JP3769289B2 - 新規蛋白質脱アミド酵素、それを生産する微生物、それをコードする遺伝子、その製造法及び用途 - Google Patents

新規蛋白質脱アミド酵素、それを生産する微生物、それをコードする遺伝子、その製造法及び用途 Download PDF

Info

Publication number
JP3769289B2
JP3769289B2 JP2004342158A JP2004342158A JP3769289B2 JP 3769289 B2 JP3769289 B2 JP 3769289B2 JP 2004342158 A JP2004342158 A JP 2004342158A JP 2004342158 A JP2004342158 A JP 2004342158A JP 3769289 B2 JP3769289 B2 JP 3769289B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protein
amino acid
polypeptide
acid sequence
peptide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2004342158A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005052158A (ja
JP2005052158A5 (ja
Inventor
庄太郎 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Amano Enzyme Inc
Original Assignee
Amano Enzyme Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Amano Enzyme Inc filed Critical Amano Enzyme Inc
Priority to JP2004342158A priority Critical patent/JP3769289B2/ja
Publication of JP2005052158A publication Critical patent/JP2005052158A/ja
Publication of JP2005052158A5 publication Critical patent/JP2005052158A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3769289B2 publication Critical patent/JP3769289B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23JPROTEIN COMPOSITIONS FOR FOODSTUFFS; WORKING-UP PROTEINS FOR FOODSTUFFS; PHOSPHATIDE COMPOSITIONS FOR FOODSTUFFS
    • A23J3/00Working-up of proteins for foodstuffs
    • A23J3/30Working-up of proteins for foodstuffs by hydrolysis
    • A23J3/32Working-up of proteins for foodstuffs by hydrolysis using chemical agents
    • A23J3/34Working-up of proteins for foodstuffs by hydrolysis using chemical agents using enzymes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/14Hydrolases (3)
    • C12N9/78Hydrolases (3) acting on carbon to nitrogen bonds other than peptide bonds (3.5)
    • C12N9/80Hydrolases (3) acting on carbon to nitrogen bonds other than peptide bonds (3.5) acting on amide bonds in linear amides (3.5.1)

