JP3768559B2 - 故紙合成粉及びその製造方法並びに装置、前記故紙合成粉を用いた故紙合成板の押出成形方法並びに装置 - Google Patents

故紙合成粉及びその製造方法並びに装置、前記故紙合成粉を用いた故紙合成板の押出成形方法並びに装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、故紙を解砕且つ乾燥して形成した故紙解砕粉を主たる成形素材とした故紙合成粉及びその製造方法並びに装置、前記故紙合成粉を用いた故紙合成板を含む故紙合成成形品の製造方法に関する。
【0002】
故紙とは、市場に一旦、出荷され回収された新聞紙、雑誌、広告、チラシ、カタログ等の紙である。
【0003】
紙はパルプを水に分散しすき上げ乾燥したものであり、パルプは一般的に木材を細かく分解して、繊維状にした木材パルプをいい、他に麻パルプ、リンターパルプ、わらパルプ、合成パルプなどがある。しかし、森林資源の利用にも限度があるので省資源、省エネルギーのため、最近では故紙の利用が増大し、日本の故紙回収率は50%を超えており、積極的な資源の有効活用が図られている。日本の紙・板紙の原材料は、故紙パルプと木材パルプがほぼ半々である。
【0004】
故紙のうち特に新聞故紙は日本の消費の90%を上回る回収率となっている。
【0005】
【従来の技術】
従来、回収された故紙は、パルプ化して故紙パルプに製造され、紙・板紙の原材料になっている。
【0006】
故紙パルプは一般に繊維が切断されていたり、化学的に変質していたりして、強度、不透明性などに劣る点がある。しかし、安価であるため故紙パルプから種々の紙、板紙全般に再生され使用されている。つまり、紙としては、新聞用紙、印刷用紙やグラビア用紙等の非塗工紙、アート紙やコート紙等の塗工紙、クラフト紙やロール紙等の包装用紙、グラシンペーパーや複写原紙等の薄葉紙、ティッシュペーパーやトイレットペーパー等の家庭用薄葉紙、雑種紙に再生され、また、前記板紙としては、段ボール原紙、紙器用板紙、防水原紙や石こうボード原紙等の建材原紙、紙管原紙に再生される。
【0007】
故紙パルプとしては、脱インキ処理を行なったDIP(De-Inked Pulp) があり、このDIPは、バージンパルプに比較的近い品質が得られ、新聞用紙や中下級印刷用紙の主要原料のひとつとなっている。 前記DIP工程は、故紙の選択と選別が行われ、集められた故紙は、パルパーで機械力と薬品により、繊維状にほぐされ、異物を除かれ、さらに完全に離解するための高速離解機を通り、パルプ化される。次いで、フローテーターで脱インキ処理が行われ、脱インキされたパルプは、プラスチックシートや毛髪、本の背糊などの細かい異物を除去された後、脱水され漂白工程へ送られる。
【0008】
なお、上記のパルパーは、槽の底部または側部のインペラーを回転させ、槽内の原料を攪拌し水中で故紙を離解分散させ、パルプ化する装置である。
【0009】
また、上記のフローテーターは、苛性ソーダやアルカリ薬品や洗剤等の脱インキ薬品を使用して、繊維を膨潤させ、インキ粒子をパルプから離脱させ浮上させやすくし、パルプとともに水中に懸濁分散しているインキ粒子を、細かい気泡に吸着させ浮上分離し、除去する装置である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来の故紙の再利用の方法や装置において、以下の問題点があった。
【0011】
(1) 故紙の回収率が上昇するに従い、何回も繰り返し使用された繊維が劣化するために起こる品質低下や、異物及び脱インキ不良のカーボンが紙に混入することにより起こる品質低下が増大している。このため、故紙パルプから再生紙に再生することが難しいという問題点が生じている。
【0012】
(2) 故紙のうち、書籍や雑誌の表紙、広告、チラシ、カタログ等は、カラーで印刷され、この印刷表面に樹脂フィルムをラミネートしたものが多くなっている。これらの故紙をパルプ化することはできないため、除去しなければならないが、樹脂フィルムを自動的に選別して除去することが困難であるので、あらかじめ樹脂フィルムをラミネートした故紙を他の故紙から人手により選別して取除く作業を行っていたが、この選別作業には多くの手間がかかるという問題点があった。
【0013】
(3) 上記 (2)項の理由から、樹脂フィルムをラミネートした故紙は紙として再利用することができないという問題点があった。
【0014】
(4) 樹脂フィルムをラミネートしていない故紙から故紙パルプとして再利用するにあたっても、前述したように生産工程で大量の水を使用するとともに、薬品、熱、電力を使用するので、水質汚濁、大気汚染、臭気等の環境保全処理が必要であり、設備費、環境管理費が高いものである。しかし、故紙を紙・板紙に再生するために故紙パルプを造ることは、紙・板紙の需要と供給の関係、省資源、省エネ等の観点から考慮して積極的な資源の有効活用となるのである。
【0015】
故紙を故紙パルプとして再生し、紙として再利用することに叙上の問題点があることに鑑み、また、近年の生活の多様化に伴い、熱可塑性樹脂成形材は、建築材料、自動車、家庭電気製品を始め、種々の日用品に使用され、多量に廃棄されており、これらの各種熱可塑性合成樹脂製品の廃材を再利用することが社会的に要求されていることをも鑑み、本出願人は従来の故紙の再利用とは全く異なり、故紙を樹脂と混練して樹脂成形品として再利用することを着想した。
【0016】
一例として、故紙パルプを粉砕して例えばセルロース系破砕物としてチップ化し、このセルロース系破砕物のチップを樹脂と共に押出機等の成形機で加熱、練成し、スクリューをもって成形ダイへ押し出して木質合成板に成形する。
【0017】
上記の故紙パルプを粉砕したセルロース系破砕物は、熱可塑性樹脂成形材とともに成形機に充填、加熱した場合、セルロース系破砕物より多量の水蒸気と木酸ガス等の揮散ガスが発生し、これによって成形機内の壁面の酸化腐食、成形ダイの損耗がもたらされ、また成形品自体の表面の荒れ、気泡、巣の発生等を生じさせる原因となる。そこで、できるだけ含有水分量の低いセルロース系破砕物を用いることが望ましいが、実際、押出成形する前に後述する乾燥設備でセルロース系破砕物の含有水分量を15wt%以内に乾燥され、よく乾燥されたもので含有水分量は3〜5wt%以内である。
【0018】
一般に、乾燥設備としては熱源と加熱方式により、燻煙式、電気式、燃焼ガス式、煙道式、蒸気式などがあり、循環方式により自然循環式と強制循環式とあり、後者はさらに外部送風式と内部送風式とがある。小片に破砕されたセルロース系破砕物を乾燥する乾燥機はロータリキルン型のもの、蒸気管自体が回転する形式のもの、フラッシュドライヤ、ジェットドライヤなど各種の形式のものがあるが、大規模化するにつれて、送風タイプのものが多くなり、熱風を円筒形の炉の円周にそってスパイラル状に吹きつけながら小片を移送するジェットドライヤはもっとも多く使われている。小片の乾燥度は表層が含水率5〜8wt%程度で、内層ほど含水率は低い方がよく3wt%程度である。なお、上記の乾燥設備では、セルロース系破砕物の含水率を3wt%以下にできないのが現状である。
【0019】
故紙パルプを粉砕したセルロース系破砕物を前述した乾燥設備で乾燥して得られたセルロース系破砕物の含有水分量は、3〜5wt%程度にまで除去されるとはいえ、このセルロース系破砕物を熱可塑性樹脂成形材と共に押出機等の成形機に充填、加熱した場合、混入セルロース系破砕物より水蒸気と木酸ガス等の揮散ガスが発生するので、この水蒸気と木酸ガスは、前述したように成形機内の壁面の酸化腐食、成形ダイの損耗、成形品自体の表面の荒れ、気泡、巣の発生等を生じさせる原因となり、成形前のセルロース系破砕物内の含有水分量を極力低下させることは重要な問題点である。
【0020】
〔目的〕
本発明は叙上の問題点を解決するために開発されたもので、故紙を解砕する過程において故紙内の含有水分量をほとんど除去し且つ解砕して利用価値の高い故紙解砕粉を製造し、熱可塑性樹脂成形材が前記故紙解砕粉の粒子に固定化された状態を定常的に維持し得るようにして故紙解砕粉の低含水率を維持する故紙合成粉と、当該故紙合成粉の製造方法並びに装置を提供し、さらに前記故紙合成粉、もしくは前記故紙解砕粉と熱可塑性樹脂成形材を用いて押出成形や射出成形、圧縮成形等の各種成形において加熱、練成する故紙合成成形品の製造方法並びに装置を提供し、さらに前記故紙合成粉、もしくは前記故紙解砕粉と熱可塑性樹脂成形材を用いた故紙合成板の押出成形方法並びに装置を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
〔手段〕
上記目的を達成するために、本発明の故紙合成粉は、故紙を複数の小片に破砕して得た故紙小片に対して熱可塑性樹脂を添加せずに攪拌衝撃力を付加して解砕すると共に、前記攪拌衝撃力に基づく剪断発熱を生じさせ、この剪断発熱により前記故紙の含有水分量を1.0wt%以内、好ましくは0.5wt%以内に乾燥した故紙解砕粉35〜65wt%、好ましくは40〜60wt%に対して一種又は数種の熱可塑性樹脂成形材35〜65wt%、好ましくは40〜60wt%を混合、ゲル化混練し、冷却、粉砕して粒径10mm以下に整粒して成ることを特徴とする。
0022
また、本発明の故紙合成粉の製造方法においては、故紙を複数の小片に破砕して故紙小片を形成する破砕工程と、熱可塑性樹脂を添加せずに前記故紙小片に対して撹拌衝撃力を付加して解砕すると共に、前記撹拌衝撃力に基づく剪断発熱を生じさせて、この剪断発熱により前記故紙小片の含有水分量を1.0wt%以内、好ましくは0.5wt%以内に乾燥する砕・乾燥工程により得た故紙解砕粉35〜65wt%、好ましくは40〜60wt%に対して一種又は数種の熱可塑性樹脂成形材35〜65wt%、好ましくは40〜60wt%をともに攪拌衝撃翼85,86,87により混合して、剪断発熱によりゲル化混練し、冷却し、粉砕して粒径10mm以下に整粒する工程を少なくとも含むことを特徴とする。
0023
なお、前述の故紙解砕粉を得る解砕・乾燥工程においては、故紙小片を熱可塑性樹脂を添加せずに攪拌衝撃翼85,86,87により攪拌して解砕し、且つ前記攪拌衝撃翼の剪断速度が900〜980rpm、好ましくは900〜950rpmの攪拌衝撃翼の剪断力により剪断発熱を生じさせ、この剪断発熱により前記故紙を上記の含有水分量に乾燥することが好ましい。
0024
また、攪拌衝撃翼85,86,87の回転速度は故紙小片に対する攪拌衝撃翼の剪断力と比例関係にあり、本発明では、攪拌衝撃翼85,86,87の回転速度を「剪断速度」と称する。前記攪拌衝撃翼の剪断速度は、速すぎると攪拌衝撃翼の遠心力で故紙小片が舞い上がるためミキシング効果が低下し、遅すぎると攪拌衝撃翼の剪断力による発熱量が少ないため乾燥時間が多くかかり乾燥効率が低下するというのが上記臨界的意義である。
0025
また、前記故紙小片を攪拌衝撃翼85,86,87により攪拌する雰囲気内つまりミキサー80内へ乾燥空気を供給し、該乾燥空気内に故紙小片から揮散した水蒸気や木酸ガス等の揮散ガスを含ませてミキサー80より外部へ排出することは、水蒸気がミキサー80の内壁面に結露せずより一層効率よく故紙小片を乾燥するという点で、特に望ましい。
0026
また、解砕且つ乾燥する故紙小片の中に炭酸カルシウム、酸化チタン等の添加剤を添加することは、前記添加剤により故紙小片が重くなって攪拌衝撃翼85,86,87の遠心力による故紙小片の舞い上がりが少なくなるため乾燥効率を向上できるという点で、好ましい。
0027
また、小片に破砕した故紙小片の大きさは、長辺もしくは長径が15mm程度の大きさより大きくなると乾燥効率がやや低下するので、長辺もしくは長径が10mm以下、好ましくは8mm以下、より好ましくは5mm以下の故紙小片を攪拌衝撃翼85,86,87により解砕且つ乾燥する。
0028
なお、各熱可塑性樹脂成形材とゲル化可能な故紙解砕粉の配合量の範囲は以下に示す通りである。
