JP6329774B2 - 難燃性を有する木質調合成樹脂組成物及びその製造方法。 - Google Patents
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Description
このように当該石膏ボードは、現在では、建築用の基礎資材として、日本のみならず全世界に於いて大量に生産され、使用されている。
然しながら、その一方で、建築物の解体工事や建替え工事が頻繁に日本並びに、全世界でも実行されており、その結果、大量の石膏ボードが排出され、これが産業廃棄物として大量に発生しているのも現実である。
即ち、この様に、大量に新築現場から排出される新築系廃石膏と、解体現場から排出される解体系廃石膏の処理問題が環境保護の観点から近年極めて大きな問題となって来ている。
然しながら、係る産業廃棄物の処理方法では、先行きが見通せず、何れは行き詰まりとなる心配がある。
然も、当該産業廃棄物としての使用済み石膏ボードを、リサイクルせずにそのまま法律の認める方法に従って、廃棄処理する際の処理費用は、少なくとも1トンで1乃至1.5万円も掛るので、その建築業界での廃棄コスト負担は膨大なものとならざるを得ない。
その為、当該天然の木材の代替品として、合成樹脂を利用した人工木材の開発が盛んに行われ、特には、天然の木材の特性、特に、強度や比重或いは表面の風合いや感触等を備えた工木材の開発が主たる目標であって、その為に、合成樹脂に適宜の粒状物を混在させることにより、その目的を達成しようとする努力が行われてきた。
これに加えて、人工木材(WPC)を製造する方法は、複雑で、処理工程が多い為、生産効率が低く、従って製造コストがかなり高くなると言う問題も含んでいる。
又、従来に於いては、以下の理由から、当該石膏成分を合成樹脂に混合する事自体、殆どメリットが無いものとされ、プラスチックの成形に於いては通常、使用されることの無い技術でしかなかった。
その為、当該適宜樹脂に当該石膏成分を混合する場合には、例えば、当該石膏成分から予め当該結晶水、つまり水分を除去し、半水石膏又は無水石膏にして使用すれば、上記の問題は解決するものであるが、当該石膏成分から、それが内蔵する結晶水をすべて放出させるには、当該石膏成分を加熱する方法しかなく、わざわざ、当該二水石膏を加熱する為には、かなりのエネルギーが必要で、コストも掛ってしまう為、現実的ではない。
一方、従来の人工木材では、難燃性に乏しい事から、特に建築用材料としての用途に制限を受け、汎用的な建築材料として使用される事が認められない事から、その難燃化が課題となっており、当該難燃性を向上させる為に、例えば、炭酸カルシウム又は、タルク(クレー・マイカ・メラシンミリカ等の無機質充填剤も有る)等の難燃剤を当該合成樹脂中に混入させる事が知られており、当該難燃剤を難燃性向上に使う意味は、燃えない物をブレンドするという考え方である。
その他、従来の当該人工木材に於いては、天然の木材が持っている、ソフトで、温もり感や質感が要求欠如しているので、当該特性を発揮させる為には、当該石膏を混在させるのみでは、不十分である事は明らかである。
唯一、従来技術として、公開されている文献と合成樹脂に石膏成分を混合して人工木材を製造する技術が公開されている文献として、特開2010ー209237号公報(特許文献1)及び特開2010ー229423号公報(特許文献2)が見られるに過ぎない。
