JP3769824B2 - 被覆組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防汚性、中でも雨垂れ汚染性に優れた表面を形成し得る被覆組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、土木・建築材料分野を中心として、材料のメンテナンスフリー化が要求されている中、高耐候性を発揮するフッ素系樹脂は、その一役を担っており、多くのフッ素樹脂が提案されている。例えば、特開平5−86293号公報、特開平3−152119号公報が挙げられる。
【0003】
しかしながら、このようなフッ素樹脂を長期間にわたり使用すると、耐候性は維持する一方で、防汚性、特に雨垂れ汚染性の悪さが目立つようになり、かえって住環境の美観を損なうという問題がクローズアップされている。
【0004】
そこで、この様な問題を解決するために、フッ素樹脂にヒドロキシル基、ポリ(アルキレンオキシド)単位を導入する方法(特開平7−62290号公報、特開平7−7667号公報、特開平7−90217号公報)、加水分解性シリル基を導入する方法(特開平6−340839号公報、特開平7−82520号公報)等が提案されているが、未だ決定的な材料は見出されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のような状況に鑑み、フッ素樹脂の持つ高耐候性を維持し、防汚性、特に雨垂れ汚染性に優れた被覆組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討したところ、フッ素化オレフィン系重合体に、フッ素化(メタ)アクリレートとポリ(アルキレンオキシド)含有エチレン性不飽和単量体を主成分として重合させて得られる共重合体と加水分解性シリル基を有する化合物とを併用することにより、上記の問題を解決できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、フッ素化オレフィン系重合体(I)、フッ素化(メタ)アクリレート(A)とポリ(アルキレンオキシド)含有エチレン性不飽和単量体(B)と、(A)および(B)以外のエチレン性不飽和単量体(C)とを重合させて得られる共重合体(II)、加水分解性シリル基を有する化合物(III)を必須成分として含有してなる被覆組成物を提供する。
【0008】
さらにこれに(メタ)アクリロイル基を含有する単量体の重合体(IV)を含んでなる被覆組成物を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において、フッ素化オレフィン系重合体(I)は、本組成物中のベース樹脂であり、高耐候性を実現する上での必須成分である。フッ素化オレフィン系重合体とは、フッ素化オレフィンモノマーを含む重合体をいい、有機溶剤に分散叉は溶解するものである。その具体例として、例えばポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、(エチレン・テトラフロロエチレン)共重合体、(フッ化ビニリデン・テトラフロロエチレン)共重合体、(テトラフロロエチレン・ヘキサフロロプロピレン)共重合体、ポリフッ化ビニルエ−テル、ポリクロロトリフルオロエチレン、(エチレン・クロロトリフルオロエチレン)共重合体、(フッ化ビニルエ−テル・テトラフロロエチレン)共重合体そしてルミフロン[旭硝子(株)]、フルオネート[大日本インキ化学工業(株)]、セフラルコート[セントラル硝子(株)]、ゼッフル[ダイキン工業(株)]、ザフロン[東亜合成(株)]、トリフロン[三井石油化学工業(株)]等の商品名で例示されるフッ素塗料、サイトップ[旭硝子(株)]、テフロン−AF[デュポン(株)]或いは側鎖にフッ素化環状エーテルを有するその類縁体が挙げられる。
【0010】
フッ素化オレフィン系重合体(I)は1種類の重合体でも、2種類以上の重合体を併用しても構わないが、他のアクリル系成分との相溶性、溶剤に対する溶解性などの加工性と防汚性を兼備するという点で、特にフッ化ビニリデン系重合体を含有することが好ましい。
【0011】
フッ化ビニリデン系重合体としては、ポリフッ化ビニリデン、(フッ化ビニリデン・テトラフロロエチレン)共重合体、(フッ化ビニリデン・テトラフロロエチレン・ヘキサフロロプロピレン)共重合体 、(テトラフロロエチレン・ヘキサフロロプロピレン)共重合体、(フッ化ビニリデン・ヘキサフロロプロピレン)共重合体等が挙げられる。
【0012】
尚、本発明がこれら具体例によって何等限定されるものでないことは勿論である。
また、ベース樹脂であるフッ素化オレフィン系重合体(I)は、目的とする用途によって要求される物性、例えば、各種基材に対する密着性、耐擦傷性等を満たすために、必要に応じて他のベース樹脂となり得る公知の重合体を併用することも可能である。他のベース樹脂となり得る重合体としては、特に制限はないが、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂及びその変性体が挙げられる。
