JP2007331686A - 車両の駆動力制御装置及び駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】制動時に確実にクラッチオフの可能な車両の駆動力制御装置及び駆動装置を提供することにある。
【解決手段】クラッチ4は、電動機側の回転軸に連結する外輪部材4Bと、車輪側の回転軸に連結する内輪部材4Aと、これらの回転部材の間に形成された係合空間に介挿されローラ4Cと、ローラ4Cの周方向の位置を規制する保持器4Eとを有する。直流電動機トルク算出手段130は、外輪部材4Bから内輪部材4Aに対してトルクを伝達する回生制動終了時に、電動機5を駆動させ、クラッチ4をオフする。
【選択図】図5
【解決手段】クラッチ4は、電動機側の回転軸に連結する外輪部材4Bと、車輪側の回転軸に連結する内輪部材4Aと、これらの回転部材の間に形成された係合空間に介挿されローラ4Cと、ローラ4Cの周方向の位置を規制する保持器4Eとを有する。直流電動機トルク算出手段130は、外輪部材4Bから内輪部材4Aに対してトルクを伝達する回生制動終了時に、電動機5を駆動させ、クラッチ4をオフする。
【選択図】図5
Description
本発明は、車両の駆動力制御装置及び駆動装置に係り、特に、車輪をモータ駆動する車両に用いられ、モータと車輪の間に設けられるクラッチの制御に好適な車両の駆動力制御装置及び駆動装置に関する。
従来、ハイブリッド車のモータとトランスミッション間にクラッチを配設しモータの断続を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載のクラッチは、クラッチ外輪部材とクラッチ内輪部材で構成される楔空間に複数のローラを噛み込ませてクラッチ内輪部材からクラッチ外輪部材へ、又はクラッチ外輪部材からクラッチ内輪部材へトルクを伝達可能なメカニカルツーウエイクラッチである。また、特許文献1は、メカニカルクラッチの接続時に、クラッチ入力部材に連結するモータとクラッチ出力軸の両回転を同調させたのち、クラッチの電磁コイルに電流を流しクラッチを接続させることも開示している。
また、前輪をエンジンで駆動し、後輪を電動モータで駆動可能とし、モータから後輪までのトルク伝達経路に前記と同様なメカニカルクラッチや減速機が介装されている車両の駆動力制御装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献1記載のメカニカルクラッチでは、制動時に電動機のトルクをオフしても、電動機のフリクショントルクによりクラッチがオフされないことがあるという問題があった。
本発明の目的は、制動時に確実にクラッチオフの可能な車両の駆動力制御装置及び駆動装置を提供することにある。
(1)上記目的を達成するために、本発明は、車輪を電動機で駆動するとともに、前記電動機と前記車輪との間の動力伝達経路に設けられたクラッチを有する車両に用いられ、前記電動機及び前記クラッチを制御する車両の駆動力制御装置であって、前記クラッチは、前記電動機側の回転軸に連結する第1の回転部材と、前記車輪側の回転軸に連結する第2の回転部材と、これらの第1及び第2の回転部材の間に形成された係合空間に介挿される係合子と、この係合子の周方向の位置を規制する保持器と、前記第1及び第2の回転部材の一方に対する前記保持器の固定・解放を行うことでクラッチの接続・切断を制御するクラッチ操作部と、備え、前記クラッチは、前記クラッチ操作部による前記保持器の固定状態で、前記第1及び第2の回転部材の他方と前記保持器との間の位相が変わることによって、前記係合子が前記第1及び第2の回転部材の間に噛み込んで、前記第1及び第2の回転部材間でトルク伝達可能となるものであり、前記第2の回転部材から前記第1の回転部材に対してトルクを伝達する回生制動終了時に、前記電動機を駆動させ、前記クラッチをオフする電動機制御手段を備えるようにしたものである。
かかる構成により、制動時に確実にクラッチオフを可能とし得るものとなる。
かかる構成により、制動時に確実にクラッチオフを可能とし得るものとなる。
