JP2003184946A - 制振装置 - Google Patents

制振装置

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JP2003184946A
JP2003184946A JP2001381891A JP2001381891A JP2003184946A JP 2003184946 A JP2003184946 A JP 2003184946A JP 2001381891 A JP2001381891 A JP 2001381891A JP 2001381891 A JP2001381891 A JP 2001381891A JP 2003184946 A JP2003184946 A JP 2003184946A
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vibration
mass
damping device
vibration damping
spring
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JP2001381891A
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English (en)
Inventor
Koichi Maeda
光一 前田
Masahiko Nagasawa
正彦 長澤
Rentaro Kato
錬太郎 加藤
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Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的に広い周波数に亘って有効な制振効果
を発揮することが出来る制振装置を提供することを目的
とする。 【解決手段】 剛性の当接ハウジング38に備えられた
マス収容空所40に対して独立マス部材42を非接着で
独立変位可能に収容配置することによってダンパマス1
6を構成すると共に、かかるダンパマス16を円形断面
で延びる線ばね32によって構成されたばね部材14で
弾性的に支持せしめて振動部材12に対する副振動系を
構成し、独立マス部材42が当接ハウジング38に対し
て制振すべき振動入力方向で直接的且つ弾性的に当接せ
しめられるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、制振すべき振動部材に対する副
振動系を構成して、主振動系たる振動部材の振動を抑え
る制振装置に係り、特に比較的に広い周波数域に亘って
優れた制振効果が発揮され得る、新規な構造の制振装置
に関するものである。
【0002】
【背景技術】自動車の車体等のように振動が問題となる
制振すべき振動部材において、振動を低減するための制
振装置の一種として、従来から、制振すべき振動部材に
対してばね部材を介してダンパマスを弾性支持せしめる
ことにより、該振動部材に対する副振動系を構成するよ
うにしたダイナミックダンパ(動的吸振器)が知られて
おり、かかる副振動系の固有振動数を、主振動系たる振
動部材において問題となる振動周波数にチューニングす
ることにより、振動部材に対して有効な制振効果を得る
ようになっている。
【0003】ところが、従来構造のダイナミックダンパ
では、有効な制振効果の発揮され得る周波数域が、副振
動系のチューニングされた比較的に狭い周波数域となっ
てしまい、広い周波数域の振動に対して有効な制振効果
が発揮され難いという不具合があった。
【0004】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、広い周波数域に亘って有効な制振効果を得
ることが出来る、新規な制振装置を提供することにあ
る。
【0005】
【解決手段】以下、このような課題を解決するために為
された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各
態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の
組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至
は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることな
く、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの
記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づ
いて認識されるものであることが理解されるべきであ
る。
【0006】すなわち、本発明の第一の態様は、制振す
べき振動部材に対して、ばね部材を介してダンパマスを
弾性支持せしめることにより、該振動部材に対する副振
動系を構成するようにした制振装置であって、前記ばね
部材を円形断面で延びる線ばねによって構成せしめて、
該ばね部材によってマス収容空所を備えた中空構造を有
する剛性の当接ハウジングを弾性支持せしめると共に、
該当接ハウジングのマス収容空所に対して独立マス部材
を非接着で独立変位可能に収容配置することによって前
記ダンパマスを構成し、該ダンパマスにおいて該独立マ
ス部材が該当接ハウジングに対して制振すべき振動入力
方向で直接的且つ弾性的に当接せしめられるようにした
ことを、特徴とする。
【0007】このような本態様に従う構造とされた制振
装置においては、振動部材の振動が線ばねとダンパマス
からなる副振動系に入力されてダンパマスが加振変位せ
しめられることに伴い、当接ハウジングに対して独立マ
ス部材が相対的に変位せしめられることとなる。そこに
おいて、特に、副振動系の固有振動数域の振動入力時に
は、ダンパマスの振幅が大きくなることから、独立マス
部材の当接ハウジングに対する相対変位も大きくなっ
て、独立マス部材が当接ハウジングに対して飛び跳ね的