【0013】
尚、本発明がこれら具体例によって何等限定されるものでないことは勿論である。
この内、フッ素化オレフィン系重合体(I)との相溶性、防汚性と基材密着性とを両立させるという観点からは、アクリル樹脂、即ち(メタ)アクリロイル基を含有する単量体の重合体(IV)を併用することが好ましい。
【0014】
(メタ)アクリロイル基を含有する単量体の重合体(IV)としては、特に制限はなく、具体例として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジブチルフマル酸エステル、ジメチルフマル酸エステル、(メタ)アクリル酸等の単独叉は共重合体を挙げることができる。
【0015】
尚、本発明がこれら具体例によって何等限定されるものでないことは勿論である。
重合体(IV)を用いる場合、その添加量は重合体(I)100重量部に対して10〜300重量部で、好ましくは20〜250重量部である。
【0016】
次に、フッ素化(メタ)アクリレート(A)とポリ(アルキレンオキシド)含有エチレン性不飽和単量体(B)と、(A)及び(B)以外のエチレン性不飽和単量体(C)とを重合させて得られる共重合体(II)は、疎水性セグメントと親水性セグメントが同一鎖内に共重合された重合体であるが、この様な構成を持つ共重合体(II)は、本発明において必要不可欠な成分であり、本組成物から共重合体(II)が欠如すると、耐雨垂れ汚染性は確実に低下する。
【0017】
共重合体(II)をベース樹脂であるフッ素化オレフィン系重合体(I)中に導入し、基材上にコーティングした場合、疎水性セグメントであるパーフルオロアルキル基の低表面エネルギー表面を形成させようとする駆動力により、重合体(I)よりも空気界面側に偏析し、同一鎖内の親水性セグメント及び加水分解性シリル基を有する化合物(III)を最表面に、偏在化させ得る。即ち、この最表面に偏在化した親水性セグメント及び加水分解性シリル基を有する化合物(III)により、雨垂れ汚染性は格段に向上する。
【0018】
尚、本考察は、本発明の機作を理解する上での一助とするものであり、本考察によって本発明が何等制限されるものでないことは勿論である。
ここで、フッ素化(メタ)アクリレート(A)としては、原料の入手性並びに他の成分との相溶性、防汚性の観点から、アクリルエステル基及びその類縁基を含有するものが適しており、下記一般式(A−1)にて表されるフッ素化(メタ)アクリレ−トが挙げられる。
【0019】
【化1】
Figure 0003769824
【0020】
式中、Rf は炭素数1〜20のパ−フロロアルキル基、または部分フッ素化アルキル基であり、直鎖状、分岐状、または主鎖中に酸素原子が介入したもの、例えば
【0021】
【化2】
Figure 0003769824
【0022】
等でも良く、R1 はH,CH3, Cl, FまたはCNであり、
Xは2価の連結基で、具体的には (CH2)n ,
【0023】
【化3】
Figure 0003769824
【0024】
【化4】
Figure 0003769824
【0025】
【化5】
Figure 0003769824
【0026】
(但し、nは1〜10の整数であり、R2 はHまたは炭素数1〜6のアルキル基である。)、
【0027】
【化6】
Figure 0003769824
【0028】
【化7】
Figure 0003769824
【0029】
【化8】
Figure 0003769824
【0030】
【化9】
Figure 0003769824
【0031】
【化10】
Figure 0003769824
【0032】
または
【0033】
【化11】
Figure 0003769824
【0034】
等であり、aは0または1である。]にて表わされる化合物である。
以下、特に断わりのない限り、メタアクリレート、アクリレート、ハロアクリレートおよびシアノアクリレートを総称して(メタ)アクリレートという。
【0035】
フッ素化(メタ)アクリレート(A)の具体例として以下の如きものが挙げられる。
A-1-1 : CH2=CHCOOCH2CH2C8F17
A-1-2 : CH2=C(CH3)COOCH2CH2C8F17
A-1-3 : CH2=CHCOOCH2CH2C12F25
A-1-4 : CH2=C(CH3)COOCH2CH2C12F25
A-1-5 : CH2=CHCOOCH2CH2C10F21
A-1-6 : CH2=C(CH3)COOCH2CH2C10F21
A-1-7 : CH2=CHCOOCH2CH2C6F13
A-1-8 : CH2=C(CH3)COOCH2CH2C6F13
A-1-9 : CH2=CHCOOCH2CH2C4F9
A-1-10 : CH2=CFCOOCH2CH2C6F13
A-1-11 : CH2=C(CH3)COOCH2CH2C20F41
A-1-12 : CH2=C(CH3)COOCH2CH2C4F9
A-1-13 : CH2=C(CH3)COO (CH2)6 C10F21
