JP7033019B2 - 建物補強方法 - Google Patents

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本発明は、建物の複数の柱間に制振機構を亘らせて建物の鉛直構面を制振補強する建物補強方法に関する。
建物の鉛直構面を制振補強する技術として、軸方向に沿って変形して地震エネルギーを減衰可能なダンパを備えた制振ブレースが広く知られている(例えば、特許文献1参照)。このような制振ブレースを建物に設ければ、建物の鉛直構面を制振補強することができるが、制振ブレースは鉛直構面の対角の仕口部間に斜めに配置されるので、鉛直構面の全高に相当する上下に広い設置スペースが必要で、どうしても制振補強の前後(又は採否)で建物内の間取りや見栄え等が変更されることになる。
特許文献2には、鉛直構面の上部側において略水平方向に延びる架設材を建物とは独立して設け、建物の柱と架設材との間にダンパを設けた建物補強方法が記載されている。この建物補強方法では、架設材が鉛直構面の上部側において略水平方向に延びているので、建物内の間取りや見栄えを余り変更せずに建物を補強することができる。
なお、特許文献3には、木造の建物の天井側において梁を井桁状に組んだ水平構面の仕口部にダンパを設ける建物補強方法が記載されているが、この技術は、建物の水平構面を制振補強するもので、建物の鉛直構面を制振補強するものではない。
特開2002-357013号公報 特開2016-50474号公報 特許第6095017号公報
上記特許文献2に記載の技術では、建物内の間取りや見栄え等を余り変更せずに建物を補強することができるものの、架設材を建物とは独立して支持するための専用の柱等が必要となり、構造が複雑化・大型化する不都合がある。
本発明は、上述の如き実情に鑑みてなされたものであって、その主たる課題は、シンプルな構造で、建物内の間取りや見栄え等の変更を極力抑えながら建物を補強することが可能な建物補強方法を提供する点にある。
本発明の第1特徴構成は、建物の複数の柱間に制振機構を亘らせて建物の鉛直構面を制振補強する建物補強方法であって、
前記制振機構が、複数の前記柱の各々に回転不能に取り付けられ、略水平方向に沿って延在する姿勢で略水平方向に並設される複数の第一部材と、それら複数の第一部材のうちで隣り合う第一部材の相対向する先端側部位間に亘って備えられ、当該先端側部位間の上下方向の相対変位に減衰力を付与するダンパとを備えて構成され、
前記第一部材が、上下の弦材を含む矩形状の枠材、及び、上下の前記弦材に亘るトラス材を有するトラス構造体にて構成される点にある。
本構成によれば、地震時において、一つの鉛直構面を構成する一方(例えば左方)の柱が他方(例えば右方)に傾くと、一方の柱に回転不能に接合されて他方の柱に向けて水平方向に延在する第一部材の先端側部位は下方に移動する。同時に、同鉛直構面を構成する他方(例えば右方)の柱が他方(例えば右方)に傾くと、他方の柱に回転不能に接合されて一方の柱に向けて水平方向に延在する第一部材の先端側部位は上方に移動する。つまり、地震時において、隣り合う第一部材の相対向する先端側部位どうしは、上下反対向きに相対変位し、その変位量は大きく、変位力は小さくなる。よって、隣り合う第一部材の相対向する先端側部位間に亘って設けられたダンパは、比較的小さい力であっても、充分な減衰力を付与することができ、地震時において地震エネルギーを効率良く減衰することができる。
そして、制振機構を構成する第一部材は、建物の柱に取り付けられるので、専用の柱等の別途の支持構造が不要であり、更に、制振機構を構成する第一部材が水平方向に延びる部材であるので、制振機構の設置スペースを鉛直構面の上部や下部等の一部の高さ領域とすることができる。
したがって、シンプルな構造で、建物内の間取りや見栄え等の変更を極力抑えながら建物を補強することが可能となる。
