JP3829840B2 - 車両の駆動力制御装置 - Google Patents
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Description
そして、一般に、クラッチは、モータの駆動停止に合わせて接続状態から切断状態に制御される。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、クラッチを切断に制御し且つモータ駆動を停止したときに確実にクラッチを切断状態にできる車両の駆動力制御装置を提供するものである。
上記クラッチは、モータ側の回転軸に連結する第1の回転部材と、車輪側の回転軸に連結する第2の回転部材と、その第1及び第2の回転部材の間に形成された係合空間に介挿される係合子と、その係合子の周方向の位置を規制する保持器と、第1及び第2の回転部材の一方に対する上記保持器の固定を行うことでクラッチの接続を制御すると共に第1及び第2の回転部材の一方に対する上記保持器の解放を行うことでクラッチの切断を制御するクラッチ操作部と、
上記クラッチ操作部による上記保持器の固定状態で第1及び第2の回転部材の他方と保持器との間の位相が変わることによって、上記係合子が第1及び第2の回転部材の間に噛み込んで第1及び第2の回転部材間でトルク伝達可能となる機構のクラッチと、を備え、
モータの駆動中は上記保持器を固定状態に制御し、上記モータの駆動を停止する条件を満足したと判定すると上記保持器を解放状態に制御する車両の駆動力制御装置において、
上記保持器が解放状態にあるときの上記クラッチでの伝達トルクをゼロとするのに必要なモータトルクを、クラッチ解消トルクと定義したときに、上記クラッチ解消トルクは、上記車輪の加速度から求められ、
上記モータの駆動を停止する条件を満足したと判定すると、上記保持器が解放状態となった後であってモータの駆動停止前に、上記クラッチ解消トルクを挟んだトルクの範囲である所定トルク増減範囲を越えるトルクまで、上記モータのトルクを増加した後に減少させる若しくは減少させた後に増加させる停止前処理手段を備えることを特徴とするものである。
また、上記機構を持ったクラッチを採用しても、本発明にあっては、モータの駆動を停止したときに、確実にモータと車輪との間のトルク伝達を遮断可能となる。
図1は、本実施形態に係る車両のシステム構成を説明する図である。
この図1に示すように、本実施形態の車両は、左右前輪1L、1Rが、内燃機関であるエンジン2(主駆動源)によって駆動される主駆動輪であり、左右後輪3L、3Rが、モータ4によって駆動可能な従駆動輪である。
すなわち、エンジン2の出力トルクTeが、トランスミッション30及びディファレンスギア31を通じて左右前輪1L、1Rに伝達されるようになっている。
上記トランスミッション30には、現在の変速のレンジを検出するシフト位置検出手段32が設けられ、該シフト位置検出手段32は、検出したシフト位置信号を4WDコントローラ8に出力する。
また、符号34は制動指示操作部を構成するブレーキペダルであって、そのブレーキペダル34のストローク量がブレーキストロークセンサ35によって検出される。該ブレーキストロークセンサ35は、検出したブレーキストローク量を制動コントローラ36及び4WDコントローラ8に出力する。
また、上記エンジン2の回転トルクTeの一部は、無端ベルト6を介して発電機7に伝達されることで、上記発電機7は、エンジン2の回転数Neにプーリ比を乗じた回転数Nhで回転する。
また、上記ジャンクションボックス10内には電流センサ23が設けられ、該電流センサ23は、発電機7からモータ4に供給される電力の電流値Iaを検出し、当該検出した電機子電流信号を4WDコントローラ8に出力する。また、電線9を流れる電圧値(モータ4の電圧)が4WDコントローラ8で検出される。符号24は、リレーであり、4WDコントローラ8から指令によってモータ4に供給される電圧(電流)の遮断及び接続が制御される。
次に、そのクラッチ12の機構・構成について図3及び模式図である図4を参照して説明する。
上記機構のクラッチ12にあっては、上記保持器104が解放状態の場合には、ローラ102がスイッチバネ105の作用で係合空間103の中立位置に保持されることから、内輪部材100と外輪部材101との間でローラ102を介したトルクの伝達は行われず、内輪部材100と外輪部材101とは独立して回転可能な状態となっている。