即ち、本発明に係る第1の態様に於ける技術構成は、基本的には、合成樹脂成分100重量部と石膏成分30乃至200重量部とを含む樹脂組成物であって、当該組成物は、当該合成樹脂成分中に当該石膏成分が均一に分散して混合せしめられており、且つ、当該組成物には、更に繊維成分が混在せしめられており、更に、当該石膏成分には、その中に、2乃至15重量%、好ましくは、3乃至8%、より好ましくは4乃至6%の結晶水の水が閉じ込められている事を特徴とする難燃性を有する木質調合成樹脂組成物であり、又、本発明に係る第2の態様に於ける技術構成は、基本的には、合成樹脂成分と石膏成分とを混合して合成樹脂組成物を製造するに際し、当該合成樹脂成分と当該石膏ボードとを撹拌装置を有する混練り装置内に投入し、当該撹拌装置の撹拌操作により、少なくとも一方の成分から発生する内部摩擦熱により、当該合成樹脂成分を溶融させると共に、破砕された当該石膏成分と当該溶融された合成樹脂成分とを混合させた後に当該混合合成樹脂成分を成形加工処理する工程に於いて、当該石膏成分に2乃至15重量%、好ましくは3乃至8%、より好ましくは、4乃至6%の結晶水が閉じ込められる様に加熱処理制御を行う事を特徴とする難燃性を有する木質調合成樹脂組成物の製造方法である。
更に、本発明に於いて特に強調すべき特徴は、本発明を実施することにより、従来、その処理が大きな社会的、産業界的問題となっていた、産業廃棄物としての使用済みの石膏ボードの発生を抑制し、且つ当該使用済みの石膏ボードのリサイクルを工業的に実現させると同時に、当合成木材と称される、合成樹脂を主体として製造される、汎用的な天然木材代替製品の商品価値を高め、天然木材の消費量を激減させることにより地球環境の保護に大きく貢献することの出来る難燃性を有する木質調合成樹脂組成物である合成木材並びに当該合成木材の製造方法を提供すると言う価値の高いエコ技術を提供すると言う効果も有するものである。
更に、本発明に於いて使用される当該合成樹脂成分も、使用済みの合成樹脂成分を活用出来る事は言うまでもなく、従って、本発明は、従来大きな社会問題ともなっている当該使用済みの合成樹脂及び当該使用済みの石膏ボード等の産業廃棄物の処理に関し、画期的なリサイクルシステムを提供する事が可能となったのである。
更に、本発明に於ける最も顕著な作用効果としては、上記した様に、最終製品である当該合成樹脂組成物に混合されている石膏成分が持つ結晶水の残存量を4乃至6%、好ましくは5%前後に規制する事によって、従来に於ける水酸化アルミニウム等の難燃材を使用しなくとも、当該難燃材を使用した場合と同等の難燃特性を得る事が出来ると言う点にある。
即ち、図1は、本発明に於ける当該難燃性を有する木質調合成樹脂組成物1の基本的な構造の具体例を示す図であって、図中、合成樹脂成分2が、例えば、100重量部と石膏成分3が、例えば、30乃至200重量部とを含む樹脂組成物1であって、当該組成物1は、当該合成樹脂成分2中に当該石膏成分3が均一に分散して混合せしめられており、且つ、当該組成物1には、更に繊維成分4が混在せしめられており、更に、当該石膏成分3には、その中に、2乃至15重量%、好ましくは、3乃至8%、より好ましくは4乃至6%の結晶水の水5が閉じ込められている事を特徴とする難燃性を有する木質調合成樹脂組成物1が示されている。
即ち、本発明の基本的技術思想の根本は、合成樹脂成分と石膏成分とを混合して難燃性を有する木質調の再生合成木材を製造することにあるが、上記した通り、従来の技術ではコストの問題や、工程の複雑さ、強度の不足、線膨張係数の増大化等の多くの問題が存在する事から殆ど実現化された事が無く、従って、合成樹脂にフィラーとして石膏成分を混入させて再生合成樹脂を製造すると言う発想は、実現の具体性が無いものとして扱われているのが現状である。
即ち、当該石膏成分3そのものが難燃性成分として作用するものである事は言うまでもない。
ちなみに、本発明に於ける当該難燃性を有する木質調合成樹脂組成物1は、米国に於ける難燃性に関する規格であるUL94規格に於いて、レベルのV−0或いはレベルのV−1をクリヤする実力を示している。
