JP3773151B2 - 細胞内成分の分析法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、細胞内成分の分析法および試薬キットに関する。
【0002】
【従来の技術】
食品衛生、バイオ、臨床検査、医学、超純水、環境などの分野では、試料中に含まれる細胞から細胞内成分を抽出し、該成分を分析することが日常的に行なわれている。
【0003】
細胞内成分を分析することの目的は、多種多様であるが、例えば、細胞内成分の有無や含量・活性の測定、核酸の増幅、試料中の微生物の測定(微生物の有無や種類の判定、生菌数の測定等)等である。
【0004】
細胞内成分の抽出法としては、細胞を含む試料に、細胞内成分を抽出するための試薬(以下「抽出試薬」という)を添加する方法が知られている。抽出試薬としては、界面活性剤、トリクロロ酢酸、リゾチームなどの溶菌酵素、エタノール等を有効成分とするものが使用されている。
【0005】
上記の抽出試薬のうち、比較的多用されているのは、界面活性剤を有効成分とするものである。界面活性剤を有効成分とする抽出試薬を使用する方法(以下「界面活性剤法」という)において、界面活性剤としては、アニオン界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸カリウム、モノラウロイルリン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等)、カチオン界面活性剤(例えば塩化ベンザルコニウム(BAC)、塩化ベンゼトニウム(BZC)、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム等)、両性界面活性剤(例えばTwittergent Detergent 3-08, 3-10, 3-12, 3-14, 3-16、Tego等)、非イオン界面活性剤(例えば、Tween 20, 60, 80、Span 60, 80、 Triton X-45, X-100, ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等)等が用いられている。
【0006】
界面活性剤法では、抽出試薬中の界面活性剤の濃度が高いほど細胞内成分の抽出効率は高まる。しかしながら、界面活性剤の濃度が高いほど、界面活性剤が細胞内成分の分析工程を阻害し、分析感度および精度の低下を招くという問題があった。
【0007】
微生物の測定法として、細胞内成分であるアデノシン3リン酸(ATP)を生物発光法により測定する方法が知られている。発光法によるATPの測定法は、簡便で、測定時間が短く、さらに高感度であるために非常に有効な方法である。生物発光法としては、一般に、ルシフェリン−ルシフェラーゼ発光反応法が使用されている。
【0008】
ルシフェリン−ルシフェラーゼ発光反応法を利用して細胞数を測定する方法において、ATPの抽出法として界面活性剤法を採用した場合、界面活性剤の濃度が高いほどATPの抽出効率は高まるが、発光反応が阻害され、測定感度および精度の低下につながる。その原因は、界面活性剤との接触により酵素ルシフェラーゼが失活し、発光が急激に減衰するためと考えられている。一方、界面活性剤の濃度が低いと発光反応の阻害を小さくできるが、ATPの抽出効率が不十分となる。
【0009】
細胞内ATPの抽出は、細胞を含む試料に抽出試薬を添加することにより成し遂げられ、通常、界面活性剤の終濃度が0.005%前後となるように、抽出試薬が添加される。充分な抽出能力を発現させるためには、界面活性剤の終濃度が高い程よい。しかし、界面活性剤の終濃度が高い場合(例えば、終濃度が0.01%以上の場合)、界面活性剤が発光反応を著しく阻害するため、測定感度および精度が大きく低下するという問題があった。
【0010】
また、PCR法により核酸を増幅する場合、界面活性剤がPCR反応を阻害し、適当なPCR産物が形成されないという問題があった。
さらに、細胞内成分が酵素である場合、界面活性剤が抽出された酵素を変性あるいは失活させるという問題があった。
【0011】
界面活性剤による分析工程(例えば、生物発光反応)の阻害を抑制する物質として、サイクロデキストリンまたはその誘導体を使用する方法は公知である(特表平6−504200号)。また、細胞を含む試料を界面活性剤と接触させて細胞内ATPを抽出し、次いでルシフェリン−ルシフェラーゼ発光反応法により該ATPを測定する方法において、ATP抽出後の試料をサイクロデキストリンと接触させた後に発光反応法を適用することを特徴とする細胞内ATPの測定方法も公知である(特開平7−203995号)。
