JP3858806B2 - 車輪用制振装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【技術分野】
本発明は、自動車等の車両の車輪に装着されて、車輪から車室に伝播される振動に起因するロードノイズ等を抑えることの出来る、新規な構造の車輪用制振装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、走行中の自動車における振動や騒音の問題の一つとして、車輪からサスペンション機構を経て車室に伝播されるロードノイズが指摘されている。かかるロードノイズは、路面からの入力や、車輪のアンバランス,タイヤやホイールの弾性変形,車輪の空気室内での気柱共鳴(空洞共鳴)等が関係しているものと考えられているが、何れにしても、車輪で生ぜしめられる加振力(振動)がホイールに及ぼされ、ホイールからサスペンション機構を経て車両ボデーに伝達される振動の固体伝播によるところが大きい。
【0003】
そこで、ロードノイズを抑えるための一つの方策として、従来から、例えば特許文献1,2に記載されているように、ホイールにダイナミックダンパを装着して、ホイールの振動を抑えることが提案されている。
【0004】
ところが、これら何れの特許文献に記載のダイナミックダンパにおいては、リムの内周側または外周側にマス金具を離隔配置すると共に、リムとマス金具をゴム弾性体で車輪の径方向に弾性連結せしめた構造とされていることから、車輪の回転数によって異なる遠心力がマス金具に作用してゴム弾性体のばね定数が大きく変動してしまうことから、安定した制振効果が望めなかった。
【0005】
しかも、マス金具をリムに弾性連結するゴム弾性体がホイールの径方向で純圧縮とされていることから、主たる振動入力方向となるホイールの径方向でのばね定数を小さく設定することが困難でチューニング自由度が制限されてしまうことから、車輪において問題となる周波数域の振動に対して有効な制振効果を得ることが、一層難しかったのである。
【0006】
さらに、このようなダイナミックダンパでは、その製造に際して、大型のホイールとマス金具をゴム弾性体の成形型にセットしてゴム弾性体を加硫成形する必要があることから、成形型が大型となり、製造が極めて面倒であるという問題もあった。
【0007】
なお、このようなダイナミックダンパに代えて、ホイールのリムとタイヤの間に形成される空気室内に吸音材を配設せしめた構造の車輪も提案されている。例えば、特許文献3,4,5に示されているものが、それである。
【0008】
しかしながら、これら吸音材を採用した車輪は、何れも、空気室内での共鳴音を吸音するに止まるものであり、ホイールの振動を積極的に低減し得るものでないことから、ロードノイズに対しては、満足できるほどの抑制効果を得ることが極めて困難であった。
【0009】
【特許文献1】
特公昭58−53221号公報
【特許文献2】
実開昭64−50101号公報
【特許文献3】
特開昭62−216803号公報
【特許文献4】
特開昭64−78902号公報
【特許文献5】
特開平7−52616号公報
【0010】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、ホイールに対する制振効果を有効に且つ安定して得ることの出来る、従来のダイナミックダンパや吸音材とは全く異なる新規な構造の車輪用制振装置を提供することにある。
【0011】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0012】
(本発明の態様1)
本発明の態様1は、周方向で相互に離隔位置する複数のマス部を弾性連結材で相互に連結せしめて環状制振部材を構成する一方、車輪のホイールにおいて周方向に延びる筒状当接面を設け、該筒状当接面上に該環状制振部材を装着せしめて、該環状制振部材を該筒状当接面と同一中心軸上に位置せしめた際に該各マス部が該筒状当接面に対してそれぞれ隙間を隔てて径方向で対向位置せしめられるようにすると共に、該マス部と該筒状当接面の対向面の少なくとも一方を弾性体で形成することにより、該車輪への軸直角方向の振動入力時に該制振部材における該各マス部がそれぞれ該ホイールに対して相対変位せしめられて該筒状当接面に対して弾性的に打ち当たるようにした車輪用制振装置を、特徴とする。
【0013】
このような本態様に従う構造とされた車輪用制振装置においては、車両の走行時に、タイヤの弾性共振や空気室の気柱共鳴、路面入力等に起因する振動がホイールに入力されてホイールが加振されると、環状振動部材にも加振力が及ぼされてマス部がホイールに対して相対変位せしめられることにより、該マス部が筒状当接面に対して打ち当たることとなる。そして、かかるマス部の筒状当接面への打ち当りによって、ホイールの振動が直接的乃至は相殺的に低減されて有効な制振効果が発揮されるのであり、ホイールからサスペンション機構を介して車両ボデーに伝達される振動が低減され得るのである。
【0014】
そこにおいて、本態様に従う構造とされた車輪用制振装置は、ダイナミックダンパのようにホイールに連結されてマス−バネ系の動的吸振器を構成するものでなく、ホイールに対するマス部の打ち当りによって制振効果を発揮し得るものであることから、制振効果の周波数依存性が小さく、広い周波数域の振動に対して有効な制振効果を発揮し得るのであり、また、全体が円環形状とされることにより、回転せしめられた際の遠心力による影響が軽減乃至は回避され得ることから、目的とする制振効果が、ホイールの回転速度が変化した場合でも、安定して発揮され得るのである。
【0015】
また、マス部は、周方向に複数設けられていることから、ホイールの回転に対するバランスを容易にとることが可能であり、環状制振部材の全体が円環形状とされていることと相俟って、車輪の回転運動に対する悪影響が可及的に回避され得るのである。更にまた、マス部と筒状当接面の打ち当りが、弾性材の打ち当り面で弾性的に生ぜしめられることから、打ち当りに際しての打音等が大きな問題となるようなこともない。
【0016】
(本発明の態様2)
本発明の態様2は、前記態様1に係る車輪用制振装置において、前記弾性連結材よりも比重の大きい別体の高比重材からなるマス本体を該弾性連結材で被覆することによって、前記マス部を形成すると共に、該マス本体を被覆する該弾性連結材により、該マス部の前記筒状当接面に対する対向面を形成する前記弾性体を構成したことを、特徴とする。このような本態様においては、マス部の大型化を回避しつつマス部の質量を有利に確保することが出来るのであり、マス部の質量を大きく設定することによりより有効な制振効果を得ることが可能となる。
【0017】
(本発明の態様3)
本発明の態様3は、前記態様1又は2に係る車輪用制振装置であって、前記筒状当接面の軸方向両側において、前記環状制振部材への当接によって該環状制振部材の軸方向への変位を制限して該環状制振部材を軸方向で位置決めする軸方向位置決め手段を設けたことを、特徴とする。このような本態様においては、環状制振部材の不規則な変位が制限されて、該環状制振材が筒状当接面に対して安定して打ち当たることにより、目的とする制振効果の安定性が図られ得る。
【0018】
(本発明の態様4)
本発明の態様4は、前記態様1乃至3の何れかに係る車輪用制振装置において、前記筒状当接面を径方向で対向位置するように一対設けて内周側筒状当接面と外周側筒状当接面とすると共に、それら内周側筒状当接面と外周側筒状当接面の対向面間に前記環状制振部材を配設したことを、特徴とする。このような本態様においては、環状制振部材の変位とそれに伴う筒状当接面への当接を高度に安定化させて、目的とする制振効果をより安定して得ることが出来る。また、本発明においては、環状制振部材が、内外の筒状当接面の対向面間に入り込んだ状態で配設されることから、環状制振部材に対する異物の接触が効果的に防止されることとなり、例えばホイールのリムの外周面に環状制振部材を配設する場合でも、ホイールに対するタイヤの着脱時にタイヤが接触して損傷等することが効果的に防止され得る。更にまた、例えば内周側筒状当接面と外周側筒状当接面の対向面間を略閉塞された環状の収容空間として、かかる収容空間に環状制振部材を収容配置することも可能であり、このような収容空間を採用することにより、環状制振部材と筒状当接面との当接面間への異物の侵入が防止されて、マス部の筒状当接面への打ち当たりに基づく制振効果が、より一層安定して、且つ高い信頼性をもって発揮され得ることとなる。なお、本態様において、環状制振部材のマス部は、内周側筒状当接面と外周側筒状当接面の両方に打ち当たるようにされている必要はなく、それら内外筒状当接面の何れか一方だけに打ち当たるようにされていても良い。
【0019】
(本発明の態様5)
本発明の態様5は、前記態様1乃至4の何れかに係る車輪用制振装置において、前記ホイールに対して、該ホイールと別体形成された環状のハウジング部材を固着することにより、周方向に延びる環状の収容空間を形成して、該収容空間に前記環状制振部材を収容配置すると共に、該環状収容空間の壁部を構成する該ホイール又は該ハウジング部材によって、該環状制振部材が打ち当たる前記筒状当接面を形成したことを、特徴とする。このような本態様においては、環状制振部材が収容空間に収容配置されることから、ホイールに着脱する際のタイヤ等の他部材が環状制振部材に当接することが防止されて損傷が回避され得ると共に、かかる収容空間を略閉塞させることによって、環状制振部材と筒状当接面との当接面間への異物の侵入が防止されて、マス部の筒状当接面への打ち当たりに基づく制振効果が、より安定して、且つ高い信頼性をもって発揮され得る。また、本態様においては、環状のハウジング部材のホイールに対する装着位置を任意に設定することが出来るのであり、それ故、例えば、ホイールのリムの内周面上や、フランジ等にハウジングを装着せしめることにより、車輪の空気室の外に環状制振部材を配設することも可能となる。
【0020】
(本発明の態様6)
