JP3772415B2 - 建物の制振構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄骨梁を用いた建物の制振構造に関し、特に建物外観の意匠性を兼用した制振構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建物の制振構造の代表的なものとしては、Y形ブレース(特公昭50−32539号公報参照)や制振間柱(特開昭5−287933号公報参照)などが知られている。いずれも、地震の発生時に、それらに組込まれる小耐力部材(以下リンクと称する)を早期に降伏させることにより、地震による振動エネルギをこれらの部材の塑性エネルギに変換ことで振動応答を抑え、建物に制振効果を付与するものである。
【0003】
しかしながら、Y形ブレース及び間柱は、上下の梁間に組み込まれるものであるため、出入口や通路などの開口部の平面計画と、Y形ブレースまたは間柱の配置計画とを両立させることができないという課題がある。加えてこれら制振部材は建物架構全体の剛性に比べてその剛性が著しく低く、通常の建物で大きな制振効果を期待するためには、多数を組み込む必要があるため、ますます平面計画を阻害する原因となる。
【0004】
そこで、本出願人は、先に鉄骨梁の長さ方向の一部をリンクによって代替することを提案した。これによれば、上下の梁間に組み込まれるものではないため、開口部の平面計画及び制振構造の配置計画を容易に行うことができる。
【0005】
また、リンクを溶接などによって鉄骨梁に接合した場合には、地震後のメンテナンスのなどの負担が大きいため、本出願人は、前記小耐力部材と鉄骨梁との間を接続プレートを介して連結するとともに、接続プレートに開口された複数のボルト挿通孔にボルトを挿通し、他端にナットをねじ込むことで前記梁と小耐力部材とを接合した構造を開発した。
【0006】
この構造によれば、地震によってリンクが変形を受けた後は、ボルトを取外すことによって該当するリンク部材を撤去し、新たに作られた、あるいは交換部品として予め保管されている同一寸法、同一仕様のリンクを梁の間にセットし、接続プレートを介して再度ボルトナットで締結結合することで、復旧が完了する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この種の梁においては、リンクに応力を集中させることが必要であり、そのためにはリンク周囲の剛性を高める必要があるが、鉄骨の板厚を増したり、梁背を大きく取ったり、ボックス型などに形成したりすると、断面向上に伴う鉄骨量の増加により施工コストが高くなる。
【0008】
また、リンクの配置箇所はその性質上、当該リンク部材の配置部位では鉛直荷重を負担しない構造とし、かつリンク部材の交換等のメンテナンスが容易に行い得る部位であることが望ましく、このような部位としてゴンドラなどを用いて復旧工事が容易に行える吹き抜けが挙げられる。
【0009】
しかし、吹き抜け部分に当該リンクを配置すると、鉄骨梁がむき出しの状態で露出して絶えず目に触れることになるので、塗装などのメンテナンスを定期的に行う必要が生じるだけでなく、外観的には未完成であるような感じを抱かせてしまい易く、意匠性の面で問題がある。
【0010】
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、リンク周囲の梁材の鉄骨量を増すことなく、剛性の向上が図れるとともに、外観、意匠性の向上が図れる建物の制振構造を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するため、本発明の請求項1に係る発明は、複数の柱及び梁からなる複数階の建物の四隅に上下方向を向く吹抜けが設けられ、該吹抜けを囲う4本の柱の隣接する柱間に各階ごとに鉄骨梁がそれぞれ配置され、該鉄骨梁は長手方向の中央部から2つに分断されて、該分断された部分に小耐力部材が着脱可能に接合され、該小耐力部材に連続する前記鉄骨梁の部分は、外周がPC版により包囲されるとともに、内部に高強度モルタルが充填されて鉄骨梁とPC版とが一体化されていることを特徴とする。
【0012】
本発明による建物の制振構造によれば、建物に地震エネルギーが入力すると、小耐力部材が塑性変形することにより地震エネルギーが吸収され、建物が制振される。
【0013】
また、地震エネルギーを吸収することによって変形した小耐力部材は、建物の吹抜けにゴンドラ等を用いることにより、修理、交換等のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0014】
さらに、小耐力部材に連続する鉄骨梁の部分はPC版により包囲されているので、外観的に未完成であるような感じを抱かせることはなく、外観、意匠性を高めることができる。
【0015】
さらに、PC版の内部には高強度モルタルが充填されているので、その部分の剛性を高めることができ、地震エネルギーが入力する際に、小耐力部材に応力を集中させることができ、地震エネルギーを効率良く吸収することができる。さらに、鉄骨量を増すことなく、小耐力部材に連続する鉄骨梁の部分の剛性を高めることができるので、施工コストを安くすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面を参照して説明する。図1〜図3は本発明にかかる制振構造を備えた高層の建物1を示し、この建物1は、平面的に見て四角形状であって、地上16階、地下2階の高層建物であり、複数の柱2、及び梁3により建物架構が構成されている。
