JP3769210B2 - 紙幣処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数金種の紙幣の取込み、金種別の収納及び払出しが可能な紙幣処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動販売機、遊技場での遊技媒体貸出機、券売機、両替機等の各種用途において、複数金種の紙幣の取込み、収納及び紙幣の払出しが可能な紙幣処理装置は種々知られている。例えば特開平11−175804号公報に示される装置では、装置本体に五千円札用、一万円札用及び千円札用の3つの金庫を一体的に設け、紙幣挿入口から紙幣が挿入されたときに識別手段により金種を識別し、搬送手段等を介して選択的にいずれかの金庫に送り込むようにするとともに、千円札については出金(金庫からの紙幣の払い出し)も可能なように、千円札用金庫には、繰出しローラと、紙幣を集積して載置する載置板と、この載置板を押し上げて載置板上の集積紙幣のうちの最上位の紙幣を繰出しローラに押し付ける昇降機構等を設けている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に示された従来の装置では、千円札、五千円札、一万円札の3金種に適用できるように3段に紙幣収納部(金庫)を配設しているが、二千円札を含めた4金種に適用し、あるいは外国に輸出するような場合に5金種以上に適用すべく、紙幣収納部の数を増設することが要求される場合があり、一方、ユーザーや用途によって2金種に適用すればよいような場合に紙幣収納部の数を減少させることが要求される場合もある。このような要求に対し、紙幣処理装置の構成要素及び製造ラインをできるだけ共通化しつつ、紙幣収納部の数が異なる数種類の装置を製造できるようにすることが合理化及びコスト低減等のために望ましい。
【0004】
ところが、従来の装置では各紙幣収納部及び搬送機構等の内部機構が装置本体に一体的に組付けられているため、紙幣収納部の数を変更するためには装置本体、紙幣収納部及び内部機構の全てを大幅に変更することが必要となる。
【0005】
また、上記の従来装置では、五千円札用及び一万円札用の金庫は入金専用であり、千円札用の金庫にのみ出金も可能にする機構が設けられているが、両替、逆両替等の各種機能をもたせるには千円札以外の金種についても出金可能とすることが望まれる。
【0006】
本発明はこのような点に鑑み、紙幣収納部及び搬送機構等を構成する要素を共通化して、必要最小限の変更で紙幣収納部の増設、減少を容易に行うことができ、しかも、各収納部に対して紙幣の入金、出金が可能な紙幣処理装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の紙幣処理装置は、前面上部に紙幣挿入用及び払出用の開口を有するケーシングの内部に、上方に位置する入出金用ユニットと、下方に位置するベースユニットと、これらのユニットの間に位置する一乃至複数段の中間部ユニットとが配備され、上記入出金用ユニットには、紙幣の金種を識別する識別装置を有して上記紙幣挿入用の開口に対応する挿入口から紙幣を導入する紙幣導入機構と、上記払出用の開口に対応する払出口へ紙幣を導出する紙幣導出機構と、ユニット後部において一端が切替手段を介して紙幣導入機構及び紙幣導出機構に選択的に通じるとともに他端側が当該ユニットの下端部に至る紙幣搬送経路に沿って紙幣の搬送を行う正逆駆動可能な搬送機構とが設けられ、上記ベースユニットには、紙幣収納部と、該紙幣収納部の後方において該ユニットの上端から所定範囲で紙幣を搬送可能とする正逆駆動可能な搬送機構と、該搬送機構と紙幣収納部との間で紙幣の取込み、繰出しを可能にする正逆駆動可能な紙幣の取込み繰出し機構とが設けられ、上記中間部ユニットには、紙幣収納部と、該紙幣収納部の後方において該ユニットの上端から下端にわたる範囲で紙幣を搬送可能とする正逆駆動可能な搬送機構と、該搬送機構と紙幣収納庫との間で紙幣の取込み、繰出しを可能にする正逆駆動可能な紙幣の取込み繰出し機構と、上記搬送機構と取込み繰出し機構との間で紙幣移動方向を切り替える切替手段とが設けられており、さらにベース及び中間部のユニットのうちの1又は複数のユニットの上方に補助ユニットが設けられ、この補助ユニットには、その下方に位置するユニットの紙幣収納部に通じる収納スペース増量部と、該紙幣収納部の後方において該ユニットの上端から下端にわたる範囲で紙幣を搬送可能とする正逆駆動可能な搬送機構が設けられているものである。
【0008】
このような構成によると、入金時には挿入口から挿入された紙幣の金種が識別されて、金種に応じて定められた紙幣収納部に送り込まれ、一方、出金時には指定された金種に応じた紙幣収納部から紙幣が繰出されて払出口に送り出される。このようにして、複数種類の紙幣を金種別に各紙幣収納部に収納し得るとともに、いずれの紙幣収納部からも紙幣の繰出しが可能となる。
【0009】
また、要求される処理対象金種数に応じた紙幣収納部を有する紙幣処理装置を製造するにあたり、入出金用ユニットとベースユニットとの間に配置される中間部ユニットの個数を増減することで紙幣収納部の数を容易に変更することができる。つまり、紙幣の導入、識別、払出し等を行う部分と、各紙幣収納部及びこれに対する紙幣の取込み、繰出し等を行う部分がユニット化され、かつ、各ユニットに搬送機構も組み込まれているので、紙幣収納部及び内部機構がユニットとして共通化され、中間部ユニットの個数を変更するとともにケーシングのサイズを変更しさえすれば、2金種、3金種、4金種等の各種金種数に対応した紙幣処理装置が得られることとなる。さらに、上記補助ユニットが設けられることにより、収納される紙幣の枚数が多くなることが予想される一部の紙幣収納部について収納スペースを増量することが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
(紙幣処理装置の全体構造)