しかし、サイクロデキストリンを使用する方法においては、
(1)サイクロデキストリンは、それ自身が発光を阻害する。例えば、α-サイクロデキストリンは発光反応液中に1% の濃度で存在すると25% 程度、2% の濃度で存在すると50% 程度の強い発光阻害を示す。
(2)サイクロデキストリンは、高価である。最も中和能の優れるα-サイクロデキストリンは1kgあたり20,000円程度である。
という問題があった。
【0012】
上記の通り、界面活性剤を有効成分とする抽出試薬を使用する方法においては、細胞内成分を分析する工程(以下、単に「分析工程」という)を阻害せずに、細胞内成分を効率よく抽出する方法の確立が急務であった。
なお、ここでいう「分析工程」とは、細胞内成分を分析する工程そのもの、及び該分析のための前処理、さらには、細胞内成分を抽出する工程の後に実施される何らかの処理工程を意味する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、抽出試薬を使用して細胞内成分を抽出し、ついで該細胞内成分を分析する方法において、抽出試薬による分析工程の阻害を抑制することができ、且つ細胞内成分の抽出効率を低下させることがない方法を提供することである。また、本発明の目的は、上記の方法に用いられる試薬キットを提供することにある。
なお、ここでいう「抑制」とは、抽出試薬による分析工程の阻害を有意に低減すること、及び該阻害を完全に排除することを意味する。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、抽出試薬による分析工程の阻害を抑制(以下「抽出試薬の中和」または「中和」という)する物質として、分岐デキストリンが非常に優れていることを見いだし、その知見に基づいて本発明を完成した。すなわち本発明は、以下の工程を含むことを特徴とする細胞内成分の分析法である。
(1)細胞を含む試料に抽出試薬を加えて細胞内成分を抽出する工程
(2)抽出試薬を含む試料に分岐デキストリンまたはその誘導体を加える工程
(3)抽出された細胞内成分を分析する工程
また、本発明は、抽出試薬が界面活性剤を有効成分とするものである、上記に記載の細胞内成分の分析法である。
【0015】
さらに、本発明は、以下の構成成分を含むことを特徴とする、試薬キットである。
(a)抽出試薬(他の成分と分離して保存)
(b)分岐デキストリンまたはその誘導体
(c)細胞内成分の分析用試薬
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
<細胞内成分の分析法について>
1.細胞を含む試料について
細胞とは、動物、植物、微生物(例えば、酵母、カビ、キノコ、細菌、放線菌、単細胞藻類、ウイルス、原生動物等)等を由来とする細胞を意味する。
【0017】
試料とは、上記の細胞を含むものであれば特に限定されないが、例えば、飲食物、医薬、化粧品、海水、河川水、工業用水、下水、土壌、尿、糞便、血液、喀痰、膿汁、上記細胞の培養物等が挙げられる。また、上記の試料を、適当な溶媒(例えば、蒸留水、生理的食塩水、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液等)に懸濁した溶液を試料としてもよい。検体液が固形分を含む場合には、該検体液を適当な溶媒に懸濁するか、ミキサ−などでホモジナイズすれば溶液状のものと同様に扱うことができる。
【0018】
また、上記溶液状の試料を、親水性または疎水性の濾過膜で濾過して細胞を捕捉した後に該濾過膜を試料としてもよい。細胞を捕捉した濾過膜を試料とする場合、親水性濾過膜としては、例えば親水性ポリテトラフルオロエチレン、親水性ポリビニリデンフルオライド、親水性ポリアミド、アセチルセルロース、ニトロセルロース等を材料とするフィルム状又はシート状のものが使用できる。また、疎水性濾過膜としては、例えばPVDF(ポリビニリデンフルオライド)、PTFE(ポリトラフルオロエチレン)、PE(ポリエチレン)等を材料とするものが使用できる。
2.細胞内成分の抽出
本発明では、まず、細胞を含む試料に抽出試薬を加えて細胞内成分を抽出する。
【0019】
