JP6204802B2 - 衣料用仕上げ剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、衣料用仕上げ剤組成物及びこれを用いる衣料の処理方法に関する。
近年、ファッション性に優れたニット衣料が増えている。ニット衣料は、糊料組成物の対象衣料となるシーツやYシャツ等の衣布帛に比べて、しなやかな風合いが求められる。ニット衣料は布帛に比べて、単繊維を甘く撚った糸を使用し、ニット編みという編み方で構成されている。ニット編みは、糸や糸を構成する単繊維が動きやすいため衣料全体にしなやかな風合いを与えている。
前記衣料は糸から構成され、糸は単繊維から構成されている。衣料は、着用等の使用により衣料同士が擦れたり、衣料が椅子等の衣料以外の対象物と擦れあったりすることで、その摩擦により毛羽立ちや毛玉が発生する。そして、前記毛羽立ちや毛玉が発生することで表面に凹凸が生じ、この凹凸に光が当たると影が生じるため衣料の色目がくすんで見え、美観的に好ましくない。とりわけ毛玉が生じると顕著に影が生じるため、美観上の課題が大きくなる。
前記のニット衣料は、単繊維を甘く撚った糸を使用しているため糸から単繊維が抜け易く毛羽立ちや毛玉が発生しやすい。よって、ニット衣料を洗濯する場合には、洗面器等の容器でニット衣料を浸漬して処理することが行われてきたが、近年、全自動洗濯機の高機能化により全自動洗濯機でも洗濯処理できるようになると共に、毛羽や毛玉の発生を抑えることができる洗浄剤が提案されている。
例えば、特許文献1には、ポリマーのガラス転移温度が−45℃〜20℃である、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体等の水系分散体を主成分とし、更に濡れ剤を含有する繊維加工用樹脂組成物が開示されている。更に、この特許文献1には濡れ剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類等の非イオン性界面活性剤が記載されている。
また、特許文献2には、低級脂肪酸ビニルエステル等と不飽和カルボン酸の乳化重合時に、メタクリル酸アルキルエステル等のモノマー等を使用し、乳化重合により得られるエマルジョンを含有する糊料組成物が記載されている。また、この特許文献2には重合時に非イオン性乳化剤を使用すること、及びカチオン化澱粉等のカチオン性ポリマーを重合時に共存させるか、重合終了後に添加してもよいことが記載されている。
特許文献3〜5には、炭素数1〜16であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを構成単位として有し、ガラス転移温度が−40℃以上0未満のポリマーとカチオン化澱粉とを含有する仕上げ剤組成物が開示されている。
特開2008−248432号公報 特開平3−260174号公報 特開2013−151663号公報 特開2013−151775号公報 特開2013−151776号公報
本発明者らは、衣類の毛羽立ち、毛玉の発生を抑制することができる衣料用仕上げ剤組成物には、新たな課題が存在することを知見した。
すなわち、衣類の毛羽立ち、毛玉の発生を抑制することができる衣料用仕上げ剤組成物においては、洗濯機の仕上げ剤保持部の中で特定のアルカリ度を有する水と接触し、希釈されながら洗濯槽内に流入することにより、該衣料用仕上げ剤組成物の一部が凝集し、繊維製品に付着するため審美的に好ましくない外観になるという課題が生じる。
本発明は、衣料等の繊維製品の毛羽立ちや毛玉の発生を抑制することができる衣料用仕上げ剤組成物において、洗濯機の仕上げ剤保持部使用時に繊維製品に凝集物が付着することがない衣料用仕上げ剤組成物、及びこの衣料用仕上げ剤組成物を用いる衣料の処理方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題が炭酸塩アルカリ度の要因となる水中の炭酸イオン(CO3 2-)や炭酸水素イオン(HCO3 -)等の陰イオンに原因があることを突き止めた。具体的には、前記陰イオンが、衣料用仕上げ剤組成物中のカチオン化澱粉のカチオン基の対イオン(一般的には塩素イオン)と交換することで、カチオン化澱粉の表面電位が低下して電荷反発の力が弱まり、更に希釈時の水流でポリマー粒子が凝集しやすくなる結果、衣料用仕上げ剤組成物の凝集物が繊維製品に付着しやすくなるものと考えた。
さらに、本発明者らはもう一つの原因がポリマーの物性にあることを知見した。具体的には、通常、洗濯に用いられる5〜40℃程度の水道水の温度では、ガラス転移温度0℃未満のポリマーは柔らかい物性を示し、この柔らかい物性を示すポリマーが、カチオン化澱粉と共に凝集し、凝集物が繊維製品に付着しやすくなると考えた。以上の知見から、本発明者らは本発明に至った。
すなわち、本発明は、下記[1],[2]を提供する。
[1]炭素数1以上、16以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル(a1)由来の構成単位を70質量%以上、100質量%以下含有し、かつガラス転移温度が−40℃以上、0℃未満であるポリマー(A)、カチオン化澱粉(B)、非イオン性界面活性剤(C)、及び水を含有し、(C)成分が、炭素数8以上、16以下の炭化水素基を少なくとも1つ有し、オキシアルキレン基を平均3モル以上、15モル以下付加したポリオキシアルキレン付加型非イオン性界面活性剤(c1)を含有し、(A)成分100質量部に対する(c1)成分の含有量が5.5質量部以上、15質量部以下である衣料用仕上げ剤組成物であって、下記工程I及び工程IIを有する製造方法により得られる衣料用仕上げ剤組成物。
工程I:水系溶媒に対してカチオン化澱粉(B)と非イオン性界面活性剤(C)とを添加して溶液を調製する工程
工程II:工程Iで得られた溶液に対して(A)成分を構成するモノマー及び重合開始剤を添加して乳化重合を行う工程であって、前記溶液のpHを5.5以上、8.5以下に調整して乳化重合を行う工程
[2]下記工程1〜工程4を有する衣料の処理方法。
工程1:前記衣料用仕上げ剤組成物を洗濯機の仕上げ剤保持部に保持させる工程。
工程2:前記衣料用仕上げ剤組成物を保持する仕上げ剤保持部に対して、炭酸塩アルカリ度が10度以上、60度以下である水を投入し、前記衣料用仕上げ剤組成物と水とを接触させる工程。
工程3:工程2の後、仕上げ剤保持部内の前記衣料用仕上げ剤組成物を洗濯槽内に投入する工程。
工程4:洗濯槽内の水浴中において、衣料用仕上げ剤組成物と衣料とを接触させる工程。
本発明の衣料用仕上げ剤組成物は、衣料等の繊維製品の毛羽立ちや毛玉の発生を抑制することができる衣料用仕上げ剤組成物において、洗濯機の仕上げ剤保持部使用時に繊維製品に凝集物が付着することがない衣料用仕上げ剤組成物及びこれを用いる衣料の処理方法を提供することができる。
[衣料用仕上げ剤組成物]
本発明の衣料用仕上げ剤組成物は、炭素数1以上、16以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル(a1)由来の構成単位を70質量%以上、100質量%以下含有し、かつガラス転移温度が−40℃以上、0℃未満であるポリマー(A)、カチオン化澱粉(B)、非イオン性界面活性剤(C)、及び水を含有し、(C)成分が、炭素数8以上、16以下の炭化水素基を少なくとも1つ有し、オキシアルキレン基を平均3モル以上、15モル以下付加したポリオキシアルキレン付加型非イオン性界面活性剤(c1)を含有し、(A)成分100質量部に対する(c1)成分の含有量が5.5質量部以上、15質量部以下である衣料用仕上げ剤組成物であって、下記工程I及び工程IIを有する製造方法により得られる衣料用仕上げ剤組成物。