に変位せしめられて、独立マス部材が当接ハウジングに
対して直接的且つ弾性的に当接せしめられることとな
る。その結果、独立マス部材の当接ハウジングへの打ち
当たり当接に基づいて、振動部材に対する振幅抑制効果
が発揮されるのであり、結果的に、ダンパマスと線ばね
からなる副振動系において、見かけ上の損失係数が大き
くなったのと同じ状態が発現される。
【0008】従って、本態様に係る制振装置において
は、独立マス部材の当接ハウジングへの打ち当たり当接
に基づいて、振動部材の振動が抑えられることから、線
ばね自体の損失係数が小さくても、副振動系を構成する
ダンパマスの変位量が抑えられて共振ピーク値が下げら
れることとなり、それによって、副振動系の付加によっ
て主振動系たる振動部材の固有振動数(副振動系のチュ
ーニング周波数)を挟んだ低周波側と高周波側にそれぞ
れ生ぜしめられる新たな振動のピーク値を抑えることが
可能となり、全体として広い周波数域に亘って良好なる
制振効果が安定して発揮され得るのである。
【0009】また、本態様においては、円形断面で延び
る線ばねが採用されていることから、線ばねの中心軸に
直交する各種方向等において、適当なばね特性を大きな
チューニング自由度で容易に変更することが可能となる
のであり、例えば、ばね部材を一本のストレートな線ば
ねで構成することにより該線ばねの中心軸に直交する各
種方向で略同じばね特性を実現せしめたり、或いは、適
当に傾斜乃至は湾曲等した異形のばね部材を採用するこ
とによって、複数の方向で相違する適当なばね特性を実
現することも可能となるのである。
【0010】なお、本態様において、独立マス部材は、
その全体をゴム弾性体や合成樹脂材、或いはそれらの発
泡材で形成したり、補強的に金属等の剛性材を固着する
ことも可能であるが、マス質量を効率的に確保するため
には、鉄等の高比重な金属材で形成することが望まし
く、特に、独立マス部材を金属等の剛性材で形成する場
合には、独立マス部材の当接面と当接ハウジングの当接
面の少なくとも一方が、ゴム弾性体や合成樹脂材等の弾
性材によって形成されることが望ましい。また、線ばね
の材料としては、要求特性に応じた適当な弾性や強度,
耐熱性等を考慮して、金属材や合成樹脂材等の各種のも
のが採用可能である。
【0011】また、本態様においては、独立マス部材と
当接ハウジングを相互に弾性的に直接に連結せしめる部
材は存在していない。即ち、独立マス部材の全外表面が
当接ハウジングにおける当接面に対して完全に独立せし
められており、独立マス部材の外形中心を当接ハウジン
グの内部に設けられたマス収容空所の中心に位置せしめ
た状態下では、独立マス部材の当接面が当接ハウジング
の当接面に対して所定の隙間を隔てて離隔位置せしめら
れるようになっているのであり、それによって、独立マ
ス部材が当接ハウジングに対して非接着で独立変位可能
とされている。
【0012】また、本発明の第二の態様は、前記第一の
態様に係る制振装置において、前記ばね部材が、それぞ
れ直線的に且つ互いに略平行に延びる複数本の前記線ば
ねによって構成されていることを、特徴とする。このよ
うな本態様に従う構造とされた制振装置においては、線
ばねの配設数を増減変更して適宜に設定することによ
り、副振動系を構成するばね部材のばね定数を、容易に
且つ速やかに調節することが出来るのであり、それ故、
例えば防振すべき振動部材の振動周波数が異なる場合で
も容易に対応することが可能となるのである。また、本
態様においては、複数本の線ばねが、何れも直線的に且
つ互いに平行に延びるように配されることから、複数本
の線ばねによって全体として発揮されるばね特性の計算
や設計が容易であるという利点もある。
【0013】また、本発明の第三の態様は、前記第二の
態様に係る制振装置において、前記振動部材において互
いに異なる方向に生ぜしめられる制振すべき周波数の異
なる複数の振動が、それぞれ前記複数本の線ばねに対し
て略直交する方向に入力されるようにすると共に、それ
ら各制振すべき複数の振動の各入力方向において該複数
本の線ばねの配列形態を異ならせて前記ばね部材のばね
定数を相対的に異ならせることにより、前記副振動系に
おける各制振すべき複数の振動の各入力方向での固有振
動数をそれぞれチューニングするようにし、更に該振動
部材におけるそれら各制振すべき複数の振動入力方向の
各方向において、前記当接ハウジングに対して前記独立
マス部材が独立変位せしめられて直接的且つ弾性的に当
接されるようにしたことを、特徴とする。このような本
態様に従えば、振動部材において互いに異なる方向に生
ぜしめられる制振すべき周波数の異なる複数の振動に対
しても、有効な制振効果を発揮することが出来る制振装
置を容易に実現することが出来るのである。
【0014】また、本発明の第四の態様は、前記第一乃
至第三の何れかの態様に係る制振装置において、前記振
動部材が回転部材であり、該振動部材からその回転中心
軸に直交する方向に延びるように前記ばね部材を構成す
る前記線ばねを配設して、該振動部材に離隔配置せしめ
た前記ダンパマスに対して、該振動部材の回転中心軸回
りの振動が及ぼされるようにしたことを、特徴とする。
このような本態様に従う構造とされた制振装置において
は、振動部材の回転中心軸回りの振動、即ち、捩り方向
の振動に対して、有効な制振効果を得ることが出来るの
であり、特に、ばね部材が振動部材の回転中心軸から直
交する方向に延びるように配設されていることから、ダ
ンパマスを振動部材から離隔配置することが可能とな
り、それによって、振動部材の回転中心軸回りの振動が
ダンパマスに対して効率的に及ぼされることとなって、
目的とする制振効果が有効に且つ安定して発揮され得
る。
【0015】特に、本態様に従う構造とされた制振装置
においては、線ばねによって構成されたばね部材を採用
したことにより、振動部材の回転中心軸回りの振動だけ
でなく、そのような回転中心軸回りの振動に加えて、或
いは回転中心軸回りの振動に代えて、例えば振動部材の
回転中心軸に直交する方向の振動や、振動部材の回転中