更に、本構成によれば、第一部材が剛性の高いトラス構造体であるので、地震時において隣り合う第一部材の相対向する先端側部位間に亘って設けられたダンパに対して地震エネルギーを効率的に伝達し、地震エネルギーを効率良く減衰することができる。
本発明の第特徴構成は、建物の複数の柱間に制振機構を亘らせて建物の鉛直構面を制振補強する建物補強方法であって、
前記制振機構が、複数の前記柱の各々に回転不能に取り付けられ、略水平方向に沿って延在する姿勢で略水平方向に並設される複数の第一部材と、それら複数の第一部材のうちで隣り合う第一部材の相対向する先端側部位間に亘って備えられ、当該先端側部位間の上下方向の相対変位に減衰力を付与するダンパとを備えて構成され、
前記第一部材が、略水平方向に延在する姿勢で延在方向の中間部位を前記柱に取り付けて前記柱に備えられる点にある。
本構成によれば、地震時において、一つの鉛直構面を構成する一方(例えば左方)の柱が他方(例えば右方)に傾くと、一方の柱に回転不能に接合されて他方の柱に向けて水平方向に延在する第一部材の先端側部位は下方に移動する。同時に、同鉛直構面を構成する他方(例えば右方)の柱が他方(例えば右方)に傾くと、他方の柱に回転不能に接合されて一方の柱に向けて水平方向に延在する第一部材の先端側部位は上方に移動する。つまり、地震時において、隣り合う第一部材の相対向する先端側部位どうしは、上下反対向きに相対変位し、その変位量は大きく、変位力は小さくなる。よって、隣り合う第一部材の相対向する先端側部位間に亘って設けられたダンパは、比較的小さい力であっても、充分な減衰力を付与することができ、地震時において地震エネルギーを効率良く減衰することができる。
そして、制振機構を構成する第一部材は、建物の柱に取り付けられるので、専用の柱等の別途の支持構造が不要であり、更に、制振機構を構成する第一部材が水平方向に延びる部材であるので、制振機構の設置スペースを鉛直構面の上部や下部等の一部の高さ領域とすることができる。
したがって、シンプルな構造で、建物内の間取りや見栄え等の変更を極力抑えながら建物を補強することが可能となる。
更に、本構成によれば、第一部材が略水平方向に延在する姿勢で延在方向の中間部位を柱に取り付けるので、その延在方向の一端側の先端側部位と他端側の先端側部位の夫々を、隣り合う二つの柱梁架構の鉛直構面に配置することができ、隣り合う二つの柱梁架構の鉛直構面を補強するための部材として兼用構成することができる。
本発明の第特徴構成は、建物の複数の柱間に制振機構を亘らせて建物の鉛直構面を制振補強する建物補強方法であって、
前記制振機構が、複数の前記柱の各々に回転不能に取り付けられ、略水平方向に沿って延在する姿勢で略水平方向に並設される複数の第一部材と、それら複数の第一部材のうちで隣り合う第一部材の相対向する先端側部位間に亘って備えられ、当該先端側部位間の上下方向の相対変位に減衰力を付与するダンパとを備えて構成され、
前記制振機構が、前記建物を制振補強前の姿に復元可能なように、前記柱の周囲に備えられる接合用部材を介して前記柱に対して着脱自在な状態で間接的に固定され、
前記制振機構として、複数の前記柱の表側に配置される表側の制振機構と、複数の前記柱の裏側に配置される裏側の制振機構とが備えられ、
複数の前記柱の間に表側及び裏側の前記制振機構を設けるのに、前記接合用部材が表側及び裏側の前記制振機構で挟み込まれ、表側及び裏側の前記制振機構と前記接合用部材とが前記柱から外れた箇所で締結具にて締結固定される点にある。
本構成によれば、地震時において、一つの鉛直構面を構成する一方(例えば左方)の柱が他方(例えば右方)に傾くと、一方の柱に回転不能に接合されて他方の柱に向けて水平方向に延在する第一部材の先端側部位は下方に移動する。同時に、同鉛直構面を構成する他方(例えば右方)の柱が他方(例えば右方)に傾くと、他方の柱に回転不能に接合されて一方の柱に向けて水平方向に延在する第一部材の先端側部位は上方に移動する。つまり、地震時において、隣り合う第一部材の相対向する先端側部位どうしは、上下反対向きに相対変位し、その変位量は大きく、変位力は小さくなる。よって、隣り合う第一部材の相対向する先端側部位間に亘って設けられたダンパは、比較的小さい力であっても、充分な減衰力を付与することができ、地震時において地震エネルギーを効率良く減衰することができる。