図1及び図2は本発明の1実施形態による紙幣処理装置の内部構造を示し、図3及び図4は上記紙幣処理装置の外観を示している。これらの図において、1は紙幣処理装置のケーシングであり、前面側が開口した箱状のケーシング本体11と、このケーシング本体11の前面を塞ぐ扉12とを備え、後記各ユニットを収容可能とする所定の大きさの箱状に形成されている。ケーシング1前面の扉12の上部には、紙幣挿入用の開口14及び払出用の開口15が配設されている。
【0016】
上記ケーシング1の内部には、最上部に位置する入出金用ユニット2と、最下部に位置するベースユニット3と、これらのユニット2、3の間に位置する一乃至複数段(図示の例では3段)の中間部ユニット4A〜4Cとが配備されている。各中間部ユニット4A〜4C及びベースユニット3には金種別に紙幣が収納され、例えば中間部ユニットのうちの上段のユニット4Aに千円札、中段のユニット4Bに二千円札、下段のユニット4Cに五千円札がそれぞれ収納され、ベースユニット3に一万円札が収納される。
【0017】
さらに必要に応じ、いずれか1つもしくは複数の中間部ユニットの上方に紙幣収納スペース増量のための補助ユニット5が配置され、図示の例では中間部ユニット4Aの上に補助ユニット5が配置されている。
【0018】
上記入出金用、ベース及び中間部の各ユニット2,3,4A〜4Cは、相互に分離可能で、かつ、それぞれケーシング1に対して着脱可能となっている。そして、各ユニット2,3,4A〜4Cの一側部に設けられた被支持部17が、ケーシング1の一側部に設けられたスライドガイド16に、前後方向に摺動可能に結合されることにより、ケーシング1に対して各ユニット2,3,4A〜4Cが個別に前方へ引出し可能な状態で片持ち状態に支持されている。このようにケーシング1に対して各ユニット2,3,4A〜4Cが一側部で片持ち状態に支持されているのは、各ユニット2,3,4A〜4Cの他側部に後述の搬送機構への駆動力伝達用の伝動手段が配設されるので、これとユニット支持部分との干渉を避けるためである。
【0019】
また、ケーシング1の側部にはメインCPU基板101、サブCPU基板102等を含む制御基板部100及び電源部105が装備され、これら制御基板部100及び電源部105に対して各ユニット2,3,4A〜4Cが着脱可能なコネクタを介して電気的に接続されるようになっている。
【0020】
上記各ユニット2,3,4A〜4Cの具体的構造を次に説明する。
(入出金用ユニットの構造)
入出金用ユニット2は、挿入口20a及び払出口20bを備えたフレーム20内に、上記挿入口20aから紙幣を導入する紙幣導入機構21と、上記払出口20bへ紙幣を導出する紙幣導出機構23と、搬送機構29とを配備しており、挿入口20a及び払出口20bがケーシング1の開口14,15から突出する状態でケーシング1内の上部に収容されている。
【0021】
上記紙幣導入機構21は、挿入口20aの近傍に紙幣の真贋及び金種を識別する識別装置22を有するとともに、挿入口20aから識別装置22を介して取込んだ紙幣をユニット2の後方部下方向へ向かわせるように案内する紙幣導入路210を有し、さらに紙幣導入路210の上流側及び下流側に配置された送りローラ211,212,紙幣導入路210の途中に配設されたガイドローラ213等を備えている。ローラ211,212,213は、図8にも示すようにモータ214によりベルト等の伝動機構215を介して駆動される。さらに紙幣導入機構21には、図9にも示すように紙幣導入路23の下流端近傍部で紙幣の通過を検出するセンサ216、モータ214の回転数を検出するパルスセンサ217等を具備している。
【0022】
紙幣導出機構23は、出金指令に応じて紙幣を払出口20bに払出す機構と、不正紙幣等をリジェクトする機構とを含んでおり、図5にも示すように、払出口20bに対応する高さ位置に配置した払出しリジェクト用送りベルト装置24と、このベルト装置24の上方のスペースで構成される一時貯留部25と、この一時貯留部25に紙幣を導く案内装置26と、紙幣をベルト装置24上の一時貯留部25に堆積させるためのプッシャー装置27と、上記ベルト装置24の下方のスペースに形成されたリジェクト室28とを備えている。
【0023】
上記ベルト装置24は、入出金用ユニットの幅方向中央に配置された無端状ベルト240とその両側に配置された無端状ベルト241とを有し、中央部のベルト240は同径の前方プーリ242と後方プーリ243との間に掛け渡され、両側のベルト241は前方プーリ242と後方大径プーリ244とに掛け渡されている。中央部のベルト240には紙幣押動用の突起245が設けられている。また、両側のベルト241に対し、後方大径プーリ244の所定範囲外周に沿うように補助ベルト246が設けられている。
【0024】
そして、払出しリジェクトモータ247により図外の伝動手段を介して上記ベルト240,241及び補助ベルト246が正逆転可能に駆動され、正転方向に駆動されたときはベルト240,241上の一時貯留紙幣が前方の払出口20bへ向けて送られ、逆転方向に駆動されたときは一時貯留紙幣が後方大径プーリ244と補助ベルト246との間から下方のリジェクト室28へ送られるようになっている。なお、リジェクト室28の前面は扉280によって開放可能とされ、扉280には錠281が設けられている。
【0025】
上記一時貯留部25と払出口20bとの間には、ソレノイド式のアクチュエータ250により開閉作動されるシャッター251が設けられている。
【0026】
上記案内装置26は、ベルト装置24の上方後部に配置された一対のニップロール260,261を有するとともに、その一方のロール260と後記搬送ロールとの間に配設された送りベルト262を有し、さらに、上記ニップロール260,261に対応する高さ位置で入出金用ユニット2の幅方向両側に前後方向に延びるように配置されたコ字形断面の紙幣仮保持枠263を有している。
【0027】
また、プッシャー装置27は、ベルト装置24の上方に、ベルト装置24に対向するように配置されたプッシャー部材270と、このプッシャー部材270を上記紙幣仮保持枠263より上方の上昇位置(図5中の二点鎖線)とベルト装置24に近接する下降位置(図5中の実線)とにわたって昇降可能に吊持するパンタグラフ式の昇降手段271と、カム部材272を介して昇降手段271を駆動するプッシャーモータ273とを備えている。