心軸に沿った方向の振動等、各種方向の振動に対して、
或いはそれらが組み合わせられた複数方向の振動に対し
て、それぞれ有効な制振効果を得ることも可能となるの
である。そこにおいて、本発明は、例えば第三の態様と
好適に組み合わせて採用され得るものであり、それによ
って、複数の方向に入力される異なる周波数域の振動に
対して、それぞれ、副振動系の固有振動数をチューニン
グすることが容易となるのである。
【0016】また、本発明の第五の態様は、前記第四の
態様に係る制振装置において、前記ばね部材と前記ダン
パマスを、前記振動部材の周方向で複数配設して、それ
ら全てのばね部材およびダンパマスの重心が該振動部材
の回転中心軸上に位置するようにして、複数の副振動系
を構成したことを、特徴とする。このような本態様に従
う構造とされた制振装置においては、振動部材の回転中
心軸に対して、制振装置の重量配分を周方向で均等とす
ることが可能となり、制振装置に及ぼされる重力の作用
に起因して振動部材に及ぼされる特定回動位置に向かう
回転力が軽減乃至は回避され得る。
【0017】また、本発明の第六の態様は、前記第一乃
至第五の何れかの態様に係る制振装置において、前記ダ
ンパマスの重心位置を、制振すべき振動の入力方向での
投影において、前記振動部材への固定部位から延び出し
て配設された前記ばね部材の突出先端部分よりも、該ば
ね部材の該振動部材に対する固定部位側に位置せしめた
ことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とさ
れた制振装置においては、ダンパマスの配設位置を振動
部材に近づけて制振装置全体のサイズをコンパクトに抑
えつつ、ばね部材の自由長を大きく確保することが出来
るのである。
【0018】また、本発明の第七の態様は、前記第一乃
至第六の何れかの態様に係る制振装置において、前記独
立マス部材を球状乃至は円形ロッド状を有する円形断面
体として前記当接ハウジングに収容配置せしめたこと
を、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた
制振装置においては、複数方向の入力振動に対して有効
な制振効果を容易に得ることが出来るのである。また、
本態様においては、独立マス部材の飛び跳ね変位に際し
ての当接ハウジングに対する摺接面積が小さくされて、
引っ掛り的な抵抗も軽減されることから、振動入力時に
独立マス部材の当接ハウジングに対する打ち当たりに基
づく副振動系における見かけ上の損失係数の増大効果が
有効に発揮され得るのである。
【0019】さらに、前記第一乃至第七の態様を含む、
上述の如き本発明に係る制振装置においては、損失係数
が0.07以下の金属ばねによって形成された線ばねが
好適に採用される。このような金属製の線ばねを採用す
ることにより、温度依存性が小さくて安定した制振効果
が発揮され得るのであり、また、ダンパマスに対して大
きな振動振幅が生ぜしめられる結果、独立マス部材が当
接ハウジングに対してより効率的に飛び跳ね変位して当
接せしめられることとなって、目的とする制振効果がよ
り効果的に発揮されるのである。更に、本発明において
は、鋼線によって構成されたピアノ線や硬鋼線等の金属
製の線ばねが好適に採用されることとなり、かかる金属
製の線ばねによって副振動系のバネを構成することによ
り、ゴム弾性体によって副振動系のバネが構成されてい
る場合に比して、経時劣化によるばね特性の変化や耐久
性の低下を一層有利に防止することが出来るのであり、
それによって、長期間に亘って安定した制振効果を発揮
することが出来るのである。更に、各種技術分野で広く
用いられているピアノ線や硬鋼線を採用すれば、製造コ
ストを抑えることが出来ると共に、多くの種類が提供さ
れているなかから適当なピアノ線や硬鋼線を選択乃至は
変更することにより、ばね特性を容易に変更調節するこ
とが可能となることから、チューニング自由度が向上さ
れ得る。
【0020】また、本発明に係る制振装置においては、
ダンパマスの全体質量を、振動部材の5〜15%とする
ことが望ましい。蓋し、ダンパマスの全体質量が、振動
部材の5%に満たないと有効な制振効果を得ることが難
しい場合があり、一方、15%を超えると装置全体の重
量化が問題となりやすいからである。更にまた、独立マ
ス部材は、独立マス部材の当接ハウジングに対する当接
に基づく制振効果を有効に得るために、振動部材の質量
の5〜10%とすることが望ましい。なお、制振装置が
複数のダンパマスを有している場合には、それら複数の
ダンパマスの合計質量がダンパマスの全体質量となる。
【0021】また、本発明に係る制振装置においては、
独立マス部材の当接ハウジングに対する当接音の低減等
のために、当接ハウジングと独立マス部材との振動入力
方向における少なくとも一方の当接面を形成する弾性部
材は、その当接面において、ASTM規格D2240の
ショアD硬さが、好ましくは80以下、より好ましくは
20〜40に設定される。更に、独立マス部材の当接ハ
ウジングに対する当接音の低減等のためには、かかる弾
性部材において、圧縮弾性率が、好ましくは1〜104
MPa、より好ましくは1〜103 MPaに設定される
こととなり、また、損失正接(tanδ)が好ましくは
1×10-3以上、より好ましくは0.01〜10とされ
る。
【0022】また、本発明に係る制振装置においては、
振動部材における制振すべき振動入力方向の両側で独立
マス部材が当接ハウジングに対して当接せしめられるよ
うにすることが望ましく、そのためには、独立マス部材
の当接ハウジングに対する振動入力方向両側での当接面
間における往復可動距離は好ましくは0.1〜1.6m
m、より好ましくは0.1〜1.0mmとされている。
【0023】また、本発明に係る制振装置においては、
当接ハウジングと独立マス部材の少なくとも一方を、5
×103 MPa以上の弾性率を有する剛性材によって形
成することが望ましく、独立マス部材の当接ハウジング
に対する繰り返しの打ち当たり当接に基づく制振効果を
