JP2941864B2 - 静圧気体軸受とそれを使用した回転体のバランス修正方法 - Google Patents

静圧気体軸受とそれを使用した回転体のバランス修正方法

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JP2941864B2 JP30195789A JP30195789A JP2941864B2 JP 2941864 B2 JP2941864 B2 JP 2941864B2 JP 30195789 A JP30195789 A JP 30195789A JP 30195789 A JP30195789 A JP 30195789A JP 2941864 B2 JP2941864 B2 JP 2941864B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、レーザプリンタやデジタル複写機などに用
いられる空気磁気軸受型ポリゴンスキヤナのバランス修
正に好適な静圧気体軸受とこの軸受を使用した回転体の
バランス修正方法に関する。
[従来の技術] レーザプリンタやデジタル複写機などに用いられるポ
リゴンスキヤナとしては、従来から静圧空気(気体)軸
受型のポリゴンスキヤナが考察されていた。しかし、こ
の種のポリゴンスキヤナでは、圧縮空気を供給する圧縮
機を必要とし、圧縮機の潤滑油でポリゴンミラーが汚染
されるおそれがあるとともに動作時の騒音を伴うので、
昨今では動圧空気軸受型のポリゴンスキヤナが広く使用
されるようになっている。
この種のポリゴンスキヤナは、動圧空気軸受の軸受剛
性が充分に高くなる高速回転領域(15000rpm以上)で使
用するために、ポリゴンスキヤナの回転体の回転時の振
動や振れ回りを極力小さくするように、高精度のバラン
ス修正を行う必要がある。
このポリゴンスキヤナの回転体のバランス修正では、
回転体の初期のアンバランスを補正することが必要であ
り、修正はバランス修正装置の感度を考慮して通常は30
00〜5000rpmの回転速度領域で行われる。
しかし、動圧空気軸受はこの3000〜5000rpmという回
転速度領域では軸受剛性が充分に高くならないので、従
来から動圧空気軸受型のポリゴンスキヤナの回転体のバ
ランス修正も、静圧空気軸受を使用して行われている。
このポリゴンスキヤナの回転体のバランス修正に際し
ては、回転体との間で静圧空気軸受を形成する固定軸に
回転体を遊嵌し、給気手段によつて固定軸の給気口から
供給した加圧気体を、固定軸の周面の噴出口に設けた絞
りから軸受すきまに噴出させる。そして、絞りから噴出
される加圧気体によつて、固定軸と回転体間に空気軸受
空間を形成し、この空気軸受空間に軸支される回転体を
回転させて回転体のバランス修正を行つていた。
この場合、固定軸と回転体間に形成される軸受すきま
に溜る気体を排出して、空気軸受で回転体を安定に軸支
することが必要である。
このために、従来は回転体の上部に気体の排気口を形
成し、バランス修正を行った後に振動減衰用の微細孔を
有する樹脂部材を接着することによりこの排気孔を塞い
でいた。なお、特公昭60−56928号公報及び特開昭63−6
5334号公報に関連する技術が開示されている。
[発明が解決しようとする課題] 前述したように、従来のポリゴンスキヤナのバランス
修正方法では、回転体に気体の排気孔を形成し、バラン
ス修正後にこの排気孔を振動減衰用の微細孔を有する樹
脂部材を接着することによつて塞いでいたので、樹脂部
材の接着によつて修正されたバランスがくずれるおそれ
がある。
また、樹脂部材の接着時の密着性が完全でないと、回
転体の上下振動の減衰効果が低下してしまい、構造的に
も回転体の部品点数が増加することになる。
本発明は、前述したようなポリゴンスキヤナのバラン
ス修正の現状に鑑みてなされたもので、その第1の目的
はバランス修正後は、回転体に何らの加工も部品付加も
行わず、バランスがくずれることなく修正が可能な静圧
気体軸受を提供することにある。また第2の目的は、バ
ランス修正後は回転体に何らかの加工も部品付加を行な
わずに修正が良好に行なえるバランス修正方法を提案す
ることにある。
[課題を解決するための手段] 上記第1の目的は、加圧した気体を給気通路および絞
りを通して軸受すきまに外部から導入する固定軸と、こ
