JP3770373B2 - セルロース系繊維含有繊維構造物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シャツ、スラックス、ブラウス、スポーツシャツ、肌着、寝具、作業服、ユニフォーム、カーテン、靴下、手袋等の好適なセルロース系繊維含有繊維構造物及び繊維製品に関するものであり、さらに詳しくは、一般的な樹脂加工より優れた洗濯耐久性があり、良好な風合いを有し、消臭性、抗菌性、保湿性、パッカリング性、プリーツ性、保型性、W&W(ウォッシュアンドウェア)性、防縮性に優れたセルロース系繊維含有繊維構造物及び繊維製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
セルロース系繊維に消臭性を付与する試みは従来から各種提案されている。例えば、多孔質セラミック微粒子をシランカップリング剤で繊維内部に固定する方法(特開平6-116862号公報)、金属フタロシアニン化合物を固定する方法(特開昭61-258077号公報、特開昭62-6953号公報、特開平7-331596号公報)、硫酸第1鉄とL-アスコルビン酸を付与する方法(特開昭61-2961号公報)、天然のツバキ科植物からの抽出物を付与する方法(特公昭61-22978号公報)、カルボキシル化したセルロースを銅や亜鉛で金属錯体化する方法(特開昭63-27090号公報)、ポリアルデヒドカルボン酸ビニルポリマーを繊維素反応型樹脂に併用する方法(特開昭54-131099号公報)、メタクリル酸アルキルエステルの低重合体を付与する方法(特開昭63-28871号公報)等が開示されている。
【0003】
しかしながら、多孔質セラミックス微粒子や金属フタロシアニンの如き水不溶性化合物はセルロース繊維にバインダー樹脂で固定するが、加工布帛の風合い硬化を招くばかりでなく洗濯耐久性も十分でない欠点があった。また、アスコルビン酸や天然植物からの抽出物は、加工に際しての熱処理で変質する等の欠点があり洗濯耐久性もなかった。一方、カルボキシル化したセルロースを銅や亜鉛等の金属で錯体化する方法は、洗濯耐久性はあるが布帛風合いが硬化する欠点があった。
【0004】
さらに、繊維構造物に光触媒機能を有する金属化合物により、消臭性・抗菌性・防汚性を付与する技術としては、特開平03−51363号公報、特開平05‐130467号公報、特開平05-154473号公報、特開平05-305125号公報、特開平06-165836号公報、特開平06-192961号公報、特開平06-209985号公報、特開平06-287355号公報、特開平07-60132号公報、特開平07-155598号公報、特開平07-171408号公報、特開平08-74171号公報、特開平08-284011号公報、特開平06-209985号公報、特開平07-60132号公報、特開平09-78462号公報、特開平10-1879号公報、特開平11-21759号公報、特開平11-269760号公報等が開示されている。
【0005】
しかしながら、これらは、防縮性、保型性、パッカリング性の優れたものではなかった。
【0006】
セルロース系繊維のしわになり易い、収縮し易い等の欠点の改善は、永久的課題であり、縫製品においては、特に、従来より、セルロース系繊維含有繊維製品の繰り返し洗濯による生地と縫い糸または生地部位間の収縮差により生ずるパッカリング現象(ひきつれ現象)や製品形状でのホルマリンによる気相反応を利用する試みがある。
【0007】
繊維構造物や繊維製品に架橋改質加工により防縮性、保型性、パッカリング性等を向上させる方法(特開平09-158043号公報、特開平09-158054号公報、特開平09-209267号公報、特開平09-209268号公報、特開平07-34381号公報、特開平07-166468号公報、特開平06-189123号公報、特開平08-60540号公報、特開平08-49168号公報、特開平08-92872号公報、特開平08-127972号公報、特開平218270号公報、特開平09-67769号公報、特開平09-158044号公報、特開平07-189123号公報、特開平08-49168号公報、特開平08-027665号公報、特開平08-279043号公報、特開平05-059664号公報、特開平07-324281号公報、特開平08-302567号公報、特開平08-296172号公報、特開平10-072773号公報、特開平10-077585号公報、特開平10-077573号公報、特開平08-284061号公報、特開平09-291476号公報、特開平09-105079号公報)が開示されている。