細胞内成分とは、細胞内に含まれる物質及び代謝産物であれば特に限定されないが、例えば、核酸、タンパク質、脂質、ビタミン、多糖類等が挙げられる。核酸としてはDNA、RNA、ATP、ADP、AMP、サイクリックAMP等が挙げられる。また、タンパク質としては酵素、ホルモン、各種ペプチド等が挙げられる。
【0020】
本発明の抽出試薬とは、以下の性質を有するものである。
(1)細胞内成分を抽出する機能を有するもの。
(2)分岐デキストリンまたはその誘導体により、中和されるもの。
本発明で使用する抽出試薬としては、例えば、界面活性剤を有効成分とするものが使用できる。界面活性剤としては、アニオン界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸カリウム、モノラウロイルリン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等)、カチオン界面活性剤(例えば塩化ベンザルコニウム(BAC)、塩化ベンゼトニウム(BZC)、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム等)、両性界面活性剤(例えばTwittergent Detergent 3-08, 3-10, 3-12, 3-14, 3-16、Tego等)、非イオン界面活性剤(例えば、Tween 20, 60, 80、Span 60, 80、 Triton X-45, X-100, ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等)等が使用できる。
【0021】
試料に抽出試薬を加えるときの条件、すなわち、抽出試薬の有効成分の種類や濃度、反応時間、温度等は特に限定されず、分析する細胞内成分の種類、試料や細胞の状態に応じて適宜設定すればよい。
【0022】
3.分岐デキストリンまたはその誘導体の添加
次いで、抽出試薬を含む試料に、分岐デキストリンまたはその誘導体(以下、「分岐デキストリン」と総称する)を加える。
本発明でいう分岐デキストリンは、分枝デキストリンとも言い、デンプンをアミラーゼで加水分解した際に生成される、分枝部分を含んだデキストリンを意味する。
【0023】
分岐デキストリンは、抽出試薬を中和できるものであれば、その種類、由来、分子量等は特に限定されず、コーン、甘藷、タピオカおよび馬鈴薯などを由来とするデンプンを原料として調製することが出来る。また、分岐デキストリンとしては、市販品を使用することもできる。市販品としては、BLD8、BLD12、BLD16(いずれも参松工業(株))、SR-7(オルガノ(株))、パインデックス#100(松谷化学工業(株))あるいはNSD N0.510(日本資糧工業(株))等が使用できる。
【0024】
分岐デキストリンは、界面活性剤と結合しコンプレックスを形成することにより中和作用を発揮すると考えられている。そこで、使用する分岐デキストリンの量は、形成されるコンプレックスの化学量論的量を考慮したモル量に基づいて、抽出剤より過剰に用いることが望ましい。
分岐デキストリンは、緩衝液または水に溶解して使用すればよい。
【0025】
抽出試薬を含む試料に分岐デキストリンを加えるときの条件、すなわち、分岐デキストリンの種類や濃度、反応時間、温度等は特に限定されず、使用した抽出試薬の種類、分析する細胞内成分の種類、試料や細胞の状態に応じて適宜設定すればよい。分析工程での界面活性剤の終濃度が0.01〜0.05%程度である場合は、通常、終濃度が0.1〜30%、好ましくは1〜10%となるように分岐デキストリンを添加すればよい。
分岐デキストリンを添加することにより、抽出試薬が中和され、分析工程を高感度かつ高精度に実施することができる。
【0026】
4.抽出された細胞内成分の分析
次いで、細胞内成分の分析用試薬を試料に添加し、抽出された細胞内成分を分析する。
細胞内成分を分析する方法及び分析用試薬は特に限定されず、細胞内成分の有無や含量・活性の測定、核酸の増幅、試料中の微生物の測定(微生物の有無や種類の判定、生菌数の測定等)等のために用いられる方法及び分析用試薬であればどのようなものでもよい。
【0027】
そのような方法としては、例えば、酵素を用いる方法、具体的にはDNAポリメラーゼを用いたPCR反応による核酸の増幅、ルシフェラーゼを用いた細胞内ATPの測定等があげられる。
細胞内成分がATPである場合、ATPの測定法としては、生物発光法に基づく方法、例えば、ルシフェリン-ルシフェラーゼ発光反応法が好適である。生物発光法は、簡便で、測定時間が短く、高感度である点で優れている。
