
【0114】
上記ポリゴンミラー39、保持部材62、板ばね64及びロータマグネット44等の取り付けられた中空回転軸61は、回転体65を構成している。
【0115】
このように、本実施の形態の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ60は、中空回転軸61の上端部にリング状のカシメ部61bを形成し、吸引型磁気軸受回転部43aの取り付けられたカップ状の保持部材62を当該カシメ部61bをカシメて固定している。
【0116】
したがって、回転体65を構成する材料のうち、線膨張率の異なる材料同士の接着部分を減らすことができ、長期にわたる使用により回転体65が高温と低温に繰り返し曝されても、回転体65のバランスが崩れるのを防止することができる。その結果、回転体65の不釣り合い振動を防止することができ、当該不釣り合い振動により回転体65の周囲の部材が振動することによる騒音を防止することができるとともに、書込画像の画像品質を向上させることができる。
【0117】
また、カップ状の保持部材62の内周部62aは、その径が中空回転軸61の固定軸33との動圧空気軸受面の内径よりも大きく形成されているので、温度変化により固定軸33の上端凹部33cの外周部がラジアル方向に膨らんだり、第1及び第2固定ヨーク板36、37と固定軸33の線膨張率の差によって、低温時に固定軸33の外周部が膨らんでも、この変形を吸収することができ、動圧空気軸受特性を向上させることができる。
【0118】
さらに、吸引型磁気軸受回転部43aを当該カシメにより固定される保持部材62に固定しているので、中空回転軸61にネジ穴を形成する必要がなく、中空回転軸61のネジ穴加工とネジ穴加工後の洗浄処理を省くことができ、中空回転軸61の加工コスト及び動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ60のコストを低減することができる。
【0119】
さらに、ポリゴンミラー39を板ばね64を用いて中空回転軸61に固定しているので、中空回転軸61にネジ穴を設ける必要がなく、中空回転軸61のネジ穴加工とネジ穴加工後の洗浄処理を省くことができ、中空回転軸61の加工コスト及び動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ60のコストを低減することができる。
【0120】
また、中空回転軸61のカシメ部61bとカップ状の保持部材62との間に形成されるリング状の溝61dを利用して、例えば、当該溝61dに付加重りを付加することにより、回転体65の回転バランスの修正を行うことができ、中空回転軸61及び保持部材62にバランス修正専用の溝を形成する必要がなく、コストを低減することができる。
【0121】
図7は、本発明の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナの第3の実施の形態を示す図であり、図7は、本発明の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナの第3の実施の形態を適用した動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ70の正面断面図である。
【0122】
本実施の形態は、中空回転軸の上部開放端を閉止するとともに吸引型磁気軸受回転部を保持する保持部材をカシメ等で固定し、ポリゴンミラーを板ばねで固定し、さらに、固定軸の先端部と中空回転軸との間に隙間を形成したものである。
【0123】
なお、本実施の形態は、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナに適用したものであり、本実施の形態の説明においては、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナと同様の構成部分には、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0124】
図7において、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ70は、固定軸33、固定軸33の上端部の上端凹部33c及び当該上端凹部33c内に埋設される吸引型磁気軸受固定部34は、上記第1の実施の形態と同様の構成である。
【0125】
