JP3769478B2 - 携帯式の折り畳み電子機器の構造 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は二つに折り畳まれる携帯式の折り畳み電子機器の構造に関する。特に、本発明は、筐体を樹脂製にする際に内蔵する印刷配線基板の剛性を確保することを可能にする携帯式の折り畳み電子機器の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、折り畳み電子機器が上側部と下側部に2つに折り畳まれおり、折り畳んだ状態から展開する際には、通常、下側部を掌に持って上側部の端を指で押し上げ、ストッパで展開が止まると指の押し上げを停止し、使用を開始することは周知である。
【0003】
また、折り畳み電子機器には印刷配線基板が内蔵されており、折り畳み電子機器の外側には剛性を有する筐体が設けられており、折り畳み電子機器には折り畳みを行うヒンジ部が設けられており、携帯性を考慮して薄型化することは知られている。
なお、折り畳み電子機器の筐体は、全体として、剛性を確保するためマグネシウムダイカストを使用した金属製で形成される。
【0004】
折り畳んだ状態から展開時に、折り畳み電子機器の上側部を指で押し上げ、ストッパで、展開が停止されるが、停止時に上側部に押し上げる力が残ると、ヒンジ部のストッパを支点として曲げモーメントが発生し、折り畳み電子機器の上側部に撓みが発生する場合がある。
この撓みに起因して内蔵する印刷配線基板に撓みが生じないように、剛性を有するマグネシウムダイカスト製の筐体で印刷配線基板を保護している。なお、印刷配線基板の撓みを放置すると、印刷配線基板に構成される回路の故障の原因となる。
【0005】
さらに、折り畳み電子機器のヒンジ部は、筐体の一部として構成されるので、マグネシウムダイカストの筐体の剛性で、ヒンジとしての強度を確保している。
なお、ヒンジ部を単に樹脂製にすると、ヒンジ部の強度が不足するので、ヒンジが破損する場合がある。このため、この不足を補うために別ピースの金属製の補強部品をヒンジ部に用いる必要があり、このため部品点数及び組み立て工数が増大することになる。
【0006】
【発明が解決しょうとする課題】
しかしながら、上記折り畳み電子機器の筐体を形成するマグネシウムダイカストは生産性の問題等でデザイン上の制約が多く、コストも高いという問題がある。
したがって、本発明は上記問題点に鑑みて、内蔵する印刷配線基板の撓み、ヒンジ部の強度不足の双方を生じさせずに、デザイン上の制約を低減でき、且つコストダウンを可能にする携帯式の折り畳み電子機器の構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記問題点を解決するために、上側部と下側部とをヒンジ部で2つに折り畳み、上側部にLCDを有する携帯式の折り畳み電子機器の構造において、前記下側部と、展開時に曲げモーメントが発生する前記上側部の双方が樹脂で形成される筐体と、前記上側部の筐体に内蔵され、前記LCDを貼り付け、印刷配線基板の全体を覆い、展開時に前記上側部の筐体に発生する曲げモーメントに対して前記印刷配線基板の剛性を確保するための剛性材料で形成されるLCDフレームとを備えることを特徴とする携帯式の折り畳み電子機器の構造。
【0008】
この手段により、筐体を樹脂にし、従来のように筐体の剛性に頼らずに、曲げモーメント発生時に、内蔵する印刷配線基板の撓みを解消し、筐体のデザイン上の制約が低減でき、且つコストダウンが可能になる。
さらに、前記ヒンジ部では、上側部の上側ヒンジ部の筒部、下側部の下側ヒンジ部の筒部を棒状のヒンジユニットを挿入して結合する際に、前記上側ヒンジ部の筒部の空間に、剛性材料で形成される前記LCDフレームの内部補強部を入れるようにする。
【0009】
この手段により、さらに、筐体を樹脂化することによるヒンジ部の強度不足を解消し、筐体のデザイン上の制約が低減でき、且つコストダウンが可能になる。従来のように、別ピースの補強部材を用いることなく、強度を確保できるので、部品点数、組み立て工数を削減できる。
好ましくは、前記LCDフレームは金属製の材質で構成され、さらに、好ましくは、前記LCDフレームはマグネシウムダイカスト製の材質で構成され、さらに、好ましくは、前記LCDフレームはセラミック製の材質で構成される。
