JP3773369B2 - 絶縁膜の形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に有機成分を主成分とする絶縁膜を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路の高集積化の進展に伴い、金属配線同士の間の寄生容量である配線間容量の増加に起因する配線遅延時間の増大が半導体集積回路の高性能化の妨げとなっている。配線遅延時間は金属配線の抵抗と配線間容量との積に比例するいわゆるRC遅延といわれるものである。
【0003】
従って、配線遅延時間を低減するためには、金属配線の抵抗を小さくするか又は配線間容量を小さくすることが必要である。
【0004】
配線間容量を小さくする方法としては、金属配線同士の間に形成される層間絶縁膜の比誘電率を小さくすることが考えられ、層間絶縁膜として従来のシリコン酸化膜とは異なる材料を用いることが検討されている。
【0005】
0.25μmの最小加工寸法を有する半導体集積回路では、絶縁膜としてシリコン酸化膜にフッ素が添加されてなるフッ素添加シリコン酸化膜が用いられつつある。フッ素添加シリコン酸化膜の比誘電率は、3.3〜3.9程度であって、従来のシリコン酸化膜の4.2〜4.5に比べて小さいので、配線間容量の低減ひいては配線遅延時間の低減に効果的であると報告されている。
【0006】
ところが、半導体集積回路の微細化がさらに進展することは明らかであり、最小加工寸法が0.13μm以下の半導体集積回路では、比誘電率が2.50以下の絶縁膜を用いることが、実用的な処理速度を実現するためには必須であると考えられている。
【0007】
そこで、比誘電率がフッ素添加シリコン酸化膜よりも一層小さい絶縁膜として、低誘電率SOG(スピンオングラス)膜、有機膜及び多孔質膜の検討が行われている。現在知られている絶縁膜を材料物性の観点から検討すると、有機膜は比誘電率が小さいので有望である。
【0008】
有機絶縁膜を構成する材料のうちでは、パーフルオロカーボンポリマーは、フッ素−炭素結合を有しているで、比誘電率が最も小さい。パーフルオロカーボンポリマーの比誘電率は最小のもので1.9程度である。
【0009】
パーフルオロカーボンポリマーからなる有機絶縁膜を形成する代表的な方法としては、フッ素化炭化水素を用いてプラズマCVD法により形成する方法が報告されている。プラズマCVD法により形成されたパーフルオロカーボンポリマーは、一般的にアモルファスフルオロカーボン(a−CF)膜と呼ばれることが多い。
【0010】
プラズマCVD法によりa−CF膜を堆積するための原材料としては、低分子のフッ素化炭化水素、例えばC4F8が用いられているが、フッ素化炭化水素を原材料としてプラズマCVD法により成膜された有機絶縁膜においては、原材料の構造に拘わらず、膜構造は非常に類似していると報告されている。その理由は、プラズマにより原材料であるフッ素化炭化水素の分解が極度に進行してCF2 ラジカルが主成分として生成され、生成されたCF2 ラジカルが重合することによって有機絶縁膜が形成されるためである。また、プラズマCVD法により形成されるa―CF膜においては、直鎖状のフルオロカーボンポリマーが主成分になると共に、ポリマーはCF2 ラジカルで終端された構造になる。このようにして形成された有機絶縁膜は、熱的安定性が低い(耐熱性に劣る)と共に、膜中に多量のラジカルが含まれる膜質が良くない膜である。
【0011】
そこで、プラズマCVDにより形成されたa−CF膜に対しては、成膜後に熱処理を行なう必要がある。この熱処理は、通常、400℃程度の温度下の不活性ガス雰囲気下で行われ、この熱処理によって、直鎖状のフルオロカーボンポリマーの終端部のCF2 ラジカルが架橋反応するため、膜中に存在するCF2 ラジカルが減少して膜質が向上すると共に、架橋密度が向上して耐熱性が向上する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フッ素化炭化水素を原材料とするプラズマCVD法により有機絶縁膜を形成する場合には、CF2 ラジカルの重合によって有機絶縁膜が形成されるので、有機絶縁膜中に、低分子量のフッ素化合物、遊離フッ素及びラジカル成分が残存することは原理的に不可避である。