尚、当該UL94規格は、規定された寸法の試験片にガスバーナーの炎をあてて燃焼の程度を調べる試験であり、評価は、高い方から、5VA,5VB,V−0,V−1,V−2、BHの様な各段階に設定されている。
上記表2から明らかな通り、本発明に係る当該難燃性を有する木質調合成樹脂組成物1の物理特性は、線膨張係数を含めた何れの特性値に関しても、他の素材に対して、高度の優位性を示すものである事は明らかである。
即ち、上記した通り、本発明に於ける技術思想の基本は、単に当該石膏ボード6と当該合成樹脂成分2とを混合して難燃性を有する合成樹脂組成物1を得るに留まるものではなく、(A)
使用済み石膏ボード6と容器リサイクル樹脂又は、再生ペレット2を一定割合で混合するが、この混合する石膏ボード6の石膏成分3は二水石膏の状態の石膏ボードの石膏成分(CaSO4・2H2O)で、原理的には、元々21%の結晶水5を含んでおり、この二水石膏が内蔵している当該結晶水5を樹脂の溶熱によって水分蒸発させる事が前提となっている。
(C)係る知見に基づいて、最終製品に於ける当該木質調合成樹脂組成物1内に内蔵される当該結晶水の量をある所定の量に特定する事によって、好ましい難燃性を有する木質調合成樹脂組成物1が得られる事が知得された。
(D)より具体的には、当該石膏成分3である二水石膏(CaSO4・2H2O)から結晶水5を適度に抜く為に、第一の工程に於いては、当該結晶水5を数値的には21%から8%前後に成る様に脱気処理して当該石膏成分3内の残存する当該結晶水5の量を8%前後になる様に加熱処理すると共に、
(F)しかし従来の成形機の機能では、期待する脱気及びコンロルールが出来なかった為、後述する様な、新しい脱気方法、脱気装置を開発した。
又、当該石膏成分3が、当該合成樹脂成分2中に分散されている状態に付いても鋭意実験を行い且つ分析を行った結果、分散状態が均一で有る程、当該合成樹脂組成物1の物理的強度と難燃性が向上する事が判明したものである。
本発明に於ける当該オレフィン系合成樹脂以外の合成樹脂としは、例えば、ポリスチレン系合成樹脂が使用可能である。
更に、本発明により得られた当該合成樹脂組成物1の難燃性が、難燃性UL94規格に於ける、少なくともUL94V1及びUL94V0の難燃性特性を有している.
係る方法を採用する事によって、当該石膏ボード6は、強力に破砕・分解され、微細な粒径を有する石膏成分3となり、当該合成樹脂成分2中に均一に分散される事になる。
係る新規な方法を採用する事により、当該ミキサー内8で、当該石膏成分3がスクリューの回転を受けて粒子が細かくなりながら摩擦熱により温度上昇を始める。
係る段階に於いて、当該合成樹脂成分2を当該ミキサー内8に投入すると当該樹脂成分2が容融に取り込む事が出来、結果樹脂内に均一に分散させる事が可能となる。
即ち、本発明に於いて、石膏ボード6の主成分である当該石膏成分3の硫酸カルシウムを適宜の合成樹脂成分2と混合する際に、先ず従来の技術思想に従えば、一般的には、当該合成樹脂成分2に主にタンタル又は炭酸カルシウムからなるフィラ成分3を混合する場合には、先ず、当該合成樹脂成分2を溶融状態にしておき、その後、当該石膏成分3を当該溶融状態にある当該合成樹脂成分2内に投入して混合操作を行うものであるが、本発明に於いては、係る従来の常識を打ち破り、撹拌装置7を有する混練り装置8内に、当該合成樹脂成分2と当該石膏ボード6とを同時に投入し、当該合成樹脂成分2と当該石膏ボード6を同時に撹拌しながら摩擦熱を発生させて、当該合成樹脂成分2を溶融させながら、その両者を混合するか、先に、当該石膏ボード6を当該混練り装置8内に投入し、当該石膏ボード6を摩擦熱により高温度に加熱せしめた後、当該高温下の石膏成分3に当該合成樹脂成分2を投入して溶融混合するものである。