【0028】
そして、紙幣の払出し時又はリジェクト時に、搬送機構29から導かれて送りベルト262及び上記ニップロール260,261を経た紙幣Pが上記紙幣仮保持枠263に仮保持された後、プッシャー部材270が上昇位置から下降することにより紙幣Pを押し下げて紙幣仮保持枠263から離脱させ、ベルト装置24のベルト240,241上に紙幣Pを落としてからプッシャー部材270が上昇位置へ復帰する。このような動作が繰り返されることでベルト上の一時貯留部25に複数枚の紙幣Pが重積状態で一時貯留されるようになっている。
【0029】
紙幣導出機構23にはさらに、図9にも示すように、案内装置26に紙幣が導かれたことを検出するスタックインセンサ231、ベルト装置24の後方位置でリジェクト紙幣を検出するリジェクトセンサ232、ベルト装置24のベルト上で紙幣の有無を検出するスタッカ残留センサ233、ベルト装置24のベルト上から払出口20bへ紙幣が払い出されたことを検出する払出口センサ234、プッシャー部材270の上昇及び下降を検出するセンサ235,236等が具備されている。
【0030】
搬送機構29は、紙幣導入路210の下流端に対応する位置から入出金用ユニット2の下端までにわたる範囲で紙幣の搬送を行うもので、上部の一対の搬送ローラ291と、下部の一対の搬送ローラ292と、これらの間に配置された相対向する一対のガイド板293とを備えている。そして、一対のローラ同士がギヤ(図示せず)を介して互いに連動するとともに、上部及び下部の各一方の搬送ローラ291,292のローラ軸に設けられプーリ(図示せず)の間に伝動用ベルト(図示せず)が巻き掛けられることにより、上下のローラ291,292が互いに連動するようになっている。
【0031】
さらに、搬送機構29の上端部には、紙幣移動経路を切り替えるためのフラッパ295を備えた導入導出切替手段が設けられている。上記フラッパ295は、入金時に搬送機構29に対して紙幣導入路210を開く状態(図5中の実線の状態)と、出金時やリジェクト時に紙幣導入路210を遮蔽して、搬送機構29で逆送される紙幣を紙幣導出機構23側に導く状態(図5中の二点鎖線の状態)とに切り替え可能とされ、ソレノイド式のアクチュエータ296により駆動されるようになっている。
(ベースユニットの構造)
ベースユニット3には、図6にも示すように、紙幣収納部31と、該紙幣収納部31の後方において紙幣の搬送を行う搬送機構32と、この搬送機構32の駆動源である搬送モータ33と、搬送機構32と紙幣収納部31との間で紙幣の取込み、繰出しを行う取込み繰出し機構34と、紙幣収納部31において紙幣の集積を行う紙幣集積機構35と、この紙幣集積機構を駆動する駆動機構36とが設けられている。
【0032】
上記紙幣収納部31は、両側板、底板及び前面側の扉310等で構成され、内部に紙幣を集積状態で収納し得るスペースを有するように形成されている。上記扉310には錠311が設けられている。紙幣収納部31内には、所定高さ位置に紙幣支持テーブル312が設けられている。
【0033】
上記搬送機構32は、紙幣収納部31の後方上部に配置された一対の搬送ローラ320を備えている。この一対の搬送ローラ320の各ローラ軸には互いに噛合するギヤ322(図6でローラ320と重なる)が設けられ、さらに一方の搬送ローラ320のローラ軸にはプーリ324が設けられて、搬送モータ33の出力軸に設けられたプーリ330に伝動用ベルト326を介して連結されることにより、モータ33の駆動力が両搬送ローラ320に伝達されるようになっている。さらに一方のローラ軸に設けられたギヤ322には、上段側のユニット4Cに駆動力を伝達するための中間伝動ギヤ327が噛合している。上記ギヤ322,327、プーリ324,330及びベルト326はユニット3の側方部に配設され、かつ、中間伝動ギヤ327はユニット3の上端部に位置している。
【0034】
取込み繰出し機構34は、紙幣収納部の後方に位置するフィードローラ340と、紙幣収納部内に位置する送りローラ341と、これらローラ340,341の間に配設された送りベルト342と、上記フィードローラ340の直上に位置するストップローラ343と、ストップローラ343の前方においてベルト342の直上に位置する分離ローラ344とを備えている。
【0035】
上記フィードローラ340は当該ユニット3に設けられた正逆回転可能な繰出しモータ345にギヤ(図示せず)を介して連結されており、繰出しモータ345の所定方向の回転又は逆方向の回転により、フィードローラ340及びこれに従動する送りベルト342、送りローラ341が紙幣取込み方向又は紙幣繰出し方向に駆動されるようになっている。
【0036】
上記ストップローラ343は、入金時には搬送ローラ320の回転に伴って紙幣取込み方向に回転し、出金時には停止状態に保たれるように、図外のワンウェイクラッチ及びベルトを介して搬送ローラ320に連結されている。また、上記分離ローラ344は、入金時にはベルト342に従動して回転し、出金時には停止状態に保たれるように、ワンウェイクラッチ(図示せず)を介してローラ軸に保持されている。
【0037】
搬送機構32と取込み繰出し機構34との間にはガイド部材346が配置されている。
【0038】
紙幣集積機構35は、図6及び図7にも示すように、左右一対の分離板350と、この分離板350を昇降可能に保持する昇降用可動部材352と、集積紙幣を押圧する押えプレート353とを備えている。
【0039】
具体的に説明すると、紙幣収納部31内において紙幣支持テーブル312の両側方部に、細幅で前後方向に延びる分離板350が配置されるとともに、両分離板350間においてテーブル312の上方に板状の押えプレート353が配置されている。上記分離板350は、内側辺部に断面L字形の突片351を有し、この突片351がテーブル312の紙幣支持面(テーブル上面)より上方に位置する上昇位置と上記紙幣支持面より下方に位置する下降位置とにわたって昇降し得るように、紙幣収納部31の側板に昇降可能に取付けられた昇降用可動部材352に保持されている。