0029
熱可塑性樹脂成形材がPPの場合、故紙解砕粉は30〜65wt%、PPの量は70〜35wt%で、好ましくは、故紙解砕粉は45〜55wt%、PPの量は55〜45wt%であり、熱可塑性樹脂成形材がABS樹脂の場合、故紙解砕粉は30〜55wt%、ABS樹脂の量は70〜45wt%で、好ましくは、故紙解砕粉は45〜51wt%、ABS樹脂の量は55〜49wt%であり、熱可塑性樹脂成形材がポリスチレンの場合、故紙解砕粉は30〜65wt%、ポリスチレンの量は70〜35wt%で、好ましくは、故紙解砕粉は45〜55wt%、ポリスチレンの量は55〜45wt%であり、熱可塑性樹脂成形材がPCの場合、故紙解砕粉は30〜55wt%で、PCの量は70〜45wt%で、好ましくは、故紙解砕粉は45〜51wt%、PCの量は55〜49wt%であり、故紙解砕粉が47wt%で、PCが53wt%のときが、特に好ましい。
0030
熱可塑性樹脂成形材がPVCの場合、故紙解砕粉は30〜56wt%で、PVCの量は70〜44wt%で、好ましくは、故紙解砕粉は40〜55wt%、PVCの量は60〜55wt%であり、熱可塑性樹脂成形材がナイロンの場合、故紙解砕粉は30〜55wt%、ナイロンの量は70〜45wt%で、好ましくは、故紙解砕粉は45〜50wt%、ナイロンの量は55〜50wt%である。
0031
熱可塑性樹脂成形材がPETの場合、故紙解砕粉は50〜40wt%、PETの量は30〜10wt%で、他に、PPが10〜50wt%、好ましくは、故紙解砕粉は45〜35wt%、PETの量は25〜15wt%、PPが30〜50wt%である。
0032
また、本発明の故紙合成粉の製造装置においては、故紙を複数の小片に破砕して故紙小片を形成する破砕手段と、密閉容器内すなわちミキサー80内に水平方向に回転する複数枚の攪拌衝撃翼85,86,87を備え、前記密閉容器内に除湿された乾燥空気を供給する給気管96と、前記乾燥空気及び故紙小片から揮散した水蒸気等の揮散ガスを共に排出する排気管95とを連通した解砕・乾燥手段とから成る故紙解砕粉の製造装置と、この故紙破砕粉の製造装置より得られた含有水分量を1.0wt%以内、好ましくは0.5wt%以内に解砕且つ乾燥された故紙解砕粉35〜65wt%、好ましくは40〜60wt%に対して一種又は数種の熱可塑性樹脂成形材35〜65wt%、好ましくは40〜60wt%をともに混合して、剪断発熱によりゲル化混練する攪拌衝撃翼85,86,87を備える流動混合混練手段と、上記ゲル化した混練材料を冷却造粒する内部に撹拌衝撃翼104を有し、ジャケット102に冷却水の入口および出口を備える冷却造粒手段と、上記冷却造粒した造粒故紙合成粉を粉砕して粒径10mm以下に整粒する整粒手段とから成るものである。
0033
上記構成の故紙合成粉の製造装置において、前記攪拌衝撃翼85,86,87は回転軸を中心に対称の2枚羽根で一対を成し、この攪拌衝撃翼を複数枚重ね且つ各羽根を回転軸を中心として等分角を成す対称位置に配置し、最上に位置する2枚羽根の先端部分を回転軸の先端より高い位置に配置することが、故紙小片を効率よく解砕且つ乾燥させるという点で、望ましい。
0034
さらに、攪拌衝撃翼の数は、少ないと攪拌衝撃翼の剪断力による剪断発熱の発熱量が少なくなり故紙小片は乾燥しないという理由で、前記攪拌衝撃翼は4枚羽根以上、好ましくは6枚羽根以上で成る。
0035
また、前記密閉容器の底辺に沿って回転するスクレイパー84を前記攪拌衝撃翼85,86,87の回転軸に設けることが、密閉容器の底面の故紙小片を上方へ効果的に循環させるので密閉容器内の故紙小片を効率よく解砕且つ乾燥するという点で、好ましい。
0037
また、本発明の故紙合成成形品の製造方法においては、前述したいずれかの方法により得た故紙合成粉を加熱、練成した生地を射出成形、押出成形等の各種成形法により成形したことを特徴とする。
0038
また、本発明の故紙合成成形品の製造装置においては、前述の故紙合成粉の製造装置と 、該故紙合成粉の製造装置によって製造された前記故紙合成粉を加熱、練成した生地を、金型へ射出して冷却して成形する射出成形機や押出ダイ19へ押出し冷却して成形する押出成形機等の成形手段とから成るものである。
0040
また、本発明の故紙合成成形板の押出成形方法においては、前述の故紙合成粉の製造方法により故紙合成粉を得る工程と、このようにして得られた故紙合成粉を加熱、練成し、スクリュー71をもって成形ダイ10へ押出した押出し生地79を徐冷する工程を少なくとも含むことを特徴とする。
0041
また、本発明の故紙合成板の押出成形方法においては、前述の故紙合成粉の製造方法により得られた故紙合成粉を加熱、練成し、スクリュー71をもって成形ダイ10へ押出し、この押出し生地79を、内壁面にフッ素樹脂のシートを貼設又はフッ素樹脂をコーティングした成形ダイ10の成形部へ押出して所定の肉厚に成形し且つ前記成形部で徐冷して押出成形すると共に、この成形板の押出し力に抗する抑制力を加えて前記成形部内の押出し生地79の密度を高くする工程を少なくとも含むことを特徴とする。
0042
また、本発明の故紙合成板の押出成形装置においては、前記故紙合成粉を加熱、練成し、スクリュー71をもって押出す押出機70の押出ダイ19に、前記押出ダイ19より吐出された押出し生地79を加熱する溶融部21a及び所定の肉厚に成形して徐冷する徐冷部21bを有する成形室22を備えた成形ダイ10を連結したことを特徴とする。
0043
なお、前記成形ダイ10の成形部の内壁面にフッ素樹脂のシートを貼設又はフッ素樹脂をコーティングし且つ成形室22を加熱するヒータ14と、成形室22を冷却する冷却手段25を成形ダイ10に設け、前記成形ダイより押し出された押出し生地79の押出し力に抗する抑制力を加えるブレーキ手段30を設けることが、より一層均一で高密度の故紙合成板を成形できるという点で、望ましい。
0044
[作用]
ミキサー80内に、小片に破砕した故紙小片を投入する。このときの故紙小片は含有水分量が大きく、例えば含水率6.1wt%である。攪拌衝撃翼85,86,87およびスクレイパー84が高速回転し、ミキサー80内の故紙小片は剪断速度が900〜980rpmの高速回転の攪拌衝撃翼85,86,87による剪断力により衝撃破断されて解砕され、このとき攪拌衝撃翼衝撃力に基づく剪断力により攪拌衝撃翼と故紙小片あるいは故紙小片同士の摩擦による摩擦熱(本発明では、これらの熱を総称して「剪断発熱」という)の発生量が向上し、ミキサー80内の温度が上昇し、この温度上昇に伴って故紙小片から多量の水蒸気や木酸ガス等の揮散ガスが揮散し、故紙小片の含有水分量が効率よく低下し乾燥する。さらに、故紙小片は前記剪断発熱により乾燥するにつれてより一層解砕し易くなり、解砕された故紙小片はより一層乾燥効率が向上するという相乗効果によって、多量の故紙小片が短時間に解砕・乾燥され故紙解砕粉が形成される。
0045
しかも、乾燥空気を給気管96を介してミキサー80内へ供給すると、乾燥空気内に前記揮散ガスを含んで排気管95を介してミキサー80外へ排出される。故紙小片から揮散した水蒸気がミキサー80の内壁面に結露して水滴がミキサー80の故紙内へ落下するという現象を避けることができ、ミキサー80内の故紙小片はより一層効率よく解砕・乾燥される。
0046
このようにして得た故紙解砕粉は、例えば含有水分量が0.4wt%という低含水率を示すものである。
0047
上記ミキサー80内に、低含水率の前記故紙解砕粉と一種又は数種の熱可塑性樹脂成形材を投入する。熱可塑性樹脂成形材は攪拌衝撃翼85,86,87により前記故紙解砕粉と混練され、攪拌衝撃翼の剪断発熱により加熱され混合分散に際しても凝集したりせずに混練されゲル化する。このとき、各故紙解砕粉の周囲全体が熱可塑性樹脂成形材で覆われるために、一旦混練すると故紙解砕粉内の水分は熱可塑性樹脂成形材で閉じ込められる状態になる。つまり各故紙解砕粉は低含水率の状態で熱可塑性樹脂成形材により保護され低含水率が維持される。ついで、冷却造粒手段によりジャケット内の混練材料は、前記原材料中の熱可塑性樹脂成形材の凝固点すなわち融点近傍(融点+10°C)まで冷却されながら乾燥され、撹拌衝撃翼により殆どが粒径30mm以下、ときに、100〜150mm程度の塊を含むものに造粒されて固化させた造粒故紙合成粉を得る。
0048
さらに、前記造粒故紙合成粉は、例えば8mmのスクリーンを有するカッターミル等の粉砕機から成る整粒手段により、粒径(短径)10mm以下、好ましくは、3〜5mmの米粒大のペレット状の故紙合成粉を得る。以上のようにしていわゆる熱可塑性樹脂成形材が熱的、化学的に安定した低含水率の故紙解砕粉に固定化された状態を定常的に維持し得るようにして故紙解砕粉の低含水率を維持すべく、また故紙解砕粉と一種又は数種の熱可塑性樹脂成形材との混合、分散状態を定常的に維持すべく、良好なる流動性を与える故紙合成粉が形成され、且つ冷却による凝縮、縮小作用とも相まって、化学的な反応とか接着によらない故紙合成粉が形成される。
0049
また、ペレット状に成形された上記の故紙合成粉、もしくは前記故紙解砕粉と一種又は数種の熱可塑性樹脂成形材とを既知の攪拌機例えば低速回転型の攪拌機を使用して混合し、これを原材料として射出成形や押出成形等の成形機に投入し、加熱し、各種成形法によって故紙合成成形品に成形されるとき、各故紙解砕粉は低含水率で且つ粉末状であるので熱可塑性樹脂成形材と良好に分散し、熱可塑性樹脂成形材が各故紙解砕粉の周囲全体に覆う状態で冷却され硬化する。したがって、故紙合成成形品内の故紙解砕粉は低含水率の状態を維持されるので、浸水や高湿度等の外的環境に左右されない安定した低含水率や低吸水率の製品が形成される。
0050
また、前記原材料を各種成形法の成形機で加熱し成形する際、故紙解砕粉は低含水率であるので故紙解砕粉からの水蒸気や木酸ガス等の揮散ガスの発生が殆どないので、成形機内の壁面の酸化腐食、成形ダイ10の損耗、成形品自体の表面の荒れ、気泡、巣の発生等の問題を生じないものである。
0051
また、故紙合成粉を用いて押出成形法などで故紙合成板を成形する場合、押出機70内に投入された故紙合成粉は、押出機70内で加熱、混練されスクリュー71で押出ダイ19から押出し生地79として成形ダイ10の入口11へ押し出される。故紙合成粉の分散された生地の押出しは、生地の主原料たる熱可塑性樹脂成形材を単独で溶融する場合の温度より低い温度で押し出すことができるので、押出し生地79中に分散されている故紙解砕粉が成形ダイ10のヒータ14の熱で焼けるという現象を生じにくくし、品質特性の低下を防げる。故紙解砕粉は熱可塑性樹脂中に均一に分散された状態で成形ダイ10に押し出される。
0052
押出機70より成形ダイ10内へ押し出された押出し生地79はヒータ14により加熱された成形室22の溶融部21a内に押し出されて加熱され、所定の肉厚に成形されながら溶融部21aを通過して、成形室22の徐冷部21bに押し出され、該徐冷部21bに導入される。成形室22の内壁面には摩擦係数が小さいフッ素樹脂のシート24を貼設し、又はフッ素樹脂をコーティングすれば、この内壁面を通過する押出し生地79内に故紙解砕粉を含む場合であっても大きな抵抗を受けることなく円滑に流動し、均一で高密度の混練状態を保ちながら押出される。
0053
この成形室22内の徐冷部21bは、例えば、冷却管25により冷却されており、この冷却管25内を循環している常温ないし60℃から90℃の水または油などの冷却媒体により、押出し生地79が徐冷部21bを通過する過程で徐冷されて硬化する。
0054
成形室22の内壁面にフッ素樹脂シート24を貼設した場合、又はフッ素樹脂でコーティングした場合には、フッ素樹脂は金属に比べ熱伝導係数が低いので、押出し生地79は徐冷部21bにおいて急速に冷却されることなく徐冷され、冷却による歪みが少なくなり、均一で高密度の製品としての合成板29である故紙合成板が成形される。
0055