(2)上記(1)において、好ましくは、前記電動機制御手段は、クラッチオフ時に、上記電動機のトルクを徐々に上昇させるようにしたものである。
(3)上記(1)において、好ましくは、前記電動機制御手段は、クラッチオフ時に、上記電動機のトルクを一定値で出力させるようにしたものである。
(4)上記(1)において、好ましくは、前記電動機制御手段は、前記第2の回転部材の回転数が、前記第1の回転部材の回転数よりも小さくなったとき、クラッチオフと判定して、前記電動機を停止するようにしたものである。
(5)また、上記目的を達成するために、本発明は、車輪を駆動する電動機と、前記電動機と車輪との間の動力伝達経路に設けられたクラッチと、前記電動機及び前記クラッチを制御する制御手段とを有する車両の駆動装置であって、前記クラッチは、前記電動機側の回転軸に連結する第1の回転部材と、前記車輪側の回転軸に連結する第2の回転部材と、これらの第1及び第2の回転部材の間に形成された係合空間に介挿される係合子と、この係合子の周方向の位置を規制する保持器と、前記第1及び第2の回転部材の一方に対する前記保持器の固定・解放を行うことでクラッチの接続・切断を制御するクラッチ操作部と、を備え、前記クラッチは、前記クラッチ操作部による前記保持器の固定状態で、前記第1及び第2の回転部材の他方と前記保持器との間の位相が変わることによって、前記係合子が前記第1及び第2の回転部材の間に噛み込んで、前記第1及び第2の回転部材間でトルク伝達可能となるものであり、前記第2の回転部材から前記第1の回転部材に対してトルクを伝達する回生制動終了時に、前記電動機を駆動させ、前記クラッチをオフする電動機制御手段を備えるようにしたものである。
かかる構成により、制動時に確実にクラッチオフを可能とし得るものとなる。
かかる構成により、制動時に確実にクラッチオフを可能とし得るものとなる。
本発明によれば、制動時に確実にクラッチオフし得るものとなる。
以下、図1〜図7を用いて、本発明の一実施形態による車両の駆動力制御装置の構成及び動作について説明する。
最初に、図1を用いて、本実施形態による車両の駆動力制御装置を用いる4輪駆動車両の全体構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による車両の駆動力制御装置を用いる4輪駆動車両の全体構成を示すシステムブロック図である。
4輪駆動車両は、エンジン1及び直流電動機5を備えている。エンジン1の駆動力は、トランスミッション12及び第1の車軸を介して、左右の前輪14R,14Lに伝達され、前輪14R,14Lを駆動する。
最初に、図1を用いて、本実施形態による車両の駆動力制御装置を用いる4輪駆動車両の全体構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による車両の駆動力制御装置を用いる4輪駆動車両の全体構成を示すシステムブロック図である。
4輪駆動車両は、エンジン1及び直流電動機5を備えている。エンジン1の駆動力は、トランスミッション12及び第1の車軸を介して、左右の前輪14R,14Lに伝達され、前輪14R,14Lを駆動する。
直流電動機5の駆動力は、クラッチ4,デファレンシャルギヤ3及び第2の車軸を介して、左右の後輪15R,15Lに伝達され、後輪15R,15Lを駆動する。デファレンシャルギヤ3とクラッチ4が連結されると、直流電動機5の回転力は、クラッチ4,デファレンシャルギヤ3を介して後輪軸に伝えられ、後輪15R,15Lを駆動する。クラッチ4が外れると、直流電動機5は後輪15R,15L側から機械的に切り離され、後輪15R,15Lは駆動力を路面に伝えないものである。クラッチ4の締結・開放は、4輪駆動コントロールユニット(4WDCU)100によって制御される。なお、直流電動機5は、例えば、正転逆転の切替えが容易な直流分巻電動機、または他励直流電動機を用いている。
なお、以上の説明では、前輪14R,14Lをエンジン1で駆動し、後輪15R,15Lを直流電動機5で駆動する4輪駆動車両として説明しているが、前輪を直流電動機で駆動し、後輪をエンジンで駆動するようにしてもよいものである。また、直流電動機を用いず前輪と後輪の駆動力調整手段を有し、プロペラシャフトにて接続させるメカ式4輪駆動車としても良いものである。