本発明の態様6は、前記態様1乃至5の何れかに係る車輪用制振装置において、前記環状制振部材を前記筒状当接面と同一中心軸上に位置せしめた際に、前記各マス部を含む該環状制振部材の全体が該筒状当接面に対して径方向で離隔位置せしめられるようにして、該環状制振部材の全体が前記ホイールから独立して相対変位せしめられるようにしたことを、特徴とする。このような本態様においては、環状制振部材がホイールから完全に独立して飛び跳ね変位せしめられることとなり、マス部が筒状当接面に対してより効率的に相対変位せしめられて強く打ち当たることによって、目的とする制振効果が有利に発揮され得る。
【0021】
(本発明の態様7)
本発明の態様7は、前記態様6に係る車輪用制振装置において、前記環状制振部材において、前記各マス部を前記筒状当接面に向かって突出させることにより、該各マス部だけが該筒状当接面に対して当接されるようにしたことを、特徴とする。このような本態様においては、マス部が筒状当接面に対して一層安定して打ち当たることとなり、目的とする制振効果の安定化が図られ得る。
【0022】
(本発明の態様8)
本発明の態様8は、前記態様1乃至5の何れかに係る車輪用制振装置において、前記環状当接部材を、周方向で隣接位置せしめられた前記マス部の間の周方向中間部分において、前記ホイールに対して当接させて位置決め保持せしめて、かかるマス部が前記弾性連結材の弾性変形に基づいて前記筒状当接面に打ち当たるようにしたことを、特徴とする。このような本態様においては、環状制振部材がマス部間の複数箇所でホイールに対して直接に当接して支持せしめられることから、環状制振部材のホイールへの装着状態が安定化する。また、車輪の停止状態下で複数のマス部の全てが筒状当接面に対して隙間を隔てて対向位置する状態に弾性的に保持せしめられることから、振動入力時におけるそれら各マス部の筒状当接面への当接が安定化して、かかる当接に基づく制振効果も安定して発揮され得る。なお、マス部をホイールに対して弾性支持せしめる弾性連結材は、マス部の筒状当接面に対する打ち当り変位に際して、主として剪断変形せしめられるようにすることが出来ることから、マス部の支持ばね定数を充分に小さくすることが可能であり、大きなチューニング自由度が発揮され得る。
【0023】
(本発明の態様9)
本発明の態様8は、前記態様1乃至8の何れかに係る車輪用制振装置において、前記弾性連結材を拡径方向に弾性変形させることにより、前記ホイールのフランジを乗り越えさせてリムの外周面に装着することが出来るようにしたことを、特徴とする。このような本態様においては、ホイールのリムの外周側に弾性連結材を装着するに際しても、弾性連結材を全体として大径化させて、リムの端縁部に形成された大径のフランジを乗り越えて外挿せしめることが出来るのであり、弾性連結材のホイールへの着脱を容易に且つ速やかに行うことが可能となる。
【0024】
(本発明の態様10)
本発明の態様10は、前記態様1乃至9の何れかに係る車輪用制振装置であって、前記マス部において、少なくとも前記筒状当接面に対向位置せしめられて該筒状当接面に当接せしめられる部位を球状外周面をもって形成したことを、特徴とする。このような本態様においては、マス部と筒状当接面の当接が、面当たりでなく略点当たり状態となることから、例えばマス部が多少傾斜して筒状当接面に打ち当たった場合でも、打ち当り面が略一定の大きさと形状に維持され得て、打ち当たりに基づく制振効果がより安定して発揮され得ることとなる。
【0025】
(本発明の態様11)
本発明の態様11は、前記態様1乃至10の何れかに係る車輪用制振装置において、前記環状制振部材の前記ホイールに対する周方向の相対変位を制限する周方向位置決め手段を設けたことを、特徴とする。このような本態様においては、車輪の回転速度の加減速時において、環状制振部材のホイールに対する必要以上の摺接が回避されることから、環状制振部材のホイールに対する摺接や磨耗による損傷等の不具合が軽減乃至は回避され得ると共に、耐久性の向上も図られ得る。
【0026】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0027】
先ず、図1には、本発明の第一の実施形態としての車両用制振装置が示されている。かかる図1において、10は車輪であり、この車輪10は、周知の如くホイール12に対してタイヤ14が組み付けられることによって構成されている。また、ホイール12のリム16とタイヤ14の間には、外部空間に対して密閉された環状の空気室18が形成されている。なお、図面上に明示はされていないが、本実施形態の車輪10は、ホイール12におけるディスク20の中央部分において、車軸のハブにボルト固定されることによって自動車に装着されるようになっている。そして、このような車輪10において、本実施形態では、空気室18が形成された、リム16の外周面側に環状のハウジング24が設けられていると共に、このハウジング24内に環状制振部材としての制振部材22が収容配置されており、それらハウジング24と制振部材22によって協働して車両用制振装置が構成されている。
【0028】
より詳細には、ホイール12におけるリム16には、外周面に開口して周方向に延びる凹溝26が形成されている。この凹溝26は、リム16の幅方向中間部分で、ディスク20との接続部位に形成されており、略正方形の断面形状をもって外周面に開口している。また、かかる凹溝26は、ホイール12の中心軸を中心として、一定断面で周方向の全周に亘って連続して延びている。更に、この凹溝26の開口部には、蓋金具28が配設されており、かかる蓋金具28で凹溝26の開口が覆蓋されることによって、略正方形の断面形状で周方向に延びる円環状の収容空間30が、略密閉構造をもって内部に形成されてなるハウジング24が構成されている。なお、蓋金具28は、凹溝26の幅方向両側の側壁部32,34間に跨がって配設されて、それら側壁部32,34に対して溶着されている。また、蓋金具28は、周方向で複数に分割されており、全体として円筒形状とされて凹溝26を全周に亘って覆蓋している。
【0029】
なお、蓋金具28の外周面は、少なくとも幅方向一方の側(本実施形態では、図1中の左側)において、リム16の外周面と段差のない状態で滑らかに接続されている。これによって、ホイール12に対してタイヤ14を着脱する場合等において、ハウジング24が邪魔になったり、損傷したりすることが防止されている。
【0030】
一方、制振部材22は、図2にも示されているように、マス本体としてのマス金具36の複数個(本実施形態では、16個)を、弾性連結材としての連結ゴム38で相互に連結せしめた構造とされている。なお、図2では、制振部材22の構造を判りやすく示すために、全体縮尺に対してマス金具36や連結ゴム38を大きく表示してあり、図1に示されたものとは、図面上の形状が異なっている。
【0031】
そこにおいて、各マス金具36は、球状外周面を有する中実の金属材によって形成されており、一つの円周上に、周方向で等間隔に配設されることによって、中心軸上での回転バランスが確保されるようになっている。また、連結ゴム38は、周方向で互いに隣接位置せしめられた各二つのマス金具36,36間に跨がって延びる複数(本実施形態では、16個)の個別連結部39から構成されている。なお、各個別連結部39は、マス金具36が配設位置せしめられた円の中心:Oと同一中心とされた円周上に延びる円弧形状とされている。
【0032】
要するに、全体として、中心:Oの回りに延びる円環形状をもって連結ゴム38が形成されており、かかる連結ゴム38の周上で一定間隔をもって、複数のマス金具36が配設されているのである。そして、各マス金具36は、連結ゴム38に対して加硫接着されており、制振部材22が一体加硫成形品にて構成されている。
【0033】
また、各マス金具36の表面には、薄肉の緩衝ゴム層40が形成されている。この緩衝ゴム層40は、略一定の厚さ寸法で、マス金具36の全表面を覆っており、連結ゴム38と一体形成されて、マス金具36に対して加硫接着されている。そして、マス金具36の表面に緩衝ゴム層40が被着されることによって、全体として外径寸法:dを有する球状のマス部42が形成されているのである。
【0034】
それ故、かかる制振部材22においては、外力が及ぼされていない状態下では、全体として円環形状に保持されているが、連結ゴム38の弾性変形に基づいて各マス部42には、相互に独立した変位が許容されるようになっており、特に、各マス部42における制振部材22の径方向への変位に際しては、連結ゴム38の弾性変形が主として剪断変形となることから、各マス部42に対して径方向の変位が比較的容易に、且つ他のマス部42から実質的に独立して許容されるようになっている。
【0035】
なお、制振部材22において、個別連結部39の断面形状や大きさ(断面積)は、特に限定されるものでないが、径方向の厚さ寸法:tが、マス部42の外径寸法:dよりも小さくされており、それによって、マス部42が、連結ゴム38から、内周側および外周側の少なくとも一方において径方向に突出せしめられている。特に本実施形態では、連結ゴム38が、各マス金具36の中心点を接続するように延びており、それによって、連結ゴム38の内周面側と外周面側の両方において、各マス部42が、径方向内方と径方向外方の両方に向かってそれぞれ所定高さ:h1,h2で突出せしめられている。また、個別連結部39の軸方向幅寸法は、各マス部42の外径寸法:dと略同じかそれより小さくされており、例えば、矩形や円形、楕円形等の各種断面形状をもって形成され得る。
【0036】
そして、かかる制振部材22は、図1に示されているように、前述の如きホイール12のリム16に外挿されて、ハウジング24の収容空間30に収容状態で装着されている。なお、図1では、重力の作用を考慮しないで、制振部材22を、ホイール12と同一中心軸上に位置せしめた状態で示されている。
【0037】
ここにおいて、収容空間30の内径寸法:D1(図1参照)は、制振部材22の最小内径寸法:d1(図2参照)よりも所定量:2×δ1だけ大きく設定されている。また、収容空間30の外径寸法:D2(図1参照)は、制振部材22の最大外径寸法:d2よりも所定量:2×δ2(図2参照)だけ大きく設定されている。また、収容空間30の幅方向(軸方向)の内法寸法:Bは、制振部材22の最大軸方向寸法であるマス部42の外径寸法:dよりも所定量だけ大きく設定されている。