さらに、押出機70により加えられる合成板29への押出し力に、ブレーキ手段30により抑制力を加え、この合成板29を介して成形室22内の押出し生地79に対して前記押出し力に対する抗力を加えると、押出し生地79にこの抑制力を加えない場合と比べて成形室22内の押出し生地79はより一層密度が均一で高密度になる。
0056
【実施例】
本発明の実施例につき図面を参照して説明する。
0057
1.故紙解砕粉の製造方法並びに故紙合成粉の製造工程の概要
図1(A),(B)に基づいて、本発明の故紙合成粉の原料となる故紙解砕粉の製造方法、並びに本発明の故紙合成粉の製造ラインを一例として、その概要を説明する。
0058
〔故紙の破砕〕
故紙を図示せざるスリッター等の切断機で幅5mm程度の帯状に切断し、次いでカッタミル等の破砕手段で長辺もしくは長径が5mm程度の大きさの方形、ないしは不定形の小片に破砕する。
0059
〔故紙小片の解砕・乾燥(故紙解砕粉の製造)〕
前工程による故紙の小片を、故紙小片解砕・乾燥手段であるミキサー80へ投入して攪拌衝撃翼85,86,87の剪断力で解砕且つ乾燥を行ない、粉末状の「故紙解砕粉」を製造する。
0060
〔故紙合成粉の製造〕
(1)流動混合混練手段である同じくミキサー80内へ熱可塑性樹脂成形材を投入して、この熱可塑性樹脂成形材とミキサー80内の「故紙解砕粉」とをゲル化混練して、「混練材料」を形成する。
0061
(2)前記混練材料をミキサー80から排出して100〜150mm程度の塊となった造粒故紙合成粉があるときは、必要に応じて粗砕機51で粒径30mm以下程度に粗砕する。
0062
(3)粗砕された混練材料をブロアー53で吸引してサイクロン54ヘ送給し、このサイクロン54内で粉塵と混練材料とを分級し、粉塵は集塵機へ送り、混練材料はサイクロン54の下方に設けたクーリングミキサー100へ送る。
0063
(4)混練材料はクーリングミキサー100内で、十分に冷却造粒されて、「造粒故紙合成粉」が形成される。
0064
(5)「造粒故紙合成粉」はカッタミル120の整粒手段で、約3〜5mm程度の米粒大に整粒され「故紙合成粉」が形成される。
0065
〔故紙合成粉の貯蔵〕
「故紙合成粉」をブロアー53で吸引してサイクロン54ヘ送給し、このサイクロン54内で粉塵と故紙合成粉とを分級し、粉塵は集塵機へ送り、一方、故紙合成粉はサイクロン54の下方に設けたホッパドライア55へ送られ、このホッパドライア55内のヒータで常時、乾燥状態を維持して保存される。
0066
なお、上記の主な製造工程は、故紙解砕・乾燥手段および流動混合混練手段であるミキサー80内での故紙の解砕・乾燥工程と、故紙解砕粉と熱可塑性樹脂成形材とのゲル化混練工程、さらにカッタミル等の整粒手段による造粒故紙合成粉の整粒工程であり、他は必要に応じて追加、省略できる。
0067
2.故紙解砕粉の製造方法並びに故紙合成粉の製造工程の詳細以下に、上記の主な製造工程及び各製造工程で使用される装置の実施例について図面を参照して説明する。
0068
2−1.〔故紙の破砕処理〕
なお、本実施例でミキサー80内に投入する故紙は、市場に一旦、出荷され回収された新聞紙、ラミネート紙を含む雑誌、広告、チラシ、カタログ等の紙であり、この故紙の含水率は6.1wt%以上である。
0069
この故紙を原材料として既知のスリッター等の切断機で幅5mm程度に帯状に切断し、次いで、この帯状の故紙を既知の破砕手段、例えば以下に示す「カッタミル」に投入し長辺もしくは長径が5mm程度の大きさの長方形あるいは正方形等の方形、ないしは三角形、台形、菱形等の不定形の小片に破砕する。
0070
図4に破砕手段の一例であるカッタミル120を示す。121はカッタミル本体で、上面開口を有する円筒形を成すケーシングであり、前記開口を開閉自在な蓋122で被蓋する。前記蓋122はカッタミル本体121内に被破砕物を投入する投入口123を備えている。
0071
また、前記カッタミル本体121内にはカッタミル本体121の底面に軸承されて図示せざる回転駆動手段で水平方向に回転するカッタ支持体124を設け、このカッタ支持体124の外周に上下方向に長い回転刃125を3枚設け、これらの3枚の回転刃125はカッタ支持体124の回転方向で120度の等角度を成すように配設し、3枚の回転刃125の刃先は同一の回転軌跡上に位置している。さらに、前記3枚の回転刃125の刃先の回転軌跡に対して僅かな隙間を介して二の固定刃126を回転刃125の刃先の回転軌跡の略対称位置にカッタミル本体121に固定し、二の固定刃126とカッタ支持体124と回転刃125とでカッタミル本体121内を二分し、投入室127と破砕室128を形成する。前記蓋122の投入口123は前記投入室127に連通する。なお、二の固定刃126と回転刃125とのクリアランスは被破砕物を所望の大きさに切断、もしくは広義には破砕できるよう自在に調整できる。本実施例のクリアランスは0.2〜0.3mmである。また、破砕室128は前記二の固定刃126間を回転刃125の回転軌跡の周囲を囲むようにメッシュのスクリーン129で仕切っている。なお、スクリーン129は、本実施例では直径8mmの孔を無数に形成したパンチングメタルで構成している。また、破砕室128のカッタミル本体121の下端には前記被処理小片82を排出する排出口131を設けている。
0072
以上のカッタミル120において、蓋122の投入口123から前述した5mm幅の帯状の故紙を投入し、図示せざる回転駆動手段(動力5.5KW)でカッタ支持体124を800rpmで回転すると、故紙はカッタ支持体124の回転刃125と固定刃126間でスクリーン129を経て形状、面積は、不定であるが、長辺もしくは長径が5×5mm程度以下の大きさの長方形あるいは正方形等の方形、ないしは三角形、台形、菱形等の不定形の小片に破砕され前記排出口131から排出される。ちなみに本実施例のカッタミルでは30kgの故紙を6分(300kg/時間)で処理した。
0073
なお、カッタミルは上記に限定されず、例えば、(株)ホーライ社製のハードクラッシャのように、回転刃125の回転軸は水平方向に設けられ、二の固定刃126間のスクリーン129は下方に設けられているカッタミルもある。
0074
また、破砕手段は、上記のカッタミルに限定されず、例えば、(株)ホーライ社製のガイナックスクラッシャ、又は(株)奈良機械製作所製のロールクラッシャ等、種々のモノカッタ、シュレッダー、クラッシャ等の「クラッシャ」を用いることができる。「クラッシャ」は、例えば、上部に被破砕物の投入口を有するクラッシャ本体内に互いに内向きに回転する2軸を平行に設け、各軸に複数枚の回転刃を所定間隔に設けると共に、各軸の各回転刃外周で互いに噛み合って且つ各回転刃の外周面に等角度を成すよう突設した3個の爪刃で被破砕物を適宜大の断片からなる破砕片に切断するように設けられている。上部の投入口から投入された被破砕物は、互いに内向きに回転する2軸の回転刃の爪刃により内部に引き込まれ、噛み合った状態で回転する回転刃の外周エッジ間に、連続的に作用する剪断力でスリットしながら引き込みのときに作用する圧縮力によって破砕され切断され、破砕片が形成される。この破砕片は前記2軸の回転刃の下方に設けたスクリーンを通過して排出口から排出される。
0075
前述のように、ミキサー80内の故紙小片の大きさは、長さや幅あるいは直径が15mm程度の大きさより大きくなると乾燥効率がやや低下するので、長辺もしくは長径が10mm以下、好ましくは8mm以下、より好ましくは5mm以下の小片に破砕したものがよい。
0076
本実施例では、ミキサー80内に上記故紙小片を投入する前の故紙破砕片の含水率は6.1wt%であったが、本発明の故紙解砕粉の製造方法においては故紙小片の含水率が大きい場合でも特に問題はなく、故紙破砕片の含水率に応じて比例的に処理時間がかかるだけである。
0077
2−2.〔故紙解砕粉の製造方法〕
本発明の故紙解砕粉の製造には、以下の手段を用いて行われる。
0078
図2において、80は、故紙解砕・乾燥手段および後述する流動混合混練手段で、本実施例において、便宜上「ミキサー」という。
0079
81はミキサー本体で、上面開口を有する円筒形を成し容量が300リットルのケーシングであり、前記開口はミキサー本体81内に原料故紙を投入する投入口94で、この投入口94を開閉自在な上蓋82で被蓋する。上蓋82には、乾燥した空気を供給する給気管96を連通し、また、ミキサー本体81内で故紙小片から発生した多量の水蒸気や木酸ガス等の揮散ガスを排出する排気管95を連通している。さらに、ミキサー本体81の底面付近の外周面に1ヶ所の排出口88を設け、この排出口88を被蓋する蓋89をシリンダ91のロッド先端に設け、シリンダ91の作動により前記排出口88を開閉自在に設けている。93は排出ダクトで、前記排出口88に連通している。
0080
さらに、ミキサー本体81の底面の中心には37kw(DC)の馬力を有する図示せざるモータの回転駆動手段により高速回転する軸83をミキサー本体81内の上方に向けて軸承し、この軸83に下から上方へ順にスクレイパー84、攪拌衝撃翼85,86,87を装着し、軸83の先端から締付ナット92で締め付けている。なお、前記各攪拌衝撃翼85,86,87の形状は特に限定されないが、本実施例では軸83を中心に対称を成す2枚羽根である。図2のように3対の攪拌衝撃翼を重ねた場合は全部で6枚の羽根で成り、これら6枚の羽根は平面で360度を6等分した等分角(60度)を成すように互いに交叉した状態で重ねている。なお、複数個の攪拌衝撃翼を設けた場合、攪拌衝撃翼の合計の羽根数で360度を等分した角度で互いに交叉して重ねることは原材料を効率良く混練する点で好ましい。
0081
さらに、最上に位置する攪拌衝撃翼87の形状は2枚羽根の先端部分が軸83に取り付ける部分より高くなるように折り曲げた形状をしており、前記先端部分は軸83の先端より高い位置に配置している。これによりミキサー80内に投入した故紙小片の上層部に攪拌衝撃翼87による剪断力を加えることができ、故紙小片を効率よく解砕且つ乾燥するという点で、望ましい形状である。
0082
なお、前記スクレイパー84はミキサー本体81の底面を僅かに摺接して回転し、ミキサー本体81内の原材料を底面に滞留しないように掻き回し且つ上方へ循環させ、さらに、処理された原材料をミキサー本体81の底面に残留しないよう掻き出すものである。
0083
2−3.〔故紙解砕粉の製造工程の例〕
前述したように破砕処理で長さ幅が5mm程度の大きさの小片に破砕した故紙、故紙小片を原料として解砕・乾燥手段であるミキサー80で解砕且つ乾燥する工程を以下に詳しく説明する。
0084
(1) 回転速度900rpmでモータを回して攪拌衝撃翼85,86,87およびスクレイパー84を高速回転し、ミキサー80の上蓋82を開放して投入口94からミキサー本体81内に、大きさが5×5mm程度で、含有水分量が6.1wt%の故紙小片を25kg、およびTY−300(酸化チタン)と顔料(黄色)2kgを共に投入する。
0085
なお、故紙小片投入時のミキサー80内の温度は89℃、モータの負荷電流は155Aであった。
0086
(2) モータにより前記攪拌衝撃翼85,86,87およびスクレイパー84を回転速度900rpmで26分22秒間、回転して故紙小片とTY−300(酸化チタン)とを攪拌した。
0087
なお、故紙小片投入時から26分22秒後のミキサー80内の温度は225℃で、モータの負荷電流は61Aであった。
0088
攪拌衝撃翼の回転速度つまり剪断速度は900rpmで高速回転するので、攪拌衝撃翼85,86,87による剪断力は高いため、ミキサー80内の故紙小片は前記剪断力により衝撃破断されて粉末状に解砕され、また攪拌衝撃翼と故紙小片あるいは故紙小片同士の摩擦による摩擦熱つまり剪断発熱の発生量が向上し、ミキサー80内の温度が上昇する。このミキサー80内の温度上昇に伴って故紙小片内の水蒸気や木酸ガス等の揮散ガスの揮発性は向上し、含水率0.4wt%で粉末状に乾燥される。つまり、小片に破砕された故紙小片はミキサー80内で攪拌衝撃翼の剪断力により解砕されるので乾燥効率が向上し、且つ故紙小片が乾燥するのでより一層細かく解砕し易くなるという相乗効果があり、故紙小片は時間の経過とともに解砕され多量の故紙小片が短時間で解砕・乾燥され「故紙解砕粉」が製造される。
