JP3972292B2 - 車両用ショックアブソーバ - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、自動車やトレーラ,単車,鉄道車両等のサスペンション機構に用いられる車両用ショックアブソーバに係り、特にサスペンション機構を構成する車輪側部材からボデー側部材への振動伝達を抑えて、ボデー側部材の走行振動を抑えることの出来る、構造が簡単で、新規な車両用ショックアブソーバに関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、自動車等の車両においては、走行時に車輪側から入力される加振力が車両ボデー側に伝達されることに起因して、ボデーやパネル,ステアリング,各種レバー等に振動やこもり音の発生することが問題となり易い。そこで、このような車両ボデー側の振動が問題となる場合には、例えばサスペンション機構を構成するアームやロッド等のボデー側への連結部位にサスペンションブッシュ等の防振連結部材を装着すること等によって対処している。
【0003】
そして、高度な防振性能を得るために、かかるサスペンション用の防振連結部材として、各種構造のものが提案されており、例えばゴム弾性体の弾性のみに基づいて防振効果を得るようにしたソリッドタイプの防振連結部材の他、内部に液体を封入して液体の共振作用に基づいて防振効果を得るようにした構造のもの等もある。
【0004】
しかしながら、このようなサスペンション用の防振連結部材を採用しても、自動車等において車輪側から入力される加振力に起因する振動に対して、未だ十分な防振効果を得ることが難しいのが現状であり、特にサスペンション機構においては、車両の走行安定性を確保するためにばね剛性が必要とされることから、サスペンションブッシュ等の防振連結部材におけるばね特性を柔らかくして防振性能を向上させることに限界があった。また、液体封入式の防振連結部材も提案されているが、液体の共振作用に基づく防振効果が有効に発揮される周波数域が狭いことから、車輪側から入力される加振力が多くの周波数成分を含んでいるサスペンション機構では、有効な防振効果を安定して得ることが難しいという問題があったのである。
【0005】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、車両の走行時に車輪側からボデー側に及ぼされる加振力に起因する振動を、広い周波数域に亘って効果的に低減せしめ得る、構造が簡単で安価に提供される新規な防振機構を備えた車両用ショックアブソーバを提供することにある。
【0006】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0007】
すなわち、本発明者がサスペンション機構における車輪側からボデー側への振動伝達のメカニズムを詳細に検証および検討した結果、サスペンションアームやサスペンションロッド等の車輪側部材とサブフレームやメインボデー等のボデー側部材との間に装着されてサスペンション機構の作動に減衰力を及ぼすショックアブソーバを通じての車輪側からボデー側への振動伝達が、サスペンションアームやサスペンションロッド等の剛性部材を通じての車輪側からボデー側への振動伝達に比して、無視できない程に大きな要素を占めていることが確認されたのであり、特に、このショックアブソーバを通じての振動伝達は、ショックアブソーバ自体の共振現象に起因していることが大きいということが明らかとなったのである。そして、かかる知見のもとで本発明者が鋭意検討を重ねた結果、特定構造の制振手段が、ショックアブソーバの機能を損なうことなく、ショックアブソーバを通じての車輪側からボデー側への振動伝達に関して極めて有効な低減効果を発揮し得ることを見い出し得たのであり、それによって、車両用ショックアブソーバに関する本発明が完成され得たのである。
【0008】
そして、上述の如き課題を解決するために為された本発明の第一の態様の特徴とするところは、車両のボデー側部材と車輪側部材の一方にシリンダを取り付け、他方にピストンロッドを取り付けることにより、サスペンション機構に装着される車両用ショックアブソーバであって、中空構造とされた環状のハウジングを前記ピストンロッドに外挿して前記シリンダの軸方向上端面に固定的に設けると共に、該ハウジング内に非接着で独立変位可能な独立マス部材を収容することにより、振動入力時に該シリンダまたは該ピストンロッドの中心軸に対して略直交する方向で該独立マス部材が弾性的に繰り返し当接せしめられる第一の当接面と、振動入力時に該中心軸に対して略平行な方向で該独立マス部材が弾性的に繰り返し当接せしめられる第二の当接面を、該シリンダに対して該独立マス部材の当接力が該ハウジングを介してまたは直接に及ぼされるように設けたことにある。
【0009】
このような本態様に従う構造とされた車両用ショックアブソーバにおいては、車両の走行時に車輪からサスペンション機構に入力された振動がショックアブソーバにまで及ぼされて、ショックアブソーバが加振されると、独立マス部材がシリンダまたはピストンロッドに対して飛び跳ね的に変位せしめられて、該独立マス部材がシリンダまたはピストンロッドに対して弾性的に当接せしめられることとなる。その結果、シリンダまたはピストンロッドに惹起される振動が積極的に低減せしめられて、ショックアブソーバを通じて車輪側からボデー側に伝達される振動が有効に低減され得るのである。
【0010】