【0038】
これにより、図1に示されているように、制振部材22に外力を及ぼさずに、該制振部材22をホイール12と同一中心軸上に位置せしめた状態下では、制振部材22と収容空間30の内面との間には、制振部材22の全表面上に隙間が形成されるようになっており、制振部材22がホイール12から完全に独立した別体状態で装着されている。
【0039】
なお、制振部材22をホイール12と同一中心軸上に位置せしめた状態下で、マス部42と収容空間30の内周面の対向面間に形成される隙間:δ1と、マス部42と収容空間30の外周面の対向面間に形成される隙間:δ2は、略同じに設定されていても良いが、その何れか一方を他方よりも小さく設定しても良い。例えば、δ1<δ2となるように設定することにより、後述する振動入力時にマス部42が主として収容空間30の内周面側に打ち当たるようにすることが可能である。要するに、マス部42が、収容空間30の内周面44と外周面46の何れに、或いは両方に、当接されるようにするかということは、ホイール12において防振すべき振動やマス部42の質量、マス部42とホイール12の当接部の弾性などを総合的に考慮して、有効な制振効果が発揮され得るように適宜に設定されることとなる。
【0040】
また、このことから明らかなように、本実施形態では、収容空間30の内周面44および外周面46によって、内周側筒状当接面および外周面筒状当接面が構成されている。更にまた、収容空間30を形成する軸方向両側の壁面によって、制振部材22の軸方向への変位を制限する軸方向位置決め手段が構成されている。
【0041】
このような構造とされた車輪用制振装置は、車両の停車時に、重力作用により制振部材22における鉛直上方に位置する部分が、複数のマス部42において収容空間30の径方向内側面に対して当接して支持せしめられた状態で、制振部材22がホイール12に対して装着される。そして、車両の走行により車輪10が回転してタイヤ14の弾性共振や空気室18の気柱共鳴、路面入力等に起因する振動がホイール12に入力されてホイール12が加振されると、ホイール12に対して重力作用等で当接された制振部材22にも加振力が及ぼされて、加振部材22がホイール12に対して相対変位せしめられることにより、マス部42がハウジング24の内周面44や外周面46に対して打ち当たることとなる。そして、かかるマス部42のハウジング24への打ち当たりが、ホイール12における振動状態に対応して生ぜしめられることにより、ホイール12の振動が、かかるマス部42の打ち当たりによって直接的乃至は相殺的に低減されるのであり、以て、ホイール12からサスペンション機構を介して車両ボデーに伝達される振動が抑えられるのである。
【0042】
そこにおいて、かかる車輪用制振装置においては、制振部材22がホイール12と別体形成されて、ホイール12から独立した状態で装着されることから、従来構造のダイナミックダンパに比して製造が容易である。特に、かかる制振部材22は、連結ゴム38の周方向への弾性的な延びによって拡径され得ることから、制振部材22の全体を弾性的に拡径変形させることによって、ホイール12において大径のフランジ51を乗り越えさせて、該フランジ51よりも小径とされたリム16の軸方向中央部分に対して容易に装着することが出来るのである。
【0043】
また、各マス部42において、ホイール12に対する当接面となる表面が緩衝ゴム層40が形成されていることから、ホイール12への当接時の打音等が大きな問題となることもない。しかも、かかるゴム層40と、マス部42を連結する個別連結部39の弾性によって、マス部42のホイール12への繰り返しの打ち当たり作動に対してばね要素が付与されていることから、このばね要素を、マス部42の質量を考慮して適当に調節することによって、特定の周波数域で惹起される共振的作用を利用してマス部42のホイール12に対する飛び跳ね的な変位量を大きく設定して、マス部42のホイール12への打ち当たりを強くすることも可能であり、それによって、特に問題となる振動周波数域で、前述の如きマス部42のホイール12に対する打ち当りによる制振効果を一層有利に得ることが出来るのである。
【0044】
更にまた、本実施形態では、マス部42が周方向に多数配設されていることから、ホイール12の各種径方向に生ぜしめられる振動に対して、何れも有効な制振効果が安定して発揮され得る。
【0045】
また、本実施形態では、マス部42におけるハウジング24への当接部位が球状外周面をもって形成されていることから、例えばマス部42が傾斜して変位せしめられた場合でも、ハウジング24の内周面44や外周面46に対する当接部位が略一定の面積と形状とされ得て、安定した当接状態が発現されることとなり、目的とする制振効果が有効に発揮され得るのである。
【0046】
更にまた、本実施形態では、マス部42や連結ゴム38を含む制振部材22の全体がホイール12から完全に独立して相対変位可能とされていることから、振動入力に際して各マス部42がホイール12に対して一層効率的に相対変位せしめられることとなり、それによって、例えば小さな振動に対してもマス部42の打ち当りによる制振効果を有効に得ることが可能となると共に、大きな振動に対してはマス部42の強い打ち当りによって一層効果的な制振効果を得ることが可能となるのである。
【0047】
また、本実施形態では、ハウジング24の外周壁部を構成する蓋金具28を、凹溝26の周方向の全周に亘って配設することにより、収容空間30を略密閉構造をもって形成することが出来るのであり、それによって、制振部材22とハウジング24との当接部位への異物の入り込みを防止して、マス部42の打ち当たりによる制振効果の更なる安定化を図ることが可能となる。
【0048】
また、本実施形態では、ハウジング24がホイール12の外周面上に形成された空気室18内に設置されていることから、ホイール12やタイヤ14で保護されており、車両走行時における外部からの飛石や縁石の打ち当りに起因する損傷が防止され得る。
【0049】
次に、本発明の別の実施形態としての車輪用制振装置について、図3以降を参照しつつ説明するが、以下の説明において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、それぞれ、第一の実施形態と同一の符号を図中に示すことによって、それらの詳細な説明を省略する。
【0050】
すなわち、図3に示された第二の実施形態としての車輪用制振装置は、第一の実施形態に比して、ハウジング24の別の構造例を示すものである。本実施形態のハウジング24では、ホイール12のリム16に形成された凹溝26の開口を覆蓋する蓋金具28が、軸方向一方の端部において、リム16に溶着されており、他方の端部が自由端とされた片持ち構造とされている。なお、かかる蓋金具28は、周方向に所定長さを有する円弧状の板材によって形成されており、凹溝26の周方向で複数装着されている。
【0051】
また、蓋金具28の自由端には、リム16に向かって内周側に突出する内方突条52が一体形成されている。また一方、この内方突条52に対して径方向で対向位置せしめられた、凹溝26の一方の側壁部54は、内方突条52の突出先端部までは至らない高さとされており、側壁部54と内方突条52の径方向対向面間には、全長に亘って間隙が形成されている。
【0052】
このような構造とされた本実施形態の車輪用制振装置においては、ホイール12に蓋金具28を溶着してハウジング24を完成させた後、制振部材22をホイール12に外挿し、更に、蓋金具28の自由端側を外周側に引っ張り上げて弾性変形させることにより、蓋金具28の内方突条52と側壁部54の対向面間の間隙を広げて、そこから制振部材22を収容空間30に差し入れて収容せしめることが可能となる。
【0053】
従って、このような車輪用制振装置においては、制振部材22の装着のための作業が一層容易となると共に、制振部材22の着脱や交換が容易となるのであり、例えば制振部材22が損傷した場合にも、制振部材22だけを交換することで速やかに対処することが可能となるのである。
【0054】
また、図4には、本発明の第三の実施形態としての車輪用制振装置が示されている。本実施形態の車輪用制振装置は、第一の実施形態に比して、ハウジングの別の構造例を示すものである。
【0055】
すなわち、本実施形態では、ホイール12とは完全に別体構造とされたハウジング56が採用されており、このハウジング56が、ホイール12に対して後固着されている。かかるハウジング56は、円環形状を有しており、内部には、周方向の全周に亘って連続して延びる収容空間30が形成されている。
【0056】
特に、本実施形態では、軸方向一方の側に開口するコ字形断面をもって周方向に延びる溝形の本体金具58に対して、円環板形状の蓋金具60を、該本体金具58の開口部側から重ね合わせて溶着することにより中空構造をもって形成されている。また、本体金具58には、溝底部から径方向外方に延び出す係止片59が、周方向の全周に亘って連続して、或いは周方向で独立して複数箇所に一体形成されている。
【0057】
そして、ハウジング56は、ホイール12におけるリム16の軸方向一方の開口部に嵌め込まれて、係止片59がホイール12のフランジ51に対してかしめ固定されることにより、ホイール12に対して固着されている。なお、本実施形態では、ハウジング56の外周面が、出来るだけ広い領域でリム16の内周面に密着されるように、リム16の内周面形状に対応した形状で成形されている。
【0058】
このような構造とされた本実施形態の車輪用制振装置においては、ホイール12に対して、例えば周知のバランスウェイトのように、必要に応じて装着して使用することが出来るのであり、既存のホイール12にも、特別な加工を必要とすることなく車輪用制振装置を装着することが可能となる。
【0059】
また、図5には、本発明の第四の実施形態としての車輪用制振装置が示されている。本実施形態の車輪用制振装置は、第一の実施形態に比して、ハウジングの別の構造例を示すものである。
【0060】