工程I:水系溶媒に対してカチオン化澱粉(B)と非イオン性界面活性剤(C)とを添加して溶液を調製する工程
工程II:工程Iで得られた溶液に対して(A)成分を構成するモノマー及び重合開始剤を添加して乳化重合を行う工程であって、前記溶液のpHを5.5以上、8.5以下に調整して乳化重合を行う工程
本発明の衣料用仕上げ剤組成物は、衣料等の繊維製品の毛羽立ちや毛玉の発生を抑制することができると共に、洗濯機の仕上げ剤保持部使用時に繊維製品に、衣料用仕上げ剤組成物の凝集物が付着することがないものである。
なお、本明細書において「(メタ)アクリル酸エステル」とは、「アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、又はこれらの混合物」をいう。
また、本明細書において「毛羽立ち」とは、摩擦によって単繊維が引っ張られ、糸から単繊維が抜けかけたり(視覚的には、糸表面から単繊維が飛び出したり)している状態、又は磨耗によって単繊維に亀裂が入り、単繊維表面から繊維片が剥離しかけたりする状態をいう。
また、「毛玉」とは衣料から抜け落ちた単繊維同士が絡まり、玉状になって衣料に再付着している状態、繊維上の前記毛羽同士が絡まって玉状になった状態、又は糸を構成する単繊維から剥離しかかった繊維片が繊維上で絡まって玉状となった状態をいう。
更に、本明細書において、「仕上げ剤保持部」とは、洗濯工程において仕上げ剤を投入するタイミングに水が注水される区画を指し、販売メーカーによってその名称は異なるが、「仕上げ剤投入口」ともよばれる。具体的には、洗濯機に設けられている「洗剤ケース」や「洗剤投入ケース」内にある「柔軟剤投入」、「ソフト仕上剤」と表記されている投入区画、又は洗濯機に設けられている「柔軟剤投入ケース」等と表記されている投入区画をいう。
<ポリマー(A)>
本発明におけるポリマー(A)は、炭素数1以上、16以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル(以下、「モノマー(a1)」ともいう)由来の構成単位を70質量%以上、100質量%以下含有し、かつガラス転移温度が−40℃以上、0℃未満のポリマーである。
モノマー(a1)は、炭素数1以上、16以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルであれば特に制限はなく、ポリマー(A)が前記ガラス転移温度を満すのであれば1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明において、「炭素数1以上、16以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル」とは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルであって、前記アルキル基が炭素数1以上、16以下のアルキル基である化合物をいう。
また、前記アルキル基はn−体、sec−体、tert−体、iso−体を含む、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよい。
アクリル酸エステルを用いる場合のアルキル基の炭素数は、ガラス転移温度の調節しやすさの観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上であり、そして、好ましくは12以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは8以下である。
具体的な化合物としては、アクリル酸エチルエステル、アクリル酸n−プロピルエステル、アクリル酸n−ブチルエステル、アクリル酸iso−ブチルエステル、アクリル酸tert−ブチルエステル、アクリル酸n−ペンチルエステル、アクリル酸n−ヘキシルエステル、アクリル酸n−ヘプチルエステル、アクリル酸n−オクチルエステル、アクリル酸2−エチルヘキシルエステルが好ましく、アクリル酸n−ブチルエステル、アクリル酸iso−ブチルエステル、アクリル酸tert−ブチルエステル、アクリル酸2−エチルヘキシルエステルがより好ましく、及びアクリル酸n−ブチルエステルが更に好ましい。
メタクリル酸エステルを用いる場合のアルキル基の炭素数は、ガラス転移温度の調節しやすさの観点から、好ましくは1以上であり、そして、好ましくは8以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは2以下である。
具体的な化合物としては、メタクリル酸メチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、メタクリル酸n−プロピルエステル、メタクリル酸n−ブチルエステル、メタクリル酸iso−ブチルエステル、メタクリル酸tert−ブチルエステル、メタクリル酸2−エチルヘキシルエステルが好ましく、メタクリル酸メチルエステル、及びメタクリル酸エチルエステルがより好ましく、メタクリル酸メチルエステルが更に好ましい。
ポリマー(A)(以下、「(A)成分」ともいう)のガラス転移温度を−40℃以上、0℃未満の範囲に調整する観点から、メタクリル酸エステルと、アクリル酸エステルとを併用することが好ましい。
両者を併用する場合、炭素数1以上、6以下のアルキル基を有するメタクリル酸エステルと炭素数2以上、6以下のアルキル基を有するアクリル酸エステルとを併用することが好ましく、炭素数1以上、2以下のアルキル基を有するメタクリル酸エステルと炭素数3以上、5以下のアルキル基を有するアクリル酸エステルとを併用することがより好ましく、メタクリル酸メチルエステルとアクリル酸n−ブチルエステルとの併用が更に好ましい。
メタクリル酸エステルとアクリル酸エステルとを併用する場合において、メタクリル酸エステル(a1−1)とアクリル酸エステル(a1−2)との合計に対するアクリル酸エステル(a1−2)の割合は、(A)成分のガラス転移温度を前記範囲に調整する観点から、好ましくは55質量%以上、より好ましくは56質量%以上であり、そして、好ましくは99質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
本明細書において、(A)成分が表1に記載の1種類のモノマーのみで重合されたポリマー(以下、「ホモポリマー」ともいう)である場合のガラス転移温度(Tg)は、表1に記載した値を用いた。
Figure 0006204802
(A)成分として、表1に記載のないモノマーを用いる場合には、ガラス転移温度(Tg)は、「ポリマーハンドブック、Fourth EditionVolume1, WILEY-INTERSCIENCE, A John Wiley & Sons, Inc., Publication,1999」に記載のホモポリマーの値を用いる。