0089
また、ミキサー本体81内へ給気管96を介して図示せざる除湿装置を備える圧縮機ないし送風機から成る乾燥空気供給源から乾燥空気を供給する(圧力0.5kg/cm2)。故紙小片から発生した多量の水蒸気や木酸ガス等の揮散ガスは前記乾燥空気内に含まれて排気管95より排出され、図示せざるブロワーで集塵装置へ吸引される。このように乾燥空気をミキサー内へ供給しない場合、ミキサー本体81内の水蒸気が上蓋82の内面などのミキサー80の内壁面に結露し水滴となって下方の故紙小片へ落下し、ミキサー本体81内の故紙小片を効率よく乾燥できなくなるので、ミキサー本体81へ乾燥した空気を供給し排出することは重要である。
0090
そして、故紙小片から水蒸気が揮散するにつれて故紙小片が軽くなるので攪拌衝撃翼にかかる負荷が低下し、上記のように、運転開始時のモータの負荷電流は155Aであったが、運転開始から26分22秒後には61Aに変化したのである。
0091
なお、前記攪拌衝撃翼の剪断速度が速すぎる場合は、攪拌衝撃翼の遠心力で故紙小片が舞い上がるためミキシング効果が低下し、前記剪断速度が遅すぎる場合は、攪拌衝撃翼の剪断力による剪断発熱の発生量が少ないため乾燥時間がかかり、乾燥効率が低下するという理由で、前記剪断速度は好ましくは900〜980rpm、より好ましくは900〜950rpmである。
0092
また、故紙小片の中に炭酸カルシウム、酸化チタン等の添加剤を添加すると、故紙小片が重くなって攪拌衝撃翼の遠心力による故紙小片の舞い上がりが少なくなるため解砕・乾燥効率を向上させるので望ましいが、炭酸カルシウム、酸化チタン等の添加剤を添加しなくとも解砕・乾燥でき、限定されるものではない。
0093
さらに、本実施例では攪拌衝撃翼は前述したように攪拌衝撃翼85,86,87の3対の合計6枚で、スクレイパー84を含めると合計7枚であるが、攪拌衝撃翼の数が少なくなると、例えば一対の攪拌衝撃翼85とスクレイパー84の合計3枚であると、攪拌衝撃翼の剪断力による剪断発熱の発生量が少なくなり故紙小片が効率良く解砕・乾燥しないという理由で、好ましくはスクレイパー84を含めて5枚以上、より好ましくはスクレイパー84を含めて7枚以上である。
0094
(3) 次いで、モータを低速回転させ、シリンダ91を作動し蓋89を移動して排出口88を開放し、低速回転のスクレイパー84でミキサー本体81内の故紙小片を排出口88から排出ダクト93へ掻き出して排出する。
0095
なお、故紙小片投入時から26分22秒間のミキサー80内の温度、モータの負荷電流、故紙小片の含水率はそれぞれ、以下に示すように経時変化を示している。
0096
【表1】
Figure 0003768559
0097
以上のようにして得た故紙解砕粉は、殆どが0.1mm程度の粉末状に解砕され、僅かながら1〜2mm程度の大きさの粒状に丸められており、含有水分量が0.4wt%であり、全体として粒状に近く、丸みを有しており表面が比較的平滑で緻密になっている。なお、故紙解砕粉は、ほとんど相互に凝集を生ずることがなく、且つ溶液などに対する分散性が良好で、顔料などの担持母材として適切である。
0098
以上のようにして得られた故紙解砕粉は熱可塑性樹脂成形材とともにミキサー80内でゲル化混練し、冷却して後述する故紙合成粉を形成することができる。
0099
前述したように、熱可塑性樹脂成形材と故紙解砕粉とをミキサー80内で混練すると、各故紙解砕粉の周囲全体が熱可塑性樹脂成形材で覆われるために、一旦混練すると故紙解砕粉内の水分は熱可塑性樹脂成形材で閉じ込められる状態になるので、その後は乾燥したとしても故紙解砕粉の含水率を低下させることはできなくなる。従って、熱可塑性樹脂成形材と故紙解砕粉とを押出機やミキサー80内で混練する前に、故紙解砕粉の含水率を1wt%以内に、好ましくは0.5wt%以内にすることが望ましい。
0100
2−4.〔故紙合成粉の製造例〕
前述した実施例では、前述故紙小片をミキサー80で解砕・乾燥処理した後、故紙解砕粉をミキサー80から排出したが、この故紙合成粉の製造例では前記故紙解砕粉を排出せず、その後ミキサー80内に1種または数種の熱可塑性樹脂成形材を投入し、この熱可塑性樹脂成形材と前記故紙解砕粉とを流動混合混練手段である同じくミキサー80でゲル化混練して「故紙合成粉」を形成する。以下に詳しく説明する。
0101
(1) ミキサー本体81内には、前述実施例の故紙解砕粉(含水率0.4wt%)25kgが形成されている。
0102
このミキサー本体81内に、熱可塑性樹脂成形材として、農業などで使用済みのプラスチックフィルム廃棄物、例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリオレフィンなど所謂施設園芸、農業におけるビニールハウスやその他の栽培用の農産物の種子や苗などの被蓋に使用され、また、他の用途に使用され廃棄された使用済のフィルムあるいはシートを形成する熱可塑性樹脂製のフィルムもしくはシート(本明細書において、「廃農フィルム」という)のうち、軟質PVCで成る廃農フィルムから回収した熱可塑性樹脂成形材の軟質PVC12kgと、バージンの硬質PVC12kgの粉砕片を投入し、攪拌衝撃翼の剪断速度900rpmで4分37秒間混練した。したがって、故紙解砕粉は25kgで51wt%で、前記熱可塑性樹脂成形材の軟質PVC12kgとバージンの硬質PVC12kgで合計24kgのPVCで49wt%の配合である。なお、バージンの硬質PVCの熱可塑性樹脂成形材の形態は、本実施例ではペレットを使用している。
0103
また、熱可塑性樹脂成形材を投入時のミキサー本体80内の温度は147℃であったが、4分37秒後の温度は210℃であった。PVCの融点は65〜80℃であり、この工程で、原材料内の故紙解砕粉によりPVCは大きな塊とはならず、混合分散に際しても凝集したりせずに粘土状にゲル化する。この工程で、上記の粘土状にゲル化したものは直径約10〜100mmの塊状の「混練材料」となった。この混練材料は、個々の故紙解砕粉がその故紙解砕粉単体の表面全体に熱可塑性樹脂を付着した状態に形成され、故紙解砕粉が熱可塑性樹脂成形材で閉じ込められた状態になるので、各故紙解砕粉粒は外的環境に影響されない安定した低含水率を維持する形態になる。
0104
なお、尿素、炭酸カルシウム、酸化チタン、顔料等の添加剤をミキサー80内に投入することができる。
0105
前記炭酸カルシウムは、押出機等で押出成形される故紙合成板に良好な寸法安定性をもたらし、温度変化に伴う膨張収縮を著しく少なくすることに寄与するもので、押出加工における成形品の変形を防止し、且つそれ自体安価である。
0106
また、前記酸化チタンは、流動性、溶液中における分散性が良好であり、押出機等で押出成形される故紙合成板に対して温度変化に伴う膨張収縮を著しく少なくすることに寄与するものである。
0107
また、前記尿素はアンモニア、フェノール、メラミン等で成り、木酸ガスの中和剤となる。
0108
(2) 前記モータを400〜500rpmの低速にし、シリンダ91を作動して蓋89を後退して排出口88を開放する。ミキサー本体81内のゲル化した原材料は排出口88から排出ダクト93を経て、次工程へ排出される。排出時の温度は215℃、熱可塑性樹脂成形材を投入してから排出するまでは5分29秒で処理された。
0109
なお、前記モータを低速にして原材料内の熱可塑性樹脂成形材の融点より10℃程度高い温度にまで下げれば、ミキサー80内の混練材料は冷却され、直径約25mm以下の大きさの塊に造粒され後述の造粒故紙合成粉と同等のものが形成される。しかし、本実施例では後述する冷却造粒工程で一定粒径の粉体に形成される。
0110
(3) 冷却造粒図3において、100は「冷却造粒手段」であり、本実施例では「クーリングミキサー」という。
0111
ミキサー80で形成された混練材料は排出ダクト93を経てクーリングミキサー100の投入口113から逆円錐形状を成すミキサー本体101内へ投入される。ミキサー本体101の上壁内の略中心に軸承されたアーム103が減速装置112を介してモータ111により3rpm の速度で水平方向に回転している。前記アーム103の先端にはスクリュー型を成す撹拌衝撃翼104が軸承され、該撹拌衝撃翼104の回転軸線方向がミキサー本体101の内周壁面に沿って略平行に下方へミキサー本体101の下端付近まで延長している。撹拌衝撃翼104はアーム103内に設けた歯車等による回転伝達手段を介して前記モータ105の出力軸に連結する回転軸に連結され90rpm の速度で回転駆動される。撹拌衝撃翼104はミキサー本体101の内周壁面に沿って円錐を描くように回転し、アーム103内の混練材料を攪拌する。
0112
ミキサー本体101の外周壁内に形成したジャケット102内に給水管108から排水管109へ常時、冷却水を供給され、撹拌衝撃翼104で攪拌される混練材料は、ジャケット102内の冷却水により冷却されたミキサー本体101の内周壁面で熱可塑性樹脂成形材の融点近傍まで冷却され、直径約25mm以下に造粒された「造粒故紙合成粉」が形成され、この造粒故紙合成粉はバルブ106を開放して排出口107より排出される。
0113
PVCの融点は65〜80℃であり、本製造例では前述したミキサー80内で215℃にゲル化した混練材料をクーリングミキサー100へ投入してから10〜15分程度で、55〜65℃まで冷却され、このクーリングミキサーによって効率よく冷却造粒される。このときのジャケット102内の冷却水については、給水管108から供給する冷却水の温度は30℃で、排水管109より排水される冷却水の温度は41℃。
0114
なお、混練材料は、熱可塑性樹脂成形材の凝固点すなわち融点以下に冷却されることが望ましいが、故紙解砕粉を混合しているので熱可塑性樹脂成形材の融点以下にまで下げる必要はなく、実際には造粒故紙合成粉が排出口107より排出可能な温度まで冷却されれば良く、混練材料内の熱可塑性樹脂成形材の融点より約10℃高い温度まで冷却すれば良い。
0115
なお、冷却造粒手段は上記のクーリングミキサーのような装置に限定されるものではなく、ミキサー本体内の混練材料を攪拌する攪拌羽根を設け且つミキサー本体の外周壁面に前述したようなジャケットを設け、このジャケット内を流れる冷却水でミキサー本体内の混練材料を冷却するものであれば良い。
0116
なお、ミキサー80で形成された混練材料は前記ジャケット102を備えてない一般的なミキサーを用いて攪拌のみを行なって冷却することも可能であるが、効率よく冷却できるという点で、本実施例のようなクーリングミキサーを使用することが望ましい。
0117
(4) 整粒前記冷却造粒手段で形成された造粒故紙合成粉は、さらに前述した図4と同様のカッタミルを使用してカッタ支持体124の回転刃125と固定刃126間で約0.1〜5mm程度に切断され「故紙合成粉」が形成され、整粒室128のスクリーン129のメッシュを通過して粒径(短径)3〜5mmの米粒大の「故紙合成粉」が排出口131より排出される。スクリーン129は、直径8mmの孔を無数に形成したパンチングメタルで成る。
0118
なお、上述実施例においては、熱可塑性樹脂成形材としては、PVCを主な例として説明したが、他の廃棄された各種の樹脂成形品から回収して得られた熱可塑性樹脂成形材を熱可塑性樹脂成形材として素材化した、ABS樹脂,ポリスチレン、PET(ポリエステル)、PP(ポリプロピレン)、PC(ポリカーボネート)、ナイロン等の樹脂の一種又はこれらの数種の混合したものを用いることができる。
0119