特に、本態様に係る車両用ショックアブソーバにおいては、シリンダまたはピストンロッドに対して独立変位可能な独立マス部材を組み付けるだけで良く、特別なアクチュエータや液体封入等の必要がないことから、構造が簡単で製造が容易、しかもコンパクトに構成することが出来るのであり、ショックアブソーバ本来の機能を損なうこともなく、配設スペース等を含めたサスペンション機構全体の設計変更等の必要も特にないことから、極めて高い実用性と汎用性を備えているのである。
【0011】
また、本態様において、独立マス部材は、その全体又は一部をゴム弾性体や合成樹脂材,金属等の各種材料で形成することが出来るが、独立マス部材を金属等の剛性材で形成する場合には、独立マス部材とシリンダ又はピストンロッドの少なくとも一方の当接面に弾性材層を配設することにより、独立マス部材の弾性的な当接が有利に実現され得る。即ち、独立マス部材をシリンダまたはピストンロッドに対して弾性的に当接せしめるようにしたことにより、当接面を形成する弾性材、好ましくはゴム弾性体の弾性に基づいて、小さな振幅(エネルギ)の振動であっても、独立マス部材がシリンダまたはピストンロッドから効率的に相対変位せしめられるのであり、それによって独立マス部材のシリンダまたはピストンロッドに対する当接に基づく制振効果が、小振幅振動に対しても有効に発揮され得るのである。
【0012】
更にまた、本態様においては、独立マス部材がシリンダまたはピストンロッドに対して非接着で独立変位可能に配設されており、独立マス部材がシリンダまたはピストンロッドに対して直接的に弾性連結されておらず物理的に独立して組み付けられていることから、独立マス部材の変位がシリンダやピストンロッドに拘束されずに自由に生ぜしめられることとなり、その結果、シリンダやピストンロッドにおける広い周波数域乃至は複数の周波数域の振動に対して、独立マス部材の変位が何れも有効に生ぜしめられて、独立マス部材のシリンダやピストンロッドに対する当接に基づく、上述の如き制振効果が有効に発揮され得るのである。そして、このことは、特に、問題となる入力振動周波数が複数存在し、或いは変化するサスペンション機構を通じてのボデー側への伝達振動の低減に関して、極めて有効となる。
【0013】
なお、本態様において、独立マス部材は、単一でも複数でも良く、シリンダとピストンロッドの何れに対して当接せしめられるようになっていても良いし、それらシリンダとピストンロッドに対して各々当接せしめられる複数の独立マス部材を採用しても良い。また、独立マス部材は、シリンダやピストンロッドに対して直接に当接されるようになっていても良いが、その他、例えばシリンダやピストンロッドに固設されるサスペンションスプリングや該サスペンションスプリングの受座等に対して当接されるようになっていても良く、或いはシリンダやピストンロッドにおいて、独立マス部材がより効率的に当接されるように当接部材を特別に設けても良い。
【0014】
また、本態様において、独立マス部材は、シリンダまたはピストンロッドに対して、問題となる振動の方向で当接されるようになっていることが望ましく、振動入力方向に応じて、例えばシリンダやピストンロッドの軸方向や軸直角方向で当接されることとなる。特に、軸直角方向の振動が問題となる場合には、ショックアブソーバの振動モードを考慮し、共振時の振動モードが腹となる部位の付近に独立マス部材が当接されるようにすることが望ましく、例えば一次の振動モードが問題となる場合には、ショックアブソーバの軸方向の略中央部分に独立マス部材が当接されるようにすることが望ましい。
また、本態様においては、シリンダまたはピストンロッドにおける独立マス部材の当接面が有利に形成され得て、独立マス部材をシリンダやピストンロッドに対して一層効率的に当接させることが可能となる。また、ハウジングを略密閉構造とすることも可能であり、それによって、当接面と独立マス部材の間への異物の侵入等に起因する制振効果の阻害等の問題も回避され得る。なお、ハウジングは、シリンダに一体形成しても良く、別部材で形成したハウジングをシリンダに固着しても良い。そこにおいて、ハウジングは、独立マス部材を安定して支持せしめると共に、必要に応じてシリンダやピストンロッドの振動を加振力として独立マス部材に効率的に及ぼし得るように、金属等の剛性材で形成されることが望ましい。
さらにまた、本態様においては、ショックアブソーバを通じて伝達される軸方向および軸直角方向の各振動に対して、何れも、独立マス部材の当接に基づく制振効果が有効に発揮され得ることとなり、全体としての制振効果の向上が図られ得るのである。
【0015】
また、本発明の第二の態様は、前記独立マス部材を、前記ピストンロッドの中心軸回りを周方向の全周に亘って連続して延びる環状として、該ピストンロッドに対して外挿状態で配設せしめたことを、特徴とする。このような本態様においては、環状の独立マス部材をピストンロッドに外挿せしめたことにより、独立マス部材のシリンダ等からの離脱や脱落が有利に防止され得る。また、一つの独立マス部材の質量を大きく設定することも容易となり、設計自由度の向上が図られ得る。
【0016】
また、本発明の第三の態様は、前記第一の態様に係る車両用ショックアブソーバにおいて、前記独立マス部材を、前記ピストンロッドの中心軸回りで相互に独立して複数配設すると共に、振動入力時にそれら複数の独立マス部材が該中心軸に略直交する方向において、軸直角方向外方では前記ハウジングの内面に対して弾性的に繰り返し当接せしめられると共に、軸直角方向内方では該ピストンロッドに対して弾性的に繰り返し当接せしめられるようにしたことを、特徴とする。このような本態様においては、ショックアブソーバの中心軸に直交する複数方向の振動に対して有効な制振効果が発揮されるのである。
【0017】