【0040】
そして、紙幣集積前において分離板350が上昇位置にあるときは図7(a)のように両分離板350の突片351上に押えプレート353が乗った状態となり、この状態でテーブル312上に紙幣Pが取込まれた後、分離板350が下降すると、図7(b)のように分離板350の突片351が紙幣Pの両側辺部を折曲げつつテーブル312の側方を通過するとともに、押えプレート353がテーブル312上の紙幣Pに乗り、さらに図7(c)のように分離板350が下降位置に達すると紙幣Pの側辺が突片351から離脱して非折曲状態に復帰する。その後に再び分離板350が上昇すると、図7(d)のように、紙幣P及びこれを押さえる押えプレート353が分離板350の突片351上に保持されるとともに、分離板350の下方でテーブル312上に紙幣Pが取込まれ得る状態となる。これら図7(a)〜(d)の動作の繰り返しにより、紙幣Pが集積されるようになっている。
【0041】
紙幣集積機構35を駆動する駆動機構36は、リフターモータ360によりギヤ361を介して回転駆動される偏心カム362と、該カム362の偏心軸に係合してカム362の回転に伴い上下動する略三角形状のリフター363とを備え、このリフター363に上記昇降用可動部材352が連結されることにより、リフターモータ360の駆動に応じて上記分離板350が昇降動作を行うようになっている。
【0042】
なお、上記昇降用可動部材352の上端には、上段側のユニット4Cへ昇降駆動力を伝達するために鉄板等の強磁性体からなる板片355が設けられている。また、357は昇降用可動部材に対するガイドローラである。
(中間部ユニット等の構造)
上記各中間部ユニット4A〜4Cは同一構造となっており、それぞれには、紙幣収納部41と、この紙幣収納部41の後方において当該ユニットの上端から下端にわたる範囲で紙幣の搬送を行う搬送機構42と、この搬送機構42と紙幣収納部41との間で紙幣の取込み、繰出しを行う取込み繰出し機構44と、紙幣収納部41において紙幣の集積を行う紙幣集積機構45とが設けられている。
【0043】
上記紙幣収納部41は、ベースユニット3の紙幣収納部31と同様に、両側板、底板、前面側の錠411付の扉410等で構成され、その内部に紙幣支持テーブル412が設けられている。
【0044】
上記搬送機構42は、紙幣収納部41の後方に配設された上部の一対の搬送ローラ420と、下部の一対の搬送ローラ421とを備えている。これら搬送ローラ420,421の各ローラ軸にはそれぞれギヤ422,423(図6でローラ420,421と重なる)が設けられて、一対のローラ同士がギヤを介して互いに連動するとともに、上部及び下部の各一方の搬送ローラのローラ軸にはプーリ424,425が設けられて、これらのプーリ424,425の間に伝動用ベルト426が巻き掛けられることにより、上下のローラ420,421が互いに連動するようになっている。さらに、上部の一方の搬送ローラ420のローラ軸に設けられたギヤ422に噛合する中間伝動ギヤ427がユニット上端に配置される一方、下部の一方の搬送ローラ421のローラ軸に設けられたギヤ422が下段側のユニットに設けられた中間伝動ギヤ327又は427に噛合することにより、当該ユニットの搬送機構42に下段側のユニットから駆動力が伝達されるようになっている。
【0045】
取込み繰出し機構44は、紙幣収納部41の後方に位置するフィードローラ440と、紙幣収納部41内に位置する送りローラ441と、これらローラ440,441の間に配設された送りベルト442と、上記フィードローラ440の直上に位置するストップローラ443と、ストップローラ443の前方においてベルト442の直上に位置する分離ローラ444とを備え、上記フィードローラ440が正逆回転可能な繰出しモータ445にギヤ(図示せず)を介して連結されている。これらローラ、ベルト等の構造及びこれらの入金時、出金時の動作は、ベースユニット3に設けられた取込み繰出し機構34と同様である。
【0046】
搬送機構42と取込み繰出し機構44との間には、紙幣移動経路を切り替えるためのフラッパ446を備えた入出金切替手段が設けられている。このフラッパ446は、上部の搬送ローラ420の直下とフィードローラ440の近傍位置との間で紙幣を案内することにより紙幣の取込み、繰出しを可能にする作動状態(図6中に示す状態)と、この状態から後方に退避することにより紙幣が搬送機構42を通過することを可能にする退避状態とに切り替え可能とされ、ソレノイド式のアクチュエータ447により駆動されるようになっている。
【0047】
上記紙幣集積機構45は、左右一対の分離板450と、該分離板450を昇降可能に保持する昇降用可動部材452と、集積紙幣を押圧する押えプレート453とを備え、ベースユニット3の紙幣集積機構35と同様に構成され、図7(a)〜(d)のような動作により、紙幣の集積を行うようになっている。
【0048】
ただし、中間部ユニット4A〜4Cの昇降用可動部材452は、その上端に鉄板等の強磁性体からなる板片455が設けられる一方、下端部に磁石456が取付けられ、この磁石456と下段側のユニットにおける昇降用可動部材の上端の板片355又は455との吸着により上段側と下段側の昇降用可動部材が結合されて、昇降用の駆動力が下段側から上段側に伝達されるようになっている。
【0049】
また、補助ユニット5には、その下方に位置するユニット4Aの紙幣収納部41に通じる収納スペース増量部51が形成されるとともに、その後方に搬送機構52が設けられている。この搬送機構52は、詳しい図示は省略するが、中間部ユニット4A〜4Cの搬送機構42と同様に、上下一対ずつのローラを備えるとともに、各ローラ軸に設けられたギヤ、上下各一方のローラ軸に設けられたプーリ間に掛け渡された伝動用ベルト、上部の一方のローラ軸に設けられたギヤに噛合する中間伝動ギヤを備えている。そして、各ローラが相互に連動するとともに、下段側のユニットから駆動力が伝達される一方、上段側のユニットに駆動力を伝達し得るようになっている。