これらの材質により、印刷配線基板の撓み防止、ヒンジ部の補強の双方が可能になる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る携帯式の折り畳み電子機器の概略構造を示す組み立て斜視図であり、図2は図1における携帯式の折り畳み電子機器の部分縦断面図である。
【0011】
本図1に示すように、携帯式の折り畳み電子機器は、概略、2つに折り畳まれる上側部40と下側50と、上側部40と下側部50を結合するヒンジ部60からなる。
携帯式の折り畳み電子機器には上側40の上側フロントケース11、下側部50の下側フロントケース14、上側フロントケース11及び下側フロントケース14のリアカバー19、25が設けられ、上側フロントケース11、下側フロントケース14、リアカバー19、25は、樹脂製の材質からなり、モールド成形される畳み電子機器の筐体を構成する。
【0012】
さらに、上側フロントケース11にはLCD表示窓部26、上側半ヒンジ部12、13等がモールド成形され、下側フロントケース14には複数のボタン窓部27、下側ヒンジ部28、29、30等が形成される。
さらに、リアカバー19には上側フロントケース11の上側半ヒンジ部12、13に対応して上側半ヒンジ部20、21が設けられる。
【0013】
さらに、リアカバー19、25には上側フロントケース11、下側フロントケース14をそれぞれ締結するために複数のネジボス33が設けられている。
上側フロントケース11とリアカバー19の間にはLCD部15、LCDフレーム部16、印刷配線基板18が設けられ、下側フロントケース14とリアカバー25との間には印刷配線基板24が設けられる。
【0014】
LCD15はLCDフレーム16に取り付けられ、LCD表示窓部26を通して表示を行う。
印刷配線基板24に図示しない複数のボタンが搭載され、複数のボタンが下側フロントケース14のボタン窓部27から突出する。
LCDフレーム16は、マグネシウムダイカスト等の金属製であり、剛性を有する。LCDフレーム16にはLCD部15を貼り付けるLCD取付部31が設けられ、さらに、内部補強部17が設けられる。
【0015】
LCDフレーム16は印刷配線基板18のほぼ全体を覆い、印刷配線基板18に取り付けられる。
さらに、上側フロントケース11とリアカバー19、下側フロントケース14とリアカバー25は複数のネジ23で締結される。
次に、ヒンジ部60は、上側半ヒンジ部12、13、20、21、LCDフレーム16の内部補強部17、下側ヒンジ部28、29、30、棒状のヒンジユニット22で構成される。
【0016】
この場合、上側半ヒンジ部12、13、20、21で形成される筒部に内部補強部17の筒部を入れる。さらに、内部補強部17を入れた上側半ヒンジ部12、13、20、21の筒部と下側ヒンジ部28、29、30の筒部を嵌合して1つの筒にし、筒部にヒンジユニット22を挿入してヒンジ部60が形成される。
内部補強部17は、樹脂で形成される上側フロントケース11の上側半ヒンジ部12、13、リアカバー19の20、21で形成されるヒンジ部60の上側の強度を確保する。
【0017】
次に、携帯式の折り畳み電子機器の組み立て手順について説明を行う。
上側部40の上側フロントケース11と下側部50の下側フロントケース14をヒンジユニット22で結合してフロントケース集合体にする。
次に、マグネシウムダイカスト等の金属製のLCDフレーム16にLCD部15を貼り付けた後、印刷配線基板18のほぼ全体を覆っているLCDフレーム16を印刷配線基板18に取り付ける。
【0018】
この状態で、LCD部15、LCDフレーム16、印刷配線基板18、印刷配線基板24をフロントケース集合体に組み込み、リアカバー19を上側フロントケース11に嵌合させ、且つリアカバー25を上側フロントケース14に嵌合させた後、ネジ23で締結する。これにより、上側フロントケース11の筐体にLCDフレーム16が固定される。
この際、印刷配線基板18の剛性は金属製のLCDフレーム16で確保される構造となる。
本図2に示すように、上側フロントケース11の先端に力を加え折り畳み状態から展開し、ストッパ32で展開を停止する際に、ストッパ32を支点として、上側部40に曲げモーメントが発生する。
【0019】
この場合、印刷配線基板18自体には剛性がなくとも、LCDフレーム16の剛性により印刷配線基板18には撓みが発生しない。
また、上記の曲げモーメントの発生により、上側部40のヒンジ部60付近には曲げ応力が発生する。
