JP3769736B2 - 容易に押し潰し可能な中空容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、熱可塑性の合成樹脂をブロー成形した中空容器に関するものであり、更に詳細には、液体状の内容物を収容する容器の胴部は非常に薄肉に成形されているが、内容物が充填されている時には使用に耐え得るに充分な強度を有する構造をなし、使用済となった容器を廃棄する際には、容易に押し潰して小さく圧縮することが可能な構造にした中空容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から用いられている合成樹脂製中空容器のうち、最も多く用いられいる円筒状をした容器は、一般的には図3に示すような構造をしている。
即ち、蓋を螺合する硬い口頸部11と、それに続く肩部12を介してブロー成形された胴部13と、胴部の下端部に形成された底部14とから構成されたものであるが、延伸ブロー成形されて肉厚が薄くなる胴部13には、内容物の充填時や移送時及び使用時に生ずる衝撃や圧力その他の外力に対して耐え得る強度を持たせるために、壁面に様々な形をした凹凸状の補強用リブ13a,13bを形成して剛性が付与されており、また、容器全体の荷重がかかると共に大きな衝撃を受け易い底部14は、球面その他の曲面状に形成すると共にやや肉厚にした部分を設けて、変形や亀裂が生じないように強度面からの工夫がなされている。
【0003】
しかし、図3に見るように、中空容器の胴部に円周方向に単なる環状をした凹凸リブ13a,13bを設けただけの従来の容器は、容器の壁面に加わる加熱処理時の応力や衝撃等の外力に耐え得るようにしたものであり、容器の胴壁が変形したり、亀裂が生ずるのを防止することを目的として形成した補強リブであるから、使用済みとなって廃棄する際の後処理についての考慮は全くなされておらず、空の容器を圧縮して体積を小さくすることは非常に困難である。
【0004】
近年なって、物流面の変化や生活面での利便性等から、上記のような軽量で割れにくい合成樹脂製の中空容器が多用されるようになり、中でも無公害性、優れた透明性、そして高い機械的強度を有する等の見地から、ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、PET樹脂という)を2軸延伸ブロー成形した壜体その他の中空容器が、積極的に使用されるようになるにつれて、使用済となった大量の空の容器は、そのまま一般のゴミと一緒に廃棄されているが、空の容器は大きな容積をとるのでゴミとして効率的に収集を行うことが非常に難しかった。
【0005】
そこで、このように中空容器が多用されるに伴って、生活一般のゴミとして廃棄される中で合成樹脂容器の占める割合が多くなるに連れて、分解しにくくて、焼却時の発熱量が大きい合成樹脂容器は、そのゴミ処理が社会的に環境問題を引き起こす原因の一つとなり、これらの空の容器は回収して再使用することにより資源の無駄遣いをなくすことが求められるようになったことから、廃棄に際して容積を小さくした効率的な回収が検討されるようになった。
【0006】
このような社会的な要求に対応して、使用済の空の容器を回収するために、不用となった容器を廃棄する際に、容積が嵩ばらないような構造にした容器としては、実開平5−46717号公報に記載するように、角形をした中空容器の胴部の側壁及び底部に折り畳み線部を設けておいて、空となった容器を廃棄する際には、前記折り畳み線に沿って偏平状に折り畳んで、容易に体積を小さくできるようにしたものがある。
しかし、上記のように偏平に折り畳む構造のものは、折り畳んだ容器の弾性復帰力に伴って容器内に空気が入り易いので、折り畳んだ状態を安定して保持することが困難であると同時に、胴壁部が薄くなるようにブロー成形したものは補強リブがないので強度的に問題がある。
【0007】