【0050】
なお、ベースユニット3及び中間部ユニット4A〜4Cにおいて、紙幣収納部には集積紙幣がなくなったことを検出するエンドセンサ315,415が設けられ、搬送機構32,42には計数センサ328,428が設けられ、紙幣集積機構35,45には分離板350,450の上昇及び下降を検出するセンサ358,359が設けられている(図9参照)。
(紙幣処理装置の動作)
図10は上記紙幣処理装置による入金時の紙幣の流れを概略的に示す説明図、図11、図12はこの紙幣入金時の制御を示すフローチャート、図13は3段目の中間部ユニット4Cに入金される場合を例にとったタイムチャート、図14は紙幣収納部への紙幣の取り込み及び紙幣集積のための各機構の動作を示す説明図、図15は入金紙幣が真札でないことにより返却する場合のタイムチャートである。また、図16は出金時の紙幣の流れを概略的に示す説明図、図17、図18はこの紙幣出金時の制御を示すフローチャート、図19は3段目の中間部ユニット4Cと1段目の中間部ユニット4Aとから1枚ずつ紙幣が出金される場合を例にとったタイムチャート、図20は紙幣収納部からの紙幣の繰出しための各機構の動作を示す説明図である。
【0051】
これらの図を参照しつつ、入金時で通常の場合、入金時に贋札がある場合、出金時で通常の場合、出金時にリジェクトが必要な場合についてそれぞれ、紙幣処理装置の動作を次に説明する。
▲1▼ 入金時の動作
入金時の動作としては、図11のフローチャートのステップS1で、紙幣挿入口20a付近に設けられたセンサ(図示せず)からの信号に基づいて紙幣挿入口20aから紙幣が挿入されたか否かが調べられ、紙幣が挿入されたときに、ステップS2で紙幣導入機構21のモータ214の駆動により紙幣が識別装置22を通って紙幣導入路210に取込まれ、その間に紙幣の真贋及び金種が識別される。このとき、モータ214の駆動による紙幣の導入は比較的低速で行われる。また、搬送機構による搬送の準備として搬送モータ33も正転駆動されるが、紙幣が紙幣導入機構21を経て搬送機構に引き取られる段階で紙幣の移動速度を高めるべく、搬送モータ33はモータ214と比べて高速で駆動される。
【0052】
次に、ステップS3で真贋の判定が行われて、真札であることが判定されれば、識別された紙幣の金種に応じてその紙幣を取込むべきユニットが決定され、ステップS4で紙幣取り込みのために必要な各種機構の駆動が行われる。すなわち、搬送モータ33が引き続き駆動されることに加え、紙幣集積の準備動作としてリフターモータ360の駆動によるリフター363の上昇が行われるとともに、金種に応じたユニットが中間部ユニット4A〜4Cのいずれかである場合にそのユニットの紙幣収納部41に紙幣を導くべく入出金切替手段のアクチュエータ449が駆動され、さらに、金種に応じたユニットの繰出しモータ445又は345の駆動が行われる(ステップS4)。
【0053】
例えば、識別された金種が五千円札の場合は、図13にも示すように、リフターモータ360の駆動及び搬送モータ33の高速正転駆動とともに3段目の中間部ユニット4Cのアクチュエータ447及び繰出しモータ445が駆動される。これにより、図14に示すように、搬送機構により下方へ送られる紙幣がユニット4A,4Bを通過した後ユニット4Cのフラッパー446によりこのユニット4Cの取込み繰出し機構44に導かれ、図14中に矢印で示すような繰出しモータ445の駆動に応じたフィードローラ440、送りベルト442、送りローラ441の作動並びにストップローラ443、分離ローラ444の回転により、紙幣が送りベルト442上を通って紙幣収納部41に取込まれる。
【0054】
なお、紙幣導入機構のモータは紙幣が紙幣導入路の下流側のセンサ216を通過した後に停止される(ステップS5)。また、金種に応じたユニットまでの搬送経路に配設された計数センサについての紙幣通過のチェックに基づき、これらのうちの最後の計数センサを紙幣が通過した後に、搬送モータ33及び繰出しモータ445又は345が停止される(ステップS6〜S8)。さらに、紙幣取り込み後は紙幣集積機構のリフター363を下降させるようにリフターモータ360が駆動される(ステップS9)。
▲2▼ 入金時に贋札がある場合の動作
上記ステップS3で贋札であることが判定されれば、図12のステップS11〜S19及び図15のタイムチャートに示すような制御が行われる。すなわち、紙幣が最上部の計数センサ428を通過するときに導入導出切替手段のアクチュエータ296が駆動されることにより、フラッパ295が逆送紙幣を紙幣導出機構23側に導く状態とされる(ステップS11)。続いて、搬送モータ33が逆転駆動状態に切替えられ(ステップS12)、その後、紙幣がスタックインセンサ231を通過したときに搬送モータ33が停止され(ステップS13,S14)、さらにプッシャー270が下降するようにプッシャーモータ273が駆動される。
【0055】
これにより、いったん搬送経路の途中まで搬送された贋札がスイッチバック式に紙幣導出機構23側に導かれ、前述のような案内装置26及びプッシャー装置27の作動により、ベルト装置24上の一時貯留部25に貯留される。
【0056】
さらに、払出しリジェクトモータ247が正転駆動され(ステップS16)、これにより贋札が払出口20bに送られる。そして、紙幣の後端がスタッカ残留センサ233を通過した後に払出しリジェクトモータ247が停止され、その後、払出口センサ234からの信号に基づいて払出口20bからの紙幣抜き取りが確認されたときに、上記プッシャー270が上昇位置に戻るようにプッシャーモータ273が駆動されるとともに、ベルト装置24が元位置に戻るまで払出しリジェクトモータ247が駆動される。
▲3▼ 出金時の動作
出金時には、制御基板100により払い出す紙幣の金種及び枚数が決定されるとともに、それに応じた各モータ、ソレノイド等の制御により、払い出すべき紙幣の金種に応じたユニットの紙幣収納部から紙幣が繰出され、一時貯留部25を経て払出口20bに払い出される。
【0057】
