JP3768652B2 - エンジンバルブの冷間鍛造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエンジンバルブの冷間鍛造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば特開昭62−144841号公報「弁体等の成形方法」では、同公報の第4図でバルブの一次圧縮成形、第5図で二次圧縮成形を各々実施する。ところで、金型26,32の軸部挿入孔は、軸部22より0.2mm程度大径にする必要がある。大径にしないと、公差の関係で軸部が円滑に挿入できないからである。
【0003】
図3(a),(b)は従来のエンジンバルブの鍛造方法の一例を示す図である。
(a):軸部挿入孔101を備えた金型102に、エンジンバルブの中間品(中間加工品を「中間品」と記す。以下同様。)103をセットする。ここで、軸部104と軸部挿入孔101との間にはδ,δのクリアランスが存在する。このδは例えば0.1mmである。
【0004】
次にパンチ105で中間品103を押圧すると、中間品103の上部が非拘束であるため軸直角方向(例えば図面左右)に傾く可能性がある。
(b):パンチ105が下降限に達した状態を示し、軸部104の下端が最大2δ傾く。これでは、傘部106に対する軸部104の直角度や同軸度がでない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、従来は前記軸部104を研削して、傘部106に対して軸部104の直角度や同軸度を出すべく機械加工を施していた。
しかし、エンジンバルブは難加工材であるから機械加工は面倒であり、加工コストが嵩む。更に、軸部104に削り代を見込まなければならないので、歩留りが悪く材料費が嵩む。
そこで、本発明の目的は機械加工を必要としない若しくは最小限に留めることのできるエンジンバルブの冷間鍛造方法を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1は、金型の軸部挿入孔に軸部を挿入した状態で、ビレットの残部を広げて傘部とするエンジンバルブの冷間鍛造方法において、
軸部を挿入するに先立って、軸部挿入孔の最大許容寸法以上で且つ軸部挿入孔の最小許容寸法に1.15を乗じた寸法以下の径の中径部を、軸部の傘部側端部に予備成形してなる予備成形体を準備する工程と、
前記軸部を挿入するに先立って、前記金型の軸部挿入孔の軸部先端に対応する位置に、軸部先端の最小許容寸法以下の径に相当する小径部を設けるが、前記中径部における断面減少率と小径部における断面減少率との総和が25%を超えないことを条件にした金型を準備する工程と、
金型の軸部挿入孔に軸部を挿入しながら、軸部挿入孔に予備成形体の中径部を圧入するとともに前記小径部に予備成形体の軸部先端を圧入することで、金型に予備成形体をセットする工程と、
金型の軸部挿入孔に軸部を挿入し、前記中径部と小径部との間の軸部を非拘束状態で、ビレットの残部を広げて傘部とする工程とからなることを特徴とする。
予備成形した中径部を軸部挿入孔に圧入することで、ビレットの中心を軸部挿入孔の中心に合致させる。
加えて、軸部先端を金型の小径部に圧入することで、軸部の倒れを防止し、傘部に対する軸部の直角度を高める。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1(a)〜(d)は本発明に係る冷間鍛造の工程図(前半、軸部及び中径部形成)である。
(a):直径D、長さLのビレット1を第1金型2(先端に円錐面を形成する)にセットし第1パンチ3で据え込む。
(b):先端が円錐になった中間品4を第2金型5(径d3の軸部を形成する)にセットし第2パンチ6で据え込む。
【0008】
(c):次に第3金型7は、軸部の基部に中径部を形成するための中径部形成凹部8と、径d4の軸部形成部9を有する。この第3金型7に中間品11をセットし第3パンチ12で据え込む。
(d):出来上がった予備成形体13を示し、この予備成形体13は軸部14と傘部形成の為の大径部15とからなるが、軸部14の傘部(大径部15)側端部に中径部16を有することを特徴とする。中径部16の外径については次に説明する。