また、本発明の第四の態様は、前記第三の態様に係る車両用ショックアブソーバにおいて、前記シリンダに固定的に設けられて、前記独立マス部材を鉛直下方から支持せしめる支持面を、該シリンダの中心軸に向かって鉛直下方に傾斜する傾斜面としたことを、特徴とする。このような本態様においては、静置状態下で複数の独立マス部材が、支持面による案内作用に基づいて、シリンダまたはピストンロッドに対する当接状態に保持されるのであり、それ故、振動入力時にシリンダまたはピストンロッドから独立マス部材に対して加振力が有利に伝達され得て、独立マス部材の飛び跳ね的な変位が一層有利に生ぜしめられるのである。
【0019】
また、本発明の第五の態様は、前記第一又は第二の態様に係る車両用ショックアブソーバにおいて、前記ハウジングの内面によって、前記シリンダまたは前記ピストンロッドの中心軸に対して略直交する方向で対向位置する一対の前記第一の当接面と、該中心軸に対して略平行な方向で対向位置する一対の前記第二の当接面とを、それぞれ形成すると共に、それら各一対の第一の当接面間と第二の当接面間での前記独立マス部材の往復可動距離を、該シリンダまたは該ピストンロッドの中心軸に対して略直交する方向と略平行な方向のそれぞれにおいて、何れも、0.1〜1.6mmとしたことを、特徴とする。このような本態様においては、問題となる振動入力方向において独立マス部材を往復変位方向の両側でシリンダまたはピストンロッドに対して当接させることにより、目的とする制振効果を一層効率的に得ることが可能となる。しかも、問題となる振動入力方向に直交する方向でも独立マス部材の変位が制限されることにより、独立マス部材が振動入力方向で案内されて変位状態が安定化せしめられることとなり、以て、目的とする当接に基づく制振効果の更なる向上が図られ得るのである。
【0023】
また、本発明の第六の態様は、前記第一乃至第五の何れかの態様に係る車両用ショックアブソーバにおいて、振動入力時にそれぞれ当接せしめられる、前記独立マス部材と前記第一の当接面との少なくとも一方、および該独立マス部材と前記第二の当接面との少なくとも一方を、何れも、ショアD硬さ80以下としたことを、特徴とする。このような本態様においては、独立マス部材の当接音の低減が図られ得ると共に、当接面の弾性に基づく独立マス部材の変位が効率的に発現され得て、特に小さなエネルギの振動(小振幅の振動)に対する制振効果の更なる向上が図られ得る。なお、ショアD硬さは、ASTM規格D2240のショアD硬さをいい、より好ましくはショアD硬さが20〜40に設定される。
【0024】
さらに、独立マス部材のシリンダまたはピストンロッドへの当接時における当接音の低減と、独立マス部材のシリンダまたはピストンロッドへの当接に基づく制振効果の更なる向上のためには、独立マス部材のシリンダまたはピストンロッドに対する当接部位において、圧縮弾性率が好ましくは1〜104 MPa、より好ましくは1〜103 MPaに設定されることとなり、また、損失正接(tan δ)が好ましくは1×10-3以上、より好ましくは0.01〜10とされる。
【0025】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の幾つかの実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0026】
先ず、図1は、本発明の第一の実施形態としてのショックアブソーバ10を装着状態で示す概略説明図であるが、そこにおいて、かかるショックアブソーバ10は、シリンダ機構を構成するアブソーバ本体12に対して、コイルスプリング14やバンプストッパ16に加えて特定の制振装置18を装備せしめた構造とされており、ボデー側部材としてのメインボデー20と車輪側部材としてのサスペンションアーム22の間に装着されて、サスペンションアーム22の揺動に対して減衰力を及ぼすようになっている。
【0027】
より詳細には、アブソーバ本体12は、従来から公知のものであって、円筒形状のシリンダ24に滑動可能に組み付けたピストンに対して、ピストンロッド26を固設して、該ピストンロッド26をシリンダ24の軸方向上端部から上方に向かって中心軸上で突出せしめた構造とされている。また、図面上に明示はされていないが、シリンダ24内に封入されたオイルの流動抵抗等に基づいて、シリンダ24に対するピストンロッド26の伸縮作動に対して所定の減衰力が及ぼされるようになっている。
【0028】
そして、シリンダ24の軸方向下端部が、防振ブッシュ28を介して、サスペンションアーム22に取り付けられる一方、ピストンロッド26の軸方向上端部(突出先端部)が、アッパサポート30を介して、メインボデー20に取り付けられるようになっている。これにより、アブソーバ本体12が、サスペンションアーム22とメインボデー20の間に装着されて、サスペンションアーム22の揺動に際して減衰力を及ぼすようにされている。なお、防振ブッシュ28およびアッパサポート30については、何れも、従来から周知のものが何れも採用可能であることから、ここでは説明を省略する。
【0029】
また、本実施形態のショックアブソーバ10は、ストラット式のサスペンション機構を構成するようになっており、シリンダ24に対して、軸方向中間部分で軸直角方向外方に広がるスプリング下受座32が固着されている一方、メインボデー20には、スプリング上受座34が固設されて、スプリング下受座32に対して上下方向に所定距離を隔てて対向位置せしめられている。そして、ショックアブソーバ10に外挿されたコイルスプリング14が、これらスプリング下受座32とスプリング上受座34の間で軸方向に挟まれた状態で組み付けられており、このコイルスプリング14の弾性力が、サスペンションアーム22に対して、車輪に対するボデーの弾性的な支持力として作用せしめられるようになっている。