このような欠点を改良したものとして特開平7−101442号公報に記載するように、容器の口頸部に形成したネジ部及びネックリングに不連続部を形成すると共に底部に押圧力により内側に陥没する凹状溝部を形成して、容器の胴部には対抗する側壁の一方の壁面に凹状部を、これと対向する他方の壁面には突状部を、それぞれリブ状に形成して、偏平状に折り畳んだ際に前記凹状部に突状部が嵌合して、偏平状に安定して保持できるようにして廃棄するようにしたものがある。
しかし、上記のように容器を単に偏平状に押し潰しただけでは、その表面積は広いままであるので、容積は小さくなるが外形が大きいので、回収用の容器に収容するには手間がかかるという難点がある。
【0008】
そこで、使用済あるいは不用となった容器を廃棄する際に、容器の体積を小さくすると共に、表面積をも小さくすることができるようにした中空容器として、特開平7−315382号や実用新案登録第3005485号に見るように、円筒状をした中空容器の胴部壁に円周方向に溝を多数設けて伸縮可能な蛇腹状に形成して、空となった容器は軸方向に容易に圧縮して容積を小さくすることがでるようにしたものがある。
しかしながら、上記のような構造にした容器は、空の容器を上下方向に蛇腹部分を単に圧縮して高さを縮小するだけであるので、圧縮された容器の中央部には大きな空間部分を残しており、廃棄物としての全体積を大幅に減少させることは不可能であり、また、このように圧縮したものはすぐに元の形状に戻り易い恐れがある等の欠点がある。
【0009】
そこで、上記のように圧縮される容器の中央部分に大きな空間部分が残らないように改良した中空容器としては、実用新案登録第3019290号に見るように、胴部に伸縮可能な蛇腹部を形成して圧縮可能にした中空容器に於いて、口頸下端部に係合凹溝を形成すると共に、底部には係合突起部を形成して、使用済となった空の容器を廃棄する際に、容器の口頸部を下方へ押圧して圧縮することにより、口頸部と肩部が容器内部に圧入されて、前記口頸部の係合凹溝内に底部の係合突起が係合して圧縮された状態に保持できて、容器の中央部分に空間部分が生じないようにして、従来の容器に比べて、密に圧縮して体積を小さくすることができるようにしたものがある。
【0010】
また、特開平6−171647号公報に見るように、金属製の円筒状中空容器の胴部壁面に多数の斜め方向の溝を交差せしめて編み目状の凹状溝を設けて、容易に押し潰すことができるようにした、廃棄時に簡単に体積を縮小できて、効率よく回収可能にしたものがある。
しかし、このような構造をした容器を成形するには、従来のものに比べて容器の構造及びそれを成形する成形金型の構造が複雑になり、且つ、容器の胴部壁を伸縮可能にブロー成形するには細心の注意を必要とするので製造コストも高くなり、また、その構造上からも胴壁部の肉厚を薄くするについても限界があるので、PET樹脂を用いた中空容器には適していない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
通常使用されるPET樹脂製の容器を、再生または廃棄処理するために効率よく回収しようとすると、そのままでは容積が大きくて非常に嵩ばって回収効率が悪いので、廃棄する時に容器を潰して嵩ばらないように小さい形に圧縮することができる合成樹脂製の容器の出現がが望まれるようになってきた。
本願発明は、このような問題点を解決すべく、従来から使用されいる円筒状をした中空容器に於いて、胴部に形成した補強リブを特別な構造となすことにより、胴部壁の肉厚を従来のものに比してできる限り薄くして容器の重量の軽減を図ると共に、内容物の充填時や移送及び使用時の外力には充分に耐え得る強度のリブとなして、使用済あるいは不用となった際には、容器の壁面は容易に押し潰しが可能な構造をしたリブであって、簡単に容器の体積を小さく圧縮してから廃棄することができるようにして、容器の回収が容易な円筒状をした合成樹脂製の中空容器を提供せんとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ブロー成形した円筒状の中空容器の胴壁部に、横方向の半周面に上方へ湾曲したリブと下方へ湾曲したリブとを両端が連結するように交互に形成すると共に該両湾曲リブは中央部が接するように形成した突状リブを正面及び裏面に対称に設けて、且つ、前記湾曲リブにより囲まれるように形成される正面の概略凸レンズ状及び側面の概略菱形状をした凹状リブを設けることにより、容器の胴部壁を極めて薄肉となして、容器の重量を軽減すると共に原料の節約を図るようにする。