【0009】
図2(a)〜(c)は本発明に係る冷間鍛造の工程図(後半、傘部形成)である。
(a):傘部形成の為の第4金型21の軸部挿入孔22の穴径をD1、予備成形体13の中径部16の外径をd1としたときに、穴径D1と外径d1は次の関係に設定する。
一般に、穴径は次の様に表示する。
【0010】
【数1】
【0011】
上記表示は、JIS−Z−8318によれば、Dを基準寸法、αを上の寸法許容差、βを下の寸法許容差と呼ぶ。
そして、(D+α)を最大許容寸法、(D−β)を最小許容寸法と規定している。
そこで、本実施例では外径d1を穴径D1より少なくとも大きくするために、中径部の外径d1を軸部挿入孔22の最大許容寸法以上とした。
【0012】
一方、この種の非拘束成形ではリダクション、すなわち断面減少率は25%が上限である。これを超えると中径部が座屈したり、金型に過大な力が作用する等の不都合が発生するからである。
断面減少率は(A0−A1)/A0、(A0は始めの断面積、A1は終りの断面積)であり、(A0−A1)/A0=0.25とすれば、A1/A0=0.75となり、A0/A1=1/0.75=1.33となる。
【0013】
始めの断面の直径は前記d1、終りの断面の直径は前記D1とすることができる。A0=(π/4)・(d1)2、A1=(π/4)・(D1)2から、d1/D1=1.330.5=1.15となる。
そこで、塑性加工限界から、中径部d1は(1.15×穴径D1)以下にする必要がある。ここで、穴径D1は寸法許容差を見込まなければならず、穴径D1が小径であるほど厳しくなるので、「最小許容寸法」を採用する。
【0014】
以上をまとめると、図の(a)において、軸部14を挿入するに先立って、軸部挿入孔22の最大許容寸法以上で且つ軸部挿入孔22の最小許容寸法に1.15を乗じた寸法以下の径の中径部16を、軸部14の傘部側(大径部15)端部に予備成形したことを特徴とする。
【0015】
次に、第4金型21の軸部挿入孔22の下部(軸部14の先端に対応する位置)に小径部24を設けたことを特徴とする。そして、小径部24の入口に角度θのテーパ部を設けて軸部14の挿入を円滑にする。この角度θは10゜〜25゜が好適である。θが25゜を超えると挿入が難かしくなり、θが10゜未満ではテーパ部が長くなり過ぎるからである。
【0016】
前記小径部24の穴径をD2、軸部14の外径をd2としたときに、軸部14を確実に小径部24に圧入するために、軸部14の「最小許容寸法」以下の径に、小径部24の穴径D2を設定する。
【0017】
そして、この種の非拘束成形ではリダクション、すなわち断面減少率は25%が上限であり、これを超えると軸部14が座屈する等の不都合が発生する。
そこで、中径部16における断面減少率と小径部24における断面減少率との総和が25%を超えぬように、中径部16の最大径及び小径部24の最小径を決定する。
【0018】
なお、小径部24での断面減少率を過度に高めると、比較的細い軸部14又は中径部16に座屈による曲りが発生し易くなることから、小径部24での断面減少率を10%以下、好ましくは5%以下に留める。また、傘打ち(傘部形成)では中径部16に直接的に軸直角方向の外力が作用することから、中径部16での締め代は大きい方がよく、中径部16での断面減少率は15%以上、好ましくは20%以上とする。この様に中径部16での断面減少率と小径部24での断面減少率とを適宜配分すればよい。
【0019】
以上をまとめると、図の(a)において、軸部14を挿入するに先立って軸部挿入孔22の最大許容寸法以上の径の中径部16を軸部14の傘部(大径部15)側端部に予備成形するとともに、軸部14の先端の最小許容寸法以下の径の小径部24を金型の軸部挿入孔22の軸部先端に対応する位置に設け、中径部16における断面減少率と小径部24における断面減少率との総和が25%を超えない範囲で中径部16の最大径及び小径部24の最小径を決定したことを特徴とする。
【0020】
(b):第4パンチ23で予備成形体13を途中まで押圧したことにより、中間部16が軸部挿入孔22に圧入された形態となるとともに、軸部14の先端が小径部24に圧入された形態になる。
