JP3769927B2 - 移動局および車両走行位置制御システム - Google Patents

移動局および車両走行位置制御システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、道路における車両の走行位置を制御する移動局および車両走行位置制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般の道路や、所定のマーキングを施した道路で、車両側の独立した制御によって自動走行を行うようにした自動走行システムや、走行指示を運転者に与えるようにした半自動走行システムが開発されている。
【0003】
このような自動走行システムや半自動走行システムによれば、限られた道路環境の下で、安全性を低下させることなくトラフィックを増大させることができるものと期待されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
道路の走行車線を自動走行させる際、所定の走行ラインに沿って車両を走行させるために、従来は、たとえば道路上に予め磁気ネイルを等間隔に打ち込んでおき、車両側には車両と磁気ネイルとの位置関係を検出するための磁気センサと、車両が磁気ネイルを追従走行するようにハンドル(ステアリングホイール)を自動操作する手段とを設けている。また、半自動走行システムの場合も、同様にして車両の車線上の位置を検出してハンドル操作等を運転者に指示することになる。
【0005】
また、自動走行を行わない通常の車両の場合には、運転者が道路の走行車線前方を見て、センターライン(中央分離帯)、車線区分線、ガードレールなどと自車との位置関係を目視によって認識し、所定の走行車線の略中央部を走行するようにハンドル操作を行っている。
【0006】
ところが、自動走行システムを採る場合でも、手動操作による通常の走行形態を採る場合でも、車両が走行する度にタイヤと路面との摩擦により路面に磨耗が生じる。一般に車種によって車幅は様々であるが、通常はタイヤの通過頻度の最も高い箇所に次第に轍が形成されてしまう。特に自動走行システムによれば、各車両の走行ラインが揃うので、轍が早期に形成されてしまうことになる。
【0007】
このような轍は、ハンドルがとられる原因になったり、雨天に水たまりが生じてスリップの原因となったりして、安全上問題となることが指摘されている。
【0008】
そこで、従来は轍が深くならないうちに路面の修繕を行い、路面状態が常に一定の基準を満たすように保守点検作業を行っていた。
【0009】
この発明の目的は、路面の局部的な磨耗を防止して轍の形成自体を防いで、安全性を高めると共に、路面修繕サイクルを長くし、道路設備のランニングコストを抑えることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、車両に搭載される移動局であって、
搭載されている車両が道路の走行車線を走行する際に、前記走行車線の幅方向の位置を自動制御する、または当該位置を走行させるための指示を運転者に与える走行位置制御手段と、
車群を成して走行するときに、移動局本体を管理局、または通常局として動作させる動作制御手段と、
前記動作制御手段により前記管理局として動作するときに、車群を成す各車両について、車両のタイヤの通過位置が前記走行車線において分散されるように、前記走行車線の幅方向の位置を設定する走行位置設定手段と、
前記動作制御手段により前記通常局として動作するときに、自車に対して前記管理局が設定した前記走行車線の幅方向の位置を、この管理局から受信する受信手段と、を備え、
前記走行位置制御手段は、車に対して前記管理局が設定した前記走行車線の幅方向の位置に基づいて動作する手段である。
【0011】
この構成では、走行位置制御手段によって走行車線の幅方向の位置が自動制御または半自動制御されるだけでなく、管理局として動作する移動局が、上記走行位置設定手段によって、車群を成す各車両について、車両のタイヤの通過位置が前記走行車線において分散されるように、前記走行車線の幅方向の位置を設定する。また、通常局として動作する移動局が、自車に対して前記管理局が設定した前記走行車線の幅方向の位置をこの管理局から受信する。これにより、走行車線上を通過するタイヤの位置が分散される。このことにより、たとえば、全ての車両が走行車線の中央部分を走行するようなことがなく、路面の局部的な磨耗がなく、轍の発生を大幅に遅らせることができる。
