JP3772712B2 - 制振装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、各種の振動部材に装着されることにより振動を低減する制振装置に係り、例えば、自動車のサスペンション部材やサブフレーム,ボデーパネル,エンジンユニット,マウントブラケット,排気系部材等における振動を抑える自動車用制振装置として有利に採用され得る、新規な構造の制振装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、例えば自動車のボデーやステアリング,インストルメントパネル,サスペンション部材等の各種の振動部材において問題となる振動を低減する方法としては、▲1▼振動部材にマス材を固設するマスダンパや、▲2▼振動部材にバネ材を介してマス材を連結支持せしめるダイナミックダンパ、或いは、▲3▼振動部材の表面にシート状弾性材を貼着した制振材等が、知られている。ところが、上記▲1▼マスダンパと▲2▼ダイナミックダンパは、何れも、大きなマス材の質量が必要になることに加えて、有効な制振効果の発揮される周波数域が狭いという問題があった。また、上記▲3▼制振材は、広い貼着面積が必要になると共に、重量が嵩むという問題があった。更に、上記▲2▼ダイナミックダンパと▲3▼制振材は、制振効果の温度依存性が高いために、目的とする制振効果を安定して得ることが難しいという問題もあったのである。
【0003】
そこで、本出願人は、先に、国際公開WO00/14429号公報において、振動部材に固着されるハウジングに対して、隙間を隔てて非接着で相対変位可能にマス部材を配設せしめて、振動入力時に、かかるマス部材をハウジングに対して弾性的な当接面で当接させることにより、当接時における滑り摩擦と衝突によるエネルギ損失を利用して制振効果を得るようにした、新規な構造の車両用制振装置を提案した。このような構造の車両用制振装置においては、小さなマス質量により、広い周波数域に亘る振動に対して有効な制振効果を得ることが出来るのである。
【0004】
ところで、本発明者等が更なる検討を加えた結果、かかる国際公開WO00/14429号公報に記載された車両用制振装置においては、マス部材の質量や、マス部材と振動部材の当接部を構成する弾性部材のばね剛性を調節することによって、振動部材における特定周波数域の振動に対する制振効果が顕著に向上され得ることが確認された。なお、このような現象は、制振効果の周波数特性等を検討したところ、マス部材の振動部材に対する打ち当たりに伴う相対変位が、共振的作用を発揮することに基づくものであろうと推考される。
【0005】
ところが、マス部材の共振的作用に基づく制振効果が発揮される周波数域を制振すべき振動周波数域にチューニングするに際しては、マス部材の大きさが配設スペース等の条件で制限されることが多く、また、マス部材と振動部材の当接部位を構成する弾性部材のばね剛性の低下が耐久性等の条件で制限されることが多いことから、チューニングの幅が制限されてしまうという問題があった。特に、マス部材における大きな質量や、当接部を構成する弾性部材における低ばね定数が要求される低周波数域に制振すべき振動周波数が存在する場合には、制振すべき振動周波数域へのチューニングが困難であり、十分な制振効果を得ることが難しかったのである。
【0006】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、マス部材と振動部材の当接部位における耐久性を確保しつつ、当接部位のばね剛性を小さく設定し、それによって、振動エネルギの小さい低周波微振幅振動等に対しても、マス部材の振動部材への当接に基づく制振効果が有効に発揮され得る、改良された構造の制振装置を提供することにある。
【0007】
また、本発明は、複数の方向から入力される振動に対して、それぞれ、目的とする制振効果を有効に発揮し得る制振装置を提供することも、目的とする。
【0008】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0009】
すなわち、本発明の第一の態様は、内部に中空の収容空所が形成されて防振すべき振動部材に取り付けられる中空ハウジングにおける該収容空所に対して、球状のマス部材を収容配置せしめて、該マス部材と該中空ハウジングの該収容空所内面との間に微小隙間を設けることにより、該マス部材が該収容空所内で該中空ハウジングから独立して微小距離の自由変位が許容されるようにすると共に、該マス部材の自由変位によって該マス部材が該中空ハウジングの該収容空所内面に対して複数箇所で当接せしめられるようにした制振装置において、前記中空ハウジングにおける前記マス部材の複数の振動入力方向における当接部位を、該マス部材の当接方向の荷重によって剪断変形せしめられる弾性部材で構成し、且つ、該中空ハウジングを、筒状の周壁部と、該周壁部の軸方向両側を閉塞せしめる一対の板状の蓋壁部によって構成して、それら周壁部と一対の蓋壁部で該弾性部材を構成したことを、特徴とする。
【0010】
このような本態様に従う構造とされた制振装置においては、振動部材における制振すべき振動が入力されてマス部材が中空ハウジングの収容空所の内面に打ち当った際に、中空ハウジングにおけるマス部材の当接部位を構成する弾性部材が剪断変形せしめられることから、弾性部材が圧縮変形せしめられる場合に比して、かかる弾性部材の材料を特別に変更しなくても、中空ハウジングにおけるマス部材の複数の振動入力方向における当接部位のばね定数を小さくすることが出来るのであり、それによって、マス部材の大形化や弾性部材の耐久性の低下を軽減乃至は回避しつつ、マス部材の中空ハウジングに対する打ち当たりを伴う相対変位が、低周波数域で共振的作用をもつようにチューニングすることが可能となる。
【0011】