エンジンルーム内には、通常の充電発電システムを行う補機用発電機(ALT1)13及び補機バッテリー11が配置される。補機用発電機13は、エンジン1によってベルト駆動され、その出力は補機バッテリー11に蓄積される。
なお、以上の説明では、前輪14R,14Lをエンジン1で駆動し、後輪15R,15Lを直流電動機5で駆動する4輪駆動車両として説明しているが、前輪を直流電動機で駆動し、後輪をエンジンで駆動するようにしてもよいものである。また、直流電動機を用いず前輪と後輪の駆動力調整手段を有し、プロペラシャフトにて接続させるメカ式4輪駆動車としても良いものである。
エンジンルーム内には、通常の充電発電システムを行う補機用発電機(ALT1)13及び補機バッテリー11が配置される。補機用発電機13は、エンジン1によってベルト駆動され、その出力は補機バッテリー11に蓄積される。
また、補機用発電機13の近傍には、駆動用高出力発電機(ALT2)2が配設されている。駆動用高出力発電機(ALT2)2は、エンジン1によりベルト駆動され、その出力によって直流電動機5が駆動される。駆動用高出力発電機(ALT2)2の発電電圧は、4WDCU100によって制御される。駆動用高出力発電機(ALT2)2の発電電力が変化すると、直流電動機5の出力である直流電動機トルクが変化する。すなわち、4WDCU100は、駆動用高出力発電機(ALT2)2に対して出力の指令値(発電機(オルタネータ)の界磁電流値が所定値となるようなデューティ信号)を出力することにより、駆動用高出力発電機(ALT2)2の発電電力が変化する。駆動用高出力発電機(ALT2)2の発電電圧は、直流電動機5の電機子コイル5bに印加され、直流電動機5の出力(直流電動機トルク)が変化する。4WDCU100は、高出力発電機2の出力(発電電力)を制御することにより、直流電動機5の出力(直流電動機トルク)を制御する。さらに、直流電動機5が高回転となる領域では、4WDCU100は、直流電動機5の界磁巻線5aに流す界磁電流を弱め界磁制御することにより、直流電動機5を直接制御して、直流電動機5が高速回転可能となるように制御する。
エンジン1の出力は、エンジンコントロールユニット(ECU)8からの指令により駆動される電子制御スロットルにより制御される。電子制御スロットルには、アクセル開度センサ(図示せず)が設けられており、アクセル開度を検出する。なお、電子制御スロットルの代わりにメカリンクのアクセルペダル及びスロットルを用いる場合には、アクセルペダルにアクセル開度センサを設けることができる。また、トランスミッションコントローラ(TCU)9は、トランスミッション12を制御する。アクセル開度センサの出力は、4WDCU100に取り込まれる、
前輪14R,14L及び後輪15R,15Lの各車輪には、回転速度を検出する車輪速センサ16R,16L,17R,17Lが設けられている。また、ブレーキには、アンチロックブレーキコントロールユニット(ACU)10によって制御されるアンチロックブレーキアクチュエータが設けられている。
各信号線は、エンジンコントロールユニット(ECU)8又は、トランスミッションコントロールユニット(TCU)9又は他の制御ユニットのインターフェイスから車内LAN(CAN)バス経由で4WDコントロールユニット(4WDCU)100に入手するようにしてもよいものである。
高出力発電機2と直流電動機5の間には、大容量リレー(RLY)7が設けられ高出力発電機2の出力を遮断できる構成とする。リレー7の開閉は、4WDCU100によって制御される。
エンジン1の出力は、エンジンコントロールユニット(ECU)8からの指令により駆動される電子制御スロットルにより制御される。電子制御スロットルには、アクセル開度センサ(図示せず)が設けられており、アクセル開度を検出する。なお、電子制御スロットルの代わりにメカリンクのアクセルペダル及びスロットルを用いる場合には、アクセルペダルにアクセル開度センサを設けることができる。また、トランスミッションコントローラ(TCU)9は、トランスミッション12を制御する。アクセル開度センサの出力は、4WDCU100に取り込まれる、