A-1-14 : CH2=C(CH3)COOCH2CF3
A-1-15 : CH2=CHCOOCH2CF3
A-1-16 : CH2=CHCOOCH2C8F17
A-1-17 : CH2=C(CH3)COOCH2C8F17
A-1-18 : CH2=C(CH3)COOCH2C20F41
A-1-19 : CH2=CHCOOCH2C20F41
A-1-20 : CH2=C(CH3)COOCH2CF(CF3)2
A-1-21 : CH2=C(CH3)COOCH2CFHCF3
A-1-22 : CH2=CFCOOCH2C2F5
A-1-23 : CH2=CHCOOCH2(CH2)6CF(CF3)2
A-1-24 : CH2=C(CH3)COOCHCF2CFHCF3
A-1-25 : CH2=C(CH3)COOCH(C2H5)C10F21
A-1-26 : CH2=CHCOOCH2(CF2)2H
A-1-27 : CH2=C(CH3)COOCH2(CF2)2H
A-1-28 : CH2=CHCOOCH2(CF2)4H
A-1-29 : CH2=CHCOOCH2CF3
A-1-30 : CH2=C(CH3)COO(CF2)4H
A-1-31 : CH2=CHCOOCH2(CF2)6H
A-1-32 : CH2=C(CH3)COOCH2(CF2)6H
A-1-33 : CH2=CHCOOCH2(CF2)8H
A-1-34 : CH2=C(CH3)COOCH2(CF2)8H
A-1-35 : CH2=CHCOOCH2(CF2)10H
A-1-36 : CH2=CHCOOCH2(CF2)12H
A-1-37 : CH2=CHCOOCH2(CF2)14H
A-1-38 : CH2=CHCOOCH2(CF2)18H
A-1-39 : CH2=CHCOOC(CH3)2(CF2)4H
A-1-40 : CH2=CHCOOCH2CH2(CF2)7H
A-1-41 : CH2=C(CH3)COOCH2CH2(CF2)7H
A-1-42 : CH2=C(CH3)COOC(CH3)2(CF2)6H
A-1-43 : CH2=CHCOOCH(CF3)C8F17
A-1-44 : CH2=CHCOOCH2C2F5
A-1-45 : CH2=CHCOOCH2CH(OH)CH2C8F17
A-1-46 : CH2=C(CH3)COOCH2CH(OH)(CH2)4C18F37
A-1-47 : CH2=CHCOOCH2CH2N(C3H7)SO2C8F17
A-1-48 : CH2=C(CH3)COOCH2CH2N(CH3)SO2C6F13
A-1-49 : CH2=C(Cl)COO(CH2)6NHSO2C12F25
A-1-50 : CH2=CHCOOCH2CH2N(C2H5)COC7F15
A-1-51 : CH2=CHCOO(CH2)8N(CH3)COC12F25
A-1-52 : CH2=CHCOO(CH2)2(CF2)8CF(CF3)2
本発明に係る被覆組成物のフッ素化(メタ)アクリレート(A)は、他の成分との相溶性、空気界面への駆動力及びその耐久性の向上の観点から、フッ素化(メタ)アクリレート(A)のパ−フロロアルキル基または部分フッ素化アルキル基の炭素数としては、4〜12が好ましく、特に6〜8がより好ましい。炭素数が少ないものを用いると、空気界面への駆動力及びその耐久性が低下し、逆に炭素数が多いものを用いると、フッ素化オレフィン系重合体(I)への相溶性が低下し、目的とする表面が形成されない。
【0036】
また、フッ素化(メタ)アクリレート(A)は、1種類であっても良いし、構造が異なる2種類以上の化合物の混合物であっても良い。
尚、本発明がこれら具体例によって何等限定されるものでないことは勿論である。
【0037】
一方、親水性セグメントを形成する、ポリ(アルキレンオキシド)含有(メタ)アクリレート(B)中の具体例としては、側鎖にエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の繰り返し単位、即ちポリ(アルキレンオキシド)を含有するモノマーが挙げられる。具体例としては、新中村化学工業(株)社製NKエステルM−20G、M−40G、M−90G、M−230G、M−450G、AM−90G、1G、2G、3G、4G、9G、14G、23G、9PG、A−200、A−400、A−600、APG−400、APG−700、日本油脂(株)社製ブレンマーPE−90、PE−200、PE−350、PME−100、PME−200、PME−400、PME−4000、PP−1000、PP−500、PP−800、70FEP−350B、55PET−800、50POEP−800B、NKH−5050、PDE−50、PDE−100、PDE−150、PDE−200、PDE−400、PDE−600、AP−400、AE−350、ADE−200、ADE−400等が挙げられる。
【0039】
尚、本発明が上記具体例によって何等限定されるものでないことは勿論である。本発明者らの知見によれば、この様な親水性構造単位を選択すれば、ベース樹脂であるフッ素化オレフィン系重合体(I)本来の性質を損なうことなく、重合体(I)で加水分解性シリル基を有する化合物(III)と複合化し、雨垂れ汚染性に優れた表面を形成する。