動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ70は、その中空回転軸71が、固定軸33の挿入される中空を有するとともに、鍔部71aを備え、上端部が、固定軸33の上端面よりも上方に長く形成されて、当該上端に、リング状のカシメ部71bが形成されている。このリング状のカシメ部71bの内周側には、リング状の平面部71cが形成されており、リング状のカシメ部71bの内側の平面部71c上に円盤状の保持部材72が嵌合されて、中空回転軸71の開放上端部が、固定軸33との間に空気溜まり73を形成した状態で閉止される。保持部材62は、カシメ部71bが内側にカシメられる(塑性変形される)ことにより、中空回転軸71の上端の平面部71cに固定され、保持部材72の中心部の中空回転軸71側には、吸引型磁気軸受回転部43として図4に示した強磁性材料で形成した回転ヨーク43aが固定されており、固定軸33の上端凹部33c内に埋設されている吸引型磁気軸受固定部34の第1固定ヨーク板36及び第2固定ヨーク板37と適切な微細磁気ギャップを形成している。
【0126】
保持部材72の回転ヨーク43aの周辺には、空気溜まり73と中空回転軸71の外部とを連通する微細穴72aが形成され、微細穴72aは、微細穴72aを通過する空気の粘性抵抗により、後述するアキシャル軸受に適切なダンピング特性を持たせている。また、中空回転軸71のカシメ部71bは、円盤状の保持部材72との嵌合部よりも軸方向に長く形成されており、円盤状の保持部材72との間に形成されるリング状の溝71dを利用して、例えば、付加重りを付加することにより、回転のバランス修正が行われる。
【0127】
また、上記中空回転軸71は、固定軸33の上端凹部33cの形成された部分の外周部にラジアル方向で対向する内周部分71dが、図7に示すように、固定軸33との動圧空気軸受面の内径よりも大きく形成されている。
【0128】
そして、中空回転軸71の鍔部71aの上面にポリゴンミラー39が載置され、ポリゴンミラー39は、板ばね64を中空回転軸71のカシメ部71bよりも下側の部分に固定して、ポリゴンミラー39を中空回転軸71の鍔部71aに軸方向に弾性的に押さえつけることにより、固定されている。
【0129】
上記ポリゴンミラー39、保持部材72、板ばね64及びロータマグネット44等の取り付けられた中空回転軸71は、回転体74を構成している。
【0130】
このように、本実施の形態の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ70は、中空回転軸71の上端部にリング状のカシメ部71bを形成し、吸引型磁気軸受回転部43aの取り付けられた円盤状の保持部材72を当該カシメ部71bをカシメて固定している。
【0131】
したがって、回転体74を構成する材料のうち、線膨張率の異なる材料同士の接着部分を減らすことができ、長期にわたる使用により回転体74が高温と低温に繰り返し曝されても、回転体74のバランスが崩れるのを防止することができる。その結果、回転体74の不釣り合い振動を防止することができ、当該不釣り合い振動により回転体74の周囲の部材が振動することによる騒音を防止することができるとともに、書込画像の画像品質を向上させることができる。
【0132】
また、中空回転軸71の固定軸33の上端凹部33cの形成された部分の外周部にラジアル方向で対向する内周部分71dが、固定軸33との動圧空気軸受面の内径よりも大きく形成されているので、温度変化により固定軸33の上端凹部33cの外周部がラジアル方向に膨らんだり、第1及び第2固定ヨーク板36、37と固定軸33の線膨張率の差によって、低温時に固定軸33の外周部が膨らんでも、この変形を吸収することができ、動圧空気軸受特性を向上させることができる。
【0133】
さらに、吸引型磁気軸受回転部43aを当該カシメにより固定される円盤状の保持部材72に固定しているので、中空回転軸71にネジ穴を形成する必要がなく、中空回転軸71のネジ穴加工とネジ穴加工後の洗浄処理を省くことができ、中空回転軸71の加工コスト及び動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ70のコストを低減することができる。特に、中空回転軸71の上部開放端を閉止するのに、円盤状の保持部材72を使用しているため、上記第2の実施の形態のようにカップ状の保持部材62を使用した場合よりも、より一層加工を容易なものとすることができ、コストをより一層低減することができる。
【0134】
また、ポリゴンミラー39を板ばね64を用いて中空回転軸71に固定しているので、中空回転軸71にネジ穴を設ける必要がなく、中空回転軸71のネジ穴加工とネジ穴加工後の洗浄処理を省くことができ、中空回転軸71の加工コスト及び動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ70のコストを低減することができる。
【0135】