前輪14R,14L及び後輪15R,15Lの各車輪には、回転速度を検出する車輪速センサ16R,16L,17R,17Lが設けられている。また、ブレーキには、アンチロックブレーキコントロールユニット(ACU)10によって制御されるアンチロックブレーキアクチュエータが設けられている。
各信号線は、エンジンコントロールユニット(ECU)8又は、トランスミッションコントロールユニット(TCU)9又は他の制御ユニットのインターフェイスから車内LAN(CAN)バス経由で4WDコントロールユニット(4WDCU)100に入手するようにしてもよいものである。
高出力発電機2と直流電動機5の間には、大容量リレー(RLY)7が設けられ高出力発電機2の出力を遮断できる構成とする。リレー7の開閉は、4WDCU100によって制御される。
次に、図2〜図4を用いて、本実施形態による車両の駆動力制御装置によって制御されるクラッチ4の構成について説明する。
図2は、本発明の一実施形態による車両の駆動力制御装置によって制御されるクラッチの構成を示す横断面図である。図3は、本発明の一実施形態による車両の駆動力制御装置によって制御されるクラッチの構成を示す縦断面図である。図4は、本発明の一実施形態による車両の駆動力制御装置によって制御されるクラッチの動作説明図である。
図2は、本発明の一実施形態による車両の駆動力制御装置によって制御されるクラッチの構成を示す横断面図である。図3は、本発明の一実施形態による車両の駆動力制御装置によって制御されるクラッチの構成を示す縦断面図である。図4は、本発明の一実施形態による車両の駆動力制御装置によって制御されるクラッチの動作説明図である。
図2及び図3に示すように、第2の回転部材である内輪部材4Aと、第1の回転部材である外輪部材4Bとは、同軸に配置されている。内輪部材4Aの外径面と外輪部材4Bの内径面との間の空間には、係合子である複数個のローラ4Cが個介挿されている。
外輪部材4Bの内径面は円筒面となっているが、内輪部材4Aの外径面には、周方向に沿って所定間隔毎にカム面4Aaが形成されている。カム面4Aaは、例えば平坦面となることで、径方向で対向する外輪部材4Bの内径面との間に、それぞれ係合空間4Dを形成し、その係合空間4Dの円周方向両側が、両側に行くほど狭くなる楔空間4Daとなっている。なお、係合空間4Dは、円周方向両側に楔空間4Da(内輪部材4Aと外輪部材4Cとの対向距離がローラ4Cよりも小さくなる空間)が形成されれば、前記カム面4Aaは凹面形状などの他の輪郭形状の面となっていてもよいものである。また、隣り合うカム面4Aa同士は連続している必要はなく、所定間隔だけ開くようにして形成されていてもよいものである。
各係合空間4D内には、前記ローラ4Cがそれぞれ配置されると共に、複数のローラ4Cは、内輪部材4Aと外輪部材4Bとの間に介在された保持器104の各ポケットに収容されている。すなわち、保持器4Eによって各ローラ4C間の間隔が一定に規制され、つまり周方向の位置が規制されている。保持器4Eは、スイッチバネ4Fを介して内輪部材4Aに連結している。スイッチバネ4Fは、保持器4Eに対して円周方向に向かうバネ力を有している。スイッチバネ4Fは、保持器4Eのポケットに収容されている各ローラ4Cの位置が対応する係合空間4Dの略中央位置に配置される中立位置に向けて、保持器4Eを付与支持している。
さらに、クラッチ4には、クラッチ操作部を構成する電磁クラッチ部4Kを備えている。電磁クラッチ部4Kの通電をオン(クラッチ制御電流オン)にすることで、保持器4Eを外輪部材4Bに接続状態(外輪部材4Cに対し保持器4Eを固定)とし、通電をオフ(クラッチ制御電流オフ)にすることで保持器4Eと外輪部材4Bとを非接続状態(外輪部材4Eに対し保持器4Eを解放)とする。電磁クラッチ部4Kは、アーマチュア4Gと、ロータ4Hと、電磁コイル4Jを備えている。電磁コイル4Jに通電することにより、保持器4Eが吸引され、クラッチ4の軸方向に移動して、保持器4Eは外輪部材4Bに固定される。