【0008】
しかしながら、これらの繊維構造物は、抗菌性、消臭性、保湿性などの機能性があるものではなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、セルロース系繊維含有繊維構造物及び繊維製品において、繰り返し洗濯でも良好な風合いを有し、消臭性、抗菌性、保湿性、パッカリング性、プリーツ性、保型性、W&W(ウォッシュアンドウェア)性等に優れたセルロース系含有繊維構造物及び繊維製品を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成する為に本発明の繊維構造物は次の構成を有する。
1.セルロース系繊維を含む繊維構造物に対し、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化鉄、チタン酸ストロンチウムから選ばれる1種又は2種以上の金属化合物及び天然性機能剤が付与され、かつ架橋改質加工されていることを特徴とするセルロース系繊維含有繊維構造物及び繊維製品。
2.架橋改質加工が気相ホルマリン加工法によるものである前記1記載のセルロース系繊維含有繊維構造物及び繊維製品。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】
本発明におけるセルロース系繊維とは、木綿100%はもちろんのこと、他の繊維、例えば、麻、亜麻、パルプ、バクテリアセルロース繊維等の天然セルロース繊維、絹、羊毛等の天然タンパク繊維、ビスコース法レーヨン(ポリノジックを含む)、銅アンモニア法レーヨン、溶剤紡糸法レーヨン等の再生セルロース繊維、アセテートなどの半合成繊維、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成繊維、さらにはこれらの繊維(天然繊維・再生セルロース繊維・半合成繊維・合成繊維)がグラフト重合等により、予め改質加工処理がされた繊維との、混繊、混紡、交織、交撚等で混用して得られる紡績糸、織物、編物、不織布等のことである。セルロース系繊維の含有率は、20重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましく、さらに好ましくは50重量%以上である。
【0014】
前記の構造物が晒し、反応性染料、バット染料等による先染め、反染め、プリント品であってもさしつかえない。
【0015】
さらには、予め、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、エチルエミン、液体アンモニア、ヒドラジン等のアルカリ、硫酸、リン酸、硝酸等の酸、塩化亜鉛、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、各種ロダン塩、ヨウ化カリウム等の塩類、及びこれらの組み合わせが挙げられる。セルロース系繊維が木綿の場合、工業的には、水酸化ナトリウム、液体アンモニアが好ましく、染色性の向上と洗濯後の風合いの保持が必要な場合は、水酸化ナトリウム/液体アンモニアの併用系が好ましい。
【0016】
これらの薬剤を処理する方法として、液流染色機、ワッシャー、タンブラー、サンフォライズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
本発明で言う繊維製品とは、前記のセルロース系繊維や混用繊維を用いた織物、編物、不織布等及びそれらを用いて得られたドレスシャツ、ブラウス、スポーツシャツ、肌着、寝具、作業服、ユニフォーム、カーテン、靴下、手袋を意味するが、好適な繊維製品として、シャツ及びインナーが挙げられる。。
【0018】
本発明に用いられる金属化合物とは、周期表の第Ib族、第IIa族、第IIb族、第IIIb族、第IVb族等の金属塩(元素)からなる金属化合物である。生産性、人体及び生物への影響等を考慮すると、特には限定されないが、酸化亜鉛、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅等が挙げられる。
【0019】