有利に確保することが出来るのである。なお、本発明に
係る制振装置を構成する独立マス部材と当接ハウジング
の少なくとも一方を構成する剛性材としては、例えば、
弾性率が5×103 〜5×104 MPaとされた硬質の
合成樹脂材等も採用可能であって、そのような剛性材
は、当接音の低減や低周波数域での防振特性の向上等に
望ましい場合があるが、特に、中乃至高周波数域でより
有効な制振効果を得るためには、5×104 MPa以上
の弾性率を有する金属材等の剛性材が好適に採用され
る。
【0024】
【発明の実施形態】以下、本発明を更に具体的に明らか
にするために、本発明の実施形態について、図面を参照
しつつ、詳細に説明する。
【0025】先ず、図1及び図2には、本発明の一実施
形態としての制振装置10が示されている。この制振装
置10は、制振すべき振動部材としてのメインシャフト
12に対してばね部材14を介してダンパマス16を弾
性支持せしめることにより、メインシャフト12に対す
る副振動系を構成するようになっている。
【0026】より詳細には、メインシャフト12は、金
属等の硬質材によって形成されており、略一定の円形断
面で軸方向にストレートに延びる中実又は中空のロッド
形状を有している。そして、メインシャフト12は、軸
方向一方の側に設けられた図示しないステアリングホイ
ールの回動操作を、軸方向他方の側に設けられた車輪に
伝達するようになっており、その結果、ステアリングホ
イールの回動操作で、車輪を操舵し得るようになってい
る。
【0027】そして、かかるメインシャフト12には、
一対の固定金具18,18が取り付けられている。この
一対の固定金具18,18は、それぞれ、金属等の硬質
材からなる矩形平板材によって形成されており、その長
手方向中央部分において屈曲された略V字形状を有して
いる。具体的には、かかる固定金具18は、その中央部
分20の長手方向両側部分から斜め外方に向って突出す
る傾斜部22,22を有しており、かかる傾斜部22の
先端部分が屈曲されて中央部分20と平行に延びる突出
部24とされている。また、中央部分20の長手方向一
方には、複数(本実施形態では3つ)の取付孔26が形
成されていると共に、一方の突出部24には、挿通孔2
7が形成されていると共に、他方の突出部24には、ボ
ルト孔28が形成されている。そして、かかる一対の固
定金具18,18は、それらの谷部側においてメインシ
ャフト12を軸直角方向で挟んで対向位置せしめられる
ようにして配設されており、かかる配設状態下におい
て、対向位置せしめられる突出部24,24における一
方の突出部24に形成された挿通孔27に挿通されて他
方の突出部24に形成されたボルト孔28に螺着される
ボルト30によって、一対の固定金具18,18がメイ
ンシャフト12を軸直角方向で挟んで相互に固定される
ことによってメインシャフト12に対して固定的に装着
されるようになっている。即ち、かかる装着状態下、一
対の固定金具18,18の傾斜部22,22,22,2
2がメインシャフト12の外周面に対して圧接せしめら
れており、この圧接力に基づいて一対の固定金具18,
18がメインシャフト12に対して強固に固定されてい
るのである。なお、このようにメインシャフト12に固
定された一対の固定金具18,18においては、その中
央部分20に設けられた複数の取付孔26は、メインシ
ャフト12の回転中心軸に対して点対称に位置せしめら
れている。
【0028】一方、ばね部材14は、それぞれ、複数本
(本実施形態では3本)の線ばね32によって構成され
ている。これら複数本の線ばね32は、何れも、金属材
によって形成されており、略一定の円形断面で軸方向に
ストレートに延びるワイヤ形状を呈している。特に、本
実施形態では、これら複数本の線ばね32は、何れも、
ピアノ線によって構成されている。また、これら複数本
の線ばね32の外径寸法および軸方向長さ(自由長)
は、互いに同じとされており、それによって、それら複
数本の線ばね32が互いに同じばね特性を有するように
なっている。特に、本実施形態では、各線ばね32はそ
れぞれ円形断面とされていることから、何れの径方向に
おいても略同じばね特性を有するようになっている。ま
た、各線ばね32の軸方向両端部は、何れも、円弧状に
湾曲せしめられていると共に、軸方向一方の端部は、軸
方向他方の端部に形成された円弧状部分によって形成さ
れた平面に対して垂直となるように屈曲せしめられてい
る。そして、これら複数本の線ばね32は、それぞれ、
屈曲された軸方向一方の端部が固定金具18の中央部分
20の外面に重ね合せられて、円弧状部分の内側に挿通
されて固定金具18の取付孔26に螺着されるボルト3
4によってボルト固定されて固定金具18に対して固定
的に取り付けられている。このことから明らかなよう
に、本実施形態では、線ばね32の軸方向一方の端部
は、軸方向一方の端部に形成された円弧状部分の内部に
挿通されたボルト34によって位置固定された状態でボ
ルト34の頭と固定金具18によって挟圧保持されてい
る。また、かかる取付状態下において、それら複数本の
線ばね32は、それぞれ、メインシャフト12の回転中
心軸に直交するようにメインシャフト12から径方向外
方に向かって直線的に且つ互いに平行に延びるように配
設されている。ここにおいて、本実施形態では、上述の
ように固定金具18に取り付けられた複数本の線ばね3
2によって構成された各ばね部材14は、それぞれ、メ
インシャフト12の回転中心軸に直交する一径方向で、
メインシャフト12から径方向両側に突出するように配
設されている。なお、本実施形態では、上述のように、
各ばね部材14を構成する複数本の線ばね32が固定金
具18に固定された状態下において、それら複数本の線
ばね32が突出する一径方向に直交する方向が略鉛直方
向とされている。そして、上述のように配設された各ば
ね部材14を構成する複数本の線ばね32に対して、そ
れぞれ、ダンパマス16が配設されている。
【0029】このダンパマス16,16は、それぞれ、
