JP2001054267A - 高速回転体のバランス修正方法 - Google Patents

高速回転体のバランス修正方法

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JP2001054267A
JP2001054267A JP22458599A JP22458599A JP2001054267A JP 2001054267 A JP2001054267 A JP 2001054267A JP 22458599 A JP22458599 A JP 22458599A JP 22458599 A JP22458599 A JP 22458599A JP 2001054267 A JP2001054267 A JP 2001054267A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、高速回転体のバランス修正方法に
関し、バランス修正において、回転体の所望の位置にお
もりを付加する方法と、回転体構成部品の一部を削除す
る方法を併用することにより、バランス修正の精度を向
上して、低振動のポリゴンスキャナを提供することを目
的とする。 【解決手段】 第一のバランス修正工程ステップ24の
とき、ポリゴンミラーに設けられた円周上の凹部やロー
タフランジ(またはロータ磁石)で構成される凹部に接
着剤を塗布してバランス修正を行い、第二のバランス修
正工程ステップ26のとき、ポリゴンミラー上部をドリ
ルで削除してドリル穴を形成したりロータフランジをド
リルで削除してドリル穴を形成してバランス修正を行
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速回転体のバラ
ンス修正方法に関し、例えば、空気軸受ポリゴンスキャ
ナに適用される高速回転を必要とする回転体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、回転体のアンバランスを矯正
するためのバランス修正が知られており、このバランス
修正の方法としては、回転体を回転させて回転時に発生
する振動と回転体の基準位置を各々検知し、その振動原
因となるアンバランス質量をキャンセルするように、回
転体の所望の位置におもりを付加する方法や、あるいは
回転体構成部品の一部を削除する方法などが知られてい
る。
【0003】近年、デジタル複写機等の高速プリント化
・画質の高精細化を実現するにあたって、ポリゴンスキ
ャナを30,000rpm以上の超高速かつ高精度に回転させる
必要が生じている。しかし、高速回転させると回転体の
アンバランスによる振動が問題となり、回転体のアンバ
ランスを矯正するためにバランス修正が必要となってい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、バラン
ス修正する際の回転数が高速なほど振動検出能力が向上
するため高速回転させたいが、おもりを付加する方法の
場合そのおもりが遠心力で飛散してしまうため高速回転
によるバランス修正に不都合が生じていた。
【0005】また、回転体構成部品の一部を削除する方
法では上記不都合はないが、回転体の組立直後(バラン
ス修正前)では各構成部品によるバラツキによるアンバ
ランス(以下、初期アンバランスという)が大きく、そ
の状態で高速回転させると振れ回りが多大となり軸受に
損傷を与える(玉軸受等による転がり軸受の場合、ボー
ル表面や内外輪傷が損傷する、動圧軸受等による流体軸
受は負荷容量が小さいため軸受が接触し損傷することに
なる)。
【0006】また、初期アンバランスを小さくすること
で上記問題は軽減できるが、30,000rpm以上の場合、各
構成部品の嵌合部の加工精度は全て数μm以下としなけ
ればならず部品がコスト高になるばかりか、組立の際に
温度管理が必要となるなど問題が多くなっている。
【0007】そこで、本発明は、バランス修正におい
て、回転体の所望の位置におもりを付加する方法と、回
転体構成部品の一部を削除する方法を併用することによ
り、バランス修正の精度を向上して、低振動のポリゴン
スキャナを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、請
求項1に記載の発明は、動圧軸受によって回転自在に支
持される回転体のバランス修正方法において、接着剤を