さらに、中空回転軸71のカシメ部71bと円盤状の保持部材72との間に形成されるリング状の溝71dを利用して、例えば、付加重りを付加することにより、回転体74の回転バランスの修正を行うことができ、中空回転軸71及び保持部材72にバランス修正専用の溝を形成する必要がなく、コストを低減することができる。
【0136】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0137】
例えば、上記各実施の形態においては、モータとして、アキシャルギャップ型のブラシレスモータを使用した場合について説明したが、モータとしては、アキシャルギャップ型のブラシレスモータに限るものではなく、例えば、ラジアルギャップ型のブラシレスモータ(アウターロータ型やインナーロータ型)であってもよい。
【0138】
【発明の効果】
請求項1記載の発明の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナによれば、軸方向に中空部を有する中空回転軸にポリゴンミラーが固定された回転体の中空回転軸の中空部内に固定軸が挿入され、回転体が回転されると発生する空気の動圧を利用したラジアル動圧空気軸受と吸引型磁気力を利用したアキシャル軸受により、回転体を半径方向及び軸方向に回転自在に支持し、中空回転軸の一端側に中空部を閉止する保持部材が取り付けられ、固定軸の当該保持部材側の先端部に、軸方向に2極が着磁されたリング状の永久磁石を軸方向に挟むとともに、当該リング状の永久磁石の内径よりも小さい中心円が形成され強磁性材料からなるリング状の第1固定ヨーク板及び第2固定ヨーク板がそれぞれの中心円が中空回転軸に対して同軸となる状態で配置された吸引型磁気軸受固定部を固定し、保持部材に、吸引型磁気軸受固定部内に挿入され、吸引型磁気軸受固定部の第1固定ヨーク板及び第2固定ヨーク板の内周面との間に所定の磁気ギャップを形成する円形の外周部を備え、当該外周部が中空回転軸に対して同軸になる状態で配置された吸引型磁気軸受回転部を固定しているので、吸引型磁気軸受回転部の外周部を固定軸に固定された吸引型磁気軸受固定部で覆った状態として、アキシャル軸受に付着したゴミが組み立て時や組立後の回転中及び輸送中等にラジアル動圧空気軸受の軸受隙間内に脱落・侵入して、回転異常が発生することを防止することができ、また、加工が容易で寸法精度の高い第1固定ヨーク板及び第2固定ヨーク板と吸引型磁気軸受固定部との間に磁気ギャップを高精度に形成して、吸引型磁気軸受固定部の永久磁石の磁気力を有効利用することができ、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナを信頼性が高く画像品質の良好なものとすることができるとともに、小型で安価なものとすることができる。
また、吸引型磁気軸受固定部は、その一部が前記固定軸に固定された部分に対してラジアル方向に移動可能であるので、温度変化により固定軸と吸引型磁気軸受固定部との寸法変化が生じても、固定軸の外周部の膨らみを軽減でき、動圧空気軸受特性を向上させることができる。その結果、安定して高速に回転体を回転させることができ、書込画像の画像品質を向上させることができる。
【0139】
請求項2記載の発明の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナによれば、吸引型磁気軸受回転部を、強磁性材料で形成しているので、吸引型磁気軸受回転部として加工精度の高い強磁性材料を使用するとともに、永久磁石を削減することができ、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナをより一層信頼性が高く画像品質の良好なものとすることができるとともに、より一層小型で、より一層安価なものとすることができる。
【0140】
また、請求項1、2記載の発明の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナによれば、固定軸を、非磁性材料で形成するとともに、保持部材側の端部に円筒状の凹部を形成し、当該凹部内に吸引型磁気軸受固定部を埋設しているので、吸引型磁気軸受回転部を覆う吸引型磁気軸受固定部を固定軸に形成された凹部内に埋設して、固定軸と中空回転軸の嵌合の際に、中空回転軸の動圧空気軸受面と吸引型磁気軸受固定部が接触するのを防止することができるとともに、アキシャル軸受に付着したゴミが組み立て時や組立後の回転中及び輸送中等にラジアル動圧空気軸受の軸受隙間内に脱落・侵入して、回転異常が発生することを防止することができ、固定軸と中空回転軸の嵌合作業を容易なものとすることができるとともに、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナをより一層小型で、より一層安価なものとすることができる。