また、各車輪1L、1R、3L、3Rには、車輪速センサ27FL、27FR、27RL、27RRが設けられている。各車輪速センサ27FL、27FR、27RL、27RRは、対応する車輪1L、1R、3L、3Rの回転速度に応じたパルス信号を車輪速検出値として4WDコントローラ8に出力する。
上記発電機制御部8Dは、電圧調整器22を通じて、発電機7の発電電圧Vをモニターしながら、当該発電機7の発電機指令値c1を出力して界磁電流Ifhを調整する。
リレー制御部8Eは、発電機7からモータ4への電力供給の遮断・接続を制御する。
モータ制御部8Fは、モータ4の界磁電流Ifmを調整することで、当該モータ4のトルクを所要の値に調整する。
また、4WDコントローラ本体8Aは、所定のサンプリング時間毎に、図6に示すような処理を行う。
まず、ステップS10において、駆動モードスイッチ41に基づき、4輪駆動モード状態か否かを判定し、4輪駆動モードの場合にはステップS20に移行する。一方、2輪駆動モード若しくは2輪駆動モードへの移行の場合にはステップS120に移行する。
ステップS30では、モータ回転数が仕様的に許容される回転数以内か否かを判定し、許容回転数の範囲で有ればステップS40に移行し、許容限界を越えるおそれがある場合にはステップS120に移行する。
ステップS40では、クラッチ制御部8Gに対してクラッチ・オン指令を出力し、続けて、ステップS50にて、クラッチ状態フラグCLSFLGに4輪駆動状態を示す「1」を代入してステップS60に移行する。
ここで、上記モータ4の回転数Nmに対する目標モータ界磁電流Ifmは、回転数Nmが所定回転数以下の場合には一定の所定電流値とし、モータ4が所定の回転数以上になった場合には、公知の弱め界磁制御方式でモータ4の界磁電流Ifmを小さくする。すなわち、モータ4が高速回転になるとモータ誘起電圧Eの上昇によりモータトルクが低下することから、上述のように、モータ4の回転数Nmが所定値以上になったらモータ4の界磁電流Ifmを小さくして誘起電圧Eを低下させることでモータ4に流れる電流を増加させて所要モータトルクを得るようにする。この結果、モータ4が高速回転になってもモータ誘起電圧Eの上昇を抑えてモータトルクの低下を抑制するため、所要のモータトルクを得ることができる。また、モータ界磁電流Ifmを所定の回転数未満と所定の回転数以上との2段階で制御することで、連続的な界磁電流制御に比べ制御の電子回路を安価にできる。なお、所要のモータトルクに対しモータ4の回転数Nmに応じて界磁電流Ifmを調整することでモータトルクを連続的に補正するモータトルク補正手段を備えても良い。すなわち、2段階切替えに対し、モータ回転数Nmに応じてモータ4の界磁電流Ifmを調整すると良い。この結果、モータ4が高速回転になってもモータ4の誘起電圧Eの上昇を抑えモータトルクの低下を抑制するため、所要のモータトルクを得ることができる。また、なめらかなモータトルク特性にできるため、2段階制御に比べ車両は安定して走行できるし、常にモータ駆動効率が良い状態にすることができる。
ステップS80では、目標モータトルク算出部8Bを起動し、モータ4の目標モータトルクTmを求めた後にステップS100に移行する。
ここで、目標モータトルク算出部8Bは、車速やアクセル開度などの諸条件に基づき目標モータトルクTmを算出する。また、車両が停止状態(車輪速がゼロ若しくは略ゼロの状態)の場合には、目標モータトルクTmを、次回の発進に備えて、後輪3L、3Rを駆動するだけのトルクはないが、モータ4から後輪3L、3Rまでに存在するガタ分を詰めることができるだけのモータトルクに設定する。
また、ステップS90では、後述の停止前トルク算出部8Cを起動した後にステップS100に移行する。
一方、2輪駆動状態、若しくは4輪駆動状態から2輪駆動状態への移行と判定されてステップS120に移行すると、クラッチ状態フラグCLSFLGが「0」か否かを判定し「0」である場合には、2輪駆動状態であるのでモータ駆動制御を行うこと無く、処理を終了する。一方、クラッチ状態フラグCLSFLGが「0」以外の場合にはステップS130に移行する。ここで、クラッチ状態フラグCLSFLGの初期値は「0」に設定されている。
ステップS140では、実際にクラッチが切断されたか否かを判定し切断されたと判定した場合にはステップS160に移行し、切断されていないと判定した場合にはステップS150に移行する。
クラッチが切断されたか否かは、本実施形態ではクラッチ位置におけるモータ側回転軸の回転数と後輪側回転軸の回転数との回転数差が所定値以上、例えば100rpm以上の場合に、切断されたと判定する。