さらに、本発明において、光触媒機能を有する金属化合物として、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化鉄、チタン酸ストロンチウムなどの公知の金属化合物半導体を単独または2種以上を組み合わせて用いることが出来る。特に高い光触媒機能を有し、化学的に安定であり、かつ、無害である酸化チタンが好ましい。酸化チタンのなかでも、アナターゼ型の結晶型をしているものがより好ましい。
【0020】
金属系化合物の付与量は、風合い、消臭性機能の効果、生産性から繊維構造物及び繊維製品100重量%に対して0.1〜3重量%である。
【0021】
本発明における天然性機能剤とは、いちょうがに、ずわいがに、けがに、くるまえび、しゃこ等の貝殻類・かいこ、はえ、ばった、くも、こがね虫等の昆虫類、いかの骨、かき貝殻等の軟体動物、パン酵母、マシュルーム等の菌類等を原材料とするキチン、キチンを脱アセチル化して酸に可溶性にしたキトサン等、植物(ツバキ類、笹類、柿等の葉等)から抽出したエキス、動物(蛋白質等)から抽出したエキス等が挙げられるが、生産性及び品質性等からキトサンが好ましいが、単独または混合されて使用されても良く、これらに限定されるものではない。
【0022】
天然性機能剤は、繊維に付与するには、微粉末にしたものが望ましいが、他の物質(薬剤)とのエマルジョン、マイクロカプセル、多孔性カプセル等であってもよく、単独であっても、混合されてしようされても良く、これに限定されるものではない。微粉末の場合、粒子径は0.1μm以上50μm以下である。好ましくは、0.3μm以上25μm以下である。さらに好ましくは、1μm以上10μm以下である。
【0023】
天然性機能剤の付与量は、風合い、消臭性、抗菌性、保湿性の各機能の効果、生産性から繊維構造物及び繊維製品100重量%に対して0.1重量%以上30重量%以下である。好ましくは0.5重量%以上15重量%以下である。さらに好ましくは1重量%以上10重量%以下である。
【0024】
本発明における金属化合物及び天然性機能剤をセルロース系繊維含有繊維構造物に付与する方法としては、スプレー処理、パディング処理、浸漬処理、含浸処理等いかなる方法でもよい。乾燥温度は、約70℃以上180℃以下で、20sec以上60min以下、好ましくは約95℃以上120℃以下、1min以上30min以下で実施することであるが、これに限定するものではない。また、乾燥後には任意的にキュアリングを実施してもよい。キュアリングは約130℃以上180℃以下で、30sec以上10min以下実施することが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0025】
また、本発明における金属化合物及び天然性機能剤の固着に使用する接着剤としては、ポリウレタン系架橋型樹脂、アクリル系架橋型樹脂、シリコーン系架橋型樹脂、エポキシ系架橋型樹脂、ポリアミド系架橋型樹脂、ポリエステル系架橋型樹脂等を挙げることが出来るが、単独使用でも良く、配合して使用することも可能である。このなかでも、耐熱性、耐候性、耐薬品性が優れ、金属系化合物による分解機能の影響が少ないシリコン系架橋型樹脂が好ましい。
【0026】
次ぎに、本発明における架橋改質加工について説明する。
セルロース系繊維のホルムアルデヒド及び架橋長制御剤による架橋は、ホルムアルデヒド蒸気(ガス)と二酸化硫黄ガスとを使用する気相ホルマリン加工法による方法と予め架橋長制御剤と触媒をセルロース系繊維に付与しておき、気相ホルマリン加工をすることが出来る。
【0027】
本発明で使用できる架橋改質加工で用いられる架橋長制御剤は、メチロール化が可能な活性水素を有する化合物であり、これらの化合物には、次ぎのような挙げられる。ホルムアミド、アセトアミド、アロンアミド、リンゴ酸アミド、アクリルアミドなどの有機カルボン酸アミド及び有機オキシカルボン酸アミド類、尿素、アリール尿素、チオ尿素、ジシアンジアミド、グアニジン、シアノ尿素、グアニルチオ尿素、ビグアニド、グアニル尿素、カルボジヒドラジドなどの尿素及びその誘導体エチルカーバイド、ヒドロキシエチルカーバメートなどの炭素数1〜4の低級アルキル又はヒドロキシアルキルカーバメート類、ベンゼンスルホアミド、p-ベンゼン・ジスルホンアミドなどのアリルスルホンアミド類、メタンスルホンアミド、エタンスルホンアミド、n-ブタンスルホンアミド、I-ブタンスルホンアミドなどの炭素数1〜4の低級アルキルスルホンアミド類、メチレン-ビス-メタンスルホンアミド、エチレン-ビス-メタンスルホンアミド、1,3-ビス-メタンスルホンアミド、1,3-プロパン-ビス-メタンスルホンアミド等のビス-スルホンアミド類などが挙げられる。