すなわち、本実施形態では、ホイール12におけるリム16の内周側、即ちリム16を挟んで空気室18と反対側にハウジング56が形成されている。より詳細には、ホイール12におけるディスク20の外周縁部において、ディスク20とリム16の接続隅部に対して、別体の環状ハウジング金具62が固着されている。この環状ハウジング金具62は、略L字形の一定断面で周方向全周に亘って延びており、径方向内方に突設された固定片64において、ホイール12に対してボルト66で固定されることにより、ディスク20とリム16の接続隅部を覆って、そこに略矩形の一定断面で周方向の全周に亘って延びる収容空間30が形成されている。
【0061】
このような構造とされた本実施形態の車輪用制振装置においては、ホイール12におけるリム16の内周側に装着されることから、ホイール12へのタイヤ14の着脱への悪影響がない。また、車輪用制振装置やその制振部材22を着脱するに際しても、いちいちタイヤ14を取り外す必要がなく、場合によってはホイール12を自動車の車軸に装着したままで行うことが可能となる。
【0062】
また、図6には、本発明の第五の実施形態としての車輪用制振装置が示されていると共に、図7には、本発明の第六の実施形態としての車輪用制振装置が示されている。なお、これら図6,図7においては、図面上、ホイールやタイヤの図示を省略し、制振部材22をハウジング24に収容せしめた部分だけを概略的に示すこととする。
【0063】
先ず、図6に示された第五の実施形態としての車輪用制振装置においては、ホイールに対して一体的に乃至は固定的に設けられたハウジング24の内周壁部68に対して、収容空間30の内周面44上に開口する係合凹所70が形成されている。この係合凹所70は、制振部材22におけるマス部42の配設ピッチに対応する周方向間隔をもって、周方向に複数形成されており、それぞれ、円弧溝形の一定形状で軸方向(図6の紙面に垂直な方向)に延びている。
【0064】
そして、各係合凹所70に対して、制振部材22の各マス部42が入り込んだ状態で、制振部材22が収容空所30に収容配置されている。なお、ハウジング24と制振部材22を同一中心軸上に配設位置せしめた状態下で、各係合凹所70の内面と各マス部42の外周面との間には、所定の隙間72が形成されるようになっている。また、かかる隙間72は、径方向において最も小さくされており、それによって、振動入力時に制振部材22がハウジング24に対して相対変位せしめられた際、各マス部42が、係合凹所70の内面に対して、径方向において有利に打ち当たるようにされている。
【0065】
このような構造とされた本実施形態の車輪用制振装置においては、ハウジング24における収容空間30の内周面44に形成された係合凹所70と、制振部材22においてマス部42によって形成された径方向突部との、相対的な係合作用に基づいて、ハウジング24に対する制振部材22の周方向の相対変位が制限されるようになっている。それ故、かかる車輪用制振装置では、制振部材22とハウジング24の不必要な摺接が回避されて、磨耗等による耐久性の低下や損傷等が軽減され得るのである。なお、本実施形態では、ハウジング24に形成された係合凹所70と、制振部材に形成されたマス部42によって協働して、周方向位置決め手段が構成されている。
【0066】
また、図7に示された第六の実施形態としての車輪用制振装置においては、制振部材22を構成する連結ゴム38に対して、径方向内方に突出する複数の支持突部74が突設されている。この支持突部74は、隣接するマス部42,42を相互に弾性連結する各個別連結部39の周方向中間部分に突設されており、かかる支持突部74の内周面が、ハウジング24の内周壁部76に対して、連結ゴム38の弾性に基づいて押し付けられた状態で当接せしめられている。
【0067】
すなわち、本実施形態の車輪用制振装置では、各マス部42が、ハウジング24の内周壁部76と外周壁部78の何れからも径方向に所定距離だけ離隔位置する状態で、周方向両側の個別連結部39,39によって弾性的に支持せしめられているのであり、しかも、両個別連結部39,39は、支持突部74,74によって、それぞれ、ハウジング24に対して当接状態で位置決めされているのである。そして、ホイール12への振動入力時には、それら両個別連結部39,39の弾性変形に基づいてマス部42の変位が許容されることにより、マス部42がハウジング24の内周壁部76や外周壁部78に打ち当たって、目的とする制振効果を発揮し得るようになっている。
【0068】
このような構造とされた車両用制振装置においては、制振部材22がホイール12に対して位置決め保持されていることから、制振部材22の全体でのホイール12(ハウジング24)に対する不必要な変位や打ち当りが防止されて、マス部42の打ち当たりによる制振効果が安定して発揮され得ることとなる。また、制振部材22のハウジング24に対する周方向の相対変位に伴う摺接が防止されて、磨耗や損傷も防止され得る。
【0069】
また、かかる車両用制振装置では、マス部42の変位に際して、個別連結部39,39には、主に剪断変形が生ぜしめられることから、マス部42の支持ばね特性を充分に柔らかく且つ高耐久性をもって設定することが出来るのであり、制振効果のチューニング自由度が良好に確保され得る。更にまた、制振部材22は、複数のマス部42と連結ゴム38を含んで全体として円環形状をもって形成されていることから、ホイール12の回転に伴う遠心力が作用せしめられた際にも有利に対向し得るのである。
【0070】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0071】
例えば、前記実施形態では、何れも、マス部42が球状外周面をもって形成されていたが、マス部42の外周面形状や、ハウジング24に対する当接面の形状等は、何等限定されるものでない。また、金属製のマス金具36を採用しないで、マス部42の全体をゴム弾性体で形成することも可能であり、或いは、矩形状等の適当な外周面形状を有するマス金具を緩衝ゴム層40で被覆して球状外周面を有するマス部42を形成することも可能である。
【0072】
また、マス部42が当接せしめられるハウジング24の被当接面を緩衝ゴム層で被覆するようにしても良く、そのようにハウジング24に緩衝ゴム層を形成する場合には、マス部42の当接面にマス金具36が露呈されていても良い。
【0073】
また、第一の実施形態や第二の実施形態において凹溝26の開口部を覆蓋する蓋金具28は、必ずしも設ける必要はなく、その場合でも、制振部材22のマス部42がハウジング24の内周面44に打ちあたることによって、有効な制振効果を得ることが可能である。
【0074】
更にまた、例えば前記第六の実施形態(図7参照)に示されているように、制振部材22の連結ゴム38をハウジング24に当接保持せしめる場合には、接着材やボルト等を用いて、かかる当接保持部位をハウジング24に対してより強固に固定することも可能である。
【0075】
また、前記実施形態では、制振部材における弾性連結材がゴム弾性体で形成6されていたが、複数のマス部を金属や合成樹脂等からなる板ばね等で連結することも可能であり、金属ばねを採用する場合に、ゴム弾性体等の減衰材を金属ばね表面に被着することなどによって併せて採用することが望ましい。
【0076】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた車輪用制振装置においては、車両の走行時にホイールが加振された際に環状振動部材にも加振力が及ぼされてマス部がホイールに対して打ち当たることにより、ホイールの振動が直接的乃至は相殺的に低減されて有効な制振効果が発揮され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としての車輪用制振装置の要部を示す縦断面図である。
【図2】図1に示された車輪用制振装置を構成する制振部材を取り出して示す正面説明図である。
【図3】本発明の第二の実施形態としての車輪用制振装置の要部を示す縦断面図である。
【図4】本発明の第三の実施形態としての車輪用制振装置の要部を示す縦断面図である。
【図5】本発明の第四の実施形態としての車輪用制振装置の要部を示す縦断面図である。
【図6】本発明の第五の実施形態としての車輪用制振装置の要部を示す横断面説明図である。
【図7】本発明の第六の実施形態としての車輪用制振装置の要部を示す横断面説明図である。
【符号の説明】
10 車輪
12 ホイール
16 リム
22 制振部材
24 ハウジング
30 収容空間
36 マス金具
38 連結ゴム
40 緩衝ゴム層
42 マス部
【技術分野】
本発明は、自動車等の車両の車輪に装着されて、車輪から車室に伝播される振動に起因するロードノイズ等を抑えることの出来る、新規な構造の車輪用制振装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、走行中の自動車における振動や騒音の問題の一つとして、車輪からサスペンション機構を経て車室に伝播されるロードノイズが指摘されている。かかるロードノイズは、路面からの入力や、車輪のアンバランス,タイヤやホイールの弾性変形,車輪の空気室内での気柱共鳴(空洞共鳴)等が関係しているものと考えられているが、何れにしても、車輪で生ぜしめられる加振力(振動)がホイールに及ぼされ、ホイールからサスペンション機構を経て車両ボデーに伝達される振動の固体伝播によるところが大きい。
【0003】
そこで、ロードノイズを抑えるための一つの方策として、従来から、例えば特許文献1,2に記載されているように、ホイールにダイナミックダンパを装着して、ホイールの振動を抑えることが提案されている。
【0004】
ところが、これら何れの特許文献に記載のダイナミックダンパにおいては、リムの内周側または外周側にマス金具を離隔配置すると共に、リムとマス金具をゴム弾性体で車輪の径方向に弾性連結せしめた構造とされていることから、車輪の回転数によって異なる遠心力がマス金具に作用してゴム弾性体のばね定数が大きく変動してしまうことから、安定した制振効果が望めなかった。
【0005】
しかも、マス金具をリムに弾性連結するゴム弾性体がホイールの径方向で純圧縮とされていることから、主たる振動入力方向となるホイールの径方向でのばね定数を小さく設定することが困難でチューニング自由度が制限されてしまうことから、車輪において問題となる周波数域の振動に対して有効な制振効果を得ることが、一層難しかったのである。