ステップS150では、クラッチ状態フラグCLSFLGにモータ駆動停止前処理中を示す「2」を設定してステップS60に移行し、ステップS90での停止前トルク算出を実施する。
ステップS180では、モータ界磁電流をオフにするなどのモータをオフにする処理を実施した後、発電機制御指令値であるc1をゼロに設定した後に、復帰する。
先ずステップS200にて、クラッチにおけるローラ102の噛み合い状態を検出し、その検出に基づきステップS210にて噛み合い方向が特定されていればステップS220に移行し正転であればステップS260に逆転であればステップS230に移行する。また、噛み合い方向が不定であればステップS290に移行する。
クラッチ伝達トルクTCは次の式で求めることができる。
TC=r×Tma −Ic×α/R ・・・(1)
なお、
r:減速機の減速比
Tma:実際のモータトルク(車両前進側を正とする)
Ic:クラッチのモータ側慣性モーメントの和、実測または計算により求め た定数
α:クラッチの加速度(車両前進側を正とする)、つまり後輪の加速度
である。
Tma=Ka×Φ×Ifm×Ia
ここで、
Ka:モータの諸元から決まる定数
Φ:磁束(モータの諸元から決まる定数)
である。
しかし、クラッチ12よりもモータ側のフリクション分(実測により求めることが可能な値)による誤差や、Icの固定差によるバラツキがあるほか、モータトルク及び後輪の車輪速などに対する検出誤差があることから、図8のような、現在のモータトルクTma及び後輪の加速度αからローラ102の噛み合い方向を特定できない、つまり不定の範囲がある。
Ic×α/R−K<減速比×モータトルク<Ic×α/R +K・・・(2)
そして、逆転噛み込みと判定された場合にはステップS230に移行して、車輪加速度αが下限加速度(−AW)未満か否かを判定し、下限加速度未満と判定した場合にはステップS240に移行し目標モータトルクをゼロとして処理を終了する。一方、下限加速度以上の場合にはステップS250に移行する。
また、ステップS250では、下記式に基づき現在の車輪の加速度αに応じた確実に正転噛み込みとするのに必要な目標モータトルクを算出して、処理を終了する。
Tm=Ic×α/R+K1 ・・・(3)
ここでK1≧Kとする。
ここで、上記上限加速度は、図9に示すように、上記噛み込み状態が不定の範囲におけるモータトルクがゼロとなるときの前記車輪の加速度αの上限値であり、上記(2)式によれば、AW=(K/Ic)となる。
Tm=Ic×α/R−K2 ・・・(4)
ここでK2≧Kとする。
一方、噛み込み方向不定と判定された場合にはステップS290に移行し、正転時間TCが所定時間未満、例えば500ms未満か否かを判定し、500ms未満と判定した場合にはステップS300に移行し、500ms以上と判定した場合にはステップS340に移行する。
ステップS330では、上記(3)式に基づき現在の車輪の加速度αに応じた確実に正転噛み込みとするのに必要な目標モータトルクを算出して、ステップS320に移行する。
ステップS320では、正転時間を所定時間例えば10msだけ大きくして処理を終了する。
一方、ステップS340では、車輪加速度αが上限加速度(AW)以上か否かを判定し、上限加速度以上と判定した場合にはステップS350に移行し目標モータトルクをゼロとして処理を終了する。一方、上限加速度未満の場合にはステップS360に移行する。
なお、エンジンコントローラ18では、アクセル開度や車速などに基づき制御量(スロットル開度など)を演算してエンジンを目標出力トルクに制御する。また、車両が停止状態であっても、発電機制御指令値であるデューティ比c1がゼロより大きければ、発電機7を作動させるだけの出力トルクを出せるだけの制御量を演算してエンジン2を稼働させる。
運転者による4輪駆動モードの選択や、予め決められた4輪駆動条件に合致と自動判定されると、車速やアクセル開度、前輪1L、1Rの加速スリップ量などに応じたモータトルクでモータ4が駆動されることで、4輪駆動状態となって車両の加速性が向上する。
また、この4輪駆動状態から、駆動モードスイッチ41が2輪駆動モードに切り替わると、2輪駆動状態への移行処理として、クラッチ12が切断状態に制御されると共にモータ4の停止処理が行われる。
さらに、上述のように、フリクションや検出誤差などの存在によって、ローラ102の噛み込み方向を確実に特定することが困難な場合もある。
