JP3768293B2 - 衣料用くすみ防止剤組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は衣料用のくすみ防止剤組成物に関するもので、詳しくは洗濯工程のすすぎ時に添加することにより、水道水中の不純物が衣料へ付着するのを抑制し、結果として乾燥後の衣類のくすみを低減できる衣料用くすみ防止剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
現在の衣料用洗剤には、衣料から洗い落とされた粒子汚れが再び衣料に付着しないようにするための再汚染防止剤が配合されているものが多い。そのような再汚染防止剤としては、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が知られている。しかしながら、これらの再汚染防止剤は洗濯後の排水時に洗剤とともに流れ去ってしまう。
【0003】
一方、水道水中には鉄をはじめとする重金属等の不純物が微量に含まれており、これが衣料のくすみの一因となっている。洗濯中は、洗剤に配合した再汚染防止剤が効果的に働き、これらの不純物の影響を低減できるが、上記のように、洗剤中に配合した再汚染防止剤は、すすぎ工程の前で排水(洗濯水)と共に廃棄されるため、新たに注入されたすすぎ水に対しては洗剤に配合した再汚染防止剤による不純物の除去効果は期待できない。
【0004】
そこで、すすぎ工程において不純物の影響を低減する方策が必要となる。すすぎ工程は洗濯工程の最終段階に近い工程であるため、くすみの低減と共に、すすぎ工程後の衣類に悪影響を与えないことが要求される。例えば、すすぎ工程後、脱水、乾燥した衣類の感触を損なわないような性能も必要であるが、くすみの低減と衣類の感触の両立を達成できるような処理剤については十分に検討されていない。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者はこのくすみを抑制するために特定の水溶性ポリマーをすすぎ時に添加すると、衣類の感触を損なわずに、くすみを抑制する効果のあることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
1すなわち本発明は、下記 (i)〜(iii) からなる群より選ばれる1種又は2種以上の水溶性ポリマーと水とを含み、洗濯工程でのすすぎ時の浴処理に用いられることを特徴とする衣料用くすみ防止剤組成物を提供するものである。
(i) 重量平均分子量1,000 〜100,000 の水溶性且つ非カチオン性のセルロース誘導体〔以下、ポリマー(i) という場合もある。〕
(ii)少なくともビニル基及び/又は芳香族環を有する1種又は2種以上のモノマーを重合して得られ、かつスルホン酸基を含有する重量平均分子量10,000〜500,000 のポリマーもしくはその塩〔以下、ポリマー(ii)という場合もある。〕
(iii) 下記の一般式(I) 又は一般式(II)で表わされる繰り返し単位を有するカルボン酸基含有ポリマーもしくはその塩〔以下、ポリマー(iii) という場合もある。〕
【0007】
【化3】
Figure 0003768293
【0008】
(式中、X, Y, Z ;同一又は異なって、それぞれH 、CH3 、COOH又はCH2COOH を示す。ただし、Z がCOOHの時、X, Yは共にCH2COOH である。n は平均値で10〜2,000 の数である。)
【0009】
【化4】
Figure 0003768293
【0010】
(式中、m は平均値で10〜200 の数である。)
以下、本発明について詳細に説明する。
【0011】
<ポリマー(i) ;水溶性且つ非カチオン性のセルロース誘導体>
水溶性且つ非カチオン性のセルロース誘導体としては、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、アルキルセルロース(例えば、メチルセルロース等)、カルボキシメチルセルロース等が使用される。この場合において、置換度〔セルロースの無水グルコース単位中の水酸基3個のうち、置換基(ヒドロキシアルキル基、アルキル基、カルボキシメチル基等)が導入された水酸基の個数〕は、0.2 〜1.6 、好ましくは 0.4〜1.2 である。上記の中で特にカルボキシメチルセルロースが好ましい。
【0012】
<ポリマー(ii)>
本発明の組成物に用いられるポリマー(ii)は、ビニル基及び/又は芳香族環を有する少なくとも1種又は2種以上のモノマーを重合して得られ、且つスルホン酸基を含有するポリマーもしくはその塩である。
【0013】