Description

本発明は、新規な酵素、即ち蛋白質中の側鎖アミド基に作用して、側鎖カルボキシル基とアンモニアを遊離する作用を有する新規な酵素及びその製造法に関する。更に詳細には、シトファガレス(Cytophagales)或いはアクチノマイセテス(Actinomycetes)に分類される細菌、より詳細にはクリセオバクテリウム(Chryseobacterium)属、フラボバクテリウム(Flavobacteium)属、エンペドバクター(Empedobacter)属、スフィンゴバクテリウム(Sphingobacterium)属、アウレオバクテリウム(Aureobacterium)属及びミロイデス(Myroides)属に属し、蛋白質中のアミド基を脱アミドする性質を有する酵素生産能を有する菌株を培地に培養し、該酵素を生産せしめ、培養物より該酵素を採取することを特徴とする蛋白質中のアミド基を脱アミドする性質を有する酵素の製造法に関する。更に詳細には、クリセオバクテリウム(Chryseobacterium)属に属する新菌株クリセオバクテリウム・エスピー No.9670(Chryseobacterium sp. No.9670)を培養し、該酵素を生産せしめ、培養物より該酵素を採取することを特徴とする蛋白質中のアミド基を脱アミドする性質を有する酵素の製造法に関する。更に本発明は、蛋白質中のアミド基に直接作用する新規な酵素を用いた蛋白質の修飾方法に関する。更に、本発明は、蛋白質中のアミド基を脱アミドする性質を有する酵素、該酵素をコードする遺伝子、該遺伝子を含有するベクター、該ベクターを導入した形質転換体、及び形質転換体を培地に培養し、該酵素を生産せしめ、培養物より該酵素を採取することを特徴とする蛋白質のアミド基を脱アミドする性質を有する酵素の製造法に関する。
グルタミナーゼ及び/又はアスパラギナーゼはグルタミン及び/又はアスパラギンを水解してグルタミン酸及び/又はアスパラギン酸とアンモニアにする酵素であり、これが動植物及び微生物から得られることはよく知られている。しかし、この酵素はグルタミン及び/又はアスパラギンに特異的に作用する酵素であり、ペプチド中のグルタミン及び/又はアスパラギンを脱アミドすることはできない。ましてペプチドより分子量の大きな蛋白質中のグルタミン及び/又はアスパラギンのγ及び/又はβ-アミド基を脱アミドすることはできない。まして蛋白質中の状態に結合するグルタミン及び/又はアスパラギンに作用することはできない。
また、ペプチド状態に存在するアミド基に作用する酵素としては、トランスグルタミナーゼがある。この酵素はペプチド結合グルタミンのアミド基をアシル供与体、一級アミンのアミノ基をアシル受容体として、蛋白質にアミン化合物の共有結合的導入や、蛋白質中のグルタミンとリジン両残基間でのε-(γ-グルタミル)リジン-ペプチド結合による架橋形成を触媒する。反応系にアミンやリジンが存在しない或いはブロックされている場合には水がアシル受容体になり、ペプチド中のグルタミン残基が脱アミドされグルタミン酸となることが知られているが、この酵素は上述のように本来アシル転移酵素であるため、通常の蛋白質に作用させると架橋反応が起こり、蛋白質を脱アミド化する反応は生ぜず、本発明の酵素とは異なる。
また、ペプチド中に結合するグルタミンに作用して脱アミドする酵素についてはバチルス サーキュランス(Bacillus circulans)由来の酵素、ペプチドグルタミナーゼ I(Peptidoglutaminase I)及びペプチドグルタミナーゼ II(Peptidoglutaminase II)が知られている。前者は、ペプチドのC末端に位置するグルタミン残基に作用し、後者はペプチド中のグルタミン残基に作用することが知られている.しかしながら、これらの酵素は高分子蛋白質には作用せず、低分子ペプチドにのみ作用する酵素である [M. Kikuchi, H. Hayashida, E. Nakano, and K. Sakaguchi, Biochemistry, 10巻, 1222-1229(1971)]。
これらの酵素(ペプチドグルタミナーゼI及びII)を、低分子ペプチドでなく高分子の蛋白質に作用させる試みが、複数の研究によってなされてきたが、それらの酵素が高分子蛋白質に作用せず、蛋白質加水分解ペプチドにしか作用しないことが明らかにされている.具体的には、Gillらは、乳カゼインとホェイ蛋白質に対して、未変性(native)の状態ばかりでなく、変性後においても、ペプチドグルタミナーゼI及びIIいずれも作用しないことを報告している。彼らは、またそれらの蛋白質の加水分解物に対する作用性を検討した結果、ペプチドグルタミナーゼ IIのみ作用したが、分子量5000以下のペプチドにしか作用しないことを報告している(B. P. Gill, A. J. O'Shaughnessey, P. Henderson and D. R. Headon, Ir. J. Food Sci. Technol., 9巻, 33-41(1985))。大豆蛋白質を用いて同様の検討が、Hamadaらによって行われたが、Gillらの結果との一致を見ている。即ち、大豆ペプチド(Peptone)に対する脱アミド率が24.4−47.7%に対し、大豆蛋白質に対しては実質的に作用しないことが報告されている(J. S. Hamada,F. F. Shih, A. W. Frank and W. E. marshall, J. Food Science, 53巻, 2号, 671-672(1988)、USP 5082672)。
Hamadaらのこれらの一連の報告においては、Bacillus circulans由来のペプチドグルタミナーゼが、蛋白質に対してごく僅かながら作用しているデータが示されている。一方、同じ菌株(Bacillus circulans ATCC21590)由来の同じ酵素を用いたKikuchiら(M. Kikuchi, H. Hayashida, E. Nakano, and K. Sakaguchi, Biochemistry, 10巻, 1222-1229(1971))及びGillら(B. P. Gill, A. J. O'Shaughnessey, P. Henderson and D. R. Headon, Ir. J. Food Sci. Technol., 9巻, 33-41(1985))は、本酵素は低分子ペプチドには作用するが、蛋白質には作用しないと報告している。本発明者は、Bacillus circulans ATCC 21590からペプチドグルタミナーゼを精製し確認したところ、Hamadaらが報告している蛋白質に対する僅かな脱アミド活性は、使用されたペプチドグルタミナーゼ標品中に混在していたプロテアーゼにより生じたペプチド即ち低分子化したペプチドに、ペプチドグルタミナーゼが作用した結果であることが判明した。
一方、植物の種子中に蛋白質を脱アミドする酵素の存在の可能性が報告されている(I. A. Vaintraub, L. V. Kotova, R. Shara, FEBS Letters, 302巻, 169-171 (1992))。しかしながら、この報告においては、部分精製品を用いて蛋白質からアンモニアの遊離を観察しているが、以下に述べる理由により、本発明に開示される酵素の存在を証明するものではないことは明らかである。即ち、部分精製品を用いている点、プロテアーゼ活性が存在しないことが確認されていない点、反応後の基質蛋白質の分子量変化が生じていないことが確認されていない点により、一つの酵素の作用ではなく複数の酵素、例えばプロテアーゼ、ペプチダーゼにより蛋白質から遊離したアミノ酸グルタミン及び/又はアスパラギンがグルタミナーゼ及び/又はアスパラギナーゼにより脱アミドされアンモニアが遊離さ
れている可能性、或いは同様にして生じたグルタミン含有低分子ペプチドがペプチドグルタミナーゼ様酵素により脱アミドされている可能性が残されている。或いはまたプロテアーゼの副反応により脱アミドされている可能性も否定できない。とりわけ、上記の報告中において、用いられた部分精製標品中に遊離のグルタミンに作用してアンモニアを遊離するグルタミナーゼ活性が存在することが明記されていることは特記すべきである。このように、高分子蛋白質に作用して脱アミド反応を触媒する酵素について、単一蛋白質まで精製し、さらに遺伝子を単離し発現させることにより、その存在を証明した報告はこれまでにはなかった。とりわけ、工業的生産に有利な微生物由来のそのような酵素は、これまでに知られていなかった。
一般に蛋白質中のグルタミン及びアスパラギン残基を脱アミド化し、カルボキシル基を生じさせると、その蛋白質の負電荷が増加し、その結果等電点が低下、水和力が増加する。さらに静電反撥力の上昇による蛋白質間の相互作用の低下すなわち会合性の低下がもたらさる。これらの変化により蛋白質の可溶性、水分散性は大きく増大する。また蛋白質の負電荷の増加は、その蛋白質の折りたみをほぐし、高次構造を変化させ、分子内部に埋もれていた疎水性領域を分子表面に露出させる。したがって脱アミド化蛋白質は、両親媒性を有し理想的な界面活性剤となり、蛋白質の乳化力、乳化安定性、起泡性、泡沫安定性が大きく向上する。
このように、蛋白質の脱アミド化は、蛋白質の様々な機能特性の向上をもたらし、その蛋白質の用途は飛躍的に増大させる (例えばMolecular Approaches to Improving Food Quality and Safety, D. Chatnagar and T. E. Cleveland, eds., Van Nostrand Reinhold, New York, 1992, p. 37)。
この為、蛋白質を脱アミド化する方法は、古くより盛んに研究され多くの方法が考えられてきた。蛋白質を化学的に脱アミド化させる方法としては、高温条件下での温和な酸 (または温和なアルカリ処理法などがあった。一般に蛋白質中のグルタミン及びアスパラギン残基のアミド基は、酸或いは塩基により加水分解される。しかしながらこの反応は非特異的であり、強酸、強アルカリ条件下では、ペプチド結合の切断も伴う。また蛋白質の変性も伴い、その蛋白質の機能性を損なう結果となる。
そこでこれらの望ましくない反応を制限するため種々工夫されて、温和な酸処理 (例えばJ.W. Finley, J. Food Sci. 40, 1283, 1975; C.W. Wu, S. Nakai, and W.D. Powie, J. Agric. Food Chem., 24, 504, 1976など)や温和なアルカリ処理 (例えばA. Dilollo, I. Alli, C. Biloarders, N. Barthakur, J. Agric. Food Chem., 41. 24, 1993など)が考案された。また、酸としてドデシル硫酸ナトリウム(F.F. Shih and A. Kalmar, J. Agric. Food Chem., 35, 672, 1987)や陽イオン交換樹脂(F.F. Shih, J.food Sci., 52, 1529, 1987)などを触媒として用いたり、或いはまた低水分下での高温処理法(J. Zhang, T.C. Lee, and C.-T. Ho, J. Agric. Food Chem., 41, 1840, 1993)なども試みられてきた。
しかしながら、いずれの方法でもペプチド結合の切断を完全に制限することは困難であった。ペプチド結合の切断は、脱アミド化により期待される蛋白質の機能性の向上を阻害する(特に泡沫安定性の低下)ばかりでなく、苦味の生成ももたらし好ましくない。また酸処理法に比べて効率のよいアルカリ処理法では、アミノ酸のラセミ化や毒性の疑いのあるリジノアラニンが生ずる欠点もあった。
一方、上述の化学法の問題点を克服するため、蛋白質の酵素的脱アミド化法もいくつか試みられてきた。高pH (pH10)条件下でのプロテアーゼ処理法(A. Kato, A. Tanaka, N. Matsudomi, and K. Kobayashi, J. Agric. Food Chem., 35, 224, 1987)、トランスグルタミナーゼ法(M. Motoki, K. Seguro, A. Nio, and K. Takinami, Agric. Biol. Chem., 50, 3025, 1986)、ペプチドグルタミナーゼ法(J.S. Hamada, and W.E. Marshall, J. Food Sci., 54, 598, 1989)の三つの方法が考えられてきたが、いずれも欠点があった。
まずプロテアーゼ法では、その本来の反応であるペプチド結合の切断はさけられなかった。ペプチド結合の切断が好ましくないことは上述の通りである。
またトランスグルタミナーゼ法では、その本来の反応であるグルタミンとリジン間でのイソベプチド結合の形成による架橋反応を押さえるためには、予めリジン残基のε-アミノ基を化学的に保護しておく必要があった。脱アミド化蛋白質を食品用などに供する場合は、可逆的保護基であるシトラコニル基などで保護しておいた後グルタミンを脱アミドさせ、その後保護基をはずし、さらに遊離したシトラコニル酸と脱アミド化蛋白質を分離しなければならなかった。これらの過程は製造コストを大きく増大させ、実用化にほど遠いものであるのは明らかである。
一方ペプチドグルタミナーゼ法では、前述のように本酵素が、本来低分子化されたペプチドの脱アミド化を専ら触媒する酵素であるため、プロテアーゼとの併用を余儀なくされ、上記のプロテアーゼ法の場合と同様に苦味ペプチドの生成、機能性(特に泡沫安定性)の低下という問題を生じる。
このように本来酵素法においては、酵素の持つ高い基質特異性に由来する反応選択性が、化学的、物理的方法を凌ぐ最大の利点の一つであるが、蛋白質を脱アミド化する目的においては、副反応が伴わず、また高分子蛋白質に作用して脱アミド化する、ふさわしい酵素が存在しなかったため、実用化されていなかったのが現状である
この様に、蛋白質の脱アミド化は大きな機能性向上をもたらす優れた修飾法であるにもかかわらず、化学法、酵素法いずれの方法でも欠点があり、実用化は進んでいなかった。
このような事情から、食品蛋白質工業界では、蛋白質の低分子化を招かずに蛋白質を脱アミド化する酵素が長年要望されてきた。
そこで、本願発明者は、広く微生物界に適用できるスクリーニング法を確立し、当該方法を用いることにより、蛋白質の低分子化を招かず、蛋白質を脱アミド化する酵素を生産する微生物を、微生物界において広く見出すことに成功し、当該微生物の培養、脱アミド酵素の分離・精製により本願発明を完成した。
米国特許 US 3 796 633 号公報 米国特許 US 5 082 672 号公報 国際公開 97 43910号パンフレット M. Kikuchi, H. Hayashida, E. Nakano, and K. Sakaguchi, Biochemistry, 10巻, 1222-1229(1971) B. P. Gill, A. J. O'Shaughnessey, P. Henderson and D. R. Headon, Ir. J. Food Sci. Technol., 9巻, 33-41(1985) J. S. Hamada,F. F. Shih, A. W. Frank and W. E. marshall, J. Food Science, 53巻, 2号, 671-672(1988) M. Kikuchi, H. Hayashida, E. Nakano, and K. Sakaguchi, Biochemistry, 10巻, 1222-1229(1971) B. P. Gill, A. J. O'Shaughnessey, P. Henderson and D. R. Headon, Ir. J. Food Sci. Technol., 9巻, 33-41(1985) I. A. Vaintraub, L. V. Kotova, R. Shara, FEBS Letters, 302巻, 169-171 (1992) Molecular Approaches to Improving Food Quality and Safety, D. Chatnagar and T. E. Cleveland, eds., Van Nostrand Reinhold, New York, 1992, p. 37 J.W. Finley, J. Food Sci. 40, 1283, 1975 C.W. Wu, S. Nakai, and W.D. Powie, J. Agric. Food Chem., 24, 504, 1976 A. Dilollo, I. Alli, C. Biloarders, N. Barthakur, J. Agric. Food Chem., 41. 24, 1993 F.F. Shih and A. Kalmar, J. Agric. Food Chem., 35, 672, 1987 F.F. Shih, J.food Sci., 52, 1529, 1987 J. Zhang, T.C. Lee, and C.-T. Ho, J. Agric. Food Chem., 41, 1840, 1993 A. Kato, A. Tanaka, N. Matsudomi, and K. Kobayashi, J. Agric. Food Chem., 35, 224, 1987 M. Motoki, K. Seguro, A. Nio, and K. Takinami, Agric. Biol. Chem., 50, 3025, 1986 J.S. Hamada, and W.E. Marshall, J. Food Sci., 54, 598, 1989
よって、本発明者は蛋白質に結合した状態にあるアミド基に直接作用して脱アミドする酵素の給源を安価な微生物に求め、鋭意研究を重ねた結果、広く微生物に適用できるスクリーング法を確立した。そして、さらに本発明者が土壌中より新たに分離したクリセオバクテリウム(Chryseobacterium)属に属する新菌株が、蛋白質中に結合するアミド基に直接作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず、脱アミドする作用を有する酵素を生産することを見いだした。さらに、本発明者は、スクリーニングにより得られた本酵素により脱アミド化された蛋白質が優れた機能性を有する事を見出し、本発明を完成した。本明細書においては上述の作用を有する酵素を蛋白質脱アミド酵素と称する。
さらに、本発明者らは、蛋白質脱アミド酵素を単離、精製し、該蛋白質脱アミド酵素をコードする遺伝子の塩基配列を決定し、さらに、該遺伝子を含有するベクターを導入した形質転換体を用いて蛋白質脱アミド酵素を製造することが可能であることを確認した。
従って、本発明は、以下の構成からなる。
(1)蛋白質中のアミド基を脱アミドする作用を有する酵素。
(2)蛋白質中のアミド基に直接作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず脱アミドする作用を有する酵素。
(3)該酵素が微生物由来であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の酵素。 (4) 配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列において、1個又は複数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされているアミノ酸配列を有し、蛋白質中のアミド基を脱アミドする作用を有するポリペプチドからなるポリペプチド。
(5) 配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドからなるポリペプチド。
(6) 蛋白質中のアミド基を脱アミドする活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド。
