JP3566558B2 - 両軸受リールのリール本体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リール本体、特に、釣り竿に装着され、釣り竿の長手方向と交差する軸回りに釣り糸を巻き取る両軸受リールのリール本体に関する。
【0002】
【従来の技術】
両軸受リールは、一般に、釣り竿に装着されるリール本体と、リール本体内に回転自在に支持されたスプールと、リール本体の一側に装着されスプールを回転させるためのハンドルと、ハンドルの回転をスプールに伝達するための回転伝達機構とを備えている。リール本体は、左右1対の側板と側板を連結する連結部材とを有するリールフレームと、リールフレームの両側を覆う左右1対の側カバーとを有している。ハンドルが装着された側の側カバーと側板との間の空間には、ハンドルの回転をスプールに伝達するための回転伝達機構等の機構が収納されている。回転伝達機構は、ハンドル軸に装着されたメインギアと、スプール軸に装着されメインギアに噛み合うピニオンギアとを有している。
【0003】
この種の両軸受リールにおいて、リール本体の側面視が円形で金属製の丸形リールが知られている。丸形リールでは、側カバー及びリールフレームは、通常、ダイキャスト法や鍛造法で製造されている。また、1対の側板及び側カバーは側面視円形であり、リール本体の外周面が旋盤により機械加工されており、装飾性が高く高級感が得られる外観になっている。
【0004】
一方、両軸受リールでは、ジギングと呼ばれる高速巻き上げを行いつつ釣り竿のしゃくり動作を行う釣法が行われるようになっている。このような高速巻き上げに対応して回転伝達機構のギア比(メインギアとピニオンギアとのギア比)が大きくなっている。それまでは、ギア比が4:1程度であったものが最近ではギア比が6:1程度のものも珍しくない。ギア比が大きくなると、メインギアの直径が大きくなる。このため、丸形リールの場合、円形のリール本体にメインギアを収納するためには、リール本体の外径がスプールの外径に比べてかなり大きくなり、リール本体が大型化する。
【0005】
そこで、ギア比が大きな丸形リールでは、リール本体のハンドル装着側を径方向外方に突出させてメインギアを収納し、リール本体の外径がスプールの外径に対してあまり大きくならないようにしてリール本体の小型化を図っている。このような小型化を図った丸形リールでは、外周面の機械加工部位を多くするために側カバーだけを径方向外方に突出させ側板は円形のままである。そして、円形の側板には、側カバーの円形からの突出部分の裏側を覆うたとえば金属製や合成樹脂製の別のカバー部材がビス止め等の固定手段により装着されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の突出部分を有するリール本体では、円形の側板にカバー部材を装着して側カバーの裏側を覆い、全体として突出部分を有するリール本体を構成しているので、リール本体の構成が複雑になる。しかも、カバー部材を側板にビス止め等の固定手段により装着しているので、リール本体の強度を高く維持するのが困難である。
【0007】
本発明の課題は、ギア比が大きな両軸受リールのリール本体において、簡素な構成で小型化を図れかつ強度を高く維持できるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明1に係る両軸受リールのリール本体は、釣り竿に装着され、一側に装着されたハンドルの回転により釣り竿の長手方向と交差する軸回りに回転するスプールで釣り糸を巻き取る両軸受リールのリール本体であって、リールフレームと、側カバーとを備えている。リールフレームは、長手方向と交差する方向に間隔を隔てて配置された1対の側板と、両側板を連結する複数の連結部材と、釣り竿に装着するために連結部材に設けられた竿取付部とを有し、一側の側板を含む一部又は全部の外周面が非円周面となるように刃物をワークに対して回転に同期して前後移動させる旋削加工により切削加工され残りの外周面が円周面となるように切削加工されたものである。一側の側板は、円形部と、円形部から径方向前下方に突出し外周面が滑らかな凸面からなる突出部とを有し、円形部と突出部とが滑らかに連続している。1対の側カバーは、1対の側板の外方をそれぞれ覆う側カバーである。