【0028】
さらに、以下の化1の化2で示される環状尿素化合物類などが挙げられる。
【0029】
【化1】
【0030】
【化2】
【0031】
R0はH、炭素数1〜4のアルキル基又は置換したアルキル基、-CH2OH、-CH2OCH3のいずれかであり、R1、R2、R3、R4、R5、およびR6は同種または異なる基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基または置換アルキル基のいずれかを表し、XはC、OまたはNで、XがOの場合、R3あるいはR4が存在しない。又前記の化1及び/又は化2の各々2分子以上をホルムアルデヒド、グリオキザール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルキレングリコールなどで架橋させた初期縮合物であっても良い。
【0032】
前記の化1及び化2の化合物の内、好ましくはメチロール化可能な活性水素を有する化合物としては、エチレン尿素、モノメチロールエチレン尿素、メチル化モノメチロールエチレン尿素、エチレン尿素/ホルマリン縮合物で片末端及び両末端がNH基を有するエチレン尿素類、じヒドロキシエチレン尿素、モノメチロールジヒドキシエチレン尿素、メチル化モノメチロールジヒドロキシエチレン尿素などのジヒドロキシエチレン尿素類が好ましい。
これらの架橋長制御剤の使用量はセルロース系繊維含有繊維構造物に対して、0.5〜20重量%である。風合いなどを考慮するとさらに好ましくは、1〜5重量%である。
【0033】
本発明で使用できる柔軟剤類としては次のようなものが挙げられる。即ち、ジメチルポリシロキサン、エポキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、水溶性シリコーンなどのシリコーン類、ポリエチレンエマルジョン類、脂肪族酸アミド類、ポリウレタン樹脂類、アクリル酸エステル類、ワックス類、ノニオン、アニオン、カチオン、両性の界面活性剤類などが挙げられる。特に、ポリエチレンエマルジョン類、シリコーン類などが風合い向上、引裂強力向上に有効である。
【0034】
本発明で使用できる潜在性酸性触媒としては、AlCl3、Al2(SO4)3、MgCl2、Mg2(H2PO4)2、Zn(BF4)2、Zn(NO3)2、ZnCl2、Mg(BF4)2、Mg(ClO4)2、Al2(OH4)Cl2などの各種金属塩(結晶水含有も含む)類、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールの塩酸塩などの各種アルカノールアミンの酸性酸、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸などの強酸のアンモニウム塩、蓚酸、クエン酸などの有機カルボン酸などがある。これら潜在性酸性触媒の使用量は0.1〜5重量%である。ホルムアルデヒド蒸気の処理後のキュア条件は、触媒の共存下、通常、20℃〜160℃で1〜60分間である。
【0035】
本発明におけるセルロース系繊維を架橋させることができる薬剤は気体、液体、固体、水溶液のいずれでもよいが、加熱等で容易に蒸気となって、セルロース系繊維内部へ浸透できることからも、ホルムアルデヒドが好ましい。
【0036】
セルロースとホルマリンの架橋反応を円滑に進めるためには、セルロース系繊維中へいかにホルマリンを吸着させるかにつきる。これにはホルマリン気相加工前の縫製品を予め調湿処理をすることが望ましい。この際の生地水分率は5〜15重量%が好ましく、より好ましくは6〜10重量%である。
ホルムアルデヒド蒸気の処理条件は触媒の共存下、通常、80〜160℃で1〜60分間である。
【0037】
気相ホルムアルデヒド処理は、布帛の状態及び縫製品の状態いずれでも処理できるが、縫製品にした後に処理する方が、縫製上の問題の発生が少なく、縫製品の形状をも効果的に固定するので、耐パッカリング性、保型性が著しく高くなり、好ましい実施態様である。
【0038】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。実施例また比較例における繊維構造物及び繊維製品の評価方法は以下の通りである。さらに、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0039】
ホルムアルデヒド消臭率の測定方法:
テドラーバック(フッ化ビニリデンフィルム製)3Lに繊維5gを入れて密封し、さらに、窒素ガスを2L入れる。次に、ホルムアルデヒドを100ppmの濃度になるようになるよう封入し、60min放置した後、ガス検知管を使用してホルムアルデヒド濃度を測定した。濃度の減少率から、ホルムアルデヒドの消臭率(%)を算出した。
【0040】
抗菌性の測定方法:
シェークフラスコ法により実施。使用菌種は黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus FDA209p)を用い、三角フラスコ中に試験菌液を所定量加えさらに測定試料片1.5gを加え、8字振とう、80rpm、25℃振とうを実施した後、フラスコ中の生菌数を培養計測した後、減菌率(%)を算出した。
減菌率(%)=((B−A)/B)×100
A;振とう後の三角フラスコ内1ml当りの菌数(個)
B;振とう前の三角フラスコ内1ml当りの菌数(個)
【0041】
保湿性の評価方法:
20℃65%RHの環境下で3時間着用してもらい、3段階評価を実施した。
○ : 良好
△ : 普通
× : 不良
【0042】
パッカリング性:
JIS-L-0217 103法による洗濯を5回繰り返した後、AATCC 88-B-1984法の縫い目5段階レプリカにより評価した。
5級 : 非常に良好
4級 : 良好
3級 : 普通
2級 : やや不良
1級 : 非常に不良
【0043】
保型性:
JIS-L-1042 FII法による洗濯、タンブル乾燥(I-2条件)を5回繰り返した後、視覚で5段階に判定した。
5級 : 非常に良好
4級 : 良好
3級 : 普通
2級 : やや不良
1級 : 非常に不良
【0044】
風合いの評価方法:
20℃65%RH環境下で被験者に3時間着用し、3段階評価を実施した。
○ : ソフト
△ : 普通
× : かたい
【0045】
実施例1
ブロード織物(経糸40番手の木綿100重量%の紡績糸×緯糸40番手の木綿100重量%の紡績糸/経糸密度130本/2.54cm×緯糸密度70本/2.54cm)を作成し、通常の糊抜・精錬・漂白した。次いで、−37℃の液体アンモニアに3秒間浸漬後、70%の絞り率で搾液し、16秒間タイミングをおいた後、160℃で15秒間乾燥した。この加工布を下記組成の加工液(A)に浸漬し、絞り率70%になるように絞り、100℃×2分間で乾燥し、145℃×3分間でキュアの処理を実施した。さらに、下記組成の加工液(B)に浸漬し、絞り率70%になるように絞り、110℃で3分間乾燥し、次いでサンフォライズ加工した後、常法によりシャツを縫製した。
このシャツの生地水分率を7重量%になるように、調湿し、次いで通常のホルマリン気相加工を施し、本発明のシャツを得た。
【0046】
【0047】
実施例2
ブロード織物(経糸40番手の木綿100重量%の紡績糸×緯糸40番手の木綿100重量%の紡績糸/経糸密度130本/2.54cm×緯糸密度70本/2.54cm)を作成し、通常の糊抜・精錬・漂白した。次いで、28°B'eの水酸化ナトリウムにて常法によるシルケット処理し、次いで−37℃の液体アンモニアに5秒間浸漬後、70%の絞り率で搾液し、18秒間タイミングをおいた後、150℃で20秒間乾燥した。この加工布を上記組成の加工液(A)に浸漬し、絞り率70%になるように絞り、100℃×2分間で乾燥し、145℃×3分間でキュアの処理を実施した。さらに、上記組成の加工液(B)に浸漬し、絞り率70%になるように絞り、110℃で3分間乾燥し、次いでサンフォライズ加工した後、常法によりシャツを縫製した。
このシャツの生地水分率を7重量%になるように、調湿し、次いで通常のホルマリン気相加工を施し、本発明のシャツを得た。
【0048】
実施例3
ブロード織物(経糸40番手の木綿65重量%とポリエステル35重量%で混紡された紡績糸×緯糸40番手の木綿65重量%とポリエステル35重量%で混紡された紡績糸/経糸密度130本/2.54cm×緯糸密度70本/2.54cm)を作成し、通常の糊抜・精錬・漂白した。次いで、−37℃の液体アンモニアに3秒間浸漬後、70%の絞り率で搾液し、16秒間タイミングをおいた後、160℃で15秒間乾燥した。この加工布を上記組成の加工液(A)に浸漬し、絞り率70%になるように絞り、100℃×2分間で乾燥し、145℃×3分間でキュアの処理を実施した。さらに、上記組成の加工液(B)に浸漬し、絞り率70%になるように絞り、110℃で3分間乾燥し、次いでサンフォライズ加工した後、常法によりシャツを縫製した。