【0040】
本発明に係わる被覆組成物のポリ(アルキレンオキシド)含有エチレン性不飽和単量体(B)は、空気界面への強い駆動力を持つフッ素化(メタ)アクリレート(A)と共重合させることにより、表面偏析能を持つようになる。従って、これらの共重合体である共重合体(II)を、ベース樹脂であるフッ素化オレフィン系重合体(I)中に、加水分解性シリル基を有する化合物(III)と共存させると、単量体(B)と化合物(III)によって形成された親水性複合表面が、耐雨垂れ汚染性を飛躍的に向上させる。
【0041】
次に、上述したフッ素化(メタ)アクリレート(A)及びポリ(アルキレンオキシド)含有エチレン性不飽和単量体(B)と共重合する、(A)及び(B)以外のエチレン性不飽和単量体(C)としては、特に制限はなく、具体例として、スチレン、核置換スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、ビニルスルホン酸、酢酸ビニル等の脂肪酸ビニル、またα,β−エチレン性不飽和カルボン酸の誘導体として、アルキル基の炭素数が1〜18の、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(以後この表現はアクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルの両方を総称するものとする。)、即ち(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、ドデシル、ステアリルエステル等、また(メタ)アクリル酸の炭素数1〜18のアミノアルキルエステル即ちジメチルアミノエチルエステル、ジエチルアミノエチルエステル、ジエチルアミノプロピルエステル等が挙げられる。また(メタ)アクリル酸の、炭素数が3〜18のエーテル酸素含有アルキルエステル、例えばメトキシエチルエステル、エトキシエチルエステル、メトキシプロピルエステル、メチルカルビルエステル、エチルカルビルエステル、ブチルカルビルエステル等、またアルキル炭素数が1〜18のアルキルビニルエーテル、例えばメチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル等、またサートマー社製スチレンマクロモノマー4500、東亜合成社製MMAマクロモノマー等のマクロモノマー等が挙げられる。
【0042】
また、皮膜の強靱性を向上させる目的で、ホモポリマーが高ガラス転移点を有するメチルメタクリレートや橋状結合基含有モノマーを導入することも有効である。この様なモノマーを導入すれば、耐擦傷性、表面硬度の向上が可能である。
【0043】
橋状結合含有モノマーとしては、例えばジシクロペンタニルオキシルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0044】
更に、ポリシロキサン基含有(メタ)アクリレートを導入することもできる。ポリシロキサン基含有(メタ)アクリレートを導入することにより、被膜表面の汚染物質の付着力を低下させる効果並びに表面滑性を向上させることが可能で、その結果として雨垂れ汚染性が向上する。
【0045】
ポリシロキサン基含有(メタ)アクリレートとは、ポリシロキサン鎖の片末端あるいは両末端に2価の連結基を介して、アクリロイル基、あるいはメタクリロイル基のいずれかが連結されたものであり、その具体例としては、一般式(C−1)
【0046】
【化12】
Figure 0003769824
【0047】
〔式中、R6及びR7は炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基で、それらは同一でも異なっていてもよく、又シロキシ単位毎に同一でも異なっていてもよく、pは3〜520の整数であり、qは0又は1であり、Y2は2価の連結基で、-CH2CH(OH)CH2OCO-、-(CH2)n1NHCH2CH(OH)CH2OCO-、-(CH2)n1OCO-、
-(CH2)n1-O-(CH2)m1OCO-、又は-OCH2CH(OH)CH2OCO-[但し、n1、m1は2〜6の整数である。]であり、R1は前記と同じであり、Z1はメチル基、フェニル基、又はCH2=C(R)-(Y2)q-である。〕にて表される化合物、
又は一般式(C−2)
【0048】
【化13】
Figure 0003769824
【0049】
[式中、R6'、R6''、R6'''、R7'、R7''、R7'''、R8'、R8''、R8'''は炭素数1〜20のアルキル基又はフェニル基で、これらは同一でも異なっていても良く、r、s、tは0又は1〜200の整数で、これらは同一でも異なっていても良く、Y2、q、R は前記と同意義である。]にて表わされる化合物が挙げられる。
【0050】
ポリシロキサン鎖を含有する単量体のより具体的なものとして以下の如きものが例示される。
【0051】
【化14】