【0012】
また、この発明の車両走行位置制御システムは、車両に搭載される移動局、および道路に設置される走行位置付与装置を有する車両走行位置制御システムであって、
前記移動局は、搭載されている車両が道路の走行車線を走行する際に、前記走行車線の幅方向の位置を自動制御する、または当該位置を走行させるための指示を運転者に与える走行位置制御手段と、
車群を成して走行するときに、移動局本体を管理局、または通常局として動作させる動作制御手段と、
前記動作制御手段により前記管理局として動作するときに、車群を成す各車両について、前記走行車線の幅方向の位置を設定する走行位置設定手段と、
前記動作制御手段により前記通常局として動作するときに、自車に対して前記管理局が設定した前記走行車線の幅方向の位置を、この管理局から受信する受信手段と、を備え、
前記走行位置制御手段は、車に対して前記管理局が設定した前記走行車線の幅方向の位置に基づいて動作する手段であり、
前記走行位置付与装置は、
本体近傍を走行する車群において、前記動作制御手段により管理局として動作している前記移動局から、この車群の各車両について設定されている前記走行車線の幅方向の位置を収集する収集手段と、
前記収集手段が収集したデータを用いて、この付近における車両のタイヤの通過位置が分散されるように、今後この付近を走行する車群の各車両に対する前記走行車線の幅方向の位置を求め、この後、この付近を走行する車群の管理局に対して、ここで求めた車群の各車両に対する前記走行車線の幅方向の位置を指示する走行位置指示手段と、を備え、
前記移動局の前記走行位置設定手段は、前記走行位置指示手段からの指示に基づいて、車群を成す各車両の前記走行車線の幅方向の位置を設定する手段である。
【0013】
この構成では、道路に設置された走行位置付与装置が、走行車線の幅方向の各位置における車両の走行台数の統計を取り、今後この付近を走行する車群の各車両に対する前記走行車線の幅方向の位置を求め、この付近を走行する車群の管理局として動作している移動局に対して、ここで求めた車群の各車両に対する前記走行車線の幅方向の位置を指示する。また、通常局として動作する移動局が、自車に対する前記走行車線の幅方向の位置をこの管理局から受信する。これにより、各車両が走行する走行車線の幅方向の位置が結果的にばらついて、走行車線上を通過するタイヤの位置が分散され、路面の局部的な磨耗がなく、轍の発生を大幅に遅らせることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
この発明の第1の実施形態に係る車両走行位置制御システムの構成を図1〜図7を参照して説明する。
【0017】
この第1の実施形態では、本願出願人が先に出願した特願平9−361104号で示した通信プロトコルを採用する。
図1は、その通信プロトコルにより構成される車群を示す図である。ここで、車群とは、各車両に設けた移動局のうち、管理局として作用する移動局が設けられている車両と通常局として作用する移動局が設けれている車両との集合であり、群内の局間で高速なデータ伝送およびデータの共有化を行う。
【0018】
車群を構成する各車両に設けられている移動局は他の移動局との間でそれぞれ個別に通信を行うのではなく、基本的に電波を用いたトークンパッシング方式で通信を行う。すなわち、管理局は通常局に対して順次トークンを渡していき、それに伴って、或る移動局から他の所定の移動局へ通信を行い、または管理局から通常局へ一斉同報を行う。
【0019】