【0006】
さらに、このようなダイナミックダンパでは、その製造に際して、大型のホイールとマス金具をゴム弾性体の成形型にセットしてゴム弾性体を加硫成形する必要があることから、成形型が大型となり、製造が極めて面倒であるという問題もあった。
【0007】
なお、このようなダイナミックダンパに代えて、ホイールのリムとタイヤの間に形成される空気室内に吸音材を配設せしめた構造の車輪も提案されている。例えば、特許文献3,4,5に示されているものが、それである。
【0008】
しかしながら、これら吸音材を採用した車輪は、何れも、空気室内での共鳴音を吸音するに止まるものであり、ホイールの振動を積極的に低減し得るものでないことから、ロードノイズに対しては、満足できるほどの抑制効果を得ることが極めて困難であった。
【0009】
【特許文献1】
特公昭58−53221号公報
【特許文献2】
実開昭64−50101号公報
【特許文献3】
特開昭62−216803号公報
【特許文献4】
特開昭64−78902号公報
【特許文献5】
特開平7−52616号公報
【0010】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、ホイールに対する制振効果を有効に且つ安定して得ることの出来る、従来のダイナミックダンパや吸音材とは全く異なる新規な構造の車輪用制振装置を提供することにある。
【0011】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0012】
(本発明の態様1)
本発明の態様1は、周方向で相互に離隔位置する複数のマス部を弾性連結材で相互に連結せしめて環状制振部材を構成する一方、車輪のホイールにおいて周方向に延びる筒状当接面を設け、該筒状当接面上に該環状制振部材を装着せしめて、該環状制振部材を該筒状当接面と同一中心軸上に位置せしめた際に該各マス部が該筒状当接面に対してそれぞれ隙間を隔てて径方向で対向位置せしめられるようにすると共に、該マス部と該筒状当接面の対向面の少なくとも一方を弾性体で形成することにより、該車輪への軸直角方向の振動入力時に該制振部材における該各マス部がそれぞれ該ホイールに対して相対変位せしめられて該筒状当接面に対して弾性的に打ち当たるようにした車輪用制振装置を、特徴とする。
【0013】
このような本態様に従う構造とされた車輪用制振装置においては、車両の走行時に、タイヤの弾性共振や空気室の気柱共鳴、路面入力等に起因する振動がホイールに入力されてホイールが加振されると、環状振動部材にも加振力が及ぼされてマス部がホイールに対して相対変位せしめられることにより、該マス部が筒状当接面に対して打ち当たることとなる。そして、かかるマス部の筒状当接面への打ち当りによって、ホイールの振動が直接的乃至は相殺的に低減されて有効な制振効果が発揮されるのであり、ホイールからサスペンション機構を介して車両ボデーに伝達される振動が低減され得るのである。
【0014】
そこにおいて、本態様に従う構造とされた車輪用制振装置は、ダイナミックダンパのようにホイールに連結されてマス−バネ系の動的吸振器を構成するものでなく、ホイールに対するマス部の打ち当りによって制振効果を発揮し得るものであることから、制振効果の周波数依存性が小さく、広い周波数域の振動に対して有効な制振効果を発揮し得るのであり、また、全体が円環形状とされることにより、回転せしめられた際の遠心力による影響が軽減乃至は回避され得ることから、目的とする制振効果が、ホイールの回転速度が変化した場合でも、安定して発揮され得るのである。
【0015】
また、マス部は、周方向に複数設けられていることから、ホイールの回転に対するバランスを容易にとることが可能であり、環状制振部材の全体が円環形状とされていることと相俟って、車輪の回転運動に対する悪影響が可及的に回避され得るのである。更にまた、マス部と筒状当接面の打ち当りが、弾性材の打ち当り面で弾性的に生ぜしめられることから、打ち当りに際しての打音等が大きな問題となるようなこともない。
【0016】
(本発明の態様2)
本発明の態様2は、前記態様1に係る車輪用制振装置において、前記弾性連結材よりも比重の大きい別体の高比重材からなるマス本体を該弾性連結材で被覆することによって、前記マス部を形成すると共に、該マス本体を被覆する該弾性連結材により、該マス部の前記筒状当接面に対する対向面を形成する前記弾性体を構成したことを、特徴とする。このような本態様においては、マス部の大型化を回避しつつマス部の質量を有利に確保することが出来るのであり、マス部の質量を大きく設定することによりより有効な制振効果を得ることが可能となる。
【0017】
(本発明の態様3)
本発明の態様3は、前記態様1又は2に係る車輪用制振装置であって、前記筒状当接面の軸方向両側において、前記環状制振部材への当接によって該環状制振部材の軸方向への変位を制限して該環状制振部材を軸方向で位置決めする軸方向位置決め手段を設けたことを、特徴とする。このような本態様においては、環状制振部材の不規則な変位が制限されて、該環状制振材が筒状当接面に対して安定して打ち当たることにより、目的とする制振効果の安定性が図られ得る。
【0018】
(本発明の態様4)
本発明の態様4は、前記態様1乃至3の何れかに係る車輪用制振装置において、前記筒状当接面を径方向で対向位置するように一対設けて内周側筒状当接面と外周側筒状当接面とすると共に、それら内周側筒状当接面と外周側筒状当接面の対向面間に前記環状制振部材を配設したことを、特徴とする。このような本態様においては、環状制振部材の変位とそれに伴う筒状当接面への当接を高度に安定化させて、目的とする制振効果をより安定して得ることが出来る。また、本発明においては、環状制振部材が、内外の筒状当接面の対向面間に入り込んだ状態で配設されることから、環状制振部材に対する異物の接触が効果的に防止されることとなり、例えばホイールのリムの外周面に環状制振部材を配設する場合でも、ホイールに対するタイヤの着脱時にタイヤが接触して損傷等することが効果的に防止され得る。更にまた、例えば内周側筒状当接面と外周側筒状当接面の対向面間を略閉塞された環状の収容空間として、かかる収容空間に環状制振部材を収容配置することも可能であり、このような収容空間を採用することにより、環状制振部材と筒状当接面との当接面間への異物の侵入が防止されて、マス部の筒状当接面への打ち当たりに基づく制振効果が、より一層安定して、且つ高い信頼性をもって発揮され得ることとなる。なお、本態様において、環状制振部材のマス部は、内周側筒状当接面と外周側筒状当接面の両方に打ち当たるようにされている必要はなく、それら内外筒状当接面の何れか一方だけに打ち当たるようにされていても良い。
【0019】
(本発明の態様5)
本発明の態様5は、前記態様1乃至4の何れかに係る車輪用制振装置において、前記ホイールに対して、該ホイールと別体形成された環状のハウジング部材を固着することにより、周方向に延びる環状の収容空間を形成して、該収容空間に前記環状制振部材を収容配置すると共に、該環状収容空間の壁部を構成する該ホイール又は該ハウジング部材によって、該環状制振部材が打ち当たる前記筒状当接面を形成したことを、特徴とする。このような本態様においては、環状制振部材が収容空間に収容配置されることから、ホイールに着脱する際のタイヤ等の他部材が環状制振部材に当接することが防止されて損傷が回避され得ると共に、かかる収容空間を略閉塞させることによって、環状制振部材と筒状当接面との当接面間への異物の侵入が防止されて、マス部の筒状当接面への打ち当たりに基づく制振効果が、より安定して、且つ高い信頼性をもって発揮され得る。また、本態様においては、環状のハウジング部材のホイールに対する装着位置を任意に設定することが出来るのであり、それ故、例えば、ホイールのリムの内周面上や、フランジ等にハウジングを装着せしめることにより、車輪の空気室の外に環状制振部材を配設することも可能となる。
【0020】
(本発明の態様6)
本発明の態様6は、前記態様1乃至5の何れかに係る車輪用制振装置において、前記環状制振部材を前記筒状当接面と同一中心軸上に位置せしめた際に、前記各マス部を含む該環状制振部材の全体が該筒状当接面に対して径方向で離隔位置せしめられるようにして、該環状制振部材の全体が前記ホイールから独立して相対変位せしめられるようにしたことを、特徴とする。このような本態様においては、環状制振部材がホイールから完全に独立して飛び跳ね変位せしめられることとなり、マス部が筒状当接面に対してより効率的に相対変位せしめられて強く打ち当たることによって、目的とする制振効果が有利に発揮され得る。
【0021】
(本発明の態様7)
本発明の態様7は、前記態様6に係る車輪用制振装置において、前記環状制振部材において、前記各マス部を前記筒状当接面に向かって突出させることにより、該各マス部だけが該筒状当接面に対して当接されるようにしたことを、特徴とする。このような本態様においては、マス部が筒状当接面に対して一層安定して打ち当たることとなり、目的とする制振効果の安定化が図られ得る。
【0022】
(本発明の態様8)
本発明の態様8は、前記態様1乃至5の何れかに係る車輪用制振装置において、前記環状当接部材を、周方向で隣接位置せしめられた前記マス部の間の周方向中間部分において、前記ホイールに対して当接させて位置決め保持せしめて、かかるマス部が前記弾性連結材の弾性変形に基づいて前記筒状当接面に打ち当たるようにしたことを、特徴とする。このような本態様においては、環状制振部材がマス部間の複数箇所でホイールに対して直接に当接して支持せしめられることから、環状制振部材のホイールへの装着状態が安定化する。また、車輪の停止状態下で複数のマス部の全てが筒状当接面に対して隙間を隔てて対向位置する状態に弾性的に保持せしめられることから、振動入力時におけるそれら各マス部の筒状当接面への当接が安定化して、かかる当接に基づく制振効果も安定して発揮され得る。なお、マス部をホイールに対して弾性支持せしめる弾性連結材は、マス部の筒状当接面に対する打ち当り変位に際して、主として剪断変形せしめられるようにすることが出来ることから、マス部の支持ばね定数を充分に小さくすることが可能であり、大きなチューニング自由度が発揮され得る。