Figure 0003769824
【0052】
【化15】
Figure 0003769824
【0053】
【化16】
Figure 0003769824
【0054】
【化17】
Figure 0003769824
【0055】
但し、いずれもMe, Phはそれぞれメチル基,フェニル基を表わす。
尚、本発明が上記具体例によって何等限定されるものでないことは勿論である。
また、(A)および(B)以外のエチレン性不飽和単量体(C)は、主に、共重合体(II)のフッ素化オレフィン系重合体(I)への相溶性成分であるが、場合によっては、前述のように例示された機能性モノマーを導入することにより、耐擦傷性、表面滑性等、更に高付加価値を付与し得る成分である。単量体(C)は、1種類であっても良いし、2種類以上であっても良い。
【0056】
尚、本発明が、これら具体例によって何等限定されるものでないことは勿論である。本発明に係る単量体、フッ素化(メタ)アクリレート(A)とポリ(アルキレンオキシド)含有エチレン性不飽和単量体(B)と、(A)および(B)以外のエチレン性不飽和単量体(C)とを重合させて得られる共重合体(II)の製造方法には、何ら制限はなく、公知の方法、即ちラジカル重合法、カチオン重合法、アニオン重合法等の重合機構に基づき、溶液重合法、塊状重合法、更にエマルジョン重合法等によって製造できるが、特に簡便であり、工業的な面でラジカル重合法が好ましい。
【0057】
この場合重合開始剤としては、当業界公知のものを使用することができ、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ジアシル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、フェニルアゾトリフェニルメタン等のアゾ化合物、Mn(acac)3 等の金属キレート化合物等が挙げられる。
【0058】
また、重合体(II)の分子量は、重合方法、重合開始剤等によってもコントロールすることが可能であるが、必要に応じて業界公知の連鎖移動剤を使用できる。連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、2−メルカプトエタノ−ル、エチルチオグリコ−ル酸、オクチルチオグリコ−ル酸等が挙げられる。
【0059】
この様な重合開始剤、連鎖移動剤の片末端は、生成した重合体の分子鎖末端に位置することになるので、重合開始剤、連鎖移動剤の選択により、積極的に分子鎖末端に各種官能基を導入することも可能である。例えば、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のカップリング基含有チオ−ル化合物を連鎖移動剤を併用すると、基材に対する密着性や、コーティング剤としての耐久性を向上させることが可能である。
【0060】
また、光増感剤や光開始剤の存在下での光重合、あるいは放射線や熱をエネルギー源とする重合によっても本発明に係るフッ素系のランダムもしくはブロック共重合体を得ることができる。
【0061】
重合は、溶剤の存在下又は非存在下のいずれでも実施できるが、作業性の点から溶剤存在下の場合の方が好ましい。溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶剤、 1,1,1−トリクロルエタン、クロロホルム等のハロゲン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族類、更にパ−フロロオクタン、パ−フロロトリ−n−ブチルアミン等のフッ素化イナ−トリキッド類のいずれも使用できる。
【0062】
本発明に係わる共重合体(II)の分子量は、数平均分子量で500〜500000が良く、好ましくは1000〜20000、より好ましくは2000〜10000が良い。分子量が低すぎると、皮膜の形成性を阻害し、皮膜の力学的強度が低下するばかりか長期に亘る使用では、共重合体(II)が皮膜中より脱落し、耐雨垂れ汚染性が低下する。逆に、分子量が高すぎると分子の運動性が低下し、上述したような優れた耐雨垂れ汚染性を発揮する皮膜構造を形成し難くなる。
【0063】
また、単量体(A)、(B)、(C)の共重合組成比は、重量比で、通常(A)/(B)/(C)=0.1〜80/1〜99.8/0.1〜98.9であり、(A)/(B)/(C)=1〜50/10〜90/1〜90であることが、耐雨垂れ汚染性を発揮する表面を形成させる上で好ましい。
【0064】
また、共重合体(II)の導入量は、ベース樹脂であるフッ素化オレフィン系重合体(I)100重量部に対して、0.01〜30重量部、好ましくは0.1〜15重量部である。共重合体(II)の導入量がこれより少ない場合は、耐雨垂れ汚染性が不十分なものとなり、逆にこれより多い場合は、耐候性、皮膜特性等のベース樹脂本来の性能を損なう恐れがある。
【0065】