すなわち、出金指令に応じて先ず図17のステップS101で搬送モータ33が高速で逆転する状態に駆動され、ステップS102で出金すべき金種に応じたユニットの繰出しモータ445又は345が駆動されるとともに、金種に応じたユニットが中間部ユニット4A〜4Cのいずれかである場合にそのユニットの入出金切替手段のアクチュエータ447が駆動される。例えば、3段目の中間部ユニット4Cの紙幣収納部41から紙幣が繰出される場合は、図20に示すように、搬送モータ33が逆転駆動とされるとともに、当該ユニット4Cにおいて繰出しモータ445が紙幣繰出し方向(図20で時計回り方向)に駆動され、かつ、フラッパー446が作動状態とされる。
【0058】
これにより、図20中に矢印で示すようにフィードローラ440、送りベルト442及び送りローラ441が紙幣繰出し方向に作動され、紙幣Pが繰出される。この場合、前述のようにストップローラ443及び分離ローラ444が出金時に停止状態に保たれるので、先ず分離ローラ444で紙幣の通過が制限されて紙幣収納部41内の集積紙幣Pのうちの少数枚だけが分離ローラ444を通過し、さらにストップローラ443により紙幣の通過が制限されて、確実の紙幣が1枚ずつ繰出されることとなる。
【0059】
繰出された紙幣は搬送機構42,52,29を通って上方に移動する。そして、出金時には導入導出切替手段のアクチュエータ296が駆動される(ステップS103)ことにより、フラッパー295が第5図中の二点鎖線の状態とされ、紙幣が紙幣導出機構23側に導かれる。なお、紙幣が繰出されてからある程度の時間が経過した後に繰出しモータ445が停止される(ステップS104)。
【0060】
また、紙幣導出機構23側に導かれた紙幣がスタックインセンサ231を通過したときに搬送モータ33が停止され(ステップS105,S106)、さらにプッシャー270が下降するようにプッシャーモータ273が駆動される(ステップS107)。こうして、前述のような案内装置26及びプッシャー装置27の作動により、紙幣がベルト装置24上の一時貯留部25に貯留される。
【0061】
次に、リジェクト紙幣か否かが判定され(ステップS108)、リジェクト紙幣でない場合は、要求分の紙幣が全て繰出されたか否かが判定され(ステップS109)、その判定がNOであれば、プッシャー270が上昇位置に戻るようにプッシャーモータ273が駆動されてから(ステップS110)、ステップS101に戻る。
【0062】
こうして、要求分の紙幣が全て繰出されて一時貯留に貯留される状態になるまで、ステップS101からの上述のような処理が繰り返される。例えば、五千円札1枚と千円札1枚とを出金することが要求されている場合、図19にも示すように、搬送モータ33の逆転駆動、3段目の中間部ユニット4Cの繰出しモータ445及び入出金切替手段のアクチュエータ447の駆動、導入導出切替手段のアクチュエータ296の駆動及びプッシャーモータ273の駆動が順次行われてから、さらに搬送モータ33の逆転駆動、1段目の中間部ユニット4Aの繰出しモータ445及び入出金切替手段のアクチュエータ447の駆動、導入導出切替手段のアクチュエータ296の駆動及びプッシャーモータ273の駆動が順次行われることにより、五千円札と千円札とがベルト装置24上の一時貯留部25に積み重ねられた状態で一時貯留される。
【0063】
こうして要求に応じた所定枚数の紙幣の繰出し、一時貯留が終わると、ステップS111〜S114で、前述のステップS16〜S19と同様の処理が行われる。これにより、一時貯留部25に貯留された所定枚数の紙幣が一括に払出口20bに送り出される。
▲3▼ 出金時にリジェクトが必要である場合の動作
上記ステップS108で重券等でリジェクトが必要であることが判定された場合は、図18のステップS115で払出しリジェクトモータ247が逆転駆動され(図19中の破線参照)、これにより紙幣がリジェクト室28に送られる。そして、紙幣がスタッカ残留センサ233を通過し、さらにリジェクトセンサ232を通過したことが確認された後、ベルト装置24が原位置へ復帰してから払出しリジェクトモータ247が停止される。
(作用効果)
以上のように紙幣の取込み、払出し、リジェクト等が行われ、複数金種の処理が可能となる。
【0064】
とくにこの紙幣処理装置は、製造にあたり、要求される処理対象金種数に応じた紙幣収納部の段数の設定、変更が容易である。
【0065】
つまり、紙幣の導入、識別、払出し等を行うための部分や各紙幣収納部及びこれに対する紙幣の取込み、繰出し等が、上段の入出金用ユニット2と下段のベースユニット3とその間の中間部ユニット4A〜4Cとに分けられてユニット化され、各ユニットに搬送機構29,32,42も組み込まれているので、紙幣収納部及び内部機構がユニットとして共通化され、中間部ユニットの個数を変更するとともにケーシングのサイズを変更しさえすれば、各種金種数に対応した紙幣処理装置が得られる。例えば、3段の中間部ユニット4A〜4Cを有する図示の処理装置は4金種対応のものであるが、中間部ユニットを2段に減らせば3金種対応、中間部ユニットを1段に減らせば2金種対応となる。また、図示のものより中間部ユニットをさらに増設すれば、5金種以上にも対応可能となる。
【0066】
さらに当実施形態のものでは、上記各ユニット2,3,4A〜4Cが個別にケーシング1に対して引出し可能となっているため、各ユニットのメンテナンスや、一部のユニットに故障や損傷等があった場合の修理、取替え等も容易に行うことができる。
【0067】
また、搬送機構の駆動源としての搬送モータ33がベースユニット3に設けられ、この搬送モータ33の駆動力が伝動手段を介して各ユニットの搬送機構29,32,42に伝達されるようになっているので、1つの駆動減で各ユニットの搬送機構29,32,42を同期駆動することができる。しかも、ユニット間の伝動部分にギヤ(中間伝動ギヤ327,427とこれに噛合するギヤ)を用いているので、ユニットが分離されるときや個別にケーシングから引出されるときにはユニット間伝動部分が容易に分離し、ユニットが組み合わされるときはユニット間伝動部分が容易に結合(噛合)する。
【0068】