また、(A)成分がn種類のモノマーを重合して得られる共重合体である場合のガラス転移温度(Tg)は、各モノマー(i)のホモポリマーのガラス転移温度〔Tg(i)〕から、下記式(I)にしたがって共重合体のガラス転移温度(Tg)を算出する。ただし、小数点以下は四捨五入し、共重合体が多官能性モノマーを含む場合には、該多官能性モノマーを除いたモノマーについて計算を行う。
Figure 0006204802
(式(I)中、Tgは共重合体のガラス転移温度(℃)であり、Tg(i)は共重合体を構成する各モノマー(i)のホモポリマーのガラス転移温度であり、wiは共重合体を構成するモノマー(i)の質量分率である。)
(A)成分のガラス転移温度(Tg)は、−40℃以上、0℃未満である。ガラス転移温度(Tg)が−40℃未満又は0℃以上であると、着用等の際に衣類に発生する毛羽を抑制することができない。また、ガラス転移温度(Tg)が0℃以上であると、着用等の際に衣料に発生する毛羽立ちを抑制することができず、かつ衣料のしなやかな風合いが損なわれる場合がある。
毛羽の発生を抑制する観点から、ガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−30℃以上、より好ましくは−25℃以上、更に好ましくは−20℃以上であり、そして、好ましくは−5℃以下、より好ましくは−8℃以下、更に好ましくは−10℃以下である。また、全自動洗濯機の仕上げ剤投入口に衣類用仕上げ剤組成物が残留することを防止する観点から、(A)成分のガラス転移温度(Tg)は、更に好ましくは−25℃以上、−5℃以下である。
ポリマー(A)は、モノマー(a1)を70質量%以上、100質量%以下含有する。モノマー(a1)の含有量が前記範囲内であると、衣類の毛羽発生を抑制することができる。衣類の毛羽発生抑制の観点から、ポリマー(A)中のモノマー(a1)の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、そして、好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に好ましくは94質量%以下である。
前記含有量は、ポリマー(A)に対するモノマー(a1)由来の構成単位の割合であり、重合時のモノマー(a1)の配合割合から求めることができる。これは後述するモノマー(a2)及びモノマー(a3)についても同様である。
モノマー(a1)と共重合してもよい他のモノマーとしては、例えば下記のモノマー(a2)及びモノマー(a3)が挙げられる。
<モノマー(a2)>
モノマー(a2)としては、炭素数2以上、4以下のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを用いる。モノマー(a2)を用いることにより、衣類等に付着した(A)成分を洗濯時に衣類から容易に脱離させることができると共に、洗濯機の仕上げ剤組成物の保持部に仕上げ剤組成物が残留することを防止する(以下、「液残りを防止する」ともいう)ことができる。
本発明において、炭素数2以上、4以下のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとは、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルであって、前記ヒドロキシアルキル基の炭素数が2以上、4以下であるものをいう。
洗浄工程における(A)成分の衣類からの脱離性((A)成分が衣類から脱離しやすい性質であることを意味する)をより向上させる観点、及び液残りを防止する観点から、炭素数2以上、3以下のヒドロキシアルキル基が好ましく、炭素数2のヒドロキシエチル基がより好ましい。
アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの具体例としては、アクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピルエステル、及びアクリル酸4−ヒドロキシブチルエステルが挙げられる。
メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの具体例としては、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピルエステル、及びメタクリル酸4−ヒドロキシブチルエステルが挙げられる。
これらの中では、(A)成分の衣類からの脱離性の観点及び液残りを防止する観点から、アクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチルエステルが好ましい。
(A)成分中のモノマー(a2)由来の構成単位の割合は、(A)成分の衣類からの脱離性を向上させる観点、及び液残りを防止する観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、より更に好ましくは4質量%以上であり、そして、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8質量%以下、より更に好ましくは7質量%以下である。
<モノマー(a3)>
モノマー(a3)としては、エチレン性不飽和カルボン酸及びその塩から選ばれる少なくとも1種のモノマーを用いる。なお、本発明において「エチレン性不飽和カルボン酸」とは、分子内にビニル基及びカルボン酸基を有する化合物をいう。
モノマー(a3)を用いることにより、衣類に付着した(A)成分の衣類からの脱離性を向上させることができると共に、液残りを防止することができる。
エチレン性不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、及びマレイン酸が挙げられる。これらの中では、原料の入手性の観点から、アクリル酸、及びメタクリル酸が好ましく、アクリル酸がより好ましい。
エチレン性不飽和カルボン酸塩としては、前記エチレン性不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩、及びアルカリ土類金属塩を挙げることができる。また、エチレン性不飽和カルボン酸塩は、アンモニウム塩、及びアルカノールアミン塩であってもよい。エチレン性不飽和カルボン酸塩は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらのエチレン性不飽和カルボン酸及びその塩は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分中のモノマー(a3)由来の構成単位の割合は、衣類からの脱離性を向上させる観点、及び液残りを防止する観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.4質量%以上、より更に好ましくは0.5質量%以上であり、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、より更に好ましくは1.5質量%以下である。
(A)成分は、毛羽及び毛玉の発生を抑制する観点から、前記モノマー(a1)、モノマー(a2)及びモノマー(a3)を含む共重合体が好ましい。
なお、(A)成分としては、(A)成分の効果に影響を及ぼさない範囲で、前記モノマー(a1)〜(a3)以外のモノマーを使用してもよい。