次に、本発明に係わる被覆組成物の加水分解性シリル基を有する化合物(III)は、フッ素化(メタ)アクリレート(A)とポリ(アルキレンオキシド)含有エチレン性不飽和単量体(B)と、(A)および(B)以外のエチレン性不飽和単量体(C)とを重合させて得られる共重合体(II)と共に用いることによって、フッ素化オレフィン系重合体(I)よりも空気界面側に多く存在し、その結果として皮膜表面を親水化し、雨水によって容易に汚れを落とし得る表面を形成させる。
【0066】
加水分解性シリル基を有する化合物(III)としては、加水分解性のシリル基を有する化合物であれば特に制限はなく、具体例として、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルビニルトリエトキシシラン及びこれらをフッ素変性した化合物、更にはその縮合物、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びそのフッ素変性した化合物等のシランカップリング剤、更にはその縮合物が挙げられる。
【0067】
本発明者らの知見によれば、共重合体(II)と加水分解性シリル基を有する化合物(III)を同時に用いることにより、親水性複合表面を形成し、優れた耐雨垂れ汚染性を発揮させることが可能となる。加水分解性シリル基を有する化合物(III)としては、オルガノシリケート化合物及び/またはその縮合物を用いることが特に好ましい。
【0068】
加水分解性シリル基を有する化合物(III)は、1種類でも2種類以上を同時も用いてもよく、必要に応じて金属アルコキシドを併用しても構わない。
尚、本発明が、これら具体例によって何等限定されるものでないことは勿論である。
【0069】
また、加水分解反応を促進するために、水と共に塩酸、硫酸、燐酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸等の酸性触媒を併用しても構わない。
化合物(III)の導入量は、ベース樹脂であるフッ素化オレフィン系重合体(I)100重量部に対して、0.01〜50重量部、好ましくは0.1〜30重量部である。化合物(III)の導入量がこれより少ない場合は、耐雨垂れ汚染性が不十分なものとなり、逆にこれより多い場合は、耐候性、皮膜特性等のベース樹脂本来の性能を損なう恐れがある。
【0070】
本被覆組成物に係わる重合体(I)、共重合体(II)、化合物(III)、重合体(IV)及び後述するような必要に応じた各種添加剤は、はじめから全てを混合、分散させても良いが、加工条件等の制約により反応性の高い系になる場合は、溶液安定性等を考慮し、反応する化合物を分離し、加工直前に混合、分散させても構わない。
【0071】
本被覆組成物には、皮膜強度、耐溶剤性、基材密着性等を強化させるために、重合体(I)、共重合体(II)、化合物(III)及び重合体(IV)に導入された官能基に応じて、各種硬化剤を導入することが可能である。
【0072】
硬化剤としては、特に制限はなくイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アミノ化合物及びそれらを各種官能基でブロック化したもの等が挙げられる。これらの硬化剤を用いる場合、その反応速度、加工工程を考慮して硬化促進剤・触媒等を併用しても構わない。
【0073】
また、フッ素化オレフィン系重合体(I)及び共重合体(II)に伴う有機溶剤が含まれるが、これ以外にもコーティング適性等の調整のため、各種有機溶剤を導入することが可能である。この様な有機溶剤としては特に制限はなく、具体例としては、n−ヘプタン、n−ヘキサンの如き飽和炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンの如き芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノンの如きケトン類、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコールの如きアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチルの如きエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、 メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、カルビトールアセテートの如き極性溶剤、1,1,1−トリクロルエタン、クロロホルム等のハロゲン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、更にパ−フロロオクタン、パ−フロロトリ−n−ブチルアミン等のフッ素化イナ−トリキッド類のいずれも使用できる。
【0074】
尚、本発明が、これら具体例によって何等限定されるものでないことは勿論である。