図2は、同一の走行車線を走行する各車両の走行位置関係を示している。走行車線の中央には、等間隔に磁気ネイルが打ち込まれていて、管理局として作用する移動局が設けられている車両が走行車線の中央を走行し、管理局は通常局1〜4に対してそれぞれ走行車線の中央からの左右方向へのずれ(以下、オフセットという。)を指示する。ここで、オフセット量の基準単位をタイヤ1本分の幅である20cmとする。通常局1として作用する移動局が備えられている車両は進行方向に向かって右側に20cm(1単位分)のオフセットを持たせる。通常局2を備える車両は左側に20cmのオフセットを持たせる。通常局3を備える車両は進行方向に向かって右側に40cm(2単位分)のオフセットを持たせる。同様に、通常局4を備える車両は左側に40cmのオフセットを持たせる。
【0020】
この例では、通常局の順番を序数で表した場合に、奇数であれば、その数が増す程右側に20cmのオフセットを加算していき、偶数であれば、その数が増す程左側に20cmのオフセットを加算していく。
【0021】
図2では、進行方向の前方から後方へ向かって順番を表したが、車群走行においては、車両の走行順は問題ではない。この順番はたとえばトークンを渡していく順番である。
【0022】
図3は、各車両に設けられている移動局と、道路側に設けられている固定局の構成を示すブロック図である。
図3の(A)は、移動局の構成を示すブロック図であり、記憶装置には自車に現在割り当てられているオフセット量を示すデータ(以下、オフセットデータという。)と、群管理用パラメータを記憶する。ここで群管理用パラメータとは、管理局が群管理処理を行い、通常局が被群管理処理を行うために、群を構成する全ての局が共通に持つ情報の集合であり、論理ノード番号の割り当てに関する情報としては、たとえば
(1) その群で使用されている論理ノード番号
(2) その群で使われていない論理ノード番号
(3) 管理局の論理ノード番号
(4) 群を識別するための値
(5) 論理ノード番号と物理ノード番号の対応関係を示すデータ
などからなる。その他に、車群を構成する各車両に割り当てているオフセットデータと、現在走行している車線で設定できる最大のオフセット量を示すデータ(最大オフセットデータ)を含んでいる。
【0023】
上位制御装置はデータリンク装置に対して群管理用パラメータなどを与える。データリンク装置は無線装置のビット列の伝送機能を利用して、他の移動局との間でデータ伝送の機能を実現し、この機能を上位制御装置に提供する。無線装置は、複数チャンネルの無線周波数チャンネルのうち1つのチャンネルを選択して、他の移動局の無線装置との間で物理的なデータ伝送を行う。すなわち、無線装置の送信回路はデータリンク装置から与えられる送信すべきビット列に対してスペクトラム拡散処理を施してキャリア変調を行い、また受信回路はそのスペクトラム拡散された信号を復調し、ビット列のデータとして生成し、これをデータリンク装置へ与える。
【0024】
また、オフセット制御装置は、与えられたオフセットデータに基づいて実際に走行位置をずらせるための手段である。たとえば図4に示すように、走行車線の中央に等間隔に磁気ネイルを打ち込んでおき、車両側に車両と磁気ネイルとの位置関係を検出するための磁気センサを設けて、磁気ネイルに沿って自動走行させる場合には、磁気センサの検出位置にオフセットを持たせる。たとえば、図5に示すように、センサの取付位置を機械的に進行方向に向かって左右方向にオフセット量だけずらせる。または、磁気センサの取付位置は固定したまま、複数の磁気センサの出力信号にバイアスをかける等して、磁気ネイルに対しての車両の左右方向の位置検出結果にオフセットを持たせる。
【0025】
図3の(B)は、固定局の構成を示すブロック図であり、オフセット制御装置がないことを除いて(A)に示した移動局と同じ構成である。なお、図では省略しているが、固定局には外部から道路幅、車線幅、車線構成等の情報を通信によって受け取ったり、入力する手段も備えている。
【0026】
移動局および固定局は初期状態では他の局との相互の関連付けは何らない状態であり、管理局と通常局との機能的な区別もない。まずこのような初期状態から群を構成するために、先取り方式で管理局を決定することから始める。この段階では、上位制御装置がデータリンク装置に対して群管理用パラメータを設定する。
【0027】