そして、制振機構を構成する第一部材は、建物の柱に取り付けられるので、専用の柱等の別途の支持構造が不要であり、更に、制振機構を構成する第一部材が水平方向に延びる部材であるので、制振機構の設置スペースを鉛直構面の上部や下部等の一部の高さ領域とすることができる。
したがって、シンプルな構造で、建物内の間取りや見栄え等の変更を極力抑えながら建物を補強することが可能となる。
また、本構成によれば、柱に対して着脱自在な状態で間接的に取り付けられた制振機構を取り外すことで、必要に応じて建物を制振補強前の姿に復元することができる。
更に、本構成によれば、表側と裏側の両方の制振機構を用いて地震時の地震エネルギーを大きく減衰することができる。しかも、表側及び裏側の制振機構を、柱の周囲に備えられる接合用部材を介して柱から外れた箇所で締結固定するので、柱を傷つけずに複数の柱間に表側及び裏側の制振機構を亘らせて建物を補強することができる。
本発明の第特徴構成は、前記接合用部材が、前記柱の表側に配置される表側の分割接合用部材と、前記柱の裏側に配置される裏側の分割接合用部材とに分割され、
表側及び裏側の前記制振機構と表側及び裏側の前記分割接合用部材とが前記締結具にて締結固定される点にある。
本構成によれば、柱を挟み込む状態に表側及び裏側の分割接合用部材を配置し、その表側及び裏側の分割接合用部材を挟み込む状態で表側及び裏側の制振機構を配置し、表側及び裏側の分割接合用部材と、表側及び裏側の分割接合用部材を締結具にて締結固定することで、柱を傷つけずに効率良く制振機構を設置することができる。
本発明の第特徴構成は、前記接合用部材が、前記柱の建物内方側に配置される内側接合用部材と、前記柱の建物外方側に配置されて前記柱を挟み込む状態で前記内側接合用部材と連結される接合用バンド部材とから構成され、
表側及び裏側の前記制振機構と前記内側接合用部材とが前記締結具にて締結固定される点にある。
本構成によれば、接合用部材のうち、柱の建物外方側に配置されるのが嵩の低い接合用バンド部材であるので、柱が建物の外周部に配置される外周柱であっても、建物補強後に接合用部材が目立つことがなく、建物外観を良好に維持することができる。
本発明の第6特徴構成は、前記ダンパが、相対向する前記第一部材の先端側部位どうしの対向面間に介装され、地震時に作用するせん断力で前記柱よりも先に降伏するせん断ダンパである点にある。
本構成によれば、相対向する前記第一部材の先端側部位どうしの対向面間にせん断ダンパを介装することで、制振機構を一層シンプルに構成することができる。そして、そのせん断ダンパが地震時に柱よりも先に降伏して振動エネルギーを減衰することで、柱の損傷を適切に回避することができる。
本発明の第7特徴構成は、前記制振機構が、前記建物の床下空間又は天井裏空間に納められる点にある。
本構成によれば、制振機構が、建物の床下空間又は天井裏空間に納められるので、建物内の間取りや見栄え等を変更せずに建物を補強することが可能となる。
(a)建物補強方法により制振補強を施した建物補強構造の要部の平面図、(b)建物補強構造の要部の縦断面図 建物補強構造の制振メカニズムを示す要部の縦断面図 建物補強構造の要部の分解斜視図 (a)内部柱に対する制振機構の取り付け構造を示す図、(b)外周柱に対する制振機構の取り付け構造を示す図 建物補強方法の別実施形態を示す建物補強構造の要部の縦断面図