更に、目的に応じて種々の添加物を導入することができる。例えば有機・無機顔料、染料、カ−ボン等の着色剤、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム等の無機粉末、高級脂肪酸、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(テトラフロロエチレン)、ポリエチレン等の有機微粉末、更に耐光性向上剤、耐候性向上剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、消泡剤、粘度調整剤、艶調整剤等の各種充填剤を適宜添加することができる。
【0075】
本発明に係わる基材としては、ガラス、石英、シリカ等の無機物、鉄、銅、フェライト、コバルト、ニッケル、アルミニウム等の金属及びそれらの合金、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメタアクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル等に代表される熱可塑性樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6ナフタレート等のポリエステル類、ポリパラフェニレンサルファイト、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等のエンジニアリングプラスチック、SBR,NBR,EPDMフッ素ゴム、シリコーンゴム等のゴム類、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これら基材は、密着性良く被覆する場合、必要に応じて当業界公知のプライマー処理を施すことが可能である。
【0076】
本発明に係る被覆組成物は、必要に応じて目的に見合った溶剤で適当な濃度または粘度に調整した後、例えばグラビアコーター、ナイフコーター、デイッピング塗布、スプレー塗布、ロールコーター、フローコーター、刷毛塗り等の方法により各種基材上に塗布することができ、塗布した後発泡、エンボス、シボ、プレス、印刷、転写等の後加工を行うことも可能である。尚、本発明が上記具体例によって何等限定されるものでないことは勿論である。
【0077】
本発明に係る被覆組成物は、耐雨垂れ汚染性が最も問題視されている、ビル外壁、土木・建築材料、自動車、電車、航空機材料等の外装用塗料として、プレコート法、ポストコート法何れにも適用できる。また各種塗料のトップコート剤としても利用可能である。塗料としては、天然樹脂を使った塗料、例えば石油樹脂塗料、セラック塗料、ロジン系塗料、セルロース系塗料、ゴム系塗料、漆、カシュー樹脂塗料、油性ピヒクル塗料等、また合成樹脂を使った塗料、例えばフェノール樹脂塗料、アルキッド樹脂塗料、不飽和ポリエステル樹脂塗料、アミノ樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、ビニル樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料、シリコーン樹脂塗料、フッ素樹脂塗料等が挙げられが、特にこれらに限定されるものではない。さらに、例えば壁装材、床材、マーキングフィルム、反射シート、ポリ塩化ビニル鋼板、農業用ビニルフィルム、化粧紙、ポリ塩化ビニルシート、ポリ塩化ビニルレザー、人工皮革、合成皮革、FRP,人工大理石、ターポリン、テント、ネット、テーブルクロス、デスクマット等の防汚性表面コーティング剤としても使用することが可能である。
尚、本発明が上記具体例によって何等限定されるものでないことは勿論である。
【0078】
従って、本発明に係る組成物を用いれば、ベース樹脂となるフッ素化オレフィン系重合体の耐候性等の特徴を損なうことなく、その課題であった防汚性、特に雨垂れ汚染性を克服できる。また本組成物は塗料用途に限らず、各種基材に対する防汚性表面コーティング剤として使用することができる。
【0079】
本発明に係る被覆組成物は、上記の使用目的以外に、耐擦傷性、耐油性、平滑性、防錆性、剥離性等に優れた被膜を形成することから、各種素材並びに基材の保護被覆膜としても使用することができる。即ち、各種成形品またはフィルム、シ−ト等のハ−ドコ−ト剤、医療用具及び器具の表面保護、歯、義歯の表面保護、船底塗料、着氷雪防止塗料としても有用である。
【0080】
【実施例】
次に本発明をより詳細に説明するために参考例、実施例及び比較例を掲げるが、これらの説明によって本発明が何等限定されるものでないことは勿論である。文中の「部」は、断わりのない限り重量基準である。
【0081】
参考例1(重合体II−1の合成)
攪拌装置、コンデンサー、温度計を備えたガラスフラスコにフッ素系単量体 A−1−7 16重量部、ポリエチレンオキシド鎖含有メタクリレートM−230G[新中村化学工業(株)製、以下M−230Gと略す]71重量部、メチルメタクリレート(以下、MMAと略す)8重量部、2−ヒドロキシルエチルメタアクリレート(以下、2−HEMAと略す)5重量部、そしてメチルイソブチルケトン(以下、MIBKと略す)233重量部を仕込み、窒素ガス気流中、還流下に、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNと略す)1.0重量部と、分子量調整剤として2−メルカプトエタノール7.5重量部を添加した後、8時間還流し重合を完結させた。