【0013】
有機絶縁膜中に低分子量のフッ素化合物が存在すると、有機絶縁膜に対して酸素プラズマを用いるエッチングを行なったときに、有機絶縁膜が酸素プラズマによって劣化するという問題が発生する。すなわち、有機絶縁膜がプラズマ中に発生した活性な酸素ラジカルによって酸化されて不安定なカルボニル化合物が生成され、生成されたカルボニル化合物が、後に行なわれる熱処理により熱分解する。カルボニル化合物が熱分解すると、二酸化炭素等の低分子のガスが発生し、発生した低分子のガスは、有機絶縁膜の凹部等に堆積されるバリアメタル層の成膜を阻害したり、有機絶縁膜の上に堆積されるシリコン酸化膜又は金属膜等を有機絶縁膜から剥離させたりする。
【0014】
また、有機絶縁膜中に残存する遊離フッ素は、有機絶縁膜の上に堆積される金属膜と反応するので、金属膜が有機絶縁膜から剥離したり腐食したりするという問題が発生する。
【0015】
また、有機絶縁膜中に残存するラジカル成分は酸素と反応するので、有機絶縁膜が酸化してしまうという問題が発生する。有機絶縁膜が酸化すると、有機絶縁膜を構成するポリマーが切れて、トルエン、フェノール又は二酸化炭素等の低分子のガスが発生し、発生した低分子のガスが、有機絶縁膜の凹部等に堆積されるバリアメタル層の成膜を阻害したり、有機絶縁膜の上に堆積されるシリコン酸化膜又は金属膜等を有機絶縁膜から剥離させたりする。
【0016】
さらに、有機絶縁膜中に残存するラジカル成分は、有機絶縁膜の上に堆積される金属膜を流れる信号波に誘電損失を生じさせる(信号波の減衰量が大きくなる)という問題、及び有機絶縁膜の比誘電率を高くするという問題もある。
【0017】
尚、架橋密度を向上させるために、原材料にアセチレン又はメタンを添加する方法が提案されているが、この方法では、有機絶縁膜中に残存する、低分子量のフッ素化合物、遊離フッ素及びラジカル成分をなくすることはできない。
【0018】
前記に鑑み、本発明は、架橋密度が高くて耐熱性が高いと共に、膜中に含まれるラジカル成分が少なくて良質である有機絶縁膜を形成できる方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、本発明は、活性種を低分子有機化合物の気体に混合することにより重合性の低分子有機化合物を生成し、生成された重合性の低分子有機化合物同士を重合反応させて有機絶縁膜を形成するものである。
【0020】
具体的には、本発明に係る絶縁膜の形成方法は、第1の低分子有機化合物を活性化することにより重合開始剤となる活性種を形成する第1の工程と、活性種を第2の低分子有機化合物(シロキサン結合を有する有機化合物を除く)の気体に混合することにより重合性低分子有機化合物を生成した後、生成された重合性低分子有機化合物同士を重合反応させて有機絶縁膜を形成する第2の工程とを備えている。
【0021】
本発明の絶縁膜の形成方法によると、第1の低分子有機化合物を活性化することにより得られた重合開始剤となる活性種を第2の低分子有機化合物の気体に混合するため、第2の低分子有機化合物は骨格を残した状態で分解されて、骨格を有する重合性の低分子有機化合物となる。その後、骨格を有する重合性の低分子有機化合物が重合することにより有機絶縁膜が形成されるので、得られる有機絶縁膜においては、架橋密度が高いと共に膜中に含まれるラジカル成分の密度が低い。
【0022】
従来のように、低分子有機化合物(本発明における第2の低分子有機化合物に相当する。)を原料ガスとしてプラズマCVD法によって有機絶縁膜を形成する場合には、低分子有機化合物の骨格を構成する炭素結合の大部分が切断されてしまうので、炭素を含むラジカルがばらばらの状態になる。ばらばらの状態である炭素を含むラジカルが重合反応を起こすと、ラジカルで終端された直鎖状のポリマーを主成分とする有機絶縁膜が形成されるので、得られる有機絶縁膜においては、架橋密度が低くて耐熱性に劣ると共にラジカル密度が高くて膜質が良くないという問題がある。