なお、熱可塑性樹脂成形材は、前述廃農フィルムを始め熱可塑性合成樹脂製品の廃材から得られた回収熱可塑性樹脂成形材を再利用したもの、あるいはバージンの熱可塑性樹脂を投入し、あるいはバージンの熱可塑性樹脂と前記回収熱可塑性樹脂成形材をそれぞれ、例えば50%ずつ用いることもできる。
0120
以下、故紙解砕粉と各熱可塑性樹脂成形材との混合比の実施例を以下に示す。
0121
【表2】
Figure 0003768559
0122
本発明で得られた故紙合成粉は、射出成形や押出成形、圧縮成形等の各種成形法で使用される成形機へ直接投入して故紙合成成形品に成形することも、成形用あるいは顔料等を含む充填材としての樹脂素材の形態であるペレットに成形することもできる。
0123
3.故紙合成成形品の製造例
前述した故紙合成粉を射出成形や押出成形、圧縮成形等の各種成形法で使用される成形機内に投入し、加熱して各種成形法により成形して故紙合成成形品を製造できる。
0124
3−1.〔射出成形による故紙合成成形品の製造例〕
本発明の故紙合成粉を用いて射出成形にて成形したテレビケースの故紙合成成形品の製造例を以下に示す。
0125
故紙解砕粉51wt%とポリスチレン49wt%で成る故紙合成粉を成形材料として横形の射出成形機のホッパへ投入する。故紙合成粉はホッパから射出ラムの往復運動に関連して加熱シリンダ内に送られ、この加熱シリンダ内で加熱、練成され、軟化し流動性を帯びる。この錬成された生地を射出ラムにより金型のキャビティ中にプランジャーで押し出される。すなわち、前記生地は加熱シリンダの一端のノズルを通り、金型の湯道(スプルー)を経て金型の湯口(ゲート)から金型のキャビティへ射出され、冷却されてテレビケースの故紙合成成形品となる。前記射出ラムの往復運動、金型の開閉等の操作は全自動化されており、射出ラムを自動操作により反復操作して上記の射出成形工程の動作を繰り返し行ない、テレビケースを多量生産する。
0126
3−2.〔押出成形による故紙合成成形品の製造例〕
本発明の故紙合成粉を用いて押出成形にて成形した故紙合成板の故紙合成成形品の製造例を以下に示す。
0127
図5(A),(B)は故紙合成板の製造ラインを示すもので、61はアジターフィーダで、故紙合成粉を貯槽するタンクであり、押出機70の上部に設けられている。このアジターフィーダの下部にはスパイラルのスクリューが設けられ、このスクリューでアジターフィーダ61内の故紙合成粉を下方の押出機70のホッパ73へ搬送する。押出機70及び該押出機70内のスクリュー71を回転駆動するモータ74は、水平方向へ回動自在のベースプレート77の上面に設置されているので、押出機70を水平方向へ回動して押出機70の先端の押出ダイ19やスクリーン等の部材を容易に着脱でき、また押出ダイ19を成形ダイ10に装着できる。故紙合成粉はアジターフィーダ61から押出機70のホッパ73へ投入され、押出機70内で加熱、混練され、押出ダイ19から成形ダイ10へ吐出され、成形ダイ10で合成板に成形される。この合成板にはブレーキ手段30により合成板の押出方向と反対方向へ作用する抑制力が加えられて故紙合成板が成形される。なお、前記ブレーキ手段30は必ずしも必要ではなく省略して故紙合成板を成形できる。
0128
4.故紙合成板の製造方法及び装置
以下に、故紙合成板の製造工程及び各装置の実施例について図面を参照して詳細を説明する。
0129
4−1.〔押出機70〕
図6において、70は単軸押出機である。一般に押出機は図示のようなスクリュー形であり、単軸押出機と多軸押出機又はこの変形及びこれらが組み合わさった構造を持つものがある。本発明の押出機としては、前記いずれの構造のものをも使用することができる。71はスクリューで、本実施例ではこれを単軸型としている。一般に押出成形に使用されるスクリューは、基部から先端に向けてスクリュー溝の絞りの変化を大きくしているが、本発明のスクリューは、スクリュー溝の絞り変化を小さくして故紙解砕粉の混入により流動性の低下した押出し生地の流動性を向上させている。ちなみに、一般のスクリュー溝の深さは基部で10mm、先端で1〜2mmに形成されているが、本発明のスクリュー71はスクリュー溝の深さを基部で10mm、先端で7〜8mmに形成している。
0130
このスクリュー71はギヤ減速機72を介して図5(A),(B)のモータ42によって駆動され、バレル74内で回転する。この回転するスクリュー71でホッパ73から投入された故紙合成粉が混練されながらスクリュー71の前方へ押出される。バレル74の外面にはバンドヒータ75を設けており、このバンドヒータ75によりバレル74内の故紙合成粉、つまり故紙解砕粉と樹脂が加熱されスクリュー71の溝に沿って前方へ移送され、漸次溶融して熱可塑性樹脂成形材が故紙解砕粉を均一に分散した状態で混練される。そしてスクリーン76及びアダプタ17を経てアダプタ17の押出ダイ19から成形ダイ10へ押出し生地79として押出される。
0131
なお、熱可塑性樹脂成形材と故紙解砕粉をゲル化混練した故紙合成粉は、これに押出機70内で強い押出力を加えると、チクソトロピー(揺変)を呈するので、粘度が低下して流動性が向上する。
0132
また、このように故紙解砕粉とこの故紙解砕粉を分散した熱可塑性樹脂成形材、すなわち故紙合成粉は、熱可塑性樹脂成形材を単独で押出成形する場合に比較して、低温で押出成形を行うことができるので、押出機70が押出成形の際に熱可塑性樹脂成形材に加えられる熱により劣化することを防止でき、かつ、成形された故紙合成板自体温度が低いものとなるので、この故紙合成板の冷却を容易に行うことができる。
0133
ちなみに、前述実施例で製造した故紙合成粉、つまり故紙解砕粉51wt%と廃農フィルムから回収した熱可塑性樹脂成形材の軟質PVC24.5wt%とバージンの硬質PVC24.5wt%で成る故紙合成粉を上記の押出機70のバレル74内に投入し、スクリュー回転数19.1rpmでゲル化混練したところ、押出成形時の押出機内の樹脂温度の測定値は、設定温度160〜175℃に対し160〜178℃であった。この押出成形時の押出機内の樹脂温度に比して、ポリ塩化ビニル(PVC)単独でペレット成形を試みた時の溶融温度は190℃で、熱可塑性樹脂成形材に故紙解砕粉を分散させた故紙合成粉から成るペレットの成形における両者のゲル化混練温度は195〜225℃であった。
0134
尚、使用目的に応じて、ゲル化混練による故紙合成粉成形時に顔料を添加し、もしくは原材料として着色した故紙解砕粉を使用することにより、例えば木質感のある色彩の製品として着色することもできる。
0135
4−2.〔押出ダイ〕
図6において、17はアダプタで、押出機70で練成された押出し生地79を流入する流入口18と押出し生地79を後述する成形ダイ10へ吐出する押出ダイ19とを備えている。さらに、アダプタ17の先端に断面矩形状を成す突部を設けている。前記押出ダイ19は前記突部の先端に約8mmの肉厚を形成するように幅50mm、高さ12mmの細長の矩形状を成し、前記流入口18はアダプタ17の後端面に直径50mmの円形を成し、この流入口18から前記押出ダイ19に向けて徐々に断面変形する流路を形成している。なお、流入口18は押出機70の断面円形の吐出口と同じ大きさに形成し、一方、押出ダイ19の吐出口の矩形の幅は流入口18の直径と同じ寸法に形成し、高さは後述する成形ダイ10の入口11の高さと同じ寸法に形成することが好ましい。
0136
なお、アダプタ17の後端は該アダプタ17の外周に嵌着した取付具を介して押出機70のスクリーン76を備えたスクリーン部16の先端面にボルトなどの取付具で連結してアダプタ17の流入口18と押出機70のスクリーン部16の出口とを連通し、一方、成形ダイ10の後端面の略中央位置に断面矩形状の凹部を形成し、この凹部にアダプタ17の先端の断面矩形状の突部を装着して押出ダイ19と成形ダイ10の入口11を連通する。
0137
なお、前記アダプタ17の連通孔の周壁内には加熱手段たるヒータを埋設することもできる。
0138
押出機70のスクリーン部16の出口より押し出された押出し生地79は、アダプタ17の流入口18から流入し、ヒータで加熱保温されながら押出し生地79の流路を経て押出ダイ19から成形ダイ10の入口11から成形ダイ10内へ流動する。流入口18から押出ダイ19への連通孔の断面変化は比較的急激に狭くなつているが、この断面変化は高さ方向の変化のみであるので、押出し生地79の流動状態は複雑ではなく良好である。しかも、前記押出ダイ19は通常の一般的なダイとは異なり、射出口が大きいため多量の押出し生地79を吐出し、且つ密度を促進可能な形状に形成されているので、故紙解砕粉を混入したために流動性の低下した押出し生地79を吐出した場合であっても通常のダイで生じていたような目詰まりが生じることはない。
0139
4−3.〔成形ダイ10〕
図7及び図8(A),(B)において、10は成形ダイで、いわゆるTダイ式の成形ダイに類似の形状を成しており、押出機70と前記アダプタ17を介して接続され、押出機70の押出ダイ19に連結された入口11と、この入口11から導入された押出し生地79を幅広で所定の肉厚の板状に成形する成形室22を有する。この成形室22内は、成形室22の入口付近から押出し生地79の押出方向に向かって、成形室22の長さの約5分の1まで、その外周にヒータ14が配設された溶融部21aを形成しており、また、他の部分は、前記溶融部21aの境界から押出し生地79の押出方向に向かってダイ出口23まで、その外周に冷却管25が配設された徐冷部21bが形成されている。
0140
ちなみに、押出成形時の押出ダイ10内の押出し生地温度の測定値は、前記上下2本の各ヒータ14の設定温度175℃に対し172.8〜175℃であった。
0141
前記成形室22は、一方若しくは双方が加熱及び冷却手段をそれぞれ備える上下2枚の金属板26,27を両側縁に配置した金属製のスペーサを介して断面方形に形成したもので、上下2枚の金属板26,27のいずれか一方若しくは双方を交換することにより、成形室22の高さを変更可能に構成されている。
0142
一例として、上側金属板26の交換により、成形ダイ10の成形室22の高さを成形ダイ10の入口11の高さと同一の状態〔図8(A)〕から、成形ダイ10の入口11より低い状態とした場合の例を図8(B)に示す。このように、上側金属板26の交換により、成形ダイ10の成形室12を成形ダイ10の徐冷部21bに向かって徐々に狭く断面変化する形状にすることで、成形ダイ10の入口11の高さを変更することなく成形室22の高さ、従って、製品の厚みを変更することができるので、押出ダイ19の吐出口の高さと成形ダイの入口11の高さが常に略同一高さとなるように構成することができる。
0143
このように、押出ダイ19の吐出口の高さを成形ダイ10の入口11の高さと常に同一にすることで、成形される合成板の交換毎に押出ダイ19を交換することなく、故紙解砕粉が分散されて押出し生地79を容易に成形室22内に吐出することができ、押出ダイ19の吐出口や成形ダイ10の入口11付近がこの押出し生地によって目詰まりを起こすことを防止することができる。さらには、成形ダイ10の溶融部21aが成形ダイ10の徐冷部21bに向かって、押出し生地79を徐々に圧縮するような形状となるので、押出し生地79の流動性が向上すると共に、均一、高密度の故紙合成板が成形され、かつ故紙解砕粉と熱可塑性樹脂成形材との圧密、密着性が向上し、強度の高い合成板を得ることができる。
0144
成形ダイ10の成形室22は、本実施例では、幅640mm、高さ12mmの細長の矩形状の断面を成す〔図8(A)〕。
0145
成型室22の溶融部21aは、その横断面の形状を成形ダイ10の幅方向に湾曲して延長する両端が成形室22の長手方向の両端に及んで、いわゆるコート・ハンガー型に形成されている(図7)。
0146