そこにおいて、特に本態様に係る制振装置においては、マス部材の複数の変位方向での中空ハウジングにおける当接部位が、マス部材の当接によって剪断変形せしめられる弾性部材で構成されていることから、制振すべき低周波微振幅振動が複数の方向から入力される場合においても、それら複数の振動入力方向において、それぞれ、マス部材の中空ハウジングへの打ち当たりを伴う相対変位が、低周波数域で共振的作用をもつようにチューニングすることが可能となるのである。
【0012】
従って、例えば自動車における振動のように小さなエネルギの振動が複数の方向に入力される場合であっても、それら複数の振動入力方向でマス部材の中空ハウジングに対する打ち当たり(当接)に際して生ぜしめられる共振的作用に基づいて、複数の振動入力方向において中空ハウジングに対するマス部材の振幅倍率を、それぞれ1以上とすることが可能となる。それ故、複数の方向の何れの振動入力時にも、マス部材が中空ハウジングに対して効率的に飛び跳ね変位せしめられることとなり、例えばサスペンション部材やサブフレーム等の自動車における振動部材のように、振動部材において制振すべき振動の加速度が1G(重力加速度)以下の場合でも、複数の振動入力方向でマス部材を中空ハウジングに対して飛び上がらせて飛び跳ね変位せしめることが可能となることから、マス部材の中空ハウジングへの打ち当たり(当接)に基づいて発揮される制振効果を、自動車における振動のように複数の方向に入力される小さなエネルギの振動に対しても、有利に得ることが可能となるのである。
【0013】
のような本態様に従う構造とされた制振装置においては、中空ハウジングにおけるマス部材の複数の当接部位を、筒状の周壁部と一対の蓋壁部によって有利に構成することが出来る。
【0014】
また、かかる第の態様における筒状の周壁部としては、例えば、矩形筒体形状や円筒体形状が好適に採用される。そこにおいて、矩形筒体形状の周壁部を採用する場合には、マス部材の中空ハウジングに対する当接を点当接に近くすることが可能となり、それによって、マス部材の中空ハウジングに対する当接状態の安定化が図られ得て、マス部材の中空ハウジングに対する打ち当たり(当接)を伴う相対変位が、低周波数域で共振的作用をもつようにチューニングすることが容易となる。また、円筒体形状の周壁部を採用する場合には、マス部材の中空ハウジングに対する打ち当たり(当接)条件を、多数の軸直角方向において略均一に実現することが可能となり、それによって、より多くの方向の振動に対して、有効な制振効果を得ることが可能となる。
【0015】
また、第の態様における中空ハウジングとしては、周壁部の軸方向一方の側を閉塞せしめる蓋壁部を一体的に備えた有底筒体形状の中空ハウジング本体と、周壁部の軸方向他方の側を閉塞せしめる蓋壁部を構成する中空ハウジング蓋体とを、別体形成し、中空ハウジング本体に対して、中空ハウジング蓋体を組付けることによって中空ハウジングを形成するようにした構成が有利に採用されることとなり、それによって、中空ハウジングの製造が容易となると共に、マス部材の中空ハウジングにおける収容空所への収容配置が容易となる。また、半割構造の中空ハウジングを採用する場合に比して、マス部材の中空ハウジングにおける当接部位を高い精度で形成することが可能となり、マス部材の中空ハウジングへの当接状態の安定性が向上されて、目的とする制振効果をより安定して得ることが可能となる。
【0016】
また、本発明の第の態様は、内部に中空の収容空所が形成されて防振すべき振動部材に取り付けられる中空ハウジングにおける該収容空所に対して、球状のマス部材を収容配置せしめて、該マス部材と該中空ハウジングの該収容空所内面との間に微小隙間を設けることにより、該マス部材が該収容空所内で該中空ハウジングから独立して微小距離の自由変位が許容されるようにすると共に、該マス部材の自由変位によって該マス部材が該中空ハウジングの該収容空所内面に対して複数箇所で当接せしめられるようにした制振装置において、前記中空ハウジングにおける前記マス部材の複数の振動入力方向における当接部位を、該マス部材の当接方向の荷重によって剪断変形せしめられる弾性部材で構成すると共に、該中空ハウジングにおいて、該弾性部材を補強する剛性の強度部材を設けて、該強度部材により該中空ハウジングを前記振動部材に取り付けるようにしたことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた制振装置においては、弾性部材を補強する強度部材によって、弾性部材の材料を変更することなく弾性部材のばね特性を調節することが出来ることから、制振装置のチューニング自由度が向上され得るのであり、また、かかる強度部材を巧く利用することによって、中空ハウジングの振動部材に対する取り付けが容易となる。
【0017】
また、本発明の第の態様は、前記第の態様に従う構造とされた制振装置において、前記強度部材が、前記弾性部材と別体形成されており、かかる別体形成された弾性部材が該強度部材に対して後固着されていることを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた制振装置においては、例えば、弾性部材としてゴム弾性体を採用する場合において、ゴム弾性体の加硫成形時に、ゴム弾性体を強度部材に加硫接着する必要がないことから、制振装置の製造工程を簡略化することが可能となり、製造コストを抑えることが出来る。
【0018】
また、第の態様において、別体形成された弾性部材を強度部材に対して後固着する方法としては、例えば、弾性部材に一体的に設けられた係止片を強度部材に係止する方法や、筒体形状の弾性部材を立体的な骨組み構造を有する強度部材に対して外嵌して嵌着固定する方法、或いは、弾性部材を強度部材に対して接着剤で固着する方法等が何れも採用され得る。