移動局のデータリンク装置は、まず乱数を用いて自局の論理ノード番号を設定する。ここでは、自局の論理ノード番号の送信および他局が既に設定している論理ノード番号の受信を行って、通信可能範囲内のいずれの局でも使用していない論理ノード番号に設定する。そして、その論理ノード番号を群管理用パラメータの管理局論理ノード番号とし、続いて自局を管理局とする群内への他局の加入を勧誘する。たとえば、他の局に対してポーリングフレームを送出し、このポーリングフレームに対し応答フレームを受信した場合に、その局が群内に加入したものと見なす。もしこの加入勧誘に対して応答フレームを受信すれば、その局に群管理用パラメータを送信し、以降は自局が管理局として動作する。上記加入勧誘に応答した局は以降通常局として動作する。
【0028】
図6は、管理局におけるオフセット割り当て制御の手順を示すフローチャートである。管理局は、まず、最大オフセットデータを読み出し、トークンパッシング方式またはポーリング方式で各通常局から収集したそれらの各車両の走行車線の情報を基に、車線毎に各車両に与えるオフセットデータを生成する。このときに各車両に割り当てるオフセット量は最大オフセット量を超えない範囲で定める。
【0029】
上記最大オフセットデータは、後述する方法により、現在走行している走行車線の車線幅の情報を基に定める。また、各車両に与えるオフセットデータの生成方法は図2を基に既に述べたとおりである。これらのオフセットデータを群内の各通常局へトークンパッシング方式で送信する。
【0030】
図7は、通常局における処理手順を示すフローチャートである。走行車線の検知は、まず磁気ネイルの通過時間間隔を検出し、現在の車速データを車速センサなどの出力データから読み取り、上記磁気ネイルの通過時間間隔と車速とから磁気ネイルの間隔(距離間隔)を求め、その結果から車線を判定する。すなわち、磁気ネイルを車線毎に予め定めた間隔で打ち込んでおき、検出した磁気ネイルの距離間隔から、現在走行中の車線を間接的に検知する。
【0031】
また、通常局のオフセット制御は、図7に示すように、管理局より自局宛のオフセットデータを受信し、それに基づいてオフセットの設定を行う。たとえば、前述したように磁気ネイルの磁気を検出する磁気センサを車両の左右方向に設定されたオフセット量だけ機械的にずらせるか、磁気センサによる車両の左右方向の位置検出結果に、設定されたオフセット量だけオフセットを持たせる。
【0032】
上記最大オフセット量は次のようにして決定する。
まず、道路側に設置した固定局に、道路幅と車線幅のデータを事前にデータベースとして蓄積しておき、その固定局の近傍を車群が通過する際、固定局が車群に一時的に加入して、この固定局が車群の管理局と通信を行うことにより、管理局に対して車群が現在どの時点を走行しているかの位置情報を与えるとともに、その付近の道路の車線数などの車線構成、道路幅、車線幅等のデータを与える。管理局は、これらのデータを受け取って、各車線の車線幅から最大オフセット量を決定する。たとえば、車線幅が4.5mで、車両の左右に0.75mのマージンを設けた場合、走行する車両を約2mと仮定して、車両の左右に最大50cmのオフセットを与える。これが最大オフセット量である。
【0033】
上述の例では、固定局に設けたデータベースを利用したが、管理局としての移動局が単独で最大オフセット量を決定してもよい。たとえば、少なくとも管理局となる移動局を有する車両が撮像手段と画像認識手段を備え、路面に引かれたセンターラインおよびガードレールの撮像画像データに対して画像処理を行い、車線幅を認識(計測)して最大オフセット量を決定する。
【0034】
また、上述の例では、図4および図5に示した磁気ネイルを用いてオフセット量を定め、これによって車両の走行位置を制御するようにしたが、オフセットの制御に画像認識を用いてもよい。たとえば、各車両にカメラと画像認識装置を備え、カメラによってセンターライン(中央分離帯)、車線区分線、ガードレールなどを撮像し、その画像データの画像処理および画像認識によって、自車両の走行位置を検知する。たとえば、センターラインからの距離を割り出す。この認識結果に応じて自動または手動でハンドル操作を行うことによって、所定のオフセット量を維持する。