なお、前記溶融部21aはコート・ハンガー型の他、ストレイト・マニホールド型に形成してもよいが、溶融部21a内を流動する押出し生地79の流動性が優れているという点で、前述した湾曲形状のコート・ハンガー型が好ましい。成形ダイ10は、一例として、幅640mm、高さ12mmの細長の矩形状の断面を成し、成形室22の入口からダイ出口23までの距離(押出し方向の距離)は600mmである。
0147
次に成形ダイ内の構造について説明する。前記成形室22の上下左右の四方の内壁面は厚さ0.25mmのフッ素樹脂でなるシート24を貼設している。この他に、成形室22の上下左右の四方の内壁面にフッ素樹脂を直接表面コーティングすることもできるが、交換が容易でありフッ素樹脂のコーティング加工が容易で耐久性に富むという点で、フッ素樹脂のシート24を貼設することが特に好ましい。
0148
前記シート24は特に好ましくは、ガラス織布の表面にフッ素樹脂をコーティングしたものであり、フッ素樹脂には上述のように、テフロンTFE、テフロンFEP、テフロンCTFE、テフロンVdF等がある。なお、前記ガラス織布はガラス繊維の不織布でもよい。
0149
なお、前述のフッ素樹脂のコーティング加工は、成形室22の上下の内壁面、すなわち故紙合成板の表裏面を形成する面に相当する内壁面に施すこともできるが、前述したように成形室22の上下左右の内壁面全体に施すことが望ましい。
0150
図7及び図8において、14はヒータで、電熱ヒータ等の加熱手段から成り、押出し生地79を加熱保温し、押出し生地79の流動性を維持するため、成形ダイ10を形成する上下2枚の金属板26,27に、溶融部21aを成している。なお、前記ヒータ14は前記上下2枚の金属板26,27のいずれか一方にのみ配設することもでき、また、成形ダイ10の外壁に配設することもできる。
0151
また、図8において、25は冷却管で、成形ダイ10の成形室22を冷却する冷却手段の一例を示すもので、成形室22の押出し方向に適当な間隔毎に、この冷却管25に常温の水又は70〜80℃程度までの水あるいは油等の冷却媒体たる冷却液を供給して成形室22内の押出し生地79を冷却する。この冷却管の配管は成形室22内の押出し生地79の徐冷効果を向上するために前記溶融部21aの境界から押出し生地79の押出方向に向かって成形ダイ10のダイ出口23の方向に向けて成形室22の上下2枚の金属板26,27の各々に4本等間隔で挿通して配管設置されている。なお、冷却管25は、上下2枚の金属板26,27のいずれか一方にのみ配置することもでき、またその設置間隔を次第に狭くするように設けることもでき、あるいは冷却管25を成形ダイ10の外壁に配設することもできるが、成形室22内の押出し生地79を冷却できればよいので、この実施例の構造に限定されない。
0152
4−4.〔成形ダイ10内の作用〕
押出機70に連結されたアダプタ17の押出ダイ19より押出された押出し生地79は、成形ダイ10の入口11より導入され、成形ダイ10の成形室22の幅方向へ流動する。なお、成形ダイ10内が空の状態時には成形室22の溶融部21aと徐冷部21bの境界付近を後述するブレーキ手段30に迄達する後述の故紙合成板等で閉塞しておくことにより、流入した押出し生地79が溶融部21a内で成形室22の高さ方向に早期に積層され、ブレーキ手段30により押出し生地79に押出し力に抗する抑制力が加わって、押出し生地79の密度を高めることができる。
0153
押出し生地79が成形室22の溶融部21aに押し出される際、成形室22の溶融部21aはその幅が急に拡がっているので、溶融部21a内を流れる押出し生地79は良好な混練状態を保ち、故紙解砕粉を均一に分散した状態で押出される。
0154
その後、押出し生地79は、成形室22の徐冷部21b内に導入されて徐冷され、次いで徐冷部21b内の冷却管25内を流れる冷却水により冷却されて硬化して12mmの肉厚を有する故紙合成板となり、押出し生地79によって押し出される。
0155
なお、押出し生地79が成形室22を流動する過程において、成形室22の上下左右の四方の内壁面には、フッ素樹脂で成るシート24を貼設しているので、押出し生地79は徐冷されながら円滑に押出される。
0156
フッ素樹脂は、約300℃の耐熱性を有し、表面が平滑であり摩擦係数が小さく、金属に比べて熱伝導係数が低いという性質を有しているので、押出し生地79に対して以下に示すような作用をする。
0157
フッ素樹脂は表面が平滑であり摩擦係数は小さいので、成形室22内を通過する押出し生地79内の故紙解砕粉は大きな抵抗を受けずに流動する。そのため押出し生地79の混練状態は良好な状態を維持して、故紙解砕粉が分散した状態となり、結果として密度が均一で巣ができずしかも表面が平滑な高品質の故紙合成板が生成される。
0158
成形室22内の徐冷部21bでは押出し生地79が冷却されるので押出し生地79の流動性が悪くなる上、押出し生地79内の故紙解砕粉は樹脂に比べて摩擦抵抗が大きく、従来のTダイ式の成形ダイ10においては、成形ダイ10の内壁面も摩擦抵抗が大きいので、故紙合成板の場合、成形ダイ10の内壁面を接触して流動する故紙解砕粉は大きな抵抗を受けることになり円滑に流動しないため押出し生地79の混練状態を粗密にし巣を形成するなどの悪影響を及ぼすものであったが、本実施例の成形ダイ10においては成形室22の内壁面に表面が平滑で摩擦係数の小さいフッ素樹脂のシート24を貼設したことにより、押出し生地79の故紙解砕粉は成形室22の内壁面との接触によっても大きな抵抗を受けることなく円滑に流動し、押出し生地79に前述したような悪影響を及ぼすことなく押出し生地79は均一・高密度の良好な混練状態で成形室22内から押出される。
0159
また、上述したように、故紙合成板の製造に際しては、押出し生地79内の故紙解砕粉に対する抵抗力が小さくなり押出し生地79は均一な密度で成形されるので、製品としての合成板29である故紙合成板の表面にはいわゆる肌荒れが生じることなく平滑な面に仕上がる。本発明は上述したように押出し生地79の故紙解砕粉が円滑に流動するので、故紙解砕粉が焼けることなく耐衝撃性など品質特性の低下が生じない。
0160
さらに、フッ素樹脂は金属に比べて熱伝導係数が低いので、押出し生地79を急速に冷却することなく徐冷する効果があり、押出し生地79の急速な冷却による歪みを抑える作用を有する。
0161
さらに加えて、成形室22の徐冷部21bに冷却管25などの冷却手段を設けたので、従来の押出成形法やカレンダー成形法のように成形後、合成板を冷却ロール等で冷却したり補正ロール等で歪みを取る必要がなく、押出し生地79が成形ダイ10のダイ出口23から押出されたときに内部残留応力の少ない故紙合成板の完成品が成形される。
0162
なお、いわゆるTダイ式の成形ダイによる押出成形法においては、押出機70で混練された押出し生地79が比較的小径の押出ダイ19から幅狭で細長な矩形状を成す成形部へと急激な断面変化をする導入室12内を流動し次いで幅狭な成形室22内を比較的長い距離を流動するので、従来のいわゆるTダイ式の成形ダイによる押出成形法では、故紙解砕粉を多量に混入した樹脂の成形は不可能であったが、本発明は、上述したようにフッ素樹脂の優れた性質を充分に活かしていわゆるTダイ式の成形ダイによる多量の故紙解砕粉を含有した故紙合成板の押出成形を行うことができる。
0163
4−5.〔合成板の押出しの抑制〕
前述した成形ダイ10のダイ出口23より押出された合成板29に対してブレーキ手段30により押出し方向と反対方向へ抵抗力を加えて、合成板29の押出し力を抑制する。以下に、ブレーキ手段30の実施例を図を参照して説明する。
0164
図9及び図10において、3本の自在ピンチローラ31bの軸の両端を軸承する軸受34aをそれぞれ、軸受固定フレーム36に固定し、固定ピンチローラ31aを各軸に設けた歯車116と、この歯車116に噛合する歯車117で連動し、3本の固定ピンチローラ31aのうち1本の固定ピンチローラ31aの軸にパウダブレーキ115の入力軸を連結する。パウダブレーキ115は、いわゆる電磁ブレーキであり、摩擦トルクを電気的に微妙に調整できるものである。
0165
さらに、軸受固定フレーム36にフレーム114を立設し、このフレーム114の壁面にガイド溝を備えたブロック状のガイド体119を2本をそれぞれ、該ガイド体119の軸線方向を上下方向に向けて略平行に設け、各3本の自在ピンチローラ31bの軸の両端を軸承する軸受34bを前記ガイド体119のガイド溝に沿って上下動自在に設け、前記軸受34bをそれぞれ、フレーム114の上面に設けた3本のエアシリンダ118のロッドの先端に連結する。
0166
したがって、シリンダ118の作動により、3本の自在ピンチローラ31bでそれぞれ故紙合成板29を介して固定ピンチローラ31aを加圧し、3本の固定ピンチローラ31aの内1本の固定ピンチローラ31aの軸をパウダブレーキ115により回転を抑制し、この固定ピンチローラ31aの軸に設けた歯車116が他の2本の固定ピンチローラ31a,31aの軸に設けた歯車116,116に歯車117,117を介して噛合しているので、3本の固定ピンチローラ31aにはパウダブレーキ115の摩擦トルクによる同一の回転抑制力が作用する。
0167
ちなみに、パウダブレーキ115により固定ピンチローラ31aの回転を抑制する摩擦トルクは、成形する故紙合成板29の板厚により調整する。
0168
したがって、パウダブレーキ115の摩擦トルクは故紙合成板29の押出し力に対する抑制力となり、成形ダイ10の導入室12内の押出し生地79をより一層高密度で均一な状態にし、この均一で高密度の押出し生地79は押出機70による押出し生地79の押出し力により前記ブレーキ手段30の抑制力に抗して前進し、成形室22内で冷却され故紙合成板29が成形される。この故紙合成板29はパウダブレーキ115の抑制力に抗して前記固定ピンチローラ31a及び自在ピンチローラ31bを回転させながら前進する。
0169
前記抑制力は故紙合成板29を介して成形室22及び導入室12内の押出し生地79に、押出機により加えられる成形室22内の押出し生地79の押出し力に対して抗力を与えることにより、成形室22内の押出し生地79の全体がより一層密度が均一で高密度になる。故紙合成板29に抑制力を加えていることにより押出し生地79の密度が高くなるので、故紙解砕粉同士の密着性を高めると共に、合成板中に気泡、巣等を生じることを防止する。したがって、一層均一高密度な故紙合成板が成形される。
0170
この後、前記製品としての合成板29である故紙合成板をカッター、シャーリング、鋸盤等の切断機で所望の長さに切断する。薄肉の合成板29であればカッターなどの切断機を使用し、12mmなどの厚肉の合成板29であればシャーリング、鋸盤等の切断機で切断する。
0171
4−6.〔故紙合成板の製造例〕
0172
【表3】
Figure 0003768559
0173
以上の製品としての合成板29である故紙合成板 W:640mm、H:12mmを鋸盤により1820mm毎に切断し、重量19.6kgの故紙合成板を得た。なお、肉厚10〜12mm程度の故紙合成板は、コクリートパネル、車両用内外装の板、机やテーブル、住宅の内外装用建築ないし建具部材、食器棚等の家具材料など他の用途にも使用される。
0174
なお、成形ダイ10の高さを20〜30mmとすることによって、肉厚20〜30mmの故紙合成板が成形され、この故紙合成板は床板や他の用途の板材として使用される。
0175
【表4】
Figure 0003768559
0176
以上の製品としての合成板29である故紙合成板 W:640mm、H:3mmをシャーリングにより1820mm毎に切断し、重量3.5kgの故紙合成板を得る。
0177