また、上記取込み繰出し機構の駆動部である繰出しモータ345,445がベースユニット2及び各中間部ユニット4A〜4Cに個別に設けられ、かつ、フラッパー446(切替手段)及びその駆動部であるアクチュエータ447が各中間部ユニット4A〜4Cに個別に設けられているので、紙幣収納部への紙幣の取込みや、紙幣収納部からの紙幣繰出しの動作は、各紙幣収納部毎に独立して制御可能となる。
【0069】
さらに、当実施形態の装置では一部の中間部ユニット4Aの上に補助ユニット5を具備しているため、この中間部ユニット4Aの紙幣収納部の収納スペースが増量される。従ってこの中間部ユニット4Aを、収納される紙幣の枚数が多くなることが予想される金種に割り当てるようにすればよい。
【0070】
なお、補助ユニット5は他の中間部ユニット4B,4Cあるいはベースユニット3に対して装備してもよい。また、収納スペース増量の要求がなければ、補助ユニット5を省略してもよい。
(別の実施形態)
図21及び図22は別の実施形態を示している。この実施形態では、入出金用ユニット2、各中間部ユニット4A〜4C及び補助ユニット5、並びにベースユニット3が相互に連結され、これらのユニット及びそれに付属する部材等で構成される内部構造体の全体がケーシング1に対して引出し可能とされるとともに、内部構造体の前面側に、入出金用ユニット2の下部と他の各ユニットとにわたる範囲の全体を蔽う扉60が設けられている。すなわち、この扉60は、先の実施形態における入出金用ユニット2のリジェクト室28前面の扉280と他の各ユニットの前面の扉310,410とを一体化したものであり、一側部がヒンジを介してユニットのフレームに枢着されている。61はこの扉60の錠である。
【0071】
上記ケーシング1の底部には、上記内部構造体を出入方向にスライド自在に支持するスライドガイド機構62が設けられるとともに、上記内部構造体をケーシング1内に収容した状態でこれをロックするロック機構(図示せず)が設けられている。
【0072】
なお、入出金用ユニット2のフレームの側面部には、紙幣導出機構23側方に、メンテナンス用の扉63を備えた窓穴64が設けられ、紙幣導出機構23に紙幣が詰まった場合には、上記扉63を開いて窓穴64から紙幣を取り出し得るようにしている。
【0073】
この実施形態によると、メンテナンスや修理等を行う場合は、ケーシング1の扉を開くとともに、上記ロック機構のロックを解除した後に上記内部構造体をケーシング1の前方に引出すことにより、容易にメンテナンス等の作業を行うことができる。
【0074】
また、リジェクト室28や各紙幣収納部31,41から紙幣を取り出す場合には、内部構造体をケーシング1内に収容した状態のままでも、ケーシング1の扉12及び内部構造体の前面の扉60を順次開くことにより、リジェクト室28や各紙幣収納部31,41が前方に開口し、紙幣の取出が可能となる。
【0075】
なお、紙幣収納部31,41から紙幣を取り出す場合、紙幣集積機構35,45の押えプレート353,453が下降していると邪魔になるので、次に述べるように、扉60が開かれたときに自動的に押えプレート353,453を所定上昇位置まで引き上げる押えプレート引き上げ機構を設けておくことが望ましい。(押えプレート引き上げ機構)
押えプレート引き上げ機構を、図23及び図24によって説明する。
【0076】
これらの図に示すように、上記押えプレート引き上げ機構600は、上記扉60が閉じられているときは上記押えプレート353(453)が紙幣を押圧する位置に下降することを許容し、上記扉60が開かれたときにこれに連動して上記押えプレート353(453)を所定上昇位置まで引き上げる可動部分を有し、具体的にはこの可動部分として紙幣収納部内の両側部に配置された上下方向に伸縮可能なリンク機構610を備えるとともに、扉60とリンク機構610とを連係させる連係機構620を備えている。
【0077】
上記リンク機構610は、X状に交差して中間部で互い回転可能に連結された一対のリンク611,612を有し、両リンク611,612が紙幣収納部31(41)の上端部の枠板315(415)と押えプレート353(453)との間に位置し、両リンク611,612の各一端部(扉から遠い後方側の端部)が押えプレート353(453)と枠板315(415)とにピン613,614を介して回転可能に連結される一方、両リンク611,612の各他端部(扉に近い前方側の端部)が、枠板315(415)と押えプレート353(453)とにそれぞれ設けられた前後方向の長穴615,616にバー617,618を介して回転可能に、かつ長穴615,616の範囲で移動可能に連結されている。
【0078】
また、連係機構620は、扉60の回転軸に設けられたギヤ621と、これに噛合する中間ギヤ622と、これに噛合するギヤ623と、このギヤ623と同軸に設けられて先端に下向きの突出部625を有するレバー624とを備えている。上記レバー624の突出部625は、上記枠板315(415)に設けられた円弧状の切り抜き部626を通って下方に突出し、バー617の後側に臨むように配置されている。そして、扉60が開かれたときにレバー624が前方に回動するように、扉60の回転軸とレバー624とがギヤ621,622,623を介して連動されている。
【0079】
上記押えプレート353(453)は、図外のスプリング等の付勢手段により下方に付勢されている。
【0080】
上記リンク機構610及び連係機構620を含む押えプレート引き上げ機構600は、ベースユニット3及び各中間部ユニット4A〜4Cに対してそれぞれ設けられ、扉60の上下方向全長に延びる共通の回転軸に各押えプレート引き上げ機構600のギヤ621が取り付けられている。また、補助ユニット5が連結されている中間部ユニット4Aは他の中間部ユニット4B,4C及びベースユニット3と比べ、扉開放時の押えプレート453の上昇量が大きくなるように、レバー624の突出部625とバー617との位置関係などが中間部ユニット4Aと他のユニットとで変えられて、リンク機構610の昇降ストロークが調整されている。
【0081】