塗布する方法と、回転体の一部を削除する方法と、を併
用したことを特徴とするものである。
【0009】この請求項1に記載の発明では、接着剤の
塗布と、回転体の削り取りによりバランスが修正され
る。したがって、接着剤により粗修正され、削り取りに
より微修正される。
【0010】請求項2に記載の発明は、動圧軸受によっ
て回転自在に支持される回転体のバランス修正工程にお
いて、回転体のバランスを異なる回転数でチェックする
複数のチェック工程を設け、後工程の回転数を先工程の
回転数よりも高く設定したことを特徴とするものであ
る。
【0011】この請求項2に記載の発明では、後工程の
回転数が先工程の回転数より高く設定される。したがっ
て、徐々に回転数を上げてバランスがチェックされる。
【0012】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
の発明の構成に加え、前記先工程の修正は、接着剤を塗
布する方法により行い、前記後工程の修正は、回転体の
一部を削除する方法により行うことを特徴とするもので
ある。
【0013】この請求項3に記載の発明では、回転数の
低い工程では接着剤によりバランス修正され、回転数の
高い工程では回転体の削り取りによりバランス修正され
る。したがって、回転数の低い工程で粗修正され、回転
数の高い工程では微修正される。
【0014】請求項4に記載の発明は、請求項1または
3に記載の発明の構成に加え、前記回転体の一部を削除
する方法において、回転体構成部品のうち切削性の良い
非磁性の部材を削除してバランス修正することを特徴と
するものである。
【0015】この請求項4に記載の発明では、回転体構
成部品のうち切削性の良い非磁性の部材が削除される。
したがって、容易に回転体の一部が削除される。
【0016】請求項5に記載の発明は、請求項1または
3に記載の発明の構成に加え、前記接着剤を塗布する方
法における接着剤の比重は、前記回転体の一部を削除す
る方法において削除される部材の比重よりも大きいこと
を特徴とするものである。
【0017】この請求項5に記載の発明では、削除され
る部材の比重よりも比重の大きい接着剤が塗布されバラ
ンスが修正される。したがって、塗布する接着剤の体積
が小さくされる。
【0018】請求項6に記載の発明は、請求項2に記載
の発明の構成に加え、前記チェック工程において、前記
回転体の外周を包囲するようにカバー部材を設けたこと
を特徴とするものである。
【0019】この請求項6に記載の発明では、回転体の
外周を包囲するようにカバー部材が設けられる。したが
って、高速回転の際の風損が軽減されるとともに、ゴミ
の衝突が回避される。
【0020】請求項7に記載の発明は、請求項6に記載
の発明の構成に加え、前記回転体を包囲するカバー部材
の全部または一部を光透過部材で構成し、光透過部材を
通して回転体へ光を入射して回転体の回転数を検出する
ことを特徴とするものである。
【0021】この請求項7に記載の発明では、カバー部
材の全部または一部が光透過部材で構成され、光透過部
材を通して回転体の回転数が検出される。したがって、
非接触で回転体の回転数が検出される。
【0022】請求項8に記載の発明は、請求項2に記載
の発明の構成に加え、前記チェック工程において、少な
くとも回転体、軸受、モータを実使用状態と同じ構成と
し、かつ駆動制御回路を実使用状態と同じ制御回路定数
で定速回転制御することを特徴とするものである。
【0023】この請求項8に記載の発明では、少なくと
も回転体、軸受、モータが実使用状態と同じ構成にさ
れ、かつ駆動制御回路が実使用状態と同じ制御回路定数
で定速回転制御される。したがって、実使用の軸受が使
用され、バランス修正用の回路基板を設けることが回避
される。
【0024】請求項9に記載の発明は、請求項2に記載
の発明の構成に加え、前記バランスをチェックする際、
回転姿勢を実使用状態と同じ姿勢で行うことを特徴とす
るものである。
【0025】この請求項9に記載の発明では、実使用状
態と同じ回転姿勢でバランスチェックが行われる。した
がって、動圧軸受剛性が変化することが回避される。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に基づいて説
明する。図1〜図3は本発明に係るバランス修正方法を
適用する動圧空気軸受型ポリゴンスキャナの一実施形態