(A)成分の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは5万以上、より好ましくは10万以上、更に好ましくは20万以上、より更に好ましくは30万以上であり、そして、好ましくは50万以下、より好ましくは45万以下、更に好ましくは40万以下である。
なお、(A)成分の重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)測定による値をいう。より具体的には、溶離液としてクロロホルム、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトン及びこれらの溶媒を組み合わせた液のいずれか、好ましくはジメチルホルムアミドを使用して測定したポリスチレン換算の分子量をいう。
<カチオン化澱粉(B)>
本発明においては、(A)成分の衣料への吸着性を高めることを目的として、また、(A)成分を乳化重合等で製造する際の乳化安定化剤として、カチオン化澱粉(B)(以下、「(B)成分」ともいう。)を用いる。
カチオン化澱粉の主骨格を形成する澱粉類としては、特開2010−180320号公報に記載の澱粉等を用いることができる。具体的には、コーンスターチ、小麦スターチ、ポテトスターチ、タピオカスターチ等の澱粉が挙げられる。
前記澱粉にカチオン基を導入してカチオン化澱粉とする方法は特に限定されず、例えば、澱粉類と四級アンモニウムアルキル化試薬とを反応させる方法が挙げられる。
四級アンモニウムアルキル化試薬としては、例えば、特開2010−180320号公報に記載のグリシジル基を有する4級アンモニウム化合物を挙げることができ、化合物の入手の容易性の観点から、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリドが好ましい。
四級アンモニウムアルキル化試薬の具体的な製造方法としては、例えば特開昭56−36501号公報、特開平6−100603号公報、特開2010−180320号公報、及び特開平8−198901号公報等に記載の方法が挙げられる。
(B)成分であるカチオン化澱粉の窒素原子の含有量(以下、「N質量%」ともいう)は、0.01質量%以上、1.5質量%以下が一般的であるが、(A)成分の衣料への吸着性をより高める観点から、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、そして、好ましくは1.3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.9質量%以下、より更に好ましくは0.8質量%である。
本明細書において、N質量%は(B)成分の全質量に対して第4級アンモニウム基由来の窒素原子の含有量(質量%)をいう。N質量%は、「第十二改正日本薬局方」(財団法人日本公定書協会・第一法規出版株式会社発行)の第43〜44頁に記載された窒素定量法(セミミクロケルダール法)に基づいて行うことができる。
(B)成分であるカチオン化澱粉の重量平均分子量は、毛羽立ち、毛玉の発生を抑制する観点から、好ましくは10万以上、より好ましくは30万以上、更に好ましくは50万以上、より更に好ましくは80万以上であり、そして、好ましくは190万以下、より好ましくは170万以下、更に好ましくは150万以下、より更に好ましくは130万以下、より更に好ましくは110万以下、より更に好ましくは100万以下である。
<非イオン性界面活性剤(C)>
(非イオン性界面活性剤(c1))
本発明においては、(A)成分の希釈時の分散安定性を向上させる観点から、非イオン性界面活性剤(C)(以下、「(C)成分」ともいう)として、炭素数8以上、16以下の炭化水素基を少なくとも1つ有し、オキシアルキレン基を平均3モル以上、15モル以下付加したポリオキシアルキレン付加型非イオン性界面活性剤(c1)を使用する。
界面活性剤(c1)としては、(A)成分の希釈時の分散安定性の観点から、炭素数8以上、16以下の脂肪族炭化水素基を少なくとも1つ有し、オキシアルキレン基を平均3モル以上、15モル以下付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。
(A)成分の希釈時の分散安定性を向上させる観点から、(c1)成分の炭化水素基の炭素数は、好ましくは10以上、より好ましくは11以上であり、そして、好ましくは15以下、より好ましくは14以下であり、オキシアルキレン基の平均付加モル数は、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは6以上であり、そして、好ましくは14以下、より好ましくは13以下、更に好ましくは12以下である。
好ましい界面活性剤(c1)としては、オキシアルキレン基が、オキシエチレン基又はオキシエチレン基とオキシプロピレン基との組合せであって、平均付加モル数が3以上、15以下であり、更にオキシプロピレン基の平均付加モル数が0以上、2以下、オキシエチレン基の平均付加モル数が3以上、15以下であるものである。
また、(c1)成分は、(A)成分の希釈時の分散安定性を向上させる観点から、異なる2種以上を併用することが好ましく、組成物の減粘効果の観点から、分岐状のアルキル基と直鎖状のアルキル基とを有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルを併用することが好ましい。なお、本明細書において、前記分岐状のアルキル基は第2級アルコール由来のアルキル基も含む。
具体例としては、炭素数12の直鎖アルキル基を有し、オキシエチレン基の平均付加モル数が8以上、12以下のポリオキシエチレンアルキルエーテルと、炭素数が12以上、14以下の第2級アルキル基を有し、オキシエチレン基の平均付加モル数が5以上、7以下のポリオキシエチレンアルキルエーテルを併用することが好ましい。
(非イオン性界面活性剤(c2))
本発明においては、(A)成分の乳化安定性を向上させる観点から、炭素数8以上、16以下の炭化水素基を少なくとも1つ有し、オキシアルキレン基を平均30モル以上、70モル以下付加したポリオキシアルキレン付加型非イオン性界面活性剤(以下、「(c2)成分」ともいう)を(c1)成分と共に使用してもよい。非イオン性界面活性剤(c2)を使用することにより、(A)成分の希釈時の分散安定性が向上し、重合時の乳化安定性及び保管後の分散安定性も向上する。
非イオン性界面活性剤(c2)としては、(A)成分の乳化安定性の観点から、炭素数8以上、16以下の炭化水素基を少なくとも1つ有し、オキシアルキレン基を平均30モル以上、70モル以下付加したポリオキシアルキレン付加型非イオン性界面活性剤であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。
乳化安定性の観点から、炭化水素基の炭素数は、好ましくは10以上、より好ましくは11以上であり、そして、好ましくは15以下、より好ましくは14以下であり、オキシアルキレン基の平均付加モル数は、好ましくは35以上、より好ましくは40以上、更に好ましくは42以上であり、そして、好ましくは65以下、より好ましくは60以下、更に好ましくは52以下であり、前記オキシアルキレン基は、オキシエチレン基であることが好ましい。