【0019】
また、第の態様における強度部材としては、例えば、筒体の周壁部に複数の開口部が設けられた構造、即ち、筒体の骨組み構造等が好適に採用されることとなり、かかる開口部を閉塞するようにしてゴム弾性体等が強度部材に取り付けられることによって、マス部材の当接に際して剪断変形せしめられる弾性部材が有利に構成されることとなる。具体的には、例えば、前記第の態様を組合せて採用すると共に、中空ハウンジングの周壁部と一対の蓋部材の全体を弾性部材で形成する場合には、マス部材が当接しない中空ハウジングの角部に対して強度部材を固着して補強することが望ましい。なお、強度部材にマス部材が接触する可能性のある場合には、強度部材の表面を弾性材層で被覆することが望ましく、それによって、マス部材の強度部材への当接による当接音を軽減乃至は防止することが出来る。
【0020】
また、本発明の第の態様は、前記第一乃至第の何れかの態様に従う構造とされた制振装置において、前記マス部材が金属材によって形成されており、該金属材が直接に表面に露出せしめられて前記弾性部材に対して当接せしめられるようになっていることを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた制振装置においては、マス部材の表面がゴム層で覆われている場合に比して、マス部材の外周面を高い寸法精度で容易に製造することが可能となり、それによって、マス部材の中空ハウジングに対する当接条件がより安定化せしめられて、目的とする制振効果がより安定して発揮され得ることとなる。即ち、マス部材の表面をゴム層で覆う場合には、かかるゴム層の肉厚寸法をマス部材の表面全体で均一にする必要があり、特性の安定性を達成することが比較的難しいが、本態様のマス部材では、金属材が表面に露出していることから、金属材の表面にゴム層を加硫接着する必要がなく、マス部材を高い寸法精度で容易に製造することが可能となると共に、マス部材の全体を高比重な金属材で形成することが出来ることから、マス部材の質量を、より小さな体積で効率的に確保することが可能となるのである。
【0021】
なお、本態様においても、中空ハウジングにおけるマス部材の当接部位は、弾性部材によって構成されていることから、金属材が直接に表面に露出しているマス部材を採用しても、マス部材の中空ハウジングへの打ち当たり(当接)に基づく当接音が問題となることはない。
【0022】
また、本発明の第の態様は、前記第一乃至第の何れかの態様に従う構造とされた制振装置において、前記弾性部材によって構成された前記マス部材の複数の当接部位の少なくとも一つの剪断ばね特性を、他の当接部位に対して異ならせたことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた制振装置においては、互いに異なる方向に入力される制振すべき振動の相違を考慮して、それら各方向に入力されるそれぞれの振動に応じて、マス部材の中空ハウジングへの当接に基づいて発揮される制振効果を調節することが出来るのである。
【0023】
また、前記第一乃至第の態様を含む本発明においては、マス部材における単体の質量を10〜1000gに設定することが望ましく、より好適には50〜500gに設定される。即ち、マス部材の単体の質量を好ましくは1000g以下、より好ましくは500g以下とすることによって、振動入力時におけるマス部材の飛び跳ね変位を一層容易に且つ効率的に生ぜしめることが可能となり、一方、マス部材の単体の質量を、好ましくは10g以上、より好ましくは50g以上とすることによって、マス部材の中空ハウジングに対する打ち当たり(当接)に基づく制振効果がより有効に発揮されることとなる。
【0024】
また、本発明においては、マス部材が中空ハウジングに対して振動入力方向の両側でそれぞれ当接せしめられるようにされると共に、かかる振動入力方向両側での中空ハウジングに対する当接部間におけるマス部材の往復可動距離を、振動入力方向で0.1〜1.6mmとした構成が好適に採用され得ることとなり、より好ましくは、かかる振動入力方向両側での当接部間におけるマス部材の往復可動距離が0.1〜1.0mmとされる。このような微小可動範囲を設定することによって、例えば、振幅が小さい自動車の振動に対しても、マス部材が振動入力方向の両側で中空ハウジングに当接せしめられ易くなり、より優れた制振効果を得ることが可能となる。
【0025】
また、本発明において、当接音の軽減と制振効果を有利に得るために、中空ハウジングにおけるマス部材の当接部位を構成する弾性部材は、その当接面におけるASTM規格D2240のショアD硬さが、好ましくは80以下、より好ましくは20〜40に設定されると共に、圧縮弾性率が好ましくは1〜104 MPa、より好ましくは1〜103 MPaで、損失正接(tanδ)が好ましくは10-3以上、より好ましくは0.01〜10とされる。
【0026】
更に、本発明においては、マス部材の総質量は、振動部材の質量の5〜10%となるように設定されることが望ましい。蓋し、かかるマス部材の質量が、振動部材の質量の5%に満たないと有効な制振効果を得ることが難しい場合があり、一方、10%を超えると装置全体の重量化が問題となるからである。なお、複数個の制振装置を振動部材に装着する場合には、全てのマス部材の合計質量が、振動部材の質量の5〜10%になるように設定することが望ましい。
【0027】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0028】
先ず、図1及び2には、本発明の第一の実施形態としての制振装置10が示されている。この制振装置10は、中空ハウジングとしてのハウジング12によって形成された収容空所14にマス部材としてのマス金具16が収容配置された構造とされている。そして、かかる制振装置10は、図示しない自動車のボデ−等の振動部材に対して、ハウジング12がボルト固定されることによって、装着されるようになっている。なお、以下の説明において、上下方向とは、原則として、図2中の上下方向をいうものとする。
