JP3610745B2 - 層間絶縁膜の形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置における層間絶縁膜の形成方法に関し、詳しくは酸化シリコン膜よりも比誘電率が低い低誘電率有機膜上にシリコン系絶縁膜を形成する層間絶縁膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の微細化,低消費電力化および高速化等の要求に伴い、それらを実現するための手段の一つとして層間絶縁膜の低誘電率化が検討されている。
そして低誘電率有機膜の比誘電率の低減に対する要望は、ULSIの微細化が進むにつれ、ますます強くなってきている。現在、実用化が可能な膜としては、比誘電率が3.5程度の無機のSiOF膜がある。次々世代の低誘電率膜として有望視されているものの一つには、比誘電率が2.0前後の有機膜であるフルオロカーボン膜がある。これらの低誘電率膜は、炭素原子やフッ素原子を含有することで比誘電率を下げている。現在のところ、比誘電率が1.5〜2.5程度のものが開発されている。
【0003】
炭素原子を含む低誘電率膜材料としては、有機SOG(Spin on glass)、フルオロカーボンポリマー、ポリイミド、ポリパラキシリレン等が良く知られている。これらの材料は、炭素原子、いわゆるアルキル基を含むことで材料の密度が低下すること、および分子自身の分極率が低いことで低誘電率になっていると言われている。またこれらの材料は、単に比誘電率が低いだけでなく、半導体装置の材料として不可欠の耐熱性をも有している。有機SOGはシロキサン構造を持つことで、ポリイミドはイミド結合を持つことで、ポリパラキシリレンはベンゼン環のポリマーとなることで、それぞれある程度の耐熱性を確保している。
【0004】
一方、フッ素原子を含む低誘電率の層間絶縁膜材料としては、フッ素を含むシリコン系酸化物(SiOF)が良く知られている。この材料は、シリコン−酸素−シリコン(Si−O−Si)結合をフッ素原子により終端することで材料の密度を下げること、およびフッ素原子自身の分極率が低いこと等が原因となって比誘電率を下げている。当然のことながら、このSiOFは耐熱性にも優れている。
【0005】
ところが、上記の炭素原子を含む低誘電率材料を用いて形成される低誘電率有機膜は、この膜だけで層間絶縁膜に使えるほど膜質がよいものではない。例えばフルオロカーボン膜は、耐酸化性、耐熱性、耐圧、耐ストレス性等が低く、そのままの状態で半導体装置に適用するのは困難である。このため、通常は、従来から使われている酸化シリコン膜か、あるいはSiOF膜を併せて用いることが検討されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フルオロカーボン膜上に酸化シリコン膜を形成する場合、フルオロカーボン膜の耐熱性および耐酸化性が悪いため、一般に用いられているプラズマを用いた化学的気相成長法(以下、CVD法と記す)による酸化シリコン膜の成膜技術を使うことが難しい。
【0007】
すなわち、フルオロカーボン膜のような低誘電率有機膜はフォトレジストと同様な構造であるため、酸素プラズマに対する耐性が非常に弱い。したがって、プラズマCVD法によって低誘電率有機膜上に酸化シリコン膜の成膜を行うと、成膜時におけるプラズマ中の酸素ラジカル等によって低誘電率有機膜の炭素成分だけが引き抜かれ、その引き抜かれた部分の引っ張り応力が強くなる。その結果、低誘電率有機膜にクラックが入るため、層間絶縁膜としての絶縁機能を十分に果たさなくなる。
【0008】
また低誘電率有機膜は一般に耐熱性が低い。例えば半導体プロセス用に開発されている低誘電率有機膜の一つであるフッ素樹脂の分解温度は通常420℃〜450℃程度である。しかしながら、一般にフルオロカーボン膜のような低誘電率有機膜を形成した後にその膜の温度が350℃を越えるプロセスを行う場合、低誘電率有機膜から微量のガスが発生し、低誘電率有機膜上に形成した酸化シリコン膜の剥離という問題を引き起こす。この微量のガスは低誘電率有機膜が分解して発生しているものではなく、その低誘電率有機膜の熱硬化工程で耐熱性の構造を形成できなかった部分が徐々にガス化して放出されているものである。
【0009】
このような微量ガスの放出の原因となる部分は、低誘電率有機膜の形成時にキュア処理(例えば400℃で30分程度の熱処理)を行うことで、ほとんどを除去することができる。しかしながら、微量ガスの放出の原因を完全に除去することは困難である。それを完全に除去するには、キュア温度をさらに上げるか、キュア時間をさらに長くする必要がある。しかしながら、キュア温度を上げると低誘電率有機膜が熱分解を起こす。そのため、キュア温度をさらに上げることはできない。一方、キュア時間をさらに長くする方法では、スループットが著しく低下して生産性が低下する。
したがって、フルオロカーボン膜のような低誘電率有機膜上にCVD膜を形成する場合には、ガスが放出されない350℃以下の温度に低誘電率有機膜が成膜されている領域を保ってCVDを行わなければならない。
【0010】
一方、フルオロカーボン膜のような低誘電率有機膜表面の酸素プラズマに対する耐性を高めるために、低誘電率有機膜上に窒化シリコン膜あるいは通常の酸化シリコン膜よりもシリコン原子を多く含む膜を形成する方法が提案されている。しかしながら、前者の窒化シリコン膜は比誘電率が7程度と高いこと、後者のシリコン原子を多く含む酸化シリコン膜も比誘電率が5程度と高く、しかも水素を多く含むために膜質が経時変化すること等の課題があった。
【0011】
さらに、フルオロカーボン(有機)膜上に酸化シリコン膜を形成する場合、フルオロカーボン(有機)膜の機械的強度が従来の酸化シリコン膜よりも非常に弱いので、酸化シリコン膜のストレス、吸湿性を制御する必要がある。すなわち、酸化シリコン膜のストレスが大きいと、フルオロカーボン(有機)膜が裂ける等の問題を起こす。ストレスの発生原因としては、上層の膜自体のストレスもあるが、吸湿等により上層の酸化シリコン膜中に含まれていた水分が、後の工程で加熱されて気化し、その結果、体積膨張によりストレスを生じて膜が剥がれることになる。これは、上層の膜である酸化シリコン膜にストレスが発生した際に、機械的強度の弱い部分に応力集中が起こるためである。一方、低誘電率膜を用いない膜では、その膜が吸湿した後に加熱されてガスが発生したことにより生じるストレスの程度では、その膜が剥がれるということはない。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされた層間絶縁膜の形成方法である。すなわち、基体上に形成した低誘電率有機膜上に化学的気相成長によってシリコン系(例えば酸化シリコン、フッ化酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン、フッ化酸化窒化シリコン等)の絶縁膜を形成する層間絶縁膜の形成方法であって、この化学的気相成長は還元性雰囲気で行う。その際、成膜表面の温度はシリコン系絶縁膜が成長する温度以上350℃以下にする。また化学的気相成長雰囲気に供給される原料ガスにはシラン系ガスを用い、そのシラン系ガスを酸化するためのガスには少なくとも一酸化二窒素を用いる。
【0013】
上記層間絶縁膜の形成方法では、シリコン系絶縁膜を成膜するための原料ガスに還元力の強いシラン系ガスを用いることから、成膜雰囲気は還元性雰囲気になる。そのため、シリコン系絶縁膜を形成する下地が炭素を主成分とする低誘電率有機膜であってもその低誘電率有機膜の表面は酸化され難い。
【0014】
さらに、酸化力が弱くてもシラン系ガスを酸化させることが可能な一酸化二窒素を少なくとも用いることから、一酸化二窒素によってシラン系ガスは酸化されて、シリコン系絶縁膜(この場合は酸化シリコン系絶縁膜)が生成される。その際、一酸化二窒素の酸化力が弱いために成膜雰囲気は還元性雰囲気に保たれるので、下地の低誘電率有機膜は酸化され難く、その成膜表面が面荒れを起こすこともない。その結果、低誘電率有機膜上に成膜されたシリコン系絶縁膜は剥がれ難くいものになる。
【0015】
さらに成膜表面の温度はシリコン系絶縁膜が成長する温度以上350℃以下にすることから、低誘電率有機膜から上記シリコン系絶縁膜が剥がれる原因となる微量のガス(低誘電率有機膜の熱硬化工程で耐熱性の構造を形成できなかった部分が徐々にガスとなって放出されるもの)が発生することが抑制される。
また、シリコン系絶縁膜の成膜時に下地の低誘電率有機膜が熱によって分解されることもない。
【0016】
上記シリコン系絶縁膜が成長する最低温度としては100℃であるが、好ましくは250℃以上の温度が必要となる。
一方、100℃よりも低い温度では当然のことながらシリコン系絶縁膜を成膜することはできない。他方、350℃よりも高い温度では、成膜されたシリコン系絶縁膜が剥がれる原因となるガスが放出されることが多くの低誘電率有機膜で見られる。そのため、成膜されたシリコン系絶縁膜は剥がれ易くなる。
したがって、上記の如くに成膜表面の温度はシリコン系絶縁膜が成長する温度以上350℃以下にすることが望ましい。
【0017】
上記層間絶縁膜の形成方法において、低誘電率有機膜を形成した後にシリコン系絶縁膜の下層を酸化窒化シリコン膜またはフッ化酸化窒化シリコン膜で形成する層間絶縁膜の形成方法である。上記酸化窒化シリコン膜は、原料ガスに少なくとも窒素原子を有しかつ還元力を有するガスを用いた化学的気相成長によって形成する。また上記フッ化酸化窒化シリコン膜は、原料ガスに少なくとも窒素原子を有しかつ還元力を有するガスと少なくともフッ素原子を有するガスとを用いた化学的気相成長によって形成する。その窒素原子を有しかつ還元力を有するガスにはアンモニアおよびヒドラジンのうちの少なくとも1種を用いる。
【0018】
上記層間絶縁膜の形成方法では、低誘電率有機膜を形成した後にシリコン系絶縁膜の下層を酸化窒化シリコン膜またはフッ化酸化窒化シリコン膜で形成することから、その上層に酸素プラズマを有する成膜方法によって酸化シリコン膜を形成しても、酸化窒化シリコン膜またはフッ化酸化窒化シリコン膜によって低誘電率有機膜表面は酸素プラズマより保護される。また上記酸化窒化シリコン膜、フッ化酸化窒化シリコン膜ともに、原料ガスに少なくとも窒素原子を有しかつ還元力を有するガスを用いた化学的気相成長によって形成することから、低誘電率有機膜にダメージを与えることなく、またその低誘電率有機膜の酸化を防ぎながら酸化窒化シリコン膜またはフッ化酸化窒化シリコン膜が成膜される。その窒素原子を有しかつ還元力を有するガスにはアンモニアおよびヒドラジンのうちの少なくとも1種を用いることから、還元力の強い成膜雰囲気での成膜となる。