(7) 蛋白質中のアミド基に直接作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず、脱アミドする活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド。
(8) 下記(a)〜(g)から選択されるヌクレオチドからなり、かつ、蛋白質中のアミド基を脱アミドする活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチドからなるヌクレオチド。
(a)配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド、
(b)配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列において、1個又は複数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされているアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド、
(c)配列表の配列番号5に記載の塩基配列を有するヌクレオチド、
(d)配列表の配列番号5に記載の塩基配列において、1個又は複数個の塩基が欠失、付加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされている塩基配列を有するヌクレオチド、
(e)上記(a)〜(d)のいずれかに記載のヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド、
(f)上記(a)〜(d)のいずれかに記載のヌクレオチドに相同性を有するヌクレオチド、
(g)上記(a)〜(f)の少なくともいずれか1つに記載のヌクレオチドに縮重するヌクレオチド。
(9) 配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチドからなるヌクレオチド。
(10) 上記6から9のいずれかに記載のヌクレオチドを含有することを特徴とする組換えベクター。
(11) 上記(10)記載の組換えベクターを導入させた形質転換体。
(12) 上記(11)記載の形質転換体を培養し、蛋白質中のアミド基を脱アミドする作用を有する酵素を生産せしめ、培養物より蛋白質中のアミド基を脱アミドする作用を有する酵素を採取することを特徴とする蛋白質中のアミド基を脱アミドする作用を有する酵素の製造法。
(13) 上記(11)記載の形質転換体を培養し、該培養物から採取される、蛋白質中のアミド基を脱アミドする作用を有する組換えポリペプチド。
(14)微生物を栄養培地に培養し、蛋白質中のアミド基を脱アミドする作用を有する新規な酵素を生産せしめ、該酵素を採取することを特徴とする新規な酵素の製造法。
(15)微生物を栄養培地に培養し、蛋白質中のアミド基に直接作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず脱アミドする作用を有する新規な酵素を生産せしめ、該酵素を採取することを特徴とする蛋白質中のアミド基を脱アミドする作用を有する新規な酵素の製造法。
(16)微生物がシトファガレス(Cytophagales)或いはアクチノマイセテス(Actinomycetes)に分類される細菌である上記(14)或いは上記(15)記載の製造法。
(17)微生物がフラボバクテリアチェ(Flavobacteriaceae)に分類される細菌である上記(14)或いは上記(15)記載の製造法。
(18)微生物がクリセオバクテリウム(Chryseobacterium)属、フラボバクテリウム(Flavobacteium)属、エンペドバクター(Empedobacter)属、スフインゴバクチリウム(Sphingobacterium)属、アウレオバクテリウム(Aureobacterium)属及びミロイデス(Myroides)属より選ばれる上記(14) 或いは上記(15)記載の製造法。
(19)微生物がクリセオバクテリウム(Chryseobacterium)属である上記(14)或いは上記(15)記載の製造法。
(20)微生物がクリセオバクテリウム(Chryseobacterium)属に属する新菌クリセオバクテリウム・エスピー(Chryseobacterium sp.)No. 9670(FERM BP−7351)である上記(14)或いは上記(15)記載の製造法。 (21)蛋白質或いはペプチドに、蛋白質或いはペプチド中のアミド基に直接作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず脱アミドする作用を有する酵素を作用させることを特徴とする蛋白質或いはペプチドの修飾法。
(22)蛋白質或いはペプチド中のアミド基に直接作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず、脱アミドする作用を有する酵素を有効成分としてなる蛋白質或いはペプチドの修飾用組成物。 (23)単離されたクリセオバクテリウム(Chryseobacterium)属に属する新菌クリセオバクテリウム・エスピー(Chryseobacterium sp.)No. 9670(FERM BP−7351)。 (24)蛋白質及びペプチド中のアミド基に直接作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず、脱アミドする作用を有する酵素を植物性、動物性蛋白質及び/又はペプチドに作用させ、当該蛋白質及び/又はペプチドの機能性を改善する方法。 (25)蛋白質及びペプチド中のアミド基に直接作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず、脱アミドする作用を有する酵素を植物性、動物性蛋白質及び/又はペプチドを含む食品に作用させ、当該食品の機能性を改善する方
法。
本発明の蛋白質脱アミド酵素は、蛋白質中の少なくともアスパラギン残基及びグルタミン残基のアミド基に有効であるが、特にその作用部位は、それらに限定されるものではなく、他のアミノ酸残基に結合したアミド基に対しても有効であってもよい。尚、本願明細書において蛋白質とは、蛋白質単体に限定されるものではなく、糖、脂質等との複合蛋白質等であってもよい。そして、その蛋白質の分子量は、特に限定されないが、通常、5000(50残基)以上、好ましくは10,000〜2,000,000の範囲である。
また、本発明の蛋白質脱アミド酵素は、蛋白質以外にもアミド基を有するペプチドやそれらの誘導体等に対しても脱アミド化に用いることができる。ペプチドとしては、通常、アミノ酸残基数が2〜50のものが挙げられ、用途としては、栄養改善剤等に用いられているものに好適である。
即ち、本発明の蛋白質脱アミド酵素は、ポリペプチドを含むジペプチド以上から高分子の蛋白質まで基質とすることができる。なお、本願明細書の「ポリペプチド」という用語は、蛋白質を含む。
従来見出されていなかった、蛋白質中のアミド基に作用して脱アミド反応を触媒する新規な酵素が、工業生産に有利な微生物より初めて見い出された。本酵素は広い応用範囲が期待される。
また、本発明により、蛋白質脱アミドの一次構造及び遺伝子構造が提供されたことにより、蛋白質脱アミド酵素活性を有するポリペプチドの安価で高純度な遺伝子工学的な製造が可能となる。
本発明の蛋白質脱アミド酵素を生産する微生物は、例えば以下のようにしてスクリーニングすることができる。即ち、1)Cbz-Gln-Glyを唯一のN源とした培地に、土壌などの微生物給源を接種し集積培養する。2)次にさらに、Cbz-Gln-Glyを唯一のN源とした寒天培地に1)で得られた培養液を摂取し、生育した菌株を得る。3)得られた菌株を適当な液体栄養培地で培養し培養液中のCbz-Gln-Gly及びカゼインからのアンモニア遊離活性をチェックする。
ここで集積培養に用いられる培地の組成はCbz-Gln-Glyを唯一のN源とする点以外は培養される微生物に従い適宜選定されるものであり、また培養温度その他の諸条件も、培養される微生物に従い適宜選定されるものである。対象微生物が細菌の場合は、例えば本発明の実施例1に記述の培地、対象微生物がFungiや酵母の場合は、実施例1の培地の他Czapex-Dox液体培地からN源を除いた培地(3% sucrose, 0.1% K2HPO4, 0.05% MgSO4・7H2O, 0.05% KCl, 0.0001% FeSO4・7H2O)や修飾SD培地(2% glucose, 0.17% Bacto Yeast Nitrogen base without amino acids and ammonium sulfate (Difco))などをそれぞれ用いる事が出来る。Algaeのスクリーニングのための培養については、例えば「Microalgae, biotechnology and microbiology」(Becker, E. W., pp.9-46, 1993, Cambridge University
Press, Cambridge, United Kingdom)を参照して行う事が出来る。3)における栄養培地での培養も同様である。これらの選定及び実施は、当業者ならば不必要、不適切、広範且つ過度の実験を強いられるものではない。
この様にして得られた菌株の一つ(No.9670株)について、バージー著のマニュアル・オブ・デターミネテイブ・バクテリオロジーに従って同定したところ、クリセオバクテリウム属と同定された。本菌株は、クリセオバクテリウム・エスピー(Chryseobacterium sp.)No. 9670と命名され、受託番号FERM BP−7351(平成12年11月8日付の移管請求に基づき受託番号FERM P−17664の国内寄託から移管)として通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されている。 No.9670は,グラム陰性,桿菌,非運動性,好気性,カタラーゼ陽性,オキシダーゼ陽性,不溶性の黄〜橙色色素生成であることなどから,Chryseobacterium sp. であった。
文献:(1)Vandamme, P., J.-F. Bernardet, P. Segers, K. Kersters, and B. Holmes.
1994. New Perspective in the Classification of the Flavobacteria: Description of Chryseobacterium gen. nov., Bergeyella gen. nov., and Empedobacter nom
. rev. Int. J. Syst. Bacteriol. 44: 827-831.(2) Holmes, B., R. J. Owen, and T. A. McMeekin. 1984. Genus Flavobacteruium Bergey, Harrison, Breed, Hammer, and Huntoon 1923, 97AL, p.353-361. In N. R. Krieg and J. G. Holt (ed.), Bergey's manual of systematic bacteriology, vol.1. The Williams & Wilkins Co., Baltimore.
I.形態
菌体細胞の形: 桿菌
グラム染色性: 陰性
運動性: 陰性
胞子形成: 陰性
II.生理的性質
Figure 0003769289
尚、この酵素は、蛋白質のグルタミン残基とリジン残基の間でのイソペプチド形成を触媒する活性すなわちトタンスグルタミナーゼ活性を有しておらず、既知のトランスグルタミナーゼとは区別される。また蛋白質のペプチド結合を加水分解する活性すなわちプロテアーゼ活性も有しておらず既知のプロテアーゼとも区別される。
上述した菌株を用いて蛋白質脱アミド酵素を製造するための菌株の培養法としては液体培養、固体培養の何れでも良いが、好ましくは液体培養が利用される。液体培養としては例えば、以下のようにして行うことができる。
使用できる培地としては、蛋白質脱アミド酵素を生産する微生物が生育可能な培地であれば、如何なるものでも良い。例えば、グルコース、シュクロース、グリセリン、デキストリン、糖蜜、有機酸等の炭素源、更に硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、或いは、ペプトン、酵母エキス、コーンスティープリカー、カゼイン加水分解物、肉エキス等の窒素源、更にカリウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、リン酸塩、マンガン塩、鉄塩、亜鉛塩等の無機塩を添加したものを用いることができる。
培地のpHは例えば約3〜9、好ましくは約5.0〜8.0程度に調製し、培養温度は通常約10〜50℃、好ましくは約20〜37℃程度で、12時間〜20日間、好ましくは1〜7日間程度好気的条件下で培養する。培養法としては例えば振盪培養法、ジャーファーメンターによる好気的深部培養法が利用できる。
得られた培養液から蛋白質脱アミド酵素を通常の手段で単離し、本発明の蛋白質脱アミド酵素を得ことができる。例えば培養液から、蛋白質脱アミド酵素を単離精製するには、遠心分離、UF濃縮、塩析、イオン交換樹脂等の各種クロマトグラフィーを組み合わせ、常法により処理して、精製した蛋白質脱アミド酵素を得ることができる。
更に、より具体的に本発明を詳述する。即ち、蛋白質脱アミド酵素を生産する菌株として、上述したクリセオバクテリウム・エスピー No.9670(Chryseobacterium sp. No.9670)を使用し、液体培地で培養し、当該酵素の産生と該酵素の精製、酵素の諸性質について検討した。
新鮮なスラントから1白金耳の菌をとり、LB Base培地(Gibco社製)で25℃、2〜7日間振盪培養し、その後遠心上清を得る。 酵素の精製方法は、培養終了後、培養液を遠心分離(12000rpm、4℃、20分間)し、上清を粗酵素液として得、UF濃縮(SEP-0013)、塩析、フェニールセファロース、セファクリルS-100により処理し酵素を精製した。精製の工程を表2に示す。
Figure 0003769289
尚、酵素活性の測定は以下のように従い、基質としてZ-Gln-Gly及びカゼインを使用した。
活性測定方法:10mmol/l Z-Gln-Glyを含む176mmol/lリン酸緩衝液(pH6.5)100μlに酵素溶液10μlを添加して、37℃、60分間インキュベートした後、12%トリクロロ酢酸溶液100μlを加えて反応を停止する。遠心分離(15000rpm、4℃、5分間)した後、上清について以下のようにF-kit ammonia(ベーリンガー・マンハイム社製)を用いて測定する(A1)。別に酵素溶液の代わりに水を用いて同様にして測定する(A2)。
F-kit ammonia 100μl 試薬2に上清10μlと水190μlを加え室温で5分間放置後100μlを用いての340nmの吸光度(E1)を測定する。残りの200μlに、1.0μlの試薬3(グルタメートデヒドロゲナーゼ)を加えた後、更に20分間室温に放置した後に残りの200μlの340nmの吸光度(E2)を測定する。 上記条件下で1分間あたり1μmolのアンモニアを遊離する酵素量を1単位とし、以下の式に従って求める。
u/ml=1.76×[A1(E1-E2)-A2(E1-E2)]
基質として10mmol/l Z-Gln-Glyに代えて1%カゼイン(ハマーステン、メルク社製)を用いて同様にして活性を求め、蛋白質に結合するアミド基に作用することを確認する。この時同時に反応停止後の遠心上清について280 nmの吸光度を測定することによりプロテアーゼ活性を測定した。プロテアーゼ活性は、この条件下で1ODユニット上昇させる酵素量を1単位とした。
また、トランスグルタミナーゼ活性は、基質としてZ-Gln-Glyを用いた以下に示すヒドロキシサム酸法で測定した。
試薬A
0.2 mol/l トリス塩酸緩衝液(pH6.0)
0.1 mol/l ヒドロキシルアミン
0.01 mol/l 還元型グルタチオン
0.03 mol/l ベンジルオキシカルボニル-L-グルタミニルグリシン
試薬B
3 mol/l 塩酸
12 % トリクロロ酢酸
5% FeCl3・6H2O(0.1mol/l HCl に溶解)
上記溶液の1:1:1の混合液を試薬Bとする。
酵素液の0.05mlに試薬A 0.5mlを加えて混合し、37℃で10分間反応後、試薬B 0.5mlを加えて反応停止とFe錯体の形成を行った後、525nmの吸光度を測定する。対照として予め熱失活させた酵素液を用いて同様に反応させたものの吸光度を測定し、酵素液との吸光度差を求める。別に酵素液のかわりにL−グルタミン酸γ−モノヒドロキサム酸を用いて検量線を作成し、前記吸光度差により生成されたヒドロキサム酸の量を求め、1分間に1μモルのヒドロキサム酸を生成する酵素活性を1単位とした。
尚、蛋白質の定量はBCAプロテイン・アッセイ・キット(ピアース社製)により、牛血清アルブミンを標準蛋白質として用いて定量した。
(1)分子量の測定:SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動で20kDa(図1)であった。
(2)至適pHの測定:各pHの(10mmol/lのZ-Gln-Glyを含む)100μl[40mmol/lブリットン−ロビンソン緩衝液(pH3〜12)を37℃で5分間予熱後、0.32μgの蛋白質脱アミド酵素を含む酵素液10μlを加え、37℃で60分間反応し、酵素活性を測定した。その結果、至適pHは6付近であった。
(3)至適温度の測定:基質溶液(10mmol/lのZ-Gln-Glyを含む)100μl [176mmol/lリン酸緩衝液(pH6.5)]に1.21μgの蛋白質脱アミド酵素を含む酵素溶液10μlを添加して、各温度で60分間反応し、酵素活性を測定した。その結果、至適温度は60℃付近であった。
(4)pH安定性の測定:0.75μgの蛋白質脱アミド酵素を含む酵素溶液22μl[40mmol/lブリットン−ロビンソン緩衝液(pH3〜12)]を30℃で18時間処理する。その後残存する酵素活性を測定した。その結果、pH5から9付近まで安定であった。
(5)温度安定性の測定:1.76μgの蛋白質脱アミド酵素を含む酵素溶液43μl[50mmol/lリン酸緩衝液(pH7.0)]を10分間、各温度で放置した後、残存する酵素活性を測定した。その結果、50℃まで安定であった。
(6)基質特異性:基質として終濃度1%の各種蛋白質溶液(50mmol/l リン酸緩衝液(pH6.5))を用い、蛋白質脱アミド酵素を添加し混合後、37℃で1時間反応させた。反応後トリクロロ酢酸溶液を終濃度6.4%になるように加え反応を停止し13000rpmで3分間遠心分離を行い得られた上清中のアンモニア量を測定した。対照として、反応停止後に酵素を加え同様に処理し、上清中のアンモニア量を測定した。酵素反応試験の遊離アンモニア量から対照試験の遊離アンモニア量を差し引いて、酵素の反応によって遊離したアンモニア量を求め、アンモニア遊離速度を求めた。アンモニア遊離速度は、酵素1mgが1分間に遊離するアンモニア量として表した。結果を表3に示す。また、反応終了後の混合液の一部をSDS-PAGEに供し、対照と比較したところ、蛋白質の高分子化及び蛋白質の低分子化は観察されなかった。このことは本酵素が既知のトランスグルタミナーゼやプロテアーゼとは区別される新規な酵素であることを意味する。
Figure 0003769289
(7)等電点の測定:アンフォラインを用いた等電点集積(600V、4℃、48時間通電)により測定したところ、本酵素の等電点は、10.0であった。
次いで、本発明である上記した蛋白質脱アミド酵素を用いた蛋白質の修飾方法について詳述する。