本発明の建物補強方法(建物補強構造)の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、建物補強方法により既存建物EB(建物の一例)に制振補強を施した建物補強構造の要部を示している。この建物補強方法は、既存建物EBの複数の柱(既存柱)P間に制振機構1を亘らせて既存建物EBの鉛直構面Kを制振補強する。
補強対象とする既存建物EBの構造形式は、各種の構造形式であってよいが、本実施形態では、木造である場合を例に挙げている。この木造の既存建物EBは、コンクリートや石材等からなる支持構造Sの上に木製の複数の柱Pを立設し、複数の柱P間に木製の梁(図示省略)等の横架材を架け渡して複数の柱Pと横架材からなる鉛直構面Kを有する既存躯体が構成されている。この既存躯体には、床材Fや壁材W、屋根材(図示省略)等が支持されている。
本実施形態の建物補強方法では、図1(a)に示すように、制振機構1を、既存建物EBにおいて平面視で直交する左右方向(X方向)及び表裏方向(Y方向)の夫々に設けることで、左右方向及び表裏方向の両方向から作用する地震力に対して制振効果を発揮するようにしている。なお、表裏方向(Y方向)に亘らせる制振機構1(1´)は、左右方向(X方向)に亘らせる制振機構1と干渉しないように、右方向(X方向)に亘らせる制振機構1に対して上下方向で僅かに位置ズレさせて配置される。
また、この実施形態の建物補強方法では、制振機構1として、複数の柱Pの表側(図中の下側)に配置される表側の制振機構1Aと、複数の柱Pの裏側(図中の上側)に配置される裏側の制振機構1Bとが備えられ、省スペース化を図りながら大きな制振効果を発揮するようにしている。更に、図1(b)に示すように、制振機構1を、既存建物EBにおける床材Fの下方の床下空間(既存床下空間)S1に納めることで、既存建物EB内の間取りや見栄え等を変更せずに既存建物EBを補強するようにしている。
以下、制振機構1について説明を加える。
制振機構1は、図1(b)に示すように、既存建物EBの複数の柱Pの各々に回転不能に取り付けられ、略水平方向(X方向)に沿って延在する姿勢で略水平方向に並設される複数(図1では3つ)の第一部材10と、隣り合う第一部材10の相対向する先端側部位10A間に亘って備えられ、当該先端側部位10A間の上下方向の相対変位に減衰力を付与するダンパ20とを備えて構成される。
図1(b)において、左右方向(X方向)に並ぶ3つの第一部材10のうち、左側の第一部材10は、略水平方向に延在する姿勢で延在方向(X方向)の左端部を外周柱P1(建物外周部の柱P)に固定状態で回転不能に取り付け、外周柱P1に片持ち状態で備えられる。
残りの中央側及び右側の二つの第一部材10は、略水平方向(X方向)に延在する姿勢で延在方向の中間部位を内部柱P2(建物内部の柱P)に固定状態で回転不能に取り付け、内部柱P2に備えられる。
前記第一部材10は、上下の弦材11A,11Bを含む矩形状の枠材11、及び、上下の弦材11A,11Bに斜めに亘る複数のトラス材12を有する頑丈なトラス構造体13にて構成される。各枠材11の左右方向(X方向)の両端部には、上下の弦材11A,11Bの端部どうしを接続する端部縦材11Dが設けられる。また、延在方向の中間部位が内部柱P2に取り付けられる中央側及び右側の二つの第一部材10には、上下の弦材11A,11Bの中間部位(内部柱P2に対する取り付け部位)どうしを接続する中間縦材11Eが更に設けられる。
前記ダンパ20は、相対向する第一部材10の先端側部位10Aどうしの対向面間に介装され、地震時に作用するせん断力で柱Pよりも先に降伏する金属系等のせん断ダンパにて構成される。
例えば、ダンパ20は、せん断パネルの一端側及び他端側にフランジ状の取り付け部を設けて構成することができる。図1(b)に示すように、相対向する一対の第一部材10の先端側の端部縦材11Dのうち、一方の端部縦材11Dにダンパ20の一端側の取り付け部がボルト等の固定具により固定状態で取り付けられ、他方の端部縦材11Dにダンパ20の他端側の取り付け部がボルト等の固定具により固定状態で取り付けられる。