【0082】
参考例2〜5(重合体II−2、II−3、II−4の合成)
参考例1と同様にして重合体(II)溶液を得た。
但し、II−4の分子量調整剤には、2−メルカプトエタノールの代わりにラウリルメルカプタン7.5重量部を添加した
【0083】
【表1】
Figure 0003769824
尚、表1中の略号は以下の通りである。
GMA:グリシジルメタクリレート
n-BMA:n−ブチルメタアクリレート
EA:エチルメタクリレート
参考例6〜11(重合体I−1、I−2、III−1、III−2、IV−1、IV−2)重合体I−1、I−2、III−1、III−2、IV−1、IV−2としては、表2に示す組成のものを用いた。
【0084】
【表2】
Figure 0003769824
ハイラー5000:(商品名:アウジモント社製;ポリフッ化ビニリデン)
カイナーSL:(商品名:エルフ・アトケム・ジャパン社製、フッ化ビニリデン−4フッ化エチレン共重合体)
エチルシリケート40:[商品名:コルコート(株)社製]
パラロイド B−44:(商品名:ローム・アンド・ハース社製、アクリル樹脂)
アクリディック WU−506[商品名:大日本インキ化学工業(株)社製アクリル樹脂]
実施例1〜5及び比較例1〜4
ベース樹脂として、溶剤溶解性が乏しいI−1を用いる場合は、I−1をイソホロン中に部分溶解・分散させたものに、IV−1のキシレン溶液と重合体II、化合物III、白色顔料(酸化チタン)を配合し、固形分濃度約30%の塗料用組成物を調整した。
【0085】
次に、エポキシ樹脂でプライマー処理(膜厚:5μm)をした、亜鉛メッキ鋼板上に上記塗料組成物をバーコーターにて塗布し、PMT(最高到達素材温度)で250℃にて1分間焼き付けた後、急冷したものを試料とした。試料の膜厚は、22μmであった。
【0086】
一方、ベース樹脂として溶剤溶解性の高いI−2を用いる場合は、重合体II、化合物III、重合体IV、硬化剤としてバーノック DN−950を配合した後、n-酢酸ブチル/MEK=1/1(重量比)で固形分濃度30%に調整した。
【0087】
この配合液を、重合体I−1を用いた場合と同様に、亜鉛メッキ鋼板上に塗布し、70℃×1分間次いで140℃×2分間熱処理を行い、試料とした。試料の膜厚は、12μmであった。
【0088】
表3には、参考例1〜10で示した重合体を用いて配合した、実施例と比較例の配合をまとめて示した。
【0089】
【表3】
Figure 0003769824
【0090】
表中の数値は、全て固形分比を表している。
また表4には、それらの評価結果をまとめて示した。
【0091】
【表4】
Figure 0003769824
【0092】
<試験方法及び評価基準>
雨垂れ汚染性の評価は、波板の下に各試料を立てて暴露を行い、暴露後の汚染性の度合いを目視にて5段階評価を行った。尚、5段階評価の数値は大きいもの程、耐雨垂れ汚染性が優れていることを示している。
【0093】
更に、親水性の指標として、水の接触角測定を行った。
皮膜物性としては、鉛筆硬度(JIS−K5400)、5時間煮沸後の色差(ΔE)、光沢保持率、エリクセン6mm押し出し後のセロテープ剥離を評価した。
【0094】
【発明の効果】
本発明の被覆組成物は、共重合体(II)と化合物(III)の相乗効果により、ベース樹脂であるフッ素化オレフィン系重合体(I)表面を親水化することにより、雨垂れ汚染性を向上させ得る。
【0095】
本発明は、ベース樹脂本来の基本的な性能を損なうことなく、皮膜特性に優れ且つ防汚性、特に耐雨垂れ汚染性に優れた各種基材用コーティング剤を提供することができる。

Claims (6)

  1. フッ素化オレフィン系重合体(I)、フッ素化(メタ)アクリレート(A)とポリ(アルキレンオキシド)含有エチレン性不飽和単量体(B)と、(A)および(B)以外のエチレン性不飽和単量体(C)とを重合させて得られる共重合体(II)、加水分解性シリル基を有する化合物(III)を必須成分として含有することを特徴とする被覆組成物。
  2. さらに(メタ)アクリロイル基を含有する単量体の重合体(IV)を含んでなる請求項1記載の組成物。
  3. 共重合体(II)の数平均分子量が、500〜20000である請求項1又は2記載の組成物
  4. フッ素化オレフィン系重合体(I)が、フッ化ビニリデン系重合体である請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物。
  5. ポリ(アルキレンオキシド)含有エチレン性不飽和単量体(B)に含まれるポリ(アルキレンオキシド)がポリエチレンオキシド鎖である請求項1〜4のいずれか1項記載の組成物。
  6. 加水分解性シリル基を有する化合物(III)が、オルガノシリケート化合物及び/またはその縮合物である請求項1〜5のいずれか1項記載の組成物。
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