係る図面から判断すれば、本発明による当該第1の実施例により得られた当該難燃性を有する木質調合成樹脂組成物1は、図3に示す通り、当該難燃性成分15の粒径は、比較的大きく且つ、当該難燃性成分15が相互に凝集して大きな塊状部を形成しておりそれによって、該難燃性成分15の分散状態は、粗く、均一性が十分でない事が理解される。
係る難燃性を有する木質調合成樹脂組成物1は、米国に於ける当該難燃性評価規定に於けるUL94HBレベルを漸くクリヤ出来る特性を示すものであった。
即ち、図6乃至図8に示す様に、それぞれの当該難燃性を有する木質調合成樹脂組成物1に於ける当該石膏成分の平均粒径は、何れも80ミクロン(μm)以下の値を示すと共に、その分布形状は、当該平均粒子径部を中心に、尖鋭化された分布グラフが形成されている事から、当該平均粒子径を持つ微細な石膏成分3がかなりの割合で存在し、均整な分散状態を形成している事が判明する。
尚、図6乃至図8は、上記した図3乃至図5にそれぞれ対応するものである。
係る本発明の当該難燃性を有する木質調合成樹脂組成物1に於ける当該石膏成分3の分散の均一性についても、従来の方法によっては、達成不可能な状態である事は明らかである。
処で、従来技術にあっては、プラスチックの成形においては、合成樹脂成分2中に、硫酸カルシウム等の異物質を混入させる事は通常行われない。
仮に二水石膏又は、半日石膏を無水石膏にして使用すれば問題は無いが、当該結晶水をすべて放出させるには、かなりのエネルギーが必要で、その為のコストもかかってしまう。
従って、従来の技術常識から見ると、石膏成分をプラスチックに混合して物性向上又は難燃性向上を期待する事は殆ど無く、その為の技術の開発は殆どなされていないのが現状である。
係る本発明の基本的な技術思想の一つとしては、前記した通り、石膏成分3内に元々含有されている結晶水5を如何に効率よく制御と言う点にある。
その結果、当該石膏成分3はもともと難燃性を有しているが、当該石膏成分3に含まれる当該結晶水5が、加熱を受けて水分蒸発を行うことにより、当該合成樹脂成分2自体の温度の上昇を防止する事がかのうとなるので、所謂自己消火機能を発揮出来る事から、当該合成樹脂成分2の難燃特性が大幅に向上することになる。
係る本発明の技術思想に係る当該石膏成分3内部に所定の量の結晶水5を閉じ込める為のコントロール技術に付いて以下に詳細に説明する。
一方、燃焼抑制剤として炭カルやタルクを50%前後当該合成樹脂成分2に入れると高分子自体の単位体積当りの発熱量は半分になる。しかし炭カルの様な無機質を入れても発熱量は減少し、燃焼抑制効果は上がるが、気相に炭カル分が出ない限り、気相における酸化反応を抑制する効果は持ち得ない。
係る観点から、本発明者等は、鋭意実験を繰り返し、それらから得られた結果を分析検討した結果、上記した様に、石膏ボード6の石膏成分3は、主に、二水石膏の状態(CaSO4・2H2O)で存在しており、原理的には、元々21%の結晶水5を含んでいるが、この二水石膏が内蔵している当該結晶水5を樹脂の溶熱によって水分蒸発させる事が可能であり、且つ当該石膏成分3に内蔵されている当該結晶水5は、加熱温度と時間によって、段階的に放出されると言うメカニズムが存在する事を知得したものであり、本発明では、この知見を効率的に利用するものである。
従来から、石膏の結晶水の放出温度はさまざまな文献で記載されているが、統一性が無いものであったが、本発明等の検討結果により、係る現象は水が100℃で沸騰する、という単純なものでは無く、加熱温度と加熱時間に左右される事を知得したものである。
即ち、本発明に於いては、最終製品である当該合成樹脂成分2内に、最終的に4乃至6%、望ましくは5%の結晶水5を意識的に残留させる為には、当該合成樹脂成分2に対する加熱処理温度と加熱処理時間をうまく調整する事によって、実施的に且つ意識的に制御する事が可能な技術思想を確立したものである。