この場合、前述のように、上側フロントケース11の上側半ヒンジ部12とリアカバー19の半ヒンジ部20、上側フロントケース11の上側半ヒンジ13とリアカバー19の半ヒンジ21で構成される筒状の空間にLCDフレーム16の内部補強部17が入り込み、ヒンジ部60の強度が確保される構造になっている。
【0020】
このため、内部補強部17により、剛性が大きくなり、曲げ応力は、剛性に反比例して、小さくなる。
このようにして、本発明によれば、筐体を樹脂製とし、曲げモーメント発生時に金属製のLCDフレーム16で剛性で確保し、従来のように筐体の剛性に頼らずに、印刷配線基板18の撓みを防止し、ヒンジ部16付近の曲げ応力を小さくするようにしたので、樹脂製の筐体を構成する上側フロントケース11、下側フロントケース14、リアカバー19、25のデザインの自由度を向上させることが可能になった。
【0021】
ヒンジ部60に荷重がかかっても筐体がマグネシウムダイカストの場合と同等の強度を得ることが可能になる。
さらに、ヒンジ部60に、従来のように別ピースの補強部材を用いることなく、強度を確保できるので、部品点数、組み立て工数を削減できる。
なお、本発明の他の実施例として、LCDフレーム16をセラミックの材質で構成しても、上記と同様の作用効果を得ることができる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、樹脂で形成される筐体と、上側部の筐体に内蔵され、LCDを貼り付け、印刷配線基板の全体を覆うように剛性材料で形成されるLCDフレームとを備えるようにしたので、曲げモーメント発生時に、筐体を樹脂化することにより、従来のように筐体の剛性に頼らずに、内蔵する印刷配線基板の撓みを解消でき、筐体のデザイン上の制約が低減でき、且つコストダウンが可能になる。
【0023】
さらに、ヒンジ部は、上側部の上側ヒンジ部の筒部、下側部の下側ヒンジ部の筒部を棒状のヒンジユニットを挿入して結合する際に、上側ヒンジ部の筒部の空間に剛性材料で形成されるLCDフレームの内部補強部を入れるようにしたので、筐体を樹脂化することによるヒンジ部の強度不足を解消し、筐体のデザイン上の制約が低減でき、且つコストダウンが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る携帯式の折り畳み電子機器の概略構造を示す組み立て斜視図である。
【図2】図1における携帯式の折り畳み電子機器の部分縦断面図である。
【符号の説明】
11…上側フロントケース
12、13、20、21…上側半ヒンジ部
14…下側フロントケース
15…LCD部
16…LCDフレーム
17…内部補強部
18、24…印刷配線基板
19、25…リアカバー
22…ヒンジユニット
23…ネジ
28、29、30…下側ヒンジ部
31…LCD取付部
32…ストッパ
33…ネジボス
40…上側部
50…下側部
60…ヒンジ部
Claims (5)
- 上側部と下側部とをヒンジ部で2つに折り畳み、上側部にLCDを有する携帯式の折り畳み電子機器の構造において、
前記下側部と、展開時に曲げモーメントが発生する前記上側部の双方が樹脂で形成される筐体と、
前記上側部の筐体に内蔵され、前記LCDを貼り付け、印刷配線基板の全体を覆い、展開時に前記上側部の筐体に発生する曲げモーメントに対して前記印刷配線基板の剛性を確保するための剛性材料で形成されるLCDフレームとを備えることを特徴とする携帯式の折り畳み電子機器の構造。 - 前記ヒンジ部では、上側部の上側ヒンジ部の筒部、下側部の下側ヒンジ部の筒部を棒状のヒンジユニットを挿入して結合する際に、前記上側ヒンジ部の筒部の空間に、剛性材料で形成される前記LCDフレームの内部補強部を入れるようにすることを特徴とする、請求項1に記載の携帯式の折り畳み電子機器の構造。
- 前記LCDフレームは金属製の材質で構成されることを特徴とする、請求項1に記載の携帯式の折り畳み電子機器の構造。
- 前記LCDフレームはマグネシウムダイカスト製の材質で構成されることを特徴とする、請求項1に記載の携帯式の折り畳み電子機器の構造。
- 前記LCDフレームはセラミック製の材質で構成されることを特徴とする、請求項1に記載の携帯式の折り畳み電子機器の構造。
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