すなわち、4輪駆動状態から2輪駆動状態に移行してモータを停止する際に、クラッチの伝達トルクが確実にモータから後輪側に伝達するトルク状態(図9A部分)、つまりローラ102が確実に正転噛み込み状態と判定した場合には、確実に正転噛み込みを解消可能なトルクを出力してからモータを停止する。
このときも、後輪の加速度αが下限加速度(−AW)未満の場合には、噛み込み解消のための領域Bのトルクを演算することなく、モータトルク単にゼロ(図9Y1部分で、A領域での絶対値が最小トルク値)に設定することで簡易に噛み込みの解消を図っている。一方、後輪の加速度αが下限加速度以上の場合には、単にモータトルクをゼロとするだけでは噛み込みを解消できないため、確実に正転噛み込みを解消可能なトルク領域の最小トルク(図9Y2部分)を演算して噛み込みを解消している。なお、最小トルクでなくても領域Aのトルクとなっていればよい。
なお、噛み込みが不定の場合にあ、モータトルクを増大してから減少する代わりに、モータトルクを減少してから増大しても良い。また、後輪の加速度が下限加速度未満の場合には、減少してからトルクをゼロとすることが好ましい。
ここで、4輪駆動モード状態で車両が停止した後に当該車両停止時に2輪駆動状態に移行する場合には、車両停止直前でローラ102がモータ駆動回転方向とは逆方向に噛み込んでいたとしても、車両停止によって後輪からのトルクが無くなることから、モータトルクによってローラ102の噛み込み方向がモータ4の駆動回転方向に変更される。したがって、上述のような判定をすることなく、モータ停止時におけるモータ4の駆動回転方向で噛み込み方向を特定してクラッチの噛み込みを解消すればよい。
また、上記クラッチ12の説明では、内輪部材100と外輪部材101との径方向で対向する部分に係合空間103が形成されるとしているが、これに限定されず、軸方向などに係合空間103が形成するような構造であっても良い。また、カム面100aを外輪部材101側に設けて、内輪部材100と保持器104とをクラッチ作動部で固定・解放するようにしても良い。また、クラッチ操作部として、電磁クラッチ以外のクラッチ機構を採用しても良い。
本第2実施形態の基本構成は、上記第1実施形態と同様であるが、停止前トルク算出部8Cの処理が異なる。他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
本第2実施形態の停止前トルク算出部8Cは、図12に示すように、第1実施形態の停止前トルク算出部8C(図7)におけるステップS230,S260,S300、S340における下限加速度未満か、若しくは上限加速度より大きいか否かの判定を行うこと無く、正転噛み込みであればステップS280に、逆転噛み込みであればステップS250に移行し、同様に、噛み込み不定の場合であっても、正転噛み込みを確実に解消出来るトルク及び逆転噛み込みを確実に解消できるトルクの最小値(図13中、X3及びY3の部分のトルク)をそれぞれ演算して、現在の後輪の加速度αにおけるクラッチ伝達トルクがゼロとなるモータトルクを挟んだモータトルクに増減を図っている。
その他の構成や作用・効果は、上記第1実施形態と同様である。
なお、例えば、ローラの噛み込み方向が確定している場合に、上記第1実施形態のモータ停止前処理を採用するようにしても良い。逆に、第1実施形態のモータ停止前トルク算出部8Cにおいて、ローラの噛み込み方向が確定している場合に、上記第2実施形態のモータ停止前処理を採用するようにしても良い。
2 エンジン
3L、3R 後輪
4 モータ
6 ベルト
7 発電機
8 4WDコントローラ
8A 4WDコントローラ本体
8B 目標モータトルク算出部
8C 停止前トルク算出部
8D 発電機制御部
8E リレー制御部
8F モータ制御部
8G クラッチ制御部
9 電線
10 ジャンクションボックス
11 減速機
12 クラッチ
14 吸気管路
15 メインスロットルバルブ
16 サブスロットルバルブ
18 エンジンコントローラ
19 ステップモータ
20 モータコントローラ
21 エンジン回転数センサ
22 電圧調整器
23 電流センサ
26 モータ用回転数センサ
27FL、27FR、27RL、27RR
車輪速センサ
30 トランスミッション
31 ディファレンシャル・ギヤ
32 シフト位置検出手段
34 ブレーキペダル
35 ブレーキストロークセンサ
36 制動コントローラ
37FL、37FR、37RL、37RR
制動装置
40 アクセルセンサ
41 駆動モードスイッチ
100 内輪部材
101 外輪部材
102 ローラ(係合子)
103 係合空間
103a 楔空間
104 保持器