一対のマス部36,36によって構成されている。各ダ
ンパマス16は、複数本の線ばね32によって形成され
た平面の一方の側(図1中上側)に配設される一方のマ
ス部36と他方の側(図1中下側)に配設される他方の
マス部36が、複数本の線ばね32を挟んで対向位置せ
しめられて相互に固定されることによって構成されてい
る。なお、本実施形態では、一対のマス部36,36
は、同一形状とされており、複数本の線ばね32を挟ん
で対称的に配設されていることから、それらの一方のマ
ス部36のみについて説明する。
【0030】より詳細には、マス部36は、当接ハウジ
ング38と当接ハウジング38の内部に形成されたマス
収容空所40に収容配置される独立マス部材42によっ
て構成されている。当接ハウジング38は、何れも、弾
性率が5×103 MPa以上とされている硬質の合成樹
脂材や金属材等の剛性材によって形成されたハウジング
本体44と蓋体46によって構成されている。このハウ
ジング本体44は、高さ方向(図1中左右方向)の一方
の側に開口する凹所48を有する矩形箱体形状を有して
いると共に、その高さ方向(図1中左右方向)の寸法
は、線ばね32の軸方向長さよりも小さくされている。
また、ハウジング本体44の凹所48は、全体として、
互いに直交する3方向の内法寸法が同じとされた立方体
形状を有している。更に、ハウジング本体44には、底
壁部側の一辺から外方に向って突出する矩形板形状の固
定部50が一体形成されている。また、かかる固定部5
0の突出先端部分は、ハウジング本体44の開口部側と
反対側に屈曲されており、かかる突出先端部分において
複数(本実施形態では3つ)の貫通孔52が貫設されて
いる。更に、ハウジング本体44の開口側端部には、固
定部50の突出方向と直交する方向に突出して矩形平板
形状の一対の取付部54,54が設けられており、かか
る一対の取付部54,54には、それぞれ、貫通孔56
が形成されている。なお、本実施形態では、ハウジング
本体44の固定部50が設けられた側と反対側に位置す
る底壁部の縁部が面取り状とされており、それに伴っ
て、凹所48のかかる位置に対応する縁部も面取り状と
されている。
【0031】一方、蓋体46は、ハウジング本体44の
開口端面に対応した矩形平板形状を有していると共に、
ハウジング本体44に設けられた一対の取付部54,5
4と対応する位置において、一対の取付片58,58が
一体的に突設されている。そして、蓋体46は、ハウジ
ング本体44の開口端面に重ね合せられて蓋体46の一
対の取付片58,58にそれぞれ形成されたボルト孔6
0とハウジング本体44の一対の取付部54,54にそ
れぞれ形成された貫通孔56に螺着されるボルトによっ
てハウジング本体44に対してボルト固定されるように
なっている。このようにハウジング本体44の凹所48
の開口部が蓋体46で覆蓋されることによって当接ハウ
ジング38が構成されており、かかる当接ハウジング3
8の内部には、外部空間から独立したマス収容空所40
が形成されている。特に、本実施形態では、かかるマス
収容空所40は、略六面体形状を有しており、対向位置
せしめられる内壁面が、それぞれ、一対の平坦面によっ
て形成されている。そして、かかるマス収容空所40内
には、独立マス部材42が収容配置されている。
【0032】この独立マス部材42は、中実球形状とさ
れた金属マス62の略全面に亘って当接ゴム層64が被
着された構造とされている。ここにおいて、金属マス6
2は、鉄等の高比重な金属材によって形成されており、
それによって、小さな体積で大きな質量を確保すること
が出来る。また、金属マス62の表面の略全体に亘って
当接ゴム層64が被着されていることから、独立マス部
材42が当接ハウジング38に当接した際の異音の発生
を低減乃至は防止することが出来る。なお、当接ゴム層
64の表面は、ASTM規格D2240のショアD硬さ
が80以下とされると共に、圧縮弾性率が1〜104
Paとされ、更に損失正接(tanδ)が10-3以上と
されることが望ましい。なお、金属マス62の表面に被
着された当接ゴム層64には、当接ゴム層64を加硫接
着する際に金属マス62を成形型内に形成された成形キ
ャビティの所定位置に位置決め支持する支持ピンが当接
せしめられていた位置において、穴65が形成されてい
る。このような構造とされた独立マス部材42は、当接
ハウジング38のマス収容空所40に非接着で収容配置
されており、かかる状態下において、独立マス部材42
とマス収容空所40を画成する当接ハウジング38の内
面との間には、独立マス部材42の全周に亘って、所定
の隙間が形成されるようになっている。具体的には、図
1に示されているような静置状態下では、独立マス部材
42の外周面とメインシャフト12の軸方向で対向位置
せしめられるハウジング本体44の側壁部の内周面,ハ
ウジング本体44の底壁部の内周面および蓋体46の内
面との隙間寸法は、好ましくは0.05〜0.8mm、
より好ましくは0.05〜0.5mmとされていると共
に、独立マス部材42の外周面と独立マス部材42が載
置されたハウジング本体44の側壁部と対向位置せしめ
られるハウジング本体44の側壁部との隙間寸法は、好
ましくは0.05〜0.8mm、より好ましくは0.0
5〜0.5mmとされている。要するに、独立マス部材
42の外形中心をマス収容空所40の中心に位置せしめ
た状態、特に本実施形態では、独立マス部材42が当接
ハウジング38に対して振動入力方向の両側で当接せし
められるようになっていることから、独立マス部材42
をマス収容空所40内の移動中心に位置せしめた状態下
では、独立マス部材42の外周面とハウジング本体44
の側壁部の内周面との隙間寸法は、好ましくは0.05
〜0.8mm、より好ましくは0.05〜0.5mmと
されていると共に、独立マス部材42の外周面とハウジ
ング本体44の底壁部の内周面及び蓋体46の内面との
隙間寸法は、好ましくは0.05〜0.8mm、より好
ましくは0.05〜0.5mmとされている。これによ