【0023】
これに対して、本発明の絶縁膜の形成方法により得られる有機絶縁膜は、架橋密度が高いので耐熱性に優れていると共に、膜中に含まれるラジカルの密度が低いので膜質に優れている。
【0024】
本発明の絶縁膜の形成方法において、第1の低分子有機化合物は、CF4 、C2F6、C4F8又はジパラキシレン誘導体であることが好ましい。
【0025】
本発明の絶縁膜の形成方法において、第2の低分子有機化合物は、フッ素化炭化水素であると共に第1の低分子有機化合物よりも分子量が大きいことが好ましい。
【0026】
本発明の絶縁膜の形成方法において、第2の低分子有機化合物は、パーフルオロデカリン、パーフルオロフルオレン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロ−1−メチルデカリン、ヘキサフルオロブチン、ヘキサフルオロプロペン、パーフルオロベンゼン、オクタフルオロシクロペンテン、オクタフルオロトルエン、パーフルオロイソブタン、パーフルオロ(テトラデカヒドロフェナスレン)又はパーフルオロトリメチルシクロヘキサンであることが好ましい。
【0027】
本発明の絶縁膜の形成方法において、第1の工程は、第1の低分子有機化合物であるCF4 、C2F6又はC4F8にマイクロ波を照射することにより重合開始剤となる活性種を形成する工程を含むことが好ましい。
【0028】
本発明の絶縁膜の形成方法において、第1の工程は、第1の低分子有機化合物であるジパラキシレン誘導体を熱分解することにより重合開始剤となる活性種を形成する工程を含むことが好ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態に係る絶縁膜の形成方法について説明するが、その前提として、各実施形態に係る絶縁膜の形成方法に用いられる装置について図1を参照しながら説明する。
【0030】
内部が気密状態に保持されるチャンバー10の底部には、シリコン基板11を保持すると共に温度制御が可能な基板保持台12が設けられていると共に、チャンバー10の上方には、第1の低分子化合物の気体を導入する第1のガス導入部13及び第2の低分子化合物の気体を導入する第2のガス導入部14がそれぞれ設けられている。第1のガス導入部13の途中には、断面積が大きくなっていると共にマイクロ波又は光等のエネルギー15が照射される活性種生成室16が設けられており、第1のガス導入部13から導入される第1の低分子化合物の気体は、活性種生成室16においてマイクロ波又は光等のエネルギー15が照射されることによってラジカル種を生成する。
【0031】
活性種生成室16において生成されたラジカル種と、第2のガス導入部14から導入された第2の低分子化合物の気体とは、ガス混合室17の内部において混合されて混合ガスとなった後、分散状態でチャンバー10の内部に導入され、基板保持台12に保持されているシリコン基板11の上に堆積する。
【0032】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る絶縁膜の形成方法について説明する。
【0033】
まず、第1の低分子有機化合物の気体を活性化して、重合開始剤となる活性種を生成する工程について説明する。
【0034】
圧力が2torr程度に保たれた活性種生成室16に、第1の低分子有機化合物としてのCF4 ガスを50sccmの流量で導入すると共に、活性種生成室16に導入されたCF4 ガスにマイクロ波を照射することにより、CF4 ガスを分解してラジカル種を生成する。生成直後のラジカル種としては、CF3 *、CF2 *、F* 等が多く存在している。
【0035】
尚、活性種生成室16に導入する第1の低分子有機化合物としては、CF4 に限られず、C2F6又はC4F8であってもよい。
【0036】
次に、ラジカル種と第2の低分子有機化合物とを混合して有機絶縁膜を形成する工程について説明する。
【0037】