105 スイッチバネ
106 電磁クラッチ部
Ifh 発電機の界磁電流
V 発電機の電圧
Nh 発電機の回転数
Ia 目標電機子電流
Ifm 目標モータ界磁電流
E モータの誘起電圧
Nm モータの回転数(回転速度)
Th 目標発電機負荷トルク
Tm モータの現在の目標トルク
Te エンジンの出力トルク
α 後輪の加速度
−AW 下限加速度
AW 上限加速度
Claims (10)
- モータと、そのモータで駆動される車輪と、モータから車輪への動力伝達経路に介装されるクラッチとを備え、
上記クラッチは、モータ側の回転軸に連結する第1の回転部材と、車輪側の回転軸に連結する第2の回転部材と、その第1及び第2の回転部材の間に形成された係合空間に介挿される係合子と、その係合子の周方向の位置を規制する保持器と、第1及び第2の回転部材の一方に対する上記保持器の固定を行うことでクラッチの接続を制御すると共に第1及び第2の回転部材の一方に対する上記保持器の解放を行うことでクラッチの切断を制御するクラッチ操作部と、
上記クラッチ操作部による上記保持器の固定状態で第1及び第2の回転部材の他方と保持器との間の位相が変わることによって、上記係合子が第1及び第2の回転部材の間に噛み込んで第1及び第2の回転部材間でトルク伝達可能となる機構のクラッチと、を備え、
モータの駆動中は上記保持器を固定状態に制御し、上記モータの駆動を停止する条件を満足したと判定すると上記保持器を解放状態に制御する車両の駆動力制御装置において、
上記保持器が解放状態にあるときの上記クラッチでの伝達トルクをゼロとするのに必要なモータトルクを、クラッチ解消トルクと定義したときに、上記クラッチ解消トルクは、上記車輪の加速度から求められ、
上記モータの駆動を停止する条件を満足したと判定すると、上記保持器が解放状態となった後であってモータの駆動停止前に、上記クラッチ解消トルクを挟んだトルクの範囲である所定トルク増減範囲を越えるトルクまで、上記モータのトルクを増加した後に減少させる若しくは減少させた後に増加させる停止前処理手段を備えることを特徴とする車両の駆動力制御装置。 - モータと、そのモータで駆動される車輪と、モータから車輪への動力伝達経路に介装されるクラッチとを備えて、4輪駆動モードではモータで駆動される車輪を駆動状態とし、2輪駆動モードではモータで駆動される車輪を非駆動状態とし、
上記クラッチは、モータ側の回転軸に連結する第1の回転部材と、車輪側の回転軸に連結する第2の回転部材と、その第1及び第2の回転部材の間に形成された係合空間に介挿される係合子と、その係合子の周方向の位置を規制する保持器と、第1及び第2の回転部材の一方に対する上記保持器の固定を行うことでクラッチの接続を制御すると共に第1及び第2の回転部材の一方に対する上記保持器の解放を行うことでクラッチの切断を制御するクラッチ操作部と、
上記クラッチ操作部による上記保持器の固定状態で第1及び第2の回転部材の他方と保持器との間の位相が変わることによって、上記係合子が第1及び第2の回転部材の間に噛み込んで第1及び第2の回転部材間でトルク伝達可能となる機構のクラッチと、を備え、
4輪駆動モード中は上記保持器を固定状態に制御し、4輪駆動モードから2輪駆動モードに移行すると判定すると上記保持器を解放状態に制御する車両の駆動力制御装置において、
上記保持器が解放状態にあるときの上記クラッチでの伝達トルクをゼロとするのに必要なモータトルクを、クラッチ解消トルクと定義したときに、上記クラッチ解消トルクは、上記車輪の加速度から求められ、
4輪駆動モードから2輪駆動モードに移行すると判定すると、上記保持器が解放状態となった後であってモータの駆動停止前に、上記クラッチ解消トルクを挟んだトルクの範囲である所定トルク増減範囲を越えるトルクまで、上記モータのトルクを増加した後に減少させる若しくは減少させた後に増加させる停止前処理手段を備え、
上記所定トルク増減範囲は、当該クラッチ解消トルクを中心として所定トルク分だけ増加及び減少させた値を上限値及び下限値とした範囲であることを特徴とする車両の駆動力制御装置。 - モータと、そのモータで駆動される車輪と、モータから車輪への動力伝達経路に介装されるクラッチとを備え、
上記クラッチは、モータ側の回転軸に連結する第1の回転部材と、車輪側の回転軸に連結する第2の回転部材と、その第1及び第2の回転部材の間に形成された係合空間に介挿される係合子と、その係合子の周方向の位置を規制する保持器と、第1及び第2の回転部材の一方に対する上記保持器の固定を行うことでクラッチの接続を制御すると共に第1及び第2の回転部材の一方に対する上記保持器の解放を行うことでクラッチの切断を制御するクラッチ操作部と、