各種蛋白質に本発明の蛋白質脱アミド酵素を作用させる。蛋白質としては上記酵素の作用を受けるものであればいかなるものであってもよく、例えば、植物性蛋白質であれば豆類、穀類由来の蛋白質、動物性蛋白質であればカゼイン、β−ラクトグロブリンなどの乳蛋白、オボアルブミンなどの卵蛋白、ミオシン、アクチンなどの肉蛋白、血清アルブミンなどの血液蛋白、ゼラチン、コラーゲンなどの腱蛋白質があげられる。また、酸、アルカリなどによる化学的、あるいはプロテアーゼなどによる酵素的部分分解蛋白質や、各種試薬による化学修飾蛋白質や
、合成ペプチドであってもよい。
これら基質蛋白質は、溶液またはスラリーあるいはペースト状態で反応に供されるが、その濃度は特に限定されるものではなく、目的の脱アミド化蛋白質の望まれる性状、状態によって適宜選択される。またこの基質蛋白質の溶液またはスラリーあるいはペーストは、水溶液に限らず油脂とのエマルジョンであってもよく、さらに必要に応じて塩類、糖類、蛋白質、香料、保湿剤、着色料などが添加されたものであってもよい。
反応条件として、酵素量、反応の時間、温度、反応溶液のpHなども特に限定されるものではないが通常、蛋白質1gに対し0.1〜100ユニット、好ましくは1〜10ユニット、反応温度は5〜80℃、好ましくは20〜60℃、反応溶液のpHは2〜10、好ましくは4〜8で10秒〜48時間、好ましくは10分〜24時間反応させる。また、これらの条件は、使用する酵素の純度や基質蛋白質の種類、純度などに応じて適宜変更して行うことができる。
このように本発明の蛋白質脱アミド酵素を各種蛋白質に作用させることにより、蛋白質中のアミド基を直接脱アミドすることができる。その結果、生じた脱アミド化蛋白質は、負電荷の増加に伴い、pIの低下、水和力の上昇、静電反発力の上昇がもたらされる。更に蛋白質の高次構造の変化により、表面疎水性の上昇がもたらされる。これらの効果により、可溶性・分散性の向上、起泡性・泡沫安定性の向上、乳化性・乳化安定性の向上など、蛋白質の機能性の改善がもたらされる。
このように機能性が改善された蛋白質は、主として食品分野での用途が大きく拡大する。多くの植物性蛋白質は、特に通常の食品のpH範囲である弱酸性において、可溶性、分散性、乳化性などの機能性が乏しいため、多くの食品例えはコーヒー・ホワイトナー、ジュースなどの酸性飲料、ドレッシング、マヨネーズ、クリームなどへの使用が制限されていた。しかしながら、例えば小麦グルテンなどの植物性難溶解性蛋白質を本発明により脱アミド化することにより、可溶性、分散性が増大し、これまで使用に適さなかったこれらの食品への使用が可能となり、また分散性の高い天ぷら粉としても使用できる。
また、製パン・製菓におけるドウの改質のためにも本酵素が使用できる。例えばグルテン含量が高いドウは伸展性が低く、ドウのハンドリング性や機械特性に問題があり、また出来上がったパンの体積や品質にも問題があった。グルテンを本酵素により脱アミド化することにより、伸展性が向上し、これらの問題を改善することが出来る。また脱アミド化グルテンが乳化剤としての効果も示し、日持ち性、ソフトネスなどの製パン特性も向上する。さらに脱アミド化グルテンを含むドウは、可塑性が低く伸展性に優れているため、クラッカー、ビスケット、クッキー、ピザや或いはパイのクラストの製造にふさわしく、これらの製造にも本酵素が使用できる。この用途のためには、小麦粉、水等からなるドウの全量に対して、本発明の酵素を通常、0.01〜10000ユニット、好ましくは0.1から150ユニット、通常の方法によって混合する。
またさらに、食品中の蛋白質に起因するアレルギー、不耐症或いは遺伝的疾患などの原因となる蛋白質を本酵素による処理によって、その毒性、アレルゲン性を除去、低減化することが出来る。食物アレルギーの場合、一般にアレルゲンペプチドは疎水性が高いものが多い。本酵素処理により親水性ペプチドに変換されることによりアレルゲン性の除去、低下がなされる。とりわけ、小麦グルテン由来のアレルゲンに見られるように、アレルゲンペプチド中にグルタミン残基を含有する場合は大きな効果がもたらされる。
またさらに、蛋白質を本酵素により脱アミド化することにより、蛋白質のミネラル感受性を低下させ、蛋白質・ミネラル溶液中の可溶性ミネラル含量を高め、ミネラルの人体への吸収性を高めることが出来る。一般に食品中のカルシウムの人体への吸収性は、カルシウムを有機酸やカゼインホスホペプチドを用いて可溶化させると向上することはよく知られている。同じメカニズムにより、本酵素により蛋白質を脱アミド化させることにより、多量のカルルシムを可溶化させることが可能である。この脱アミド化蛋白質を用いて、高ミネラル(例えばカルシウム)含有飲料や、ミネラル(例えばカルシウム)の吸収促進剤を製造することもできる。
さらに、アミノ酸系調味料(動物性蛋白質の加水分解物(HAP), 植物性蛋白質の加水分解物(HVP))或いは味噌・醤油製造においては、苦味の低下、プロテアーゼの蛋白質分解率の向上、グルタミン酸含量の増強などの効果がもたらされる。一般に苦味の原因は疎水性ペプチドに由来することは周知のとおりであり、脱アミドにより苦味ペプチドの低減化がもたらされる。N末端にグルタミン酸を有するペプチドは苦味のマスキング効果を有することも知られている。また脱アミド化により、原料蛋白質の一次構造、高次構造が変化するため、その蛋白質のプロテアーゼ感受性を高めることもできる。結果、酵素的HAP,HVP製造において問題の一つであった低分解率を改善することも出来る。また一方、HAP,HVP製造においては、ピログルタミン酸生成によるグルタミン酸含量の低下が問題であった。このピログルタミン酸は遊離のグルタミンの分子内環状化により生成するものであるが、原料蛋白質を脱アミド化しておくことによりこれを防ぐことが出来、結果としてグルタミン酸含量の増強がもたらされる。
またさらにトランスグルタミナーゼの反応制御剤としても使用できる。トランスグルタミナーゼは、蛋白質の改質剤すなわち架橋用酵素として食品分野をはじめ産業用に広く利用されている。トランスグルタミナーゼの蛋白質架橋反応により蛋白質のゲル化物を得ることや蛋白質の機能性を向上させることを目的とするのであるが、それそれの用途、目的に応じた架橋度や機能性を有する産物を得ること、すなわち反応を適当な時点で停止させるなど架橋反応を制御することは困難であった。特に食品用蛋白質の改質の場合、EDTAや塩化アンモニウムあるいはSH試薬など一般に知られているトランスグルタミナーゼ阻害剤を添加することは好ましくなかった。
本発明による蛋白質脱アミド酵素をトランスグルタミナーゼの反応中適当な時点で添加する事により、トランスグルタミナーゼ反応を停止させることが可能である。つまり基質蛋白質中のトランスグルタミナーゼ反応のターゲットであるグルタミン残基を、蛋白質脱アミド酵素によりグルタミン酸残基に変換することにより、トランスグルタミナーゼ反応を停止させることが出来る。
この場合、蛋白質脱アミド酵素の基質である蛋白質中のグルタミン残基との親和性が、トランスグルタミナーゼのそれより高いことが必要であるが、後者の反応においては、グルタミン残基の他にリジン残基のε−アミノ基が必要であるのに対し、前者の場合グルタミン残基の他には反応環境中豊富に存在する水を必要とするだけであるので、一般に蛋白質脱アミド酵素の反応の方がトランスグルタミナーゼの反応に先行することが推定できる。もちろん、予め基質蛋白質を蛋白質脱アミド酵素により適当に処理でして、所望のグルタミン残基をグルタミン酸残基に変換しておいた後トランスグルタミナーゼ反応に供すれば、所望の架橋度の蛋白質改質物、蛋白質ゲル化物を得ることが出来る。
またさらに蛋白質の機能改変用すなわち蛋白質工学用試薬としても使用できる。基質蛋白質が酵素である場合は、その酵素の酵素化学的、物理化学的性質を改変する事が出来る。例えば酵素蛋白質を本酵素により脱アミドすることにより、酵素蛋白質の等電点が低下しpH安定性を改変することが出来る。また、活性部位の構造や電気的環境を変化させることにより、その酵素の基質親和性、基質特異性、反応速度、pH依存性、温度依存性、温度安定性などを改変することが出来る。
またさらに蛋白質のアミド含量定量用試薬、蛋白質の可溶化用試薬など蛋白質分析・研究用試薬としても使用できる。
またさらに穀類、豆類蛋白質の抽出・濃縮効率の向上などに利用できる。一般に小麦、大豆など穀類や豆類の蛋白質は水に不溶性の蛋白質が多く、蛋白質を抽出することは容易ではないが、小麦粉や大豆粉の縣濁液を本酵素で処理し蛋白質を可溶化することにより、蛋白質を容易に抽出することが出来、また高含量の蛋白質単離物を得ることが出来る。
大豆蛋白質の場合、一般に、脱脂大豆粉またはフレーク(蛋白質含量約50%)から蛋白質を抽出する際には、まず熱処理やエタノール処理或いはpH4.5付近の等電点処理により蛋白質を不溶化させた後、可溶性の多糖を除いて蛋白質含量約70%の大豆蛋白質濃縮物(コンセントレート)が得られる。さらに高純度の蛋白質が望まれる場合は、大豆粉や濃縮物を希釈アルカリに縣濁・溶解し蛋白質を溶解させ不溶性の物質を除いて調整される。このものは大豆蛋白質単離物(アイソレート)と呼ばれ蛋白質を約90%含む。これらの大豆蛋白質製品は、大豆蛋白質の乳化性、ゲル化特性、保水性等の機能性や高栄養価を利用して、ハム・ソーセージや乳児用食品をはじめ様々な食品に利用されている。
これらの大豆蛋白質製品を製造する際に本酵素を利用すれば、蛋白質の溶解性の向上により収率の向上ばかりでなくより高濃度の蛋白質製品を製造することが出来る。さらにこのようにして得られた蛋白質製品は、脱アミド化されているため機能性に優れている。従って、畜肉、魚肉製品、麺類など種々の食品に使用した場合優れた効果を示し、また新しいテクスチャーや機能を有する食品の製造が可能となる。
以下、本発明の蛋白質脱アミド酵素、蛋白質脱アミド酵素をコードする遺伝子、該遺伝子を含有する組換えベクター、該ベクターを導入した形質転換体、および、該形質転換体を培地に培養し、蛋白質脱アミド酵素を生産せしめ、培養物より蛋白質脱アミド酵素を採取することを特徴とする蛋白質脱アミド酵素の製造法についてさらに説明する。
本発明の蛋白質脱アミド酵素としては、上述した蛋白質脱アミド酵素の製造法で得られるすべての蛋白質脱アミド酵素が含まれるが、特に、配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列において、1個又は複数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされているアミノ酸配列を有するポリペプチドが好ましく、さらに、配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドがより好ましい。
本発明の蛋白質脱アミド酵素をコードする遺伝子としては、該蛋白質脱アミド酵素を産生する微生物から該遺伝子のクローニングによって取得することができる遺伝子や該遺伝子に相同性を有する遺伝子があげられる。相同性としては、少なくとも60%以上の相同性を有する遺伝子、好ましくは80%以上の相同性を有する遺伝子、さらに好ましくは95%以上の相同性を有する遺伝子をあげることができる。本発明の蛋白質脱アミド酵素をコードする遺伝子としては以下のようなヌクレオチド(ポリヌクレオチド;DNAまたはRNA)が好ましい。
下記(a)〜(g)から選択されるヌクレオチドからなり、かつ、蛋白質中のアミド基を脱アミドする活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド。(a)配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド、(b)配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列において、1個又は複数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされているアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド、(c)配列表の配列番号5に記載の塩基配列を有するヌクレオチド、(d)配列表の配列番号5に記載の塩基配列において、1個又は複数個の塩基が欠失、付加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされている塩基配列を有す
るヌクレオチド、(e)上記(a)〜(d)のいずれかに記載のヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズする遺伝子、(f)上記(a)〜(d)のいずれかに記載のヌクレオチドに相同性を有するヌクレオチド、(g)上記(a)〜(f)の少なくともいずれか1つに記載のヌクレオチドに縮重するヌクレオチド。
本発明の蛋白質脱アミド酵素をコードする遺伝子は、上述した蛋白質脱アミド酵素を産生する微生物から、例えば以下に記載するような方法で該遺伝子のクローニングを行うことによって取得することができる。まず、蛋白質脱アミド酵素を産生する微生物から上述の方法によって本発明の蛋白質脱アミド酵素を単離、精製し、その部分アミノ酸配列に関する情報を得る。
部分アミノ酸配列決定方法としては、例えば、精製した蛋白質脱アミド酵素を直接常法に従ってエドマン分解法〔ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー、第 256巻、第7990〜7997頁(1981)〕によりアミノ酸配列分析〔プロテイン−シーケンサ476A、アプライド バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製等〕に供してもよいし、あるいはタンパク質加水分解酵素を作用させて限定加水分解を行い、得られたペプチド断片を分離精製し、得られた精製ペプチド断片についてアミノ酸配列分析を行うのが効果的である。
こうして得られる部分アミノ酸配列の情報を基に、蛋白質脱アミド酵素遺伝子をクローニングする。一般的に、 PCRを用いる方法あるいはハイブリダイゼーション法を利用してクローニングを行うことができる。
ハイブリダイゼーション法を利用する場合、例えば、モレキュラー クローニング、ア ラボラトリー マニュアル〔Molecular Cloning, A Laboratory Manual、T .マニアティス(T. Maniatis )他著、コールド スプリング ハーバー ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory )、1989年発行〕に記載の方法を用いることができる。
また、 PCR法を利用する場合、以下のような方法を用いることができる。
まず、蛋白質脱アミド酵素を産生する微生物のゲノムDNA を鋳型とし、部分アミノ酸配列の情報を基にデザインした合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いて PCR反応を行い、目的の遺伝子断片を得る。PCR 法は、PCR テクノロジー〔PCR Technology、エルリッヒ(Erlich)HA編集、ストックトンプレス社(Stockton press)、1989年発行〕に記載の方法に準じて行う。更に、この増幅 DNA断片について通常用いられる方法、例えば、ジデオキシチェーンターミネーター法で塩基配列を決定すると、決定された配列中に合成オリゴヌクレオチドプライマーの配列以外に蛋白質脱アミド酵素の部分アミノ酸配列に対応する配列が見出され、目的の蛋白質脱アミド酵素遺伝子の一部を取得することができる。もちろん得られた遺伝子断片をプローブとして更にハイブリダイゼーション法等を行うことによって蛋白質脱アミド酵素全長をコードする遺伝子をクローニングすることができる。
下記の実施例11ではクリセオバクテリウム・エスピー No.9670を用い、PCR法を利用して、蛋白質脱アミド酵素をコードする遺伝子を決定した。クリセオバクテリウム・エスピー No.9670由来の蛋白質脱アミド酵素をコードする遺伝子の全塩基配列は、配列番号5に記載したものであり、これによってコードされるアミノ酸配列は配列番号6に記載したものであると決定された。なお、配列番号6に記載したアミノ酸配列に対応する塩基配列は配列番号5に記載したもの以外に無数に存在するが、これらはすべて本発明の範囲に含まれる。
配列番号6に記載のアミノ酸配列や配列番号5に記載の塩基配列の情報を元にして、化学合成によって目的とする遺伝子を得ることもできる(参考文献:Gene, 60(1), 115-127 (1987))。
また、本発明の蛋白質脱アミド酵素遺伝子は、配列番号6に記載のアミノ酸配列において、1個又は複数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされているアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチドや該ヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズする遺伝子、該ヌクレオチドに相同性を有するヌクレオチド、及び該ヌクレオチドに縮重するヌクレオチドもそれらがコードするポリペプチドが蛋白質脱アミド酵素活性を有する限り本発明に含まれる。
ここでいう「ストリンジェントな条件下」とは、例えば以下の条件をいう。すなわち 0.5%SDS、5×デンハルツ〔Denhartz's、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA )、0.1%ポリビニルピロリドン、0.1%フィコール400 〕及び 100μg/mlサケ精子DNA を含む6×SSC (1×SSC は、0.15 mol/l NaCl 、0.015 mol/l クエン酸ナトリウム、pH7.0 )中で、50℃〜65℃で4時間〜一晩保温する条件をいう。
クリセオバクテリウム・エスピー No.9670を用いて全塩基配列が明らかにされた蛋白質脱アミド酵素遺伝子の全体あるいは一部分をハイブリダイゼーション用のプローブとして用いて、他の蛋白質脱アミド酵素を産生する微生物のゲノムDNA ライブラリーあるいはcDNAライブラリーから、配列表5の蛋白質脱アミド酵素遺伝子と相同性の高いDNA を選別することができる。
ハイブリダイゼーションは、上記に示したストリンジェントな条件下で行うことができる。例えば、蛋白質脱アミド酵素を産生する微生物から得たゲノムDNA ライブラリーあるいはcDNAライブラリーを固定化したナイロン膜を作成し、6×SSC 、 0.5%SDS 、5×デンハルツ、100 μg/mlサケ精子DNA を含むプレハイブリダイゼーション溶液中、65℃でナイロン膜をブロッキングする。その後、32Pでラベルした各プローブを加えて、65℃で一晩保温する。このナイロン膜を6×SSC 中、室温で10分間、0.1% SDSを含む2×SSC 中、室温で10分間、0.1% SDSを含む0.2×SSC 中、45℃で30分間洗浄した後、オートラジオグラフィーをとり、プローブと特異的にハイブリダイズするDNA を検出することができる。また、洗いなどの条件を変えることによって様々な相同性を示す遺伝子を得ることができる。
一方、本発明の遺伝子の塩基配列から PCR反応用のプライマーをデザインすることができる。このプライマーを用いて PCR反応を行うことによって、本発明の遺伝子と相同性の高い遺伝子断片を検出したり、更にはその遺伝子全体を得ることもできる。
得られた遺伝子が目的の蛋白質脱アミド酵素活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子であるかどうかを確認するには、決定された塩基配列を本発明の蛋白質脱アミド酵素の塩基配列又はアミノ酸配列と比較し、その遺伝子構造及び相同性から推定することもできる。また、得られた遺伝子のポリペプチドを製造し、蛋白質脱アミド酵素活性を測定することにより、目的の蛋白質脱アミド酵素活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子であるかどうか確認することができる。
本発明の蛋白質脱アミド酵素遺伝子を用いて、蛋白質脱アミド酵素活性を有するポリペプチドを生産するには以下の方法が便宜である。