【0023】
(本発明の態様9)
本発明の態様8は、前記態様1乃至8の何れかに係る車輪用制振装置において、前記弾性連結材を拡径方向に弾性変形させることにより、前記ホイールのフランジを乗り越えさせてリムの外周面に装着することが出来るようにしたことを、特徴とする。このような本態様においては、ホイールのリムの外周側に弾性連結材を装着するに際しても、弾性連結材を全体として大径化させて、リムの端縁部に形成された大径のフランジを乗り越えて外挿せしめることが出来るのであり、弾性連結材のホイールへの着脱を容易に且つ速やかに行うことが可能となる。
【0024】
(本発明の態様10)
本発明の態様10は、前記態様1乃至9の何れかに係る車輪用制振装置であって、前記マス部において、少なくとも前記筒状当接面に対向位置せしめられて該筒状当接面に当接せしめられる部位を球状外周面をもって形成したことを、特徴とする。このような本態様においては、マス部と筒状当接面の当接が、面当たりでなく略点当たり状態となることから、例えばマス部が多少傾斜して筒状当接面に打ち当たった場合でも、打ち当り面が略一定の大きさと形状に維持され得て、打ち当たりに基づく制振効果がより安定して発揮され得ることとなる。
【0025】
(本発明の態様11)
本発明の態様11は、前記態様1乃至10の何れかに係る車輪用制振装置において、前記環状制振部材の前記ホイールに対する周方向の相対変位を制限する周方向位置決め手段を設けたことを、特徴とする。このような本態様においては、車輪の回転速度の加減速時において、環状制振部材のホイールに対する必要以上の摺接が回避されることから、環状制振部材のホイールに対する摺接や磨耗による損傷等の不具合が軽減乃至は回避され得ると共に、耐久性の向上も図られ得る。
【0026】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0027】
先ず、図1には、本発明の第一の実施形態としての車両用制振装置が示されている。かかる図1において、10は車輪であり、この車輪10は、周知の如くホイール12に対してタイヤ14が組み付けられることによって構成されている。また、ホイール12のリム16とタイヤ14の間には、外部空間に対して密閉された環状の空気室18が形成されている。なお、図面上に明示はされていないが、本実施形態の車輪10は、ホイール12におけるディスク20の中央部分において、車軸のハブにボルト固定されることによって自動車に装着されるようになっている。そして、このような車輪10において、本実施形態では、空気室18が形成された、リム16の外周面側に環状のハウジング24が設けられていると共に、このハウジング24内に環状制振部材としての制振部材22が収容配置されており、それらハウジング24と制振部材22によって協働して車両用制振装置が構成されている。
【0028】
より詳細には、ホイール12におけるリム16には、外周面に開口して周方向に延びる凹溝26が形成されている。この凹溝26は、リム16の幅方向中間部分で、ディスク20との接続部位に形成されており、略正方形の断面形状をもって外周面に開口している。また、かかる凹溝26は、ホイール12の中心軸を中心として、一定断面で周方向の全周に亘って連続して延びている。更に、この凹溝26の開口部には、蓋金具28が配設されており、かかる蓋金具28で凹溝26の開口が覆蓋されることによって、略正方形の断面形状で周方向に延びる円環状の収容空間30が、略密閉構造をもって内部に形成されてなるハウジング24が構成されている。なお、蓋金具28は、凹溝26の幅方向両側の側壁部32,34間に跨がって配設されて、それら側壁部32,34に対して溶着されている。また、蓋金具28は、周方向で複数に分割されており、全体として円筒形状とされて凹溝26を全周に亘って覆蓋している。
【0029】
なお、蓋金具28の外周面は、少なくとも幅方向一方の側(本実施形態では、図1中の左側)において、リム16の外周面と段差のない状態で滑らかに接続されている。これによって、ホイール12に対してタイヤ14を着脱する場合等において、ハウジング24が邪魔になったり、損傷したりすることが防止されている。
【0030】
一方、制振部材22は、図2にも示されているように、マス本体としてのマス金具36の複数個(本実施形態では、16個)を、弾性連結材としての連結ゴム38で相互に連結せしめた構造とされている。なお、図2では、制振部材22の構造を判りやすく示すために、全体縮尺に対してマス金具36や連結ゴム38を大きく表示してあり、図1に示されたものとは、図面上の形状が異なっている。
【0031】
そこにおいて、各マス金具36は、球状外周面を有する中実の金属材によって形成されており、一つの円周上に、周方向で等間隔に配設されることによって、中心軸上での回転バランスが確保されるようになっている。また、連結ゴム38は、周方向で互いに隣接位置せしめられた各二つのマス金具36,36間に跨がって延びる複数(本実施形態では、16個)の個別連結部39から構成されている。なお、各個別連結部39は、マス金具36が配設位置せしめられた円の中心:Oと同一中心とされた円周上に延びる円弧形状とされている。
【0032】
要するに、全体として、中心:Oの回りに延びる円環形状をもって連結ゴム38が形成されており、かかる連結ゴム38の周上で一定間隔をもって、複数のマス金具36が配設されているのである。そして、各マス金具36は、連結ゴム38に対して加硫接着されており、制振部材22が一体加硫成形品にて構成されている。
【0033】
また、各マス金具36の表面には、薄肉の緩衝ゴム層40が形成されている。この緩衝ゴム層40は、略一定の厚さ寸法で、マス金具36の全表面を覆っており、連結ゴム38と一体形成されて、マス金具36に対して加硫接着されている。そして、マス金具36の表面に緩衝ゴム層40が被着されることによって、全体として外径寸法:dを有する球状のマス部42が形成されているのである。
【0034】
それ故、かかる制振部材22においては、外力が及ぼされていない状態下では、全体として円環形状に保持されているが、連結ゴム38の弾性変形に基づいて各マス部42には、相互に独立した変位が許容されるようになっており、特に、各マス部42における制振部材22の径方向への変位に際しては、連結ゴム38の弾性変形が主として剪断変形となることから、各マス部42に対して径方向の変位が比較的容易に、且つ他のマス部42から実質的に独立して許容されるようになっている。
【0035】
なお、制振部材22において、個別連結部39の断面形状や大きさ(断面積)は、特に限定されるものでないが、径方向の厚さ寸法:tが、マス部42の外径寸法:dよりも小さくされており、それによって、マス部42が、連結ゴム38から、内周側および外周側の少なくとも一方において径方向に突出せしめられている。特に本実施形態では、連結ゴム38が、各マス金具36の中心点を接続するように延びており、それによって、連結ゴム38の内周面側と外周面側の両方において、各マス部42が、径方向内方と径方向外方の両方に向かってそれぞれ所定高さ:h1,h2で突出せしめられている。また、個別連結部39の軸方向幅寸法は、各マス部42の外径寸法:dと略同じかそれより小さくされており、例えば、矩形や円形、楕円形等の各種断面形状をもって形成され得る。
【0036】
そして、かかる制振部材22は、図1に示されているように、前述の如きホイール12のリム16に外挿されて、ハウジング24の収容空間30に収容状態で装着されている。なお、図1では、重力の作用を考慮しないで、制振部材22を、ホイール12と同一中心軸上に位置せしめた状態で示されている。
【0037】
ここにおいて、収容空間30の内径寸法:D1(図1参照)は、制振部材22の最小内径寸法:d1(図2参照)よりも所定量:2×δ1だけ大きく設定されている。また、収容空間30の外径寸法:D2(図1参照)は、制振部材22の最大外径寸法:d2よりも所定量:2×δ2(図2参照)だけ大きく設定されている。また、収容空間30の幅方向(軸方向)の内法寸法:Bは、制振部材22の最大軸方向寸法であるマス部42の外径寸法:dよりも所定量だけ大きく設定されている。
【0038】
これにより、図1に示されているように、制振部材22に外力を及ぼさずに、該制振部材22をホイール12と同一中心軸上に位置せしめた状態下では、制振部材22と収容空間30の内面との間には、制振部材22の全表面上に隙間が形成されるようになっており、制振部材22がホイール12から完全に独立した別体状態で装着されている。
【0039】
なお、制振部材22をホイール12と同一中心軸上に位置せしめた状態下で、マス部42と収容空間30の内周面の対向面間に形成される隙間:δ1と、マス部42と収容空間30の外周面の対向面間に形成される隙間:δ2は、略同じに設定されていても良いが、その何れか一方を他方よりも小さく設定しても良い。例えば、δ1<δ2となるように設定することにより、後述する振動入力時にマス部42が主として収容空間30の内周面側に打ち当たるようにすることが可能である。要するに、マス部42が、収容空間30の内周面44と外周面46の何れに、或いは両方に、当接されるようにするかということは、ホイール12において防振すべき振動やマス部42の質量、マス部42とホイール12の当接部の弾性などを総合的に考慮して、有効な制振効果が発揮され得るように適宜に設定されることとなる。
【0040】
また、このことから明らかなように、本実施形態では、収容空間30の内周面44および外周面46によって、内周側筒状当接面および外周面筒状当接面が構成されている。更にまた、収容空間30を形成する軸方向両側の壁面によって、制振部材22の軸方向への変位を制限する軸方向位置決め手段が構成されている。
【0041】