を示す図である。
【0027】図1において、動圧空気軸受型ポリゴンス
キャナ10(以下、単にポリゴンスキャナという)は、
回転体11、固定軸12、スペーサ部材13、ハウジン
グ14、ステータ15、回路基板16、ホール素子1
7、上カバー18、から構成されるものである。
【0028】上カバー18は、回転体11を覆うように
形成され、回路基板16とで回転体11を密閉してお
り、レーザビーム入出射用の開口窓部18aを有し、該
開口窓部18aに密着するようにガラス部材18bが固
定されている。したがって、この上カバー18は、カバ
ー部材を構成する。
【0029】回転体11は、円筒形状をした回転スリー
ブ21(例えば、セラミック製)の上端部外周にフラン
ジ22(例えば、アルミ合金からなる)の内周部を焼キ
バメまたは圧入固定しており、フランジ22の上部には
ポリゴンミラー23を、下部にはロータ磁石組立体(ロ
ータフランジ24とロータ磁石25)を固着し、さらに
ポリゴンミラー23中心部にはアキシャル方向(図中、
Aの矢印の方向)を非接触で支持する磁気軸受を構成す
る磁性体26を固着している。
【0030】ラジアル方向(図中、Bの矢印の方向)の
動圧軸受を構成する固定軸12の外径表面にはヘリング
ボーン状の動圧発生溝12aが形成されており、固定軸
12の下端外周部はハウジング14に焼キバメあるいは
圧入固定されている。
【0031】なお、回転スリーブ21と固定軸12は、
円筒形状に形成され、例えば、セラミック材料からな
り、回転スリーブ21の上端外径部に固定されるポリゴ
ンミラー23は、例えば、アルミ合金材料で構成され
る。
【0032】図2は、この回転体11の要部を拡大した
図であり、図1と同等の構成については同一の符号を付
している。
【0033】固定軸12と回転スリーブ21の内周面と
で構成される動圧軸受隙間(図中、C)は数μmで嵌合
されている。固定軸12の内周部にはアキシャル軸受を
構成する磁気軸受用永久磁石組立体(磁石31、上下の
磁性板32と33、以下、単に磁気軸受という)が配置
されている。
【0034】この磁気軸受は、磁性体26の突起部26
aとラジアル方向に磁気ギャップをもち、ギャップ間に
はたらく吸引力を利用してアキシャル方向へ非接触支持
されている。
【0035】また、磁性体26には、固定軸12と回転
体11とで形成される上部の空気溜り部34と回転体1
1外部とを連通させる微細穴26bが形成されており、
磁気軸受(アキシャル軸受)にダンピング特性をもたせ
ている。
【0036】磁気軸受の下部には磁気軸受のアキシャル
方向の位置決めと空気溜り部34の容積を減少させるス
ペーサ部材13が配置されている。(空気溜り部34の
容積が小さいほど空気ばねとしての剛性が向上する。)
なお、スペーサ部材13は、ハウジング14の中心部の
有底部に突き当て固定している。
【0037】このポリゴンスキャナ10のモータ方式
は、ステータ15の外径方向にロータ磁石25と磁気ギ
ャップをもつアウターロータ型といわれる方式である。
これは、ロータ磁石25の磁界により回路基板16に実
装されているホール素子17から出力される信号を位置
信号として参照し、駆動回路によりステータ巻線15a
の励磁切り替えを行い、回転体11が回転するようにな
っている。
【0038】なお、図中40〜43は、後述するバラン
ス修正の際に形成される接着剤、あるいはドリル穴など
の修正箇所を示している。
【0039】この回転体11は、高速回転時の振動を小
さくするために回転体11の上下でバランス修正(いわ
ゆる2面修正)を行っている。上側はポリゴンミラー2
3、下側はロータフランジ24で各々修正されている。
【0040】このバランス修正について図2に修正箇所
を示し、図3に工程について示し各々説明する。
【0041】図2に示すように、上側の修正は、第一の
バランス修正工程ステップ24のときポリゴンミラー2
3に設けられた円周上の凹部に接着剤40を塗布し、第
二のバランス修正工程ステップ26のときポリゴンミラ
ー23上部をドリルで削除してドリル穴41を形成する
ものである。
【0042】また、下側の修正は、第一のバランス修正
工程ステップ24のときロータフランジ24(またはロ
ータ磁石25)で構成される凹部に接着剤42を塗布
し、第二のバランス修正工程26のときロータフランジ