【0028】
ルシフェリン-ルシフェラーゼ発光反応法では、試料に分析用試薬を加えて発光させ、その発光量を測定する。分析用試薬としては、ルシフェリン、ルシフェラーゼ、マグネシウムを含む生物発光試薬(以下「ルシフェリン−ルシフェラーゼ生物発光試薬」という)が使用できる。
【0029】
発光量の測定では、ルミノメーター、例えばキッコーマン(株)製ルミテスターK-100、アロカ社製ルミネッセンスリーダーBLR−201(改良型)、Berthold 社製Lumat LB9501等が使用できる。また、細胞を捕捉した濾過膜を試料とする場合、生物発光画像解析システム装置、例えばARGUSー50/CL〔テーパーファイバー付:浜松ホトニクス(株)製〕を用いて濾過膜上の輝点を撮像することにより、細胞数を測定することが可能である。
ルシフェリン-ルシフェラーゼ発光反応法を用いることにより、細胞内のATP量の測定、試料中の細胞数の測定等が可能となる。
【0030】
本発明のルシフェリンおよびルシフェラーゼとしては、例えば、昆虫(ゲンジボタル、ヘイケボタル、北米産ホタル、ロシアボタル、ヒカリコメツキムシ、ツチボタル等)を由来とするものが使用できる。ルシフェラーゼは、上記生物の発光組織から精製した天然型ルシフェラーゼや、遺伝子工学的手法により調製した天然型ルシフェラーゼ、さらには天然型ルシフェラーゼのアミノ酸配列中の1または複数のアミノ酸に付加、欠失、置換等の変異を導入した変異型ルシフェラーゼを使用することができる。
ルシフェリン−ルシフェラーゼ生物発光試薬としては、市販の試薬キット、例えば、「ルシフェ−ルLU」(キッコ−マン(株)製)を使用することも可能である。
【0031】
なお、本発明では、試料に分岐デキストリンを加える工程と、分析工程との順序は特に限定されない。すなわち、分岐デキストリンを加える工程の次に分析工程を実施してもよく、また、操作の簡便化のために両工程を同時に実施してもよい。両工程を同時に実施する場合は、分析用試薬に分岐デキストリンを加えた混合試薬を調製し、これを、抽出試薬を含む試料に添加すれればよい。
【0032】
<本発明の試薬キットについて>
本発明の試薬キットは、以下の構成成分を含むものである。
(a)抽出試薬(他の成分と分離して保存)
(b)分岐デキストリンまたはその誘導体
(c)細胞内成分の分析用試薬
上記成分のうち、成分(a)は、他の成分と分離して保存される。また、(b)と(c)とは別々にしてもよく、また両者を混合してもよい。操作の簡便化のため、各成分は適当な緩衝液に溶解されていることが好ましい。また、各成分には、試薬のpH調整や保存性向上に関与する物質を添加してもよい。そのような物質としては、例えば、EDTA 2Na、ジチオスレイトール、硫酸アンモニウム、シュークロース、2−メルカプトエタノール、HEPES、Tricine、Tris等が挙げられる。これらの物質は、上記(a)〜(c)とは別個の成分として試薬キットに加えてもよい。
【0033】
成分(c)は、分析すべき細胞内成分に応じて適宜選択される。細胞内ATPを分析する場合、成分(c)としては、例えば、生物発光試薬、具体的には、ルシフェリン-ルシフェラーゼ生物発光試薬が使用できる。生物発光試薬としては、市販の試薬キット、例えば、「ルシフェ−ルLU」(キッコ−マン(株)製)を使用することも可能である。
本発明の試薬キットを使用する場合は、上記細胞内成分の分析法に従い、各成分を試料に添加すればよい。
【0034】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
<実施例1>
(各種分岐デキストリンによる界面活性剤の中和)
1.分岐デキストリンについて
様々な原料から得られた各種分岐デキストリンの界面活性剤中和能を検討した。使用した12種の分岐デキストリンを表1に示す。これらのうちBLD8は参松工業(株)製の市販品であるが、その他のサンプルは、表中に示した各種デンプン原料をアミラーゼ処理することにより試験的に製造された。表中のDEとはデンプンの分解率を表す指標で、DEが低いほど粘度が高くなる。各種分岐デキストリンは10% (w/v)の濃度で25 mM Tricine (pH 7.75) に溶解して使用した。また、対照の中和剤として、α-サイクロデキストリン(αCD、メルシャン(株)製)を使用した。
【0035】
【表1】
【0036】
2.界面活性剤について