まず、目的の蛋白質脱アミド酵素遺伝子を含むベクターを用いて宿主の形質転換を行い、次いで該形質転換体の培養を通常用いられる条件で行うことによって、蛋白質脱アミド酵素活性を有するポリペプチドを生産させることができる。
また、宿主としては微生物、動物細胞、植物細胞等を用いることができる。微生物としては、大腸菌、Bacillus属、Streptomyces属、Lactococcus属等の細菌、Saccharomyces属、Pichia属、Kluyveromyces属等の酵母、Aspergillus属、Penicillium属、Trichoderma属等の糸状菌が挙げられる.動物細胞としては、バキュロウイルスの系統が挙げられる.
発現の確認や発現産物の確認は、蛋白質脱アミド酵素に対する抗体を用いて行うことが簡便であるが、蛋白質脱アミド酵素活性を測定することにより発現の確認を行うこともできる。
形質転換体の培養物から蛋白質脱アミド酵素を精製するには上述のように、遠心分離、UF濃縮、塩析、イオン交換樹脂等の各種クロマトグラフィーを適宜組み合わせて行うことができる。
また、本発明により蛋白質脱アミド酵素の一次構造及び遺伝子構造が明らかとなったことにより、本発明の遺伝子を用いて、ランダム変異あるいは部位特異的変異を導入し、天然の蛋白質脱アミド酵素のアミノ酸配列中に、1個又は複数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされている遺伝子を得ることが可能である。これにより、蛋白質脱アミド酵素活性を有するが、至適温度、安定温度、至適pH、安定pH、基質特異性等の性質が少し異なった蛋白質脱アミド酵素をコードする遺伝子を得ることが可能であり、遺伝子工学的にこれら蛋白質脱アミド酵素を製造することが可能となる。
ランダム変異を導入する方法としては、例えば、 DNAを化学的に処理する方法として、亜硫酸水素ナトリウムを作用させシトシン塩基をウラシル塩基に変換するトランジション変異を起こさせる方法〔プロシーディングズ オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシーズ オブ ザ USA、第79巻、第1408〜1412頁(1982)〕、生化学的方法として、〔α-S〕dNTP存在下、二本鎖を合成する過程で塩基置換を生じさせる方法〔ジーン(Gene)、第64巻、第313 〜319 頁(1988)〕、 PCRを用いる方法として、反応系にマンガンを加えて PCRを行い、ヌクレオチドの取込みの正確さを低くする方法〔アナリティカル バイオケミストリー(Analytical Biochemistry )、第224 巻、第347 〜353 頁(1995)〕等を用いることができる。
部位特異的変異を導入する方法としては、例えば、アンバー変異を利用する方法〔ギャップド デュプレックス(gapped duplex )法、ヌクレイック アシッズ リサーチ(Nucleic Acids Research)、第12巻、第24号、第9441〜9456頁(1984)〕、制限酵素の認識部位を利用する方法〔アナリティカル バイオケミストリー、第 200巻、第81〜88頁(1992)、ジーン、第 102巻、第67〜70頁(1991)〕、dut (dUTPase )とung (ウラシルDNA グリコシラーゼ)変異を利用する方法〔クンケル(Kunkel)法、プロシーディングズ オブ ザ ナショナル オブ サイエンシーズ オブ ザ USA、第82巻、第488 〜492 頁(1985)〕、 DNAポリメラーゼ及び DNAリガーゼを用いたアンバー変異を利用する方法〔オリゴヌクレオチド−ダイレクティッド デュアル アンバー(Oligonucleotide-direct
ed Dual Amber :ODA )法、ジーン、第 152巻、第271 〜275 頁(1995)、特開平7-289262号公報〕、 DNAの修復系を誘導させた宿主を利用する方法(特開平 8-70874号公報)、 DNA鎖交換反応を触媒するタンパク質を利用する方法(特開平8-140685号公報)、制限酵素の認識部位を付加した2種類の変異導入用プライマーを用いた PCRによる方法(USP5,512,463)、不活化薬剤耐性遺伝子を有する二本鎖 DNAベクターと2種類のプライマーを用いた PCRによる方法〔ジーン、第 103巻、第73〜77頁(1991)〕、アンバー変異を利用した PCRによる方法〔国際公開WO98/02535号公報〕等を用いることができる。
また、市販されているキットを使用することにより、部位特異的変異を容易に導入することができる。市販のキットとしては、例えば、ギャップド デュプレックス法を用いた Mutan(登録商標)-G(宝酒造社製)、クンケル法を用いた Mutan(登録商標)-K(宝酒造社製)、ODA 法を用いたMutan (登録商標)-Express Km (宝酒造社製)、変異導入用プライマーとピロコッカス フリオサス(Pyrococcus furiosus )由来 DNAポリメラーゼを用いたQuikChangeTM Site-Directed Mutagenesis Kit〔ストラタジーン(STRATAGENE)社製〕等を用いることができ、また、 PCR法を利用するキットとして、TaKaRa LA PCR in vitro Mutagenesis Kit(宝酒造社製)、Mutan (登録商標)-Super Express Km (宝酒造社製)等を用いることができる。
このように、本発明により、蛋白質脱アミド酵素の一次構造及び遺伝子構造が提供されたことにより、蛋白質脱アミド酵素活性を有するポリペプチドの安価で高純度な遺伝子工学的な製造が可能となる。 なお、本明細書では種々の文献等を引用したが、これらはすべて参考として本明細書に組み込まれるものである。 以下、本発明を実施例を用いて詳述するが本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に明記しない限り、本明細書において%はW/V%で示した。
蛋白質脱アミド酵素生産菌のスクリーニング
a)集積培養:Cbz-Gln-Glyを唯一のN源としたA培地5mlに320の土壌サンプルを接種し、30度で6日間振トウ培養した。その培養液50μlを新しいA培地に接種し、さらに30度で3日間振トウ培養した。培養液を栄養培地にSpreadもしくはStreakして生育してきたバクテリアもしくはFungiを単菌分離した。
b)プレート選択:得られた菌株を、1.5%の寒天を含むA培地からなる寒天培地にレプリカして、30度、6日間培養し、生育した菌株(バクテリア150株、Fungi294株)をピックアップした。
c)蛋白質脱アミド酵素生産性チェック:これらの菌株をラクトース液体培地に接種し、30度、2から7日間振トウ培養し、培養液を遠心分離して、培養上清を得た。この培養上清中の蛋白質脱アミド酵素活性を測定したところ、バクテリア50株、Fungi85株が陽性であった。
*A培地:0.1% Cbz-Gln-Gly, 0.5% Glucose, 0.02% KH2PO4, 0.02% MgSO4・7H2O,
0.01% NaCl,0.002% CaCl2,0.0002% FeSO4・7H2O,0.0005% NaMoO4・2H2O,
0.0005% NaWO4・4H2O, 0.0005% MnSO4・4H2O, 0.01% CuSO4・5H2O (pH8.0)
*ラクトース液体培地:0.5% lactose, 1.0% peptone,0.17% Na2HPO4・H2O,0.025%
KH2PO4, 0.025% MgSO4・7H2O and 0.005% FeSO4・7H2O(pH7.2, adjusted
with 6mol/l NaOH).
実施例1で得られたバクテリア50株、Fungi85株から、1株(No.9670株)を選択し、以下の実験を行った。本株は、明細書に記述の様にクリセオバクテリウム属に属する菌株と同定された。 クリセオバクテリウム・エスピー No.9670(Chryseobacterium sp. No9670)を前述したLB Base培地で、25℃、64時間振盪培養した。その培養経過を表4に
示す。
Figure 0003769289
実施例1で得られたバクテリア50株、Fungi85株から、1株(No.9671株)を選択し、以下の実験を行った。本株も、クリセオバクテリウム属に属する菌株と同定された。実施例2と同様にしてクリセオバクテリウム・エスピー No.9671について培養した。培養液中の蛋白質脱アミド活性を表5に示す。
実施例2と同様にしてクリセオバクテリウム・インドロゲネス(Chryseobacterium indologenes) IFO14944、クリセオバクテリウム・メニンゴセプチカム(Chryseobacterium meningosepticum)IFO12535、クリセオバクテリウム・バラスチナム(Chryseobacterium balustinum)IFO15053、フラボバクテリウム・アクアティレ(Flavobacterium aquatile)IFO15052、エンペドバクター・ブレビス(Empedobacter brevis)IFO14943、スフィンゴバクテリウム・スピリチボラム(Sphingobacterium spiritivorum)IFO14948、スフィンゴバクテリウム・ヘパリナム(Sphingobacterium heparinum)IFO12017、アウレオバクテリウム・エステロアロマティカム(Aureobacterium esteraromatidum)IFO3751、ミロイデス・オドラタス(Myroides odoratus)IFO14945について培養した。培養液中の蛋白質脱アミド酵素活性を表5に示す。
Figure 0003769289
何れの菌株にも蛋白質脱アミド酵素の生産が確認された。
LB培地に代え、M17培地(Difco社製)、Tryptone Soya培地(Oxioid社製)、ハート・インフュージョン培地(Dico社製)を用いて同様にして培養したところ、実施例2〜4で用いた何れの菌株にも蛋白質脱アミド酵素の生産が確認された
実施例2で得られた、40時間培養液を4℃、12000 rpm(22200 x g)、20分間の遠心分離により菌体を除去し、得られた遠心上清を、限外濾過膜(SEP-0013、旭化成製)により約25倍に濃縮後、凍結乾燥して粗酵素粉末を得た。これに、2.0 mol/l NaClを含む10 mmol/l 燐酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)に溶解し、不溶物を4℃、10000 rpm(12300 x g)、15分間の遠心分離により除いた後、得られた遠心上清を、2.0 mol/l NaClを含む10 mmol/l 燐酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)で平衡化したフェニルセファロース CL-6Bカラム(ファルマシア社製)に供し、2.0 mol/lから0 mol/lのNaCl直線濃度勾配により吸着した蛋白質を溶離させた。
蛋白質脱アミド活性画分を集め、限外濾過膜で濃縮後、0.6 mol/l NaCl及び0.05% Tween 20を含む10 mmol/l 燐酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)で平衡化したセファクリルS-100カラムに供して、同緩衝液で溶離した。蛋白質脱アミド活性画分を集め、限外濾過膜で濃縮し蛋白質脱アミド酵素溶液を得た。精製の結果を表2に示す。
このようにして得た蛋白質脱アミド酵素の精製標品を4〜12%SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供したところ、図1のレーン2のように分子量20kDaの単一蛋白質であることが確認された。
上述の測定法(Z-Gln-Glyを基質とする方法とカゼインを基質とする方法)で活性を測定したところ33.7単位/ml(Z-Gln-Glyを基質)、13.5単位/ml(カゼインを基質)の酵素標品が得られた。また、トランスグルタミナーゼ活性及びプロテアーゼ活性は検出されなかった。
脱アミド化蛋白質の調製
小麦グルテン、乳カゼイネート、乳清蛋白質、卵白蛋白質及び大豆蛋白質1gを100 mlの100 mmol/l 燐酸ナトリウム緩衝液(pH 6.5)に縣濁し、6.13 Uの蛋白質脱アミド酵素を添加して、37 ℃で24時間振とう反応させた。この時の脱アミド化率の変化のタイムコースを図2に示す。脱アミド化率は、反応終了後に溶液中に遊離したアンモニア又はアンモニウムを定量し、蛋白質の総アミド含量に対する百分率として表した。蛋白質の総アミド含量は、蛋白質(2% w/v)を1.5mol/l硫酸中110℃で3時間加水分解し、遊離したアンモニアを定量して求めた。このように、対照として行った酵素無添加の反応ではアンモニアの遊離が観察されなかったのに対し、酵素添加の反応においては、反応時間の進行と共にアンモニアが遊離し脱アミド反応が生じていることが判る。脱アミド化率は、小麦グルテンで74%、カゼイネートで60%、乳清蛋白質で23%、大豆蛋白質で20%、卵白蛋白質で7%であった。反応後、75℃で15分間加熱し酵素を失活させ反応を停止し、水に対して透析後凍結乾燥して脱アミド化蛋白質粉末を得た。また対照として行った酵素無添加の反応物も同様の処理を施し、対照粉末を得た。
又、図3にこれらの脱アミド化蛋白質を対照蛋白質と共に4〜12%SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供したパターンを示す。脱アミド化蛋白質(レーン3、6、9、12)は対照の酵素未処理蛋白質と比べて分子量の変化が生じていないこと、すなわち蛋白質の分解も架橋高分子化も生じていないことが判る。ここで脱アミド化したカゼイネート(レーン3)や大豆蛋白質(レーン12)において蛋白質のバンドがわずかに高分子側にシフトしていることが観察されるが、これは脱アミド化により蛋白質の負電荷が増加したため同じ負電荷を持つSDSとの結合が静電反発力により減少し、その結果蛋白質−SDS複合体の全体の負電荷が脱アミド化されていない蛋白質に比べ小さくなった結果、電気泳動での移動度が減少したためと考えられる。
脱アミド化蛋白質の機能性-泡沫特性の向上
実施例7で得た脱アミド化蛋白質粉末及び対照実験で得た酵素未処理蛋白質粉末を10 mmol/l リン酸緩衝液(pH7.0)に0.5mg/mlの濃度に溶解し、マイクロコンダクティビティ法(Wilde PJ, Colloid and Interface Science, 178, 733-739, 1996)で起泡性、泡沫安定性を測定した。泡沫安定性は5分後の伝導度の残存度で表した。結果を表6に示す。
Figure 0003769289
この様に、蛋白質を本酵素で脱アミドすることにより蛋白質の泡沫特性を著しく向上させることができることが判る。
脱アミド化蛋白質の機能性-乳化特性の向上 実施例7で得た脱アミド化蛋白質粉末及び対照実験で得た酵素未処理蛋白質粉末の溶液4ml(1.0mg/ml-10mmol/l 10 mmol/l リン酸緩衝液(pH7.0))と1.0gのコーンオイル(シグマ社製)をバイアルにとり、1分間ボルテックス・ミキサーにより前攪拌後、シングルパス・バルブ・ホモゲナイザー(EmulsiFlex-20000-B3, Avesten, Ottawa, Canada)に高圧(200kPa)下、5回通すことにより油/水エマルジョンを調製した。フレッシュなエマルジョンの粒子分布を、レーザー・ディフラクション・パーティクル・サイズ分析機(Coulter LS230, Coulter, Hialesh, FL)を用いて測定した。乳化活性は、比表面積 (1mlのエマルジョン当たりの粒子の表面積)で表した。乳化安定性は、7日間室温に放置後肉眼でエマルジョンの崩壊を示すクリーミング、フロキュレーション、コアレッセンスの程度を観察した。乳化活性の結果を表7に、乳化安定性の結果を表8に示す。
Figure 0003769289
Figure 0003769289
この様に、蛋白質を本酵素で脱アミドすることにより蛋白質の乳化活性、乳化安定性を著しく向上させることができることが判る。
脱アミド化蛋白質の機能性-溶解性の向上
実施例7で得た脱アミド化蛋白質粉末及び対照実験で得た酵素未処理蛋白質粉末を2.0mg/mlの濃度pH2.7から6までの10 mmol/lクエン酸−燐酸緩衝液、pH7から9までの10 mmol/l Tris-HCl緩衝液及びpH12の水溶液(NaOHで調整)に縣濁、溶解させ室温で30分間振とう後、さらに30分間室温に静置した。ここでpHを測定後、16000×gの高速で遠心分離し、得られた上清を0.45μmの膜で濾過し、濾液中の蛋白質含量をBCA法で測定した。この濾液中の蛋白質含量を溶解性の指標とし、pH12での溶解度を100%として表示した(Methods of Testing Protein Functinality, p47-55, edited by G.M.Hall, Blackie Academic & Professional, London, 1996)。脱アミド化蛋白質のpH-溶解性曲線を図4〜8に示す。
この様に、蛋白質を本酵素で脱アミドすることにより蛋白質の溶解性を著しく向上させることができることが判る。 即ち、小麦グルテンの場合、酵素未処理蛋白質はpH4.5以上9付近までほとんど溶解性を有しなかったのに対し、脱アミド化小麦グルテンは、pH4.8で約40%、pH6以上で80%以上の溶解性を示し、著しい溶解性の改善を示した(図4)。 カゼイネートの場合、酵素未処理カゼイネートが、多くの食品のpH領域であるpH5〜6の弱酸性領域で溶解性が乏しい(pH5.4で22%)のに対し、脱アミド化カゼイネートは、pH5.1で約30%、pH5.3以上で約70%以上の溶解性を示した(図5)。 乳清蛋白質の場合、酵素未処理蛋白質がpH3.8から4.7の範囲で全く溶解性を示さなかったのに対し、脱アミド化蛋白質は、pH3.9及び4.7で約50%の溶解性を示した(図6)。 大豆蛋白質の場合、酵素未処理蛋白質は全体に溶解性が乏しく、pH6.6で約10%、pH7.5で約30%の溶解性を有しているに過ぎなかったが、脱アミド化蛋白質は、pH6以上で70%以上の溶解性を示し、著しく溶解性が改善された(図7)。 また、卵白蛋白質の場合、酵素未処理蛋白質がpH3.9から4.3の範囲で全く溶解性を示さなかったのに対し、脱アミド化蛋白質は、pH3.9で約70%、pH4.3で約43%の溶解性を示した(図8)。
クリセオバクテリウム・エスピー No.9670(Chryseobacterium sp. No.9670)由来の蛋白質脱アミド酵素をコードする遺伝子の単離
本明細書においては、遺伝子操作手法は特に記載しない限り成書(例えば"Molecular Cloning" 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratoty Press, 1989)に従って行った。
a)染色体DNAの単離
"Current Protocols in Molecular Biology", Unit 2.4 (John Wiley & Sons, Inc., 1994)に従って、100ml のカルチャーから、210μg/mlの濃度の染色体DNAを、4.5ml得た。
b)部分アミノ酸配列の決定
実施例3で得られた蛋白質脱アミド酵素の精製標品を、プロテイン・シークエンサー(Applied Biosystems社)に供し、配列番号1に示す20残基のN末端アミノ酸配列を決定した。次に、実施例3で得られた蛋白質脱アミド酵素の精製標品を過ギ酸により還元・アルキル化した後、トリプシンによる分解を行った。得られた分解物を逆相液体クロマトグラフィーに供し、分離されたペプチド画分の一つをプロテイン・シークエンサーに供し、配列番号2に示す20残基の内部アミノ酸配列を決定した。