当初、石膏ボード6に含まれる当該石膏成分3が内蔵する結晶水5の量は21%で有り、この状態を二水石膏と呼ぶ。
当該二水石膏は2/3の結晶水を蒸発させて半石膏になる。
そして、係る処理操作は、具体的には、当該石膏成分3に内蔵されている当該結晶水5を21%から結晶水を8%前後になる様に蒸発させる工程である。
当該次の工程は、前記工程と同じ混合処理工程で有っても良く、或いは、当該合成樹脂成分2の成形工程で行うものであっても良い。
そして、当該合成樹脂成分2の成形加工時の成形温度は220℃となるので、表3より判断すると、10分以内で成形加工処理を終了させれば、当該合成樹脂成分2内の当該石膏成分3内には5%前後の結晶水5が内蔵されたままの状態で成形品が完成することになり、その結果、この結晶水5が自己消火性を発揮して、難燃性を向上させ、その効果を保有する事となる。
更に、本発明に係る当該難燃性を有する木質調合成樹脂組成物の製造方法の更に別の具体例としては、上記した製造方法に於いて、当該第1の工程に於いては、当該石膏成分の当該結晶水量を、当該石膏成分が初期段階で含有している21重量%の当該結晶水を8重量%にまで減少させる操作が実行されるものであり、当該第2の工程に於いては、当該石膏成分内に少なくとも5重量%の当該結晶水が閉じ込められる様にし、残りの当該結晶水は気化させる操作が実行される様に構成されたものであっても良い。
即ち、上記した本発明に係る当該難燃性を有する木質調合成樹脂組成物の製造方法に於ける当該第2の工程、或いは当該第3のステップとして説明されている当該難燃性を有する木質調合成樹脂組成物1の成型加工工程では、上記した第2の水分コントロールが行われるものであるが、具体的には、当該成型加工機に取り付けられた金型部から脱気を行う脱気処理を実行するものである。
本発明に於ける最終的にプラスチック成分内に介在させたい結晶水5は5%なので、当該結晶水5の含水率を当該8%から当該5%に落とす工程を第二の脱気工程として、これを成形金型部で行うということである。
係る金型構造は、従来から当該金型部の全てに、樹脂圧がかかる加圧下に有る為、当該金型の継ぎ目は勿論ぴったり接合されているのが通常の構造である。
従って、当該金型をジョイントする場合、ボルト締めを十分行い接合部にすき間が無い様に接合するものである。
係るリスクが今回の金型構造の特徴として利用されることになる。
この一気に高まった圧力下で結晶水5はさかんに発散を始める。
しかし、通常の金型では樹脂の出口まで開口部は無く開口部にて結晶水は水蒸気にて一気に吹き出る様になる。しかしこの場合、金型内は圧力下に有り、発散した水蒸気は圧力により樹脂の表面に付着し、開口部付近で、樹脂圧が減圧され水蒸気は樹脂内に入り込み、その結果、成形物は水分により発泡してしまうことになる。
この事から、開口部(樹脂の出口)以外で水蒸気を抜かなくてはならない事になる。
即ち、本発明に於いては、当該金型内部の2ヶ所で、所定の脱気処理を行い、結晶水量をコントロールする事としたものである。
具体的には、図9に示す様に、一ヶ所目は成形機20に於けるホッパー部21から当該成型される樹脂組成物1が、スクリューを有する押し出し機22を介して、金型部23に入る所に配置されているブレーカープレート24に第1の脱気手段26を設けたものである。