そして、上記リブは内容物が充填されている時には上下方向の外力に対しても充分な強度を有しているが、内容物をほぼ完全に排出した後は、容器を横方向に押圧力を加えることにより前記リブ部を容易に座屈させて、容器の体積が小さくなるように押し潰すことが可能な胴壁の構造に形成する。
【0013】
【発明の実施の形態】
円筒状をした中空容器の胴部3壁の正面と裏面に、上方へ湾曲したリブ3bと下方へ湾曲したリブ3aとが円周方向に180°の範囲で弧を描くように対称に形成して、該リブの両端部3eは側面で連結すると共に湾曲中央部3fで上下に連接して外側に凸状となるように形成されてなるリブが、容器の肩部下から底壁上部にかけて交互に形成されるように中空容器をブロー成形する。
そして、正面及び裏面の湾曲した凸状リブにより囲まれて形成される凸レンズ状部分3cと、両側面の上記凸状リブにより囲まれて形成される菱形状部分3fとを内側に凹状となるようにリブを形成して中空容器に構成される。
上記のような構造をした中空容器は、上下方向には簡単には座屈することはないが、横方向には簡単に座屈するように胴壁部が肉薄に形成されているので、空になった容器は楽に押し潰すことができて、容器は体積が小さくなるように圧縮して折り畳んでから廃棄することがてきる。
【0014】
【実施例】
本願発明の中空容器について、図面を参照しつつ最適な具体例の一つを以下に説明する。
本願発明は、PET樹脂を射出成形してなるプリフォームを、2軸延伸ブロー成形法により図1及び2に示すように、口頸部1に肩部2を経て連続する胴部3と底部4とからなる中空容器に2軸延伸ブロー成形して、その断面が大略円形をした円筒状容器を成形する。
前記容器は、その胴部3に円周方向に180°の範囲で下方へ半円弧状に湾曲したリブ3aと上方へ半円弧状に湾曲したリブ3bとを容器壁面の正面と裏面に対称となるように形成すると共に、該両リブはその両端部3eが連結した上下方向に偏平なO形状に形成して、且つ、該リブ部は外側に凸状となる補強リブに形成されている。
そして、前記突状リブにより囲まれて、正面及び裏面に形成される外観が概略凸レンズ状をした部分3cと、両側面に形成される外観が概略菱形状をした部分3dとを、内側に凹状となる補強リブに形成されている。
【0015】
上記のような構造をした本願発明の容器は、内容物が充填されて蓋で密封されている時には、図1に示すように矢印Fで示す方向に荷重や衝撃その他の外力が容器の壁面に加えられても、湾曲せしめて設けられた凸状の補強リブ3a,3bにより、上記力Fは矢印fで示すように偏向して小さな力に分散されるように構成されている。
従って、本発明の容器の壁面は,通常の外力によっては容易に変形したり、亀裂を生じたりする恐れがないので、容器の胴部の肉厚は従来の容器に比して極めて薄くなるように2軸延伸ブロー成形されている。
【0016】
以上説明した実施例に於いては、図1,2に示すように、円筒状容器の胴部の周壁に偏平なO形状の凸状リブを形成したものについて説明したが、本願発明は、このような形状に代えて図4に示すように、容器の周壁面に、位相を180°ずらして螺旋状に形成した二条の右巻凸状リブ23a,23bと、この右巻リブと90°ずれた位置に位相を180°ずらして螺旋状に形成した二条の左巻凸状リブ23e,23fとを交差状に組み合わせて設けることにより、これらの凸状リブに囲まれた部分は概略菱形状を形成されたものとなるが、この菱形状部分を凹状に形成することによっても、上記実施例と同様な作用、効果を有する中空容器を得ることができる。