このような構造とされた車輪用制振装置は、車両の停車時に、重力作用により制振部材22における鉛直上方に位置する部分が、複数のマス部42において収容空間30の径方向内側面に対して当接して支持せしめられた状態で、制振部材22がホイール12に対して装着される。そして、車両の走行により車輪10が回転してタイヤ14の弾性共振や空気室18の気柱共鳴、路面入力等に起因する振動がホイール12に入力されてホイール12が加振されると、ホイール12に対して重力作用等で当接された制振部材22にも加振力が及ぼされて、加振部材22がホイール12に対して相対変位せしめられることにより、マス部42がハウジング24の内周面44や外周面46に対して打ち当たることとなる。そして、かかるマス部42のハウジング24への打ち当たりが、ホイール12における振動状態に対応して生ぜしめられることにより、ホイール12の振動が、かかるマス部42の打ち当たりによって直接的乃至は相殺的に低減されるのであり、以て、ホイール12からサスペンション機構を介して車両ボデーに伝達される振動が抑えられるのである。
【0042】
そこにおいて、かかる車輪用制振装置においては、制振部材22がホイール12と別体形成されて、ホイール12から独立した状態で装着されることから、従来構造のダイナミックダンパに比して製造が容易である。特に、かかる制振部材22は、連結ゴム38の周方向への弾性的な延びによって拡径され得ることから、制振部材22の全体を弾性的に拡径変形させることによって、ホイール12において大径のフランジ51を乗り越えさせて、該フランジ51よりも小径とされたリム16の軸方向中央部分に対して容易に装着することが出来るのである。
【0043】
また、各マス部42において、ホイール12に対する当接面となる表面が緩衝ゴム層40が形成されていることから、ホイール12への当接時の打音等が大きな問題となることもない。しかも、かかるゴム層40と、マス部42を連結する個別連結部39の弾性によって、マス部42のホイール12への繰り返しの打ち当たり作動に対してばね要素が付与されていることから、このばね要素を、マス部42の質量を考慮して適当に調節することによって、特定の周波数域で惹起される共振的作用を利用してマス部42のホイール12に対する飛び跳ね的な変位量を大きく設定して、マス部42のホイール12への打ち当たりを強くすることも可能であり、それによって、特に問題となる振動周波数域で、前述の如きマス部42のホイール12に対する打ち当りによる制振効果を一層有利に得ることが出来るのである。
【0044】
更にまた、本実施形態では、マス部42が周方向に多数配設されていることから、ホイール12の各種径方向に生ぜしめられる振動に対して、何れも有効な制振効果が安定して発揮され得る。
【0045】
また、本実施形態では、マス部42におけるハウジング24への当接部位が球状外周面をもって形成されていることから、例えばマス部42が傾斜して変位せしめられた場合でも、ハウジング24の内周面44や外周面46に対する当接部位が略一定の面積と形状とされ得て、安定した当接状態が発現されることとなり、目的とする制振効果が有効に発揮され得るのである。
【0046】
更にまた、本実施形態では、マス部42や連結ゴム38を含む制振部材22の全体がホイール12から完全に独立して相対変位可能とされていることから、振動入力に際して各マス部42がホイール12に対して一層効率的に相対変位せしめられることとなり、それによって、例えば小さな振動に対してもマス部42の打ち当りによる制振効果を有効に得ることが可能となると共に、大きな振動に対してはマス部42の強い打ち当りによって一層効果的な制振効果を得ることが可能となるのである。
【0047】
また、本実施形態では、ハウジング24の外周壁部を構成する蓋金具28を、凹溝26の周方向の全周に亘って配設することにより、収容空間30を略密閉構造をもって形成することが出来るのであり、それによって、制振部材22とハウジング24との当接部位への異物の入り込みを防止して、マス部42の打ち当たりによる制振効果の更なる安定化を図ることが可能となる。
【0048】
また、本実施形態では、ハウジング24がホイール12の外周面上に形成された空気室18内に設置されていることから、ホイール12やタイヤ14で保護されており、車両走行時における外部からの飛石や縁石の打ち当りに起因する損傷が防止され得る。
【0049】
次に、本発明の別の実施形態としての車輪用制振装置について、図3以降を参照しつつ説明するが、以下の説明において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、それぞれ、第一の実施形態と同一の符号を図中に示すことによって、それらの詳細な説明を省略する。
【0050】
すなわち、図3に示された第二の実施形態としての車輪用制振装置は、第一の実施形態に比して、ハウジング24の別の構造例を示すものである。本実施形態のハウジング24では、ホイール12のリム16に形成された凹溝26の開口を覆蓋する蓋金具28が、軸方向一方の端部において、リム16に溶着されており、他方の端部が自由端とされた片持ち構造とされている。なお、かかる蓋金具28は、周方向に所定長さを有する円弧状の板材によって形成されており、凹溝26の周方向で複数装着されている。
【0051】
また、蓋金具28の自由端には、リム16に向かって内周側に突出する内方突条52が一体形成されている。また一方、この内方突条52に対して径方向で対向位置せしめられた、凹溝26の一方の側壁部54は、内方突条52の突出先端部までは至らない高さとされており、側壁部54と内方突条52の径方向対向面間には、全長に亘って間隙が形成されている。
【0052】
このような構造とされた本実施形態の車輪用制振装置においては、ホイール12に蓋金具28を溶着してハウジング24を完成させた後、制振部材22をホイール12に外挿し、更に、蓋金具28の自由端側を外周側に引っ張り上げて弾性変形させることにより、蓋金具28の内方突条52と側壁部54の対向面間の間隙を広げて、そこから制振部材22を収容空間30に差し入れて収容せしめることが可能となる。
【0053】
従って、このような車輪用制振装置においては、制振部材22の装着のための作業が一層容易となると共に、制振部材22の着脱や交換が容易となるのであり、例えば制振部材22が損傷した場合にも、制振部材22だけを交換することで速やかに対処することが可能となるのである。
【0054】
また、図4には、本発明の第三の実施形態としての車輪用制振装置が示されている。本実施形態の車輪用制振装置は、第一の実施形態に比して、ハウジングの別の構造例を示すものである。
【0055】
すなわち、本実施形態では、ホイール12とは完全に別体構造とされたハウジング56が採用されており、このハウジング56が、ホイール12に対して後固着されている。かかるハウジング56は、円環形状を有しており、内部には、周方向の全周に亘って連続して延びる収容空間30が形成されている。
【0056】
特に、本実施形態では、軸方向一方の側に開口するコ字形断面をもって周方向に延びる溝形の本体金具58に対して、円環板形状の蓋金具60を、該本体金具58の開口部側から重ね合わせて溶着することにより中空構造をもって形成されている。また、本体金具58には、溝底部から径方向外方に延び出す係止片59が、周方向の全周に亘って連続して、或いは周方向で独立して複数箇所に一体形成されている。
【0057】
そして、ハウジング56は、ホイール12におけるリム16の軸方向一方の開口部に嵌め込まれて、係止片59がホイール12のフランジ51に対してかしめ固定されることにより、ホイール12に対して固着されている。なお、本実施形態では、ハウジング56の外周面が、出来るだけ広い領域でリム16の内周面に密着されるように、リム16の内周面形状に対応した形状で成形されている。
【0058】
このような構造とされた本実施形態の車輪用制振装置においては、ホイール12に対して、例えば周知のバランスウェイトのように、必要に応じて装着して使用することが出来るのであり、既存のホイール12にも、特別な加工を必要とすることなく車輪用制振装置を装着することが可能となる。
【0059】
また、図5には、本発明の第四の実施形態としての車輪用制振装置が示されている。本実施形態の車輪用制振装置は、第一の実施形態に比して、ハウジングの別の構造例を示すものである。
【0060】
すなわち、本実施形態では、ホイール12におけるリム16の内周側、即ちリム16を挟んで空気室18と反対側にハウジング56が形成されている。より詳細には、ホイール12におけるディスク20の外周縁部において、ディスク20とリム16の接続隅部に対して、別体の環状ハウジング金具62が固着されている。この環状ハウジング金具62は、略L字形の一定断面で周方向全周に亘って延びており、径方向内方に突設された固定片64において、ホイール12に対してボルト66で固定されることにより、ディスク20とリム16の接続隅部を覆って、そこに略矩形の一定断面で周方向の全周に亘って延びる収容空間30が形成されている。
【0061】
このような構造とされた本実施形態の車輪用制振装置においては、ホイール12におけるリム16の内周側に装着されることから、ホイール12へのタイヤ14の着脱への悪影響がない。また、車輪用制振装置やその制振部材22を着脱するに際しても、いちいちタイヤ14を取り外す必要がなく、場合によってはホイール12を自動車の車軸に装着したままで行うことが可能となる。
【0062】
また、図6には、本発明の第五の実施形態としての車輪用制振装置が示されていると共に、図7には、本発明の第六の実施形態としての車輪用制振装置が示されている。なお、これら図6,図7においては、図面上、ホイールやタイヤの図示を省略し、制振部材22をハウジング24に収容せしめた部分だけを概略的に示すこととする。
【0063】
先ず、図6に示された第五の実施形態としての車輪用制振装置においては、ホイールに対して一体的に乃至は固定的に設けられたハウジング24の内周壁部68に対して、収容空間30の内周面44上に開口する係合凹所70が形成されている。この係合凹所70は、制振部材22におけるマス部42の配設ピッチに対応する周方向間隔をもって、周方向に複数形成されており、それぞれ、円弧溝形の一定形状で軸方向(図6の紙面に垂直な方向)に延びている。
【0064】