【0141】
また、請求項1、4記載の発明の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナによれば、第1固定ヨーク板と第2固定ヨーク板のうち、保持部材側に位置する第1固定ヨーク板あるいは第2固定ヨーク板のみを、固定軸の凹部の内周面に固定して、吸引型磁気軸受固定部を凹部内に埋設・固定しているので、簡単、かつ、容易に吸引型磁気軸受固定部を固定軸の凹部内に埋設固定することができるとともに、固定した第1固定ヨーク板あるいは第2固定ヨーク板以外の固定ヨーク板と永久磁石が、凹部内で移動可能な状態として、温度変化による固定軸の先端部分の変形を抑制することができ、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナを、より一層安価で、かつ、動圧空気軸受特性が良好なものとすることができる。
【0142】
請求項3記載の発明の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナによれば、吸引型磁気軸受固定部のリング状の永久磁石の内径を、Dmi、その外径を、Dmo、第1及び第2固定ヨーク板の内径を、Dyi、その外径を、Dyo、固定軸に形成された凹部の内径を、Ds、としたとき、永久磁石、第1固定ヨーク板、第2固定ヨーク板及び固定軸の凹部を、Dmi+Dmo>Dyi−Dyo+2Dsなる関係を満足するように形成しているので、リング状の永久磁石の内径が第1固定ヨーク板及び第2固定ヨーク板の内径の内側にはみ出すことを適切に防止することができ、永久磁石と第1固定ヨーク板及び第2固定ヨーク板との特別な位置決め作業を行うことなく、吸引型磁気軸受固定部を簡単に組み立てて、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナを、より一層安価で、吸引型磁気軸受特性の良好なものとすることができる。
【0143】
請求項4記載の発明の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナによれば、保持部材を、固定軸の凹部の形成された先端部が進入可能な略カップ状に形成し、中空回転軸の保持部材側の端部に略リング状のカシメ部を設け、カップ状の保持部材を、当該カシメ部により中空回転軸の一端部に固定しているので、回転体の構成部品のうち、線膨張率の異なる材料同士が接着される部分を削減して、長期にわたる使用により回転体が高温と低温に繰り返し曝された場合に、回転体の回転バランスが崩れて、周囲の部品を振動させて騒音が発生するのを防止することができ、かつ、書込画像の画像品質の良好なものとすることができるとともに、保持部材を中空回転軸に取り付けるためのネジ穴加工とその後の洗浄処理を省くことができ、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナをより一層安価で、小型のものとすることができる。
【0144】
請求項5記載の発明の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナによれば、保持部材を円盤状に形成し、中空回転軸の保持部材側の端部に略リング状のカシメ部を設け、円盤状の保持部材を、当該カシメ部により中空回転軸の一端部に固定しているので、回転体の構成部品のうち、線膨張率の異なる材料同士が接着される部分を削減して、長期にわたる使用により回転体が高温と低温に繰り返し曝された場合に、回転体の回転バランスが崩れて、周囲の部品を振動させて騒音が発生するのを防止することができ、かつ、書込画像の画像品質の良好なものとすることができるとともに、保持部材を中空回転軸に取り付けるためのネジ穴加工とその後の洗浄処理を省くことができ、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナをより一層安価なものとすることができる。
【0145】
請求項8記載の発明の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナによれば、固定軸の凹部の形成された部分の外周面と当該外周面に半径方向で対向する中空回転軸の内周面との間に、動圧空気軸受面の軸受隙間よりも所定量大きい隙間を有する変形許容空間部を形成しているので、温度変化により固定軸と吸引型磁気軸受固定部の線膨張率の違いから固定軸の凹部の形成された先端側が多少膨らんでも、変形許容空間部で当該変形を吸収することができ、動圧空気軸受特性を良好なものとして、騒音の発生を防止することができるとともに、書込画像の画像品質を向上させることができる。