クラッチ4において、外輪部材4Bはモータ4の駆動軸側に接続され、内輪部材4Aは車輪側の回転軸に接続されている。
クラッチ4にあっては、保持器4Eが解放状態では、ローラ4Cがスイッチバネ4Fの作用で係合空間4Dの中央位置に保持されることから、内輪部材4Aと外輪部材4Bとの間でローラ4Cを介したトルクの伝達は行われず、内輪部材4Aと外輪部材4Bとは独立して回転可能な状態となっている。
一方、保持器4Eの固定状態では、内輪部材4Aと外輪部材4Bとの間の相対的な回転差によって内輪部材4Eと保持器4Eとの間に位相差が発生すると、スイッチバネ4Fの弾性力に抗してローラ4Cが楔空間4Daへ移動し、楔空間4Daに噛み込む、つまり、内輪部材4Aと外輪部材4Bとの間にローラ4Cが噛み込むことで、内輪部材4Aと外輪部材4Bとの間でトルクの伝達が可能となる。すなわち、前記構成のクラッチ4にあっては、電磁クラッチ部4Kへの通電のオン・オフ(クラッチ制御電流のオン・オフ)によって、クラッチ4の接続・切断を制御することができる。
トルク伝達方向は、左右のどちらの楔空間4Daにローラ4Cが噛み込むかで異なる。電磁コイル4Fへの通電がオフでクラッチ開放の時、図4(A)に示すように、クラッチ外輪部材(出力部材)4Bと、クラッチ内輪部材(入力部材)4Aと、係合子であるローラ4Cは、中立状態にある。次に、入力回転数(内輪部材回転数=モータ回転数)<出力回転数(出力部材回転数)の状態で、クラッチの電磁コイル4Fへの通電をオンすると、図4(B)に示すように、クラッチ外輪部材(出力部材)4Bと、クラッチ内輪部材(入力部材=モータ)4Aと、係合子であるローラ4Cは、「被動」状態になり、車輪の回転軸側からのトルクがモータの駆動軸に伝達され、モータが回される。
入力回転数(内輪部材回転数=モータ回転数)>出力回転数(出力部材回転数)の状態で、クラッチの電磁コイル4Fへの通電をオンすると、図4(C)に示すように、「駆動」状態になるので、モータの駆動軸側からのトルクが、車輪の回転軸側に伝達され、モータの駆動力で車輪を回転することができる。
次に、図5を用いて、本実施形態による車両の駆動力制御装置の構成について説明する。
図5は、本発明の一実施形態による車両の駆動力制御装置の構成を示すシステムブロック図である。
図5は、本発明の一実施形態による車両の駆動力制御装置の構成を示すシステムブロック図である。
4WDCU100は、モード判定手段110と、直流電動機トルク算出手段130と、ドライバ手段150と、クラッチ制御手段170とを備えている。4WDCU100には、入力信号として、車輪速(VW)信号と、アクセル開度(TVO)信号と、シフト位置信号と、電流(Ia)信号と、電流(If)信号と、直流電動機回転数(Nm)信号が入力する。
車輪速(VW)信号は、車輪速センサ16R,16L,17R,17Lによってそれぞれ検出された右前輪車輪速VWF_RHと、左前輪車輪速VWF_LHと、右後輪車輪速VWR_RHと、左後輪車輪速VWR_LHとからなる。なお、4WDCU100は、内部において、右後輪車輪速VWR_RHと左後輪車輪速VWR_LHとから平均値である後輪平均速VWRを算出する。
アクセル開度(TVO)信号は、前述したアクセル開度センサの出力が入力する。4WDCU100は、アクセル開度(TVO)信号がアクセル開度2%となると、アクセルオン信号を生成し、2%以下になるとアクセルオフ信号を生成する。なお、アクセルオンと判断するときのしきい値を3%として、アクセルオフと判断するときのしきい値を1%として、オンオフ判定のしきい値にヒステリシス特性をもたせることも可能である。
シフト位置信号は、シフトレバーの近傍に備えられたシフトポジションセンサの出力が入力する。ここでは、シフト位置がDレンジにあるか、他のレンジになっているかの信号が入力する。
電流(Ia)信号は、駆動用高出力発電機(ALT2)2の出力電流であり直流電動機の電機子コイル5bに流れる電流である。電流(If)信号は、直流電動機5の界磁コイルに流れる界磁電流である。直流電動機回転数(Nm)信号は、直流電動機5の回転数を示す信号である。