このような薄板は、各種建築材料、家具材料、機器パーツ等として広範囲な使用目的に向けた素材となる。例えば、上記の薄板の故紙合成板は、家屋の室内装飾用の化粧板などの建築材として使用され、あるいは約300mm四方の大きさに加工してフロアリングブロックなどの床材として使用される。さらに、他の用途として、自動車の車内の内装材として、例えば、運転席のメータパネル周りの化粧板、トランスミッション周囲の化粧板、その他の車内の壁面の化粧板として使用され、高級感を得ることができる。機器パーツとしては電気機器等のボックスパネルや他の機器の化粧板として使用される。したがって、成形される故紙合成板の肉厚は上記の実施例に限定されない。
0178
4−7.〔故紙合成板の比較例〕
前述した製造例1の故紙解砕粉とポリ塩化ビニルで成る故紙合成板(以下、「本願例」という)と、 他の板材、すなわちラワン合板と、MDFと、パーティクルボードと、ラワン天然合板と、本発明故紙合成粉と同様にして製造した本出願人の発明による木粉とPVCの樹脂(木粉51wt%,PVC49wt%)で成る木質合成粉を用いた木質合成板(以下、「木質合成板PVC〕という)と、木粉とPPの樹脂(木粉53wt%,PP47wt%)で成る木質合成粉を用いた木質合成板(以下、「木質合成板PP〕という)の各比較例の物性特性を表5に示す(各板厚は12mm)。
0179
【表5】
Figure 0003768559
0180
(1) 曲げ強さについて本願例は、縦方向及び横方向の曲げ強さのいずれにおいても、比較例のMDFやパーティクルボード、木質合成板PVC、木質合成板PPより高い値を示している。例えばパーティクルボードの縦方向の曲げ強さに対して2.6倍、パーティクルボードの横方向の曲げ強さに対して3.9倍の数値を示している。しかも、主成分の熱可塑性樹脂成形材が同材質のPVCで、他の主成分が木粉である木質合成板PVCと比較すると、縦方向の曲げ強さでは木質合成板PVCより20%ほど高い値を示し、横方向の曲げ強さでは木質合成板PVCより30%ほど高い値を示している。さらに、ラワン合板と比較すると、縦方向の曲げ強さではラワン合板より低いが、横方向の曲げ強さではラワン合板より高い値を示している。
0181
したがって、本願例はラワン合板にかなり近づいた曲げ強さを示し、他の比較例より高い曲げ強さを示すという、良好な結果を得た。
0182
(2) 曲げ弾性率について曲げ強さは上記(1) 項の通り良好な値を示しているのと同様、曲げ弾性率においても良好な結果を示している。
0183
(3) 含水率について本願例は、ラワン合板、MDF、パーティクルボード、ラワン天然木材の含水率に対して10〜26分の1という、極めて低い含水率を示しており、本発明の特徴を明確に示すものである。なお、木質合成板PVC及び木質合成板PPの含水率とはほぼ同じ程度の値を示している。含水率が低いことは、板の膨張、収縮の変化率が小さいことを意味しており、浸水や湿度などの環境変化による板の寸法変化が小さいので、板の割れや寸法の狂いが生じにくいことを意味している。
0184
(4) 吸水率について本願例は、ラワン合板、MDF、パーティクルボード、ラワン天然木材の吸水率に対して6〜18分の1という、極めて低い吸水率を示しており、上記の含水率と同様に、本発明の特徴を明確に示すものである。なお、木質合成板PVC及び木質合成板PPの吸水率とは同じ程度の値を示している。
0185
吸水率が低いことは、上記の含水率について述べたように、浸水や湿度などの環境変化による板の膨張、収縮の変化率が小さいので、板の割れや寸法の狂いが生じにくいことを意味している。つまり、本発明の故紙合成粉は各故紙解砕粉の周囲全体が熱可塑性樹脂成形材で覆われるために、一旦、低含水率の故紙解砕粉と熱可塑性樹脂成形材とを混練すると、各故紙解砕粉内の水分は熱可塑性樹脂成形材で閉じ込められる状態になる。このため、各故紙解砕粉はいわば熱可塑性樹脂成形材により保護されるので、浸水あるいは高湿度などの外的環境変化に左右されにくくなり安定した低含水率を維持する。したがって、本願例の含水率及び吸水率がいずれも低い数値であることは、本発明の故紙合成成形品が外的環境変化に左右されず安定した寸法を維持するという特徴を示している。
0186
(5) 木ねじ引抜き保持力について本願例は、表面方向及び木口方向の木ねじ引抜き保持力のいずれにおいても、ラワン合板、MDF、パーティクルボード、木質合成板PVC、木質合成板PPより高い値を示している。表面方向の木ねじ引抜き保持力では1.95〜3.05倍、木口方向の木ねじ引抜き保持力では4.09〜4.62倍の数値を示している。しかも、主成分の熱可塑性樹脂成形材が同材質のPVCで、他の主成分が木粉である木質合成板PVCと比較すると、表面方向及び木口方向の木ねじ引抜き保持力のいずれにおいても、木質合成板PVCより18%ほど高い値を示している。
0187
木ねじ引抜き保持力の場合は、後述する釘引抜き抵抗の場合のように釘の周囲への板の組織の摩擦力と異なり、板の組織の剪断力と関係があると考えられる。つまり、故紙合成板の場合は、ねじ内に食い込んだ部分の組織と他の組織との密着性が木ねじ引抜き保持力の強さに反映すると考えられる。本発明の故紙合成板は故紙解砕粉が均一で高密度であるため個々の故紙解砕粉間の密着性が強く、本願例が示すように木ねじ引抜き保持力が各比較例より高いという優れた結果を得た。
0188
(6) 釘引抜き抵抗について本願例は、ラワン合板、MDF、パーティクルボード、木質合成板PVCの釘引抜き抵抗より低い値を示している。釘引抜き抵抗は釘の周囲への板の組織の摩擦力が釘を引き抜くときの引抜き抵抗となって表れると考えられ、故紙合成板の場合は釘引抜き抵抗を弱める作用をする摩擦抵抗の小さい樹脂が含まれているので、摩擦抵抗の大きい木材板でなるラワン合板やMDFの釘引抜き抵抗より低い値を示すことは当然考えられることである。さらに、主成分の熱可塑性樹脂成形材が同材質のPVCで、他の主成分が木粉である木質合成板PVCと比較すると、木質合成板PVCの釘引抜き抵抗より低い。これは、本願例の他の主成分である故紙の摩擦抵抗と、木質合成板PVCの他の主成分である木粉の摩擦抵抗との違いが、表5の数値となって表れたものと考えられる。しかし、本願例は木質合成板PVCの釘引抜き抵抗の約80%を示すもので大幅に低い値ではなく、しかもラワン天然木材の釘引抜き抵抗に対しては1.22倍ほど高い値を示している。
0189
以上のことから本発明の故紙合成板は、曲げ強さ、曲げ弾性率、釘引抜き抵抗において、幾種類かの比較例の板のうちの一部の種類の板に近いかあるいはより高い特性を有するという優れた特性を示し、且つ含水率、吸水率、木ねじ引抜き保持力においては比較例の板より優れた特性を示すという良好なものである。
0190
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
0191
(1)小片に破砕した故紙を攪拌衝撃翼の剪断力により解砕し、且つ攪拌衝撃翼の剪断力で発生する剪断発熱により故紙小片から水蒸気や木酸ガス等の揮散ガスを発生せしめて故紙小片の含有水分量を低下して乾燥し、故紙小片が乾燥するのでより一層細かく粉砕されるという相乗効果によって、多量の故紙小片を短時間でしかも故紙小片の含有水分量を殆ど除去して解砕・乾燥することができた。ちなみに、従来の乾燥設備では一般的にセルロース系破砕物の含有水分量を3〜5wt%程度までしか除去できなかった。しかし、本発明の実施例では故紙小片の含有水分量を0.4wt%まで除去できた。したがって、極めて低含水率で且つ粉末状の故紙解砕粉は利用価値が高いものである。
0192
(2)攪拌衝撃翼で故紙小片を攪拌する雰囲気内つまりミキサー内に、乾燥空気を供給する給気管と、前記乾燥空気及び揮散ガスを共に排出する排気管とを連通したので、前記ミキサー内に乾燥空気を供給し、該乾燥空気内に故紙小片から揮散した水蒸気や木酸ガス等の揮散ガスを含ませて外部へ排出することにより、水蒸気が前記ミキサー内の内壁面に結露しないので、故紙小片を効率よく乾燥することができた。
0193
(3)攪拌衝撃翼の剪断速度は、速すぎると攪拌衝撃翼の遠心力で故紙小片が舞い上がるためミキシング効果が低下し、遅すぎると攪拌衝撃翼の剪断力による発熱量が少ないため乾燥時間が多くかかり乾燥効率が低下するのであるが、攪拌衝撃翼の剪断速度を900〜980rpm、より好ましくは900〜950rpmとしたので、解砕・乾燥効率の向上を図ることができた。
0194
(4)故紙小片の中に炭酸カルシウム、酸化チタン等の添加剤を添加したので、前記添加剤により前記故紙小片が重くなって攪拌衝撃翼の遠心力による故紙小片の舞い上がりが少なくなるため解砕・乾燥効率の向上を図ることができた。
0195
(5)故紙小片の大きさは、長辺もしくは長径が15mm程度の大きさより大きくなると解砕・乾燥効率がやや低下するので、好ましくは8mm以下にすることにより、解砕・乾燥効率の向上を図ることができた。
0196
(6)複数枚の前記攪拌衝撃翼は、回転軸を中心として等分角を成す対称位置に配置したので、故紙小片を効率よく解砕・乾燥できた。前記攪拌衝撃翼は回転軸を中心に対称の2枚羽根で一対を成し、この攪拌衝撃翼を複数枚重ね且つ各羽根を回転軸を中心として等分角を成す対称位置に配置し、最上に位置する2枚羽根の先端部分を回転軸の先端より高い位置に配置したので、故紙小片を効率よく解砕・乾燥できた。
0197
(7)前記密閉容器の底辺に沿って回転するスクレイパーを前記攪拌衝撃翼の回転軸に設けたので、ミキサーの底面の故紙小片を上方へ効果的に循環させるのでミキサー内の故紙小片を効率よく解砕・乾燥できた。
0198
(8)攪拌衝撃翼の数は少ないと攪拌衝撃翼の剪断力による剪断発熱の発熱量が少なくなり故紙小片は解砕・乾燥しないので、攪拌衝撃翼の数を4枚羽根以上、より好ましくは6枚羽根以上設けたことにより、故紙小片を効率よく解砕且つ乾燥することができた。
0199
(9)上記(1)〜(8)項に述べたように、低含水率で且つ粉末状の故紙解砕粉を製造できたので、含有水分量を1.0wt%以内、好ましくは0.5wt%以内に解砕且つ乾燥した低含水率で細かい粉末状の故紙解砕粉と、熱可塑性樹脂成形材とを混合、ゲル化混練し、冷却、粉砕して粒径10mm以下に整粒して製造した故紙合成粉は、各故紙解砕粉の周囲全体が熱可塑性樹脂成形材で覆われるために、各故紙解砕粉内の水分は熱可塑性樹脂成形材で閉じ込められる状態になる。このため、各故紙解砕粉はいわば熱可塑性樹脂成形材により保護されるので、浸水したり高湿度などの外的環境変化に左右されにくくなり安定した低含水率を維持するという、極めて利用価値の高い優れた特性を有するものであった。
0200
(10)故紙合成粉を加熱、練成して射出成形や押出成形等の各種成形法で成形した故紙合成成形品は、上記(9)項の理由から、含水率及び吸水率がいずれも低い数値を示しており、浸水したり高湿度などの外的環境変化に左右されず安定した寸法を維持するものであった。
0201
(11)故紙を原料として故紙合成粉を製造し、このようにして得られた故紙合成粉を加熱、練成して射出成形や押出成形等の各種成形法で成形して故紙合成成形品を製造するという、従来の故紙の再利用とは全く異なる再利用の方法並びに装置を提供できたので、故紙パルプから再生紙に再生することができない故紙、例えば何回も繰り返し使用されたために品質低下を来した故紙や樹脂フィルムをラミネートした故紙を再利用することが可能になった。
0202
(12)上記(11)項の理由から、品質低下を来した故紙や樹脂フィルムをラミネートした故紙を人手により他の故紙から選別する必要のない故紙の再利用を図ることが出来た。
0203
(13)故紙の再利用を図るために故紙を一旦故紙パルプ化する必要がないので、故紙パルプ化に伴う汚染防止のための環境保全処理が不要であり、低コストで且つ効率よく故紙の再利用を図ることができた。
0204
(14)本発明の故紙合成粉を押出機に充填、加熱、混練し成形ダイから押出成形した場合、故紙解砕粉が低含水率であるので故紙解砕粉から水蒸気や木酸ガス等の揮散ガスの発生がほとんどない。したがって、揮散ガスによる成形機内の壁面の酸化腐食、成形ダイの損耗をなくすことができ、さらに成形品自体の表面の荒れ、気泡、巣の発生等をなくすことができ、又、前記故紙解砕粉と熱可塑性樹脂成形材との混練材料若しくは故紙合成粉に「チクソトロピー」の性質が生じ、この「チクソトロピー」の性質により押出機内での前記混練材料の流動性が向上し、成形品の密度及び強度特性を向上することができた。