基板保持台12の温度を例えば50℃に設定すると共に、チャンバー10の内壁部の温度を例えば200℃に設定した状態で、第2のガス導入部14から、第2の低分子有機化合物として気化したパーフルオロデカリン(C10F18)を1ml/minの流量で導入すると、シリコン基板11の上に有機絶縁膜が堆積される。
【0038】
【化1】
【0039】
ここで、[化1]を参照しながら、シリコン基板11の上に有機絶縁膜が堆積されるプロセスについて説明する。
【0040】
まず、(a)に示すように、パーフルオロデカリン(C10F18)とラジカル種CF3 *とが混合されると、(b)の左側部分に示すように、パーフルオロデカリンの第1の環構造の炭素同士の結合が一部切断され、一方の炭素にはCF3 が結合し且つ他方の炭素には未結合手を有するCF2 が結合し、その後、新たなラジカル種CF3 *に出会うと、(c)に示すように、パーフルオロデカリンの第2の環構造の炭素同士の結合が一部切断され、同様に、一方の炭素にはCF3 が結合し且つ他方の炭素には未結合手を有するCF2 が結合する。これによって、重合性の高いラジカルつまり重合性の低分子有機化合物が生成される。
【0041】
次に、(c)に示す重合性の低分子有機化合物は、次々と重合反応を起こすため、(d)に示すような重合物となってシリコン基板11の上に堆積するので、シリコン基板11の上に有機絶縁膜が形成される。
【0042】
ところで、前述のように、基板保持台12の温度を例えば50℃に設定すると共にチャンバー10の内壁部の温度を例えば200℃に設定しておくと、つまり、シリコン基板11の温度をチャンバー10の内部の温度よりも低くしておくと、(c)に示す重合性の高いラジカルはシリコン基板10の表面に化学吸着した後、シリコン基板10の表面で重合反応を起こすので、シリコン基板11の表面に有機絶縁膜を選択的に形成することができる。
【0043】
また、基板保持台の温度を50℃程度に設定しているので、十分な成膜速度が得られる。その理由は、C10F18のラジカル重合は表面反応律速(律速:rate liming)であるから、つまりラジカル重合は、基板の表面における反応速度によって成膜速度が決まる性質があるからである。
【0044】
第1の実施形態により得られた有機絶縁膜の比誘電率を測定したところ2.3であり、また、この有機絶縁膜の耐熱性は450℃以上であった。
【0045】
第1の実施形態により得られる有機絶縁膜が耐熱性に優れている理由は、[化1]に示すように、低分子化合物が三級炭素原子(炭素同士を結合する結合手の数が3本である炭素原子)の骨格を維持したまま重合するため、三次元の重合反応が起きるので、低温下で架橋密度が高い有機絶縁膜を形成できるためである。ところで、従来技術の項で説明したように、フッ素化炭化水素例えばパーフルオロデカリンを材料としてプラズマCVDにより有機絶縁膜を形成する場合には、フッ素化炭素水素は、[化1]の(c)に示すような環構造の原型を保つことなく、大部分の炭素結合が切断されて最終的にはCF2 *になってしまう。このため、CF2 *が重合することによって有機絶縁膜が形成されるので、プラズマCVD法により得られる有機絶縁膜は、[化2]に示すように、直鎖状のフルオロカーボンポリマーが主成分になると共にCF2 ラジカルで終端された構造になる。直鎖状のフルオロカーボンポリマーは、枝分かれが少ないためガラス転位点が低いので、耐熱性に劣る。
【0046】
【化2】
【0047】
ところが、第1の実施形態によると、低分子ラジカルを重合開始剤として重合反応させるため、重合性低分子化合物をその環構造を部分的に保持したまま重合反応させることができるので、架橋密度の高い有機絶縁膜を低温下において形成することができる。このため、架橋密度が高くて耐熱性が高いと共に、低分子量のフッ素化合物、遊離フッ素及びラジカル成分が少なくて良質な有機絶縁膜が得られる。
【0048】
尚、第1の実施形態により得られた有機絶縁膜に対して、400℃程度の温度下における不活性ガス中でアニールを行なうと、耐熱性をさらに向上することが可能である。