【0030】
なお、アブソーバ本体12には、コイルスプリング14よりも小径の蛇腹筒形状を有するダストカバー38が外挿されて組み付けられており、該ダストカバー38がスプリング上受座34から吊り下げられて、アブソーバ本体12とコイルスプリング14の間に配設されることにより、シリンダ24から突設されたピストンロッド26の全長が、かかるダストカバー38で覆われている。
【0031】
また、アブソーバ本体12のピストンロッド26には、全体として厚肉の略円筒形状を有するバンプストッパ16が外挿されて組み付けられている。このバンプストッパ16も、周知のものが何れも採用可能であって、ここでは詳述しないが、ゴム弾性体や発泡ウレタン等の弾性材で形成されており、シリンダ24とメインボデー20の対向面間に配設されている。そして、アブソーバ本体12のバウンド方向に大きな荷重が及ぼされてピストンロッド26がシリンダ24に対して収縮方向に大きく変位せしめられた際、バンプストッパ16がシリンダ24とメインボデー20の間で軸方向に圧縮されることにより、サスペンションアーム22の揺動が緩衝的に制限されるようになっている。
【0032】
さらに、アブソーバ本体12には、シリンダ24の軸方向上端部におけるピストンロッド26の突出部分において制振装置18が装備されている。
【0033】
かかる制振装置18は、図2乃至4にも示されているように、中空構造とされた環状のハウジング42を備えており、該ハウジング42内に複数の独立マス部材としての独立マス44が収容されることによって構成されている。ここにおいて、ハウジング42は、逆L字形の断面形状をもって周方向に連続して延びる上側環状金具46と、L字形の断面形状をもって周方向に連続して延びる下側環状金具48を、互いに軸方向に組み合わせ、上下環状金具46,48の各円筒部50,52を相互に嵌着固定せしめて、上下環状金具46,48の各円環板部54,56を軸方向で所定距離を隔てて対向位置せしめることによって形成されている。即ち、かかるハウジング42は、内周面に開口するコ字形断面をもって周方向に連続して延びる中空環状体とされている。また、上下環状金具46,48には、各円筒部50,52の嵌着面を除く略全面において被覆ゴム58,60が被着形成されており、これによって、ハウジング42の内周面の全面が被覆ゴム58,60で覆われている。
【0034】
とくに、下側環状金具48においては、被覆ゴム60のうち円環板部56の上面に被着された部分の肉厚寸法が外周側に行くに従って厚肉とされており、ハウジング42における支持面としての内側底面が、径方向内方に向かって傾斜したテーパ状の傾斜面62とされている。また、ハウジング42の上下壁部を構成する円環板部54,56には、ハウジング42の内周側の開口縁部においてそれぞれ軸方向対向側に向かって所定高さで突出する係止突起64,66が、周方向に連続して円環状をもって形成されている。なお、これら係止突起64,66は、被覆ゴム58,60によって形成されている。そして、ハウジング42の内周側に形成された円環状の開口窓68が、ハウジング42の中空内部よりも絞られており、ハウジング42における軸方向の内法寸法よりも小さな軸方向開口幅をもって形成されている。
【0035】
さらに、ハウジング42の中空内部である内部空所70には、複数個(本実施形態では6個)の独立マス44が収容されており、中心軸回りの一つの円周上に配列されている。また、ハウジング42の内部空所70には、外周壁部から径方向内方に向かって突出する仕切用の竪壁72が、周方向に所定間隔で複数枚(本実施形態では6枚)固設されており、これらの竪壁72によって、隣接する独立マス44,44が相互に直接に当接しないようにされている。なお、本実施形態では、複数枚の竪壁72が、被覆ゴム60に一体形成されて下側環状金具48に固設されている。
【0036】
また、複数個の独立マス44は、全て同一のものが用いられており、それぞれ、金属等で形成された球状のマス本体74の全表面に対して、一定厚さの緩衝ゴム層76が被着されることによって、全体として球状外周面をもって形成されている。特に、独立マス44は、ハウジング42の内部空所70の軸方向および軸直角方向の内法寸法よりも小さく、且つ隣接する竪壁72,72間の対向距離よりも小さな外径寸法をもって形成されており、内部空所70内で、ハウジング42の軸方向および軸直角方向に所定距離だけ自由に、ハウジング42から独立して変位可能とされている。
【0037】
更にまた、独立マス44の外径寸法は、ハウジング42における内部空所70の開口窓68の軸方向開口幅寸法よりも所定量だけ大きくされており、開口窓68を形成する上下係止突起64,66への当接により、独立マス44の開口窓68からの抜け出しが防止されるようになっている。また、かかる独立マス44は、内部空所70内で内周側に位置せしめられた際、該独立マス44の一部が開口窓68から径方向内方に突出してハウジング42の内周面よりも更に径方向内方に突出せしめられるようになっている。そこにおいて、本実施形態では、ハウジング42の内部空所70の底面が傾斜面62とされていることにより、該傾斜面62に載置された独立マス44は、静置状態下で、開口窓68から一部を径方向内方に突出せしめられた状態に保持されるようになっている。
【0038】