(c2)成分に対する(c1)成分の質量比[(c1)/(c2)]は、(A)成分の乳化安定性と希釈分散性の観点から、好ましくは2以上、50以下が好ましい。更に(A)成分の乳化安定性の観点から、質量比[(c1)/(c2)]は、好ましくは48以下、より好ましくは45以下、更に好ましくは40以下、より更に好ましくは35以下、より更に好ましくは30以下である。また、(A)成分の希釈分散性の観点から、質量比[(c1)/(c2)]は、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上、より更に好ましくは15以上、より更に好ましくは20以上、より更に好ましくは25以上である。
本発明の(C)成分は、(A)成分の乳化安定性と希釈分散性の観点から、HLBが12以上、15以下であることが好ましい。なお、本明細書において(C)成分として2種類の界面活性剤を使用している場合は、質量を加味した平均値をHLBとする。
(A)成分の乳化安定性の観点から、(C)成分のHLBは、好ましくは14.5以下、より好ましくは14以下である。また、(A)成分の希釈分散性の観点から、(C)成分のHLBは、好ましくは12.5以上、より好ましくは13以上である。なお、HLBの値はグリフィン法で得ることができる。
<衣料用仕上げ剤組成物の製造方法>
本発明の衣料用仕上げ剤組成物は、下記工程I及び工程IIを有する製造方法により製造する。この方法によって製造することにより、希釈安定性に優れた組成物を得ることができる。
[工程I]
工程Iは、水系溶媒に対してカチオン化澱粉(B)と非イオン性界面活性剤(C)とを添加して溶液を調製する工程である。
水系溶媒としては、水が好ましい。水は、例えば、蒸留水、イオン交換水、及び超純水等が挙げられる。
また、工程IIにおける乳化重合時の乳化状態を壊さない範囲で、水と相溶性のある有機溶媒を加えてもよい。有機溶媒としてはメタノール、エタノール、及びイソプロピルアルコール等の炭素数2又は3のアルコール、アセトン、及びメチルエチルケトン等の炭素数3又は4のケトンが挙げられる。
有機溶媒の添加量としては、特に限定されないが、水100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。
工程Iにおいて、カチオン化澱粉(B)及び非イオン性界面活性剤(C)の水系溶媒への添加順序は特に限定されないが、カチオン化澱粉(B)を水系溶媒に分散懸濁又は溶解させ、その後、非イオン性界面活性剤(C)を添加することが好ましい。なお、カチオン化澱粉(B)を分散懸濁又は溶解させる際に加熱することが好ましい。
カチオン化澱粉(B)及び非イオン性界面活性剤(C)は、それぞれ一括で添加してもよいし、分割又は滴下等によって添加してもよい。カチオン化澱粉(B)及び非イオン性界面活性剤(C)の添加時には、系を撹拌しながら添加することが好ましい。撹拌は、カチオン化澱粉(B)のせん断によるせん断凝集を起こさない速度で行うことが好ましい。
カチオン化澱粉(B)の溶解時の温度に特に限定はないが、溶解速度及び設備の負荷の観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは85℃以上、更に好ましくは90℃以上であり、そして、好ましくは120℃以下、より好ましくは110℃以下、更に好ましくは100℃以下である。
[工程II]
工程IIは、工程Iで得られた溶液に対して(A)成分を構成するモノマー及び重合開始剤を添加して乳化重合を行う工程であって、前記溶液のpHを5.5以上、8.5以下に調整して、(A)成分を構成するモノマーの乳化重合を行う工程である。
本発明において、工程Iで得られた溶液のpHを調整することにより、(A)成分と(B)成分の相互作用を高めることができ、得られるポリマーの希釈安定性を高めることができる。
工程IIにおいては、pHが制御された溶液中で乳化重合を行うことが好ましく、溶液のpHは、工程IIの乳化重合開始前にpH調整剤を用いて制御することが好ましい。
すなわち、工程IIにおいては、前記溶液に対して前記重合開始剤を添加する前に、前記溶液のpHを5.5以上、8.5以下に調整することが好ましい。
工程IIの乳化重合を行う際のpHは、得られるポリマーの希釈安定性を高める観点から、好ましくは5.5以上、より好ましくは6.0以上、更に好ましくは6.5以上であり、そして、好ましくは8.5以下、より好ましくは8.0以下、更に好ましくは7.5以下である。
pH調整剤としては、リン酸バッファー、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸、クエン酸炭酸ナトリウム、及び炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。pH調整剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
pH調整剤を用いる場合、その添加時期は、工程IIの乳化重合開始前であれば特に限定されない。なお、本発明における溶液のpHとは、(A)成分を構成するモノマーの添加前の溶液を、20℃においてpHメーターを使用して測定した値をいう。
工程IIにおいて用いる重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩等のアゾ化合物や、tert−ブチルペルオキシオクトエート、及びジベンゾイルペルオキシド等の有機過酸化物、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の無機化酸化物等の公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。これらの重合開始剤の中でも、アゾ化合物が好ましい。重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤として有機過酸化物を用いる場合は、本発明の重合時の反応混合物の粘度を低く保つ観点から、重合の途中から用いることが好ましい。
重合開始剤の使用量は、(A)成分を構成するモノマーの合計使用量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上、更に好ましくは0.05質量部以上であり、そして、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。
工程IIにおいて、工程Iにおいて得られた溶液に対する(A)成分を構成するモノマーの添加方法に特に限定はなく、各モノマーをそれぞれ個別に添加しても、同時に添加してもよく、また予め両者を混合しておいて添加してもよい。また(A)成分を構成するモノマー及び重合開始剤は、溶液に一括で添加してもよいし、分割、滴下等の方法で添加してもよいが、共重合組成や転化率の観点から滴下して行うことが好ましい。
(A)成分を構成するモノマー及び重合開始剤の添加順序も特に限定されず、重合開始剤の添加は(A)成分を構成するモノマーの添加前であっても、後であっても、又は同時であってもよい。
工程IIにおける乳化重合の温度は、乳化重合の速度、及び乳化状態の安定性の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上、更に好ましくは60℃以上であり、そして、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは85℃以下である。