24をドリルで削除してドリル穴43を形成するもので
ある。
【0043】まず、回転体11(図1における21〜2
6)の組立を行い(S21)、別途組み立てられた固定
側ユニット(少なくとも固定軸12、磁気軸受31〜3
3、モータ部15〜17が組み立てられたもの→バラン
ス修正する際に回転させるために最低必要な部品)に回
転体11を嵌合させる(S22)。
【0044】その後、第一のバランス修正工程に入る
が、まずアンバランス状態をチェックするために回転数
N1で定速回転させバランスチェックを行う(S2
3)。このとき回転駆動は自身のモータ部によって行わ
れ、かつ定速回転制御回転を行っている。
【0045】これは、別途回転制御装置を使う必要が無
いため簡単であり、かつポリゴンスキャナ10で用いら
れている定速制御をそのまま使用するため回転ムラが非
常に小さく、振動チェックが高精度にできる。回転ムラ
が大きいと回転ムラ周波数に応じて振動値が変動するた
め高精度チェックには限界があり、その結果高精度バラ
ンス修正が困難となる。
【0046】なお、回転制御方式はPLL(Phase Lock
ed Loop)制御または速度ディスクリミネータ方式によ
る方法等があり、定速回転制御領域の広いPLL制御が
より好適である。
【0047】また、回転駆動する際の姿勢はポリゴンス
キャナ10が実際にレーザを偏向する時の姿勢にて行わ
れる(例えば複写機に搭載されている姿勢が回転軸方向
が水平(90°の傾斜)の場合、バランス修正の際の回
転も90°傾斜させて行う)。
【0048】このように姿勢を実使用状態と同じとする
ことにより、特に動圧軸受で発生する軸受剛性の変化に
よるバランスへの影響を相殺し高精度バランス修正が可
能となる。
【0049】組立直後の回転体11は、部品単体の形状
精度および部品嵌合部の組付ガタの影響により、大きな
アンバランス(初期アンバランス)となっている(最大
1,000mg・mm)。この状態で高速回転させると軸受に損傷
を与えてしまう。特に動圧軸受は軸受負荷容量が玉軸受
などと比較して小さいため、10,000rpm以上で1,000mg・m
mのアンバランスが生じていると軸受焼き付きなどの致
命的な損傷となる。
【0050】バランスチェックの結果が許容内(20mg・m
m以下)でない場合、アルミ合金よりも比重の重い接着
剤40、42を塗布してバランス修正を行う(S2
4)。
【0051】この方法は、接着剤に金属粉等を混入し、
比重を大きくでき、第一のバランス工程におけるバラン
ス修正方法としては望ましい。
【0052】なお、削り取り方法は、アルミ合金が軽量
(2.7g/cm)であるため、1,000mg・mmから高速回転時
に軸受損傷のないレベルである20mg・mm以下のバランス
修正を行うためには、削り取る体積が多く作業時間が長
くなったり、凹部が大きくなり(高速回転時の風損大)
不都合である。上記不都合をなくすために比重の重い部
材(鉄など)を設けることも考えられるが、部品点数増
加、全体質量の増加、イナーシャ大による起動時間延長
など問題が多い。
【0053】ここで、第一のバランス工程では、軸受の
損傷しない回転数、あるいは接着剤が遠心力で飛散しな
い回転数のいずれか低い回転数を設定しチェックを行
う。具体的には回転数N1は10,000rpm以下で、接着剤
の比重はアルミ合金の2倍以上あれば上記不具合が無い
ことが実験的に確認された。
【0054】ステップ23のチェックでバランス修正が
許容内(20mg・mm以下)となった場合、塗布した接着剤
の固着を行い(紫外線硬化型であれば紫外線の照射、高
温硬化型なら所望の温度での硬化)、第二のバランス工
程へ進む。
【0055】第二のバランス工程におけるバランスチェ
ック25は第一のバランス工程におけるバランスチェッ
クの回転数N1よりも高速な回転数N2で行われる(S
25)。
【0056】回転駆動方法、PLL制御による定速回転
は第一のバランスチェック23と同様である。このと
き、PLL制御はN1、N2、実使用回転数のいずれに
おいても同期回転できるように回路定数が設定されてい
る。
【0057】実際にレーザを偏向する時の回転数が30,0
00rpm以上の場合に10,000rpmでバランス修正を行ったと
しても動圧軸受の場合、回転数の違いで軸受剛性が変化
して振動が大きくなったり、遠心力増加による回転体1
1のバランスへの影響が問題となる。