ダンパ20は、相対向する第一部材10の先端側部位10Aどうしの相対的な姿勢変化(上下方向の相対変位)に連れてせん断パネルが塑性変形することで、第一部材10の先端側部位10Aどうしの上下方向の相対変位に減衰力を付与することができる。
また、図1(a)に示すように、制振機構1のうち、表側の制振機構1Aと制振機構1Bとは、表側の制振機構1Aの枠材11と裏側の制振機構1Bの枠材11を複数の連結部材11F等を介して連結することにより強固に一体化される。
このように制振補強を施した建物補強構造は、図2に示すように、地震時において、一つの鉛直構面Kを構成する左側(一方側)の柱Pが右側(他方側)に傾くと、左側の柱Pに回転不能に接合されて右側の柱Pに向けて水平方向(X方向)に延在する第一部材10の先端側部位10Aは下方に移動する。同時に、同鉛直構面Kを構成する右側の柱Pが右側に傾くと、右側の柱Pに回転不能に接合されて左側の柱Pに向けて水平方向(X方向)に延在する第一部材10の先端側部位10Aは上方側に移動する。つまり、地震時において、隣り合う第一部材10の相対向する先端側部位10Aどうしは、上下反対向きに相対変位し、その変位量は大きく、変位力は小さくなる。よって、隣り合う第一部材10の相対向する先端側部位10A間に亘って設けられたダンパ20は、比較的小さい力であっても、充分な減衰力を付与することができ、地震時において地震エネルギーを効率良く減衰することができる。
次に、図3、図4を参照し、柱Pに対する制振機構1の取り付け方法(取り付け構造)について説明を加える。本実施形態の建物補強方法では、内部柱P2に対する制振機構1の取り付け方法(図4(a)参照)と、外周柱P1に対する制振機構1の取り付け方法(図4(b)参照)の二種類の方法を用いている。
(共通構成)
二種類の取り付け方法の共通構成として、いずれの取り付け方法も、図3、図4に示すように、制振機構1が、既存建物EBを制振補強前の姿に復元可能なように、柱Pの周囲に備えられる接合用部材31を介して柱Pに対して着脱自在な状態で間接的に固定される。よって、必要に応じて制振機構1を取り外して既存建物EBを制振補強前の姿に復元することができる。
具体的には、図3に示すように、制振機構1は、上下二つの接合用部材31を用いて柱Pの夫々に上下の二箇所で固定される。
図4に示すように、上方側では、表側及び裏側の制振機構1A,1Bの第一部材10の上方側の弦材11A,11Aと、柱Pの周囲に備えられる上方側の接合用部材31が、柱Pから左右方向(X方向)で外方に外れた箇所で共通の締結具32にて締結固定される。同様に、下方側では、表側及び裏側の制振機構1A,1Bの第一部材10の下方側の弦材11B,11Bと、柱Pの周囲に備えられる下方側の接合用部材31が、柱Pから左右方向で外方に外れた箇所で共通の締結具32にて締結固定される。
締結具32は、例えば、図4に示すように、長ボルト32Aと、そのボルト軸方向の両端側に螺合されるナット32B等から構成され、表側及び裏側の制振機構1A,1B及び接合用部材31が表裏方向(Y方向)から共締め状態で締め付け固定される。
このように、表側及び裏側の制振機構1A,1Bを、柱Pの周囲に備えられる接合用部材31を介して柱Pから外れた箇所で締結固定することで、柱Pを傷つけずに複数の柱P間に表側及び裏側の制振機構1A,1Bを亘らせることができる。
なお、上下二つの接合用部材31を一体化して上下方向に長い単一の接合用部材とすれば、制振機構1の第一部材10と柱Pとの固定度を更に高めることができ、制振機構1の第一部材10を複数の柱Pの各々に一層回転不能な状態で取り付けることができる。
(内部柱P2に対する制振機構1の取り付け方法)