而して、このような構造とされた制振装置18は、図2に示されているように、アブソーバ本体12のピストンロッド26に外挿されて、シリンダ24およびピストンロッド26の中心軸とハウジング42の中心軸が一致する状態で、シリンダ24の軸方向上端面に載置されて固定的に組み付けられている。そこにおいて、ハウジング42は、シリンダ24の上面に接着等で固着しても良いし、或いは図5に示されているように、ハウジング42から軸方向下方に延び出す嵌合筒部78を設けて、該嵌合筒部78をシリンダ24の上端部に外嵌せしめること等によって、ハウジング42をシリンダ24に固定するようにしても良い。
【0039】
また、アブソーバ本体12のピストンロッド26の外径寸法は、ハウジング42の内径寸法よりも小さいが、ハウジング42の開口窓68から突出せしめられた独立マス44がピストンロッド26の外周面に当接せしめられるように設定されている。即ち、制振装置18の装着状態下、独立マス44は、図3に示されているように、内部空所70内における最内周側への移動端が、上下の係止突起64,66への当接ではなく、アブソーバ本体12のピストンロッド26への当接で規定されるようになっているのである。このことから明らかなように、本実施形態では、ピストンロッド26の外周面と、ハウジング42の外周壁部を構成する下側環状金具48の被覆ゴム60で覆われた円筒部52によって、独立マス44がアブソーバ本体12の軸直角方向で当接せしめられる第一の当接面が構成されている。また、ハウジング42における上下環状金具46,48の被覆ゴム58,60で覆われた円環板部54,56によって、独立マス44がアブソーバ本体12の軸方向で当接せしめられる第二の当接面が形成されている。
【0040】
なお、ハウジング42の内部空所70の内法寸法と独立マス44の外径寸法の差の大きさは、特に限定されるものでなく、独立マス44の自由な変位が許容される程度に設定されれば良いが、特に本実施形態では、制振装置18のアブソーバ本体12への装着状態下における独立マス44の軸方向および軸直角方向の変位量が、何れも、ハウジング42乃至はピストンロッド26への当接によって制限される両側移動端間での往復可動距離として0.1〜1.6mm、より好ましくは0.1〜1.0mmとなるように設定されている。即ち、このような往復可動距離を設定することにより、振動入力時に独立マス44が移動方向両側でハウジング42乃至はピストンロッド26に対して有利に当接され得ることとなるのである。
【0041】
また、上述の説明から明らかなように、本実施形態では、独立マス44の緩衝ゴム層76とハウジング42の被覆ゴム58,60によって、独立マス44のピストンロッド26やシリンダ24に対する直接的乃至は間接的な当接面が構成されている。そして、これらの当接面を構成する緩衝ゴム層76および被覆ゴム58,60は、当接時の打音を軽減すると共に有効な制振効果を得るために、ASTM規格D2240のショア硬さが80以下とされることが望ましく、或いは圧縮弾性率が1〜104 MPaとされることが望ましい。また、同様な目的のために、損失正接(tanδ)が10-3以上とされることが望ましい。
【0042】
このような構造とされたショックアブソーバ10には、前述の如き自動車への装着状態下で自動車の走行に際し、サスペンションアーム22とメインボデー20の間で加振力が及ぼされることとなり、例えば大きな問題となる振動として、アブソーバ本体12に対して、図1中に仮想線で示されているように軸直角方向の加振力による1次の共振モードの振動が発現される。即ち、このようなアブソーバ本体12自体の共振現象が発生すると、サスペンションアーム22から入力された振動が増幅されてメインボデー20に伝達されることにより、振動の問題が発生し易いのである。
【0043】
そこにおいて、かかるショックアブソーバ10にあっては、アブソーバ本体12を構成するピストンロッド26が加振されることにより、制振装置18において、ピストンロッド26に当接状態で保持された独立マス44に対して加振力が及ぼされることとなる。そして、かかる独立マス44が、ピストンロッド26に対して軸直角方向に飛び跳ね的に変位せしめられて、ピストンロッド26の外周面に対して軸直角方向で繰り返し打ち当り当接せしめられることとなる。その結果、独立マス44の打ち当りによってピストンロッド26に有効な制振効果が発揮されるのであり、アブソーバ本体12自体の共振的な振動が抑えられることによって、アブソーバ本体12を通じての車輪側からボデー側への振動伝達が効果的に低減され得るのである。
【0044】
特に、本実施形態では、独立マス44を支持するハウジング42の底面が傾斜面62とされて、独立マス44のピストンロッド26への当接状態が有利に発現されることから、独立マス44の飛び跳ね的な独立変位とピストンロッド26への打ち当りが一層有利に発現されて、それによる振動低減効果がより効果的に発揮されるのである。
【0045】
しかも、本実施形態では、独立マス44が径方向外方に変位せしめられた際にも、ハウジング42の外周壁部を介してシリンダ24に対して打ち当り当接されるようになっていることから、かかる当接によっても、アブソーバ本体12に対する制振効果が発揮され得ることとなる。
【0046】
また、本実施形態では、シリンダ24の軸方向振動に際しても、シリンダ24と一体的に加振されるハウジング42から独立マス44に加振力が及ぼされて、独立マス44が上下方向に飛び跳ね変位せしめられ、ハウジング42を介してシリンダ24に打ち当り当接されることとなる。それ故、かかる当接に基づいて、アブソーバ本体12の軸方向振動に対しても有効な制振効果を得ることが出来るのである。
【0047】
