JP3773233B2 - 両軸受リールのリール本体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リール本体、特に、釣り竿に装着され、釣り竿の長手方向と交差する軸に沿う第1軸回りに釣り糸を巻き取る丸形の両軸受リールのリール本体に関する。
【0002】
【従来の技術】
両軸受リールは、一般に、釣り竿に装着されるリール本体と、リール本体内に回転自在に支持されたスプールと、リール本体の一側に装着されスプールを回転させるためのハンドルと、ハンドルの回転をスプールに伝達するための回転伝達機構とを備えている。リール本体は、左右1対の側板と側板を連結する連結部材とを有するリールフレームと、リールフレームの両側を覆う左右1対の側カバーとを有している。連結部材は、側板の周縁部に側板と一体で形成されており、連結部材のいずれかには、リールを釣り竿に装着するための竿装着部が設けられている。
【0003】
この種の両軸受リールにおいて、リール本体の側面視が円形で金属製の丸形リールが知られている。丸形リールでは、側カバー及びリールフレームは、通常、ダイキャスト法や鍛造法で製造されている。また、1対の側板及び側カバーは側面視円形であり、連結部材を含むリール本体の外周面が旋盤により切削加工されており、装飾性が高く高級感が得られる外観になっている。この種の金属製のリール本体に設けられる竿装着部は、外径輪郭から大きく飛び出すため、表面の切削加工後に別部材をカシメ又はネジ止めして連結部材に接合されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の金属製のリール本体を有する丸形リールの竿装着部は、連結部材にカシメ又はネジ止めにより連結部材に接合されている。この接合部分には、リールを釣り竿に装着して仕掛けに魚がかかったとき等に大きな力が作用する。このため、この接合部分には充分な強度が必要になる。十分な強度を得るためには、接合部分の肉厚を増やす必要があり、軽量化やリール本体の上部を釣り竿に対して低くするロープロファイル化が難しい。また、別部材を接合しているので接合部分で高級感のある外観を得にくい。
【0005】
本発明の課題は、丸形リールのリール本体において、高級感がある外観を得ることができかつロープロファイル化できるようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明1に係るリール本体は、釣り竿に装着され、釣り竿の長手方向と交差する軸に沿う第1軸回りに釣り糸を巻き取る両軸受リールのリール本体であって、1対の側板と、複数の連結部材と、竿装着部とを備えている。1対の側板は、第1軸方向に間隔を隔てて配置され外周面が第1基準位置を中心にして円形に切削加工されている。複数の連結部材は、間隔を隔てて配置された両側板を連結する部材である。竿装着部は、釣り竿の長手方向に沿って延び複数の連結部材のいずれかの中間部に一体形成されている。この複数の連結部材のうち側板を外周部で連結する連結部材の外周面は、少なくとも竿装着部が形成された中間部分が第1基準位置より竿装着部側の第2基準位置を中心に円形に切削加工され、他の部分が第1基準位置を中心に円形に切削加工されている。
【0007】
このリール本体では、竿装着部は、複数の連結部材のいずれかに一体で形成されている。また、1対の側板を連結する連結部材のうち、側板を外周部で連結部材の外周面は、少なくとも竿装着部が形成された中間部分が第1基準位置より竿装着部側の第2基準位置を中心に円形に切削加工され、残りが第1基準位置を中心に円形に切削加工されている。ここでは、少なくとも竿装着部が形成された中間部分が第1基準位置より竿装着部側の第2基準位置を中心に円形に切削加工されているので、竿装着部を第2基準位置を中心とする円形から飛び出さないように配置できる。このため、竿装着部を連結部材と一体で形成しても連結部材の外周面を切削加工できる。このように竿装着部を連結部材と一体で形成することにより、別部材を接合する場合に比べて強度を維持して薄肉化・軽量化が可能になりリールのロープロファイル化を実現しやすい。しかも、竿装着部を一体で形成しかつ連結部材の外周面を切削加工することにより高級感がある外観を得やすい。
【0008】
発明2に係る両軸受リールのリール本体は、発明1に記載のリール本体において、両基準位置を中心とする円弧の半径の差は、両基準位置の距離より小さい。この場合には、両基準位置を中心とする円弧の半径の差は、両基準位置の距離より小さいので、リール本体の上部側で第1基準位置を中心とする円弧と第2基準位置を中心とする円弧との段差を小さくすることができる。このため、リール本体の上部で側板を連結部材で連結しても段差が目立ちにくい。
【0009】
発明3に係る両軸受リールのリール本体は、発明1又は2に記載のリール本体において、両側板の外方をそれぞれ覆う1対の側カバーをさらに備える。この場合には、側カバーが設けられるので、さらに高級感がある外観が得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1において、本発明の一実施形態を採用した両軸受リールは側面視が略円形の丸型リールである。丸型リールは、リール本体1と、リール本体1の側方に配置されたスプール回転用のハンドル2と、ハンドル2のリール本体1側に配置されたスタードラグ3とを備えている。リール本体1には、スプール15が回転自在に装着されている。リール本体1は、竿装着部4を介して釣り竿RDに装着され得る。