また、4WDCU100は、駆動用高出力発電機(ALT2)2の界磁コイルに流れる界磁電流を制御するためのALT界磁電流制御信号と、直流電動機5の界磁コイルに流れる界磁電流を制御するための直流電動機界磁電流制御信号と、リレー7の開閉を制御するRLY駆動信号と、クラッチ4の締結・開放を制御するクラッチ制御信号とを出力する。
モード判定手段110は、車輪速(VW)信号と、アクセル開度(TVO)信号と、ブレーキ信号と、シフト位置信号とに基づいて、4輪駆動のモードを判定する。判定されるモードは各種あるが、ここでは、回生制動に関係するI)回転数合わせモード(制動)と、II)制動モードと、III)停止シーケンスモード(制動)について説明する。
次に、図6及び図7を用いて、本実施形態による車両の駆動力制御装置の制御動作ついて説明する。
図6は、本発明の一実施形態による車両の駆動力制御装置の停止シーケンスモードの制御内容を示すフローチャートである。図7は、本発明の一実施形態による車両の駆動力制御装置の制御内容を示すタイミングチャートである。図7において、図7(A)はブレーキ要求力を示している。これは、ユーザーが踏んだブレーキ量やブレーキ速度などからECU8やACU10などにより計算される値であり、CANなどで受信する。図7(B)は、モータトルク(Nm)を示している。正の値が駆動トルクであり、負の値が制動トルクである。図7(C)は、車輪および電動機速度(r/min)を示している。2本の線が交わっている部分は車輪と電動機が同じ回転数である状態である。図7(D)は、モード判定手段19によって判定されたモードを示している。
図6は、本発明の一実施形態による車両の駆動力制御装置の停止シーケンスモードの制御内容を示すフローチャートである。図7は、本発明の一実施形態による車両の駆動力制御装置の制御内容を示すタイミングチャートである。図7において、図7(A)はブレーキ要求力を示している。これは、ユーザーが踏んだブレーキ量やブレーキ速度などからECU8やACU10などにより計算される値であり、CANなどで受信する。図7(B)は、モータトルク(Nm)を示している。正の値が駆動トルクであり、負の値が制動トルクである。図7(C)は、車輪および電動機速度(r/min)を示している。2本の線が交わっている部分は車輪と電動機が同じ回転数である状態である。図7(D)は、モード判定手段19によって判定されたモードを示している。
図5のモード判定手段110は、車両が2WD状態で前方向に走っており、図7の時刻t1において、図7(A)に示すように、ブレーキ要求力が0から立ち上がると、図7(D)に示すように、I)回転数合わせモード(制動)と判定する。なお、車速が設定値(VSP1)以上の場合クラッチを接続すると直流電動機が過回転するので、高車速時は回転合わせモードに移行しないものである。
I)回転数合わせモード(制動)となると、直流電動機トルク算出手段130は、図7(B)のように、電動機を駆動側で動かす電動機トルク目標値を算出し、図7(C)に示すように、電動機回転数を車輪回転数に合わせていく。直流電動機トルク算出手段110は、電動機トルク目標値として、クラッチがロックしないトルクリミット値と、車輪回転数を目標値とし電動機回転数を入力値としてPI計算した制御トルク値を比較し、小さい方を選択し、ドライバ手段150に出力する。
その後、電動機回転数が車輪回転数にある程度近づいた時点で、クラッチ4をオンする。クラッチ4のオンは、図2の電磁クラッチ部4Kの通電をオン(クラッチ制御電流オン)することで行われる。オン電流は、パルス状の電流であり、図2に示した構造のクラッチ4は、一度クラッチ4が接続されると、その後クラッチ制御電流をオフ(電流=0)しても、クラッチの接続はそのまま継続される。なお、I)回転数合わせモード(制動)の時点では電動機が車輪に接続されていないため、ブレーキ力は全て油圧ブレーキで賄われる。