乳化重合の重合時間は、重合を十分に行う観点、及び生産性の観点から、好ましくは1.5時間以上、より好ましくは2時間以上、更に好ましくは2.5時間以上、より好ましくは3時間以上であり、そして、好ましくは10時間以下、より好ましくは7時間以下、更に好ましくは6時間以下である。
乳化重合は、撹拌しながら行うことが好ましい。撹拌速度は速いほど、より小粒径のポリマーを得ることができるが、過度に撹拌速度を上げるとせん断凝集が発生する。乳化重合はせん断凝集を起こさない速度で撹拌しながら行うことが好ましい。
乳化重合終了後、更に重合開始剤を加えることが残存モノマー量低減の観点から好ましい。
<各成分の含有量>
衣料用仕上げ剤組成物中の(A)成分の含有量は、好ましくは1質量%以上、50質量%以下であり、洗濯1回当たりの前記衣料用仕上げ剤組成物の使用量を低減させる点から、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上、より更に好ましくは10質量%以上である。また衣料用仕上げ剤組成物中の(A)成分の含有量は、仕上げ剤投入口への付着性を低減する観点から、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは25質量%以下、より更に好ましくは20質量%以下である。
(A)成分100質量部に対する(B)成分の量は、(A)成分の乳化安定性と希釈分散性の観点から、好ましくは2質量部以上、より好ましくは2.5質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは4質量部以上、より更に好ましくは5質量部以上であり、そして、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下、より更に好ましくは10質量部以下である。
本発明において(A)成分100質量部に対する(c1)成分の量は、5.5質量部以上、15質量部以下である。(A)成分に対する(c1)成分の量が前記範囲内であれば、(A)成分の希釈安定性がより一層向上する。希釈安定性を向上させる観点から、(A)成分に対する(c1)成分の量は、好ましくは6質量部以上、より好ましくは7質量部以上、更に好ましくは8質量部以上であり、そして、好ましくは14質量部以下、より好ましくは13質量部以下、更に好ましくは12質量部以下、より更に好ましくは11質量部以下、より更に好ましくは10質量部以下である。
(A)成分100質量部に対する(c1)を含む(C)成分の量は、(A)成分の乳化安定性と希釈分散性の観点から、好ましくは5.5質量部以上、より好ましくは8質量部以上、更に好ましくは10質量部以上であり、そして、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。
また、本発明の衣料用仕上げ剤組成物は、(A)成分の仕上げ剤投入口への付着性を低減する観点から、炭素数8以上、18以下の炭化水素基を有する陽イオン性界面活性剤(以下、「(D)成分」ともいう)を含有することが好ましい。炭素数が18を超えると毛羽や毛玉の抑制効果が低下することから、炭化水素基の炭素数は、好ましくは8以上であり、そして、好ましくは14以下、より好ましくは12以下である。具体例としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロリド、パルミチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
(A)成分100質量部に対する(D)成分の量は、毛羽立ち、毛玉の発生を抑制する観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、更に好ましくは1質量部以上、より更に好ましくは2質量部以上であり、そして、好ましくは25質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下、より更に好ましくは8質量部以下である。
また、本発明の衣料用仕上げ剤組成物は、貯蔵安定性の高める観点から、炭素数2以上、6以下の2価以上、6価以下のアルコール(以下、「(E)成分」ともいう)を含有することが好ましい。具体的例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、及びソルビトール等が挙げられる。
さらに、香料、染料、消泡剤、抗菌剤、殺菌剤、酸化防止剤、キレート剤、及び防腐剤等の任意の成分必要に応じて用いることができる。
前記のとおり、本発明の衣料用仕上げ剤組成物は、衣料等の繊維製品の毛羽立ちや毛玉の発生を抑制することができると共に、洗濯機の仕上げ剤投入口使用時に繊維製品に凝集物が付着することがないため、ニット衣料の仕上げに好適に用いることができる。
なお、本明細書において「ニット衣料」とは、ニット(編物)で構成されて衣料をいい、「ニット(編物)」とは糸のループを連結して構成された布をいう。
[衣料の処理方法]
本発明の衣料の処理方法は、下記工程1〜工程4を有するものである。
工程1:前記衣料用仕上げ剤組成物を洗濯機の仕上げ剤保持部に保持させる工程。
工程2:前記衣料用仕上げ剤組成物を保持する仕上げ剤保持部に対して、炭酸塩アルカリ度が10度以上、60度以下である水を投入し、前記衣料用仕上げ剤組成物と水とを接触させる工程。
工程3:工程2の後、仕上げ剤保持部内の前記衣料用仕上げ剤組成物を洗濯槽内に投入する工程。
工程4:洗濯槽内の水浴中において、衣料用仕上げ剤組成物と衣料とを接触させる工程。
工程1:前記本発明の衣料用仕上げ剤組成物を洗濯機の仕上げ剤保持部に保持させる工程。
仕上げ剤保持部に投入される本発明の衣料用仕上げ剤組成物の量は、2g以上、80g以下が一般的であるが、本発明の効果を実感し易くする観点から、好ましくは5g以上、より好ましくは10g以上であり、好ましくは60g以下、より好ましくは50g以下である。
工程2は、前記衣料用仕上げ剤組成物を保持する洗濯機の仕上げ剤保持部に対して、炭酸塩アルカリ度が10度以上、60度以下である水を投入し、前記衣料用仕上げ剤組成物と水とを接触させる工程である。
工程2においては、仕上げ剤保持部内に存在する衣料用仕上げ剤組成物と水とが均一になるように接触させてもよく、衣料用仕上げ剤組成物の一部と水の一部とを接触させるようにしてもよい。仕上げ剤投入口に投入する水の流速は、0.5L/min以上、4L/min以下が好ましい。
また、水の炭酸塩アルカリ度が10度以上、60度以下であれば、本発明の効果を享受できる。なお、本明細書における炭酸塩アルカリ度とは、下記の方法に従って測定された値をいう。
<炭酸塩アルカリ度の測定方法>
検水100mlを200mlビーカーにとり、指示薬としてブロモクレゾールグリーン−メチルレッド・エタノール溶液(和光純薬工業(株)製)を0.15ml加える。この溶液をマグネットスターラーと回転子(長さ30mm、直径8mm)で撹拌しながら(回転数200rpm)、10mmol/l硫酸で、溶液の色が青から赤紫色になるまで滴定する。次式によって炭酸塩アルカリ度を算出する。
炭酸塩アルカリ度(度)=a×10
(aは、滴定に要した10mmol/lの硫酸の量(ml)である。上記の式において、1度は1CaCO3mg/lを意味する。)