【0011】
リール本体1は、図2に示すように、リールフレーム5と、リールフレーム5の両側方に装着された第1側カバー13及び第2側カバー14とを有している。
【0012】
リールフレーム5は、アルミニウム合金を鍛造成形することにより得られる。リールフレーム5は、図1〜図3に示すように、間にスプール15が配置され、スプール15の軸方向に所定の間隔をあけて配置された左右1対の側板10,11と、両側板10,11を連結する1対の連結部材12a,12bとを有している。これらのリールフレーム5の各部の外周面は、旋盤により切削加工されている。
【0013】
側板10は、外周面が第1基準位置O1を中心とする半径R1の円周面であるリング状の部材である。側板10の中心にはスプール15が配置される上方に偏芯した偏芯孔10aが形成されている。偏芯孔10aは、第1基準位置O1の上方の第3基準位置O3を中心とする円弧である。側板10の外側面には、外側に開口するネジ穴10bが周方向に間隔を隔てて3カ所設けられている。
【0014】
側板11は、外周面が第1基準位置O1を中心とする半径R1の円周面である円板状の部材である。側板10の中心にはスプール15のスプール軸16(図2)が貫通する上方に偏芯した貫通孔11aが形成されている。側板11と第2側カバー14との間には、ハンドル2の回転をスプール15に伝達する回転伝達機構(図示せず)等の各種機構を装着するための空間が形成されている。側板11の周囲は縁取りされており、そこには、外側に開口するネジ穴11bが周方向に間隔を隔てて3カ所設けられている。貫通孔11aの下方には、ハンドル2の回転軸(図示せず)が装着される装着孔11cが形成されている。
【0015】
連結部材12a,12bは、たとえばリール本体1の上部と下部との2か所で1対の側板10,11を連結している。上側の連結部材12aは、側板10,11を外周部で連結しており、下側の連結部材12bは、側板10,11を外周部より内側で連結している。下側の連結部材12bには、竿装着部4が一体で形成されている。竿装着部4は、連結部材12bの中心位置から前後に延びた板状の部材であり、前後に僅かに湾曲し左右には円弧状に湾曲している。この竿装着部4は、リールフレーム5の鍛造成形時に下側の連結部材12bとともに形成される。
【0016】
上側の連結部材12aは、図4及び図5に示すように、外周面が旋盤により切削加工されている。連結部材12aの外周面のうち、竿装着部4が下側の連結部材12bに形成された軸方向の中間部分12cは、第1基準位置O1より下方の第2基準位置O2を中心とする半径R2の円弧で、たとえば旋盤により切削加工されている。一方、その両側部分12d,12dは、側板10,11と同じように第1基準位置O1を中心とする半径R1の円弧で、たとえば旋盤により切削加工されている。2つの半径R1,R2の差は第1基準位置O1と第2基準位置O2との距離Dより小さい。このため、連結部材12aの外周面で第1基準位置O1を中心とする円弧と第2基準位置O2を中心とする円弧との段差を小さくすることができ、リール本体1の上部で側板10,11を連結部材12aで連結しても段差が目立ちにくい。
【0017】
ここでは、竿装着部4が形成された中間部分が第1基準位置O1より竿装着部4側の第2基準位置O2を中心に円形に切削加工されているので、竿装着部4は第2基準位置O2を中心とする円形から飛び出さないように配置できる。このため、竿装着部4を連結部材12bと一体で形成して連結部材12aの外周面を切削加工することができる。このように連結部材12bと竿装着部4とを一体で形成することより、別部材を接合する場合に比べて強度を維持して薄肉化・軽量化が可能になりリールのロープロファイル化を実現しやすい。しかも、竿装着部4を一体で形成しかつ連結部材12aの外周面を切削加工することにより高級感がある外観を得やすい。
【0018】
また,側板10,11と複数の連結部材12a,12bとを一体で形成することで、リール本体1に大きな荷重が作用しても撓み等の変形が生じにくく、巻上げ効率の低下が抑制される。
【0019】
第1側カバー13は、皿状の部材であり、たとえばアルミニウム合金をダイキャスト成形して得られる。第1側カバー13の中心部より上方に偏芯した位置には軸受収納部13aが内方に突出して形成されている。軸受収納部13aには、スプール15のスプール軸16を回転自在に支持するための軸受が収納されている。筒状の第1側カバー13の内側面の周縁部には、ネジ穴10bに対向する位置に内外を貫通する3つの段付きビス孔13bが形成されている。第1側カバー13は、段付きビス孔13bから挿入されネジ穴10bにねじ込まれる3本の取付ビス(図示せず)によりリールフレーム5に締結されている。
【0020】