【0009】
この両軸受リールのリール本体では、リールフレームの一側の側板の少なくとも一部の外周面が非円周面となるように切削加工されているので、ギア比を大きくしてもスプール径に対して外径をあまり大きくすることなくハンドル装着側の側板と側カバーとの間にメインギアを収納可能である。このため、別にカバー部材を設ける必要がなくなり、ギア比が大きなリール本体において簡素な構成で小型化を図れかつ強度を高く維持できる。しかも、リールフレームの全ての外周面を非円周面となるように切削加工すれば、これまでにない新規の意匠が得られ高級感をさらに増大することができる。また、この場合には、刃物をワークに対して回転に同期して前後移動させる旋削加工により外周面が非円周面となる側板を簡単に得ることができる。
【0010】
発明2に係る両軸受リールのリール本体は、発明1に記載のリール本体において、一側の側板の少なくとも一部の外周面が非円周面となるように旋削加工され、残りの外周面が円周面となるように旋削加工されている。この場合には、ハンドル装着側の側板の外周面だけを非円周面となるように旋削加工しているので、加工コストが低減する。
【0011】
発明3に係る両軸受リールのリール本体は、発明1又は2に記載のリール本体において、一側の側板とその外方を覆う側カバーのと間にハンドルの回転をスプール伝達するための回転伝達機構が装着されている。この場合には、ギア比が高い回転伝達機構を収納しても、リール本体の小型化が可能である。
【0012】
発明4に係る両軸受リールのリール本体は、発明1から3のいずれかに記載のリール本体において、リールフレーム及び1対の側カバーのうち少なくとも一つは金属製である。この場合には、リールフレーム及び1対の側カバーのうち少なくとも一つが金属製のため、高級感を有する外観が得られるとともに軽量で強度が高くなる。
【0013】
発明5に係る両軸受リールのリール本体は、発明4に記載のリール本体において、リールフレームはアルミニウム合金を鍛造成形して得られる。この場合には、鍛造成形により強度が高くなるとともに、外周面が非円周面であっても形状を容易に得やすい。
【0014】
発明6に係る両軸受リールのリール本体は、発明4又は5に記載のリール本体において、側カバーはアルミニウム合金をプレス成形して得られる。この場合には、側カバーの薄肉化が可能になり側カバーの軽量化を図れるとともに、外周面が非円周面となる側カバー形状を容易に得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1において、本発明の一実施形態を採用した両軸受リールは、たとえば、5号の釣り糸を300m程度巻き付け可能な中型の丸型リールである。丸型リールは、リール本体1と、リール本体1の側方に配置されたスプール回転用のハンドル組立体2と、ハンドル組立体2のリール本体1側に配置されたスタードラグ3とを備えている。リール本体1には、スプール15が回転自在に装着されている。リール本体1は、竿取付脚4を介して釣り竿Rに装着され得る。
【0016】
リール本体1は、図2に示すように、リールフレーム5と、リールフレーム5の両側方に装着された第1側カバー13及び第2側カバー14とを有している。
【0017】
リールフレーム5は、アルミニウム合金を鍛造成形することにより得られる。リールフレーム5は、図1及び図4に示すように、間にスプール15が配置され、スプール15の軸方向に所定の間隔をあけて配置された左右1対の側板10,11と、両側板10,11を連結する複数の連結部材12とを有している。
【0018】
側板10は、中心にスプール15がわずかに上方に偏芯して配置される偏芯孔10aが形成されたリング状の部材である。側板10の外側面には、外側に開口するネジ穴10bが周方向に間隔を隔てて4カ所設けられている。側板10の外周面は円周面である。