【0019】
そして、この建物1は、各階の外側の梁3の隅角部に小耐力部材4であるリンク4を備え、その結果、建物の四隅に四角形状にリンク4を設けて、上下階方向に整列配置され、この配置箇所を吹抜け5とした特有の意匠的外観を構成している。
ここで、「リンク」とは、地震発生により建物架構に応力が発生すると、他の素材よりも早期に降伏して、応力が降伏耐力を上回ったときから、弾塑性挙動による履歴減衰性能を生じ、制振効果を発揮する小耐力の部材を言い、一般には「ダンパ」、あるいはその形状、機能から「ダブルカラムダンパ」等とも称されているが、いずれも同一機能を発揮する部材である。
リンクの一例として、低降伏点鋼が挙げられる。推奨される低降伏点鋼としては、例えばBT−LYP100またはBT−LYP235(ともに、新日本製鐵株式会社製の商品名)及びこれらの同等品を採用することができる。前者の降伏応力σyは1.0t/cm 2 、破断応力σuは2.4t/cm 2 であり、後者の降伏応力σyは2.4t/cm 2 、破断応力σuは3.5t/cm 2 である。
また、リンクの素材としては、前記低降伏点鋼のほかに、普通鋼材、アルミなどの金属を使用することもできる。
【0020】
図4にその吹抜け部分の架構構造の詳細を示す。この構造において、リンク4の側面および断面形状は”王”の字状の形をなし、その両側フランジ6を梁3の接合端面に形成されたフランジ7部に結合し、ボルトナットを介して着脱可能に接合されている。
【0021】
また、梁3のフランジ部7から連続する部位は、図5(a)の断面図に示すように、梁本体となる鉄骨梁を構成するH型鋼3aの外周をPC版8で包囲し、内部に高強度モルタル9を充填し、一体化することによって、PC版8で包囲された状態で柱2に連結し、これによってリンク4周囲における梁の剛性を確保している。同時に鉄骨むき出しによる意匠性及び耐久性の低下を防止している。
【0022】
これに対し、リンク4は図5(b)に示すようにむき出しのままの状態であって、必要に応じて直ちに着脱可能となるよう、そのフランジ6を前記ボルト10を介して前記梁3のフランジ部7にねじ込んで締結結合している。
【0023】
このため、建物1の各角部に形成された吹抜け5を囲う四本の梁3の各中央部分にリンク4が接続された形態となり、その両側部の梁本体は鉄骨がむき出しにはならず、リンクが一種のアクセントとなる意匠形状が形成されることになる。
【0024】
以上の構成における建物1に地震エネルギーが入力されると、リンク4が地震エネルギーを吸収し、吹抜け部5における柱2と梁3との接合部にかかる応力を低減でき、柱2と梁3との接合部の破損を未然に防止する。
【0025】
地震後はリンク4の変形度合を診断した後、必要があれば建物1の四隅部に支保工を組み、ゴンドラなどを介してリンク4の交換作業を行えば、建物の外観の主要部を覆い隠すことなく迅速に修復工事を行うことが出来る。
【0026】
なお、リンク4の形状は、図4に図示した以外に、種々の形状を取り得ることが出来ることは勿論である。
【0027】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の建物の制振構造にあっては、鉄骨量を増やすことなく、小耐力部材に連続する鉄骨梁の部分の剛性を高めることができる。従って、施工費を安く抑えることができる。また、鉄骨梁の周囲がPC版で包囲されているので、鉄骨梁がむき出しになるようなことはなく、建物としての外観及び意匠性を高めることができるとともに、耐久性を高めることもできる。さらに、吹抜けを囲む4本の柱の隣接する柱間に配置される鉄骨梁に小耐力部材が着脱自在に設けられているので、吹抜けを利用してゴンドラ等を用いることにより、地震エネルギーを吸収して変形した小耐力部材の修理、交換等のメンテナンスを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる制振構造備えた建物の軸組図である。
【図2】図1のA−A断面における梁伏図である。
【図3】同建物の外観パース図である。
【図4】本発明の要部を拡大して示す姿図である。
【図5】(a)は梁の断面図である。
(b)はリンクの断面図である。
【符号の説明】
1 建物
2 柱
3 梁
3a 鉄骨梁(H型鋼)
4 リンク
8 PC版
9 高強度モルタル
Claims (1)
- 複数の柱及び梁からなる複数階の建物の四隅に上下方向を向く吹抜けが設けられ、該吹抜けを囲う4本の柱の隣接する柱間に各階ごとに鉄骨梁がそれぞれ配置され、該鉄骨梁は長手方向の中央部から2つに分断されて、該分断された部分に小耐力部材が着脱可能に接合され、該小耐力部材に連続する前記鉄骨梁の部分は、外周がPC版により包囲されるとともに、内部に高強度モルタルが充填されて鉄骨梁とPC版とが一体化されていることを特徴とする建物の制振構造。
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