このように押えプレート引き上げ機構600が設けられていれば、扉60が開かれたとき、ベースユニット3及び各中間部ユニット4A〜4Cの全てにおいて押えプレート353,453が上方に引き上げられ、任意の紙幣収納部から紙幣を容易に取り出すことができる。
【0082】
なお、ベースユニット3及び中間部ユニット4A〜4Cの各紙幣収納部31,41に対して個別に扉310,410が設けられている先の実施形態においても、これらの紙幣収納部にそれぞれ押えプレート引き上げ機構600を設けておくようにしてもよい。この場合、各ユニット毎に個別に扉310の開放に応じて押えプレート引き上げ機構600が作動することとなる。
【0083】
【発明の効果】
以上のように、本発明の紙幣処理装置は、ケーシング内の上方に位置する入出金用ユニットと、下方に位置するベースユニットと、これらの間に位置する一乃至複数段の中間部ユニットとを備え、入出金用ユニットには紙幣導入機構、紙幣導出機構及び搬送機構が設けられ、上記ベースユニットには紙幣収納部、搬送機構及び取込み繰出し機構が設けられ、中間部ユニットには紙幣収納部、搬送機構、取込み繰出し機構及び紙幣移動方向の切替手段が設けられ、上記各ユニットが相互に分離可能に構成されている。このため、複数種類の紙幣の入金、金種別の紙幣収納、及び各紙幣収納部からの紙幣の払出しを行うことができ、しかも、紙幣収納部及び搬送機構等を構成する要素を共通化して、必要最小限の変更で紙幣収納部の増設、減少を容易に行うことができる。また、ベース及び中間部のユニットのうちの1又は複数のユニットの上方に補助ユニットが設けられているため、収納される紙幣の枚数が多くなることが予想される一部の紙幣収納部について収納スペースを増量することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による紙幣処理装置の概略縦断側面図である。
【図2】上記紙幣処理装置の概略縦断正面図である。
【図3】上記紙幣処理装置の外観正面図である。
【図4】上記紙幣処理装置の外観側面図である。
【図5】上記紙幣処理装置における入出金用ユニットの紙幣導出機構及び搬送機構を示す構造説明図である。
【図6】上記紙幣処理装置におけるベースユニット及び中間部ユニットの構造説明図である。
【図7】(a)〜(d)は紙幣集積機構の動作説明図である。
【図8】上記紙幣処理装置に設けられているアクチュエータ類を示す図である。
【図9】上記紙幣処理装置に設けられているセンサ類を示す図である。
【図10】上記紙幣処理装置による入金時の紙幣の流れを示す図である。
【図11】入金時の制御を示すフローチャートの一部である。
【図12】入金時の制御を示すフローチャートの残りの部分である。
【図13】3段目の中間部ユニットに入金される場合を例にとったタイムチャートである。
【図14】ベースユニット及び中間部ユニットにおいて入金時の動作及び紙幣の流れを示す図である。
【図15】入金時に紙幣が真札でないことにより返却する場合のタイムチャートである。
【図16】上記紙幣処理装置による出金時の紙幣の流れを示す図である。
【図17】出金時の制御を示すフローチャートの一部である。
【図18】出金時の制御を示すフローチャートの残りの部分である。
【図19】3段目の中間部ユニットと1段目の中間部ユニットとから1枚ずつ紙幣が出金される場合を例にとったタイムチャートである。
【図20】ベースユニット及び中間部ユニットにおいて出金時の動作及び紙幣の流れを示す図である。
【図21】別の実施形態による紙幣処理装置の概略縦断側面図である。
【図22】別の実施形態による紙幣処理装置の概略縦断正面図である。
【図23】押えプレート引き上げ機構を示す平面図である。
【図24】押えプレート引き上げ機構を示す側面図である。
【符号の説明】
1 ケーシング
2 入出金ユニット
3 ベースユニット
4 中間部ユニット
5 補助ユニット
21 紙幣導入機構
22 識別装置
23 紙幣導出機構
29 搬送機構
31,41 紙幣収納部
32,42 搬送機構
33 搬送モータ
34,44 紙幣取込み繰出し機構
35,45 紙幣集積機構
327,427 中間伝動ギヤ
446 フラッパ(切替手段)
Claims (1)
- 前面上部に紙幣挿入用及び払出用の開口を有するケーシングの内部に、上方に位置する入出金用ユニットと、下方に位置するベースユニットと、これらのユニットの間に位置する一乃至複数段の中間部ユニットとが配備され、
上記入出金用ユニットには、紙幣の金種を識別する識別装置を有して上記紙幣挿入用の開口に対応する挿入口から紙幣を導入する紙幣導入機構と、上記払出用の開口に対応する払出口へ紙幣を導出する紙幣導出機構と、ユニット後部において一端が切替手段を介して紙幣導入機構及び紙幣導出機構に選択的に通じるとともに他端側が当該ユニットの下端部に至る紙幣搬送経路に沿って紙幣の搬送を行う正逆駆動可能な搬送機構とが設けられ、
上記ベースユニットには、紙幣収納部と、該紙幣収納部の後方において該ユニットの上端から所定範囲で紙幣を搬送可能とする正逆駆動可能な搬送機構と、該搬送機構と紙幣収納部との間で紙幣の取込み、繰出しを可能にする正逆駆動可能な紙幣の取込み繰出し機構とが設けられ、
上記中間部ユニットには、紙幣収納部と、該紙幣収納部の後方において該ユニットの上端から下端にわたる範囲で紙幣を搬送可能とする正逆駆動可能な搬送機構と、該搬送機構と紙幣収納庫との間で紙幣の取込み、繰出しを可能にする正逆駆動可能な紙幣の取込み繰出し機構と、上記搬送機構と取込み繰出し機構との間で紙幣移動方向を切り替える切替手段とが設けられており、
さらにベース及び中間部のユニットのうちの1又は複数のユニットの上方に補助ユニットが設けられ、
この補助ユニットには、その下方に位置するユニットの紙幣収納部に通じる収納スペース増量部と、該紙幣収納部の後方において該ユニットの上端から下端にわたる範囲で紙幣を搬送可能とする正逆駆動可能な搬送機構が設けられていることを特徴とする紙幣処理装置。
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