界面活性剤として、塩化ベンザルコニウム(BAC、日本薬局方のオスバン液)を0.1% の濃度で25 mM Tricine (pH 7.75)に溶解したものを使用した。
3.ATPの測定法
100 μl のATP溶液(2x10-8 M)に、50 μl の0.1% BACを添加し、さらに50 μlの分岐デキストリン溶液を添加した。その後、「ルシフェールLU」(キッコーマン(株)製)に付属の生物発光試薬50μl を添加し、生じた発光量をBerthold社製Lumat LB-9501を用い、1秒ごとに1分間に渡って経時的に測定した。
【0037】
4.結果
測定結果を図1〜2に示す。なお、0.1% BACの代わりに25 mM Tricine(pH 7.75)を用いた場合を「BACなし」、分岐デキストリン溶液の代わりに25 mM Tricine(pH 7.75)を用いた場合を「BACのみ」の結果として示した。図中、縦軸には発光量を、横軸には生物発光試薬添加後の経過時間を示す。
【0038】
「BACのみ」の場合、BACにより生物発光試薬中のルシフェラーゼが失活し、BACなしの結果と比べて初発発光量の低下および発光量の急激な減衰が認められた。界面活性剤の中和物質として知られるαCDを添加すると、初発発光量は低下するものの発光量の減衰が大幅に抑制された。各種分岐デキストリンはいずれもαCDと同様に発光の減衰を抑制し、特にサンプルA、D、F、G、IおよびBLD8は強い抑制効果を示した。
以上により、分岐デキストリンは、αCDと同様に界面活性剤によるルシフェラーゼの失活を中和し、発光の阻害を抑制する効果があることが認められた。
【0039】
<実施例2>
(各種中和剤自身による生物発光の阻害)
界面活性剤の中和剤として知られるサイクロデキストリンは、それ自身が生物発光阻害を示し、感度および精度の低下を引き起こす。そこで、分岐デキストリンの生物発光阻害を検討した。
【0040】
1.使用した分岐デキストリン
分岐デキストリンとして、BLD8、BLD12およびBLD16(いずれも参松工業(株)製)を、また対照としてα-サイクロデキストリン(αCD、メルシャン(株)製)を使用した。
【0041】
2.ATPの測定法
100 μl のATP溶液(2x10-8 M)に50 μl の25 mM Tricine(pH 7.75)を添加し、さらに50 μlの5% および10% の中和剤溶液(分岐デキストリンおよびαCD溶液)を添加した。その後、「ルシフェールLU」(キッコーマン(株)製)に付属の生物発光試薬50μlを添加し、生じた発光量をBerthold社製Lumat LB-9501を用い、待ち時間5秒、積算時間3秒の測定条件で測定した。
【0042】
測定値と共に、中和剤なし、すなわち中和剤溶液の代わりに25 mM Tricine(pH 7.75)を用いた場合の発光量を100%とした際の、各中和剤使用時の発光量の相対比を表2に示した。
【0043】
【表2】
【0044】
3.結果
αCDは5%溶液使用時(発光反応時の濃度1%)で25% 程度、10%溶液使用時(発光反応時の濃度2%)で50% 程度の強い発光阻害を示した。一方、分岐デキストリン3種はほとんど発光阻害を示さず、10%溶液使用時でも数%程度の阻害にとどまった。従って、分岐デキストリンは、中和剤として同様に用いられるαCDより発光阻害が少なく、測定感度および精度面で有利であることが示された。
【0045】
<実施例3>
(分岐デキストリンによる各種界面活性剤の中和)
各種界面活性剤に対する分岐デキストリンの中和作用について検討した。
1.使用した分岐デキストリン
分岐デキストリンとしてBLD8、BLD12およびBLD16を使用した。また、対照としてα-サイクロデキストリン(αCD、メルシャン(株)製)を使用した。
分岐デキストリンまたはαCD を、10% (w/v)で25 mM Tricine(pH 7.75)に溶解し、中和剤溶液として使用した。
1.使用した界面活性剤
界面活性剤として塩化ベンザルコニウム(BAC、日本薬局方のオスバン液)、塩化ベンゼトニウム(BZC、日本薬局方のハイアミン液)、Twittergent 3-16(Calbiochem社製)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS、和光純薬(株)製)、Triton X-100(和光純薬(株)製)を使用した。上記の界面活性剤を、0.1%または0.01%の濃度で25 mM Tricine (pH 7.75)に溶解したものを界面活性剤溶液とした。
【0046】