【0035】
その他の方法として、各車両に赤外線センサを設け、この赤外線センサによって自車両とガードレールなどの物体との距離を走行中に常時測距し、その結果に応じて自動または手動でハンドル操作を行い、ガードレールなどからの距離を調整することによってオフセット量を維持するようにしてもよい。
【0036】
次に、走行位置設定手段を道路側に設けた、第2の実施形態に係る車両走行位置制御システムの構成を図8に示す。図8は固定局での処理手順を示すフローチャートである。道路の所定箇所に設けた固定局は、まず、統計データをクリアしてから、その近傍を走行する車群の管理局から車群の各車両に与えられているオフセットデータを一定時間収集する。続いてこれらのオフセットデータを基に、固定局が設けられている付近の道路の各車線の幅方向での路面の磨耗状況を推定する。たとえば、各車両の車幅とタイヤの幅を一定とみなし、その車幅、タイヤの幅およびオフセットデータから、各車線の横幅方向の各部におけるタイヤの通過回数を累積する。そして最も通過回数の多い箇所が最も磨耗しているものと推定する。続いて、この推定による路面の磨耗の分布が均一化されるように、今後この付近を走行する他の車両がどの位置を走行すべきかを求め、指示すべき新たなオフセットデータを生成する。そして、実際に、固定局の近傍を通過する車群の管理局に対してそのオフセットデータを送信する。以上の処理を路面の局部的な磨耗なくなるまで繰り返す。車両の走行位置分布が所定レベルまで分散化されたなら、上記統計データをクリアして再び同様の処理を開始する。上述の例では、各車両の車幅とタイヤ幅を一定として扱ったが、管理局から受け取る群管理用パラメータに、車群を構成する各車両の車種データを含むものとすれば、その車種データを基に、車種と車幅およびタイヤ幅の関係を定めたデータベースを検索することによって、タイヤ通過位置を高精度に推定することもできる。また、車両重量を路面の磨耗に対する重み係数として扱えば、路面の磨耗状況の推定精度が向上する。
【0037】
なお、車両のオフセットデータを収集した車群と、新たにオフセットデータを与える車群とは別であるので、路面の磨耗状況を推定している地点と、その磨耗の偏りが分散するように指示を与えた車両が実際に走行する位置とは厳密には異なる。しかし道路の長手方向を巨視的に見れば、路面の局部的な磨耗が防止できる。上記の問題を軽減するために、道路上に所定間隔で配置した固定局同士でデータの交換を行えるようにしておき、新たなオフセットデータを車群の進行方向手前の固定局に伝送し、その固定局が近傍を通過する車群に対してオフセットデータを与えるようにしてもよい。
【0038】
次に、他の移動局や固定局との間で特に通信を行わずに、各車両側で単独で走行位置制御を行う例を図9を基に説明する。図9は車両に設けた車両走行位置制御装置の処理手順を示すフローチャートである。自車両に対するオフセット量の設定を所定のタイミングで繰り返し行うこととし、そのタイミングになれば、予め定めた所定のテーブルデータを参照してオフセットデータを生成し、自車両が実際にそのオフセット量を保って走行するようにオフセットの設定を行う。この処理を繰り返すことによって、オフセット変更タイミング毎に自車両の走行位置を変更する。
【0039】
上記テーブルデータとしては、最大オフセット量の範囲内でオフセット量が次第に増減または加減するデータとしておくことにより、自車両が走行車線内を緩やかに蛇行するように走行することになる。これにより急激な走行位置制御が行われずに路面の局部的な磨耗が低減できる。上記蛇行の周期は、車両毎に異なった値となるように上記テーブルデータを設定しておいてもよい。
【0040】
また、図9において「オフセットデータ生成」のステップで、テーブルデータを参照する代わりに、乱数を発生させて、最大オフセット量の範囲内でオフセット量をランダムに変更するようにしてもよい。この場合、走行位置が急激に変化しないように、前回のオフセット量からの変化量に上限を定めておいてもよい。
【0041】