り、独立マス部材42が当接ハウジング38の内面に対
して、独立的に相対変位可能とされている。
【0033】そして、このような構造とされた一対のマ
ス部36,36は、ハウジング本体44が複数本の線ば
ね32の突出先端部よりも内方(メインシャフト12
側)に位置せしめられるようにして、それぞれの固定部
50の突出先端部分が、複数本の線ばね32の突出先端
部分、即ち、複数本の線ばね32における円弧状に湾曲
された軸方向他方の端部を挟んで相互に重ね合わせられ
ると共に、それら突出先端部分に貫設された複数の貫通
孔52と線ばね32の円弧状部分の内側に挿通されるボ
ルト66によって、複数本の線ばね32に対して、固定
部50の突出先端部分、即ち、ハウジング本体44がボ
ルト固定されるようになっている。このことから明らか
なように、本実施形態では、各線ばね32の軸方向他方
の端部は、円弧状部分の内部に挿通されたボルト66に
よって位置固定された状態で固定部50,50の突出先
端部分で挟圧保持されている。これにより、一対のマス
部36,36からなるダンパマス16と複数本の線ばね
32で構成されたばね部材14によって、メインシャフ
ト12に対する副振動系が構成されている。なお、本実
施形態では、かかる副振動系におけるメインシャフト1
2の回転中心軸回りの方向、即ち、メインシャフト12
の捩り方向の固有振動数は、何れも、シミー振動の周波
数にチューニングされていると共に、かかる副振動系に
おけるメインシャフト12の回転中心軸方向の固有振動
数は、何れも、ステアリング振動の周波数にチューニン
グされている。
【0034】ここにおいて、本実施形態では、上述のよ
うに複数本の線ばね32によって構成されたばね部材1
4に固定されたダンパマス16としての一対のマス部3
6,36は、複数本の線ばね32の突出方向に直交する
方向の投影において、複数本の線ばね32を挟んで重な
るように位置決め固定されている。そして、メインシャ
フト12の径方向一方向の両側に配設されたばね部材1
4に取り付けられたダンパマス16は、メインシャフト
12を挟んで対称的に配設されていると共に、かかる径
方向一方向の投影において相互に重なるようになってい
る。更に、本実施形態では、各マス部36におけるメイ
ンシャフト12の回転中心軸からの離隔距離が最大とな
る縁部が、メインシャフト12の回転中心軸から線ばね
32の突出先端部分までを半径とする円弧状に面取りさ
れていることから、メインシャフト12の回転中心軸回
りの振動がダンパマス16に入力された際にダンパマス
16の他部材への干渉を有利に防止することが出来るの
である。また、本実施形態では、独立マス部材42がマ
ス収容空所40内の移動中心に位置せしめられた状態下
において、各独立マス部材42の中心とメインシャフト
12の回転中心軸との距離は、互いに同じとされてい
る。換言すれば、各独立マス部材42の中心は、メイン
シャフト12の回転中心軸を中心とする同一円周上に位
置せしめられているのである。そして、各独立マス部材
42は、互いに同じ形状及び寸法を有していることか
ら、独立マス部材42がマス収容空所40に収容配置さ
れた状態下において、制振装置10の重心、即ち、全て
のダンパマス16および線ばね32の重心が、メインシ
ャフト12の回転中心軸上に位置せしめられるようにな
っており、その結果、メインシャフト12に対して、制
振装置10の重量配分を周方向で均等とすることが可能
となり、制振装置10が重力の作用によってメインシャ
フト12における周方向の特定位置で安定して位置せし
められることが有利に防止され得るようになっている。
なお、本実施形態では、ダンパマス16の合計質量、即
ち、4つの独立マス部材42と4つの当接ハウジング3
8の合計質量が、メインシャフト12の質量の5〜15
%に設定されている。
【0035】このような構造とされた制振装置10にお
いては、主振動系を構成するメインシャフト12におけ
る制振すべき振動、即ち、メインシャフト12の捩り方
向およびメインシャフト12の軸方向の振動が、副振動
系に及ぼされてダンパマス16が加振せしめられる。そ
の際、ダンパマス16を構成する一対の当接ハウジング
38,38の内部にそれぞれ形成されたマス収容空所4
0内で独立マス部材42が略飛び跳ね状態で変位して当
接ハウジング38に対して繰り返し打ち当ることとな
り、それによって、制振装置10において、見かけ上の
損失係数が大きくなり、メインシャフト12の捩り方向
の振動およびメインシャフト12の軸方向の振動に対し
て有効な制振効果を発揮することが出来るのである。
【0036】特に、本実施形態では、副振動系を構成す
るばね部材14が複数本の金属製の線ばね32によって
構成されており、また、それら複数本の線ばね32が、
メインシャフト12に固定された固定金具18からそれ
ぞれ直線的に且つ互いに平行に延びるように配設されて
構成されていることから、メインシャフト12の軸直角
方向、即ち、メインシャフト12の回転中心軸回りに入
力される振動に加えて、メインシャフト12の軸方向の
振動に対しても、有効な制振効果を発揮することが出来
るのである。
【0037】また、本実施形態では、線ばね32が損失
係数が0.07以下の金属材によって形成されているこ
とから、制振装置10の温度依存性を小さくすることが
可能となり、それによって、安定した制振効果を発揮す
ることが出来るのである。
【0038】また、本実施形態では、複数個の独立マス
部材42が採用されていることから、ダンパマス16の
合計質量を有利に確保しつつ、独立マス部材42単体の
質量を小さくすることが出来るのであり、それによっ
て、振動入力時に独立マス部材42を一層容易に変位せ
しめることが可能となり、独立マス部材42の当接ハウ
ジング38に対する繰り返しの打ち当たり当接に基づく
ばね部材14の見かけ上の損失係数の増大効果がより効
率的に発揮され得る。
【0039】因みに、上述の如き構造とされた制振装置
において、独立マス部材を接着等で当接ハウジングに固