さらに、本実施形態では、ハウジング42の内部空所70が複数の竪壁72で仕切られて独立マス44同士の干渉も回避されていることから、各独立マス44の飛び跳ね変位が安定して生ぜしめられるのであり、それによって、目的とする制振効果を一層安定して得ることが出来るのである。
【0048】
因みに、上述の如き本実施形態に従う構造とされたショックアブソーバ10について、制振装置18による制振効果を検証するために、制振装置18を装着しない状態でのメインボデー20の振動レベルと、制振装置18を装着した状態でのメインボデー20の振動レベルを実測したところ、略130Hzの共振周波数域の振動レベル(振動加速度スペクトル)が略3dB改善されることを確認した。なお、かかる実測は、ショックアブソーバ10のシリンダ24におけるサスペンションアーム22への取付部位をハンマリングして、ピストンロッド26におけるメインボデー20への取付部位の振動加速度をピックアップで検出することにより、単位:(m/s2)/N の検出値で測定評価した。また、制振装置18を装着しない状態においては、制振装置18から全ての独立マス44を除去したものを採用した。
【0049】
次に、図6には、本発明に関連した第一の参考例としてのショックアブソーバ80が示されている。なお、以下の参考例は、何れも、制振装置の別の具体的態様例を示すものであって、アブソーバ本体12としては第一の実施形態と同様のものが採用可能であることから、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については第一の実施形態と同一の符号を使用すると共に、特徴的な部分だけを図示して説明することとする。
【0050】
すなわち、第一の参考例としてのショックアブソーバ80に採用された制振装置82は、ショックアブソーバ80のシリンダ24の外径寸法よりも大きな内径寸法を有する大径の円環ブロック形状を有するハウジング本体84を備えている。このハウジング本体84には、一定の矩形断面で周方向の全周に亘って延びる円環状の凹溝86が、軸方向上方に開口して形成されている。そして、ハウジング本体84の軸方向上面に円環板形状の蓋体88が重ね合わされて固着されることにより、凹溝86の開口が蓋体88で覆蓋されてハウジング90が形成されている。なお、ハウジング本体84と蓋体88は、金属や硬質の合成樹脂材で形成されることが望ましい。
【0051】
要するに、本参考例の制振装置82のハウジング90は、外部空間に対して略密閉された構造をもって円環状の内部空所92が形成されており、そして、この内部空所92内に、第一の実施形態の独立マス(44)と同じ構造とされた複数個の独立マス94が収容配置されている。なお、ハウジング90には、第一の実施形態と同様に、内部空所92を周方向で仕切ることにより、隣接する独立マス94,94の干渉を防止する竪壁96が、周方向で互いに所定距離を隔てて位置するように固設されている。
【0052】
なお、各独立マス94は、ハウジング90に対して接着や弾性連結等されておらず完全に独立位置せしめられており、内部空所92における隣接する竪壁96,96で仕切られた空所内でハウジング90から独立した飛び跳ね変位が許容されるように、各独立マス94の外径寸法は、第一の実施形態と同様に、内部空所92における隣接する竪壁96,96で仕切られた空所の内法寸法よりも軸方向および軸直角方向の何れにおいても所定量だけ小さく設定されている。
【0053】
そして、かかる制振装置82は、ハウジング90がアブソーバ本体12のシリンダ24に外挿されて、シリンダ24の軸方向上端部に対して位置固定に組み付けらている。なお、ハウジング90のシリンダ24への固定構造は、例えば円環ブロック形状としたハウジング90に対してシリンダ24の上端部を圧入固定したり、或いは溶着することも可能である。その他、例えば図7又は図8に示されているように、ハウジング90を周上で1箇所又は2箇所で分断せしめて、かかる分断箇所を締付ボルト98で連結固定することにより、ハウジング90をシリンダ24の外周面に対して締付固定しても良い。
【0054】
なお、上述の説明から明らかなように、本参考例では、ハウジング90における内部空所92の内周面のうち、径方向で対向位置せしめられた凹溝86の内外周面によって第一の当接面が構成されていると共に、軸方向で対向位置せしめられた凹溝86の底面と蓋体88の下面によって第二の当接面が構成されている。
【0055】
このような構造とされた制振装置82を備えた第一の参考例に係るショックアブソーバ80においても、振動入力時には、内部空所92内で独立マス94が飛び跳ね変位せしめられてハウジング90に打ち当り当接することにより、第一の実施形態と同様にアブソーバ本体12に対して有効な制振効果が発揮されるのである。また、特に本参考例においては、独立マス94の配設領域が外部空間に対して略遮断された内部空所92によって構成されていることから、独立マス94とハウジング90の当接面間への異物等の侵入が防止されて、目的とする制振効果を一層安定して得ることが可能となる。
【0056】
次に、図9には、本発明に関連した第二の参考例としてのショックアブソーバ100が示されている。
【0057】
かかる第二の参考例としてのショックアブソーバ100に採用された制振装置102は、上方に開口する矩形状の凹所104を備えた略矩形箱体形状のハウジング本体106を備えている。このハウジング本体106の凹所104は、図10に示されているように、凹所104の長手方向中央部分が隔壁108で仕切られており、隔壁108を挟んだ両側にそれぞれ略立方体形状のポケット部110,110が形成されている。そして、ハウジング本体106の上面に矩形板形状の蓋体112が重ね合わされて固着されることにより、ポケット部110,110の開口が蓋体112で覆蓋されてハウジング114が形成されている。なお、ハウジング本体106および隔壁108と蓋体112は、金属や硬質の合成樹脂材で形成されることが望ましい。