【0019】
上記層間絶縁膜の形成方法において、シリコン系絶縁膜上に形成される配線との界面に、Si−OH結合よりSi−H結合の数の多い膜を形成する。その膜はバイアス印加による高密度プラズマを用いた化学的気相成長法により形成する。また、バイアス印加による高密度プラズマを用いた化学的気相成長法で成膜される膜の下地膜として還元性雰囲気での化学的気相成長法により酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成する。
【0020】
上記Si−OH結合よりSi−H結合の数の多い膜を形成する層間絶縁膜の形成方法では、Si−OH結合よりSi−H結合の数の多い膜によって外方向からの湿気の侵入を防ぐ。また、Si−OH結合よりSi−H結合の数の多い膜をバイアス印加による高密度プラズマを用いた化学的気相成長法により形成することから、吸湿性の少ない膜を成膜することが可能になる。その際、下地には、還元性雰囲気で成膜したシリコン系絶縁膜である酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜が成膜されていることから、酸化力の強いバイアス印加による高密度プラズマを用いた化学的気相成長法による成膜時に、上記酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜が低誘電率有機膜を保護するいわゆるバッファー層となる。そのため、上記バイアス印加による高密度プラズマを用いて成膜を行っても低誘電率有機膜は酸化されることなく、また損傷も受けない。
【0021】
上記層間絶縁膜の形成方法において、シリコン系絶縁膜とこのシリコン系絶縁膜上に形成される配線との界面にSi−N結合を有するシリコン系の膜を、例えば窒化シリコン膜で形成する。
【0022】
上記シリコン系絶縁膜上に形成される配線との界面にSi−N結合を有するシリコン系の膜を成膜する方法では、Si−N結合を有するシリコン系の膜によって外方向からの湿気の侵入が防がれる。また、Si−N結合を有するシリコン系の膜を窒化シリコン膜で形成することから、吸湿性のない膜になる。
【0023】
また上記層間絶縁膜の形成方法において、シリコン系絶縁膜にビアホールを形成する前に、上記シリコン系絶縁膜とこのシリコン系絶縁膜上に形成される配線との界面に、その配線のバリアメタル膜を、例えば金属膜もしくは金属窒化膜、または金属膜と金属窒化膜との積層膜で形成する。
【0024】
上記のようにバリアメタル膜を形成する方法では、このバリアメタル膜によって外方向からの湿気の侵入が防がれる。また上層配線のエレクトロマイグレーション耐性の向上が図れ、さらにビアホール内に形成されるタングステンプラグとなるブランケットタングステン膜の形成時の密着性の向上が図れる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の層間絶縁膜の形成方法に係わる実施形態の第1例を、図1の断面図によって説明する。
【0026】
図1に示すように、一般的なモノシラン(SiH4 )と酸素(O2 )とを原料ガスに用いたCVD法によって、シリコン基板11上に酸化シリコン膜12を例えば500nm程度の厚さに成膜する。
この酸化シリコン膜12は、原料ガスにテトラエトキシシラン(TEOS)と酸素とを用いたプラズマCVD法によって形成することも可能である。
【0027】
次いでスパッタリング法によって、上記酸化シリコン膜12上に例えばアルミニウム−シリコン合金膜を成膜した後、一般的なレジスト塗布によりレジスト膜を形成し、リソグラフィー技術によりレジスト膜でエッチングマスクを形成し、それを用いたエッチングにより上記合金膜をパターニングして金属配線13を形成する。
【0028】
次いで、上記シリコン基板11と酸化シリコン膜12と金属配線13とからなる基体10の表面に、この金属配線13を被覆する酸化シリコン膜14を例えば100nmの厚さに形成する。この膜厚は、金属配線13が形成されていない領域のシリコン基板11上の膜厚であり、上記金属配線13間では通常上記膜厚よりも薄く形成される。なお上記酸化シリコン膜14の成膜では、例えばモノシランと一酸化二窒素を用いたCVD(例えばプラズマCVD)によって行う。
【0029】
次にポリパラキシリレンからなる低誘電率有機膜15を形成する。この成膜には、例えば一般的な減圧CVD装置を用い、原料にはジパラキシリレンを用いる。CVD時には、原料を200℃で昇華させ、その途中の650℃でキシリレンモノマーに分解する。そして150℃に加熱した状態で基体10の表面に導入する。その結果、約500nmの厚さのポリパラキシリレン膜からなる上記低誘電率有機膜15が形成される。
【0030】
次いで、原料ガスにモノシランと一酸化二窒素(N2 O)とを用いた還元性雰囲気でのプラズマエンハンスメントCVD(以下、PECVDという)によって、上記低誘電率有機膜15上にシリコン系絶縁膜として酸化シリコン膜16を例えば500nmの厚さに形成する。
上記成膜条件は、モノシラン(SiH4 )の流量を100sccm、一酸化二窒素の流量を1500sccm、また搬送ガスとして窒素を用い、その流量を1000sccmとした。さらに成膜雰囲気の圧力を100Pa、シリコン基板11の設定温度を350℃(成膜時における基体10の成膜表面温度は310℃〜330℃程度)、プラズマパワーを500Wに設定した。
なお、上記sccmは標準状態における体積流量(cm3 /分)を表し、以下ガス流量はsccmを用いて表す。
【0031】
上記酸化シリコン膜16の成膜では、成膜表面の温度は酸化シリコン膜16が成長する温度以上350℃以下にする。具体的には、上記酸化シリコン膜16の成長が可能な温度範囲は100℃以上350℃以下であるが、好ましくは250℃以上350℃以下の範囲に設定する。
【0032】
上記実施形態の第1例では、酸化シリコン膜16を形成するための原料ガスに還元力の強いシラン系ガスを用いることから、成膜雰囲気は還元性雰囲気になる。そのため、酸化シリコン膜16を形成する下地が炭素を主成分とする低誘電率有機膜15(この場合はポリパラキシリレン)であっても、その低誘電率有機膜15の表面は酸化され難い。
【0033】
しかも酸化力が弱くてもシラン系ガスを酸化させることが可能な一酸化二窒素を少なくとも用いることから、一酸化二窒素によってシラン系ガスは酸化されて、酸化シリコン膜16が生成される。その際、一酸化二窒素の酸化力が弱いために成膜雰囲気は還元性雰囲気に保たれるので、下地の低誘電率有機膜15は酸化され難く、その成膜表面が面荒れを起こすこともない。その結果、低誘電率有機膜15上に成膜された酸化シリコン膜16は剥がれ難くなる。
【0034】
さらに成膜表面の温度は酸化シリコン膜16が成長する温度以上350℃以下にすることから、成膜される酸化シリコン膜が剥がれを起こすような微量のガス(ポリパラキシリレンの熱硬化工程で耐熱性の構造を形成できなかった部分が徐々にガスとなって放出されるもの)をポリパラキシリレンの低誘電率有機膜15から発生することはない。そのため、上記酸化シリコン膜16はより剥がれ難くなる。加えて上記酸化シリコン膜16の成膜時に、下地の低誘電率有機膜15が酸化シリコン膜16の成膜時に発生する熱によって分解されることもない。
【0035】
次にCVD時の温度範囲に関して以下に説明する。
上記酸化シリコン膜16が気相成長する温度としては100℃以上の温度が必要ではあるが、好ましくは250℃以上の温度が必要となる。
一方、100℃よりも低い温度では当然のことながら酸化シリコン膜16を成膜することはできない。他方、350℃よりも高い温度では、成膜された酸化シリコン膜16が剥がれる原因となるガスが低誘電率有機膜から放出される。そのため、成膜された酸化シリコン膜16は剥がれ易くなる。
したがって、上記の如くに成膜表面の温度は酸化シリコン膜16が成長する温度以上350℃以下にすることが必要になる。
【0036】
次に上記低誘電率有機膜15と上記酸化シリコン膜16との間に酸化窒化シリコン膜を成膜して層間絶縁膜を形成する方法を、図2の断面図によって説明する。図2では、前記図1によって説明した構成部品と同様のものには同一符号を付す。
【0037】
図2に示すように、前記図1によって説明したのと同様の方法によって、シリコン基板11上に酸化シリコン膜12を例えば500nm程度の厚さに成膜する。次いで上記酸化シリコン膜12上に例えばアルミニウム−シリコン合金膜からなる金属配線13を形成する。続いて、上記シリコン基板11と酸化シリコン膜12と金属配線13とからなる基体10の表面に、この金属配線13を被覆する酸化シリコン膜14を例えば100nmの厚さに形成する。次にポリパラキシリレンからなる低誘電率有機膜15を形成する。
【0038】
上記低誘電率有機膜15を形成した後、この低誘電率有機膜15上に酸化窒化シリコン膜17を、例えば、原料ガスにモノシランと一酸化二窒素とアンモニア(NH3 )とを用いた還元性雰囲気でのPECVDによって、50nmの厚さに形成する。上記成膜条件は、モノシランの流量を100sccm、アンモニアの流量を100sccm、一酸化二窒素の流量を1500sccm、また搬送ガスとして窒素を用い、その流量を1000sccmとした。さらに成膜雰囲気の圧力を100Pa、シリコン基板11の設定温度を350℃、プラズマパワーを500Wに設定した。
【0039】
その後前記図1によって説明したのと同様の方法によって、シリコン系絶縁膜の上層部分となる酸化シリコン膜16を例えば450nmの厚さに形成する。このようにして、シリコン系絶縁膜を酸化窒化シリコン膜17と酸化シリコン16とによって形成する。
【0040】
上記酸化窒化シリコン膜17の成膜では、モノシランの代わりに高次シランとして、例えば、ジシラン(Si2 H6 )、トリシラン(Si3 H8 )等を用いることができる。また酸素源として一酸化二窒素の代わりに水蒸気(H2 O気体)を用いることも可能である。また窒素源としてアンモニアの代わりに例えばヒドラジン(N2 H4 )のような窒素原子を有しかつ還元力の強いガスを用いることも可能である。