このポリマー(ii)は、例えば以下の(イ)、(ロ)の方法等によりホモポリマー又はコポリマーとして得られる。
(イ)ビニル基及び/又は芳香族環を有し、且つスルホン酸基を有するモノマー(A) を重合するか、又は該モノマー(A) と共重合可能な他のモノマー(B) とを共重合する。
(ロ)ビニル基及び/又は芳香族環を有し、スルホン酸基を有しない少なくとも1種又は2種以上のモノマー (A') を重合した後スルホン化するか、又は該モノマー(A')と共重合可能な他のモノマー(C) とを共重合した後スルホン化する。
【0014】
上記方法(イ)において使用されるモノマー(A) としては、例えばスチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スルホプロピルメタクリレート、α−メチルスチレンスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、ビニルナフタレンスルホン酸、インデンスルホン酸等、及びこれらの塩が挙げられる。
【0015】
また、モノマー(B) としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、ヒドロキシエチルアクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリル酸、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン、ペンテン、イソプレン、2−メチル−1−ブテン、n−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ブテン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、インデン、ブタジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン等が挙げられる。これらの中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、ヒドロキシエチルアクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリル酸等及びこれらのモノマーの塩が好ましい。特にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸及びそれらの塩とスチレンが好ましい。
【0016】
(イ)の方法においてポリマー(ii)をコポリマーとして得る場合には、スルホン酸基を有している上記モノマー(A) の割合は、重合に供する全モノマー中の30mol %以上、好ましくは 50mol%以上配合される。
上記モノマー(A) と(B) とを組合せてポリマー(ii)(コポリマー)を得る場合には、上記(A) 及び(B) 中、特にスチレンスルホン酸とアクリル酸ナトリウム、スチレンスルホン酸とスチレンの組合せが好ましい。
【0017】
一方(ロ)の方法により、ポリマー(ii)をコポリマーとして得る場合には、スルホン酸基を有しない上記モノマー (A') は、重合に供する全モノマー中の60〜100 モル%、特に85〜100 モル%の配合量とすることが好ましい。
上記(ロ)の方法に於いて使用するモノマー (A') としては、スチレン、α−メチルアンモニウム塩を主成分とするものである。スルホン化される割合は、30mol %以上、好ましくは50mol %以上が好ましい。
【0018】
<ポリマー(iii) >
本発明のポリマー(iii) は、上記一般式(I) 又は一般式(II)で表わされる繰り返し単位を有するカルボン酸基含有ポリマーもしくはその塩である。
【0019】
一般式(I) で表される繰り返し単位を有するポリマーとしては、ホモポリマー(単一重合体)でもコポリマー(共重合体)でもよい。具体的には、アクリル酸、(無水)マレイン酸、メタクリル酸、α−ヒドロキシアクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、及びその塩等の重合反応、または各モノマーの共重合反応、或いは他の重合性モノマーとの共重合反応によって合成されるものである。このとき共重合に用いられる他の共重合モノマーの例としては、例えばアコニット酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、ビニルホスホン酸、スルホン化マレイン酸、ジイソブチレン、スチレン、メチルビニルエーテル、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ペンテン、ブタジエン、イソプレン、酢酸ビニル(及び共重合後に加水分解した場合はビニルアルコール)、アクリル酸エステル等が挙げられるが、特に限定されるものではない。