即ち、本発明に於ける別の具体例としては、上記した基本的技術構成を有する難燃性を有する木質調合成樹脂組成物1及びその製造方法並びに当該難燃性を有する木質調合成樹脂組成物1の成形装置に於いて、当該石膏成分3と当該合成樹脂成分2の他にハロゲン含有化合物を含む難燃性成分15が含まれている事を特徴とする難燃性を有する木質調合成樹脂組成物及びその製造方法であり、又本発明の更に別の具体例としては、上記した基本的技術構成を有する難燃性を有する木質調合成樹脂組成物1及びその製造方法並びに当該難燃性を有する木質調合成樹脂組成物1の成形装置に於いて、当該石膏成分3に、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム等の表面処理剤51が付着されている難燃性を有する木質調合成樹脂組成物若しくは、当該石膏成分3に当該難燃剤を容易に付着させるために、当該石膏成分3の表面にステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム等の表面処理剤51を付着させる工程を含む難燃性を有する木質調合成樹脂組成物の製造方法である。
その解決策として、本発明に於いては、当該硫酸カルシウムを運び屋にする技術を知得したものである。
この際、同時にステアリン酸亜鉛、又はステアリン酸バリウム等の表面処理剤51を1%〜5%混合すると当該石膏成分3の表面に、当該表面処理剤51が付着して、これが、その後に混合される当該難燃剤15のプライマーとなり、当該難燃剤15は、当該石膏成分3によって当該合成樹脂成分2中に均一に分散する事が出来る。ここで、当該難燃剤としては、ハロゲン含有化合物で有る事が望ましい。
(1)水酸化アルミニウムの代表される単純なメカニズムによる難燃効果を発揮するもの(吸熱や分解で生成する水などが燃焼を阻害するもので、本発明では石膏成分の結晶水が熱分解により放出するのと仕組みは同様。)
(2)炭酸カルシウムのように単に燃えない無機質の混入により燃焼を阻害するもの(石膏自体が不燃物質なのでこのタイプと同様)
(3)ハロゲン
(4)酸化アンチモン・リン酸アンモニウム
つまり、上記の4種類が樹脂用の難燃剤の主流となるが、本発明に於ける難燃性樹脂は、石膏成分を入れる事で(1)と(2)の難燃性は備わる事となる。
そして当該ハロゲン含有化合物を当該石膏成分3の表面に付着させて分散させる事により難燃特性としてのスペックが上る。
しかしながら、当該ハロゲン含有化合物は原材料が高価でありこのようなハロゲン含有化合物を配合して形成される難燃性樹脂組成物は高価なものとなってしまう。又、金属水酸化物は多量の添加しなければ十分な難燃性を得る事ができないことから金属水酸化物を配合して形成される難燃性樹脂組成物もまた高価になってしまう。さらに、金属水酸化物を配合した難燃性樹脂組成物を成型する場合には低温で加工しなければならず、金属水酸化物を使用して成形される樹脂は成形温度の低い樹脂に限られてしまう。
更に、この難燃性樹脂15に使用するハロゲン含有化合物は熱に強く、成形時の温度帯の制限を受けない。また当該石膏成分3の結晶水5も成形時の220℃まで耐えられる設計となり、金属水酸化物の様な温度制限を受けない。
つまり、本発明に於いては、このような単純配合により樹脂の強度を上げ、難燃性も向上し、なお安価である。
本発明に於いて、この難燃性材料15の成分を当該石膏成分3に付着させる為に当該石膏成分3の表面のぬれ性能を向上させる為に使用する表面処理剤51としては、ステアリン酸亜鉛又は、ステアリン酸ナトリウム等を使用する事も可能であり、その場合の構成の具体例は、例えば、以下のようになる。
以上のような本発明の難燃性樹脂組成物は、成形加工性に優れる為、押出成形、射出成形などの一般的なプラスチック成形加工法によって、ムク状、中空状、ミート状などに容易に加工される。そして得られた組成物は、難燃性に優れ、安価で機械強度に優れた特徴を有するもので、かかる特性が要求される、建材等に主に適用される。
よって現在社会問題となっている石膏ボード6のリサイクル処理も実現出来、環境的にも性能的にも有効な素材である。
即ち、当該合成樹脂成分2と当該石膏成分3とを溶融混合するに当たり、例えば、適宜の混合器(ミキサー)に、先ず当該石膏ボード6を投入し、同時に難燃剤15(例えば、ハロゲン系若しくはりん系等)を投入すると、当該石膏ボード6が当該難燃剤15の運び屋となり、均一に当該合成樹脂成分2内に分散される。