【0041】
上記説明したように、低誘電率有機膜15上にシリコン系絶縁膜の下層となる酸化窒化シリコン膜17を形成することから、その上層に酸素プラズマを有する成膜方法によって酸化シリコン膜16を形成しても、酸化窒化シリコン膜17によって低誘電率有機膜15の表面は保護される。また原料ガスに少なくとも窒素原子を有しかつ還元力を有するガスとして、アンモニアを用いた化学的気相成長(以下CVDという)によって上記酸化窒化シリコン膜17を形成することから、低誘電率有機膜15にダメージを与えることなくその低誘電率有機膜15の酸化を防ぎながら酸化窒化シリコン膜17が成膜される。その窒素原子を有しかつ還元力を有するガスにはヒドラジンを用いてもアンモニアと同様の作用が得られる。
【0042】
次に上記低誘電率有機膜15と上記酸化シリコン膜16との間に酸化窒化シリコン膜を成膜して層間絶縁膜を形成する方法を、図3の断面図によって説明する。図3では、前記図1および図2によって説明した構成部品と同様のものには同一符号を付す。
【0043】
図3に示すように、前記図1によって説明したのと同様の方法によって、シリコン基板11上に酸化シリコン膜12を例えば500nm程度の厚さに成膜する。次いで上記酸化シリコン膜12上に例えばアルミニウム−シリコン合金膜からなる金属配線13を形成する。続いて、上記シリコン基板11と酸化シリコン膜12と金属配線13とからなる基体10の表面に、この金属配線13を被覆する酸化シリコン膜14を例えば100nmの厚さに形成する。次にポリパラキシリレンからなる低誘電率有機膜15を例えば500nmの厚さに形成する。
【0044】
上記低誘電率有機膜15を形成した後、この低誘電率有機膜15上に、例えば酸化窒化シリコン膜17を、例えば、原料ガスにモノシランと一酸化二窒素とアンモニア(NH3 )とを用いた還元性雰囲気でのPECVDによって、例えば50nmの厚さに形成する。上記成膜条件は、一例として、モノシランの流量を100sccm、アンモニアの流量を100sccm、一酸化二窒素の流量を1500sccm、また搬送ガスとして窒素を用い、その流量を1000sccmとした。さらに成膜雰囲気の圧力を100Pa、シリコン基板11の設定温度を350℃、プラズマパワーを500Wに設定した。
【0045】
上記酸化窒化シリコン膜17の成膜では、モノシランの代わりに、例えばジシラン、トリシラン等の高次シランを用いることも可能である。また、酸素源として用いた一酸化二窒素の代わりに、水蒸気(H2 O気体)を用いるもとも可能である。さらに、窒素源として用いたアンモニアの代わりに、ヒドラジンのような窒素原子を有する還元性のガスを用いることが可能である。なお、上記一酸化二窒素を用いないで、酸化窒化シリコン膜17の代わりに窒化シリコン膜を形成することも可能ではあるが、窒化シリコン膜は誘電率が7.0程度と高いために配線間の静電容量が増加することになる。そのため、窒化シリコン膜よりも誘電率が低い酸化シリコン膜または上記のように酸化窒化シリコン膜を形成することが好ましい。
【0046】
その後バイアス印加による高密度プラズマを用いたCVD法によって、シリコン系絶縁膜の上層を、Si−OH結合よりSi−H結合の数の多い膜となる酸化シリコン膜16を例えば450nmの厚さに形成する。このようにして、シリコン系絶縁膜を酸化窒化シリコン膜17と酸化シリコン16とによって形成する。上記酸化シリコン膜16の成膜条件は、モノシランの流量を100sccm、酸素の流量を125sccm、また搬送ガスとしてアルゴンを用い、その流量を1000sccmとした。さらに成膜雰囲気の圧力を1.3Pa、シリコン基板11の設定温度を350℃、プラズマパワー(マイクロ波パワー)を1.0kW、バイアス印加パワーを3.0kWに設定した。
【0047】
上記説明したように、シリコン系絶縁膜上に形成される配線(図示省略)との界面に、バイアス印加による高密度プラズマを用いたCVD法によりSi−OH結合よりSi−H結合の数の多い膜である酸化シリコン膜16を形成することから、この酸化シリコン膜16は吸湿性の少ない膜になる。そのため、上記酸化シリコン膜16によって外方向からの湿気の侵入を防ぐことが可能になる。
【0048】
また、低誘電率有機膜15上にシリコン系絶縁膜の下層となる酸化窒化シリコン膜17を形成することから、その上層にバイアス印加による高密度プラズマを用いたCVD法によって上記酸化シリコン膜16を形成しても、酸化窒化シリコン膜17によって低誘電率有機膜15の表面は保護される。そのため、上記バイアス印加による高密度プラズマを用いたCVD法によって成膜を行っても低誘電率有機膜は酸化されることなく、また損傷も受けることはない。
【0049】
さらに原料ガスに少なくとも窒素原子を有しかつ還元力を有するガスとして、アンモニアを用いたCVD法によって上記酸化窒化シリコン膜17を形成することから、低誘電率有機膜15にダメージを与えることなくその低誘電率有機膜15の酸化を防ぎながら酸化窒化シリコン膜17が成膜される。
【0050】
また、吸湿性の少ない酸化シリコン膜16を、上記低誘電率有機膜15上に直接形成することも可能である。その場合には、上記低誘電率有機膜15を形成した後、例えば350℃の窒素雰囲気のような不活性な雰囲気でアニーリングを行う。そして、モノシランと一酸化二窒素とを用いた還元性雰囲気でのPECVD法によって、酸化シリコン膜16を、例えば以下の条件で成膜する。その成膜条件は、一例として、モノシランの流量を100sccm、一酸化二窒素の流量を500sccm、また搬送ガスとして窒素を用い、そのの流量を1000sccmとした。さらに成膜雰囲気の圧力を100Pa、シリコン基板11の設定温度を300℃〜350℃、プラズマパワーを500Wに設定した。
【0051】
この酸化シリコン膜16の成膜では、モノシランの代わりに、例えばジシラン、トリシラン等の高次シランを用いることも可能である。また、酸素源として用いた一酸化二窒素の代わりに、水蒸気(H2 O気体)を用いるもとも可能である。上記条件で成膜することにより、この酸化シリコン膜16はSi−OH結合よりSi−H結合を多く含む膜となるので、吸湿性が少ない膜となる。なお、この酸化シリコン膜16は、水素を多く含むことになるので、成膜後、400℃程度の不活性なガス雰囲気中で脱水素アニーリングを行うことが好ましい。
【0052】
次に上記低誘電率有機膜15と上記酸化シリコン膜16との間に酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜または窒化シリコン膜を成膜して層間絶縁膜を形成する方法を、図4の断面図によって説明する。図4では、前記図1および図2によって説明した構成部品と同様のものには同一符号を付す。
【0053】
図4に示すように、前記図1によって説明したのと同様の方法によって、シリコン基板11上に酸化シリコン膜12を例えば500nm程度の厚さに成膜する。次いで上記酸化シリコン膜12上に例えばアルミニウム−シリコン合金膜からなる金属配線13を形成する。続いて、上記シリコン基板11と酸化シリコン膜12と金属配線13とからなる基体10の表面に、この金属配線13を被覆する酸化シリコン膜14を例えば100nmの厚さに形成する。次にポリパラキシリレンからなる低誘電率有機膜15を例えば500nmの厚さに形成する。
【0054】
上記低誘電率有機膜15を形成した後、この低誘電率有機膜15上に、例えば酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜もしくは窒化シリコン膜からなるシリコン系絶縁膜18を、例えば、原料ガスにモノシランと一酸化二窒素とアンモニア(NH3 )とを用いた還元性雰囲気でのPECVDによって、例えば500nmの厚さに形成する。上記成膜条件は、一例として、モノシランの流量を100sccm、アンモニアの流量を0〜100sccm、一酸化二窒素の流量を1500sccm、また搬送ガスとして窒素を用い、その流量を1000sccmとした。ここでは、アンモニアの流量を変えることによって、シリコン系絶縁膜18は酸化シリコン膜もしくは酸化窒化シリコン膜になり、例えばアンモニアの流量を0とすれば酸化シリコン膜となり、アンモニアを用いることにより酸化窒化シリコン膜となる。また、一酸化二窒素を用いなければ窒化シリコン膜になる。さらに成膜雰囲気の圧力を100Pa、シリコン基板11の設定温度を350℃、プラズマパワーを500Wに設定した。
【0055】
上記シリコン系絶縁膜18の成膜では、モノシランの代わりに、例えばジシラン、トリシラン等の高次シランを用いることも可能である。また、酸素源として用いた一酸化二窒素の代わりに、水蒸気(H2 O気体)を用いるもとも可能である。さらに、窒素源として用いたアンモニアの代わりに、ヒドラジンのような窒素原子を有する還元性のガスを用いることが可能である。なお、上記シリコン系絶縁膜18を窒化シリコン膜で形成すると、窒化シリコン膜の誘電率が7.0程度と高いために配線間の静電容量が増加することになる。そのため、シリコン系絶縁膜18は、窒化シリコン膜よりも誘電率が低い酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成することが好ましい。
【0056】
その後、CVD装置内またはスパッタ装置内で、水分の除去を行う。この処理条件の一例としては、処理雰囲気の圧力を101kPa以下、温度を350℃程度、処理時間を5分〜30分に設定した。
【0057】
次に上記同一チャンバ内(もしくは、クラスターツールのような吸湿するような環境にさらされない状態での連続処理が可能な装置)で、窒化シリコン膜19を例えば50nm厚さに形成する。この窒化シリコン膜19は吸湿防止膜となる。上記窒化シリコン膜19の成膜条件は、例えばプラズマCVD法の場合には、モノシランの流量を100sccm、アンモニアの流量を100sccm、一酸化二窒素の流量を0〜1500sccm、また搬送ガスとして窒素を用い、その流量を1000sccmとした。さらに成膜雰囲気の圧力を100Pa、シリコン基板11の設定温度を350℃、プラズマパワーを500kWに設定した。
【0058】