【0058】そこで、実際にレーザを偏向する時の回転
数でバランスを修正することにより上記問題が解決され
る(実際には実使用回転数の1/2以上であれば動圧軸
受剛性の変化による影響は小さく、実用上問題はな
い)。ステップ25のチェックで許容外であればバラン
ス修正を行う(S26)。この方法は、削り取りによる
修正方法により行われる。
【0059】削り取りは回転体11の構成部品のいずれ
かを削り取ることとなるが、ポリゴンミラー23とロー
タフランジ24で行うことが最適である。この理由は回
転体の上下端の部品であり、いわゆる2面修正が容易で
あることと、素材がアルミ合金であるため削り取りの際
の微調整が容易であること(切削性が良いので小径ドリ
ル(φ1mm以下)による加工が容易)による。
【0060】なお、削り取りはドリルによる機械加工の
ほかレーザ照射による削除も好適である。レーザ照射の
場合、削り取りの時に発生する切削ゴミの処理をしなく
て済む。
【0061】以上の第一のバランス工程で20mg・mm以下
に修正された回転体11は第二のバランス工程で2mg・mm
以下まで高精度修正される。
【0062】なお、ステップ25におけるバランスチェ
ックの高速回転の際には、回転体11の風損が増加する
ため、上カバー18を実装し風損低減することが望まし
い(実際にレーザを偏向する際のポリゴンミラー23周
辺の形状と同じであることが尚望ましい)。
【0063】上カバー18が無いと風損により電流が増
大(モータの磁気力増大)し、回転体11の軸方向の挙
動が変化し、バランスチェックの際の値に影響を与え
る。さらに、ポリゴンミラー23周辺に浮遊しているゴ
ミが衝突する時に発生する鏡面への打痕が反射率を劣化
させる恐れがある。
【0064】このとき上カバー18全体または一部を光
透過部材とすることにより、バランスチェック時に必要
な回転体11の回転数検出に非接触の光センサー方式を
採用でき好適である。
【0065】一方、駆動回路から回転数の参照信号を検
出する方法も考えられるが、回路基板上にチェックピン
等を設ける必要があり、ポリゴンスキャナ10自身の回
路を使用する場合にはコストアップとなり、また電気的
な接続方法も複雑になる。
【0066】なお、上述した実施形態においては、チェ
ック工程が2工程ある場合を示したが、これに限定され
るものではなく、更なる高速化/低振動化を達成するた
めに第二工程以降に第三、第四工程などを設けてもよ
い。なお、その時のチェック回転数は後工程へ進むほど
高くなるように設定することが望ましい。(より高速回
転することによりチェック時の検出精度が向上する)。
【0067】以上説明したバランス工程におけるアンバ
ランス量とチェック回転数との良否を表1にて示した。
実使用回転数は50,000rpmの時の例である。◎、○印は好
適なチェック回転数を表しており、◎は最も好適な例で
ある。くり返しになるが、第一工程の×印は高速回転す
ることにより軸受の損傷が発生する領域。第二工程の×
印は実使用回転数よりも1/2以下の回転数となり、実
使用回転数とチェック回転数の差が大きく軸受剛性の違
いによる振動への影響が無視できない領域であり、不適
となる。
【表1】
【0068】このように本実施形態においては、動圧軸
受によって回転自在に支持される回転体のバランスを修
正する際に接着剤を塗布する方法と回転体の一部を削除
する方法を併用したことにより、大きな初期アンバラン
ス量から微少なアンバランス量までバランス修正の高精
度化を簡単に達成することができる。(大きな初期アン
バランスでは接着剤で修正することにより粗修正を行
い、削り取りにより微修正を行うことが可能となる。)
【0069】また、バランスチェックの際、回転数が異
なった複数のチェック工程を設け、第二のバランス修正
工程の回転数を第一のバランス修正工程の回転数よりも
高く設定したことにより、大きな初期アンバランス量に
対しても軸受の損傷を軽減し、さらに回転数の違いで軸
受剛性が変化して振動が大きくなることによる、または
遠心力増加による回転体のバランスへの影響を小さくす
ることができる。
【0070】また、第一のバランス修正工程の修正は接
着剤の塗布により行い、第二のバランス修正工程の修正
は回転体の一部を削除する方法としたことにより、第一
のバランス修正工程では多くの初期アンバランス量を修
正するのに通常用いられるアルミ合金製のポリゴンミラ