【0029】
より詳細には、ハウジング12は、ハウジング本体17と蓋体20によって構成されている。そこにおいて、ハウジング本体17は、硬質の合成樹脂や金属材によって形成されて強度部材を構成する支持枠体18を備えており、該支持枠体18に対して、ゴム弾性体によって形成されて弾性部材を構成する箱状弾性体22が組み付けられた構造とされている。
【0030】
かかる支持枠体18は、図3及び4にも示されているように、略菱形プレート形状を有する板部26の中央上面に突出して、略立方体の枠形状を有する枠部39が一体形成された構造とされている。また、支持枠体18の板部26には、中央部分に大径円形の中央孔30が板厚方向に貫通して形成されており、該中央孔30における板部26の下面側の開口周縁部には、周方向全周に亘って延びる環状の嵌合凹部36が形成されている。更にまた、板部26の長手方向(図中の左右方向)両側の角部近くには、取付孔32,32が形成されており、これらの取付孔32,32に対して、ボルト挿通用の金属スリーブ34,34が圧入固着されている(図1,2参照)。更に、枠部39は、正方形の環状部24の各角部から下方に向かって突出して4本の脚部38が互いに平行に一体形成されて、全体として略立方体の枠形状とされており、各脚部38が、板部26における中央孔30の外枠部分から上方に向かって突出して一体形成されている。
【0031】
また、支持枠体18に組み付けられる箱状弾性体22は、全体として薄肉で逆向きの開口箱体形状を有しており、矩形筒体形状を有する周壁部としての筒壁部56と、該筒壁部56の軸方向上側の開口部を閉塞する軸方向一方の蓋壁部としての上底部58を一体的に備えている。また、筒壁部56を構成する4つの平板部60は、互いに同一の略正方形とされていると共に、各平板部60の上端部近くには、内方に向かって突出する係止片62が一体形成されている。更に、かかる箱状弾性体22は、公知のゴム材料の一体成形品として形成されており、筒壁部56を構成する各平板部60と上底部58が、略同じ厚さ寸法を有する薄板形状とされている。
【0032】
そして、図1及び2に示されているように、箱状弾性体22の下側開口部から、支持枠体18の枠部39が圧入されて、枠部39の外側に箱状弾性体22が被せられることにより、支持枠体18と箱状弾性体22が組み付けられている。また、かかる組付状態下では、箱状弾性体22に突設された4つの係止片62が、それぞれ、支持枠体18の枠部39における環状部24に対して係止されることにより、箱状弾性体22が枠部39に係止されて、箱状弾性体22の支持枠体18からの抜け出しが防止されるようになっている。なお、箱状弾性体22は、枠部39に対して、必要に応じて接着されていても良い。
【0033】
一方、蓋体20は、硬質の合成樹脂や金属材によって形成されて強度部材を構成する組付枠体40を備えており、該組付枠体40に対して、ゴム弾性体によって形成されて弾性部材を構成する板状弾性体50が固着された構造とされている。
【0034】
かかる組付枠体40は、図5及び6にも示されているように、円環形状を有しており、軸方向上面には、4つの嵌合支持片44が、上方に突出して一体形成されている。なお、これらの嵌合支持片44は、組付枠体40の中心軸を挟んで互いに直交する方向でそれぞれ対向位置して二対形成されており、各対を為す嵌合支持片44,44が直線状で平行とされている。また、組付枠体40の内周面には、周方向に連続して延びる環状固着片46が径方向内方に突出して一体形成されている。更にまた、組付枠体40の軸方向下端部には、径方向外方に拡がるリング状の嵌着片42が一体形成されている。
【0035】
そして、この組付枠体40の中央孔47内に板状弾性体50が配設されている。かかる板状弾性体50は、前述の箱状弾性体22と同様に適当なゴム弾性材で形成されており、略一定の肉厚寸法で拡がる円板形状を有していると共に、その外周縁部が厚肉とされて、組付枠体40の環状固着片46に対して、周方向全周に亘って加硫接着されている。要するに、組付枠体40の環状固着片46は、板状弾性体50の外周面に差し込まれて固着されており、それによって、組付枠体40の中央孔47内に展張状態で板状弾性体50が配設されて、該板状弾性体50によって中央孔47が閉塞されているのである。なお、環状固着片46の突出先端部は、円形断面形状の頭部とされて、軸方向の肉厚寸法が突出基端部より大きくされており、板状弾性体50の接着面積が大きく確保されるようになっている。尤も、板状弾性体50は、環状固着片46に対して、非接着で嵌着固定されていても良い。
【0036】
さらに、このような構造とされた蓋体20は、図1及び2に示されているように、ハウジング本体17の支持枠体18の中央孔30に対して嵌め込まれて組み付けられている。また、蓋体20における組付枠体40の嵌着片42が、ハウジング本体17における支持枠体18に溶着等で固定されることにより、ハウジング本体17の箱状弾性体22の下側開口部が、蓋体20の板状弾性体50によって閉塞されており、以て、箱状弾性体22内に収容空所14が画成されている。更にまた、組付枠体40における4つの嵌合支持片44が、それぞれ、箱状弾性体22における筒壁部56を構成する4つの平板部60の開口端縁部に対して内面から当接状態で重ね合わせられており、それら各平板部60の下端縁部が、嵌合支持片44によって補強的に支持されている。
【0037】