【0146】
請求項9記載の発明の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナによれば、カップ状の保持部材の内周面と固定軸の凹部の形成された部分の外周面との間に、動圧空気軸受面の軸受隙間よりも所定量大きい隙間の変形許容空間部を形成しているので、温度変化により固定軸と吸引型磁気軸受固定部の線膨張率の違いから固定軸の凹部の形成された先端側が多少膨らんでも、変形許容空間部で当該変形を吸収することができ、動圧空気軸受特性を良好なものとして、騒音の発生を防止することができるとともに、書込画像の画像品質を向上させることができる。
【0147】
請求項6記載の発明の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナによれば、リング状のカシメ部の内周側に付加重りを付加して、回転体の回転バランスを修正しているので、中空回転軸及び保持部材に回転バランス修正専用の修正溝等を形成することなく、回転体の回転バランスを修正することができ、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナを製造が容易で、安価なものとすることができる。
【0148】
請求項7記載の発明の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナによれば、中空回転軸の外周部に所定幅で所定量外方に突出した鍔部を形成し、ポリゴンミラーを、中空回転軸の外周部に圧入・固定される略リング状の板ばねにより鍔部に弾性的に押し付けて中空回転軸に固定しているので、中空回転軸にネジ穴を形成することなく、ポリゴンミラーを中空回転軸に固定することができ、中空回転軸のネジ穴加工とその後の洗浄処理を省いて、動圧空気軸受型ポリゴンスキャナをより一層製造が容易で、安価なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナの第1の実施の形態を適用した動圧空気軸受型ポリゴンスキャナの正面断面図。
【図2】図1の吸引型磁気軸受固定部及び吸引型磁気軸受回転部の分解斜視図及び正面断面図。
【図3】図1の吸引型磁気軸受固定部と固定軸の上端凹部の寸法関係を示す図。
【図4】図1の吸引型磁気軸受固定部及び吸引型磁気軸受回転部の他の例の分解斜視図及び正面断面図。
【図5】本発明の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナの第2の実施の形態を適用した動圧空気軸受型ポリゴンスキャナの正面断面図。
【図6】図5の回転体の分解斜視図及び正面断面図。
【図7】本発明の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナの第3の実施の形態を適用した動圧空気軸受型ポリゴンスキャナの正面断面図。
【図8】従来の軸受装置の正面断面図。
【図9】図8の回転体の分解斜視図及び正面断面図。
【符号の説明】
30 動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ
31 ハウジング
32 上ケース
33 固定軸
33a、33b ヘリングボーン溝
33c 上端凹部
34 吸引型磁気軸受固定部
35 永久磁石
36 第1固定ヨーク板
37 第2固定ヨーク板
38 中空回転軸
38a 鍔部
39 ポリゴンミラー
40 ミラー押さえ
40a 微細穴
40b バランス修正溝
41 ネジ
42 空気溜まり
43 吸引型磁気軸受回転部
43a 回転ヨーク
44 ロータマグネット
44a バランス修正溝
45 回転体
46 プリント基板
47 コイル部
48 ホール素子
49 コネクタ
50 ハーネス
51 回路基板
52 モータ
60 動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ
61 中空回転軸
61a 鍔部
61b カシメ部
61c 平面部
62 保持部材
62a 内周部
62b 微細穴
63 空気溜まり
64 板ばね
64a 突出固定部
64b 押さえ部
65 回転体
70 動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ
71 中空回転軸
71a 鍔部
71b カシメ部
71c 平面部
71d 溝
72 保持部材
72a 微細穴
73 空気溜まり
74 回転体
Claims (9)
