JP3770262B2 - 車両の駆動力制御装置 - Google Patents
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Description
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、車両停止中にクラッチをオフに制御した際に、確実にクラッチを切断状態とすることができる車両の駆動力制御装置を提供するものである。
上記クラッチは、モータ側の回転軸に連結する第1の回転部材と、車輪側の回転軸に連結する第2の回転部材と、その第1及び第2の回転部材の間に形成された係合空間に介挿される係合子と、その係合子の周方向の位置を規制する保持器と、第1及び第2の回転部材の一方に対する上記保持器の固定及び解放を行うことでクラッチの接続及び切断を制御するクラッチ操作部と、を備え、上記クラッチ操作部による上記保持器の固定状態で第1及び第2の回転部材の他方と保持器との間の位相が変わることによって、上記係合子が第1及び第2の回転部材の間に噛み込んで第1及び第2の回転部材間でトルク伝達可能となる機構のクラッチであって、当該クラッチは、モータ駆動中は上記保持器を固定状態として接続状態に制御され、上記モータの駆動を停止すると判定すると上記保持器を解放状態とすることで切断状態に制御される車両の駆動力制御装置であって、
上記モータは、車両停止中に、上記車輪を駆動可能なトルク未満で且つモータから車輪への動力伝達経路にあるガタを詰めるのに充分な大きさのトルクでモータ駆動可能となっていると共に、
車両停止直前のモータの駆動回転方向を推定する回転方向推定手段と、車両停止中にモータ駆動を停止するとき、上記保持器を解放状態とした後に、回転方向推定手段が推定したモータ駆動回転方向とは逆方向にモータを回転駆動させた後に当該モータを停止する車両停止中モータ停止手段を備えることを特徴とするものである。
図1は、本実施形態に係る車両のシステム構成を説明する図である。
この図1に示すように、本実施形態の車両は、左右前輪1L、1Rが、内燃機関であるエンジン2(主駆動源)によって駆動される主駆動輪であり、左右後輪3L、3Rが、モータ4によって駆動可能な従駆動輪である。
すなわち、エンジン2の出力トルクTeが、トランスミッション30及びディファレンスギア31を通じて左右前輪1L、1Rに伝達されるようになっている。
上記トランスミッション30には、現在の変速のレンジを検出するシフト位置検出手段32が設けられ、該シフト位置検出手段32は、検出したシフト位置信号を4WDコントローラ8に出力する。
また、符号34は制動指示操作部を構成するブレーキペダルであって、そのブレーキペダル34のストローク量がブレーキストロークセンサ35によって検出される。該ブレーキストロークセンサ35は、検出したブレーキストローク量を制動コントローラ36及び4WDコントローラ8に出力する。
また、上記エンジン2の回転トルクTeの一部は、無端ベルト6を介して発電機7に伝達されることで、上記発電機7は、エンジン2の回転数Neにプーリ比を乗じた回転数Nhで回転する。
また、上記ジャンクションボックス10内には電流センサ23が設けられ、該電流センサ23は、発電機7からモータ4に供給される電力の電流値Iaを検出し、当該検出した電機子電流信号を4WDコントローラ8に出力する。また、電線9を流れる電圧値(モータ4の電圧)が4WDコントローラ8で検出される。符号24は、リレーであり、4WDコントローラ8から指令によってモータ4に供給される電圧(電流)の遮断及び接続が制御される。
上記モータ4の駆動軸の回転数Nmを検出するモータ用回転数センサ26を備え、該モータ用回転数センサ26は、検出したモータ4の回転数信号を4WDコントローラ8に出力する。
また、本実施形態のクラッチ12は、次に示すようなメカニカルな機構で接続・切断が行われるクラッチであって、4WDコントローラ8からのクラッチ制御指令に応じて電磁クラッチ部106が接続状態又は切断状態となって、クラッチ12の接続・切断の制御が行われるものである。
次に、そのクラッチ12の機構・構成について図3及び図4を参照して説明する。
上記機構のクラッチ12にあっては、上記保持器104が解放状態では、ローラ102がスイッチバネ105の作用で係合空間103の中央位置に保持されることから、内輪部材100と外輪部材101との間でローラ102を介したトルクの伝達は行われず、内輪部材100と外輪部材101とは独立して回転可能な状態となっている。