【0049】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態に係る絶縁膜の形成方法について説明する。
【0050】
まず、第1の低分子有機化合物の気体を活性化して、重合開始剤となる活性種を生成する工程について説明する。
【0051】
圧力が2torr程度に保たれた活性種生成室16に、第1の低分子有機化合物である[化3]に示すジパラキシレンのガスを50sccmの流量で導入した後、[化4]に示すように、導入されたジパラキシレンのガスを熱分解することによりラジカル種を生成する。
【0052】
【化3】
【0053】
【化4】
【0054】
尚、活性種生成室16に導入する第1の低分子有機化合物としては、ジパラキシレンに代えて、[化5]の(a)、(b)に例示するようなジパラキシレンの誘導体であってもよい。
【0055】
【化5】
【0056】
次に、ラジカル種と第2の低分子有機化合物とを混合して有機絶縁膜を形成する工程について説明する。
【0057】
第1の実施形態と同様、基板保持台12の温度を例えば50℃に設定すると共に、チャンバー10の内壁部の温度を例えば200℃に設定した状態で、第2のガス導入部14から、第2の低分子有機化合物として気化したパーフルオロデカリン(C10F18)を1ml/minの流量で導入すると、シリコン基板11の上に有機絶縁膜が堆積される。
【0058】
第2の実施形態によると、重合性低分子化合物が三級炭素の骨格を維持したまま重合するので、低温下において架橋密度の高い有機絶縁膜を形成することができる。第2の実施形態により得られた有機絶縁膜の比誘電率を測定したところ2.3であり、この有機絶縁膜の耐熱性は450℃以上であった。
【0059】
また、第1の実施形態と同様、基板保持台12の温度を例えば50℃に設定すると共にチャンバー10の内壁部の温度を例えば200℃に設定しているため、重合性低分子化合物はシリコン基板10の表面に化学吸着した後、シリコン基板10の表面で重合反応を起こすので、シリコン基板11の表面に有機絶縁膜を選択的に形成することができる。
【0060】
また、第1の実施形態と同様、基板保持台の温度を50℃程度に設定しているため、十分な成膜速度が得られる。
【0061】
尚、第2の実施形態により得られた有機絶縁膜に対して、400℃程度の温度下における不活性ガス中でアニールを行なうと、耐熱性をさらに向上することが可能である。
【0062】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態に係る絶縁膜の形成方法について説明する。
【0063】
まず、第1の低分子有機化合物の気体を活性化して、重合開始剤となる活性種を生成する工程について説明する。
【0064】
圧力が2torr程度に保たれた活性種生成室16に、第1の低分子有機化合物であるメチルビニルケトンのガスを50sccmの流量で導入すると共に、活性種生成室16に導入されたメチルビニルケトンのガスに波長が250〜350nmの紫外線を照射することにより、[化6]に示すように、メチルビニルケトンのガスを分解してラジカル種を生成する。
【0065】
【化6】
【0066】
次に、ラジカル種と第2の低分子有機化合物とを混合して有機絶縁膜を形成する工程について説明する。
【0067】
第1の実施形態と同様、基板保持台12の温度を例えば50℃に設定すると共に、チャンバー10の内壁部の温度を例えば200℃に設定した状態で、第2のガス導入部14から、第2の低分子有機化合物として気化したパーフルオロデカリン(C10F18)を1ml/minの流量で導入すると、シリコン基板11の上に有機絶縁膜が堆積される。
【0068】
第3の実施形態によると、重合性低分子化合物が三級炭素の骨格を維持したまま重合するので、低温下において架橋密度の高い有機絶縁膜を形成することができる。第2の実施形態により得られた有機絶縁膜の比誘電率を測定したところ2.3であり、この有機絶縁膜の耐熱性は450℃以上であった。
【0069】