- 軸方向に中空部を有する中空回転軸にポリゴンミラーの固定された回転体の前記中空回転軸の前記中空部内に固定軸が挿入され、前記中空回転軸の一端側に前記中空部を閉止して所定の空気溜まりを形成する状態で所定の保持部材が取り付けられ、前記回転体がモータにより回転され、前記回転体が前記モータに回転されることにより発生する空気の動圧を前記中空回転軸の内周面と前記固定軸の外周面からなる動圧空気軸受面で受けるラジアル動圧空気軸受と吸引型磁気力を利用したアキシャル軸受により前記回転体を半径方向方向及び軸方向に回転自在に支持する動圧空気軸受型ポリゴンスキャナであって、
前記固定軸は、非磁性材料で形成されているとともに、前記保持部材側の端部に円筒状の凹部が形成され、
前記アキシャル軸受は、前記固定軸の前記保持部材側の先端部に固定されたリング状の吸引型磁気軸受固定部と、前記中空回転軸に取り付けられた前記保持部材に固定され前記リング状の吸引型磁気軸受固定部内に挿入された吸引型磁気軸受回転部と、を備え、
前記吸引型磁気軸受固定部は、前記軸方向に2極に着磁されたリング状の永久磁石と、前記リング状の永久磁石の内径よりも小さい中心円が形成され強磁性材料からなるリング状の第1固定ヨーク板と、前記リング状の永久磁石の内径よりも小さい中心円が形成され強磁性材料からなるリング状の第2固定ヨーク板と、を備え、
前記第1固定ヨーク板と前記第2固定ヨーク板は、前記リング状の永久磁石を前記軸方向に挟むとともに、それぞれの中心円が前記中空回転軸に対して同軸に配置され、かつ、前記吸引型磁気軸受固定部は、その一部が前記固定軸に固定された部分に対してラジアル方向に移動可能であるように、前記第1固定ヨーク板と前記第2固定ヨーク板のうち、前記保持部材側に位置する前記第1固定ヨーク板あるいは前記第2固定ヨーク板のみが、前記固定軸の前記凹部の内周面に固定され、
前記吸引型磁気軸受回転部は、前記吸引型磁気軸受固定部の前記第1固定ヨーク板及び前記第2固定ヨーク板の内周面との間に所定の磁気ギャップを形成する円形の外周部を備え、前記外周部が前記中空回転軸に対して同軸に配置されていることを特徴とする動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ。 - 前記吸引型磁気軸受回転部は、強磁性材料により形成されていることを特徴とする請求項1記載の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ。
- 前記吸引型磁気軸受固定部の前記リング状の永久磁石の内径を、Dmi、前記リング状の永久磁石の外径を、Dmo、前記第1固定ヨーク板及び第2固定ヨーク板の内径を、Dyi、前記第1固定ヨーク板及び第2固定ヨーク板の外径を、Dyo、前記固定軸に形成された前記内筒状の凹部の内径を、Ds、としたとき、前記永久磁石、前記第1固定ヨーク板、第2固定ヨーク板及び前記固定軸の凹部は、
Dmi+Dmo>Dyi−Dyo+2Ds
なる関係を満足することを特徴とする請求項1または請求項2記載の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ。 - 前記保持部材は、前記吸引型磁気軸受回転部が固定されるとともに、前記固定軸の前記凹部の形成された先端部が進入可能な略カップ状に形成され、前記中空回転軸は、前記保持部材側の端部に略リング状のカシメ部を有し、前記カップ状の保持部材は、前記カシメ部により前記中空回転軸の一端部に固定されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ。
- 前記保持部材は、前記吸引型磁気軸受回転部に固定されるとともに円盤状に形成され、前記中空回転軸は、前記保持部材側の端部に略リング状のカシメ部を有し、前記円盤状の保持部材は、前記カシメ部により前記中空回転軸の一端部に固定されていることを特徴と する請求項1から請求項4のいずれかに記載の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ。
- 前記動圧空気軸受型ポリゴンスキャナは、前記リング状のカシメ部の内周側に付加重りが付加されて、前記回転体の回転バランスの修正が行われていることを特徴とする請求項4または7に記載の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ。
- 前記中空回転軸は、その外周部に所定幅で所定量外方に突出した鍔部が形成され、前記ポリゴンミラーは、前記中空回転軸の外周部に圧入・固定される略リング状の板ばねにより前記鍔部に弾性的に押し付けられて前記中空回転軸に固定されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ。