上記吸湿防止膜は窒化シリコン膜19で形成したが、窒化シリコン膜の代わりに、バリアメタルとなる、金属チタン、タングステンのような金属膜、もしくは窒化チタン、窒化タングステンのような金属窒化膜、または金属チタン、タングステンのような金属膜と、窒化チタン、窒化タングステンのような金属窒化膜との積層膜を、例えばスパッタリング法もしくはCVD法によって形成してもよい。
【0059】
上記説明したように、シリコン系絶縁膜18上に形成される配線(図示省略)との界面に、吸湿防止膜となる窒化シリコン膜19またはバリアメタル膜を形成することから、上記吸湿防止膜によって外方向からの湿気の侵入を防ぐことが可能になる。また、吸湿防止膜をチタン膜と窒化チタン膜との積層膜からなるバリアメタル膜で形成することによって上層配線のエレクトロマイグレーション耐性の向上が図れ、さらにビアホールを形成した後のタングステンプラグを形成するためのブランケットタングステン膜の形成時の密着性の向上が図れる。
【0060】
また、原料ガスに還元力を有するガスを用いたPECVD法によって、シリコン系絶縁膜18を形成することから、低誘電率有機膜15にダメージを与えることなくその低誘電率有機膜15の酸化を防ぎながらシリコン系絶縁膜18が成膜される。
【0061】
次に上記バリアメタル膜を形成した後のプロセス例を、図5によって説明する。図5では、前記図4によって説明した構成部品と同様のものには同一符号を付す。
【0062】
図5の(1)に示すように、前記図1によって説明したのと同様の方法によって、シリコン基板11上に酸化シリコン膜12を例えば500nm程度の厚さに成膜する。次いで上記酸化シリコン膜12上にアルミニウム−シリコン合金膜からなる金属配線13を形成する。この金属配線13の上層には例えばバリアメタル膜(図示省略)を形成しておく。続いて、上記シリコン基板11と酸化シリコン膜12と金属配線13とからなる基体10の表面に、この金属配線13を被覆する酸化シリコン膜14を例えば100nmの厚さに形成する。次にポリパラキシリレンからなる低誘電率有機膜15を形成する。その後、前記図4によって説明した方法によってシリコン系絶縁膜18を成膜する。次いでスパッタリング法またはCVD法によって、バリアメタル膜20を形成する。このバリアメタル膜20は、例えばチタン膜と窒化チタン膜との積層膜で形成される。
【0063】
続いて図5の(2)に示すように、通常のリソグラフィー技術によりレジストでビアホールを形成するためのエッチングマスク(図示省略)を形成し、そのエッチングマスクを用いてエッチングを行うことによって上記バリアメタル膜20からシリコン系絶縁膜18、低誘電率有機膜15、酸化シリコン膜14を通って金属配線13に通じるビアホール21を形成する。その後、上記エッチングで用いたエッチングマスクを除去する。
【0064】
次いでブランケットタングステンCVD法により、上記ビアホール21内を埋め込むとともに上記バリアメタル膜20上にタングステン膜を形成する、そしてエッチバックを行って、ビアホール21内にのみタングステン膜を残して金属配線13に接続するタングステンプラグ22を形成する。このタングステン膜を成膜するときには、450℃程度に加熱されるが、シリコン系絶縁膜18上にバリアメタル膜20が形成されているため、このバリアメタル膜20がシリコン系絶縁膜18の吸湿防止膜となるので、上記熱処理までの過程でシリコン系絶縁膜18が水分を吸収することはない。そのため、シリコン系絶縁膜18には大きなストレスが発生しないので、450℃程度に加熱されてもシリコン系絶縁膜18に発生するストレスによって低誘電率有機膜15が剥がれることはない。なお、ビアホール21を形成してレジストを除去した後に、スパッタリング法によって、窒化チタンを堆積してビアホール21の内壁にも窒化チタン膜(図示省略)を形成してもよい。
【0065】
次いでスパッタリング法によって、タングステンプラグ22上およびバリアメタル膜20上にアルミニウム系金属膜23を形成する。その後、通常のリソグラフィー技術とエッチング技術とを用いて、上記アルミニウム系金属膜23とバリアメタル膜20とをパターニングして、上層配線を形成すればよい。通常、バリアメタル膜20をパターニングして上層配線を形成した後は、上記低誘電率有機膜15が剥がれを起こすような450℃以上の温度での熱処理は行われない。したがって、上記プロセスを行うことによって、低誘電率有機膜15が剥がれることなく、上層配線を形成することが可能になる。
【0066】
次に実施形態の第2例として、上記低誘電率有機膜15をポリテトラフルオロエチレンで形成する層間絶縁膜の形成方法を以下に説明する。
【0067】
この第2例では、第1例と同様にして基体10を形成した後、一酸化二窒素ガスを用いたプラズマを基体10の表面に照射する。このプラズマを発生させる装置には例えば平行平板型プラズマ発生装置を用い、RFパワーを300W(13.56MHz)に設定して、上記プラズマ照射を行った。
なお、プラズマ発生装置は上記型式に限定されることはなく、例えばECR(Electron Cycrotron Resonance)プラズマ発生装置、マイクロ波プラズマ発生装置等の各種プラズマ発生装置を用いることが可能である。
【0068】
その後、回転塗布法によって、酸化シリコン膜13上に低誘電率有機膜15を形成する。ここでは低誘電率有機膜15として、〔1〕式で表されるようなポリテトラフルオロエチレン系樹脂を、例えば500nmの厚さに成膜した。上記ポリテトラフルオロエチレン系樹脂としては、〔1〕式で表される構造を有するものであればどのようなものであってもよく、例えばアモルファステフロン〔デュポン社製:テフロンAF(商品名)〕(ガラス転移温度=160℃、熱分解温度=450℃)と呼ばれている物が知られている。
【0069】
【化1】
【0070】
まずポリテトラフルオロエチレン系樹脂をフルオロカーボン系の溶剤に溶かし、粘度を30cpに調整した。それを回転塗布法により基体10の酸化シリコン膜14上に塗布して、厚さが500nmの上記低誘電率有機膜15を形成した。その時の回転数は例えば3000rpmとした。その後、不活性な雰囲気である窒素ガスの雰囲気(1気圧)中で100℃、2分間のベーキングを行った。
なお、上記フルオロカーボン系の溶剤としては、例えばフロリナートと呼ばれている物が知られている。
【0071】
続いて、不活性な雰囲気として例えば窒素ガス雰囲気中で350℃のアニーリングを行った。
【0072】
その後、前記第1例と同様にして、原料ガスにモノシランと一酸化二窒素とを用いた還元性雰囲気でのPECVDによって、上記低誘電率有機膜15上に酸化シリコン膜16を例えば500nmの厚さに形成した。この成膜条件は前記第1例と同様である。
【0073】
上記実施形態の第2例では、前記第1例と同様に、シラン系ガスを用いて酸化シリコン膜16を形成することから成膜雰囲気は還元性雰囲気になる。そのため、低誘電率有機膜15(この場合はアモルファステフロン)の表面は酸化され難い。さらにシラン系ガスを酸化するガスとして一酸化二窒素を用いることから、シラン系ガスは酸化されて酸化シリコン膜16を形成するが、成膜雰囲気は還元性雰囲気に保たれる。そのため、低誘電率有機膜15は酸化され難く、その成膜表面が面荒れを起こすこともない。その結果、低誘電率有機膜15上に成膜された酸化シリコン膜16は剥がれ難くなる。
【0074】
さらに成膜表面の温度を酸化シリコン膜16が成長する温度以上350℃以下にすることから、酸化シリコン膜が剥がれるような量の微量のガスがアモルファステフロンから発生することはない。また、上記酸化シリコン膜16の成膜時の熱によって低誘電率有機膜15が分解することもない。
そして酸化シリコン膜16を形成する際のCVD時における成膜表面の温度は、第1例で説明したのと同様に理由により、100℃以上であればよいが、好ましくは250℃以上350℃以下の範囲とする。
【0075】
また、上記低誘電率有機膜15を形成し、続いて不活性な雰囲気である窒素ガス雰囲気中で350℃のアニーリングを行った後に、前記第1例で説明したのと同様に、低誘電率有機膜15上に酸化窒化シリコン膜17を例えば50nmの厚さに形成してもよい。その形成方法は、前記第1例で説明した方法と同様の方法による。その後酸化窒化シリコン膜17上に上記酸化シリコン膜16を例えば450nmの厚さに形成する。
【0076】
上記のように酸化窒化シリコン膜17を形成することにより、酸化窒化シリコン膜17によって低誘電率有機膜15の表面が酸素プラズマより保護される。したがって、酸素プラズマが発生するような雰囲気で酸化シリコン膜16を形成しても低誘電率有機膜15はダメージを受けない。またアンモニアを用いた還元性雰囲気の化学的気相成長により酸化窒化シリコン膜17を形成することから、低誘電率有機膜15にダメージを与えることなく、しかも低誘電率有機膜15の酸化が防止される。アンモニアの代わりに還元力を有するヒドラジンを用いてもアンモニアの場合と同様の作用が得られる。このように、前記第1例で説明した酸化窒化シリコン膜17と同様なる作用が得られる。
【0077】
また、上記ポリテトラフルオロエチレン系樹脂の低誘電率有機膜15を形成した後、前記第1例の図3によって説明したのと同様に、還元性雰囲気でのPECVD法によって酸化窒化シリコン膜17を例えば50nmの厚さに形成した後、バイアス印加による高密度プラズマを用いたCVD法によって、Si−OH結合よりSi−H結合の数の多い膜となる酸化シリコン膜16を例えば450nmの厚さに形成してもよい。その形成方法は、前記第1例で説明した方法と同様の方法による。または、還元性雰囲気でのPECVD法によって吸湿性の少ない酸化シリコン膜16を例えば500nmの厚さに形成してもよい。これらの場合も、前記第1例の図3によって説明したように、バイアス印加による高密度プラズマを用いたCVDを行う際に、上記酸化窒化シリコン膜17が低誘電率有機膜15を保護する。またバイアス印加による高密度プラズマを用いたCVD法によって形成した酸化シリコン膜16は吸湿し難い膜となるので、その後の熱処理によるストレスの発生が抑えられる。そのため、そのストレスによる低誘電率有機膜15の剥がれは起きなくなる。
【0078】