また、各車輪1L、1R、3L、3Rには、車輪速センサ27FL、27FR、27RL、27RRが設けられている。各車輪速センサ27FL、27FR、27RL、27RRは、対応する車輪1L、1R、3L、3Rの回転速度に応じたパルス信号を車輪速検出値として4WDコントローラ8に出力する。
上記発電機制御部8Cは、電圧調整器22を通じて、発電機7の発電電圧Vをモニターしながら、当該発電機7の発電機指令値c1を出力して界磁電流Ifhを調整する。
リレー制御部8Dは、発電機7からモータ4への電力供給の遮断・接続を制御する。
モータ制御部8Eは、モータ4の界磁電流Ifmを調整することで、当該モータ4のトルクを所要の値に調整する。
また、4WDコントローラ本体8Aは、所定のサンプリング時間毎に、図6に示すような処理を行う。
まず、ステップS10において、駆動モードスイッチ41に基づき、4輪駆動モード状態か否かを判定し、4輪駆動モードの場合にはステップS20に移行する。一方、2輪駆動モード若しくは2輪駆動モードへの移行の場合にはステップS100に移行する。
ステップS30では、モータ回転数が仕様的に許容される回転数か否かを判定し、許容回転数の範囲で有ればステップS40に移行し、許容限界に近づいた場合にはステップS100に移行する。
ステップS40では、モータ用回転数センサ21が検出したモータ4の回転数Nmに応じた目標モータ界磁電流Ifmを算出し、当該目標モータ界磁電流Ifmをモータ制御部8Cに出力した後、ステップS50に移行する。
ここで、目標モータトルク算出部8Bは、車速やアクセル開度などの諸条件に基づき目標モータトルクTmを算出する。また、車両が停止状態(車輪速がゼロ若しくは略ゼロの状態)の場合には、目標モータトルクTmを、次回の発進に備えて、後輪を駆動するだけのトルクはないが、モータ4から後輪までに存在するガタ分を詰めることができるだけのモータトルクに設定する。
ステップS80では、駆動軸回転数(クラッチ出力回転数)とモータ回転数/減速比(クラッチ入力回転数)の差回転数が許容差回転数未満かを判定し、許容差回転数未満ならステップS90に移行しクラッチ制御部8Fに対してクラッチ・オン指令を出力した後に復帰する。許容差回転数以上ならそのまま(クラッチ・オンしないで)復帰する。
ステップS120では、車両が停止中か否かを判定し、停止中と判定した場合にはステップS140に移行し、走行中と判定した場合にはステップS130に移行する。
車両が停止中とは、車輪速がゼロ、若しくはクリープによる移動などほぼゼロの状態を指す。例えば車輪速センサで速度が検出できない状態のときに車両が停止中と判定する。
ステップS140では、モータ4の駆動回転方向を検出してステップS150に移行する。モータ4の駆動回転方向は、モータ電気子電流及び界磁電流の向き(モータ電流の向き)で判定したり、変速のレンジで判定すればよい。変速のレンジで判定する場合にはモータ電流の向きを検出する必要がない。なお、モータ駆動回転方向を検出を、車両停止中における2輪駆動移行の際に判定しているが、これに限定されない。例えば四輪駆動状態での走行中に連続的にモータ駆動回転方向を検出して、車両の停止直前の検出値を採用しても良い。
ステップS160では、モータ4を停止した後にステップS170に移行する。
ステップS170では、発電機制御指令値であるデューティ比c1にゼロを代入し出力した後に、復帰する。
また、エンジンコントローラ18では、アクセル開度や車速などに基づき制御量(スロットル開度など)を演算してエンジンを目標出力トルクに制御する。また、車両が停止状態であっても、発電機制御指令値であるデューティ比c1がゼロより大きければ、発電機7を作動させるだけの出力トルクを出せるだけの制御量を演算してエンジン2を稼働させる。
運転者による4輪駆動モードの選択や、予め決められた4輪駆動状態に合致と自動判定されると、車速やアクセル開度、前輪の加速スリップ量などに応じたモータトルクでモータ4が駆動されることで、4輪駆動状態となって車両の加速性が向上する。
また、この4輪駆動状態から、駆動モードスイッチ41が2輪駆動モードに切り替わると、2輪駆動状態への移行処理として、クラッチ12が切断状態に制御されると共にモータ4の停止処理が行われる。
また、4輪駆動モード状態で車両が停止した場合に、変速のレンジが駆動レンジの場合には、次回の発進に備えて4輪駆動状態を維持しておく。
ここで、車両走行時におけるクラッチ12をオフに制御した場合には、上述のようにローラ102の噛み込み方向は、必ずしもモータ4の駆動回転方向とは限られない。しかしながら、車両停止時にあっては、車両停止直前でローラ102がモータ駆動回転方向とは逆方向に噛み込んでいたとしても、車両停止によって後輪からのトルクが無くなることから、モータトルクによってローラ102の噛み込み方向がモータ4の駆動回転方向に変更される。