0205
(15)攪拌衝撃翼で故紙を攪拌する雰囲気内つまりミキサー内で熱可塑性樹脂成形材と前記故紙解砕粉とを混練して故紙合成粉を得た場合、混練材料は良く攪拌され且つ故紙解砕粉から水蒸気や木酸ガス等の揮散ガスが効率よく揮散する。従って、ミキサー内で熱可塑性樹脂成形材と前記故紙解砕粉とを混練することにより、上記(14)項と同様の理由で、押出機内の壁面の酸化腐食、成形ダイの損耗をなくすことができ、さらに成形品自体の表面の荒れ、気泡、巣の発生等をなくすことができ、成形品の密度及び強度特性を向上することができた
0206
16)本発明の故紙合成粉の製造方法は、含有水分量を1.0wt%以内、好ましくは0.5wt%以内に解砕且つ乾燥した故紙解砕粉35〜65wt%、好ましくは40〜60wt%に対して熱可塑性樹脂成形材35〜65wt%、好ましくは40〜60wt%をともに攪拌衝撃翼により混合して、剪断発熱によりゲル化混練し、このゲル化混練のとき故紙解砕粉が35〜65wt%であるので、被混練材料たる上記混合物が大きな塊となることなく熱可塑性樹脂成形材が個々の故紙解砕粉の表面全体に付着して比較的小さな状態でゲル化し、冷却し、粉砕して粒径10mm以下に整粒する工程を少なくとも含むことを特徴とするので、上記(9)項に示すような良好な故紙合成粉を形成できた。
0207
17)本発明の故紙合成粉の製造装置は、含有水分量を1.0wt%以内、好ましくは0.5wt%以内に解砕且つ乾燥した故紙解砕粉35〜65wt%、好ましくは40〜60wt%に対して熱可塑性樹脂成形材35〜65wt%、好ましくは40〜60wt%をともに攪拌衝撃翼により混合して、攪拌衝撃翼を備える流動混合混練手段において攪拌衝撃翼による剪断発熱により熱可塑性樹脂成形材が個々の故紙解砕粉の表面全体に付着して比較的小さな状態でゲル化混練でき、内部に撹拌衝撃翼を有し、ジャケットに冷却水の入口および出口を備える冷却造粒手段において前記ゲル化した混練材料を効率良く冷却し造粒し、整粒手段において前記冷却造粒した造粒木粉を粒径10mm以下に整粒して上記(9)項に示すような良好な故紙合成粉を製造できた。
0208
18)上記(9)項に示すような良好な故紙合成粉を加熱、練成し、スクリューをもって成形ダイへ押出した押出し生地を徐冷し、且つ、この押出し生地に押出し力に抗する抑制力を加えて押出し生地の密度を高くして成る押出成形方法で成形された故紙合成板は、加熱、練成された押出し生地が個々の故紙解砕粉間に熱可塑性樹脂成形材を満遍なく浸透している良好な混練状態で、しかも故紙解砕粉の摩擦抵抗を減じた状態で成形ダイへ押し出され且つこの押出し生地に押出し力に抗する抑制力を加えたので、均一で高密度の故紙合成板である。
0209
19前記故紙合成粉を加熱、練成し、スクリューをもって成形ダイへ押出し、この押出し生地を、内壁面にフッ素樹脂のシートを貼設又はフッ素樹脂をコーティングした成形ダイの成形部へ押出して所定の肉厚に成形し且つ前記成形部で徐冷したので、フッ素樹脂は熱伝導係数が低いため徐冷効果があり、その結果、押出し生地が冷却するときに生じる歪みを少なくすることができた。したがって、内部残留応力が少ない高品質の故紙合成板を成形することができた。
0210
20)フッ素樹脂は摩擦係数が小さいので、押出し生地の故紙解砕粉に対する抵抗力を小さくでき、故紙解砕粉と熱可塑性樹脂成形材との混練状態が良好な状態で流れる。したがって良好な混練状態で成形ダイより押出して直接、幅広で均一な高密度の品質の良い故紙合成板を成形することができた。この理由から、厚肉の故紙合成板を成形ダイより直接、押出し成形することができた。
0211
21)フッ素樹脂は摩擦係数が小さいため、故紙解砕粉と熱可塑性樹脂成形材との混練状態が良好な状態で流動するので、製品としての故紙合成板の表面に肌荒れが生ずることなく、平滑な表面を有する故紙合成板を成形できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の故紙合成粉の原料となる故紙解砕粉の製造装置及び故紙合成粉の製造ラインを示すもので、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図2】本発明の実施例に使用するミキサー(解砕・乾燥手段および流動混合混練手段)の要部断面を示す全体正面図である。
【図3】本発明の実施例に使用するクーリングミキサー(冷却造粒手段)の要部断面を示す全体正面図である。
【図4】本発明の実施例に使用するカッタミル(整粒手段)の要部断面を示す全体正面図である。
【図5】本発明の故紙合成板の製造ラインを示すもので、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図6】本発明の実施例の押出機の一部縦断面を示す正面図である。
【図7】本発明の実施例の成形ダイの横断面図である。
【図8】本発明の実施例の成形ダイを示す断面図であり、(A)は厚板成形用、(B)は薄板成形用に金属板(26)を交換した状態を示すものである。
【図9】本発明の実施例のブレーキ手段の要部断面を示す平面図である。
【図10】図9の矢視N−N線の縦断面図である。
【符号の説明】
10 成形ダイ
11 入口(成形ダイの)
14 ヒータ
16 スクリーン部
17 アダプタ
18 流入口
19 押出ダイ
21a 溶融部
21b 徐冷部
22 成形室
23 ダイ出口
24 シート(フッ素樹脂の)
25 冷却管
26 金属板(上側)
27 金属板(下側)
29 合成板
30 ブレーキ手段
31 ピンチローラ
31a 固定ピンチローラ
31b 自在ピンチローラ
34a,34b 軸受
36 軸受固定フレーム
41 貯槽タンク
42 モータ
51 粗砕機
52 サイクロン
53 ブロアー
54 サイクロン
55 ホッパドライア
61 アジターフィーダ
70 押出機
71 スクリュー
72 ギヤ減速機
73 ホッパ
74 モータ
75 バンドヒータ
76 スクリーン
77 ベースプレート
79 押出し生地
80 ミキサー(解砕・乾燥手段および流動混合混練手段)
81 ミキサー本体
82 上蓋
83 軸
84 スクレイパー
85,86,87 攪拌衝撃翼
88 排出口
89 蓋
91 シリンダ
92 締付ナット
93 排出ダクト
94 投入口
95 排気管
96 給気管
100 クーリングミキサー(冷却造粒手段)
101 ミキサー本体
102 ジャケット
103 アーム
104 撹拌衝撃翼
105 モータ
106 バルブ
107 排出口
108 給水管
109 排水管
111 モータ
112 減速装置
113 投入口
114 フレーム
115 パウダブレーキ
116 歯車
117 歯車
118 シリンダ
119 ガイド体
120 カッタミル(整粒手段)
121 カッタミル本体
122 蓋
123 投入口
124 カッタ支持体
125 回転刃
126 固定刃
127 投入室
128 整粒室
129 スクリーン
131 排出口

Claims (11)

  1. 故紙を複数の小片に破砕して得た故紙小片に対して熱可塑性樹脂を添加せずに撹拌衝撃力を付加して解砕すると共に、前記撹拌衝撃力に基づく剪断発熱を生じさせて、この剪断発熱により前記故紙小片の含有水分量を1.0wt%以内に乾燥した故紙解砕粉35〜65wt%に対して熱可塑性樹脂成形材35〜65wt%を混合、ゲル化混練し、冷却、粉砕して粒径10mm以下に整粒して成ることを特徴とする故紙合成粉。
  2. 前記故紙解砕粉が、前記故紙小片を含有水分量0.5wt%以内に乾燥したものであることを特徴とする請求項1記載の故紙合成粉。
  3. 故紙を複数の小片に破砕して故紙小片を形成する破砕工程と、熱可塑性樹脂を添加せずに前記故紙小片に対して撹拌衝撃力を付加して解砕すると共に、前記撹拌衝撃力に基づく剪断発熱を生じさせて、この剪断発熱により前記故紙小片の含有水分量を1.0wt%以内に乾燥する解砕・乾燥工程により得た故紙解砕粉35〜65wt%に対して熱可塑性樹脂成形材35〜65wt%をともに前記撹拌衝撃力を付加してこの撹拌衝撃力に基づく剪断発熱を生じさせて、前記剪断発熱によりゲル化混練し、ついで、冷却造粒して、造粒故紙合成粉を形成する冷却・造粒工程と、この造粒故紙合成粉を粉砕して粒径10mm以下に整粒した故紙合成粉を形成する工程を少なくとも含むことを特徴とする故紙合成粉の製造方法。
  4. 故紙小片を攪拌衝撃翼により攪拌して解砕し、且つ前記攪拌衝撃翼の剪断速度が900〜980rpmであるときの攪拌衝撃翼の剪断力により剪断発熱を生じさせ、この剪断発熱により前記故紙の含有水分量を1.0wt%以内に乾燥して故紙解砕粉を形成し、次いでこの故紙解砕粉に、熱可塑性樹脂成形材を攪拌衝撃翼により混合して、剪断発熱によりゲル化混練し、次いで冷却し、粉砕して粒径10mm以下に整粒する工程を含む請求項3記載の故紙合成粉の製造方法。
  5. 故紙を複数の小片に破砕して故紙小片を形成する破砕手段と、密閉容器内に水平方向に回転する複数枚の攪拌衝撃翼を備え、前記密閉容器内に除湿された乾燥空気を供給する給気管と、前記乾燥空気及び故紙から揮散した水蒸気等の揮散ガスを共に排出する排気管とを連通した解砕・乾燥手段と、この解砕・乾燥手段により含有水分量を1.0wt%以内に乾燥した故紙解砕粉35〜65wt%に対して熱可塑性樹脂成形材35〜65wt%をともに混合して、前記撹拌衝撃翼の回転によりゲル化混練する流動混合混練手段と、ジャケットに冷却水の入口および出口を備え、上記ゲル化した混練材料を冷却造粒し、造粒故紙合成粉を形成する冷却造粒手段と、上記造粒故紙合成粉を粉砕して粒径10mm以下に整粒する整粒手段とから成ることを特徴とする故紙合成粉の製造装置。
  6. 請求項3又は4記載の方法により製造された故紙合成粉を加熱、練成した生地を射出成形、押出成形等の成形方法により成形したことを特徴とする故紙合成成形品の製造方法。
  7. 請求項5記載の故紙合成粉の製造装置と、該故紙合成粉の製造装置によって製造された故紙合成粉を加熱、練成した生地を成形する押出成形等の成形手段とから成る故紙合成成形品の製造装置。
  8. 請求項3又は4に記載の方法により製造された故紙合成粉を加熱、練成し、スクリューをもって成形ダイへ押出した押出し生地を徐冷する工程を少なくとも含むことを特徴とする故紙合成板の押出成形方法。
  9. 請求項3又は4に記載の方法により製造された故紙合成粉を加熱、練成し、スクリューをもって成形ダイへ押出し、この押出し生地を、内壁面にフッ素樹脂のシートを貼設又はフッ素樹脂をコーティングした成形ダイの成形部へ押出して所定の肉厚に成形し且つ前記成形部で徐冷して押出成形すると共に、この成形板の押出し力に抗する抑制力を加えて前記成形部内の押出し生地の密度を高くする工程を少なくとも含むことを特徴とする故紙合成板の押出成形方法。
  10. 請求項5記載の故紙合成粉の製造装置と、該故紙合成粉の製造装置によって製造された故紙合成粉を加熱、練成し、スクリューをもって押出す押出機の押出ダイに、前記押出ダイより吐出された押出し生地を加熱する溶融部及び所定の肉厚に成形して徐冷する徐冷部を有する成形室を備えた成形ダイを連結したことを特徴とする故紙合成板の押出成形装置。
  11. 前記成形ダイの成形部の内壁面にフッ素樹脂のシートを貼設又はフッ素樹脂をコーティングし且つ成形室を加熱するヒータと、成形室を冷却する冷却手段を成形ダイに設け、前記成形ダイより押し出された押出し生地の押出し力に抗する抑制力を加えるブレーキ手段を設けたことを特徴とする請求項10記載の故紙合成板の押出成形装置。
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