の固定軸に回転自在に遊嵌され、前記加圧気体の軸受す
きまへの導入によって発生する静圧により浮上し、支持
される回転体とからなる静圧気体軸受において、前記固
定軸と前記回転体との間に前記回転体の軸方向位置によ
って容積が変化する第1の空間が形成され、この第1の
空間および前記軸受すきま以外の前記固定軸と前記回転
体との間で形成される第2の空間の圧力が周囲圧力と等
しくなるように前記固定軸に排気通路を設けた第1の手
段によって達成される。
また、上記第1の目的は、上記第1の手段の排気通路
に、さらに排気量調整手段を設けた第2の手段によつて
も達成される。
さらに、上記第2の目的は、上記第1または第2の手
段における静圧気体軸受を使用して動作気体軸受型の回
転体を回転させてバランス修正を行う第3の手段によつ
て達成される。
[作用] 上記第1の手段によれば、固定軸に回転体を遊嵌し、
固定軸と前記回転体との間に加圧気体を遊嵌すると、加
圧気体によつて固定軸と回転体との間に回転体の軸方向
位置によって容積が変化する第1の空間と、この第1の
空間および軸受すきま以外の固定軸と回転体との間に第
2の空間が形成され、回転体はラジアル方向において、
加圧気体層により保持される。そして、固定軸に形成さ
れた排気通路によって第1の空間と第2の空間の圧力が
周囲圧力と等しくなるように各圧気体が排気される。
このようにして排気通路を形成することにより、軸受
すきま内の気体が固定軸側から排出できるようになつた
ため回転体上部の気体抜き孔(上下振動減衰用微細孔)
を始めから一体で形成でき、バランス修正後のバランス
が狂う虞を解消できる。
また、上記第2の手段によれば、排気通路に設けられ
ている排気量調整手段によつて、排気通路からの加圧気
体の排気量を調整することにより、固定軸に対する回転
体の挿入時或は抜き取り時に、回転体に働く吸引力を緩
和して、固定軸に対して回転体に傷を付けないように静
かに嵌通し、或は抜き取ることが出来る。
上記第3の手段によれば、上記第1あるいは第2の手
段を用いることにより、回転体のバランス修正後に何ら
の加工も部品の取付けも行うことなくバランス修正が可
能となる。
[実施例] 以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
第1図は、本発明の実施例に係る静圧気体軸受にポリ
ゴンスキヤナからなる回転体を遊嵌した状態を示す要部
断面説明図、第2図は動圧空気軸受型ポリゴンスキヤナ
の構成を示す要部断面説明図である。
先ず、動圧空気軸受型のポリゴンスキナヤの構成を、
第2図を参照して説明する。
このポリゴンスキヤナは、同図に示すようにインナー
ロータ方式のものであり、固定軸1の下端が台座20に圧
入或は焼きばめなどの手段で固定されている。
固定軸1の周面には、軸方向に二分されてヘリングボ
ーン溝1a1bがそれぞれ形成され、固定軸1の上端部には
第1のマグネツト5cが固定されている。
この固定軸1の外周面に回転軸2が遊嵌され、回転軸
2の上部には保持体6が取り付けられている。この保持
体6は回転軸2の上端面に配設されたポリゴンミラー4
を挟み、ねじ21によつてポリゴンミラー4を回転軸2に
固定している。また、保持体6の第3のグネツト5cに対
向する位置には、第2のマグネツト5bが固定されてい
る。また、保持体6には上下振動減衰用の微細孔7が形
成されている。
回転軸2の中央にはロータマグネツト3aが嵌装され、
さらにロータマグネツト3aの下方にバランス修正用リン
グ22が装着されている。
固定軸1の下端部が固定された前述の台座20には枠体
23が取り付けられ、この枠体23のロータマグネツト3aと
対向する位置には、ステータヨーク3bが取り付けられて
いる。また、枠体23の周縁部には、ポリゴンミラー4を
覆うようにカバー25が取り付けられ、このカバー25の内
壁の、第2のマグネツト5bに対向する位置に第1のマグ
ネツト5aが固定されている。
したがつて、この実施例では、バランス修正用リング
22、ロータマグネツト3a、ポリゴンミラー4及び第2の
マグネツト5bを保持する保持体6等が取り付けられた回
転軸2が、ポリゴンスキヤナの回転体30を構成してい
る。
また、回転軸2に固定されたロータマグネツト3aと枠
体23に固定されたステータヨーク3bとを主構成素子とし
て、インナーロータ型のモータが構成され、励磁切り換