配列番号1:
Leu-Ala-Ser-Val-Ile-Pro-Asp-Val-Ala-Thr-Leu-Asn-Ser-Leu-Phe-Asn-Gln-Ile-Lys-Asn
配列番号2:
Ser-Pro-Ser-Asn-Ser-Tyr-Leu-Tyr-Asp-Asn-Asn-Leu-Ile-Asn-Thr-Asn-Cys-Val-Leu-Thr
c) PCRによるDNAプローブの作成
N末端領域アミノ酸配列および内部アミノ酸配列をもとに、以下の2種の混合オリゴヌクレオチドをDNA合成機(Applied Biosystems社)により合成し、PCRプライマーとした。
配列番号3
センス・プライマー:
5'-GCI(TA)(CG)IGTIAT(TCA)CC(TACG)GA(TC)GT-3' <N-1g>
配列番号4
アンチセンス・プライマー:
5'-A(AG)(AGTC)AC(AG)CA(AG)TT(AGTC)GT(AG)TT(AGT)AT-3' <M-2a>
これらのプライマーとクリセオバクテリウム・エスピー No.9670 (Chruseobacterium sp. No9670)の染色体DNAを鋳型として、以下の条件下、Omnigene Thermal Cycler(Hybaid 社)を用いてPCR反応を行なった。
<PCR反応液>
10 x PCR反応緩衝液 (Perkin Elmer社) 5.0 μl
dNTP混合液 (それぞれ2.5 mmol/l、Promega社) 4.0 μl
20 μmol/l センス・プライマー 10.0 μl
20 μmol/l アンチセンス・プライマー 10.0 μl
蒸留水 20.25 μl
染色体DNA溶液 (190μg/ml) 0.5 μl
Taq DNAポリメラーゼ (Perkin Elmer社) 0.25 μl
<PCR反応条件>
ステージ1: 変性(94℃、5分) 1サイクル
ステージ2: 変性(94℃、1分) 30サイクル
アニール(44℃、1分)
伸長(72℃、1分)
ステージ3: 伸長(72℃、10分) 1サイクル
得られた約0.48kbのDNA断片をpCRII(Invitrogene社)にクローニング後、塩基配列を確認したところ、センス・プライマーの直後とアンチセンス・プライマーの直前に、上記の部分アミノ酸配列をコードする塩基配列が見出された。本DNA断片を全長遺伝子クローニングのためのDNAプローブとした。
d)遺伝子ライブラリーの作成
クリセオバクテリウム・エスピー No.9670 (Chryseobacterium sp. No9670)の染色体DNAのサザン・ハイブリダイゼーション解析の結果、Eco RI分解物中にプローブDNAとハイブリダイズする約4.9 kbのシングルバンドが確認された。この約4.9 kbのEcoRI DNA断片をクローニングするため、以下の様に遺伝子ライブラリーを作成した。上記a)で調製した染色体DNAをEcoRIで分解し、得られた分解物をEcoRI処理したλZAPII (Stratagene社)ベクターにライゲーションし、Gigapack III gold (Stratagene社)を用いてパッケージングし遺伝子ライブラリーを得た。
e)遺伝子ライブラリーのスクリーニング
上記c)で得た0.48 kbのDNA断片をMegaprime DNA Labeling system (Amersham社)とP32-α-dCTPを用いてラベルした。これをDNAプローブとして、d)で得た遺伝子ライブラリーをプラーク・ハイブリダイゼーションによりスクリーニングした。得られた陽性プラークからファージを回収した後、Stratagene社のインストラクションに従い、in vivo Exicision法により、約4.5 kb Eco RI断片を含むプラスミドp9T1-2を得た。
f)塩基配列の決定
プラスミドp9T1-2の塩基配列を定法に従って決定した。蛋白質脱アミド酵素をコードする塩基配列を配列番号5に示す。また配列番号5によりコードされるアミノ酸配列を、配列番号6に示す。このアミノ酸配列中には、 b)で決定したN末端領域アミノ酸配列(配列番号1)および内部アミノ酸配列(配列番号2)が見出された。
配列番号5
TTGGCGAGTGTAATTCCTGATGTAGCTACATTAAATTCTTTATTCAATCA
AATAAAGAATCAGTCTTGCGGTACCTCTACGGCGTCCTCACCATGCATCA
CATTCAGATATCCTGTAGACGGATGTTATGCAAGAGCCCATAAGATGAGA
CAAATCTTAATGAACAACGGCTATGACTGTGAAAAACAATTTGTATACGG
AAACCTAAAGGCATCAACAGGAACTTGCTGTGTGGCGTGGAGCTACCACG
TTGCAATATTGGTAAGCTATAAAAATGCTTCCGGAGTAACGGAAAAAAGA
ATTATTGATCCTTCACTATTTTCAAGCGGTCCTGTAACAGATACAGCATG
GAGAAACGCTTGCGTTAACACCTCTTGCGGATCTGCATCCGTTTCCTCTT
ATGCTAATACTGCAGGAAATGTTTATTACAGAAGTCCTAGTAATTCTTAC
CTGTATGACAACAATCTGATCAATACCAACTGTGTACTGACTAAATTTTC
ACTGCTTTCCGGATGTTCTCCTTCACCTGCACCGGATGTATCCAGCTGTG
GATTT
(555 bp)
配列番号6
L A S V I P D V A T L N S L F N Q I K N
Q S C G T S T A S S P C I T F R Y P V D
G C Y A R A H K M R Q I L M N N G Y D C
E K Q F V Y G N L K A S T G T C C V A W
S Y H V A I L V S Y K N A S G V T E K R
I I D P S L F S S G P V T D T A W R N A
C V N T S C G S A S V S S Y A N T A G N
V Y Y R S P S N S Y L Y D N N L I N T N
C V L T K F S L L S G C S P S P A P D V
S S C G F
(185 amino acid)
この遺伝子のオープンリーディングフレームを配列番号7に示す。配列番号7に示すように、全体が320アミノ酸残基のPrepro体としてコードされており、うちN−末端の135残基(下記配列番号7の下線部)がPrepro領域、残りの185残基が成熟体に対応する(配列番号6を参照)。 Prepro領域135残基のうち、N-末端の21残基がシグナル配列の特徴を有しているためPre領域と推定され、残りの114残基がPro領域と推定される。 本発明は蛋白質脱アミド化活性を有するポリペプチドやそれをコードするヌクレオチドに特に限定されるものではなく、蛋白質脱アミド化活性を有するポリペプチドからなる更に長いポリペプチド(例えば、Prepro体やPro体等)やそれをコードするヌクレオチドを含むものである。
配列番号7
AGTTAAAATAACCAACCAACTTAACAAAAACTCACCATTAAACTACAAATTACAATTATT
ATGAAAAATCTTTTTTTATCAATGATGGCCTTTGTGACCGTCTTAACTTTTAATTCCTGT
M K N L F L S M M A F V T V L T F N S C
GCCGATTCCAACGGGAATCAGGAAATCAACGGAAAGGAAAAACTAAGTGTAAATGATTCT
A D S N G N Q E I N G K E K L S V N D S
AAGCTGAAAGATTTCGGAAAGACTGTACCGGTAGGGATAGACGAAGAAAACGGAATGATA
K L K D F G K T V P V G I D E E N G M I
AAGGTGTCATTTATGTTAACTGCGCAATTCTATGAAATTAAGCCGACCAAAGAAAATGAG
K V S F M L T A Q F Y E I K P T K E N E
CAGTATATCGGAATGCTTAGACAGGCTGTTAAGAATGAATCTCCTGTACACATTTTCTTA
Q Y I G M L R Q A V K N E S P V H I F L
AAGCCTAATAGCAATGAAATAGGAAAAGTGGAGTCTGCAAGTCCGGAAGACGTAAGATAT
K P N S N E I G K V E S A S P E D V R Y
TTTAAAACGATCCTGACAAAAGAAGTAAAAGGGCAAACCAATAAATTGGCGAGTGTAATT
F K T I L T K E V K G Q T N K L A S V I
CCTGATGTAGCTACATTAAATTCTTTATTCAATCAAATAAAGAATCAGTCTTGCGGTACC
P D V A T L N S L F N Q I K N Q S C G T
TCTACGGCGTCCTCACCATGCATCACATTCAGATATCCTGTAGACGGATGTTATGCAAGA
S T A S S P C I T F R Y P V D G C Y A R
GCCCATAAGATGAGACAAATCTTAATGAACAACGGCTATGACTGTGAAAAACAATTTGTA
A H K M R Q I L M N N G Y D C E K Q F V
TACGGAAACCTAAAGGCATCAACAGGAACTTGCTGTGTGGCGTGGAGCTACCACGTTGCA
Y G N L K A S T G T C C V A W S Y H V A
ATATTGGTAAGCTATAAAAATGCTTCCGGAGTAACGGAAAAAAGAATTATTGATCCTTCA
I L V S Y K N A S G V T E K R I I D P S
CTATTTTCAAGCGGTCCTGTAACAGATACAGCATGGAGAAACGCTTGCGTTAACACCTCT
L F S S G P V T D T A W R N A C V N T S
TGCGGATCTGCATCCGTTTCCTCTTATGCTAATACTGCAGGAAATGTTTATTACAGAAGT
C G S A S V S S Y A N T A G N V Y Y R S
CCTAGTAATTCTTACCTGTATGACAACAATCTGATCAATACCAACTGTGTACTGACTAAA
P S N S Y L Y D N N L I N T N C V L T K
TTTTCACTGCTTTCCGGATGTTCTCCTTCACCTGCACCGGATGTATCCAGCTGTGGATTT
F S L L S G C S P S P A P D V S S C G F 320
TAATTAATTGATAATTTTACAGCACCTGCTCATTTACAGAATCAGCAGGTGCTGTTATAT (1080)
*
配列番号8
M K N L F L S M M A F V T V L T F N S C
A D S N G N Q E I N G K E K L S V N D S
K L K D F G K T V P V G I D E E N G M I
K V S F M L T A Q F Y E I K P T K E N E
Q Y I G M L R Q A V K N E S P V H I F L
K P N S N E I G K V E S A S P E D V R Y
F K T I L T K E V K G Q T N K L A S V I
P D V A T L N S L F N Q I K N Q S C G T
S T A S S P C I T F R Y P V D G C Y A R
A H K M R Q I L M N N G Y D C E K Q F V
Y G N L K A S T G T C C V A W S Y H V A
I L V S Y K N A S G V T E K R I I D P S
L F S S G P V T D T A W R N A C V N T S
C G S A S V S S Y A N T A G N V Y Y R S
P S N S Y L Y D N N L I N T N C V L T K
F S L L S G C S P S P A P D V S S C G F
(320 amino acid)
蛋白質脱アミド酵素の大腸菌での発現プラスミドの構築
N末端領域アミノ酸配列およびC末端領域アミノ酸配列をコードするDNA配列をもとに、以下の2種のオリゴヌクレオチドをDNA合成機(Applied Biosystems社)により合成し、PCRプライマーとした。
配列番号9
成熟体発現用センス・プライマー:
5'-CCGAATTCTTGGCGAGTGTAATTCCTGATG-3'
配列番号10
プレプロ体発現用センス・プライマー
5'-CAGAATTCATGAAAAATCTTTTTTTATCAATGGCC-3'
配列番号11
アンチセンス・プライマー:
5'-TCGAATTCTTAAAATCCACAGCTGGATAC-3'
これらのプライマーと蛋白質脱アミド酵素遺伝子を有するプラスミドp9T1-2を鋳型として、以下の条件下、Omnigene Thermal Cycler (Hybaid 社)を用いてPCR反応を行なった。
<PCR反応液>
10 x PCR反応緩衝液 (Perkin Elmer社) 10.0 μl
dNTP混合液 (それぞれ2.5 mmol/l、Promega社) 8.0 μl
20 μmol/l センス・プライマー 2.5 μl
20 μmol/l アンチセンス・プライマー 2.5 μl
蒸留水 75.5 μl
プラスミドp7T-1溶液 (50μg/ml) 1.0 μl
Taq DNAポリメラーゼ (Perkin Elmer社) 0.5 μl
<PCR反応条件>
ステージ1: 変性(94℃、5分) 1サイクル
ステージ2: 変性(94℃、1分) 30サイクル
アニール(55℃、1分)
伸長(72℃、1分)
ステージ3: 伸長(72℃、10分) 1サイクル
成熟体発現用センスプライマーとアンチセンスプライマーの組み合わせで得られた約0.57kbのDNA断片及びプレプロ体発現用センスプライマーとアンチセンスプライマーの組み合わせで得られた約0.98kbのDNA断片をそれぞれpCRII(Invitrogen社)にクローニングし、塩基配列が正しいことを確認した後、これらのプラスミドから EcoRI処理により約0.57 kb及び約0.98kbのDNA断片を回収した。これらのDNA断片を大腸菌での発現ベクターpGEX-1λT (Pharmacia社)のEcoRI部位に挿入し、pGEX-1λTが有するグルタチオンSトランスフェラーゼのコードDNAのC末端に蛋白質脱アミド酵素のコードDNAを同方向に連結し、成熟体をコードするDNAを含むプラスミドpN7-9及びプレプロ体をコードするDNAを含むプラスミドpP3-9をそれぞれ得た。これらのプラスミドは、tacプロモーターの制御下でグルタチオンSトランスフェラーゼと蛋白質脱アミド酵素の融合蛋白質を発現させることが出来、Thrombin処理により融合蛋白質から蛋白質脱アミド酵素を切り出すことが出来る。
蛋白質脱アミド酵素の大腸菌での発現
発現プラスミドpN7-9及びpP3-9を大腸菌BL21(Pharmacia社)に導入し形質転換体を得た。また対照として発現ベクターpGEX-1λTを有する大腸菌BL21の形質転換体も得た。これらの形質転換体を100μg/mlのアンピシリンを含有するLB培地で37℃, 200rpmで培養して得た対数増殖期(OD600=0.9〜1.0)の細胞に終濃度0.1 mmol/lのIPTGを添加後さらに4時間同条件で培養し集菌した。菌体を培養液の1/10量の50 mmol/l TrisHCl, pH8.0/2 mmol/l EDTAに縣濁し、終濃度0.1 mg/mlのEgg white lysozymeと終濃度0.1%のTriton X-100を添加し、30℃で15 min放置後、温和な超音波処理(10 sec. On and 30 sec. Offを3 cycles)で粘凋なDNAを揃断しCell extractを得た。このCell extract 100 μlに、4μlのThrombin(1U/μl-9 mmol/l sodium phosphate, pH6.5/140 mmol/l NaCl)を添加し、室温に16時間放置し、Trombin処理Cell extractを得た。また4μlの緩衝液(9 mmol/l sodium phosphate, pH6.5/140 mmol/l NaCl)を添加し、同様の反応を行ったものをTrombin処理の対照とした。
得られたサンプルについて、蛋白質脱アミド酵素活性の測定を行った結果を以下の表9に示す。
Figure 0003769289
この様に、成熟体の蛋白質脱アミド酵素発現プラスミドpN7-9を有する大腸菌は、蛋白質脱アミド活性を発現していることが判る。また、プレプロ体の蛋白質脱アミド酵素発現プラスミドpP3-9を有する大腸菌も低レベルながら蛋白質脱アミド酵素活性を発現した。一方、対照とした発現ベクターpGEX-1λTを有する大腸菌には蛋白質脱アミド活性の発現は観察されなかった。
また、サンプル1、2,5及び6を12% SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、蛋白質脱アミド酵素に対する抗体を用いたWestern解析を行った。その結果、サンプル1中にはグルタチオンSトランスフェラーゼと成熟体蛋白質脱アミド酵素との融合蛋白質に相当する分子量約43Daの位置に抗体と反応するバンドが検出され、サンプル2中には、この分子量約43Daのバンドの他に成熟体蛋白質脱アミド酵素の分子量約20kDaの位置にバンドが検出された。一方、サンプル5,6中には抗体と反応するバンドは何も検出されなかった。
これらの結果より、本発明で得られた蛋白質脱アミド酵素遺伝子を用いて、組換え蛋白質脱アミド酵素を大腸菌を用いて製造出来ることが確認された。
実施例6の精製蛋白質脱アミド酵素のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す図である。レーン1は分子量マーカー蛋白質、レーン2が精製蛋白質脱アミド酵素である。 実施例7の蛋白質の脱アミド化率の変化のタイムコースを示す図である。
●は小麦グルテン、○はカゼイネート、▲は乳清蛋白質、□は卵白蛋白質、△は大豆蛋白質を表す。
実施例7の脱アミド化蛋白質のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す図である。レーン1、4、7、10は分子量マーカー蛋白質、レーン2、5、8、11は順に対照のカゼイネート、乳清蛋白質、卵白蛋白質、大豆蛋白質、レーン3、6、9、12は順に脱アミド化されたカゼイネート、乳清蛋白質、卵白蛋白質、大豆蛋白質である。 実施例10の脱アミド化グルテンのpH-溶解性曲線を示す図である。
●は脱アミド化小麦グルテン、○は対照の小麦グルテンを表す。
実施例10の脱アミド化カゼイネートのpH-溶解性曲線を示す図である。
●は脱アミド化カゼイネート、○は対照のカゼイネートを表す。
実施例10の脱アミド化乳清蛋白質のpH-溶解性曲線を示す図である。
●は脱アミド化乳清蛋白質、○は対照の乳清蛋白質を表す。
実施例10の脱アミド化大豆蛋白質のpH-溶解性曲線を示す図である。
●は脱アミド化大豆蛋白質、○は対照の大豆蛋白質を表す。
実施例10の脱アミド化卵白蛋白質のpH-溶解性曲線を示す図である。
●は脱アミド化卵白蛋白質、○は対照の卵白蛋白質を表す。