また、上記のように螺旋状に形成する凸状リブは、左巻と右巻とをそれぞれ二条づつ設けたものに限定されるものではなく、容器の大きさや容器壁の肉厚、材質等に基づいて、適当なリブの条数及びリブの幅を選択することができることは言うまでもない。
【0017】
そして、このような構造に形成された中空容器は、使用済みまたは不用になって廃棄する際には、蓋を開けて容器の内容物を全部排出した後、空になった容器の胴壁部を横方向に押圧すると、胴壁が肉薄に形成されているので容易に押し潰して偏平に圧縮することができる。
従って、このように圧縮されて、嵩ばらないように容積が小さくなった本願発明の容器は、収集用の容器に投入されて効率よく収集されて、再生資源として回収利用されるか、または、廃棄されて焼却処理される。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の2軸延伸ブローした容器は、補強用の凸状リブを容器の軸芯に対して2方向に傾斜するように湾曲させた独特のリブに形成して、該リブに囲まれた凸レンズ状や菱形状をした部分を凹状リブとする特定の形状にしたことにより、強度を損なうこともなく容器の胴壁を極めて薄くできるので、重量を軽減することができる。
そして、従来のものに比して容器の胴壁が薄く形成されているので、空になった容器は容易に押し潰すことができるので、容器を使用後に廃棄する際には、小さく圧縮されて容器の嵩ばりがなくて、資源の再生利用または廃棄物のための回収作業が非常に容易となるので、回収効率を著しく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の第1実施例の容器を示す正面図である。
【図2】図1に示す本願発明のA−A断面図である。
【図3】従来の円筒状中空容器を示す図である。
【図4】本願発明の第2実施例の容器を示す正面図である。
【符号の説明】
1 容器の口頸部
2 肩部
3 胴部
3a 凸状リブ
3b 凸状リブ
3c 凹状リブ
4 底部

Claims (6)

  1. 口頸部に連接した肩部と胴部と底部とからなる合成樹脂を2軸延伸ブロー成形してなる中空容器の胴部壁面に凹凸状の補強リブを形成した円筒状容器であって、前記胴部壁の半周面に下向きに湾曲するリブと上向きに湾曲するリブとを組み合わせて偏平なO形状に形成してなる凸状リブを容器の正面及び後面の対称位置に複数個連続して設けたことを特徴とする容易に押し潰し可能な中空容器。
  2. 前記偏平なO形状に形成してなる凸状リブは、湾曲した中央部で上下のリブが連結していることを特徴とする請求項1に記載した容易に押し潰し可能な中空容器。
  3. 前記偏平なO形状に形成してなる凸状リブは、容器の側面部で両端が接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載した容易に押し潰し可能な中空容器。
  4. 前記偏平なO形状に形成してなる凸状リブにより囲まれた容器の正面と後面に形成する凸レンズ形状及び容器の両側面に形成する菱形状をした部分を凹状のリブとしたことを特徴とする請求項1乃至3に記載した容易に押し潰し可能な中空容器。
  5. 口頸部に連接した肩部と胴部と底部とからなる合成樹脂を2軸延伸ブロー成形してなる中空容器の胴部壁面に凹凸状の補強リブを形成した円筒状容器であって、前記胴部壁の周面に左巻に螺旋した凸状リブと右巻に螺旋した凸状リブとを交差して組み合わせ形成すると共に、前記左右の螺旋状リブに囲まれた壁面を凹状に形成して設けたことを特徴とする容易に押し潰し可能な中空容器。
  6. 前記胴部壁の周面に形成した凸状リブは、位相が180°ずれた二条の左巻リブと位相が180°ずれた二条の右巻リブとを対称に交差させて形成されてなることを特徴とする請求項5に記載する容易に押し潰し可能な中空容器。
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