【0019】
側板11は、円形部11aと、円形部11aから径方向前下方に突出した突出部11bとを有し、両部11a,11bが滑らかに連続している。側板11と第2側カバー14との間には、後述する各種機構を装着するための空間が形成されている。突出部11bは、後述する回転伝達機構を収納するために設けられたものであり、旋削加工しやすいようにオーバハングがない滑らかな凸面で外周面が構成されている。側板11の周縁部は軸方向外方に突出するように縁取りされており、この縁取りされた周縁部の外周側には、4つのボス部11cが周方向に間隔を隔てて形成されている。ボス部11cの先端には、ネジ穴11dが形成されている。
【0020】
側板11の円形部11aの中心部よりやや上方に偏芯した位置には、軸受収納部16aが内方に突出して形成されている。軸受収納部16aには、スプール15のスプール軸25を回転自在に支持するための軸受26b(図2)が収納されている。また、円形部11aと突出部11bとの境界部分には、軸受収納部16bが形成されている。軸受収納部16bには、ハンドル軸30の一端を回転自在に支持するための転がり軸受26c(図2)が収納されている。また軸受収納部16aを挟んで対向する位置には、第2側カバー14の裏面に接触する位置まで延びる丸棒状の1対のガイド部16cが突出しており、軸受収納部16bより前方には、第2側カバー14の裏面に接触する位置まで延びる丸棒状の1対のボス部16dが突出している。これらのガイド部16c及びボス部16dの先端部には、ネジ穴16fが形成されている。
【0021】
側板11の外周面は、図2及び図4に示すように、円周面11eと円周面11eの軸方向外方に位置する非円周面11fとを有している。円周面11eと非円周面11fとはともに旋削加工された面であり、非円周面11fは、円形部11aと突出部11bの外周側に位置している。非円周面11fの第2側カバー14装着部分は他の部分より外径が1段小さく加工されている。
【0022】
連結部材12は、たとえばリール本体1の後部と下部と上部との3か所で1対の側板10,11を連結している。このように側板10,11と複数の連結部材12とを一体で形成することで、リール本体1に大きな荷重が作用しても撓み等の変形が生じがたく、巻上げ効率の低下が抑制される。この連結部材12の外周部も側板10,11及び第1側カバー13と一体で旋削加工されており、円周面となっている。
【0023】
下部の連結部材12には竿取付脚4が固定されている。竿取付脚4は、リールフレーム5の側板10,11間の中心位置Cに沿って配置されている。この中心位置Cは、スプール15の糸巻部分の中心位置でもある。後部の連結部材12には、リールを釣り竿とともに保持するための合成樹脂製のサムレスト17が装着されている。
【0024】
サムレスト17は、連結部材12の上部と後部とに接するように形成され、かつ後部が側板10,11から径方向外方、つまり後方に突出している。サムレスト17の上面後部は、下方に凸に湾曲しながら傾斜している。また、サムレスト17の上面後部の左端及び右端は、後方への突出量が左側にいくにつれて徐々に減少している。
【0025】
第1側カバー13は、皿状の部材であり、たとえばアルミニウム合金をダイキャスト成形して得られる。第1側カバー13の中心部よりわずかに上方に偏芯した位置には軸受収納部13aが内方に突出して形成されている。軸受収納部13aには、スプール15のスプール軸25を回転自在に支持するための軸受26a(図2)が収納されている。筒状の第1側カバー13の内側面の周縁部には、ネジ穴10bに対向する位置に内外を貫通する4つの段付きビス孔13bが形成されている。第1側カバー13は、段付きビス孔13bから挿入されネジ穴10bにねじ込まれる4本の取付ビス35によりリールフレーム5に締結されている。
【0026】