【発明の効果】
この発明によれば、走行車線の幅方向の位置が結果的にばらついて、走行車線上を通過するタイヤの位置が分散される。このことにより、たとえば、全ての車両が同じ走行ラインに沿って走行するようなことがなく、路面の局部的な磨耗が防止され、轍の発生を大幅に遅らせることができる。
【0042】
その結果、道路の安全性を高まるとともに、路面修繕サイクルを長くすることができ、道路設備のランニングコストが抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車群の構成例を示す図
【図2】同一車線を走行する各車両のオフセット量の割り当て例を示す図
【図3】移動局と固定局の構成を示すブロック図
【図4】磁気ネイルによる自動走行の例を示す図
【図5】磁気ネイルによるオフセット量の検出および制御の例を示す図
【図6】管理局の行うオフセットの割り当て制御の手順を示すフローチャート
【図7】通常局の処理手順を示すフローチャート
【図8】第2の実施形態に係る車両走行位置制御システムにおける固定局の処理手順を示すフローチャート
【図9】第3の実施形態に係る車両走行位置制御システムにおける各車両の処理手順を示すフローチャート

Claims (2)

  1. 車両に搭載される移動局であって、
    搭載されている車両が道路の走行車線を走行する際に、前記走行車線の幅方向の位置を自動制御する、または当該位置を走行させるための指示を運転者に与える走行位置制御手段と、
    車群を成して走行するときに、移動局本体を管理局、または通常局として動作させる動作制御手段と、
    前記動作制御手段により前記管理局として動作するときに、車群を成す各車両について、車両のタイヤの通過位置が前記走行車線において分散されるように、前記走行車線の幅方向の位置を設定する走行位置設定手段と、
    前記動作制御手段により前記通常局として動作するときに、自車に対して前記管理局が設定した前記走行車線の幅方向の位置を、この管理局から受信する受信手段と、を備え、
    前記走行位置制御手段は、車に対して前記管理局が設定した前記走行車線の幅方向の位置に基づいて動作する手段である移動局
  2. 車両に搭載される移動局、および道路に設置される走行位置付与装置を有する車両走行位置制御システムであって、
    前記移動局は、
    搭載されている車両が道路の走行車線を走行する際に、前記走行車線の幅方向の位置を自動制御する、または当該位置を走行させるための指示を運転者に与える走行位置制御手段と、
    車群を成して走行するときに、移動局本体を管理局、または通常局として動作させる動作制御手段と、
    前記動作制御手段により前記管理局として動作するときに、車群を成す各車両について、前記走行車線の幅方向の位置を設定する走行位置設定手段と、
    前記動作制御手段により前記通常局として動作するときに、自車に対して前記管理局が設定した前記走行車線の幅方向の位置を、この管理局から受信する受信手段と、を備え、
    前記走行位置制御手段は、車に対して前記管理局が設定した前記走行車線の幅方向の位置に基づいて動作する手段であり、
    前記走行位置付与装置は、
    本体近傍を走行する車群において、前記動作制御手段により管理局として動作している前記移動局から、この車群の各車両について設定されている前記走行車線の幅方向の位置を収集する収集手段と、
    前記収集手段が収集したデータを用いて、この付近における車両のタイヤの通過位置が分散されるように、今後この付近を走行する車群の各車両に対する前記走行車線の幅方向の位置を求め、この後、この付近を走行する車群の管理局に対して、ここで求めた車群の各車両に対する前記走行車線の幅方向の位置を指示する走行位置指示手段と、を備え
    前記移動局の前記走行位置設定手段は、前記走行位置指示手段からの指示に基づいて、車群を成す各車両の前記走行車線の幅方向の位置を設定する手段である車両走行位置制御システム。
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