なお、上述の如くハウジング本体17と蓋体20によって組み立てられたハウジング12においては、箱状弾性体22の開口部が板状弾性体50で覆蓋されることにより、全体として中空の立方体形状を有する弾性筐体が形成されている。また、この弾性筐体の壁部を形成する4つの平板部60と上底部58および板状弾性体50からなる計6つの矩形平板形状の板部は、それぞれ、中央部分における板面に垂直な方向の荷重に対するばね定数が略同じに設定されている。
【0038】
特に本実施形態では、箱状弾性体22の4つの平板部60と上底部58が、その外周縁部を支持枠体18の環状部24および脚部38や組付枠体40の嵌合支持片44によって略拘束されており、それら平板部60と上底部58における各自由変形部分が、互いに略同じ大きさの正方形形状とされている。また、蓋体20の板状弾性体50は、外周縁部を環状固着片46で拘束されており、平板部60や上底部58に比して、自由長は小さいが、その分だけ肉厚寸法が小さくされてばね定数が略同じに設定されている。
【0039】
また、後述するマス金具16の平板部60や上底部58,板状弾性体50に対する当接に基づく制振効果を有利に得ると共に、マス金具16の当接音を軽減するために、それら平板部60や上底部58,板状弾性体50は、何れも、ショアD硬さを80以下とすることが望ましく、より望ましくはショアD硬さが20〜40とされると共に、損失正接(tanδ)が好ましくは10-3以上、より好ましくは0.01〜10とされる。
【0040】
そして、このような構造とされたハウジング12は、板部26に固着された金属スリーブ34,34に挿通される図示しないボルトによって、振動部材に対してボルト固定されるようになっている。
【0041】
一方、マス金具16は、鉄等の高比重な金属材によって形成されており、全体として中実球体形状を有している。ここにおいて、本実施形態では、マス金具16の質量は、10〜1000g、より好ましくは50〜500gに設定されていると共に、振動部材の質量の5〜10%に設定されている。そして、このような構造とされたマス金具16は、ハウジング12の収容空所14内に非接着で収容配置されており、かかる収容状態下において、マス金具16と収容空所14を画成するハウジング12の内面、特に、筒壁部56,上底部58および板状弾性体50との間には、マス金具16の全周に亘って所定の微小隙間が形成されるようになっている。これにより、マス金具16がハウジング12の内面に対して、独立的に相対変位可能とされている。
【0042】
具体的には、図2に示されているように、マス金具16が重力によって収容空所14内の下方で板状弾性体50に載置された静置状態下においては、箱状弾性体22における筒壁部56の内周面とマス金具16の外周面との隙間寸法:δが、好ましくは0.05〜0.8mm、より好ましくは0.05〜0.5mmとなるようにされていると共に、箱状弾性体22の上底部58とマス金具16の外周面との隙間寸法:2δが、好ましくは0.1〜1.6mm、より好ましくは0.1〜1.0mmとなるようにされている。即ち、マス金具16を収容空所14内の移動中心に位置せしめた状態下では、マス金具16の外周面と筒壁部56の内周面の間において、上記δの隙間が形成されていると共に、マス金具16の外周面と上底部58の内周面および板状弾性体50の上面との間において、上記δの隙間が形成されるようになっている。これにより、マス金具16の収容空所14内における鉛直方向および水平方向の往復可動距離(2δ)が、何れも、0.1〜1.6mm、より好ましくは0.1〜1.0mmとされている。
【0043】
このような構造とされた制振装置10は、前述の如く、ハウジング12が振動部材に対してボルト固定されることによって、振動部材に対して固定的に装着される。かかる装着状態下、振動部材の振動がハウジング12に入力されると、収容空所14内において自由変位可能とされたマス金具16が、ハウジング12に対して振動入力方向で独立的に飛び跳ねるように相対変位せしめられて、マス金具16がハウジング12に対して打ち当たり(当接)せしめられることとなる。そして、マス金具16のハウジング12への当接作用に基づいて振動部材に対して制振装置10の制振効果が発揮されるのである。
【0044】
ここにおいて、かかる制振装置10では、外周縁部が拘束された上底部58の中央部分に対して上底部58に直交する方向にマス金具16の当接荷重が入力されると、上底部58が主として剪断方向に弾性変形せしめられるようになっていると共に、外周縁部が拘束された平板部60の中央部分に対して平板部60に直交する方向にマス金具16の当接荷重が入力されると、平板部60が主として剪断方向に弾性変形せしめられるようになっており、また、外周縁部が拘束された板状弾性体50の中央部分に対して、板状弾性体50に直交する方向にマス金具16の当接荷重が入力されると、板状弾性体50が主として剪断変形せしめられるようになっている。
【0045】
それ故、上底部58および板状弾性体50に垂直な方向、即ち、図2中の上下方向に振動が入力された場合には、板状弾性体50と上底部58の剪断変形に基づいて低動ばね特性が発揮されるのであり、それによって、マス金具16のハウジング12への打ち当たり(当接)によって発揮される制振効果における共振作用的なピーク領域が低周波数域に有利に設定可能となって、上底部58と板状弾性体50に垂直な方向の低周波数域の振動に対して有効な制振効果を得ることが出来るのであり、また、平板部60に垂直な方向、即ち、図2中の左右方向および図2の紙面に垂直な方向に振動が入力されると、対向位置せしめられた平板部60,60の剪断変形に基づいて低動ばね特性が発揮されるのであり、それによって、マス金具16のハウジング12への打ち当たり(当接)によって発揮される制振効果における共振作用的なピーク領域が低周波数域に有利に設定可能となって、平板部60に垂直な方向の低周波数域の振動に対して有効な制振効果を得ることが出来る。
【0046】