本発明においては、ポリアクリル酸(塩)、アクリル酸/マレイン酸コポリマーが特に好ましい。アクリル酸/マレイン酸コポリマーにおいて、アクリル酸とマレイン酸のモル比は、アクリル酸/マレイン酸=80/20〜40/60が好ましい。なお、一般式(I) で表される繰り返し単位を有するポリマーを得るための重合反応もしくは共重合反応は、特に限定されるものではなく、通常公知の方法を用いることができる。共重合反応を行う場合、一般式(I) の繰り返し単位と他の共重合モノマーとの共重合率も特に限定されないが、好ましくは一般式(I) の繰り返し単位/他の共重合モノマー=1/100 〜90/10(モル比)の範囲である。
【0020】
上記一般式(II)で表されるセグメントを有するポリマーは、アセタールカルボキシレートの重合体であって、特開昭54-52196号公報に記載されている。本発明でも、該公報に記載される如く、グリオキシルアルデヒドのエステルと重合開始剤を重合条件下に混合し、そして得られる重合体をアルカリ性溶液中での迅速な解重合に対して安定化させることにより製造されたものを使用するのが好ましい。又この重合体の塩を形成するために、安定化させた共重合体を鹸化することができる。この際上記グリオキシル酸アルデヒドのエステルと重合し得る共単量体の一種又は以上を共重合させることも出来る。適当な共単量体としては例えばエポキシ化合物、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピハロヒドリンエポキシサクシネートなど、アルデヒド、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなど、及び20個以下の炭素原子を含有するアルデヒドなどが挙げられる。共単量体としては、1〜4個の炭素原子を有する共単量体、例えばエチレンオキサイド、ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドが好ましい。
共単量体の混合物を前記アルデヒドエステルと重合させてターポリマーとすることもでき、あるいはより複雑な重合体構造とすることもできる。
【0021】
かかる重合体或いは共重合体は、重合体末端に化学的反応性を有する基を付与してアルカリ性溶液中での迅速な解重合に対して安定化される。特に適当な末端基としてはアルキル基、酸素含有アルキル基及び酸素含有環式アルキル基、例えばオキシアルキル基例えばメトキシ、エトキシなど、カルボン酸類、例えば
【0022】
【化5】
Figure 0003768293
【0023】
など、アルデヒド、エーテルおよび他の酸素含有アルキル基、例えば
【0024】
【化6】
Figure 0003768293
【0025】
などが挙げられる。これらの末端基において、M はアルカリ金属、アンモニウム、アルカノールアミン、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、またR は水素または1〜8個の炭素原子を有するアルキル基である。重合体末端におけるこれらの化学的に安定な末端基は同一であってもあるいは相異なっていてもよい。
【0026】
本発明に用いられるポリマー(II)はカルボキシル基を含むものであるが、その一部又は全部が塩となっていてもよい。塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩が挙げられる。アルカリ金属としては、Na、K 、Li等が挙げられ、アルカリ土類金属としてはCa、Mg等が挙げられる。
【0027】
上記ポリマー(i) 〜(iii) の中では特にポリマー(iii) が好ましい。
【0028】
<シリコーンエマルション>
本発明の衣料用くすみ防止剤組成物には、更にシリコーンエマルションを配合することが好ましい。シリコーンとしては、未変性、アミノ変性、カルボキシ変性、エポキシ変性、アルキル変性等が挙げられる。好ましくは未変性、アミノ変性等である。これらのシリコーンは、抽出粘度が1,000 〜100 万、好ましくは1万〜10万cSt 、エマルションにおけるシリコーン粒子の粒子径は 0.001μ〜1μm、好ましくは0.01μ〜0.1 μmである。また、アミノ変性シリコーンを用いる場合、アミン当量(ジメチルシロキサンユニット1つあたりに導入されるアミノ基の数)は2%〜50%が好ましく、より好ましくは3%〜20%である。
【0029】