上記クラッチ操作部による上記保持器の固定状態で第1及び第2の回転部材の他方と保持器との間の位相が変わることによって、上記係合子が第1及び第2の回転部材の間に噛み込んで第1及び第2の回転部材間でトルク伝達可能となる機構のクラッチと、を備え、
モータの駆動中は上記保持器を固定状態に制御し、上記モータの駆動を停止する条件を満足したと判定すると上記保持器を解放状態に制御する車両の駆動力制御装置において、
上記保持器が解放状態にあるときの上記クラッチでの伝達トルクをゼロとするのに必要なモータトルクを、クラッチ解消トルクと定義したときに、上記クラッチ解消トルクは、上記車輪の加速度から求められ、
上記モータの駆動を停止する条件を満足したと判定すると、上記保持器が解放状態となった後であってモータの駆動停止前に、上記クラッチ解消トルクを挟んだトルクの範囲である所定トルク増減範囲を越えるトルクまで、上記モータのトルクを増加した後に減少させる若しくは減少させた後に増加させる停止前処理手段と、上記係合子の噛み込みの状態の不定の有無を判定する噛み込み判定手段とを備え、
上記停止前処理手段は、上記噛み込み判定手段が噛み込み状態が不定と判定した場合に、上記クラッチ解消トルクを挟んだトルクの範囲である所定トルク増減範囲を越えるトルクまで、上記モータのトルクを増加した後に減少させる若しくは減少させた後に増加させることを実施することを特徴とする車両の駆動力制御装置。 - 上記所定トルク増減範囲は、上記クラッチ解消トルクを中心として所定トルク分だけ増加及び減少させた値を上限値及び下限値とした範囲であることを特徴とする請求項3に記載した車両の駆動力制御装置。
- 上記所定トルク増減範囲におけるモータトルクがゼロとなるときの前記車輪の加速度の上限値を、上限加速度と定義したときに、
上記停止前処理手段は、上記噛み込み判定手段が噛み込み状態が不定と判定した状態で正転時間が所定時間を超えた場合において、車輪の加速度が上記上限加速度よりも大きいと判定した場合にはモータトルクをゼロに下げることを特徴とする請求項3または請求項4に記載した車両の駆動力制御装置。 - 上記所定トルク増減範囲におけるモータトルクがゼロとなるときの上記車輪の加速度の下限値を、下限加速度と定義したときに、
上記停止前処理手段は、上記噛み込み判定手段が噛み込み状態が不定と判定した状態で正転時間が所定時間を超えない場合において、車輪の加速度が上記下限加速度よりも小さいと判定した場合にはモータトルクをゼロにすることを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載した車両の駆動力制御装置。 - 上記第1の回転部材と第2の回転部材との回転数差に基づきクラッチが実際に切断状態となったか否かを判定する接続状態判定手段を備え、
上記停止前処理手段は、接続状態判定手段の判定に基づきクラッチが切断状態となったらモータトルクの上記増加した後に減少させる若しくは減少させた後に増加する処理を中止することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載した車両の駆動力制御装置。 - 噛み込み判定手段により噛み込み状態が特定される場合には、上記停止前処理手段の処理を行う代わりに、その噛み込み方向を逆にするようなモータトルクを出力することを特徴とする請求項3〜請求項7のいずれか1項に記載した車両の駆動力制御装置。
- 上記所定トルク増減範囲におけるモータトルクがゼロとなるときの前記車輪の加速度の上限値を、上限加速度と定義し、上記所定トルク増減範囲におけるモータトルクがゼロとなるときの上記車輪の加速度の下限値を、下限加速度と定義したときに、
噛み込み判定手段により噛み込み状態が特定される場合であって、車輪の加速度が上記上限加速度より大きいか上記下限加速度より小さいと判定した場合には、上記停止前処理手段の処理を行う代わりに、モータトルクをゼロとすることを特徴する請求項3〜請求項7のいずれか1項に記載した車両の駆動力制御装置。 - 主駆動輪を駆動する主駆動源を備えると共に、上記モータで駆動される車輪を従駆動輪とすることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載した車両の駆動力制御装置。
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