また、このような制振装置10においては、上底部58と板状弾性体50に垂直な方向の振動が入力されて、マス金具16が打ち当たり(当接)せしめられる上底部58と板状弾性体50が剪断方向に弾性変形せしめられるようになっていることから、低周波数域の小さなエネルギの振動入力時においても、マス金具16のハウジング12に対する打ち当たり(当接)に際して生ぜしめられる共振的作用に基づいて、ハウジング12に対するマス金具16の振幅倍率を1以上とすることが可能となり、また、平板部60に垂直な方向の振動が入力されて、マス金具16が打ち当たり(当接)せしめられる平板部60,60が剪断方向に弾性変形せしめられるようになっていることから、低周波数域の小さなエネルギの振動入力時においても、マス金具16のハウジング12に対する打ち当たり(当接)に際して生ぜしめられる共振的作用に基づいて、ハウジング12に対するマス金具16の振幅倍率を1以上とすることが可能となる。それ故、上底部58や平板部60に垂直な方向の振動入力時にマス金具16が収容空所14内で効率的に飛び跳ね変位せしめられることとなり、例えば、振動部材において制振すべき振動の加速度が1G(重力加速度)以下の場合でも、マス金具16をハウジング12に対して飛び上がらせて飛び跳ね変位せしめることが可能となることから、マス金具16のハウジング12への打ち当たり(当接)に基づいて発揮される制振効果を、自動車における振動のように小さなエネルギの振動に対しても、有利に得ることが可能となる。
【0047】
因みに、上述の如き構造とされた制振装置10における制振効果と、マス金具16の飛び跳ね共振の周波数依存性を、弾性部材を構成する箱状弾性体22と板状弾性体50のHs値(ゴム硬度)を異ならせて実測した結果を、図7に示す。なお、かかる測定試験に際しては、図8に示されているように、制振装置10を装着した振動部材64を0.1Gの加速度で周波数スイープ加振して、その時のマス金具16の変位を、制振装置10の上底部58に貫設した測定孔を通じてレーザー変位計65で測定し、得られた測定値からマス金具16の加速度を算出した。
【0048】
図7に示された測定結果から明らかなように、本実施形態の制振装置10においては、Hs=45の場合とHs=42の場合の何れにおいても、周波数が略45Hzの時に、マス金具16の加速度が最大値をとっており、マス金具16のハウジング12への打ち当たり(当接)によって発揮される制振効果における共振作用的なピーク領域を、十分に低周波数域に設定出来ることが認められる。
【0049】
また、測定された45Hzの前後の周波数領域では、マス金具16の加速度からマス金具16の変位量を求めた結果、マス金具16がハウジング12から飛び跳ね変位していることが、十分に推認され得た。
【0050】
さらに、上述の測定試験に用いた制振装置10における制振特性の周波数依存性を測定した。かかる測定試験に際しては、図9に示されているように、板ばね66とベースマス68によって主振動系を構成し、かかる主振動系を構成するベースマス68に制振装置10を装着して、ベースマス68を0.02Gの加速度で周波数スイ−プ加振した際のベースマス68の振動加速度をベースマス68に取り付けられた加速度センサ70で検出することによって測定した。そして、Hs=45の制振装置10の測定結果を、実施例1として、図10に示すと共に、Hs=42の制振装置10の測定結果を、実施例2として、図10に示す。また、制振装置10が装着されていないベースマス68についても、同様な測定試験を行い、かかる測定結果を、比較例1として、図10に併せ示す。
【0051】
図10の測定結果から明らかなように、本実施形態の制振装置10(実施例1,2)の何れにおいても、本実施形態の制振装置10が装着されていない場合(比較例1)において問題となっていた略42Hzの振動に対して、有効な制振効果を発揮していることが認められる。即ち、比較例1では、1.78であった振動加速度のピーク値が、実施例1では、0.3151に、また、実施例2では、0.2452に低減せしめられているのである。また、共振作用的なピーク領域を45Hzにチューニングした本実施形態の制振装置10を、共振周波数が42Hzの主振動系に適用したことにより、実施例1,2の何れの場合においても、42Hzよりも低周波側に、新たな振動が発現されることが認められる。
【0052】
また、図11乃至13には、本発明の第二の実施形態としての制振装置72が示されている。かかる制振装置72は、第一の実施形態の制振装置(10)に比して、支持枠体(18)が設けられておらず、また、箱状弾性体(22)の代わりに当接ゴム弾性体74が設けられている。なお、以下の説明において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材及び部位については、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0053】
より詳細には、当接ゴム弾性体74は、板状弾性体50と同様に適当なゴム弾性材によって形成されて、全体として薄肉で逆向きの有底円筒形状を呈しており、円筒形状を有する周壁部としての筒壁部76と、かかる筒壁部76の軸方向上側の開口部を閉塞する軸方向一方の蓋壁部としての上底部78を一体的に備えている。また、筒壁部76と上底部78は、略同じ厚さ寸法を有していると共に、筒壁部76の内径寸法と深さ(軸方向)寸法は、略同じとされている。そして、当接ゴム弾性体74の軸方向下側の開口端部が板部26の中央孔30の外枠部分に対して直接に加硫接着されており、それによって、ハウジング本体17が形成されている。
【0054】