シリコーンエマルションを添加することにより、ポリマーによりくすみの原因の水道水中の不純物の付着が抑制されるだけでなく、シリコーン皮膜の繊維上への被覆により、光沢が付与され、色柄物には濃色効果が付与されるため、水溶性ポリマー単独よりも一層、衣料のくすみがとれ鮮やかに仕上げることが可能となる。シリコーンエマルションは、本発明の衣料用くすみ防止剤組成物中に、0.01〜10重量%配合されるのが好ましく、より好ましくは0.1 〜5重量%である。
【0030】
<任意成分>
本発明の衣料用くすみ防止剤組成物には、上記した本発明のポリマー(i) 〜(iii) 、シリコーンエマルションの他に更に抗菌剤、殺菌剤、香料を配合することができる。また、グリセリン、プロピレングリコール等のポリオール類を配合してもよい。
【0031】
本発明の衣料用くすみ防止剤組成物は、上記本発明のポリマー(i) 〜(iii) を必須成分として含有し、また必要に応じて任意の成分が配合され、残部はバランス量の水である。
【0032】
なお、洗濯工程でのすすぎ時の浴処理は、通常、浴比(被洗物の重さ/すすぎ処理水の重さ)を1/1〜1/50、好ましくは1/1〜1/30として行われる。その際、本発明の衣料用くすみ防止剤組成物は、0.1 〜20%o.w.f.〔on the weight of fabrics(組成物の重さ÷被洗物の重さ×100 )〕、好ましくは 0.5〜10%o.w.f.の処理濃度で用いられる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0034】
実施例1
表1に示す各種衣料用くすみ防止剤組成物を調製し、試験布を処理した後のくすみの発生状況及び風合いを評価した。表1中、水溶性ポリマー及びシリコーンエマルションの配合量は、組成物の重量%であり、残部は水である。
【0035】
〔性能評価〕
・試験布:木綿 100%、ブロード#60、白地〔性能評価試験に供する前に、市販洗剤「アタック」(花王(株)製)で普通洗浄を5回行い、流水すすぎをした後、自然乾燥させたもの。〕
・処理条件:
洗濯機;ナショナルNA-F45Y5〔松下電器産業(株)製〕
洗 剤;濃度0.0833%、アタック〔花王(株)製〕
浴 比;1/20(布/水道水)
洗浄12分1回、ためすすぎ2回を行い、2回目のすすぎ時に、表1の衣料用くすみ防止剤組成物を添加する。この時の処理濃度は、5%o.w.f.であった。その後、脱水、プレス乾燥する。
・評価方法:
衣料用くすみ防止剤組成物を添加しないものを未処理布とし、評価すべき布のくすみの発生状況を、未処理布と目視で比べて、下記の基準で評価を行う。また、処理布の風合いについても、未処理布との対比により下記の基準で評価した。
<くすみ>
○:明らかにくすみがない。
△:注意深く観察するとくすみがわかる。
×:未処理布と同じ。
<風合い>
○:未処理布と同じ。
×:未処理布よりも感触が悪い。
【0036】
【表1】
Figure 0003768293

Claims (3)

  1. 下記 (i)〜(iii) からなる群より選ばれる1種又は2種以上の水溶性ポリマーと、シリコーンエマルション 0.01 10 重量%と、水とを含み、洗濯工程でのすすぎ時の浴処理に用いられることを特徴とする衣料用くすみ防止剤組成物。
    (i) 重量平均分子量1,000 〜100,000 の水溶性且つ非カチオン性のセルロース誘導体
    (ii)少なくともビニル基及び/又は芳香族環を有する1種又は2種以上のモノマーを重合して得られ、かつスルホン酸基を含有する重量平均分子量10,000〜500,000 のポリマーもしくはその塩
    (iii) 下記の一般式(I) 又は一般式(II)で表わされる繰り返し単位を有するカルボン酸基含有ポリマーもしくはその塩
    Figure 0003768293
    (式中、X, Y, Z ;同一又は異なって、それぞれH 、CH3 、COOH又はCH2COOH を示す。ただし、Z がCOOHの時、X, Yは共にCH2COOH である。n は平均値で10〜2,000 の数である。)
    Figure 0003768293
    (式中、m は平均値で10〜200 の数である。)
  2. 上記 (i)〜(iii) からなる群より選ばれる1種又は2種以上の水溶性ポリマーを 0.1〜20重量%含む請求項1記載の衣料用くすみ防止剤組成物。
  3. シリコーンエマルションが、未変性シリコーン及びアミノ変性シリコーンから選ばれるシリコーンを含有する請求項1又は2記載の衣料用くすみ防止剤組成物。
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