【0058】
要するに、本参考例の制振装置102のハウジング114には、外部空間に対して略密閉された構造をもって各立方体形状の内部空所116,116が形成されており、そして、これらの内部空所116,116内に、第一の実施形態の独立マス(44)と同じ構造とされた独立マス118,118が収容配置されている。なお、各独立マス118は、内部空所116内でハウジング114から独立して飛び跳ね変位可能とされていることは、第一の実施形態と同様である。
【0059】
そして、かかる制振装置102は、ハウジング114がアブソーバ本体12のピストンロッド26に対して固着されている。即ち、ピストンロッド26は、その軸方向上端部においてアッパサポート30に対して固定ナット120で締付固定されて取り付けられているが、かかるピストンロッド26の上端部がアッパサポート30への取付部位より更に上方に突出せしめられており、そのピストンロッド26の突出先端部に対してハウジング114が固着されている。なお、ハウジング114は、凹所104の底壁中央がピストンロッド26の中心軸上に位置せしめられて、該凹所104の底面がピストンロッド26の略軸直角方向に広がるようにして、ピストンロッド26に固着されている。要するに、ピストンロッド26の中心軸を挟んだ両側に一対の内部空所116,116が位置せしめられており、ピストンロッド26を挟んで対称的に一対の独立マス118,118が配設されているのである。
【0060】
このような構造とされた制振装置102を備えた第二の参考例に係るショックアブソーバ100においても、振動入力時には、ピストンロッド26の振動がハウジング114に及ぼされて加振されることにより、内部空所116,116内で独立マス118,118が飛び跳ね的に変位せしめられて隔壁108を含むハウジング114に打ち当り当接することにより、第一の実施形態と同様にアブソーバ本体12に対して有効な制振効果が発揮されるのである。
【0061】
次に、図11には、本発明に関連した第三の参考例としてのショックアブソーバ130が示されている。
【0062】
かかる第三の参考例としてのショックアブソーバ130に採用された制振装置132は、全体として円環状の独立マス134を備えている。この独立マス134は、一定の矩形断面で周方向に連続して延びる円環形状のマス本体136に対して、その全外周面を覆うように緩衝ゴム138が被着形成された構造とされている。なお、緩衝ゴム138には、マス本体136の軸方向下方に向かって山形断面で突出する当接部140が一体形成されている。
【0063】
また、かかる独立マス134は、その内径寸法が、アブソーバ本体12のピストンロッド26の外径寸法よりも所定量だけ大きくされていると共に、その当接部140の突出先端部分の径寸法が、アブソーバ本体12のシリンダ24の外径寸法よりも所定量だけ小さくされている。
【0064】
そして、この独立マス134は、アブソーバ本体12のピストンロッド26に外挿されて組み付けられており、かかる組付状態下、当接部140が、シリンダ24の軸方向上端面142に対して当接せしめられて支持されている。なお、本参考例では、ピストンロッド26およびシリンダ24の軸方向上端面によって第一の当接面および第二の当接面が構成されている。
【0065】
このような構造とされた制振装置132を備えた第三の参考例に係るショックアブソーバ130においても、振動入力時には、アブソーバ本体12におけるシリンダ24の振動が独立マス134に直接に及ぼされて加振されることにより、シリンダ24に対して独立マス134が飛び跳ね的に変位せしめられてシリンダ24に打ち当り当接することにより、第一の実施形態と同様にアブソーバ本体12に対して有効な制振効果が発揮されるのである。なお、本参考例では、軸直角方向の振動が及ぼされた場合でも、アブソーバ本体12のピストンロッド26に対して独立マス134が軸直角方向で直接に当接されて加振されることとなり、独立マス134がピストンロッド26に対して軸直角方向で打ち当り当接せしめられることから、軸直角方向の振動に対しても有効な制振効果を発揮し得ることとなる。
【0066】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、これらの実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明を趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0067】
例えば、前記第一の実施形態に示された制振装置18において、ハウジング42を軸方向に複数段重ね合わせて一体形成することにより、独立マス44がピストンロッド26の軸方向の複数箇所で当接されるようにしても良い。また、第一の参考例に示された制振装置82の複数を、シリンダ24の軸方向の複数位置に装着するようにしても良い。
【0068】
また、第一の実施形態及び第一,第二の参考例において、採用される独立マス44,94,118の数は前記第一の実施形態及び第一,第二の参考例の数に限定されるものでない。更にまた、独立マス94,118の外周面が緩衝ゴム層76で形成されていることから、ハウジング90,114における内部空所92,116の内面は、被覆ゴムで覆う必要はない。