そして、各係合凹所70に対して、制振部材22の各マス部42が入り込んだ状態で、制振部材22が収容空所30に収容配置されている。なお、ハウジング24と制振部材22を同一中心軸上に配設位置せしめた状態下で、各係合凹所70の内面と各マス部42の外周面との間には、所定の隙間72が形成されるようになっている。また、かかる隙間72は、径方向において最も小さくされており、それによって、振動入力時に制振部材22がハウジング24に対して相対変位せしめられた際、各マス部42が、係合凹所70の内面に対して、径方向において有利に打ち当たるようにされている。
【0065】
このような構造とされた本実施形態の車輪用制振装置においては、ハウジング24における収容空間30の内周面44に形成された係合凹所70と、制振部材22においてマス部42によって形成された径方向突部との、相対的な係合作用に基づいて、ハウジング24に対する制振部材22の周方向の相対変位が制限されるようになっている。それ故、かかる車輪用制振装置では、制振部材22とハウジング24の不必要な摺接が回避されて、磨耗等による耐久性の低下や損傷等が軽減され得るのである。なお、本実施形態では、ハウジング24に形成された係合凹所70と、制振部材に形成されたマス部42によって協働して、周方向位置決め手段が構成されている。
【0066】
また、図7に示された第六の実施形態としての車輪用制振装置においては、制振部材22を構成する連結ゴム38に対して、径方向内方に突出する複数の支持突部74が突設されている。この支持突部74は、隣接するマス部42,42を相互に弾性連結する各個別連結部39の周方向中間部分に突設されており、かかる支持突部74の内周面が、ハウジング24の内周壁部76に対して、連結ゴム38の弾性に基づいて押し付けられた状態で当接せしめられている。
【0067】
すなわち、本実施形態の車輪用制振装置では、各マス部42が、ハウジング24の内周壁部76と外周壁部78の何れからも径方向に所定距離だけ離隔位置する状態で、周方向両側の個別連結部39,39によって弾性的に支持せしめられているのであり、しかも、両個別連結部39,39は、支持突部74,74によって、それぞれ、ハウジング24に対して当接状態で位置決めされているのである。そして、ホイール12への振動入力時には、それら両個別連結部39,39の弾性変形に基づいてマス部42の変位が許容されることにより、マス部42がハウジング24の内周壁部76や外周壁部78に打ち当たって、目的とする制振効果を発揮し得るようになっている。
【0068】
このような構造とされた車両用制振装置においては、制振部材22がホイール12に対して位置決め保持されていることから、制振部材22の全体でのホイール12(ハウジング24)に対する不必要な変位や打ち当りが防止されて、マス部42の打ち当たりによる制振効果が安定して発揮され得ることとなる。また、制振部材22のハウジング24に対する周方向の相対変位に伴う摺接が防止されて、磨耗や損傷も防止され得る。
【0069】
また、かかる車両用制振装置では、マス部42の変位に際して、個別連結部39,39には、主に剪断変形が生ぜしめられることから、マス部42の支持ばね特性を充分に柔らかく且つ高耐久性をもって設定することが出来るのであり、制振効果のチューニング自由度が良好に確保され得る。更にまた、制振部材22は、複数のマス部42と連結ゴム38を含んで全体として円環形状をもって形成されていることから、ホイール12の回転に伴う遠心力が作用せしめられた際にも有利に対向し得るのである。
【0070】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0071】
例えば、前記実施形態では、何れも、マス部42が球状外周面をもって形成されていたが、マス部42の外周面形状や、ハウジング24に対する当接面の形状等は、何等限定されるものでない。また、金属製のマス金具36を採用しないで、マス部42の全体をゴム弾性体で形成することも可能であり、或いは、矩形状等の適当な外周面形状を有するマス金具を緩衝ゴム層40で被覆して球状外周面を有するマス部42を形成することも可能である。
【0072】
また、マス部42が当接せしめられるハウジング24の被当接面を緩衝ゴム層で被覆するようにしても良く、そのようにハウジング24に緩衝ゴム層を形成する場合には、マス部42の当接面にマス金具36が露呈されていても良い。
【0073】
また、第一の実施形態や第二の実施形態において凹溝26の開口部を覆蓋する蓋金具28は、必ずしも設ける必要はなく、その場合でも、制振部材22のマス部42がハウジング24の内周面44に打ちあたることによって、有効な制振効果を得ることが可能である。
【0074】
更にまた、例えば前記第六の実施形態(図7参照)に示されているように、制振部材22の連結ゴム38をハウジング24に当接保持せしめる場合には、接着材やボルト等を用いて、かかる当接保持部位をハウジング24に対してより強固に固定することも可能である。
【0075】
また、前記実施形態では、制振部材における弾性連結材がゴム弾性体で形成6されていたが、複数のマス部を金属や合成樹脂等からなる板ばね等で連結することも可能であり、金属ばねを採用する場合に、ゴム弾性体等の減衰材を金属ばね表面に被着することなどによって併せて採用することが望ましい。
【0076】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた車輪用制振装置においては、車両の走行時にホイールが加振された際に環状振動部材にも加振力が及ぼされてマス部がホイールに対して打ち当たることにより、ホイールの振動が直接的乃至は相殺的に低減されて有効な制振効果が発揮され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としての車輪用制振装置の要部を示す縦断面図である。
【図2】図1に示された車輪用制振装置を構成する制振部材を取り出して示す正面説明図である。
【図3】本発明の第二の実施形態としての車輪用制振装置の要部を示す縦断面図である。
【図4】本発明の第三の実施形態としての車輪用制振装置の要部を示す縦断面図である。
【図5】本発明の第四の実施形態としての車輪用制振装置の要部を示す縦断面図である。
【図6】本発明の第五の実施形態としての車輪用制振装置の要部を示す横断面説明図である。
【図7】本発明の第六の実施形態としての車輪用制振装置の要部を示す横断面説明図である。
【符号の説明】
10 車輪
12 ホイール
16 リム
22 制振部材
24 ハウジング
30 収容空間
36 マス金具
38 連結ゴム
40 緩衝ゴム層
42 マス部
Claims (11)
- 周方向で相互に離隔位置する複数のマス部を弾性連結材で相互に連結せしめて環状制振部材を構成する一方、車輪のホイールにおいて周方向に延びる筒状当接面を設け、該筒状当接面上に該環状制振部材を装着せしめて、該環状制振部材を該筒状当接面と同一中心軸上に位置せしめた際に該各マス部が該筒状当接面に対してそれぞれ隙間を隔てて径方向で対向位置せしめられるようにすると共に、該マス部と該筒状当接面の対向面の少なくとも一方を弾性体で形成することにより、該車輪への軸直角方向の振動入力時に該制振部材における該各マス部がそれぞれ該ホイールに対して相対変位せしめられて該筒状当接面に対して弾性的に打ち当たるようにしたことを特徴とする車輪用制振装置。
- 前記弾性連結材よりも比重の大きい別体の高比重材からなるマス本体を該弾性連結材で被覆することによって、前記マス部を形成すると共に、該マス本体を被覆する該弾性連結材により、該マス部の前記筒状当接面に対する対向面を形成する前記弾性体を構成した請求項1に記載の車輪用制振装置。
- 前記筒状当接面の軸方向両側において、前記環状制振部材への当接によって該環状制振部材の軸方向への変位を制限して該環状制振部材を軸方向で位置決めする軸方向位置決め手段を設けた請求項1又は2に記載の車輪用制振装置。
- 前記筒状当接面を径方向で対向位置するように一対設けて内周側筒状当接面と外周側筒状当接面とすると共に、それら内周側筒状当接面と外周側筒状当接面の対向面間に前記環状制振部材を配設した請求項1乃至3の何れかに記載の車輪用制振装置。
- 前記ホイールに対して、該ホイールと別体形成された環状のハウジング部材を固着することにより、周方向に延びる環状の収容空間を形成して、該収容空間に前記環状制振部材を収容配置すると共に、該環状収容空間の壁部を構成する該ホイール又は該ハウジング部材によって、該環状制振部材が打ち当たる前記筒状当接面を形成した請求項1乃至4の何れかに記載の車輪用制振装置。
- 前記環状制振部材を前記筒状当接面と同一中心軸上に位置せしめた際に、前記各マス部を含む該環状制振部材の全体が該筒状当接面に対して径方向で離隔位置せしめられるようにして、該環状制振部材の全体が前記ホイールから独立して相対変位せしめられるようにした請求項1乃至5の何れかに記載の車輪用制振装置。
- 前記環状制振部材において、前記各マス部を前記筒状当接面に向かって突出させることにより、該各マス部だけが該筒状当接面に対して当接されるようにした請求項6に記載の車輪用制振装置。
- 前記環状当接部材を、周方向で隣接位置せしめられた前記マス部の間の周方向中間部分において、前記ホイールに対して当接させて位置決め保持せしめて、かかるマス部が前記弾性連結材の弾性変形に基づいて前記筒状当接面に打ち当たるようにした請求項1乃至5の何れかに記載の車輪用制振装置。
- 前記弾性連結材を拡径方向に弾性変形させることにより、前記ホイールのフランジを乗り越えさせてリムの外周面に装着することが出来るようにした請求項1乃至8の何れかに記載の車輪用制振装置。
- 前記マス部において、少なくとも前記筒状当接面に対向位置せしめられて該筒状当接面に当接せしめられる部位を球状外周面をもって形成した請求項1乃至9の何れかに記載の車輪用制振装置。
- 前記環状制振部材の前記ホイールに対する周方向の相対変位を制限する周方向位置決め手段を設けた請求項1乃至10の何れかに記載の車輪用制振装置。
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