内部柱P2に対する取り付け方法では、図4(a)に示すように、接合用部材31が、柱Pの表側に配置される表側の木製の分割接合用部材31Aと、柱Pの裏側に配置される裏側の木製の分割接合用部材31Bとに表裏方向(Y方向)で二分割(複数分割の一例)され、表側及び裏側の制振機構1A,1Bの枠材11と表側及び裏側の分割接合用部材31A,31Bが、表裏方向から内部柱P2を挟み込む状態で配置され、表裏方向から締結具32にて締結固定される。
表側及び裏側の両分割接合用部材31A,31Bは、平面視において矩形状の一辺の中間部位に柱Pの約半分が嵌り込み可能な半円状の装着凹部31aを備えており、それら装着凹部31aどうしの間に柱Pが位置し、且つ、両分割接合用部材31A,31Bの相対向する面(装着凹部31aの両脇に位置する面)どうしが接触する状態で柱Pの周囲に配置可能に構成される。表側及び裏側の両分割接合用部材31A,31Bは、表裏方向で対称な形状で構成され、平面視で矩形状を形成する状態で内部柱P2の周囲に配置される。
(外周柱P1に対する制振機構1の取り付け方法)
外周柱P1に対する取り付け方法では、図4(b)に示すように、接合用部材31が、外周柱P1の建物内方側(図中右側)に配置される木製の内側接合用部材31Dと、外周柱P1の建物外方側(図中左側)に配置されて外周柱P1を挟み込む状態で内側接合用部材31Dと連結される可撓性の接合用バンド部材31Eとから構成され、表側及び裏側の制振機構1A,1Bの枠材11と、外周柱P1の周囲に取り付けられた内側接合用部材31Dとが表裏方向(Y方向)から締結具32にて締結固定される。接合用バンド部材31Eは、例えば、炭素繊維等の強度の高い素材にて構成される。
このように、接合用部材31のうち、外周柱P1の建物外方側に配置されるのが嵩の低い接合用バンド部材31Eとすることで、建物補強後に接合用部材31が目立つことがなく、建物外観を良好に維持することができる。
内側接合用部材31Dは、平面視で外周柱P1側(左側)の辺の中間部位に外周柱P1側に突出する突出部31bが備えられる。突出部31bの表裏方向(Y方向)の幅は、外周柱P1の直径と同等の寸法で構成される。突出部31bの先端面には、外周柱P1の約半分が嵌り込み可能な半円状の装着凹部31aが形成される。
内側接合用部材31Dは、突出部31bの先端面の装着凹部31aに柱Pの建物内方側が位置する状態で外周柱P1の周囲に配置され、外周柱P1を囲うように配置された接合用バンド部材31Eの両端部を内側接合用部材31Dの突出部31bの表裏の両面に対してボルトやビス等の固定具33で固定することで、外周柱P1に固定される。
〔別実施形態〕
(1)前述の実施形態では、図1(b)に示すように、制振機構1を、既存建物EBにおける床材Fの下方の床下空間(既存床下空間)S1に納めるようにしていたが、これに代えて、図5に示すように、制振機構1を、既存建物EBにおける天井材C(天井材Cがない場合は室内空間)の上方の天井裏空間(既存天井裏空間)S2に納めるようにしてもよい。この場合も、既存建物EB内の間取りや見栄え等を変更せずに既存建物EBを補強することができる。
(2)前述の実施形態では、前記第一部材10が、トラス構造体にて構成される場合を例に示したが、面材を有するパネル等の剛性の高い部材にて構成されてもよい。また、前述の実施形態では、前記第一部材10が、木製である場合を例に示したが、鋼製や金属製等であってもよい。
(3)前述の実施形態では、ダンパ20が、せん断ダンパにて構成される場合を例に示したが、粘性ダンパやオイルダンパ等にて構成されてもよい。
(4)柱Pに対する制振機構1の取り付け方法(取り付け構造)は、前述の実施形態で示した取り付け方法(取り付け構造)に限らず、既存建物EBの状態や制振機構1の設置部位等に応じた各種の取り付け方法(取り付け構造)を用いることができる。
(5)本発明の建物補強方法(建物補強構造)は、前述の実施形態で示した既存建物EBに制振補強を施す場合に限らず、新築建物に制振補強を施す場合にも好適に適用することができる。
1 制振機構
1A 表側の制振機構