ーを削り取るより小さい体積で短時間に作業することが
でき、修正量の少ない第二のバランス修正工程では比重
の小さいアルミ合金を削り取るため微修正が容易であ
る。さらに、アルミ合金は非磁性であるので削り取る際
に発生する切削ゴミがロータ磁石の磁気力によりに回転
体に再付着することが防止できる。
【0071】また、バランス修正工程におけるバランス
チェックの際、ポリゴンミラーの外周を包囲するように
上カバーを設けたことにより、高速回転の際の風損を低
減し、軸方向の挙動変化によるバランスチェックの際の
値への影響を軽減できる。さらに、ポリゴンミラー周辺
に浮遊しているゴミが衝突する時に発生する鏡面への打
痕をなくし反射率の劣化を防止することができる。
【0072】また、ポリゴンミラーを包囲する上カバー
の全部または一部を光透過部材で構成し、光透過部を通
して回転体へ光を入射し回転体の回転数を検出すること
により、非接触で回転数を検出することが可能となり、
容易に回転数検出が可能となる。
【0073】また、バランスチェック時は少なくとも回
転体、軸受、モータを実使用状態と同じ構成とし、かつ
駆動制御回路を実使用状態と同じ制御回路定数で定速回
転制御することにより、バランス修正用として回転させ
る際に専用の回路基板を設けることがないため、工程を
簡素化できる。さらに実使用の軸受を使用することがで
き、軸受(径)のバラツキによる軸受剛性の違いによる
バランス修正への影響を無くすことができる。
【0074】また、バランス修正の際のバランスチェッ
ク時の回転姿勢を実使用状態と同じ姿勢で行うことによ
り、各姿勢における動圧軸受剛性の変化(バランス変
化)がなくなるため、高精度バランス修正が可能とな
る。
【0075】
【発明の効果】本発明によれば、動圧軸受によって回転
自在に支持される回転体のバランスを修正する際に接着
剤を塗布する方法と回転体の一部を削除する方法を併用
し、大きな初期アンバランスでは接着剤で修正すること
により粗修正を行い、削り取りにより微修正を行ってい
るので、大きな初期アンバランス量から微少なアンバラ
ンス量まで、バランス修正の高精度化を容易に達成する
ことができる。
【0076】また、回転数が異なった複数のチェック工
程を設け、後工程の回転数を先工程の回転数よりも高く
設定すれば、大きな初期アンバランス量に対しても軸受
の損傷を軽減し、さらに回転数の違いで軸受剛性が変化
して振動が大きくなることによる、または遠心力増加に
よる回転体のバランスへの影響を小さくすることがで
き、バランス修正の精度を向上させることができる。
【0077】また、先工程の修正は接着剤を塗布する方
法で行い、後工程の修正は回転体の一部を削除する方法
で行えば、先工程では低い回転数で粗修正でき、後工程
では高い回転数で微修正でき、バランス修正の精度を向
上させることができる。
【0078】また、回転体構成部品のうち切削性の良い
非磁性の部材を削除してバランス修正すれば、微修正が
容易にでき、削り取る際に発生する切削ゴミが回転体に
再付着することが防止でき、作業性を向上させるととも
に、バランス修正の精度を向上させることができる。
【0079】また、接着剤の比重を削除される部材の比
重より大きくすれば、小さい体積で短時間に作業するこ
とができ、作業性を向上させるとともに、バランス修正
の精度を向上させることができる。
【0080】また、回転体の外周を包囲するようにカバ
ー部材を設ければ、高速回転の際の風損を低減し、軸方
向の挙動変化によるバランスチェックの際の値への影響
を軽減でき、ポリゴンミラー周辺に浮遊しているゴミが
衝突する時に発生する鏡面への打痕をなくし反射率の劣
化を防止でき、バランス修正の精度を向上させることが
できる。
【0081】また、カバー部材の全部または一部を光透
過部材で構成し、光透過部を通して回転体へ光を入射し
回転体の回転数を検出すれば、非接触で回転数を検出す
ることができ、容易に回転数を検出でき、バランス修正
の精度を向上させることができる。
【0082】また、バランスチェック時は少なくとも回
転体、軸受、モータを実使用状態と同じ構成とし、かつ
駆動制御回路を実使用状態と同じ制御回路定数で定速回
転制御すれば、バランス修正用として回転させる際に専
用の回路基板を設けることがなく、工程を簡素化できる
とともに、実使用の軸受を使用することにより、軸受