また、上記ポリテトラフルオロエチレン系樹脂の低誘電率有機膜15を形成した後、前記第1例の図4によって説明したのと同様に、還元性雰囲気でのPECVD法によってシリコン系絶縁膜18を例えば500nmの厚さに形成した後、窒化シリコン膜19またはバリアメタル膜20を例えば50nmの厚さに形成してもよい。その形成方法は、前記第1例で説明した方法と同様の方法による。この場合も、前記第1例の図4によって説明したように、窒化シリコン膜19またはバリアメタル膜20が吸湿を防止する膜となって、シリコン系絶縁膜18の吸湿を抑えるるので、その後の熱処理によるシリコン系絶縁膜18でのストレスの発生が抑えられる。そのため、そのストレスによる低誘電率有機膜15の剥がれは起きなくなる。
【0079】
次に実施形態の第3例として、上記低誘電率有機膜15を環状フッ素樹脂・シロキサン共重合体で形成する層間絶縁膜の形成方法を以下に説明する。
【0080】
この第3例では、第2例と同様にして基体10を形成した後、一酸化二窒素ガスを用いたプラズマを基体10の表面に照射する。このプラズマ照射装置および照射条件は前記第2例と同様である。
【0081】
その後、回転塗布法によって、酸化シリコン膜14上に低誘電率有機膜15を形成する。ここでは低誘電率有機膜15として、〔2〕式で表されるような環状フッ素樹脂・シロキサン共重合体を、例えば500nmの厚さに成膜した。上記環状フッ素樹脂・シロキサン共重合体としては、〔2〕式で表される構造を有するものであればどのようなものであってもよい。
【0082】
【化2】
【0083】
まず環状フッ素樹脂・シロキサン共重合体をフルオロカーボン系の溶剤に溶かし、粘度を30cpに調整した。それを回転塗布法により基体10の酸化シリコン膜14上に塗布して、厚さが500nmの上記低誘電率有機膜16を形成した。その時の回転数は例えば3000rpmとした。その後、不活性な雰囲気として例えば窒素ガスの1気圧の雰囲気中で100℃、2分間のベーキングを行った。
なお、上記フルオロカーボン系の溶剤としては、例えばフロリナートと呼ばれている物が知られている。
【0084】
続いて、不活性な雰囲気として例えば窒素ガス雰囲気中で350℃のアニーリングを行った。
【0085】
その後、前記第1例と同様にして、原料ガスにモノシランと一酸化二窒素とを用いた還元性雰囲気でのPECVDによって、上記低誘電率有機膜15上に酸化シリコン膜16を例えば500nmの厚さに形成した。この成膜条件は前記第1例と同様である。
【0086】
上記実施形態の第3例では、前記第2例と同様に、シラン系ガスを用いることから成膜雰囲気が還元性雰囲気になるため、低誘電率有機膜15(この場合は環状フッ素樹脂・シロキサン共重合体)の表面は酸化され難い。
さらに一酸化二窒素を用いることから、シラン系ガスが酸化されて酸化シリコン膜16を生成するが、成膜雰囲気は還元性雰囲気に保たれるため、低誘電率有機膜15は酸化され難く、その成膜表面が面荒れを起こすこともない。その結果、低誘電率有機膜15上に成膜された酸化シリコン膜16は剥がれ難くなる。
【0087】
また成膜表面の温度を酸化シリコン膜16が成長する温度以上350℃以下にすることから、環状フッ素樹脂・シロキサン共重合体から微量のガスが発生することがないので酸化シリコン膜16が剥がれることがない。また酸化シリコン膜16の成膜時の熱によって低誘電率有機膜15が分解することもない。
そして酸化シリコン膜16を形成する際のCVD時における成膜表面の温度は、第1例で説明したのと同様に理由により、100℃以上であればよいが、好ましくは250℃以上350℃以下の範囲とする。
【0088】
また、上記低誘電率有機膜15を形成し、続いて不活性な雰囲気である窒素ガス雰囲気中で350℃のアニーリングを行った後に、前記第1例で説明したのと同様に、低誘電率有機膜15上に酸化窒化シリコン膜17を例えば50nmの厚さに形成してもよい。その形成方法は、前記第1例で説明した方法と同様の方法による。その後酸化窒化シリコン膜17上に上記酸化シリコン膜16を例えば450nmの厚さに形成する。
【0089】
上記のように酸化窒化シリコン膜17を形成することにより、酸化窒化シリコン膜17によって低誘電率有機膜15の表面が酸素プラズマより保護される。したがって、酸素プラズマが発生するような雰囲気で酸化シリコン膜16を形成しても低誘電率有機膜15はダメージを受けない。またアンモニアを用いた還元性雰囲気の化学的気相成長により酸化窒化シリコン膜17を形成することから、低誘電率有機膜15にダメージを与えることなく、しかも低誘電率有機膜15の酸化が防止される。アンモニアの代わりに還元力を有するヒドラジンを用いてもアンモニアの場合と同様の作用が得られる。このように、前記第1例で説明した酸化窒化シリコン膜17と同様なる作用が得られる。
【0090】
また、上記環状フッ素樹脂・シロキサン共重合体の低誘電率有機膜15を形成した後、前記第1例の図3によって説明したのと同様に、還元性雰囲気でのPECVD法によって酸化窒化シリコン膜17を例えば50nmの厚さに形成した後、バイアス印加による高密度プラズマを用いたCVD法によって、Si−OH結合よりSi−H結合の数の多い膜となる酸化シリコン膜16を例えば450nmの厚さに形成してもよい。その形成方法は、前記第1例で説明した方法と同様の方法による。または、還元性雰囲気でのPECVD法によって吸湿性の少ない酸化シリコン膜16を例えば500nmの厚さに形成してもよい。いずれの場合も、前記第1例の図3によって説明したように、バイアス印加による高密度プラズマを用いたCVDを行う際には、上記酸化窒化シリコン膜17が低誘電率有機膜15を保護する。またバイアス印加による高密度プラズマを用いたCVD法によって形成した酸化シリコン膜16は吸湿し難い膜となるので、その後の熱処理によるストレスの発生が抑えられる。そのため、そのストレスによる低誘電率有機膜15の剥がれは起きなくなる。
【0091】
また、上記ポリテトラフルオロエチレン系樹脂の低誘電率有機膜15を形成した後、前記第1例の図4によって説明したのと同様に、還元性雰囲気でのPECVD法によってシリコン系絶縁膜18を例えば500nmの厚さに形成した後、窒化シリコン膜19またはバリアメタル膜20を例えば50nmの厚さに形成してもよい。その形成方法は、前記第1例で説明した方法と同様の方法による。この場合も、前記第1例の図4によって説明したように、窒化シリコン膜19またはバリアメタル膜20が吸湿を防止する膜となって、シリコン系絶縁膜18の吸湿を抑えるので、その後の熱処理によるシリコン系絶縁膜18でのストレスの発生が抑えられる。そのため、そのストレスによる低誘電率有機膜15の剥がれは起きなくなる。
【0092】
次に実施形態の第4例として、上記低誘電率有機膜15をシクロポリマライズドフロリネーテッドポリマー系樹脂〔例えばサイトップ(商品名)〕(ガラス転移温度=120℃、熱分解温度=420℃)で形成する層間絶縁膜の形成方法を以下に説明する。
【0093】
この第4例では、第2例と同様にして基体10を形成した後、一酸化二窒素ガスを用いたプラズマを基体10の表面に照射する。このプラズマ照射装置および照射条件は前記第2例と同様である。
【0094】
その後、回転塗布法によって、酸化シリコン膜14上に低誘電率有機膜15を形成する。ここでは低誘電率有機膜15として、〔3〕式で表されるようなシクロポリマライズドフロリネーテッドポリマー系樹脂を、例えば500nmの厚さに成膜した。上記シクロポリマライズドフロリネーテッドポリマー系樹脂としては、〔3〕式で表される構造を有するものであればどのようなものであってもよい。
【0095】
【化3】
【0096】
まずシクロポリマライズドフロリネーテッドポリマー系樹脂をフルオロカーボン系の溶剤に溶かし、粘度を30cpに調整した。それを回転塗布法により基板11上に塗布して、厚さが500nmの上記低誘電率有機膜15を形成した。その時の回転数は3000rpmとした。その後、不活性な雰囲気として例えば窒素ガスの1気圧の雰囲気中で100℃、2分間のベーキングを行った。
なお、上記フルオロカーボン系の溶剤としては、例えばフロリナートと呼ばれている物が知られている。
【0097】
続いて、不活性な雰囲気として例えば窒素ガス雰囲気中で350℃のアニーリングを行った。
【0098】
その後、前記第1例と同様にして、原料ガスにモノシランと一酸化二窒素とを用いた還元性雰囲気でのPECVDによって、上記低誘電率有機膜15上に酸化シリコン膜16を例えば500nmの厚さに形成した。この成膜条件は前記第1例と同様である。
【0099】
上記実施形態の第4例では、前記第2例と同様に、シラン系ガスを用いることから成膜雰囲気が還元性雰囲気になるため、低誘電率有機膜15(この場合はシクロポリマライズドフロリネーテッドポリマー系樹脂)の表面は酸化され難い。さらに一酸化二窒素を用いることから、シラン系ガスが酸化されて酸化シリコン膜16を生成するが、成膜雰囲気は還元性雰囲気に保たれるため、低誘電率有機膜15は酸化され難く、その成膜表面が面荒れを起こすこともない。その結果、低誘電率有機膜15上に成膜された酸化シリコン膜16は剥がれ難くなる。
【0100】
さらに成膜表面の温度を酸化シリコン膜16が成長する温度以上350℃以下にすることから、シクロポリマライズドフロリネーテッドポリマー系樹脂から微量のガスが発生することがないので酸化シリコン膜16が剥がれることがない。また酸化シリコン膜16の成膜時の熱によって低誘電率有機膜15が分解することもない。そして酸化シリコン膜16を形成する際のCVD時における成膜表面の温度は、第1例で説明したのと同様に理由により、100℃以上であればよいが、好ましくは250℃以上350℃以下の範囲とする。
【0101】
また、上記低誘電率有機膜15を形成し、続いて不活性な雰囲気である窒素ガス雰囲気中で350℃のアニーリングを行った後に、前記第1例で説明したのと同様に、低誘電率有機膜15上に酸化窒化シリコン膜17を例えば50nmの厚さに形成してもよい。その形成方法は、前記第1例で説明した方法と同様の方法による。その後酸化窒化シリコン膜17上に上記酸化シリコン膜16を例えば450nmの厚さに形成する。
【0102】