3.ATPの測定法
実施例1と同様、100 μl のATP溶液(2x10-8 M)に50 μl の界面活性剤溶液を添加し、さらに50 μlの中和剤溶液を添加した。その後、「ルシフェールLU」(キッコーマン(株)製)に付属の生物発光試薬50μlを添加し、生じた発光量をBerthold社製Lumat LB-9501を用い、1秒ごとに30秒間に渡って経時的に測定した。
【0047】
4.結果
(1)界面活性剤として、0.1% 塩化ベンザルコニウム(BAC)を用いた結果を図3に示す。BACの場合、BACのみの初発発光量はBACなしと比べるとやや低く、また、発光量の急激な減衰が認められた。これは、BACの影響により生物発光試薬中のルシフェラーゼが失活したためであると考えられた。
中和剤としてαCDを用いた場合、発光量の経時的な減衰が抑制された。分岐デキストリンを用いた場合も、αCDと同様に経時的な発光量の減衰を抑制することができた。従って、分岐デキストリンはαCDと同様にBACに対する中和作用を示すことが明らかとなった。
【0048】
また、いずれの分岐デキストリンを用いてもαCDより初発発光量が高く、経時的に得られる発光量は常にαCDより高かった。
従って、BACに対しては中和剤として分岐デキストリンを用いた方が高い発光量が得られるため、中和作用は分岐デキストリンの方がαCDより優れていることが示された。
(2)界面活性剤として、0.1% 塩化ベンゼトニウム(BZC)を用いた結果を図4に示す。
【0049】
BZCのみの発光経過は、初発発光量がBZCなしの場合と比べて低く、また発光の減衰も急激であった。中和剤としてαCDを用いた場合、経時的な発光の減衰が抑制された。分岐デキストリンを用いた場合も、経時的な発光量の減衰を抑制することができた。従って、分岐デキストリンはαCDと同様にBZCに対する中和作用を示すことが明らかとなった。
また、いずれの分岐デキストリンを用いてもαCDより初発発光量が高く、経時的に得られる発光量は常にαCDより高かった。
従って、BZCに対しては中和剤として分岐デキストリンを用いた方が高い発光量が得られるため、中和作用は分岐デキストリンの方がαCDより優れていることが示された。
【0050】
(3)界面活性剤として、0.1% Twittergent 3-16を用いた結果を図5に示す。Twittergent 3-16のみの場合の発光経過は、初発発光量がTwittergent 3-16なしの時の1/3と極めて低く、また発光の減衰も急激であった。中和剤としてαCDを用いた場合、初発発光量および発光の減衰共に大幅に改善された。一方、分岐デキストリンを用いた場合、初発発光量および発光の減衰共にαCDの場合より更に改善され、特にBLD8およびBLD12は優れた中和能を示した。
【0051】
従って、Twittergent 3-16に対しては中和剤として分岐デキストリンを用いた方が高い発光量が得られるため、中和作用は分岐デキストリンの方がαCDより優れていることが示された。
【0052】
(4)界面活性剤として、0.01% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用いた結果を図6に示す。SDSのみの発光経過はSDSなしに比べ著しく低い発光量で推移した。これは、生物発光試薬中のルシフェラーゼがSDSにより阻害を受け、発光量が全体的に低下するためである。中和剤としてαCDを用いた場合、発光量は中和剤なしの場合より高い値で推移した。一方分岐デキストリンを用いた場合も、αCDの場合と同様に発光量は高い値で推移した。
【0053】
従って、分岐デキストリンはSDSに対してもαCDと同様の中和作用を示すことが明らかとなった。特にBLD8およびBLD12を用いた場合はαCDより高い発光量が得られるため、これら分岐デキストリンの中和作用はαCDより優れていることが示された。
【0054】
(5)界面活性剤として、0.01% Triton X-100を用いた結果を図7に示す。Triton X-100 を用いた場合は、発光経過は、 Triton X-100 なしの場合より若干低い程度であり、 Triton X-100 は、ほとんど発光反応に悪影響を及ぼさなかった。中和剤としてαCDを用いた場合、αCD自身の発光阻害によって発光量は低い値で推移した。一方、分岐デキストリンを用いた場合の発光経過はいずれもTriton X-100のみとほぼ同じか、若干低い発光量で推移した。
【0056】
<実施例4>