このシャツの生地水分率を7重量%になるように、調湿し、次いで通常のホルマリン気相加工を施し、本発明のシャツを得た。
【0049】
実施例4
ブロード織物(経糸80/2番手の木綿100重量%の紡績糸×緯糸80/2番手の木綿100重量%の紡績糸/経糸密度133本/2.54cm×緯糸密度74本/2.54cm)を作成し、通常の糊抜・精錬・漂白した。次いで、−37℃の液体アンモニアに3秒間浸漬後、70%の絞り率で搾液し、16秒間タイミングをおいた後、160℃で15秒間乾燥した。この加工布を下記組成の加工液(A)に浸漬し、絞り率70%になるように絞り、110℃×2分間で乾燥し、145℃×3分間でキュアの処理を実施した。さらに、下記組成の加工液(C)に浸漬し、絞り率70%になるように絞り、110℃で3分間乾燥し、次いでサンフォライズ加工した後、常法によりシャツを縫製した。
このシャツの生地水分率を7重量%になるように、調湿し、次いで通常のホルマリン気相加工を施し、本発明のシャツを得た。
【0050】
【0051】
実施例5
加工液(C)を下記組成の加工液(D)に変更する以外は、SO2ガスを使用しないほかは実施例4と同様にし、気相ホルマリン加工のシャツを得た。
【0052】
実施例6
加工液(C)を下記組成の加工液(E)に変更する以外は実施例5と同様にし、気相ホルマリン加工のシャツを得た。
【0053】
比較例1
ブロード織物(経糸40番手の木綿100重量%の紡績糸×緯糸40番手の木綿100重量%の紡績糸/経糸密度130本/2.54cm×緯糸密度70本/2.54cm)を作成し、通常の糊抜・精錬・漂白した。次いで、−37℃の液体アンモニアに3秒間浸漬後、70%の絞り率で搾液し、16秒間タイミングをおいた後、160℃で15秒間乾燥した。この加工布を下記組成の加工液(F)に浸漬し、絞り率70%になるように絞り、100℃×2分間で乾燥し、145℃×3分間でキュアの処理を実施し、常法によりシャツを縫製した。
【0054】
【0055】
比較例2
ブロード織物(経糸40番手の木綿100重量%の紡績糸×緯糸40番手の木綿100重量%の紡績糸/経糸密度130本/2.54cm×緯糸密度70本/2.54cm)を作成し、通常の糊抜・精錬・漂白した。次いで、−37℃の液体アンモニアに3秒間浸漬後、70%の絞り率で搾液し、16秒間タイミングをおいた後、160℃で15秒間乾燥した。この加工布を上記組成の加工液(B)に浸漬し、絞り率70%になるように絞り、110℃で3分間乾燥し、次いでサンフォライズ加工した後、常法によりシャツを縫製した。
【0056】
比較例3
ブロード織物(経糸40番手の木綿100重量%の紡績糸×緯糸40番手の木綿100重量%の紡績糸/経糸密度130本/2.54cm×緯糸密度70本/2.54cm)を作成し、通常の糊抜・精錬・漂白した。次いで、−37℃の液体アンモニアに3秒間浸漬後、70%の絞り率で搾液し、16秒間タイミングをおいた後、160℃で15秒間乾燥した。この加工布を下記組成の加工液(G)に浸漬し、絞り率70%になるように絞り、110℃で3分間乾燥し、次いでサンフォライズ加工した。常法によりシャツを縫製した。
【0057】
【0058】
実施例1〜5、比較例1〜3で得られたシャツ及びインナーの繊維製品の消臭性、抗菌性、保湿性、パッカリング性、保型性を評価して、その結果を表1及び表2に示す。また、JIS-L0217-103法により、繰り返し洗濯を10回実施し、その洗濯後の消臭性、抗菌性、保湿性の評価を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【発明の効果】
本発明は、抗菌性、消臭性、保湿性、パッカリング性、保型性等の洗濯耐久性に優れたセルロース系繊維製品を得ることが出来る。
Claims (2)
- セルロース系繊維を含む繊維構造物に対し、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化鉄、チタン酸ストロンチウムから選ばれる1種又は2種以上の金属化合物及び天然性機能剤が付与され、かつ架橋改質加工されていることを特徴とするセルロース系繊維含有繊維製品。
- 架橋改質加工が気相ホルマリン加工法によるものである請求項1記載のセルロース系繊維含有繊維製品。
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