Claims (16)

  1. 配列表の配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチド。
  2. 配列表の配列番号8に記載のアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされているアミノ酸配列からなり、カゼイン中のアミド基を脱アミドする作用を有し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わない作用特異性を有するポリペプチド。
  3. 配列表の配列番号8に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  4. 配列表の配列番号8に記載のアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされているアミノ酸配列からなり、カゼイン中のアミド基を脱アミドする作用を有し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わない作用特異性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  5. 配列表の配列番号7に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド。
  6. 請求項3から5のいずれかに記載のヌクレオチドを含有することを特徴とする組換えベクター。
  7. 請求項6記載の組換えベクターを導入させた形質転換体。
  8. 請求項7記載の形質転換体を培養し、カゼイン中のアミド基に直接作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず脱アミドする作用を有する組換えポリペプチドを生産せしめ、培養物より該組換えポリペプチドを採取することを特徴とするカゼイン中のアミド基に直接作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず脱アミドする作用を有する組換えポリペプチドの製造法。
  9. 請求項7記載の形質転換体を培養し、該培養物から採取される、カゼイン中のアミド基に直接作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず脱アミドする作用を有する組換えポリペプチド。
  10. クリセオバクテリウム(Chryseobacterium)属に属する新菌クリセオバクテリウム・エスピー(Chryseobacterium sp.)No. 9670(FERM BP−7351)を栄養培地に培養し、カゼイン中のアミド基に直接作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず脱アミドする作用を有し、分子量が20kDaであり且つ、等電点が10.0である新規な酵素を生産せしめ、該酵素を採取することを特徴とする蛋白質中のアミド基を脱アミドする作用を有する酵素の製造法。
  11. 蛋白質或いはペプチドに、配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列において1個又は数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされているアミノ酸配列を含み、カゼイン中のアミド基に直接作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず脱アミドする作用を有するポリペプチド、配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチド、請求項1〜2の何れか記載のポリペプチド又は請求項記載の組換えポリペプチドの少なくとも1種を作用させることを特徴とする蛋白質或いはペプチドの修飾法。
  12. 配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列において1個又は数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされているアミノ酸配列を含み、カゼイン中のアミド基に直接作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず脱アミドする作用を有するポリペプチド、配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチド、請求項1〜2の何れか記載のポリペプチド又は請求項9記載の組換えポリペプチドの少なくとも1種を有効成分としてなる蛋白質或いはペプチドの修飾用組成物。
  13. 配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列において1個又は数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされているアミノ酸配列を含み、カゼイン中のアミド基に直接作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず脱アミドする作用を有するポリペプチド、配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチド、請求項1〜2の何れか記載のポリペプチド又は請求項9記載の組換えポリペプチドの少なくとも1種を植物性、動物性蛋白質及び/又はペプチドに作用させ、当該蛋白質及び/又はペプチドの機能性を改善する方法。
  14. 配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列において1個又は数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされているアミノ酸配列を含み、カゼイン中のアミド基に直接作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず脱アミドする作用を有するポリペプチド、配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチド、請求項1〜2の何れか記載のポリペプチド又は請求項9記載の組換えポリペプチドの少なくとも1種を植物性、動物性蛋白質及び/又はペプチドを含む食品に作用させ、当該食品の機能性を改善する方法。
  15. 配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列において1個又は数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされているアミノ酸配列を含み、カゼイン中のアミド基に直接作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず脱アミドする作用を有するポリペプチド、配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチド、請求項1〜2の何れか記載のポリペプチド又は請求項9記載の組換えポリペプチドの少なくとも1種を植物性、動物性蛋白質及び/又はペプチドを含有する粗原料に作用させ、当該原料から蛋白質及び/又はペプチドの抽出効率を改善する方法。
  16. 配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列において1個又は数個のアミノ酸残基が欠失、付加、挿入若しくは置換の少なくとも1つがなされているアミノ酸配列を含み、カゼイン中のアミド基に直接作用し、ペプチド結合の切断及び蛋白質の架橋を伴わず脱アミドする作用を有するポリペプチド、配列表の配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチド、請求項1〜2の何れか記載のポリペプチド又は請求項9記載の組換えポリペプチドの少なくとも1種によりトランスグルタミナーゼの反応を制御する方法。
JP2004342158A 1999-12-03 2004-11-26 新規蛋白質脱アミド酵素、それを生産する微生物、それをコードする遺伝子、その製造法及び用途 Expired - Lifetime JP3769289B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004342158A JP3769289B2 (ja) 1999-12-03 2004-11-26 新規蛋白質脱アミド酵素、それを生産する微生物、それをコードする遺伝子、その製造法及び用途