また、本実施形態でも、収容空所14内に収容配置されたマス金具16を収容空所14内の移動中心に位置せしめた状態下では、マス金具16の外周面と筒壁部76の内周面の間において、第一の実施形態と同じ隙間:δが形成されていると共に、マス金具16の外周面と上底部78の上面及び板状弾性体50の上面の間において、第一の実施形態と同じ隙間:δが形成されている。
【0055】
このような制振装置72においても、筒壁部76の軸直角方向の振動入力時には、筒壁部76が剪断変形せしめられるようになっていると共に、筒壁部76の軸方向の振動入力時には、上底部78と板状弾性体50が剪断変形せしめられるようになっていることから、第一の実施形態と同様な制振効果を得ることが出来るのである。
【0056】
また、本実施形態の制振装置72においては、筒壁部76が円筒形状を有していることから、マス金具16の筒壁部76に対する打ち当たり(当接)条件を、多数の軸直角方向において略均一に実現することが可能となり、それによって、より多くの方向の振動に対して有効な制振効果を発揮することが出来る。
【0057】
また、図14乃至16には、本発明の第三の実施形態としての制振装置80が示されている。かかる制振装置80は、第一の実施形態の制振装置(10)に比して、支持枠体(18)が、設けられておらず、その代わりに、一対の支持部82,82が設けられている。また、箱状弾性体(22)の代わりに、当接ゴム弾性体84が採用されている。なお、以下の説明において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材及び部位については、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付すことにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0058】
より詳細には、一対の支持部82,82は、それぞれ、硬質の合成樹脂材や金属材によって形成されており、全体として矩形平板形状を有している。そして、一対の支持部82,82は、それぞれ、長手方向一方の端部が、中央孔30の外枠部分において、中央孔30の中心軸を挟んで対向位置せしめられるようにして、板部26に一体形成されている。また、一対の支持部82,82の長手方向他方の端部は、それぞれ、対向位置せしめられた支持部82側に向って屈曲されている。更に、一対の支持部82,82の対向面側には、それぞれ、一定の断面で幅方向(図15中上下方向)に延びる切欠部86が設けられている。
【0059】
一方、当接ゴム弾性体84は、第二の実施形態の当接ゴム弾性体(74)と同様に、板状弾性体50と同様なゴム材料によって形成されており、薄肉円板形状の上底部88と円筒形状の筒壁部90を含んで構成されて、全体として逆カップ形状を呈している。ここにおいて、本実施形態では、上底部88と筒壁部90の肉厚寸法は、互いに同じとされていると共に、筒壁部90の内径寸法と軸方向寸法は略同じとされている。そして、上底部88の外周縁部に対して、一対の支持部82,82の突出先端部分が、それぞれ、埋め込まれるようにして加硫接着されていると共に、筒壁部90の開口端部外周面に対して、一対の支持部82,82の基端部における対向面が、それぞれ、加硫接着されており、それによって、ハウジング本体17が構成されている。
【0060】
ここにおいて、本実施形態では、筒壁部90の軸方向中央部分における一対の支持部82,82が対向位置せしめられた方向のばね定数と、筒壁部90の軸方向中央部分における他の軸直角方向のばね定数が、互いに異なるように設定されている。
【0061】
また、本実施形態でも、収容空所14内に収容配置されたマス金具16を収容空所14内の移動中心に位置せしめた状態下では、マス金具16の外周面と筒壁部90の内周面の間において、第一の実施形態と同じ隙間:δが形成されていると共に、マス金具16の外周面と上底部88の内面及び板状弾性体50の上面の間において、第一の実施形態と同じ隙間:δが形成されている。
【0062】
このような制振装置80においても、筒壁部90の軸直角方向の振動入力時には、筒壁部90が剪断変形せしめられるようになっていると共に、筒壁部90の軸方向の振動入力時には、上底部88と板状弾性体50が剪断変形せしめられるようになっていることから、第一の実施形態と同様な制振効果を得ることが出来るのである。
【0063】
そこにおいて、特に本実施形態では、筒壁部90の軸方向中央部分における軸直角方向のばね定数が、一対の支持部82,82が対向位置せしめられた方向と、それ以外の方向で異なるように設定されていることから、一対の支持部82,82が対向位置せしめられた方向、即ち、図15中の左右方向と、それ以外の軸直角方向とで、異なる制振効果を得ることが出来る。
【0064】
以上、本発明の幾つかの実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
【0065】
例えば、板状弾性体50と箱状弾性体22および当接ゴム弾性体74,84は、互いに同じゴム材料によって形成しても良いし、互いに異なるゴム材料で形成しても良い。
【0066】
また、前記第一乃至第三の実施形態における板状弾性体50のばね特性のチューニングは、板状弾性体50を形成する材料の変更の他、板状弾性体50の肉厚寸法の変更,剪断変形可能な面積の変更等によって、行うことが出来る。
【0067】
また、前記第一の実施形態における筒壁部56および上底部58のばね特性は、箱状弾性体22を形成する材料の変更,筒壁部56および上底部58の肉厚寸法の変更,剪断変形可能な面積の変更等によって、チューニングすることが出来る。
【0068】
また、前記第二の実施形態における筒壁部76および上底部88のばね特性は、当接ゴム弾性体74を形成する材料の変更や筒壁部76および上底部78の肉厚寸法の変更等によって、チューニングすることが出来る。
【0069】