えによりポリゴンスキヤナの回転体30が回転するように
なつている。
第1および第2のマグネツト5a,5bの対向面は、互い
に同極性磁極に設定され、第2および第3のマグネツト
5b,5cの対向面も、互いに同極性磁極に設定されてい
る。これにより第1ないし第3のマグネツト5a,5b,5c
で、ポリゴンスキヤナの回転体30を軸方向に浮遊させる
スラスト軸受を構成している。
次に、本発明に係る回転体のバランス修正方法の実施
例を、修正に使用するポリゴンスキヤナのバランス修正
装置と共に説明する。
第1図に示すように、実施例で使用されるポリゴンス
キヤナのバランス修正装置では、台座20Aに対して固定
軸15の下端が圧入固着され、台座20Aの1側部に給気口2
6が形成されている。固定軸15には、この給気口26に連
続する給気通路9が形成され、この給気通路9は固定軸
15の軸心に沿って延長され、軸心方向の複数位置におい
て固定軸15の外周面方向に延出し、一旦絞られて噴出口
9aから外周面に開放されている。
固定軸15には給気通路9と干渉しない位置に、排気通
路14が形成され、この排気通路14の一端は固定軸15の下
端面の開口14aで外気に通じ、排気通路14の他端は、固
定軸15の上端面に形成された開口14bに通じている。ま
た、排気通路14はほぼ中央位置において、開口14cによ
つて固定軸15の外周面に通じている。そして、開口14a
には排気通路14の排気量を調整する排気量調整手段とし
て、調整弁16が取り付けられている。
台座20Aに固定されている枠体23には、ステータヨー
ク3bが取り付けられている。
図示していないが、給気口26には加圧気体を供給する
給気手段が接続され、枠体23は装着されるポリゴンスキ
ヤナの回転体のバランスを検出する装置に取り付けられ
ている。
このような構成のポリゴンスキヤナのバランス修正装
置に対して、すでに第2図で説明したポリゴンスキヤナ
の回転体30が、固定軸15に遊嵌され、図示せぬ給気手段
によつて給気口26から加圧気体が供給され、給気通路9
内に流入する。
給気通路9内に流入した加圧気体は、給気通路9を通
つて固定軸15の軸心方向の複数位置において、絞り10を
介して噴出口9aから噴出される。
このようにして、噴出口9aから噴出された加圧気体に
よつて、固定軸15と回転体30間に空気軸受空間(軸受す
きま)が形成され、第2および第3のマグネツト5b,5c
間の反発力によつて回転体30は軸方向に力を受けて浮上
し、軸受すきまの加圧気体層によつて、回転体30はラジ
アル方向において保持される。
このようにして、固定軸15と回転体30間に形成される
空気軸受に軸支された回転体30を、ロータマグネット3a
とステータヨーク3bを主構成素子とするモータに対し
て、励磁切り換えを行つて3000〜5000rpmの回転速度で
回転させる。
そして、回転体30に書かれている位相検出用マーク
を、光電式フオトピツクアツプ装置により検出し、これ
を位相基準信号として回転体30の振動や振れ回りを検知
して、バランス状態を判定する。この判定で予め設定さ
れている許容量以上のアンバランスが検知された場合に
は、バランス修正位置6a,22aに質量を付加してバランス
の修正を行う。
各絞り10から噴出される加圧気体は、回転体30に半径
方向に力を与えて、回転体30をラジアル方向に保持する
と共に、固定軸15の周面と対向する回転体30の周面間の
空間11から、固定軸15の上端面と対向する回転体30の面
間の空間13に移動し、開口14b及び開口14cから排気通路
14内に流入し、開口14aから外部に放出される。このよ
うな加圧気体の移動によつて、前述の空間11以外の空間
13aや開口14c付近の空間13bの圧力が、周辺圧力と等し
くなり、回転体30は空気軸受空間に安定に軸支される。
このようにして回転体30に対するバランス修正が終了
したら、調整弁16で排気通路14の排気量を調整して、回
転体30のロータマグネツト3aと枠体23のステータヨーク
3bを主構成素子とするモータに働く吸引力を減少して、
回転体30を抜き取る。
次にバランス修正を行うポリゴンスキヤナの回転体の
固定軸15への遊嵌に際しても、前記モータに対する吸引
力を、調整弁16の調整で減少させた状態にして装着す
る。
このように、実施例によると気体軸受空間(軸受すき