着した状態での副振動系の固有振動数を測定した結果
を、図3に示す。なお、かかる測定試験に際しては、制
振装置が取りつけられた振動部材を±0.1Gで周波数
スイ−プ加振し、その時のダンパマスの加速度をダンパ
マスに取り付けられた加速度センサによって測定した。
また、1つのダンパマスを振動部材に対して弾性的に支
持せしめる線ばねの本数は3本であり、それら3本の線
ばねの線径は何れも0.8mmであった。
【0040】図3に示された測定結果から明らかなよう
に、本実施形態の制振装置によって構成された副振動系
の固有振動数は、軸方向では、略11Hzとされている
と共に、軸直角方向では、略12Hzとされている。
【0041】また、本実施形態の制振装置10をメイン
シャフト12に取り付けてエンジンを始動した場合のス
テアリングホイール68の軸直角方向の振動を測定した
結果を、実施例1として、図4に示すと共に、軸方向の
振動を測定した結果を、実施例2として、図5に示す。
なお、かかる測定試験に際しては、図6に示されている
ように、ステアリングホイール68において、メインシ
ャフト12の中心軸に直交し、且つ、線ばね32に直交
する位置(図6中上端部)に取り付けられた加速度セン
サ70によって、ステアリングホイール68のかかる位
置における軸方向及び軸直角方向の振動を測定した。ま
た、制振装置を装着していない状態下でのステアリング
ホイール68のかかる位置における軸直角方向の振動を
測定した結果を、比較例1として、図4に併せ示すと共
に、軸方向の振動を測定した結果を、比較例2として、
図5に併せ示す。
【0042】図4及び図5の測定結果から明らかなよう
に、本実施形態の制振装置は、ステアリングホイール6
8の軸直角方向および軸方向の振動に対して有効な制振
効果を発揮していることが認められる。
【0043】以上、本発明の一実施形態について詳述し
てきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、
かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、
限定的に解釈されるものではない。
【0044】例えば、前記実施形態では、複数本の線ば
ね32によってばね部材14が構成されていたが、1本
の線ばねによってばね部材を構成することも可能であ
る。また、前記実施形態では、線ばね32は金属材によ
って形成されていたが、線ばねの形成材料は、金属材に
限定される必要はない。更に、前記実施形態では、複数
の線ばね32が同一平面上で直線的に且つ互いに平行に
延びるように配設されていたが、複数の線ばねを採用す
る場合の配設形態は、前記実施形態のものに限定されな
い。具体的には、例えば、適当に湾曲乃至は屈曲せしめ
た線ばねを、単一で又は相互に平行に配設してばね部材
を構成したり、或いは、直線的又は湾曲等して延びる複
数本の線ばねを互いに傾斜させて配設してばね部材を構
成することも可能であり、それによって、ばね部材にお
ける複数の方向でのばね特性のチューニング自由度の更
なる向上が図られ得る。
【0045】また、副振動系の固有振動数は、前記実施
形態のものに限定されず、制振すべき振動部材において
問題となる振動周波数に応じて、適宜に設定,変更され
るものである。
【0046】さらに、制振装置において採用されるダン
パマスや独立マス部材の個数は、前記実施形態のものに
限定されない。
【0047】また、前記実施形態では、線ばねは、軸方
向一方の端部がボルトの頭と固定金具で挟圧保持される
ことによって固定金具に固定されていると共に、軸方向
他方の端部が当接ハウジングの固定部の突出先端部で挟
圧保持されてダンパマスに固定されていたが、線ばねの
固定金具及びダンパマスへの固定方法は、前記実施形態
のものに限定されず、例えば、接着や溶接等によって固
定することも可能である。
【0048】また、本発明においては、線ばねの外径寸
法や自由長、形成材料を変更することにより、線ばね、
即ち、ばね部材のばね特性を容易に変更することが出来
る。更に、複数本の線ばねを採用している場合には、そ
れら複数本の線ばねの配設形態を変更することにより、
ばね部材のばね特性を変更することが出来るのである。
【0049】また、前記実施形態では、独立マス部材
は、振動入力方向の両側で当接ハウジングに当接せしめ
られるようになっていたが、振動入力方向の一方の側で
当接ハウジングに当接せしめられるようにしても良い。
【0050】加えて、本発明は、例示の如き、ステアリ
ングのメインシャフトに用いられる制振装置の他、自動
車におけるボデー等の各種部材に用いられる制振装置、
或いは自動車以外の各種装置等に用いられる制振装置に
対して、何れも、適用可能であることは言うまでもな
い。
【0051】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を
加えた態様において実施され得るものであり、また、そ
のよな実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何
れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言
うまでもない。
【0052】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた制振装置においては、振動が入力さ
れてダンパマスが変位せしめられた際に、ダンパマスを
構成する当接ハウジングに対して独立マス部材が当接せ
しめられることから、広い周波数域に亘って優れた制振
効果を発揮することが出来るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての制振装置を示す断
面図であり、図2におけるI−I断面に相当する図であ
る。
【図2】図1におけるII−II断面図である。
【図3】図1に示された制振装置を構成する独立マス部
材を当接ハウジングに固着した状態での制振装置の固有
振動数を測定した結果を示すグラフである。