第2側カバー14は、たとえばアルミニウム合金等の金属薄板をプレス成形して得られた部材であり、側面から見て側板11と略同径の円形部14aと、円形部14aから径方向外方に膨出した膨出部14bとを有している。膨出部14bは、側面視太鼓状に形成されており、内部に後述する回転伝達機構が収納されている。膨出部14bは、ハンドル軸30(後述)の装着部分を中心に軸方向外方にも膨出している。第2側カバー14の円形部14aの周縁部には貫通する4つのビス孔14cが形成されている。このビス孔14cは、側板11のボス部11cに対向した位置に形成されている。膨出部14bには、ハンドル軸30が貫通するハンドル孔14dと、スプール軸25(後述)が貫通するスプール軸孔14eとが形成されている。さらに、膨出部14bには、スプール軸孔14eを挟んで配置された2つのビス孔14fと、先端側に配置された2つのビス孔14gとが形成されている。ビス孔14fは、ガイド部16cに形成されたネジ孔16eに対向した位置に形成され、ビス孔14gは、ボス部16dに形成されたネジ穴16fに対向した位置に形成されている。第2側カバー14は、ビス孔14cから挿入されて側板11のネジ穴11dにねじ込まれる4本の取付ビス36及びビス孔14f,14gから挿入され側板11のネジ穴16e,16fにねじ込まれる4本の取付ビス37によりリールフレーム5に締結されている。
【0027】
ハンドル組立体2は、図1〜図3に示すように、ハンドル軸30の先端に回転不能に装着されたクランクアーム6と、クランクアーム6の一端にクランクアーム6の一端部と直交する第1軸回りに回転自在に装着されたハンドル把手7とを有している。ハンドル組立体2において、ハンドル把手7の基端部の回転平面がクランクアーム6のハンドル軸30への固定部分の回転平面よりリール本体1側に接近している。このことにより、ハンドル把手7と釣り竿Rとの距離が従来に比べて近くなり、ハンドル把手7を回して釣り糸を巻き上げたときの釣り竿Rを回す方向のトルクが小さくなり、ハンドル巻き上げ効率の低下を効果的に抑えることができる。
【0028】
スプール15は、図2に示すように、1対の側板10,11間に回転自在に配置されている。スプール15の中心にはスプール軸25が貫通して固定されている。スプール軸25は第1側カバー13及び側板11に軸受26a,26bを介して回転自在に支持されている。スプール15の外径はリール本体1の側板10の外径の60%〜90%の範囲であり、従来に比べてスプール15の外径がリール本体1の外径に対して大きくなっており、リール本体1の小型化が図られている。
【0029】
側板11と第2側カバー14の間の空間には、ハンドル組立体2からのトルクをスプール15に伝えるための回転伝達機構20と、回転伝達機構20内に設けられたクラッチ機構21と、クラッチ機構21をオンオフ操作するためのクラッチ操作機構22とが配置されている。
【0030】
回転伝達機構20は、スプール15からハンドル組立体2側にトルクが逆に伝達された場合のトルクを規制するための回転制御機構23を含んでいる。また、側板11の中心部には糸繰り出し方向に自由回転するスプール15を制動するための遠心ブレーキ機構24が配置されている。側板10の外側で第1側カバー13内には、スプール15回転時に発音させる発音機構や根がかりしたとき等にスプール15を完全にロックして糸切れしやすくするためのロック機構等が配置されている。
【0031】
回転伝達機構20は、一端にハンドル組立体2が固定されたハンドル軸30と、ハンドル軸30の他端に回転制御機構23を介して連結されたメインギア31と、メインギア31に噛み合うピニオンギア32とを有している。ピニオンギア32とメインギア31とのギア比は、1:6程度であり、スプール15のハイスピード化を図っている。
【0032】
ハンドル軸30は、スプール軸25と平行に配置されており、一端側が軸受26bにより側板11に回転自在に支持されている。メインギア31は、ハンドル軸30の一端側に回転制御機構23を介して相対回転不能に連結することが可能である。このような構成では、クラッチ機構21がオンされた状態では、ハンドル組立体2からのトルクがスプール15に直接伝達される。