また、上記クラッチ12の説明では、内輪部材100と外輪部材101との径方向で対向する部分に係合空間103が形成されるとしているが、これに限定されず、軸方向などに係合空間103が形成するような構造であっても良い。また、カム面100aを外輪部材101側に設けて、内輪部材100と保持器104とをクラッチ作動部で固定・解放するようにしても良い。また、クラッチ操作部として、電磁クラッチ以外のクラッチ機構を採用しても良い。
2 エンジン
3L、3R 後輪
4 モータ
6 ベルト
7 発電機
8 4WDコントローラ
8A 4WDコントローラ本体
8B 目標モータトルク算出部
8C 発電機制御部
8D リレー制御部
8E モータ制御部
8F クラッチ制御部
9 電線
10 ジャンクションボックス
11 減速機
12 クラッチ
13 デフ
14 吸気管路
15 メインスロットルバルブ
16 サブスロットルバルブ
18 エンジンコントローラ
19 ステップモータ
20 モータコントローラ
21 エンジン回転数センサ
22 電圧調整器
23 電流センサ
26 モータ用回転数センサ
27FL、27FR、27RL、27RR
車輪速センサ
30 トランスミッション
31 ディファレンシャル・ギヤ
32 シフト位置検出手段
34 ブレーキペダル
35 ブレーキストロークセンサ
36 制動コントローラ
37FL、37FR、37RL、37RR
制動装置
40 アクセルセンサ
41 駆動モードスイッチ
100 内輪部材
101 外輪部材
102 ローラ(係合子)
103 係合空間
103a 楔空間
104 保持器
105 スイッチバネ
106 電磁クラッチ部
Ifh 発電機の界磁電流
V 発電機の電圧
Nh 発電機の回転数
Ia 目標電機子電流
Ifm 目標モータ界磁電流
E モータの誘起電圧
Nm モータの回転数(回転速度)
Th 目標発電機負荷トルク
Tm モータの現在の目標トルク
Te エンジンの出力トルク
Claims (4)
- モータと、そのモータで駆動される車輪と、モータから車輪への動力伝達経路に介装されるクラッチとを備え、
上記クラッチは、モータ側の回転軸に連結する第1の回転部材と、車輪側の回転軸に連結する第2の回転部材と、その第1及び第2の回転部材の間に形成された係合空間に介挿される係合子と、その係合子の周方向の位置を規制する保持器と、第1及び第2の回転部材の一方に対する上記保持器の固定及び解放を行うことでクラッチの接続及び切断を制御するクラッチ操作部と、を備え、上記クラッチ操作部による上記保持器の固定状態で第1及び第2の回転部材の他方と保持器との間の位相が変わることによって、上記係合子が第1及び第2の回転部材の間に噛み込んで第1及び第2の回転部材間でトルク伝達可能となる機構のクラッチであって、当該クラッチは、モータ駆動中は上記保持器を固定状態として接続状態に制御され、上記モータの駆動を停止すると判定すると上記保持器を解放状態とすることで切断状態に制御される車両の駆動力制御装置であって、
上記モータは、車両停止中に、上記車輪を駆動可能なトルク未満で且つモータから車輪への動力伝達経路にあるガタを詰めるのに充分な大きさのトルクでモータ駆動可能となっていると共に、
車両停止直前のモータの駆動回転方向を推定する回転方向推定手段と、車両停止中にモータ駆動を停止するとき、上記保持器を解放状態とした後に、回転方向推定手段が推定したモータ駆動回転方向とは逆方向にモータを回転駆動させた後に当該モータを停止する車両停止中モータ停止手段を備えることを特徴とする車両の駆動力制御装置。 - 上記回転方向推定手段は、モータ電流の方向から上記モータの駆動回転方向を推定することを特徴とする請求項1に記載した車両の駆動力制御装置。
- 主駆動輪を駆動する主駆動源を備えると共に、上記モータで駆動される車輪を従駆動輪とした車両の駆動力制御装置であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した車両の駆動力制御装置。
- 主駆動源から主駆動輪への動力伝達経路の途中に変速機を備えた車両の駆動力制御装置において、上記回転方向推定手段は、モータ電流の方向又は変速機のシフト位置によって上記モータの駆動回転方向を推定することを特徴とする請求項3に記載した車両の駆動力制御装置。
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