上記のように酸化窒化シリコン膜17を形成することにより、酸化窒化シリコン膜17によって低誘電率有機膜15の表面が酸素プラズマより保護される。したがって、酸素プラズマが発生するような雰囲気で酸化シリコン膜16を形成しても低誘電率有機膜15はダメージを受けない。またアンモニアを用いた還元性雰囲気の化学的気相成長により酸化窒化シリコン膜17を形成することから、低誘電率有機膜15にダメージを与えることなく、しかも低誘電率有機膜15の酸化が防止される。アンモニアの代わりに還元力を有するヒドラジンを用いてもアンモニアの場合と同様の作用が得られる。このように、前記第1例で説明した酸化窒化シリコン膜17と同様なる作用が得られる。
【0103】
また、上記シクロポリマライズドフロリネーテッドポリマー系樹脂の低誘電率有機膜15を形成した後、前記第1例の図3によって説明したのと同様に、還元性雰囲気でのPECVD法によって酸化窒化シリコン膜17を例えば50nmの厚さに形成した後、バイアス印加による高密度プラズマを用いたCVD法によって、Si−OH結合よりSi−H結合の数の多い膜となる酸化シリコン膜16を例えば450nmの厚さに形成してもよい。その形成方法は、前記第1例で説明した方法と同様の方法による。または、還元性雰囲気でのPECVD法によって吸湿性の少ない酸化シリコン膜16を例えば500nmの厚さに形成してもよい。これらの場合も、前記第1例の図3によって説明したように、バイアス印加による高密度プラズマを用いたCVDを行う際に、上記酸化窒化シリコン膜17が低誘電率有機膜15を保護する。またバイアス印加による高密度プラズマを用いたCVD法によって形成した酸化シリコン膜16は吸湿し難い膜となるので、その後の熱処理によるストレスの発生が抑えられる。そのため、そのストレスによる低誘電率有機膜15の剥がれは起きなくなる。
【0104】
また、上記ポリテトラフルオロエチレン系樹脂の低誘電率有機膜15を形成した後、前記第1例の図4によって説明したのと同様に、還元性雰囲気でのPECVD法によってシリコン系絶縁膜18を例えば500nmの厚さに形成した後、窒化シリコン膜19またはバリアメタル膜20を例えば50nmの厚さに形成してもよい。その形成方法は、前記第1例で説明した方法と同様の方法による。この場合も、前記第1例の図4によって説明したように、窒化シリコン膜19またはバリアメタル膜20が吸湿を防止する膜となって、シリコン系絶縁膜18の吸湿を抑えるるので、その後の熱処理によるシリコン系絶縁膜18でのストレスの発生が抑えられる。そのため、そのストレスによる低誘電率有機膜15の剥がれは起きなくなる。
【0105】
次に実施形態の第5例として、上記低誘電率有機膜15をフッ化ポリアリルエーテル系樹脂〔例えばFLARE(商品名)〕(ガラス転移温度=260℃、熱分解温度=460℃)で形成する層間絶縁膜の形成方法を以下に説明する。
【0106】
この第5例では、第2例と同様にして基体10を形成した後、一酸化二窒素ガスを用いたプラズマを基体10の表面に照射する。このプラズマ照射装置および照射条件は前記第2例と同様である。
【0107】
その後、回転塗布法によって、酸化シリコン膜14上に低誘電率有機膜15を形成する。ここでは低誘電率有機膜15として、〔4〕式で表されるようなフッ化ポリアリルエーテル系樹脂を、例えば500nmの厚さに成膜した。上記フッ化ポリアリルエーテル樹脂としては、〔4〕式で表される構造を有するものであればどのようなものであってもよい。
【0108】
【化4】
【0109】
まずフッ化ポリアリルエーテル樹脂をフルオロカーボン系の溶剤に溶かし、粘度を30cpに調整した。それを回転塗布法により基板11上に塗布して、厚さが500nmの上記有機膜を形成した。その時の回転数は3000rpmとした。その後、不活性な雰囲気として例えば窒素ガスの1気圧の雰囲気中で100℃、2分間のベーキングを行った。
なお、上記フルオロカーボン系の溶剤としては、例えばフロリナートと呼ばれている物が知られている。
【0110】
続いて、不活性な雰囲気として例えば窒素ガス雰囲気中で350℃のアニーリングを行った。
【0111】
その後、前記第1例と同様にして、原料ガスにモノシランと一酸化二窒素とを用いた還元性雰囲気でのPECVDによって、上記低誘電率有機膜15上に酸化シリコン膜16を例えば500nmの厚さに形成した。この成膜条件は前記第1例と同様である。
【0112】
上記酸化シリコン膜16の成膜では、成膜表面の温度は酸化シリコン膜16が成長する温度以上350℃以下にする。具体的には、上記酸化シリコン膜16の成長が可能な温度範囲は100℃以上400℃以下であるが、好ましくは250℃以上400℃以下の範囲に設定する。
ここで上限の温度を400℃としたのは、上記フッ化ポリアリルエーテル系樹脂の耐熱温度が460℃と高く、CVDの温度が400℃であっても酸化シリコン膜16の膜剥がれを起こさせるようなガスの放出が抑制されているためである。よって、酸化シリコン膜16を形成するときの温度の上限を400℃にすることが可能になっている。
【0113】
上記実施形態の第5例では、前記第2例と同様に、シラン系ガスを用いることから成膜雰囲気が還元性雰囲気になるため、低誘電率有機膜15(この場合はフッ化ポリアリルエーテル系樹脂)の表面は酸化され難い。
さらに一酸化二窒素を用いることから、シラン系ガスが酸化されて酸化シリコン膜16を生成するが、成膜雰囲気は還元性雰囲気に保たれるため、低誘電率有機膜15は酸化され難く、その成膜表面が面荒れを起こすこともない。その結果、低誘電率有機膜15上に成膜された酸化シリコン膜16は剥がれ難くなる。
【0114】
さらに成膜表面の温度は酸化シリコン膜16が成長する温度以上400℃以下にすることから、成膜される酸化シリコン膜が剥がれを起こすような微量のガス(フッ化ポリアリルエーテル系樹脂の熱硬化工程で耐熱性の構造を形成できなかった部分が徐々にガスとなって放出されるもの)をフッ化ポリアリルエーテル系樹脂の低誘電率有機膜15から発生することはない。
また、上記酸化シリコン膜16の成膜時に下地の低誘電率有機膜15が酸化シリコン膜16の成膜時の熱によって分解されることもない。
【0115】
上記酸化シリコン膜16が成長する温度としては100℃以上であるが、好ましくは250℃以上の温度が必要となる。
一方、100℃よりも低い温度では当然のことながら酸化シリコン膜を成膜することはできない。他方、400℃よりも高い温度では、成膜された酸化シリコン膜が剥がれる原因となるガスが低誘電率有機膜16から放出される。そのため、成膜された酸化シリコン膜16は剥がれ易くなる。
したがって、フッ化ポリアリルエーテル系樹脂からなる低誘電率有機膜15の場合には上記の如くに成膜表面の温度は酸化シリコン膜16が成長する温度以上400℃以下にすることが必要になる。
【0116】
また、上記低誘電率有機膜15を形成し、続いて不活性な雰囲気である窒素ガス雰囲気中で350℃のアニーリングを行った後に、前記第1例で説明したのと同様に、低誘電率有機膜15上に酸化窒化シリコン膜17を例えば50nmの厚さに形成してもよい。その形成方法は、前記第1例で説明した方法と同様の方法による。その後酸化窒化シリコン膜17上に上記酸化シリコン膜16を例えば450nmの厚さに形成する。
【0117】
上記のように酸化窒化シリコン膜17を形成することにより、酸化窒化シリコン膜17によって低誘電率有機膜15の表面が酸素プラズマより保護される。したがって、酸素プラズマが発生するような雰囲気で酸化シリコン膜16を形成しても低誘電率有機膜15はダメージを受けない。またアンモニアを用いた還元性雰囲気の化学的気相成長により酸化窒化シリコン膜17を形成することから、低誘電率有機膜15にダメージを与えることなく、しかも低誘電率有機膜15の酸化が防止される。アンモニアの代わりに還元力を有するヒドラジンを用いてもアンモニアの場合と同様の作用が得られる。このように、前記第1例で説明した酸化窒化シリコン膜17と同様なる作用が得られる。
【0118】
また、上記フッ化ポリアリルエーテル系樹脂の低誘電率有機膜15を形成した後、前記第1例の図3によって説明したのと同様に、還元性雰囲気でのPECVD法によって酸化窒化シリコン膜17を例えば50nmの厚さに形成した後、バイアス印加による高密度プラズマを用いたCVD法によって、Si−OH結合よりSi−H結合の数の多い膜となる酸化シリコン膜16を例えば450nmの厚さに形成してもよい。その形成方法は、前記第1例で説明した方法と同様の方法による。または、還元性雰囲気でのPECVD法によって吸湿性の少ない酸化シリコン膜16を例えば500nmの厚さに形成してもよい。これらの場合も、前記第1例の図3によって説明したように、バイアス印加による高密度プラズマを用いたCVDを行う際に、上記酸化窒化シリコン膜17が低誘電率有機膜15を保護する。またバイアス印加による高密度プラズマを用いたCVD法によって形成した酸化シリコン膜16は吸湿し難い膜となるので、その後の熱処理によるストレスの発生が抑えられる。そのため、そのストレスによる低誘電率有機膜15の剥がれは起きなくなる。
【0119】
また、上記ポリテトラフルオロエチレン系樹脂の低誘電率有機膜15を形成した後、前記第1例の図4によって説明したのと同様に、還元性雰囲気でのPECVD法によってシリコン系絶縁膜18を例えば500nmの厚さに形成した後、窒化シリコン膜19またはバリアメタル膜20を例えば50nmの厚さに形成してもよい。その形成方法は、前記第1例で説明した方法と同様の方法による。この場合も、前記第1例の図4によって説明したように、窒化シリコン膜19またはバリアメタル膜20が吸湿を防止する膜となって、シリコン系絶縁膜18の吸湿を抑えるるので、その後の熱処理によるシリコン系絶縁膜18でのストレスの発生が抑えられる。そのため、そのストレスによる低誘電率有機膜15の剥がれは起きなくなる。
【0120】
次に実施形態の第6例として、上記低誘電率有機膜15をフッ化ポリイミド樹脂で形成する層間絶縁膜の形成方法を以下に説明する。
【0121】
この第6例では、第2例と同様にして基体10を形成した後、一酸化二窒素ガスを用いたプラズマを基体10の表面に照射する。このプラズマ照射装置および照射条件は前記第2例と同様である。
【0122】
その後、回転塗布法によって、酸化シリコン膜14上に低誘電率有機膜15を形成する。ここでは低誘電率有機膜15としてフッ化ポリイミド樹脂を例えば500nmの厚さに成膜した。
まずフッ化ポリイミド樹脂をフルオロカーボン系の溶剤に溶かし、粘度を30cpに調整した。それを回転塗布法により基板11上に塗布して、厚さが500nmの上記有機膜を形成した。その時の回転数は3000rpmとした。その後、不活性な雰囲気として例えば窒素ガスの1気圧の雰囲気中で100℃、2分間のベーキングを行った。