(径)のバラツキによる軸受剛性の違いによるバランス
修正への影響を無くすことができ、バランス修正の精度
を向上させることができる。
【0083】また、バランスチェック時の回転姿勢を実
使用状態と同じ姿勢で行なえば、各姿勢における動圧軸
受剛性の変化(バランス変化)をなくすことができ、バ
ランス修正の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るバランス修正方法を適用する動圧
空気軸受型ポリゴンスキャナの一実施形態を示す図であ
り、その全体構成図である。
【図2】その回転体の要部を示す拡大図である。
【図3】そのバランス修正方法を説明するフローチャー
トである。
【符号の説明】 10 ポリゴンスキャナ 11 回転体 12 固定軸 12a 動圧発生溝 13 スペーサ部材 14 ハウジング 15 ステータ 15a ステータ巻線 16 回路基板 17 ホール素子 18 上カバー 18a 開口窓部 18b ガラス部材 21 回転スリーブ 22 フランジ 23 ポリゴンミラー 24 ロータフランジ 25 ロータ磁石 26 磁性体 26a 突起部 26b 微細穴 31 磁気軸受 34 空気溜り部 40、42 接着剤 41、43 ドリル穴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H045 AA24 AA25 AA49 AA53 DA44 3J011 AA04 BA04 CA02 DA02 3J102 AA01 CA01 DA03 DA10 5H615 AA01 BB01 BB14 PP01 PP02 PP25 SS08 SS10 SS15 SS19 SS53 SS54 SS57 TT04 TT05 TT16 TT27

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】動圧軸受によって回転自在に支持される回
    転体のバランス修正方法において、 接着剤を塗布する方法と、回転体の一部を削除する方法
    と、を併用したことを特徴とする高速回転体のバランス
    修正方法。
  2. 【請求項2】動圧軸受によって回転自在に支持される回
    転体のバランス修正工程において、 回転体のバランスを異なる回転数でチェックする複数の
    チェック工程を設け、 後工程の回転数を先工程の回転数よりも高く設定したこ
    とを特徴とする高速回転体のバランス修正方法。
  3. 【請求項3】前記先工程の修正は、接着剤を塗布する方
    法により行い、 前記後工程の修正は、回転体の一部を削除する方法によ
    り行うことを特徴とする請求項2に記載の高速回転体の
    バランス修正方法。
  4. 【請求項4】前記回転体の一部を削除する方法におい
    て、回転体構成部品のうち切削性の良い非磁性の部材を
    削除してバランス修正することを特徴とする請求項1ま
    たは3に記載の高速回転体のバランス修正方法。
  5. 【請求項5】前記接着剤を塗布する方法における接着剤
    の比重は、前記回転体の一部を削除する方法において削
    除される部材の比重よりも大きいことを特徴とする請求
    項1または3に記載の高速回転体のバランス修正方法。
  6. 【請求項6】前記チェック工程において、前記回転体の
    外周を包囲するようにカバー部材を設けたことを特徴と
    する請求項2に記載の高速回転体のバランス修正方法。
  7. 【請求項7】前記回転体を包囲するカバー部材の全部ま
    たは一部を光透過部材で構成し、光透過部材を通して回
    転体へ光を入射して回転体の回転数を検出することを特
    徴とする請求項6に記載の高速回転体のバランス修正方
    法。
  8. 【請求項8】前記チェック工程において、少なくとも回
    転体、軸受、モータを実使用状態と同じ構成とし、かつ
    駆動制御回路を実使用状態と同じ制御回路定数で定速回
    転制御することを特徴とする請求項2に記載の高速回転
    体のバランス修正方法。
  9. 【請求項9】前記バランスをチェックする際、回転姿勢
    を実使用状態と同じ姿勢で行うことを特徴とする請求項
    2に記載の高速回転体のバランス修正方法。
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