図7の時刻t2でクラッチ4がオンされると、モード判定手段110は、図7(D)に示すように、II)制動モードと判定する。II)制動モードとなって少しの間は、駆動→制動とトルクの方向が一気に反転しないよう、図7(B)に示すように、電動機トルクを0で出力する時間を設ける。一定時間経過したら、直流電動機トルク算出手段130は、ユーザーのブレーキ要求力、もしくはモータ体格から決定される制動限界トルクのうち絶対値が小さい方を選んで、電動機の制動トルクを算出し、制御する。ユーザーのブレーキ要求力に満たない場合はその残分を油圧ブレーキで賄う。ただし、油圧ブレーキには時間的遅れがあるため、急激にブレーキ力が増減しないよう、電動機トルクにも同等の遅れを持たせた形で制御する。
その後、ブレーキがオフされブレーキ要求力が0となるか、下り坂等で車輪速がVSP1以上となった場合、モード判定手段110は、図7(D)に示すように、時刻t3において、III)停止シーケンスモード(制動)と判定する。
ここで、図7を用いて、III)停止シーケンスモード(制動)の動作について説明する。
図7のステップS101において、モード判定手段110は、モード判定を実行する。そして、ステップS102において、III)停止シーケンスモード(制動)と判定すると、ステップS103に進む。
III)停止シーケンスモード(制動)と判定されると、ステップS103において、直流電動機トルク算出手段130は、保持器を中立状態へ戻すため、電動機の出力トルクを徐々に上昇させるように電動機トルクを計算する。電動機トルクは、「電動機トルク=電動機トルク前回値+トルク上昇量」で計算し、図7(B)に示すように、徐々に上昇させる。電動機のフリクション分に打ち勝つだけの電動機トルクが出力されると、クラッチ4の保持器がくさびから抜け、中立状態となり、クラッチがオフとなる。
クラッチオフ後は出力部材側の負荷が無くなるため、図7(C)に示すように、電動機回転数Nmが急上昇し、車輪回転数Noutよりも高い回転数となる。その状態が、ステップS104において、モード判定手段110によって、Nout+N1<Nmの式で検出されると、ステップS105において、モード判定手段110は、クラッチオフと判定する。クラッチオフと判定されると、次ステップのモード判定で動作モードが2WDモードとなり、その結果を受け、モータ出力をオフする。
なお、上述の説明では、図7(B)に示すように、時刻t3から電動機トルクを徐々に上昇させるようにしたが、クラッチオフの時間が問題となる場合は、電動機のフリクション及び保持器の保持力から推定されるクラッチオフに必要なトルクの一定値を出力させつづけてもよい。この一定値とは、図7(B)の時刻t3における初期トルクよりも大きく、確実に、クラッチオフにできるだけのトルクとする。
以上、本発明の実施例を説明してきたが具体的な構成は実施例に限られるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加等あっても本発明に含まれる。たとえば、上述の例は、車両前方向に走行していた場合の例で有るが、後方向(リバース)でも同様に制動制御される。また、本実施例ではバッテリは搭載されていないが、バッテリ搭載の車両の場合は制動を回生により行うことで上記同様の制御の適用が可能である。バッテリ搭載の際は、図6(III)停止シーケンスモードに入る条件に、バッテリ満充電状態であることも追加される。
1…エンジン
2…高出力発電機
3…デファレンシャルギヤ
4…クラッチ
5…直流電動機
7…大容量リレー
8…エンジンコントロールユニット
9…トランスミッションコントロールユニット
10…アンチロックブレーキコントロールユニット
11…補機バッテリ
12…トランスミッション
13…補機発電機
14R,14L…前輪
15R,15L…後輪
16R,16L…前輪車輪速センサ
17R,17L…後輪車輪速センサ
100…4WDコントロールユニット
110…モード判定手段
130…直流電動機トルク算出手段
150…ドライバ手段
2…高出力発電機
3…デファレンシャルギヤ
4…クラッチ
5…直流電動機
7…大容量リレー
8…エンジンコントロールユニット