工程3は、工程2の後、仕上げ剤保持部内の前記衣料用仕上げ剤組成物を洗濯槽内に投入する工程である。
工程2の後とは、工程2において仕上げ剤保持部内に存在する衣料用仕上げ剤組成物と水とが最初に接触した後を意味する。
この工程3においては、衣料用仕上げ剤組成物が存在する仕上げ剤保持部に更に水を投入することで衣料用仕上げ剤組成物を洗濯槽内に流し出すことが好ましい。
工程4は、洗濯槽内の水浴中において、衣料用仕上げ剤組成物と衣料とを接触させる工程である。
洗濯槽内の水の量は、一般的に浴比で決めることができる。なお、本明細書における「浴比」とは、衣類の質量と水の容量との比、〔水の容量(リットル)〕/〔衣類の質量(kg)〕で表す値をいう。
浴比が小さいと衣類同士の擦れによって、毛羽や毛玉が発生しやすくなる。よって、浴比は、好ましくは10以上、より好ましくは20以上、更に好ましくは30以上であり、
好ましくは90以下、より好ましくは80以下、更に好ましくは60以下である。
衣料用仕上げ剤組成物の使用量は、衣類の質量に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.12質量%以上、更に好ましくは0.15質量%以上であり、そして、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下、更に好ましくは0.6質量%以下である。
また、前記衣料の処理方法で衣料を処理する場合において、前記衣料用仕上げ剤組成物の(A)成分の衣料に対する付着量は、毛羽立ち、毛玉の発生を効果的に抑制する観点から、衣料の質量に対して、好ましくは0.05質量%以上、0.4質量%以下であり、しなやかな風合いの付与と、毛羽や毛玉抑制効果を衣料に付与する観点から、より好ましくは0.08質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.3質量%以下、更に好ましくは0.2質量%以下である。
前記のとおり、本発明の衣料の処理方法は、前記本発明の衣料用仕上げ剤組成物を使用していることから、毛羽立ちや毛玉の発生を抑制することができると共に、洗濯機の仕上げ剤投入口使用時に繊維製品に凝集物が付着することがないため、ニット衣料の仕上げに好適に用いることができる。
まず、以下の合成例にしたがって各成分の合成を行った。なお、(A)成分及び(A)成分の比較化合物である(A’)成分のモノマー組成を表2に示す。
[各成分の合成例]
<(A)成分を含む仕上げ剤原液の調製例>
前記ポリマー(A)[(A)成分]は、カチオン化澱粉(B)及び非イオン界面活性剤(C)の少なくとも一部を含む溶液中で(A)成分を構成するモノマーを重合することで得られる。したがって、本発明の仕上げ剤組成物は、重合後の(A)成分含有溶液をベースにして調製され、本発明では、重合後の(A)成分含有溶液を仕上げ剤原液という場合がある。
調製例1:(a−1)成分含有仕上げ剤原液の調製
〔工程I〕
窒素雰囲気下、反応容器に下記合成例Bで得られたカチオン化澱粉1.1質量部、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製、GL−05)0.2質量部、及びイオン交換水48.7質量部を90℃にて均一溶解したのち60℃まで冷却した。これに、炭素数12の直鎖第1級アルコールにEOを平均12モル付加させた非イオン性界面活性剤(以下、「(c1−1)成分」ともいう)/炭素数12の直鎖第1級アルコールにEOを平均9モル付加させた非イオン性界面活性剤(以下、「(c1−2)」成分ともいう)/炭素数12〜14の第2級アルコールにEOを平均7モル付加させた非イオン性界面活性剤(以下、「(c1−3)成分」ともいう)/炭素数12の直鎖第1級アルコールにEOを平均47モル付加させた非イオン性界面活性剤(以下、「(c2−1)成分」ともいう)の質量比が(31.5/0/65/3.5)になるように予め混合しておいたもの1.68質量部、及びイオン交換水19.4質量部を加え撹拌した。
〔工程II〕
続いて、撹拌しながら、pH調整剤としてリン酸バッファーを用い、pHを7.0に調整した後、アクリル酸n−ブチル0.3質量部、メタクリル酸メチル0.2質量部、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩0.03質量部を加え、75℃に加熱して重合を開始した。重合開始後、5時間かけてメタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸の最終比が(質量比19/75/5/1)になるように予め混合しておいたもの16.2質量部、及び2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩0.05質量部をイオン交換水11.9質量部に溶解した水溶液を反応溶液中に滴下した。滴下終了後、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩0.004質量部を加え、1時間そのまま撹拌を続けた。冷却後、255メッシュにて反応溶液を濾過し、(A)成分の重合体[以下(a−1)成分という]を約20質量%含む仕上げ剤原液を得た。
得られた仕上げ剤原液5gを20mLのメスフラスコに入れ、アセトンでメスアップした後、0.5μmのPTFEメンブランフィルターでろ過した。ろ液を用い、GPCにて分子量を測定したところ、重量平均分子量は33万であった。GPC測定条件を下記に示す。
カラム :α−M+α−M(アニオン)(α−Mを2本連結したもの)
溶離液 :H3PO4(60mmol/L)/LiBr(50mmol/
L)/DMF
流速 :1.0mL/min
カラム温度 :40℃
検出器 :RI
サンプル濃度:5mg/mL
サンプル量 :100μL
調製例2:(a−2)成分含有仕上げ剤原液の調製
メタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸の最終比が(質量比30/64/5/1)になるように、調製例1と同様の方法で合成し(A)成分の重合体[以下(a−2)成分という]を含む仕上げ剤原液を得た。調製例1と同様の方法で分子量を測定したところ、重量平均分子量は34万であった。
調製例3:(a−3)成分含有仕上げ剤原液の調製
メタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸の最終比が(質量比38/56/5/1)になるように、調製例1と同様の方法で合成し(A)成分の重合体[以下(a−3)成分という]を含む仕上げ剤原液を得た。調製例1と同様の方法で分子量を測定したところ、重量平均分子量は35万であった。
調製例4:(a−4)成分含有仕上げ剤原液の調製
工程IIでのpHを6.0に調整し、調製例2と同様の方法で合成し(A)成分の重合体[以下(a−4)成分という]を含む仕上げ剤原液を得た。調製例1と同様の方法で分子量を測定したところ、重量平均分子量は33万であった。
調製例5:(a−5)成分含有仕上げ剤原液の調製
工程IIでのpHを6.5に調整し、調製例2と同様の方法で合成し(A)成分の重合体[以下(a−5)成分という]を含む仕上げ剤原液を得た。調製例1と同様の方法で分子量を測定したところ、重量平均分子量は32万であった。
調製例6:(a−6)成分含有仕上げ剤原液の調製