また、第1の実施形態と同様、基板保持台12の温度を例えば50℃に設定すると共にチャンバー10の内壁部の温度を例えば200℃に設定しているため、重合性低分子化合物はシリコン基板10の表面に化学吸着した後、シリコン基板10の表面で重合反応を起こすので、シリコン基板11の表面に有機絶縁膜を選択的に形成することができる。
【0070】
また、第1の実施形態と同様、基板保持台の温度を50℃程度に設定しているため、十分な成膜速度が得られる。
【0071】
尚、第3の実施形態により得られた有機絶縁膜に対して、400℃程度の温度下における不活性ガス中でアニールを行なうと、耐熱性をさらに向上することが可能である。
【0072】
また、第1〜第3の実施形態においては、第2の低分子有機化合物としては、パーフルオロデカリンを用いたが、これに代えて、パーフルオロフルオレン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロ−1−メチルデカリン、ヘキサフルオロブチン、ヘキサフルオロプロペン、パーフルオロベンゼン、オクタフルオロシクロペンテン、オクタフルオロトルエン、パーフルオロイソブタン、パーフルオロ(テトラデカヒドロフェナスレン)又はパーフルオロトリメチルシクロヘキサンを用いてもよい。
【0073】
この場合、第2の低分子有機化合物としては、フッ素化炭化水素であるが好ましい。このようにすると、活性種を第2の低分子有機化合物の気体に混合することにより生成される重合性低分子有機化合物がフッ素を含んでいるため、該重合性低分子有機化合物同士を重合反応させて形成される有機絶縁膜もフッ素を含んでいるので、有機絶縁膜の比誘電率が小さくなる。
【0074】
また、第2の低分子有機化合物は、第1の低分子有機化合物よりも分子量が大きいことが好ましい。このようにすると、活性種を第2の低分子有機化合物の気体に混合することにより生成される重合性低分子有機化合物の分子量が大きくなるので、該重合性低分子有機化合物は重合性が高くなる。このため、架橋密度の高い有機絶縁膜を得ることができる。
【0075】
【発明の効果】
本発明の絶縁膜の形成方法によると、骨格を有する重合性の低分子有機化合物が重合することにより有機絶縁膜が形成されるため、得られる有機絶縁膜においては、架橋密度が高いので耐熱性に優れている。
【0076】
また、有機絶縁膜中に含まれるラジカルの密度が低いので、発明が解決しようとする課題の項で説明したような、低分子ガスの発生に起因して起こる、有機絶縁膜上における成膜の阻害又はシリコン酸化膜又は金属膜等の有機絶縁膜から剥離等の問題が解消すると共に、有機絶縁膜の上に堆積される金属膜を流れる信号波における誘電損失を低減することができる。
【0077】
本発明の絶縁膜の形成方法において、第1の低分子有機化合物が、CF4 、C2F6、C4F8又はジパラキシレン誘導体であると、活性化によって重合開始剤となる活性種を確実に生成することができる。
【0078】
本発明の絶縁膜の形成方法において、第2の低分子有機化合物がフッ素化炭化水素であると得られる有機絶縁膜の比誘電率が低くなる。また、第2の低分子有機化合の分子量が第1の低分子有機化合物の分子量よりも大きいと、活性種を第2の低分子有機化合物の気体に混合することにより生成される重合性低分子有機化合物の分子量が大きくなるため、該重合性低分子有機化合物は重合性が高くなるので、架橋密度が一層高い有機絶縁膜を得ることができる。
【0079】
本発明の絶縁膜の形成方法において、第2の低分子有機化合物が、パーフルオロデカリン、パーフルオロフルオレン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロ−1−メチルデカリン、ヘキサフルオロブチン、ヘキサフルオロプロペン、パーフルオロベンゼン、オクタフルオロシクロペンテン、オクタフルオロトルエン、パーフルオロイソブタン、パーフルオロ(テトラデカヒドロフェナスレン)又はパーフルオロトリメチルシクロヘキサンであると、活性種を第2の低分子有機化合物の気体に混合したときに、重合性の低分子有機化合物を確実に生成することができる。
【0080】