(細胞内ATPの測定)
次に、本発明法による微生物細胞内ATPの測定を、従来法3種による測定と比較して示す。
従来法1として、トリクロロ酢酸(TCA)を用いるTCA抽出法により細胞内ATPを抽出し、抽出されたATP量をルシフェリン-ルシフェラーゼ発光反応法により測定する方法を採用した。TCA抽出法は、ATPの抽出効率が非常に優れている。しかしTCAはルシフェリン-ルシフェラーゼ発光反応を強く阻害するため、反応液を大きく希釈する必要がある。このため、この方法は操作が煩雑であり、希釈により測定感度の低下が起こるという問題がある。
【0057】
従来法2として、界面活性剤によりATPを抽出し、抽出されたATP量を中和剤なしでルシフェリン-ルシフェラーゼ発光反応法により測定する方法を採用した。
従来法3として、界面活性剤によりATPを抽出し、その作用をサイクロデキストリンで中和した後に抽出されたATP量をルシフェリン-ルシフェラーゼ発光反応法により測定する方法を採用した(特表平6-504200、特開平7-203995)。
【0058】
1.使用した分岐デキストリン
分岐デキストリンとしてBLD8を使用した。また、対照としてα-サイクロデキストリン(αCD、メルシャン(株)製)を使用した。
2.使用した界面活性剤
界面活性剤として、塩化ベンザルコニウム(BAC、日本薬局方のオスバン液)、塩化ベンゼトニウム(BZC、日本薬局方のハイアミン液)を使用した。上記界面活性剤を0.1%の濃度で25 mM Tricine (pH 7.75)に溶解したものを、界面活性剤溶液とした。
3.使用した微生物
微生物として、Escherichia coli (ATCC 25922)、Staphylococcus aureus (ATCC 25923)およびBacillus subtilis (ATCC 9372)の3菌種を用いた。上記微生物を普通ブイヨン培地(栄研化学(株)製)で一晩35℃で培養した培養液を測定試料として用いた。
【0059】
なお、従来法1ではTCAによる発光の阻害を避けるため、抽出したATP量を測定する前に試料を100倍に希釈する必要がある。そこで、従来法1では一晩培養液原液を試料として用い、その他の測定法ではその100倍希釈液を試料として用いた。
【0060】
4.細胞内ATPの測定法について
(1)本発明法について
測定試料100 μl に50 μl の界面活性剤溶液を添加して20秒間放置し、微生物よりATPを抽出した。次いで、50 μl の10% 分岐デキストリン溶液を添加した。さらに100 μ l の「ルシフェールLU」(キッコーマン(株)製)に付属の生物発光試薬を添加後、直ちに発光量を測定した。
【0061】
(2)従来法1
測定試料100 μl に等量の5% トリクロロ酢酸溶液を加えて1分間放置し、微生物よりATPを抽出した。その抽出液に9.8 mlの25 mM Tricine (pH 7.75) を添加してよく撹拌した。この試料100 μl を発光測定用チューブに取り、100 μlの25 mM Tricine (pH 7.75) および「ルシフェールLU」(キッコーマン(株)製)に付属の生物発光試薬100 μl を添加、直ちに発光量を測定した。
【0062】
(3)従来法2
測定試料100 μl に50 μl の界面活性剤溶液を添加して20秒間放置し、微生物よりATPを抽出した。次いで、50 μl の25 mM Tricine (pH 7.75)を添加した。さらに100 μ l の「ルシフェールLU」(キッコーマン(株)製)に付属の生物発光試薬を添加後、直ちに発光量を測定した。
(4)従来法3
測定試料100 μl に50 μl の界面活性剤溶液を添加して20秒間放置し、微生物よりATPを抽出した。次いで、50 μl の10% α-サイクロデキストリン(αCD)溶液を添加した。さらに100 μ l の「ルシフェールLU」(キッコーマン(株)製)に付属の生物発光試薬を添加後、直ちに発光量を測定した。
【0063】
5.結果
界面活性剤として塩化ベンザルコニウム(BAC)を用いた場合に各測定法により得られた発光量を表3に示す。また、TCA抽出法である従来法1で得られた発光量を100%とした際の、各測定法で得られた発光量の相対比も表中に示した。
【0064】
【表3】
【0065】
従来法2、すなわち中和剤なしの時の発光量はTCA抽出法である従来法1の3〜4割程度であり、著しく発光の阻害を受けているのがわかる。従来法3、すなわち中和剤としてαCDを用いた場合、発光量は中和剤なしの従来法2より大きくなるものの、TCA抽出法である従来法1の5割程度にとどまった。