【0033】
クラッチ機構21は、スプール軸25の外周部にスライド自在に装着された筒状のピニオンギア32と、ピニオンギア32の一部に配置された係合溝32aとスプール軸25に配置されたピン33とを有している。スプール軸25に沿ってピニオンギア32を摺動させて、係合溝32aをピン33と係合すれば、スプール軸25とピニオンギア32との間で回転力が伝達される。この状態が連結状態(クラッチオン状態)である。係合溝32aとピン33の係合を外せば、スプール軸25とピニオンギア32との間で回転力は伝達されない。この状態が遮断状態(クラッチオフ状態)である。クラッチオフ状態では、スプール15は自由に回転する。ピニオンギア32は、クラッチ操作機構22により係合溝32aとピン33とが係合する方向すなわちクラッチオン状態に付勢されている。
【0034】
回転制御機構23は、ハンドル軸30を糸巻取方向にのみ回転させる(糸繰り出し方向の回転を禁止する)ローラ型のワンウェイクラッチ機構55と、スプール15の糸繰り出し方向の回転に対して設定した制動力を作用させるためのドラグ機構57と、ハンドル軸30を糸巻取方向にのみ回転させる爪式のラチェット機構60とを有している。ラチェット機構60は、図5に示すように、ハンドル軸30に回転不能に装着されたラチェットホイール61とラチェットホイールに噛み合い可能なラチェット爪62とを有している。
【0035】
クラッチ操作機構22は、図4に示すように、リール本体1の第2側カバー14に図3に実線で示す連結姿勢と2点鎖線で示す遮断姿勢との間で揺動自在に装着されたクラッチ操作部材40を有している。また、クラッチ操作機構22は、図5に示すように、第2側カバー14内の空間に配置されたクラッチプレート42及びクラッチヨーク43を有している。クラッチプレート42は、クラッチ操作部材40の揺動により連結位置と遮断位置との間で往復移動する。クラッチヨーク43は、ガイド部16cに案内されてクラッチプレート42の移動によりスプール軸25の軸方向に移動し、ピニオンギア32を連結状態と遮断状態とに切り換える。
【0036】
次に、両軸受リールの使用時におけるリールの動作について説明する。
釣り糸を繰り出す時には、クラッチ操作部材40を連結姿勢から遮断姿勢側に揺動させる。すると、クラッチ機構21がクラッチオフ状態になる。これによりスプール15が自由回転状態になり、ジグ(仕掛け)の自重によりスプール15が糸繰り出し方向に回転し、釣り糸がスプール15から繰り出される。ジグが海底に到達するとハンドル組立体2を糸巻取方向に回転させてバーチカルジギングを開始する。ハンドル組立体2を糸巻取方向に回転させると、図示しないクラッチ復帰機構によりクラッチオン状態になる。
【0037】
バーチカルジギングを行うときには、たとえば、左の脇に釣り竿Rの図示しない後端部を挟み、リール本体1の後部に固定されたサムレスト17に左手の親指を置き、残りの指で釣り竿Rを掴んでリールと釣り竿Rとを保持し、左手で釣り竿Rをしゃくりつつ右手でハンドル組立体2のハンドル把手7をつまみ、高速でハンドル軸30を回すポンピング動作を繰り返す。
【0038】
ハンドル組立体2を糸巻取方向に回転させると、ハンドル組立体2の回転がハンドル軸30からワンウェイクラッチ機構55、ドラグ機構57を介してメインギア31にそのまま伝達される。このときクラッチ機構21はクラッチオン状態であるため、メインギア31の回転はピニオンギア32からスプール15に伝達されて、釣り糸が巻き上げられる。このとき、ワンウェイクラッチ機構55及びラチェット機構60では、回転が糸巻取方向であるので回転を許容する。
【0039】