1B 裏側の制振機構
10 第一部材
10A 先端側部位
11 枠材
11A 上弦材(弦材)
11B 下弦材(弦材)
12 トラス材
13 トラス構造体
20 ダンパ
31 接合用部材
31A 表側の分割接合用部材
31B 裏側の分割接合用部材
31D 内側接合用部材
31E 接合用バンド部材
32 締結具
EB 既存建物(建物)
K 鉛直構面
P 柱
S1 床下空間
S2 天井裏空間

Claims (7)

  1. 建物の複数の柱間に制振機構を亘らせて建物の鉛直構面を制振補強する建物補強方法であって、
    前記制振機構が、複数の前記柱の各々に回転不能に取り付けられ、略水平方向に沿って延在する姿勢で略水平方向に並設される複数の第一部材と、それら複数の第一部材のうちで隣り合う第一部材の相対向する先端側部位間に亘って備えられ、当該先端側部位間の上下方向の相対変位に減衰力を付与するダンパとを備えて構成され、
    前記第一部材が、上下の弦材を含む矩形状の枠材、及び、上下の前記弦材に亘るトラス材を有するトラス構造体にて構成される建物補強方法。
  2. 建物の複数の柱間に制振機構を亘らせて建物の鉛直構面を制振補強する建物補強方法であって、
    前記制振機構が、複数の前記柱の各々に回転不能に取り付けられ、略水平方向に沿って延在する姿勢で略水平方向に並設される複数の第一部材と、それら複数の第一部材のうちで隣り合う第一部材の相対向する先端側部位間に亘って備えられ、当該先端側部位間の上下方向の相対変位に減衰力を付与するダンパとを備えて構成され、
    前記第一部材が、略水平方向に延在する姿勢で延在方向の中間部位を前記柱に取り付けて前記柱に備えられる建物補強方法。
  3. 建物の複数の柱間に制振機構を亘らせて建物の鉛直構面を制振補強する建物補強方法であって、
    前記制振機構が、複数の前記柱の各々に回転不能に取り付けられ、略水平方向に沿って延在する姿勢で略水平方向に並設される複数の第一部材と、それら複数の第一部材のうちで隣り合う第一部材の相対向する先端側部位間に亘って備えられ、当該先端側部位間の上下方向の相対変位に減衰力を付与するダンパとを備えて構成され、
    前記制振機構が、前記建物を制振補強前の姿に復元可能なように、前記柱の周囲に備えられる接合用部材を介して前記柱に対して着脱自在な状態で間接的に固定され、
    前記制振機構として、複数の前記柱の表側に配置される表側の制振機構と、複数の前記柱の裏側に配置される裏側の制振機構とが備えられ、
    複数の前記柱の間に表側及び裏側の前記制振機構を設けるのに、前記接合用部材が表側及び裏側の前記制振機構で挟み込まれ、表側及び裏側の前記制振機構と前記接合用部材とが前記柱から外れた箇所で締結具にて締結固定される建物補強方法。
  4. 前記接合用部材が、前記柱の表側に配置される表側の分割接合用部材と、前記柱の裏側に配置される裏側の分割接合用部材とに分割され、
    表側及び裏側の前記制振機構と表側及び裏側の前記分割接合用部材とが前記締結具にて締結固定される請求項記載の建物補強方法。
  5. 前記接合用部材が、前記柱の建物内方側に配置される内側接合用部材と、前記柱の建物外方側に配置されて前記柱を挟み込む状態で前記内側接合用部材と連結される接合用バンド部材とから構成され、
    表側及び裏側の前記制振機構と前記内側接合用部材とが前記締結具にて締結固定される請求項記載の建物補強方法。
  6. 前記ダンパが、相対向する前記第一部材の先端側部位どうしの対向面間に介装され、地震時に作用するせん断力で前記柱よりも先に降伏するせん断ダンパである請求項1~5のいずれか1項に記載の建物補強方法。
  7. 前記制振機構が、前記建物の床下空間又は天井裏空間に納められる請求項1~のいずれか1項に記載の建物補強方法。
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