【0066】
一方、本発明法、すなわち中和剤として分岐デキストリンを用いた場合、発光量はTCA抽出法である従来法1の6〜8割と中和剤なしの従来法2の倍程度にまで増加し、従って感度および精度面での大幅な改善が認められた。その発光量は中和剤としてαCDを用いる従来法2を上回り、従ってBACを用いた微生物ATPの測定において、分岐デキストリンの中和作用はαCDより優れていることが示された。
【0067】
(2)界面活性剤として塩化ベンゼトニウム(BZC)を用いた場合に各測定法により得られた発光量を表4に示す。また、TCA抽出法である従来法1で得られた発光量を100%とした際の、各測定法で得られた発光量の相対比も表中に示した。
【0068】
【表4】
【0069】
従来法2、すなわち中和剤なしの時の発光量はTCA抽出法である従来法1の3割前後であり、BACの時と同様に著しく発光の阻害を受けているのがわかる。従来法3、すなわち中和剤としてαCDを用いても、発光量は中和剤なしの時より若干大きくなるにとどまった。
【0070】
一方、本発明法、すなわち中和剤として分岐デキストリンを用いた場合、発光量はTCA抽出法である従来法1で得られる発光量の5〜6割と中和剤なしの従来法2の倍程度にまで増加し、従って感度および精度面での大幅な改善が認められた。その発光量は中和剤としてαCDを用いる従来法2を上回り、従って分岐デキストリンの中和剤としての特性は、BZCを用いた微生物ATPの測定においてもαCDより優れていることが示された
【0071】
【本発明の効果】
分岐デキストリンは、抽出試薬による分析工程の阻害を抑制する物質として非常に優れている。また、分岐デキストリンは、以下のような利点も有する。
(1)分岐デキストリンは、サイクロデキストリンに比べて生物発光反応に対する阻害が弱い(α-サイクロデキストリンは発光反応液中に1% の濃度で存在すると25% 程度、2% の濃度で存在すると50% 程度の強い発光阻害を示す。一方、分岐デキストリンはほとんど発光阻害を示さず、発光反応液中に2% の濃度で存在しても数%程度しか阻害しない)。
【0072】
(2)分岐デキストリンは経済的である(サイクロデキストリンのうち最も中和能の優れるα-サイクロデキストリンは1kgあたり20,000円程度である。一方、分岐デキストリンは200円程度であり、α-サイクロデキストリンの1/100程度の価格である)。
【0073】
本発明は、界面活性剤を有効成分とする抽出試薬を使用する場合において特に好適に使用できるので、細胞内ATPをはじめとする、各種の細胞内成分の分析法として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、各種分岐デキストリンによる、発光阻害の中和効果を示す。
【図2】図2は、各種分岐デキストリンによる、発光阻害の中和効果を示す。
【図3】図3は、分岐デキストリンによる、BACの中和効果を示す。
【図4】図4は、分岐デキストリンによる、BZCの中和効果を示す。
【図5】図5は、分岐デキストリンによる、Twinttergent 3-16の中和効果を示す。
【図6】図6は、分岐デキストリンによる、SDSの中和効果を示す。
【図7】図7は、分岐デキストリンによる、Triton X-100の中和効果を示す。
Claims (6)
- 以下の工程を含むことを特徴とする細胞内成分の分析法。
(1)細胞を含む試料に抽出試薬を加えて細胞内成分を抽出する工程
(2)抽出試薬を含む試料に分岐デキストリンを加える工程
(3)抽出された細胞内成分を、ルシフェリン−ルシフェラーゼ発光反応法により分析する工程 - 抽出試薬が界面活性剤を有効成分とするものである、請求項1に記載の分析法。
- 細胞内成分がATPである、請求項1または2に記載の分析法。
- 抽出された細胞内成分を分析する方法が、微生物の有無の測定又は生菌数の測定を目的とする方法である、請求項1〜3のいずれかに記載の分析法。
- 下記の構成成分を含む試薬キット。
(a)抽出試薬
(b)分岐デキストリン
(c)ルシフェリン−ルシフェラーゼ生物発光試薬を含む、細胞内成分の分析用試薬 - 抽出試薬が界面活性剤を有効成分とするものである、請求項5記載の試薬キット。
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