その為、当該難燃剤15の分散テクニックとして、ステアリン酸亜鉛やシリカを分散剤として使用する事もあるが、難燃剤をミクロ以下の粒子として分散効果を上げる事が一番効果が上がると同時に当該難燃剤15そのものの添加量を減らす事が可能となる為、コスト的にも有利な方法である。
当該難燃剤15の添加量は、各難燃剤メーカーが明確な添加量を規定してはいない。
この理由は、当該樹脂に当該難燃剤15を分散した時、分散状態で難燃性が大きく影響する為と考えられる。
その為、本発明者等は、更に鋭意実験と検討を繰り返した結果、当該合成樹脂成分2として、ポリオレフィン系合成樹脂を使用して、当該合成樹脂成分2が50%、当該石膏ボード6を50%を、重量部100として、この100部に対して12%のハロゲン系難燃剤15を混合した場合、その混合時のタイミングを上記したと同様に、3種類の実施例(第1乃至第3の実施例)に分けて実施し、得られた樹脂組成物1の難燃性に付いてUL94規格に基づく難燃性の試験を行った。
(1)第1の実施例:当該混練り装置8内に、当該合成樹脂成分2を先に投入して当該樹脂を内部摩擦熱によって溶融させた後に、当該混練り装置8内に、当該石膏ボード6と当該難燃剤15とを投入して溶融混合を行う方法;
(2)第2の実施例:当該混練り装置8内に、当該石膏ボード6を先に投入して当該撹拌処理操作を行わせ、当該石膏ボード6から発生される摩擦熱により当該石膏ボード及び当該石膏成分3の温度が、例えば、当該合成樹脂成分2の溶融温度以上に高まった後、当該混練り装置8内に当該合成樹脂成分2と当該難燃剤15とを投入して溶融混合を行う方法;
(3)第3の実施例:当該混練り装置8内に、当該石膏ボード6と当該難燃剤15とを同時に投入し、当該石膏ボード6及び当該石膏成分3を撹拌しながら摩擦熱を発生させて、当該摩擦熱により当該石膏ボード6及び当該石膏成分3の温度が、例えば、当該合成樹脂成分2の溶融温度以上に高まった後、当該混練り装置8内に当該合成樹脂成分2を投入して溶融混合を行う方法;
である。
一方、当該実施例3に関しては、前記した図5及び図8に示す状態と実質的に同じ状況を示し、一方、難燃特性に付いては、UL94のV−0の規定レベルをクリヤした。
又、上記実験では、当該難燃剤15の論理的な添加量は25%程度であるが、12%の当該難燃剤15の添加量でも顕著な難燃特性を示す事が判明した。
科学的には、ハロゲン原子1モル当たりの難燃効果はそれほど変わる事がないことからも、分散効果が上がったと考えられる。
係る分散効果は、石膏ボード6とハロゲン系難燃剤15が当該ミキサー8内で高速撹拌される事で、当該石膏成分粒子がハロゲン系難燃剤15を研磨して細かくした結果とかんが得られる。
その後、当該石膏成分3により再凝集される事は無く、分散された状態が維持される。
尚、本発明に於いて、当該難燃剤15の粒径と添加量との関係を実験で追及した結果、例えば、当該ハロゲン系難燃剤の粒径を10%減少させることにより、その添加量を4%削減させる事が可能である事が判明した。
2…合成樹脂成分
3…石膏成分
4…繊維成分
5…結晶水の水
6…石膏ボード
7…撹拌装置
8…混練り処理装置
9…混合物
15…難燃剤、
20…成形機
21…ホッパー部
22…押し出し機
23…金型部
24…ブレーカープレート
25…成型品
26…第1の脱気手段
51…表面処理剤
Claims (10)
- 合成樹脂成分100重量部と石膏成分30乃至200重量部とを含む樹脂組成物であって、当該組成物は、当該合成樹脂成分中に当該石膏成分が均一に分散して混合せしめられており、且つ、当該組成物には、更に繊維成分が混在せしめられており、更に、当該石膏成分には、その中に、2乃至15重量%、好ましくは、3乃至8%、より好ましくは、4乃至6%の結晶水が閉じ込められている事を特徴とする難燃性を有する木質調合成樹脂組成物。