なお、上記フルオロカーボン系の溶剤としては、例えばフロリナートと呼ばれている物が知られている。
【0123】
続いて、不活性な雰囲気として例えば窒素ガス雰囲気中で350℃のアニーリングを行った。
【0124】
その後、前記第1例と同様にして、原料ガスにモノシランと一酸化二窒素とを用いた還元性雰囲気でのPECVDによって、上記低誘電率有機膜15上に酸化シリコン膜16を例えば500nmの厚さに形成した。この成膜条件は前記第1例と同様である。
【0125】
上記実施形態の第6例では、前記第2例と同様に、シラン系ガスを用いることから成膜雰囲気が還元性雰囲気になるため、低誘電率有機膜15(この場合はフッ化ポリイミド樹脂)の表面は酸化され難い。
さらに一酸化二窒素を用いることから、シラン系ガスが酸化されて酸化シリコン膜16を生成するが、成膜雰囲気は還元性雰囲気に保たれるため、低誘電率有機膜15は酸化され難く、その成膜表面が面荒れを起こすこともない。その結果、低誘電率有機膜15上に成膜された酸化シリコン膜16は剥がれ難くなる。
【0126】
さらに成膜表面の温度を酸化シリコン膜16が成長する温度以上350℃以下にすることから、フッ化ポリイミド樹脂から微量のガスが発生することが抑制されるので酸化シリコン膜16がより剥がれ難くなる。また酸化シリコン膜16の成膜時の熱によって低誘電率有機膜15が分解することもない。
そして酸化シリコン膜16を形成する際のCVD時における成膜表面の温度は、第1例で説明したのと同様に理由により、100℃以上であればよいが、好ましくは250℃以上350℃以下の範囲とする。
【0127】
また、上記低誘電率有機膜15を形成し、続いて不活性な雰囲気である窒素ガス雰囲気中で350℃のアニーリングを行った後に、前記第1例で説明したのと同様に、低誘電率有機膜15上に酸化窒化シリコン膜17を例えば50nmの厚さに形成してもよい。その形成方法は、前記第1例で説明した方法と同様の方法による。その後酸化窒化シリコン膜17上に上記酸化シリコン膜16を例えば450nmの厚さに形成する。
【0128】
上記のように酸化窒化シリコン膜17を形成することにより、酸化窒化シリコン膜17によって低誘電率有機膜15の表面が酸素プラズマより保護される。したがって、酸素プラズマが発生するような雰囲気で酸化シリコン膜16を形成しても低誘電率有機膜15はダメージを受けない。またアンモニアを用いた還元性雰囲気の化学的気相成長により酸化窒化シリコン膜17を形成することから、低誘電率有機膜15にダメージを与えることなく、しかも低誘電率有機膜15の酸化が防止される。アンモニアの代わりに還元力を有するヒドラジンを用いてもアンモニアの場合と同様の作用が得られる。このように、前記第1例で説明した酸化窒化シリコン膜17と同様なる作用が得られる。
【0129】
また、上記フッ化ポリイミド樹脂の低誘電率有機膜15を形成した後、前記第1例の図3によって説明したのと同様に、還元性雰囲気でのPECVD法によって酸化窒化シリコン膜17を例えば50nmの厚さに形成した後、バイアス印加による高密度プラズマを用いたCVD法によって、Si−OH結合よりSi−H結合の数の多い膜となる酸化シリコン膜16を例えば450nmの厚さに形成してもよい。その形成方法は、前記第1例で説明した方法と同様の方法による。または、還元性雰囲気でのPECVD法によって吸湿性の少ない酸化シリコン膜16を例えば500nmの厚さに形成してもよい。これらの場合も、前記第1例の図3によって説明したように、バイアス印加による高密度プラズマを用いたCVDを行う際に、上記酸化窒化シリコン膜17が低誘電率有機膜15を保護する。またバイアス印加による高密度プラズマを用いたCVD法によって形成した酸化シリコン膜16は吸湿し難い膜となるので、その後の熱処理によるストレスの発生が抑えられる。そのため、そのストレスによる低誘電率有機膜15の剥がれは起きなくなる。
【0130】
また、上記ポリテトラフルオロエチレン系樹脂の低誘電率有機膜15を形成した後、前記第1例の図4によって説明したのと同様に、還元性雰囲気でのPECVD法によってシリコン系絶縁膜18を例えば500nmの厚さに形成した後、窒化シリコン膜19またはバリアメタル膜20を例えば50nmの厚さに形成してもよい。その形成方法は、前記第1例で説明した方法と同様の方法による。この場合も、前記第1例の図4によって説明したように、窒化シリコン膜19またはバリアメタル膜20が吸湿を防止する膜となって、シリコン系絶縁膜18の吸湿を抑えるるので、その後の熱処理によるシリコン系絶縁膜18でのストレスの発生が抑えられる。そのため、そのストレスによる低誘電率有機膜15の剥がれは起きなくなる。
【0131】
なお、上記実施形態の第1例〜第6例で説明した酸化窒化シリコン膜17は、酸化シリコン膜よりは比誘電率が高くなるが窒化シリコン膜よりは低く、しかも膜厚が酸化シリコン膜16と比較して50nmと薄いので層間絶縁膜の比誘電率の点ではほとんど無視できる。
【0132】
上記説明した実施形態の第1例〜第6例では、シラン系ガスとしてモノシランを用いた成膜方法において、例えばジシラン(Si2 H6 )、トリシラン(Si3 H8 )等の高次シランを用いることも可能である。またシラン系ガスを酸化させるガスとして一酸化二窒素を用いた成膜方法において、H2 O(気体)を用いることも可能である。
【0133】
また、上記シラン系ガスを用いたCVDによって生成される酸化シリコン膜16は、段差部のカバリッジ性が良くない。しかしながら、下地の低誘電率有機膜15は第1例〜第6例のいずれも塗布法によって形成されることから、各低誘電率誘起膜15の表面はほぼ平坦な面に形成される。そのため、上記層間絶縁膜の形成方法では、酸化シリコン膜16のカバリッジの悪さは問題にはならない。
【0134】
上記実施形態の第1例〜第6例ではシリコン系絶縁膜として酸化シリコン膜16を一例にして説明したが、例えば、フッ化酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン、フッ化酸化窒化シリコン等の膜を成膜する際にも、上記説明したように、還元性雰囲気を形成するのにシラン系ガスを用いる形成方法は適用できる。
【0135】
また、上記第1〜第6例における酸化窒化シリコン膜17はフッ化酸化窒化シリコン膜で形成することも可能である。
【0136】
上記フッ化酸化窒化シリコン膜の製造方法は、例えば、原料ガスにモノシランとアンモニアとヘキサフルオロエタン(C2 F6 )と一酸化二窒素とを用いた還元性雰囲気でのPECVDによって50nmの厚さに形成する。上記成膜条件は、モノシランの流量を100sccm、アンモニアの流量を100sccm、ヘキサフルオロエタンの流量を20sccm、一酸化二窒素の流量を1500sccm、また搬送ガスとして窒素を用い、その流量を1000sccmとした。さらに成膜雰囲気の圧力を100Pa、シリコン基板11の設定温度を350℃、プラズマパワーを500Wに設定した。
【0137】
上記フッ化酸化窒化シリコン膜の製造方法で用いたモノシランの代わりに例えば高次シラン(例えばジシラン、トリシラン等)を用いることも可能である。また、酸素源として一酸化二窒素の代わりに例えば水蒸気(H2 O気体)を用いることも可能である。また、フッ素源としてヘキサフルオロエタンの代わりに例えばテトラフルオロメタン(CF4 )、パーフルオロプロパン(C3 F8 )等のフルオロカーボン系ガスを用いることも可能である。また窒素源としてアンモニアの代わりに例えばヒドラジンのような窒素原子を有しかつ還元力のあるものを用いることが可能である。
【0138】
上記のように低誘電率誘起膜15上にフッ化酸化窒化シリコン膜を成膜すれば、上記第1例〜第6例で説明した酸化窒化シリコン膜17と同様なる作用が得られるとともに、膜中のフッ素によってフッ化酸化窒化シリコン膜は酸化窒化シリコン膜17よりも比誘電率が低くなる。
【0139】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、シリコン系絶縁膜を成膜するための原料ガスに還元力の強いシラン系ガスを用いるので、成膜雰囲気を還元性雰囲気にできる。さらに、酸化力が弱くてもシラン系ガスを酸化させることが可能な一酸化二窒素を少なくとも用いるので、還元性雰囲気でシリコン系絶縁膜を形成することができる。その結果、低誘電率有機膜は酸化され難くなるので、その成膜表面が面荒れを起こすこともない。
さらに成膜表面の温度を酸化シリコン膜が成長する温度以上350℃以下にする方法によれば、低誘電率有機膜からシリコン系絶縁膜を剥がれ易くするようなガスは放出されない。それとともに、低誘電率有機膜は熱分解を起こさない。そのため、シリコン系絶縁膜は低誘電率有機膜から剥がれ難くなるとともに、安定した成膜が可能になる。
【0140】
また、低誘電率有機膜上に酸化窒化シリコン膜またはフッ化酸化窒化シリコン膜を形成する方法によれば、酸化窒化シリコン膜またはフッ化酸化窒化シリコン膜を介して低誘電率有機膜上に酸素プラズマを生じる成膜方法で低誘電率有機膜表面にダメージを生じることなく膜形成を行うことが可能になる。
またアンモニアまたはヒドラジンのような少なくとも窒素原子を有しかつ還元力を有するガスを用いた化学的気相成長によって、酸化窒化シリコン膜またはフッ化酸化窒化シリコン膜の形成を行う方法によれば、低誘電率有機膜にダメージを与えることなくかつ低誘電率有機膜の酸化を防ぎながら成膜することができる。
【0141】
Si−OH結合よりSi−H結合の数の多い膜を形成する方法によれば、吸湿性の少ないシリコン系絶縁膜が成膜できる。その結果、熱処理を行ってもシリコン系絶縁膜からの水分の気化が少なくなるのでストレスの発生も低減できる。そのため、そのストレスによる低誘電率有機膜の剥がれを防止することができる。また、下地に還元性雰囲気で成膜したシリコン系絶縁膜である酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を成膜する方法によれば、Si−OH結合よりSi−H結合の数の多い膜を酸化力の強いバイアス印加による高密度プラズマを用いた化学的気相成長法によって成膜しても、酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜によって低誘電率有機膜を保護することができる。そのため、バイアス印加による高密度プラズマを用いた化学的気相成長を行っても低誘電率有機膜は酸化されることなく、また損傷も受けない。