本発明の絶縁膜の形成方法において、第1の工程が、第1の低分子有機化合物であるCF4 、C2F6又はC4F8にマイクロ波を照射することにより重合開始剤となる活性種を形成する工程を含むと、重合開始剤となる活性種を確実に生成することができる。
【0081】
本発明の絶縁膜の形成方法において、第1の工程が、第1の低分子有機化合物であるジパラキシレン誘導体を熱分解することにより重合開始剤となる活性種を形成する工程を含むと、重合開始剤となる活性種を確実に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の各実施形態に係る絶縁膜の形成方法に用いる装置の概略断面図である。
【符号の説明】
10 チャンバー
11 シリコン基板
12 基板保持台
13 第1のガス導入部
14 第2のガス導入部
15 エネルギー
16 活性種生成室
Claims (6)
- 第1の低分子有機化合物を活性化することにより重合開始剤となる活性種を形成する第1の工程と、
前記活性種を第2の低分子有機化合物(シロキサン結合を有する有機化合物を除く)の気体に混合することにより重合性低分子有機化合物を生成した後、生成された重合性低分子有機化合物同士を重合反応させて有機絶縁膜を形成する第2の工程とを備えていることを特徴とする絶縁膜の形成方法。 - 前記第1の低分子有機化合物は、CF4 、C2F6、C4F8又はジパラキシレン誘導体であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁膜の形成方法。
- 第1の低分子有機化合物を活性化することにより重合開始剤となる活性種を形成する第1の工程と、
前記活性種を第2の低分子有機化合物の気体に混合することにより重合性低分子有機化合物を生成した後、生成された重合性低分子有機化合物同士を重合反応させて有機絶縁膜を形成する第2の工程とを備え、
前記第2の低分子有機化合物は、フッ素化炭化水素であると共に前記第1の低分子有機化合物よりも分子量が大きいことを特徴とする絶縁膜の形成方法。 - 第1の低分子有機化合物を活性化することにより重合開始剤となる活性種を形成する第1の工程と、
前記活性種を第2の低分子有機化合物の気体に混合することにより重合性低分子有機化合物を生成した後、生成された重合性低分子有機化合物同士を重合反応させて有機絶縁膜を形成する第2の工程とを備え、
前記第2の低分子有機化合物は、パーフルオロデカリン、パーフルオロフルオレン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロ−1−メチルデカリン、ヘキサフルオロブチン、ヘキサフルオロプロペン、パーフルオロベンゼン、オクタフルオロシクロペンテン、オクタフルオロトルエン、パーフルオロイソブタン、パーフルオロ(テトラデカヒドロフェナスレン)又はパーフルオロトリメチルシクロヘキサンであることを特徴とする絶縁膜の形成方法。 - 第1の低分子有機化合物を活性化することにより重合開始剤となる活性種を形成する第1の工程と、
前記活性種を第2の低分子有機化合物の気体に混合することにより重合性低分子有機化合物を生成した後、生成された重合性低分子有機化合物同士を重合反応させて有機絶縁膜を形成する第2の工程とを備え、
前記第1の工程は、前記第1の低分子有機化合物であるCF4 、C2F6又はC4F8にマイクロ波を照射することにより重合開始剤となる活性種を形成する工程を含むことを特徴とする絶縁膜の形成方法。 - 第1の低分子有機化合物を活性化することにより重合開始剤となる活性種を形成する第1の工程と、
前記活性種を第2の低分子有機化合物(シロキサン結合を有する有機化合物を除く)の気体に混合することにより重合性低分子有機化合物を生成した後、生成された重合性低分子有機化合物同士を重合反応させて有機絶縁膜を形成する第2の工程とを備え、
前記第1の工程は、前記第1の低分子有機化合物であるジパラキシレン誘導体を熱分解することにより重合開始剤となる活性種を形成する工程を含むことを特徴とする絶縁膜の形成方法。
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