- 当該石膏成分に閉じ込められている当該結晶水が、難燃性成分として機能する様に構成されている事を特徴とする請求項1に記載の難燃性を有する木質調合成樹脂組成物。
- 当該石膏成分と当該合成樹脂成分の他に、ハロゲン系、リン系、アンチモン系、赤リン系から選択された少なくとも一つの成分を含有する化合物を含んでいる難燃性成分が含まれている事を特徴とする請求項1又は2に記載の難燃性を有する木質調合成樹脂組成物。
- 当該石膏成分に、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウムの表面処理剤が付着されている事を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の難燃性を有する木質調合成樹脂組成物。
- 当該石膏成分は、二水石膏状態(硫酸カルシウムを主体とする)の石膏である事を特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の木質調合成樹脂組成物。
- 合成樹脂成分と石膏成分とを混合して合成樹脂組成物を製造するに際し、当該合成樹脂成分と石膏ボードとを撹拌装置を有する混練り装置内に投入し、当該撹拌装置の撹拌操作により、少なくとも一方の成分から発生する内部摩擦熱により、当該合成樹脂成分を溶融させると共に、破砕された当該石膏成分と当該溶融された合成樹脂成分とを混合させた後に当該混合合成樹脂成分を成形加工処理する工程に於いて、当該石膏成分に2乃至15重量%、好ましくは3乃至8%、より好ましくは、4乃至6%の結晶水が閉じ込められる様に加熱処理制御を行う事を特徴とする難燃性を有する木質調合成樹脂組成物の製造方法。
- 合成樹脂成分と石膏成分とを混合して合成樹脂組成物を製造するに際し、石膏ボードのみを先に撹拌装置を有する混練り装置内に投入し、撹拌操作により、当該石膏ボードを粒状体に破砕すると同時に、当該石膏成分内に発生する内部摩擦熱により、当該石膏成分を加熱させ、その後、当該合成樹脂成分を当該混練り装置内に投入し、当該加熱された当該石膏成分により当該合成樹脂成分を溶融させて、当該合成樹脂成分と当該石膏成分を均一に混合させる事を特徴とする難燃性を有する木質調合成樹脂組成物の製造方法。
- 当該石膏成分内の当該結晶水を所定の規定範囲内に閉じ込める為の当該加熱処理制御は、2段階で実行されるものであって、その第1段目の当該加熱処理制御は、当該合成樹脂成分と当該石膏成分とを混合する成形用合成樹脂製造工程に於いて実行されるものであり、又、その第2段目の当該加熱処理制御は、当該成形用合成樹脂を成型する工程に於いて実行されるものであり、且つ、当該第1段目の加熱処理制御に於いては、当該石膏成分に閉じ込められている結晶水の含有量が8乃至10%となる様に加熱処理するものであり、更には、当該第2段目の加熱処理制御に於いては、当該石膏成分に閉じ込められている結晶水の含有量が4乃至6%、好ましくは5%となる様に加熱処理するものである事を特徴とする請求項6に記載の難燃性を有する木質調合成樹脂組成物の製造方法。
- 当該第1段目の加熱処理制御に於いては、当該合成樹脂成分の温度が、150乃至170℃となる様な加熱条件下で30乃至60分の加熱処理操作を実行する事を特徴とする請求項8に記載の難燃性を有する木質調合成樹脂組成物の製造方法。
- 当該第2段目の加熱処理制御に於いては、当該成型機の温度を180乃至230℃となる様に設定し、10乃至30分の加熱処理操作を実行する事を特徴とする請求項8に記載の難燃性を有する木質調合成樹脂組成物の製造方法。
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