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34504499 1999-12-03
JP2004342158A JP3769289B2 (ja) 1999-12-03 2004-11-26 新規蛋白質脱アミド酵素、それを生産する微生物、それをコードする遺伝子、その製造法及び用途

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000368983A Division JP3696500B2 (ja) 1999-12-03 2000-12-04 新規蛋白質脱アミド酵素、それを生産する微生物、それをコードする遺伝子、その製造法及び用途

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2005052158A JP2005052158A (ja) 2005-03-03
JP2005052158A5 JP2005052158A5 (ja) 2005-07-07
JP3769289B2 true JP3769289B2 (ja) 2006-04-19

Family

ID=18373917

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000368983A Expired - Lifetime JP3696500B2 (ja) 1999-12-03 2000-12-04 新規蛋白質脱アミド酵素、それを生産する微生物、それをコードする遺伝子、その製造法及び用途
JP2004342158A Expired - Lifetime JP3769289B2 (ja) 1999-12-03 2004-11-26 新規蛋白質脱アミド酵素、それを生産する微生物、それをコードする遺伝子、その製造法及び用途

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000368983A Expired - Lifetime JP3696500B2 (ja) 1999-12-03 2000-12-04 新規蛋白質脱アミド酵素、それを生産する微生物、それをコードする遺伝子、その製造法及び用途

Country Status (4)

Country Link
EP (1) EP1106696B1 (ja)
JP (2) JP3696500B2 (ja)
DE (1) DE60021160T2 (ja)
DK (1) DK1106696T3 (ja)

Families Citing this family (40)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3961956B2 (ja) * 2001-02-27 2007-08-22 天野エンザイム株式会社 乳蛋白質の脱アミド化方法及び乳蛋白質の変性方法
ES2547222T3 (es) 2005-01-13 2015-10-02 Ajinomoto Co., Inc. Producto cárnico transformado o producto de pasta de pescado y procedimiento para su producción
JP4711464B2 (ja) 2005-01-13 2011-06-29 味の素株式会社 乳製品及びその製造方法
EP1914298B1 (en) * 2005-07-07 2017-12-06 Amano Enzyme Inc. Process for production of beer or beer-like beverage
JP5385894B2 (ja) * 2008-03-14 2014-01-08 味の素株式会社 食品素材及びその利用方法
TW200942616A (en) 2008-03-14 2009-10-16 Ajinomoto Kk Method of denaturing protein with enzymes
ES2389238T3 (es) 2008-06-19 2012-10-24 Ajinomoto Co., Inc. Alimento procesado y procedimiento de producción del mismo
EP2351837B1 (en) * 2008-09-09 2019-04-03 Amano Enzyme Inc. Method for designing mutant enzyme, method for preparing mutant enzyme, and mutant enzyme
WO2010035825A1 (ja) 2008-09-29 2010-04-01 味の素株式会社 改質乳の製造方法
JP5627022B2 (ja) 2009-08-31 2014-11-19 味の素株式会社 低脂肪又は無脂肪ヨーグルト及びその製造方法
MY159840A (en) 2010-03-04 2017-02-15 Ajinomoto Kk Coffee whitener,process for producing same,and process for producing beverage
KR101780453B1 (ko) 2010-03-31 2017-09-21 아지노모토 가부시키가이샤 아이스크림류 및 이의 제조 방법
CN104736135B (zh) 2012-10-17 2019-07-09 味之素株式会社 化妆品组合物
SG11201504862QA (en) 2013-02-05 2015-08-28 Oatly Ab Liquid oat base
WO2015133590A1 (ja) * 2014-03-07 2015-09-11 味の素株式会社 新規タンパク質脱アミド酵素
EP3145325A1 (en) * 2014-05-23 2017-03-29 FrieslandCampina Nederland B.V. Method for the preparation of an acid dairy drink and said acid dairy drink
KR101648539B1 (ko) * 2014-10-01 2016-08-16 이현기 식충식물로부터 분리한 신규한 미생물 및 그로부터 생성된 단백질분해효소
EP3680330A4 (en) 2017-09-07 2021-09-01 Amano Enzyme Inc. STABILIZED DRY PROTEIN EMIDASE COMPOSITION
WO2020171106A1 (ja) 2019-02-21 2020-08-27 天野エンザイム株式会社 植物性ミルクの凝集防止
KR20210129112A (ko) 2019-02-21 2021-10-27 아마노 엔자임 가부시키가이샤 넛트 밀크의 응집 방지
CA3131548A1 (en) * 2019-02-26 2020-09-03 Amano Enzyme Usa Co., Ltd. Stable protein formulations
WO2021049591A1 (ja) 2019-09-12 2021-03-18 天野エンザイム株式会社 植物タンパク質濃縮物の製造方法
CN115380116A (zh) 2020-04-03 2022-11-22 天野酶制品株式会社 蛋白质脱酰胺方法
US20220053786A1 (en) 2020-08-19 2022-02-24 Ajinomoto Co., Inc. Methods for producing stirred yogurt
JPWO2022045152A1 (ja) 2020-08-24 2022-03-03
EP4215057A1 (en) 2020-09-18 2023-07-26 Amano Enzyme Inc. Method of manufacturing processed chickpea milk
JPWO2022059755A1 (ja) 2020-09-18 2022-03-24
CN114521591A (zh) 2020-10-30 2022-05-24 天野酶制品株式会社 香味增强的植物性蛋白质饮食品的加工物的制造方法
CN114521592A (zh) 2020-10-30 2022-05-24 天野酶制品株式会社 口感提高的植物性蛋白质加工物的制造方法
CN114521593A (zh) 2020-11-05 2022-05-24 天野酶制品株式会社 提高分散稳定性和/或溶解性的加工植物性奶的制造方法
JPWO2022102723A1 (ja) 2020-11-11 2022-05-19
JPWO2022114059A1 (ja) 2020-11-27 2022-06-02
CN116547381A (zh) 2020-12-04 2023-08-04 天野酶制品株式会社 液体酶制剂
CN116648144A (zh) 2020-12-24 2023-08-25 天野酶制品株式会社 一种含大米蛋白质的液态组合物的制备方法
WO2022144452A1 (en) * 2021-01-04 2022-07-07 Roquette Freres Oat protein composition of high solubility
EP4321032A1 (en) 2021-04-05 2024-02-14 Amano Enzyme Europe Ltd. Processed hemp protein-including liquid composition and production method therefor
BR112023024271A2 (pt) 2021-05-21 2024-01-30 Amano Enzyme Inc Método para fabricação de alimentos e bebidas de aveia processados ou materiais alimentares
CN114717151B (zh) * 2021-11-25 2023-05-12 宜宾五粮液股份有限公司 金黄杆菌属新菌种及其用途
WO2023145832A1 (ja) * 2022-01-27 2023-08-03 天野エンザイム株式会社 卵白タンパク質の熱凝固ゲルの物性改変剤
WO2023176943A1 (ja) * 2022-03-16 2023-09-21 天野エンザイム株式会社 改変型プロテイングルタミナーゼ

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3796633A (en) * 1971-05-10 1974-03-12 Kikkoman Shoyu Co Ltd Peptidoglutaminase
US5082672A (en) * 1989-06-21 1992-01-21 The United States Of American As Represented By The Secretary Of Agriculture Enzymatic deamidation of food proteins for improved food use
CN1099839C (zh) * 1996-05-20 2003-01-29 诺沃奇梅兹有限公司 一种获得蛋白质水解物的方法
JPH1175835A (ja) * 1997-08-29 1999-03-23 Amano Pharmaceut Co Ltd 脱アミド化酵素及び当該酵素の測定法
US6251651B1 (en) * 1998-06-04 2001-06-26 Amano Pharmaceutical Co., Ltd. Protein-deamidating enzyme, gene encoding the same, production process therefor, and use thereof

Also Published As

Publication number Publication date
DE60021160T2 (de) 2006-05-11
DE60021160D1 (de) 2005-08-11
JP2001218590A (ja) 2001-08-14
EP1106696B1 (en) 2005-07-06
EP1106696A1 (en) 2001-06-13
JP2005052158A (ja) 2005-03-03
DK1106696T3 (da) 2005-08-01
JP3696500B2 (ja) 2005-09-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3769289B2 (ja) 新規蛋白質脱アミド酵素、それを生産する微生物、それをコードする遺伝子、その製造法及び用途
JP3609648B2 (ja) 新規蛋白質脱アミド酵素、それをコードする遺伝子、その製造法並びにその用途
US7786281B2 (en) Protein-deamidating enzyme, microorganism producing the same, gene encoding the same, production process therefor, and use thereof
EP0976829B1 (en) Protein-deamidating enzyme, gene encoding the same, production process therefor, and use thereof
US10941390B2 (en) Protein deamidase
EP1371734B1 (en) Method of deamidation of milk protein and method of denaturation of milk protein
EP2296487B1 (en) Method for producing a wheat protein hydrolysate
EP4249590A1 (en) Thermotolerant protein glutaminase
WO2022244875A1 (ja) 加工オート飲食品又は食品素材の製造方法
WO2023176943A1 (ja) 改変型プロテイングルタミナーゼ
JPH0870815A (ja) 調味料の製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041224

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A132

Effective date: 20050809

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050922

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051122

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051226

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060131

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060203

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3769289

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100210

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100210

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110210

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120210

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120210

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130210

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140210

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term