ま)11から排出される気体を固定軸15の下端面に形成し
た開口14aから放出するので、従来のように回転体30に
排気孔を作成し、バランス修正後に排気孔に樹脂部材を
充填して塞ぐ必要がない。
このため、修正後の回転体30には何らの加工も、また
部品の付加も行われないので、修正後の回転体30のバラ
ンスがくずれることはなく、バランス修正が精度よく能
率的に行われる。
また、従来のように振動減衰用の微細孔を樹脂部材に
形成せずに、保持体6に直接形成することが出来るの
で、樹脂部材の接着時の密着性によつて減衰効果が低下
することもない。
上記のような構成によりポリゴンスキヤナのバランス
修正装置として使用すると、バランス修正を行うポリゴ
ンスキヤナの回転体の部品点数が削減され、簡単な操作
で高精度で安定したバランス修正が能率的に行われ、且
つポリゴンスキヤナの回転体の装着及び離脱が、回転体
を傷付けることなくスムースに行われる。
[発明の効果] 以上詳細に説明したように、請求項1記載の発明によ
ると、簡単な操作で高精度出安定したバランス修正を、
回転体に対して能率よく行うことができ、第2の空間に
よって上下振動減衰効果を得ることができ、バランス修
正を行った回転体は上下振動減衰特性の優れた静圧気体
軸受を提供することができる。
また、請求項2に記載の発明によると、請求項1記載
の発明で得られる効果に加えて、固定軸に対する回転体
の装着或は固定軸からの前記回転体の離脱を、モータ部
分に働く吸引力を緩和してスムースに行なえ、傷付け事
故等の発生を未然に防ぐことが出来る。
さらに請求項3記載の発明によると、回転体のバラン
ス修正後に何らの加工も部品の取り付けも行われないの
で、高精度で、高い信頼性を有するバランス修正を能率
的に行うことが出来ると共に、振動減衰特性も優れた回
転体を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例に係る静圧気体軸受の回転体を支持した
状態を示す要部断面説明図、第2図はポリゴンスキヤナ
の構成を示す要部断面説明図である。 2……回転軸、3a……ロータマグネツト、4……ポリゴ
ンミラー、5a……第1のマグネツト、5b……第2のマグ
ネツト、5c……第3のマグネツト、6……保持体、7…
…微細孔、9……給気通路、9a……噴出口、10……絞
り、11……気体軸受空間(軸受すきま)、13a,13b……
空間、14……排気通路、14a,14b,14c……開口、15……
固定軸、16……調整弁、20A……台座、22……バランス
修正用リング、23……枠体、26……給気口、30……回転
体。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−142995(JP,A) 特開 昭58−72715(JP,A) 特開 昭63−65334(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16C 32/00 - 32/06 F16F 15/12 G02B 26/10

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加圧した気体を給気通路および絞りを通し
    て軸受すきまに外部から導入する固定軸と、この固定軸
    に回転自在に遊嵌され、前記加圧気体の軸受すきまへの
    導入によって発生する静圧により浮上し、支持される回
    転体とからなる静圧気体軸受において、 前記固定軸と前記回転体との間に前記回転体の軸方向位
    置によって容積が変化する第1の空間が形成され、この
    第1の空間および前記軸受すきま以外の前記固定軸と前
    記回転体との間で形成される第2の空間の圧力が周囲圧
    力と等しくなるように前記固定軸に排気通路を設けたこ
    とを特徴とする静圧気体軸受。
  2. 【請求項2】前記排気通路には排気量を調整する手段が
    設けられていることを特徴とする請求項1記載の静圧気
    体軸受。
  3. 【請求項3】請求項1および2のいずれか1項記載の静
    圧気体軸受を使用して動圧気体軸受型の回転体を回転さ
    せて、この回転体のバランス修正を行うことを特徴とす
    るバランス修正方法。
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