【0142】
シリコン系絶縁膜上に形成される配線との界面に窒化シリコン膜のようなSi−N結合を有するシリコン系の膜を成膜する方法によれば、Si−N結合を有するシリコン系の膜によって外方向からの湿気の侵入を防止することが可能になる。またシリコン系絶縁膜上に形成される配線との界面にバリアメタル膜を形成する方法によれば、バリアメタル膜によって外方向からの湿気の侵入を防止することが可能になる。その結果、シリコン系絶縁膜は吸湿し難くなるので、熱処理を行ってもシリコン系絶縁膜からの水分の気化は少なくなる。そのため、シリコン系絶縁膜でのストレスの発生も低減されるので、そのストレスによる低誘電率有機膜の剥がれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の層間絶縁膜の形成方法に係わる実施形態の第1例を説明する断面図である。
【図2】本発明に係わる窒化酸化シリコン膜を形成した場合の実施形態の第1例を説明する断面図である。
【図3】本発明に係わる吸湿性を防止する膜を形成した場合の実施形態の第1例を説明する断面図である。
【図4】本発明に係わる吸湿性を防止する膜を形成した場合の実施形態の第1例を説明する断面図である。
【図5】本発明に係わるバリアメタル膜を形成した以降のプロセスを説明する断面図である。
【符号の説明】
10…基体、15…低誘電率有機膜、16…酸化シリコン膜
Claims (26)
- 基体上に形成した低誘電率有機膜上に化学的気相成長によってシリコン系絶縁膜を成膜する層間絶縁膜の形成方法において、
前記化学的気相成長の雰囲気は還元性雰囲気であり、
前記低誘電率有機膜を形成した後に前記シリコン系絶縁膜の下層を酸化窒化シリコン膜で形成すること
を特徴とする層間絶縁膜の形成方法。 - 基体上に形成した低誘電率有機膜上に化学的気相成長によってシリコン系絶縁膜を成膜する層間絶縁膜の形成方法において、
前記化学的気相成長の雰囲気は還元性雰囲気であり、
前記化学的気相成長時の成膜表面の温度はシリコン系絶縁膜が成長する温度以上350℃以下であり、
前記低誘電率有機膜を形成した後に前記シリコン系絶縁膜の下層を酸化窒化シリコン膜で形成すること
を特徴とする層間絶縁膜の形成方法。 - 請求項1記載の層間絶縁膜の形成方法において、
前記酸化窒化シリコン膜は原料ガスに少なくとも窒素原子を有しかつ還元力を有するガスを用いた化学的気相成長によって形成すること
を特徴とする層間絶縁膜の形成方法。 - 請求項2記載の層間絶縁膜の形成方法において、
前記酸化窒化シリコン膜は原料ガスに少なくとも窒素原子を有しかつ還元力を有するガスを用いた化学的気相成長によって形成すること
を特徴とする層間絶縁膜の形成方法。 - 請求項3記載の層間絶縁膜の形成方法において、
前記窒素原子を有しかつ還元力を有するガスにはアンモニアおよびヒドラジンのうちの少なくとも1種を用いること
を特徴とする層間絶縁膜の形成方法。 - 請求項4記載の層間絶縁膜の形成方法において、
前記窒素原子を有しかつ還元力を有するガスにはアンモニアおよびヒドラジンのうちの少なくとも1種を用いること
を特徴とする層間絶縁膜の形成方法。 - 基体上に形成した低誘電率有機膜上に化学的気相成長によってシリコン系絶縁膜を成膜する層間絶縁膜の形成方法において、
前記化学的気相成長の雰囲気は還元性雰囲気であり、
前記低誘電率有機膜を形成した後に前記シリコン系絶縁膜の下層をフッ化酸化窒化シリコン膜で形成すること
を特徴とする層間絶縁膜の形成方法。 - 基体上に形成した低誘電率有機膜上に化学的気相成長によってシリコン系絶縁膜を成膜する層間絶縁膜の形成方法において、
前記化学的気相成長の雰囲気は還元性雰囲気であり、
前記化学的気相成長時の成膜表面の温度はシリコン系絶縁膜が成長する温度以上350℃以下であり、
前記低誘電率有機膜を形成した後に前記シリコン系絶縁膜の下層をフッ化酸化窒化シリコン膜で形成すること
を特徴とする層間絶縁膜の形成方法。 - 請求項7記載の層間絶縁膜の形成方法において、
前記フッ化酸化窒化シリコン膜は原料ガスに少なくとも窒素原子を有しかつ還元力を有するガスと少なくともフッ素原子を有するガスとを用いた化学的気相成長によって形成すること
を特徴とする層間絶縁膜の形成方法。 - 請求項8記載の層間絶縁膜の形成方法において、
前記フッ化酸化窒化シリコン膜は原料ガスに少なくとも窒素原子を有しかつ還元力を有するガスと少なくともフッ素原子を有するガスとを用いた化学的気相成長によって形成すること
を特徴とする層間絶縁膜の形成方法。 - 請求項9記載の層間絶縁膜の形成方法において、
前記窒素原子を有しかつ還元力を有するガスにはアンモニアおよびヒドラジンのうちの少なくとも1種を用い、
フッ素原子を有するガスにはフルオロカーボン系ガスおよびフッ化シラン系ガスのうちの少なくとも1種を用いること
を特徴とする層間絶縁膜の形成方法。 - 請求項10記載の層間絶縁膜の形成方法において、
前記窒素原子を有しかつ還元力を有するガスにはアンモニアおよびヒドラジンのうちの少なくとも1種を用い、
フッ素原子を有するガスにはフルオロカーボン系ガスおよびフッ化シラン系ガスのうちの少なくとも1種を用いること
を特徴とする層間絶縁膜の形成方法。 - 基体上に形成した低誘電率有機膜上に化学的気相成長によってシリコン系絶縁膜を成膜する層間絶縁膜の形成方法において、
前記化学的気相成長の雰囲気は還元性雰囲気であり、
前記シリコン系絶縁膜と該シリコン系絶縁膜上に形成される配線との界面に、Si−OH結合よりSi−H結合の数の多い膜を形成すること
を特徴とする層間絶縁膜の形成方法。 - 基体上に形成した低誘電率有機膜上に化学的気相成長によってシリコン系絶縁膜を成膜する層間絶縁膜の形成方法において、
前記化学的気相成長の雰囲気は還元性雰囲気であり、
前記化学的気相成長時の成膜表面の温度はシリコン系絶縁膜が成長する温度以上350℃以下であり、
前記シリコン系絶縁膜と該シリコン系絶縁膜上に形成される配線との界面に、Si−OH結合よりSi−H結合の数の多い膜を形成すること
を特徴とする層間絶縁膜の形成方法。 - 請求項13記載の層間絶縁膜の形成方法において、
前記Si−OH結合よりSi−H結合の数の多い膜はバイアス印加による高密度プラズマを用いた化学的気相成長法により形成すること
を特徴とする層間絶縁膜の形成方法。 - 請求項14記載の層間絶縁膜の形成方法において、
前記Si−OH結合よりSi−H結合の数の多い膜はバイアス印加による高密度プラズマを用いた化学的気相成長法により形成すること
を特徴とする層間絶縁膜の形成方法。 - 請求項15記載の層間絶縁膜の形成方法において、
前記バイアス印加による高密度プラズマを用いた化学的気相成長法により前記Si−OH結合よりSi−H結合の数の多い膜を形成する前に、還元性雰囲気での化学的気相成長法により、前記低誘電率有機膜上に酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を成膜すること
を特徴とする層間絶縁膜の形成方法。 - 請求項16記載の層間絶縁膜の形成方法において、
前記バイアス印加による高密度プラズマを用いた化学的気相成長法により前記Si−OH結合よりSi−H結合の数の多い膜を形成する前に、還元性雰囲気での化学的気相成長法により、前記低誘電率有機膜上に酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を成膜すること
を特徴とする層間絶縁膜の形成方法。 - 基体上に形成した低誘電率有機膜上に化学的気相成長によってシリコン系絶縁膜を成膜する層間絶縁膜の形成方法において、
前記化学的気相成長の雰囲気は還元性雰囲気であり、
前記シリコン系絶縁膜と該シリコン系絶縁膜上に形成される配線との界面に、Si−N結合を有するシリコン系の膜を形成すること
を特徴とする層間絶縁膜の形成方法。 - 基体上に形成した低誘電率有機膜上に化学的気相成長によってシリコン系絶縁膜を成膜する層間絶縁膜の形成方法において、
前記化学的気相成長の雰囲気は還元性雰囲気であり、
前記化学的気相成長時の成膜表面の温度はシリコン系絶縁膜が成長する温度以上350℃以下であり、
前記シリコン系絶縁膜と該シリコン系絶縁膜上に形成される配線との界面に、Si−N結合を有するシリコン系の膜を形成すること
を特徴とする層間絶縁膜の形成方法。 - 請求項19記載の層間絶縁膜の形成方法において、
前記シリコン系の膜を窒化シリコン膜で形成すること
を特徴とする層間絶縁膜の形成方法。 - 請求項20記載の層間絶縁膜の形成方法において、
前記シリコン系の膜を窒化シリコン膜で形成すること
を特徴とする層間絶縁膜の形成方法。 - 基体上に形成した低誘電率有機膜上に化学的気相成長によってシリコン系絶縁膜を成膜する層間絶縁膜の形成方法において、
前記化学的気相成長の雰囲気は還元性雰囲気であり、
前記シリコン系絶縁膜にビアホールを形成する前に、前記シリコン系絶縁膜と該シリコン系絶縁膜上に形成される配線との界面に、該配線のバリアメタル膜を形成すること
を特徴とする層間絶縁膜の形成方法。 - 基体上に形成した低誘電率有機膜上に化学的気相成長によってシリコン系絶縁膜を成膜する層間絶縁膜の形成方法において、
前記化学的気相成長の雰囲気は還元性雰囲気であり、
前記化学的気相成長時の成膜表面の温度はシリコン系絶縁膜が成長する温度以上350℃以下であり、
前記シリコン系絶縁膜にビアホールを形成する前に、前記シリコン系絶縁膜と該シリコン系絶縁膜上に形成される配線との界面に、該配線のバリアメタル膜を形成すること
を特徴とする層間絶縁膜の形成方法。 - 請求項23記載の層間絶縁膜の形成方法において、
前記バリアメタル膜を、金属膜、または金属窒化膜、または金属膜と金属窒化膜との積層膜で形成すること
を特徴とする層間絶縁膜の形成方法。 - 請求項24記載の層間絶縁膜の形成方法において、
前記バリアメタル膜を、金属膜、または金属窒化膜、または金属膜と金属窒化膜との積層膜で形成すること
を特徴とする層間絶縁膜の形成方法。
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