【図4】図1に示された制振装置をメインシャフトに取
り付けた場合のステアリングホイールにおける軸直角方
向の振動を測定した結果を比較例と共に示すグラフであ
る。
【図5】図1に示された制振装置をメインシャフトに取
り付けた場合のステアリングホイールにおける軸方向の
振動を測定した結果を比較例と共に示すグラフである。
【図6】ステアリングホイールにおける振動を測定した
部分の位置を概略的に示すモデル図である。
【符号の説明】
10 制振装置 12 メインシャフト 14 ばね部材 16 ダンパマス 32 線ばね 38 当接ハウジング 40 マス収容空所 42 独立マス部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 錬太郎 愛知県小牧市東三丁目1番地 東海ゴム工 業株式会社内 Fターム(参考) 3J048 AA02 BA01 BF02 EA22

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制振すべき振動部材に対して、ばね部材
    を介してダンパマスを弾性支持せしめることにより、該
    振動部材に対する副振動系を構成するようにした制振装
    置であって、 前記ばね部材を円形断面で延びる線ばねによって構成せ
    しめて、該ばね部材によってマス収容空所を備えた中空
    構造を有する剛性の当接ハウジングを弾性支持せしめる
    と共に、該当接ハウジングの該マス収容空所に対して独
    立マス部材を非接着で独立変位可能に収容配置すること
    によって前記ダンパマスを構成し、該独立マス部材が該
    当接ハウジングに対して制振すべき振動入力方向で直接
    的且つ弾性的に当接せしめられるようにしたことを特徴
    とする制振装置。
  2. 【請求項2】 前記ばね部材が、それぞれ直線的に且つ
    互いに略平行に延びる複数本の前記線ばねによって構成
    されている請求項1に記載の制振装置。
  3. 【請求項3】 前記振動部材において互いに異なる方向
    に生ぜしめられる制振すべき周波数の異なる複数の振動
    が、それぞれ前記複数本の線ばねに対して略直交する方
    向に入力されるようにすると共に、それら各制振すべき
    複数の振動の各入力方向において該複数本の線ばねの配
    列形態を異ならせて前記ばね部材のばね定数を相対的に
    異ならせることにより、前記副振動系における各制振す
    べき複数の振動の各入力方向での固有振動数をそれぞれ
    チューニングするようにし、更に該振動部材におけるそ
    れら各制振すべき複数の振動の各入力方向において、前
    記当接ハウジングに対して前記独立マス部材が独立変位
    せしめられて直接的且つ弾性的に当接されるようにした
    請求項2に記載の制振装置。
  4. 【請求項4】 前記振動部材が回転部材であり、該振動
    部材からその回転中心軸に略直交する方向に延びるよう
    に前記ばね部材を構成する前記線ばねを配設して、該振
    動部材に離隔配置せしめた前記ダンパマスに対して、該
    振動部材の回転中心軸回りの振動が及ぼされるようにし
    た請求項1乃至3の何れかに記載の制振装置。
  5. 【請求項5】 前記ばね部材と前記ダンパマスを、前記
    振動部材の周方向で複数配設して、それら全てのばね部
    材およびダンパマスの重心が該振動部材の回転中心軸上
    に位置するようにして、複数の副振動系を構成した請求
    項4に記載の制振装置。
  6. 【請求項6】 前記ダンパマスの重心位置を、制振すべ
    き振動の入力方向での投影において、前記振動部材への
    固定部位から延び出して配設された前記ばね部材の突出
    先端部分よりも、該ばね部材の該振動部材に対する固定
    部位側に位置せしめた請求項1乃至5の何れかに記載の
    制振装置。
  7. 【請求項7】 前記独立マス部材を球状又は円形ロッド
    状を有する円形断面体として前記当接ハウジングに収容
    配置せしめた請求項1乃至6の何れかに記載の制振装
    置。
  8. 【請求項8】 前記線ばねとして、損失係数が0.07
    以下の金属ばねを採用した請求項1乃至7の何れかに記
    載の制振装置。
  9. 【請求項9】 前記ダンパマスの合計質量が、前記振動
    部材の5〜15%である請求項1乃至8の何れかに記載
    の制振装置。
  10. 【請求項10】 前記当接ハウジングと前記独立マス部
    材との前記振動入力方向における当接面の少なくとも一
    方がショアD硬さ80以下となるように、該当接ハウジ
    ングと該独立マス部材との該振動入力方向における当接
    部位の少なくとも一方を弾性部材で形成した請求項1乃
    至9の何れかに記載の制振装置。
  11. 【請求項11】 前記振動部材における制振すべき振動
    入力方向の両側で前記独立マス部材が前記当接ハウジン
    グに対して当接せしめられるようにすると共に、該独立
    マス部材の該当接ハウジングに対する該振動入力方向両
    側での当接面間における往復可動距離を0.1〜1.6
    mmとした請求項1乃至10の何れかに記載の制振装置。
  12. 【請求項12】 前記当接ハウジングと前記独立マス部
    材の少なくとも一方を、5×103 MPa以上の弾性率
    を有する剛性材によって形成した請求項1乃至11の何
    れかに記載の制振装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2021524823A (ja) * 2018-05-24 2021-09-16 ロックウェル コリンズ ドイチェラント ゲーエムベーハー 同調質量ダンパを有するフライホイール

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