- 軸方向に中空部を有する中空回転軸にポリゴンミラーの固定された回転体の前記中空回転軸の前記中空部内に固定軸が挿入され、前記中空回転軸の一端側に前記中空部を閉止して所定の空気溜まりを形成する状態で所定の保持部材が取り付けられ、前記回転体がモータにより回転され、前記回転体が前記モータに回転されることにより発生する空気の動圧を前記中空回転軸の内周面と前記固定軸の外周面からなる動圧空気軸受面で受けるラジアル動圧空気軸受と吸引型磁気力を利用したアキシャル軸受により前記回転体を半径方向方向及び軸方向に回転自在に支持する動圧空気軸受型ポリゴンスキャナであって、
前記アキシャル軸受は、前記固定軸の前記保持部材側の先端部に固定されたリング状の吸引型磁気軸受固定部と、前記中空回転軸に取り付けられた前記保持部材に固定され前記リング状の吸引型磁気軸受固定部内に挿入された吸引型磁気軸受回転部と、を備え、
前記吸引型磁気軸受固定部は、前記軸方向に2極に着磁されたリング状の永久磁石と、前記リング状の永久磁石の内径よりも小さい中心円が形成され強磁性材料からなるリング状の第1固定ヨーク板と、前記リング状の永久磁石の内径よりも小さい中心円が形成され強磁性材料からなるリング状の第2固定ヨーク板と、を備え、
前記第1固定ヨーク板と前記第2固定ヨーク板は、前記リング状の永久磁石を前記軸方向に挟むとともに、それぞれの中心円が前記中空回転軸に対して同軸に配置され、
前記吸引型磁気軸受回転部は、前記吸引型磁気軸受固定部の前記第1固定ヨーク板及び前記第2固定ヨーク板の内周面との間に所定の磁気ギャップを形成する円形の外周部を備え、前記外周部が前記中空回転軸に対して同軸に配置されており、
前記固定軸は、非磁性材料で形成されているとともに、前記保持部材側の端部に円筒状の凹部が形成され、前記吸引型磁気軸受固定部は、当該固定軸の凹部内に埋設されており、
前記固定軸の前記凹部の形成された部分の外周面と当該外周面に半径方向で対向する前記中空回転軸の内周面との間に、前記動圧空気軸受面の軸受隙間よりも所定量大きい隙間を有する変形許容空間部が形成されていることを特徴とする動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ。 - 軸方向に中空部を有する中空回転軸にポリゴンミラーの固定された回転体の前記中空回転軸の前記中空部内に固定軸が挿入され、前記中空回転軸の一端側に前記中空部を閉止して所定の空気溜まりを形成する状態で所定の保持部材が取り付けられ、前記回転体がモータにより回転され、前記回転体が前記モータに回転されることにより発生する空気の動圧を前記中空回転軸の内周面と前記固定軸の外周面からなる動圧空気軸受面で受けるラジアル動圧空気軸受と吸引型磁気力を利用したアキシャル軸受により前記回転体を半径方向方向及び軸方向に回転自在に支持する動圧空気軸受型ポリゴンスキャナであって、
前記アキシャル軸受は、前記固定軸の前記保持部材側の先端部に固定されたリング状の吸引型磁気軸受固定部と、前記中空回転軸に取り付けられた前記保持部材に固定され前記リング状の吸引型磁気軸受固定部内に挿入された吸引型磁気軸受回転部と、を備え、
前記吸引型磁気軸受固定部は、前記軸方向に2極に着磁されたリング状の永久磁石と、前記リング状の永久磁石の内径よりも小さい中心円が形成され強磁性材料からなるリング 状の第1固定ヨーク板と、前記リング状の永久磁石の内径よりも小さい中心円が形成され強磁性材料からなるリング状の第2固定ヨーク板と、を備え、
前記第1固定ヨーク板と前記第2固定ヨーク板は、前記リング状の永久磁石を前記軸方向に挟むとともに、それぞれの中心円が前記中空回転軸に対して同軸に配置され、前記吸引型磁気軸受回転部は、前記吸引型磁気軸受固定部の前記第1固定ヨーク板及び前記第2固定ヨーク板の内周面との間に所定の磁気ギャップを形成する円形の外周部を備え、前記外周部が前記中空回転軸に対して同軸に配置されており、
前記固定軸は、非磁性材料で形成されているとともに、前記保持部材側の端部に円筒状の凹部が形成され、前記吸引型磁気軸受固定部は、当該固定軸の凹部内に埋設されており、
前記保持部材は、前記吸引型磁気軸受回転部が固定されるとともに、前記固定軸の前記凹部の形成された先端部が進入可能な略カップ状に形成され、前記中空回転軸は、前記保持部材側の端部に略リング状のカシメ部を有し、前記カップ状の保持部材は、前記カシメ部により前記中空回転軸の一端部に固定されており、
前記カップ状の保持部材の内周面と前記固定軸の前記凹部の形成された部分の外周面との間に、前記動圧空気軸受面の軸受隙間よりも所定量大きい隙間の変形許容空間部が形成されていることを特徴とする動圧空気軸受型ポリゴンスキャナ。
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