次に、魚の引きなどで釣り糸が繰り出される際には、スプール15の回転がメインギア31に伝達され、ドラグ機構57を介してハンドル軸30およびワンウェイクラッチ機構55に伝わる。ワンウェイクラッチ機構55ではハンドル軸30の逆転が禁止される。魚の引きが弱ければ、スプール15は回転せず釣糸が引き出されることもない。そして、魚の引きが強くなりスプール15の回転力が大きくなると、伝達される回転力がドラグ機構57の設定回転抵抗力を超える。すると、ドラグ機構57で滑りが生じるので、メインギア31を含むスプール15側は回転を始める。このとき、スプール15には常にドラグ機構57から一定の抵抗力すなわちドラグ力が作用する。
【0040】
このような動作を行うとき、第2側カバー14がリールフレーム5に直接締結されているので、リール本体1の強度が高くなり、リールに高負荷が作用しても、巻き上げ効率が落ちたり、スプール15の回転効率が落ちたりしにくい。
【0041】
〔他の実施形態〕
(a) 前記実施形態では、第1側カバー13を側板10と別体にしたが、第1側カバー13と側板10とを一体に形成してもよい。
【0042】
(b) 前記実施形態では、リールフレーム5と第1,第2側カバー13,14を全て金属製にしたが、リールフレーム5と第1,第2側カバー13,14のうち少なくとも一つが金属製であってもよい。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、リールフレームの一側の側板の少なくとも一部の外周面が非円形に切削加工されているので、ギア比を大きくしてもスプール径に対して外径をあまり大きくすることなくハンドル装着側の側板と側カバーとの間にメインギアを収納可能である。このため、別にカバー部材を設ける必要がなくなり、ギア比が大きなリール本体において簡素な構成で小型化を図れかつ強度を高く維持できる。しかも、リールフレームの全ての外周面を非円形に切削加工すれば、これまでにない新規の意匠が得られ高級感をさらに増大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を採用した両軸受リールの斜視図。
【図2】その断面図。
【図3】その側面図。
【図4】リール本体の分解斜視図。
【図5】図2のV−V断面図。
【符号の説明】
1 リール本体
2 ハンドル
4 竿取付脚
10,11 側板
11a 円形部
11b 突出部
12 連結部
13,14 第1側カバー,第2側カバー
15 スプール
Claims (6)
- 釣り竿に装着され、一側に装着されたハンドルの回転により前記釣り竿の長手方向と交差する軸回りに回転するスプールで釣り糸を巻き取る両軸受リールのリール本体であって、
前記長手方向と交差する方向に間隔を隔てて配置された1対の側板と、前記両側板を連結する複数の連結部材と、前記釣り竿に装着するために前記連結部材に設けられた竿取付部とを有し、前記一側の側板を含む一部又は全部の外周面が非円周面となるように刃物をワークに対して回転に同期して前後移動させる旋削加工により切削加工され、残りの外周面が円周面となるように切削加工されたリールフレームと、
前記1対の側板の外方をそれぞれ覆う1対の側カバーとを備え、
前記一側の側板は、円形部と、前記円形部から径方向前下方に突出し外周面が滑らかな凸面からなる突出部とを有し、前記円形部と前記突出部とが滑らかに連続している、両軸受リールのリール本体。 - 前記一側の側板の少なくとも一部の外周面が非円周面となるように旋削加工され、残りの外周面が円周面となるように旋削加工されている、請求項1に記載の両軸受リールのリール本体。
- 前記一側の側板とその外方を覆う側カバーとの間に前記ハンドルの回転を前記スプールに伝達するための回転伝達機構が装着されている、請求項1又は2に記載の両軸受リールのリール本体。
- 前記リールフレーム及び1対の側カバーのうち少なくとも一つは金属製である、請求項1から3のいずれかに記載の両軸受リールのリール本体。
- 前記リールフレームはアルミニウム合金を鍛造成形して得られる、請求項4に記載の両軸受リールのリール本体。
- 前記側カバーはアルミニウム合金をプレス成形して得られる、請求項4又は5に記載の両軸受リールのリール本体。
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