【0069】
また、第一の実施形態及び第一の参考例のように独立マス44,94を複数採用する場合において、ハウジング42,90における竪壁72,96は、必ずしも設ける必要はない。
【0070】
また、前記第一の参考例では、シリンダ24の外周面に対してハウジング90の内周面が重ね合せられていたが、シリンダ24の外周面とハウジング90の内周面の対向面間に弾性材を介在せしめて、かかる弾性材によってハウジング90をシリンダ24に対して弾性連結せしめ、主振動系たるアブソーバ本体12に対する副振動系を構成しても良い。
【0071】
また、本発明において採用されるショックアブソーバの具体的構造は特に限定されるものでなく、例えばコイルスプリング14が外挿装着されないタイプのショックアブソーバに対しても、本発明は同様に適用され得る。
【0072】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされたショックアブソーバにおいては、独立マス部材のシリンダまたはピストンロッドに対する直接的乃至は間接的な当接によってショックアブソーバ自体の共振的な振動が抑えられるのであり、それによって、サスペンション機構を通じての車輪側からボデー側への振動伝達に起因する車両の振動状態が有利に改善され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施形態としての自動車用ショックアブソーバの全体構造を概略的に示す説明図である。
【図2】 図1に示されたショックアブソーバの要部を拡大して示す縦断面説明図である。
【図3】 図2の一部を更に拡大して示す詳細説明図である。
【図4】 図2におけるIV−IV断面図である。
【図5】 図1に示されたショックアブソーバにおける制振装置の別の取付構造例を示す、図2に対応する縦断面説明図である。
【図6】 本発明に関連した第一の参考例としての自動車用ショックアブソーバの要部を示す、図2に対応する縦断面説明図である。
【図7】 図6に示されたショックアブソーバにおける制振装置の取付構造例を示す軸直角方向断面図である。
【図8】 図6に示されたショックアブソーバにおける制振装置の別の取付構造例を示す軸直角方向断面図である。
【図9】 本発明に関連した第二の参考例としての自動車用ショックアブソーバの要部を示す、図2に対応する縦断面説明図である。
【図10】 図9におけるX−X断面図である。
【図11】 本発明に関連した第三の参考例としての自動車用ショックアブソーバの要部を示す、図2に対応する縦断面説明図である。
【符号の説明】
10 ショックアブソーバ
12 アブソーバ本体
18 制振装置
20 メインボデー
22 サスペンションアーム
24 シリンダ
26 ピストンロッド
42 ハウジング
44 独立マス
70 内部空所
74 マス本体
76 緩衝ゴム層
Claims (6)
- 車両のボデー側部材と車輪側部材の一方にシリンダを取り付け、他方にピストンロッドを取り付けることにより、サスペンション機構に装着される車両用ショックアブソーバであって、
中空構造とされた環状のハウジングを前記ピストンロッドに外挿して前記シリンダの軸方向上端面に固定的に設けると共に、該ハウジング内に非接着で独立変位可能な独立マス部材を収容することにより、振動入力時に該シリンダまたは該ピストンロッドの中心軸に対して略直交する方向で該独立マス部材が弾性的に繰り返し当接せしめられる第一の当接面と、振動入力時に該中心軸に対して略平行な方向で該独立マス部材が弾性的に繰り返し当接せしめられる第二の当接面を、該シリンダに対して該独立マス部材の当接力が該ハウジングを介してまたは直接に及ぼされるように設けた車両用ショックアブソーバ。 - 前記独立マス部材を、前記ピストンロッドの中心軸回りを周方向の全周に亘って連続して延びる環状として、該ピストンロッドに対して外挿状態で配設せしめた請求項1に記載の車両用ショックアブソーバ。
- 前記独立マス部材を、前記ピストンロッドの中心軸回りで相互に独立して複数配設すると共に、振動入力時にそれら複数の独立マス部材が該中心軸に略直交する方向において、軸直角方向外方では前記ハウジングの内面に対して弾性的に繰り返し当接せしめられると共に、軸直角方向内方では該ピストンロッドに対して弾性的に繰り返し当接せしめられるようにした請求項1に記載の車両用ショックアブソーバ。
- 前記シリンダに固定的に設けられて、前記独立マス部材を鉛直下方から支持せしめる支持面を、該シリンダの中心軸に向かって鉛直下方に傾斜する傾斜面とした請求項3に記載の車両用ショックアブソーバ。
- 前記ハウジングの内面によって、前記シリンダまたは前記ピストンロッドの中心軸に対して略直交する方向で対向位置する一対の前記第一の当接面と、該中心軸に対して略平行な方向で対向位置する一対の前記第二の当接面とを、それぞれ形成すると共に、それら各一対の第一の当接面間と第二の当接面間での前記独立マス部材の往復可動距離を、該シリンダまたは該ピストンロッドの中心軸に対して略直交する方向と略平行な方向のそれぞれにおいて、何れも、0.1〜1.6mmとした請求項1又は2に記載の車両用ショックアブソーバ。
- 振動入力時にそれぞれ当接せしめられる、前記独立マス部材と前記第一の当接面との少なくとも一方、および該独立マス部材と前記第二の当接面との少なくとも一方を、何れも、ショアD硬さ80以下とした請求項1乃至5の何れかに記載の車両用ショックアブソーバ。
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