9…トランスミッションコントロールユニット
10…アンチロックブレーキコントロールユニット
11…補機バッテリ
12…トランスミッション
13…補機発電機
14R,14L…前輪
15R,15L…後輪
16R,16L…前輪車輪速センサ
17R,17L…後輪車輪速センサ
100…4WDコントロールユニット
110…モード判定手段
130…直流電動機トルク算出手段
150…ドライバ手段
Claims (5)
- 車輪を電動機で駆動するとともに、前記電動機と前記車輪との間の動力伝達経路に設けられたクラッチを有する車両に用いられ、
前記電動機及び前記クラッチを制御する車両の駆動力制御装置であって、
前記クラッチは、
前記電動機側の回転軸に連結する第1の回転部材と、
前記車輪側の回転軸に連結する第2の回転部材と、
これらの第1及び第2の回転部材の間に形成された係合空間に介挿される係合子と、
この係合子の周方向の位置を規制する保持器と、
前記第1及び第2の回転部材の一方に対する前記保持器の固定・解放を行うことでクラッチの接続・切断を制御するクラッチ操作部と、
を備え、
前記クラッチは、前記クラッチ操作部による前記保持器の固定状態で、前記第1及び第2の回転部材の他方と前記保持器との間の位相が変わることによって、前記係合子が前記第1及び第2の回転部材の間に噛み込んで、前記第1及び第2の回転部材間でトルク伝達可能となるものであり、
前記第2の回転部材から前記第1の回転部材に対してトルクを伝達する回生制動終了時に、前記電動機を駆動させ、前記クラッチをオフする電動機制御手段を備えることを特徴とする車両の駆動力制御装置。 - 請求項1記載の車両の駆動力制御装置において、
前記電動機制御手段は、クラッチオフ時に、上記電動機のトルクを徐々に上昇させることを特徴とする車両の駆動力制御装置。 - 請求項1記載の車両の駆動力制御装置において、
前記電動機制御手段は、クラッチオフ時に、上記電動機のトルクを一定値で出力させることを特徴とする車両の駆動力制御装置。 - 請求項1記載の車両の駆動力制御装置において、
前記電動機制御手段は、前記第2の回転部材の回転数が、前記第1の回転部材の回転数よりも小さくなったとき、クラッチオフと判定して、前記電動機を停止することを特徴とする車両の駆動力制御装置。 - 車輪を駆動する電動機と、
前記電動機と車輪との間の動力伝達経路に設けられたクラッチと、
前記電動機及び前記クラッチを制御する制御手段とを有する車両の駆動装置であって、
前記クラッチは、
前記電動機側の回転軸に連結する第1の回転部材と、
前記車輪側の回転軸に連結する第2の回転部材と、
これらの第1及び第2の回転部材の間に形成された係合空間に介挿される係合子と、
この係合子の周方向の位置を規制する保持器と、
前記第1及び第2の回転部材の一方に対する前記保持器の固定・解放を行うことでクラッチの接続・切断を制御するクラッチ操作部と、
を備え、
前記クラッチは、前記クラッチ操作部による前記保持器の固定状態で、前記第1及び第2の回転部材の他方と前記保持器との間の位相が変わることによって、前記係合子が前記第1及び第2の回転部材の間に噛み込んで、前記第1及び第2の回転部材間でトルク伝達可能となるものであり、
前記第2の回転部材から前記第1の回転部材に対してトルクを伝達する回生制動終了時に、前記電動機を駆動させ、前記クラッチをオフする電動機制御手段を備えることを特徴とする車両の駆動装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006168411A JP2007331686A (ja) | 2006-06-19 | 2006-06-19 | 車両の駆動力制御装置及び駆動装置 |
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- 2006-06-19 JP JP2006168411A patent/JP2007331686A/ja active Pending
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