また、前記第三の実施形態の筒壁部90および上底部88のばね特性は、当接ゴム弾性体84を形成する材料の変更や筒壁部90および上底部88の肉厚寸法の変更等によって、チューニングすることが出来るのであり、更に、一対の支持部82,82の内方に位置せしめられた筒壁部90の軸方向中央部分のばね特性は、切欠部86の幅方向(図14中上下方向)の寸法の変更等によって、チューニングされる。
【0070】
また、前記第一乃至第三の実施形態では、上底部58,78,88と筒壁部56,76,90の肉厚寸法は、互いに同じとされていたが、互いに異ならせることも可能である。
【0071】
また、前記第一の実施形態では、対向位置せしめられた各壁部における当接部位のばね特性は、互いに同じとされていたが、要求される防振特性等に応じて、それら各壁部における当接部位のばね特性を互いに異ならせることが可能であることは、言うまでもない。
【0072】
また、前記第一乃至第三の実施形態では、マス金具16は中実球形状とされていたが、中空の球形状とすることも可能である。更に、前記第一乃至第三の実施形態では、マス部材は、金属材のみで構成されていたが、金属材の表面全体にゴム層が被着されていても良い。
【0073】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0074】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた制振装置においては、複数の振動入力方向における当接部位を構成する弾性部材が、マス部材の当接によって剪断変形されるように構成されており、複数の方向に入力される振動に対して、それらが低周波微振幅振動である場合においても、マス部材が弾性部材に対して効率的に飛び跳ね状態で変位せしめられ得て、何れも有効な制振効果が発揮され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としての制振装置の断面図である。
【図2】図1に示された制振装置の下面図である。
【図3】図1に示された制振装置を構成するハウジング本体の断面図である。
【図4】図3に示されたハウジング本体の下面図である。
【図5】図1に示された制振装置を構成する蓋体の断面図である。
【図6】図5に示された蓋体の下面図である。
【図7】図1に示された制振装置の飛び跳ね共振の周波数依存性を示すグラフである。
【図8】図1に示された制振装置の飛び跳ね共振の周波数依存性を測定する測定装置の概略図である。
【図9】図1に示された制振装置の制振特性の周波数依存性を示すグラフである。
【図10】図1に示された制振装置の制振特性の周波数依存性を測定する測定装置の概略図である。
【図11】本発明の第二の実施形態としての制振装置を示す断面図である。
【図12】図11に示された制振装置の下面図である。
【図13】図12におけるXIII−XIII断面図である。
【図14】本発明の第三の実施形態としての制振装置を示す断面図である。
【図15】図14に示された制振装置の平面図である。
【図16】図15におけるXVI−XVI断面図である。
【符号の説明】
10 制振装置
12 ハウジング
14 収容空所
16 マス金具
22 箱状弾性体
50 板状弾性体

Claims (5)

  1. 内部に中空の収容空所が形成されて防振すべき振動部材に取り付けられる中空ハウジングにおける該収容空所に対して、球状のマス部材を収容配置せしめて、該マス部材と該中空ハウジングの該収容空所内面との間に微小隙間を設けることにより、該マス部材が該収容空所内で該中空ハウジングから独立して微小距離の自由変位が許容されるようにすると共に、該マス部材の自由変位によって該マス部材が該中空ハウジングの該収容空所内面に対して複数箇所で当接せしめられるようにした制振装置において、
    前記中空ハウジングにおける前記マス部材の複数の振動入力方向における当接部位を、該マス部材の当接方向の荷重によって剪断変形せしめられる弾性部材で構成し、且つ、該中空ハウジングを、筒状の周壁部と、該周壁部の軸方向両側を閉塞せしめる一対の板状の蓋壁部によって構成して、それら周壁部と一対の蓋壁部で該弾性部材を構成したことを特徴とする制振装置。
  2. 内部に中空の収容空所が形成されて防振すべき振動部材に取り付けられる中空ハウジングにおける該収容空所に対して、球状のマス部材を収容配置せしめて、該マス部材と該中空ハウジングの該収容空所内面との間に微小隙間を設けることにより、該マス部材が該収容空所内で該中空ハウジングから独立して微小距離の自由変位が許容されるようにすると共に、該マス部材の自由変位によって該マス部材が該中空ハウジングの該収容空所内面に対して複数箇所で当接せしめられるようにした制振装置において、
    前記中空ハウジングにおける前記マス部材の複数の振動入力方向における当接部位を、該マス部材の当接方向の荷重によって剪断変形せしめられる弾性部材で構成すると共に、該中空ハウジングにおいて、該弾性部材を補強する剛性の強度部材を設けて、該強度部材により該中空ハウジングを前記振動部材に取り付けるようにしたことを特徴とする制振装置。
  3. 前記強度部材が、前記弾性部材と別体形成されており、かかる別体形成された弾性部材が該強度部材に対して後固着されている請求項に記載の制振装置。
  4. 前記マス部材が金属材によって形成されており、該金属材が直接に表面に露出せしめられて前記弾性部材に対して当接せしめられるようになっている請求項1乃至の何れかに記載の制振装置。
  5. 前記弾性部材によって構成された前記マス部材の複数の当接部位の少なくとも一つの剪断ばね特性を、他の当接部位に対して異ならせた請求項1乃至の何れかに記載の制振装置。
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