第2側カバー14は、たとえばアルミニウム合金等の金属薄板をプレス成形して得られた部材であり、側面から見て側板11と略同径の円形の皿状の部材である。前述したように側板11との間に回転伝達機構が収納されている。第2側カバー14の周縁部には貫通する3つのビス孔14aが形成されている。このビス孔14aは、側板11のネジ穴11bに対向した位置に形成されている。第2側カバー14は、ビス孔14aから挿入されて側板11のネジ穴11bにねじ込まれる3本の取付ビス(図示せず)によりリールフレーム5に締結されている。
【0021】
リール本体1の後部には、図1及び図2に示すように、クラッチレバー20が上下に移動自在に装着されている。クラッチレバー20は、回転伝達機構内に設けられたクラッチ機構を操作するためのものである。クラッチレバー20を下側に押すと、クラッチ機構がオフしてスプール15が自由に回転する。
【0022】
リール本体1の前部には、レベルワインド機構21が装着されている。レベルワインド機構のハンドル2の回転軸に連動してスプール軸方向に往復移動する。これにより、スプール15に釣り糸を均一に巻き付けできる。
【0023】
次に、両軸受リールの使用時におけるリールの動作について説明する。
【0024】
釣り糸を繰り出す時には、クラッチレバー20を下側に押してクラッチ機構をクラッチオフ状態にする。これによりスプール15が自由回転状態になる。この状態で右手でキャスティングを行い、ルアー(仕掛け)の自重によりスプール15を糸繰り出し方向に回転させ、釣り糸をスプール15から繰り出す。キャスティングを行うと、釣り竿をリールとともに左手に持ち替えパーミングにより釣り竿をリールとともに握る。このとき、リール本体1のロープロファイル化がなされているため、パーミングしやすくなる。ルアーが着水すると直ちに右手でハンドル2を糸巻取方向に回転させてリトリーブを開始する。ハンドル2を糸巻取方向に回転させると、図示しないクラッチ復帰機構によりクラッチオン状態になり、スプールが糸巻取方向に回転する。
【0025】
ここでは、竿装着部4が連結部材12bと一体で形成されているので、竿装着部4をネジ止め又はカシメにより接合する場合に比べて強度を維持して薄肉化・軽量化が可能になり竿装着部4に装着される釣り竿とリール本体1の上部との間の距離を短くすることができ、ロープロファイル化が可能になる。
【0026】
〔他の実施形態〕
(a) 前記実施形態では、連結部材12aの外周面の軸方向の中間部分12cだけを第2基準位置O2を中心に円形に切削加工したが、連結部材12aの外周面全体を第2基準位置O2を中心に円形に切削加工してもよい。
【0027】
(b) 前記実施形態では、連結部材12aの外周面の軸方向の中間部分12cだけを第2基準位置O2を中心に円形に加工したが、側板10,11の外周面を第1基準位置O1を中心に円形に切削加工した後、連結部材12aを含めた全体を第2基準位置O2を中心に円形に切削加工してもよい。
【0028】
(c) 前記実施形態では、第1側カバー13を側板10と別体にしたが、第1側カバー13と側板10とを一体に形成してもよい。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、少なくとも竿装着部が形成された中間部分が第1基準位置より竿装着部側の第2基準位置を中心に円形に切削加工されているので、竿装着部を第2基準位置を中心とする円形から飛び出さないように配置できる。このため、竿装着部を連結部材と一体で形成しても連結部材の外周面を切削加工できる。このように竿装着部を連結部材と一体で形成することにより、別部材を接合する場合に比べて強度を維持して薄肉化・軽量化が可能になりリールのロープロファイル化を実現しやすい。しかも、竿装着部を一体で形成しかつ連結部材の外周面を切削加工することにより高級感がある外観を得やすい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を採用した両軸受リールの背面図。
【図2】図1のII−II断面図。
【図3】リール本体の分解斜視図。
【図4】リールフレームの断面部分図。
【図5】図4のV−V断面図。
【符号の説明】
1 リール本体
4 竿装着部
10,11 側板
12a,12b 連結部材
12c 中間部分
13,14 第1,第2側カバー
O1,O2 第1,第2基準位置
Claims (3)
- 釣り竿に装着され、前記釣り竿の長手方向と交差する軸に沿う第1軸回りに釣り糸を巻き取る両軸受リールのリール本体であって、
前記第1軸方向に間隔を隔てて配置され外周面が第1基準位置を中心にして円形に切削加工された1対の側板と、
前記間隔を隔てて配置された両側板を連結する複数の連結部材と、
前記釣り竿の長手方向に沿って延び前記複数の連結部材のいずれかの中間部に一体形成された竿装着部とを備え、
前記複数の連結部材のうち前記側板を外周部で連結する連結部材の外周面は、少なくとも前記竿装着部が形成される中間部分が前記第1基準位置より前記竿装着部側の第2基準位置を中心に円形に切削加工され、他の部分が前記第1基準位置を中心に円形に切削加工されている、両軸受リールのリール本体。 - 前記両基準位置を中心とする円弧の半径の差は、両基準位置の距離より小さい、請求項1に記載の両軸受リールのリール本体。
- 前記両側板の外方をそれぞれ覆う1対の側カバーをさらに備える、請求項1又は2に記載の両軸受リールのリール本体。
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