これで、軸部14の中間部16及び先端は2点で拘束されたため、軸部14が倒れる心配はなく且つ、センタリングされたことになる。
(c):更に第4パンチ23を押し下げて軸部25、傘部26からなるエンジンバルブ27を得る。センタリング良好であるため、軸部25を修正の為に機械加工する必要は殆ど無い。
【0021】
尚、図2において中径部16での圧入と、小径部24での圧入を同時に開始する、小径部24を一定量圧入した後に中径部16の圧入を開始する、又は中径部16を一定量圧入した後に小径部24の圧入を開始する、又は小径部24と中径部16を同時に圧入する、のいづれであってもよい。
【0022】
本発明は、特にワークの熱膨張をあまり考慮しなくてよい冷間鍛造において有効であり、次に示す素材(実施例1〜3及び実施例4,5)の冷間鍛造に効果があった。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、予備成形した中径部を軸部挿入孔に圧入することで、ビレットの中心を軸部挿入孔の中心に合致させる方法であり、この方法によって傘部と軸部との中心を良好に合致させることができ、エンジンバルブの加工精度を大いに高めることができる。
【0026】
さらに、請求項1は、軸部先端を金型の小径部に圧入することで、軸部の倒れを防止したので、傘部に対する軸部の同心性並びに直角度を高めることができ、エンジンバルブの加工精度を飛躍的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る冷間鍛造の工程図(前半、軸部及び中径部形成)
【図2】 本発明に係る冷間鍛造の工程図(後半、傘部形成)
【図3】 従来のエンジンバルブの鍛造方法の一例を示す図
【符号の説明】
1…ビレット、13…予備成形体、14,25…軸部、16…中径部、21…金型(第4金型)、22…軸部挿入孔、24…小径部、26…傘部、27…エンジンバルブ。
Claims (1)
- 金型の軸部挿入孔に軸部を挿入した状態で、ビレットの残部を広げて傘部とするエンジンバルブの冷間鍛造方法において、
前記軸部を挿入するに先立って、前記軸部挿入孔の最大許容寸法以上で且つ軸部挿入孔の最小許容寸法に1.15を乗じた寸法以下の径の中径部を、前記軸部の傘部側端部に予備成形してなる予備成形体を準備する工程と、
前記軸部を挿入するに先立って、前記金型の軸部挿入孔の軸部先端に対応する位置に、軸部先端の最小許容寸法以下の径に相当する小径部を設けるが、前記中径部における断面減少率と小径部における断面減少率との総和が25%を超えないことを条件にした金型を準備する工程と、
金型の軸部挿入孔に軸部を挿入しながら、軸部挿入孔に予備成形体の中径部を圧入するとともに前記小径部に予備成形体の軸部先端を圧入することで、金型に予備成形体をセットする工程と、
金型の軸部挿入孔に軸部を挿入し、前記中径部と小径部との間の軸部を非拘束状態で、ビレットの残部を広げて傘部とする工程とからなることを特徴としたエンジンバルブの冷間鍛造方法。
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JP21665497A JP3768652B2 (ja) | 1997-08-11 | 1997-08-11 | エンジンバルブの冷間鍛造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH1157925A JPH1157925A (ja) | 1999-03-02 |
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JP5981884B2 (ja) * | 2013-06-11 | 2016-08-31 | 株式会社神戸製鋼所 | 熱間据込鍛造装置、及び熱間据込鍛造方法 |
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1997
- 1997-08-11 JP JP21665497A patent/JP3768652B2/ja not_active Expired - Fee Related
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