工程IIでのpHを7.5に調整し、調製例2と同様の方法で合成し(A)成分の重合体[以下(a−6)成分という]を含む仕上げ剤原液を得た。調製例1と同様の方法で分子量を測定したところ、重量平均分子量は33万であった。
調製例7:(a−7)成分含有仕上げ剤原液の調製
工程IIでのpHを8.0に調整し、調製例2と同様の方法で合成し(A)成分の重合体[以下(a−7)成分という]を含む仕上げ剤原液を得た。調製例1と同様の方法で分子量を測定したところ、重量平均分子量は35万であった。
調製例8:(a−8)成分含有仕上げ剤原液の調製
界面活性剤(c1−1)成分/(c1−2)成分/(c1−3)成分/(c2−1)成分の質量比が(質量比0/100/0/0)になるように予め混合しておいたものを用いて、調製例2と同様の方法で合成し(A)成分の重合体[以下(a−8)成分という]を含む仕上げ剤原液を得た。調製例1と同様の方法で分子量を測定したところ、重量平均分子量は33万であった。
調製例9:(a−9)成分含有仕上げ剤原液の調製
界面活性剤(c1−1)成分/(c1−2)成分/(c1−3)成分/(c2−1)成分の質量比が(質量比0/0/75/25)になるように予め混合しておいたものを用いて、調製例2と同様の方法で合成し(A)成分の重合体[以下(a−9)成分という]を含む仕上げ剤原液を得た。調製例1と同様の方法で分子量を測定したところ、重量平均分子量は32万であった。
調製例10:(a−10)成分含有仕上げ剤原液の調製
界面活性剤(c1−1)成分/(c1−2)成分/(c1−3)成分/(c2−1)成分の質量比が(質量比0/0/83/17)になるように予め混合しておいたもの2.08質量部を用いて、調製例2と同様の方法で合成し(A)成分の重合体[以下(a−10)成分という]を含む仕上げ剤原液を得た。調製例1と同様の方法で分子量を測定したところ、重量平均分子量は32万であった。
調製例11:(a−11)成分含有仕上げ剤原液の調製
工程Iにおいて、下記合成例Bで得られたカチオン化澱粉0.83質量部を用いて、調製例2と同様の方法で合成し、(A)成分の重合体[以下(a−11)成分という]を約20質量%含む仕上げ剤原液を得た。
得られた(a−11)成分を約20質量%含む仕上げ剤原液をエバポレーターにて減圧濃縮し、最終的に(a−11)成分の重量が約30質量%の仕上げ剤原液を得た。調製例1と同様の方法で分子量を測定したところ、重合平均分子量は38万であった。
調製例12:(a−12)成分含有仕上げ剤原液の調製
工程Iにおいて、下記合成例Bで得られたカチオン化澱粉0.83質量部、界面活性剤(c1−1)成分/(c1−2)成分/(c1−3)成分/(c2−1)成分の質量比が(質量比31.5/0/65/3.5)になるように予め混合しておいたもの1.12質量部を用いて、調製例2と同様の方法で合成し(A)成分の重合体[以下(a−12)成分という]を含む仕上げ剤原液を得た。調製例1と同様の方法で分子量を測定したところ、重量平均分子量は32万であった。
<(A’)成分((A)成分の比較化合物)の合成例>
比較調製例1:(a’−1)成分含有仕上げ剤原液の調製
工程IIでのpHを5.0に調整し、調製例2と同様の方法で合成し(A)成分の重合体[以下(a’−1)成分という]を含む仕上げ剤原液を得た。調製例1と同様の方法で分子量を測定したところ、重量平均分子量は34万であった。
比較調製例2:(a’−2)成分含有仕上げ剤原液の調製
工程IIでのpHを5.0に調整し、調製例3と同様の方法で合成し(A)成分の重合体[以下(a’−2)成分という]を含む仕上げ剤原液を得た。調製例1と同様の方法で分子量を測定したところ、重量平均分子量は35万であった。
比較調製例3:(a’−3)成分含有仕上げ剤原液の調製
工程IIでのpHを9.0に調整し、調製例2と同様の方法で合成し(A)成分の重合体[以下(a’−3)成分という]を含む仕上げ剤原液を得た。調製例1と同様の方法で分子量を測定したところ、重量平均分子量は35万であった。
比較調製例4:(a’−4)成分含有仕上げ剤原液の調製
メタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルアクリル酸の最終比が(質量比46/48/5/1)になるように、調製例1と同様の方法で合成し(A)成分の重合体[以下(a’−4)成分という]を含む仕上げ剤原液を得た。調製例1と同様の方法で分子量を測定したところ、重量平均分子量は35万であった。
比較調製例5:(a’−5)成分含有仕上げ剤原液の調製
界面活性剤(c1−1)成分/(c1−2)成分/(c1−3)成分/(c2−1)成分の質量比が(質量比0/0/50/50)になるように予め混合しておいたものを用いて、合成例2と同様の方法で合成し(A)成分の重合体[以下(a’−5)成分という]を含む仕上げ剤原液を得た。調製例1と同様の方法で分子量を測定したところ、重量平均分子量は34万であった。
Figure 0006204802
<(B)成分の合成例>
合成例B:(b−1)成分の合成
プロペラ型撹拌羽根、冷却管、温度計がついた500mL容量の4つ口フラスコに苛性ソーダ0.9g、イオン交換水45g、イソプロピルアルコール100gを入れ、25℃に調温した。以下の操作は撹拌条件下で行った。コーンスターチ(三和澱粉工業(株)製)100gを30分かけて投入した。更に苛性ソーダの20質量%水溶液9.7gと3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド150gとの混合物を4つ口フラスコ内に投入した。投入後50℃まで昇温し、10時間撹拌した。次に36質量%塩酸水溶液で反応液のpHを7に調製した後、25℃まで冷却した。更に36質量%塩酸水溶液2.3gを加えた後、40℃まで昇温し、反応液の粘度が50〜100mPa・sになるまで撹拌した。次いで5質量%苛性ソーダ水溶液で反応液のpHを5.0に調整した。この反応物をイソプロピルアルコール/水(質量比50/50)で2回洗浄し、乾燥させカチオン化澱粉[以下(b−1)成分という]を得た。(b−1)成分を標準プルランを標準物質として用い、GPCにて分子量を測定したところ、重量平均分子量は97.2万であった。また、N質量%は0.67質量%であった。
[実施例1〜12、比較例1〜6]
前記調製例1〜12及び比較調製例1〜5で得られた、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び水を含有する仕上げ剤原液をベースに、表3〜4に示す配合量にしたがって衣料用仕上げ剤組成物を調製した。表3〜4の各組成物は、合計で100質量%となる。得られた組成物について、後述の評価方法に沿って、毛羽立ち及び毛玉抑制効果、希釈分散性を評価した。結果を表3〜4に示す。
<(A)成分、(A')成分>
(a−1)〜(a−12):上記調製例1〜12で得られたポリマー
(a'−1)〜(a'−5):上記比較調製例1〜5で得られたポリマー
<(B)成分>
(b−1):上記合成例Bで得られたカチオン化澱粉
(N質量%は0.67質量%、重量平均分子量97.2万)
<(c1)成分>
(c1−1):炭素数12の直鎖第1級アルコールにEOを平均12モル付加させた非イオン性界面活性剤
(c1−2):炭素数12の直鎖第1級アルコールにEOを平均9モル付加させた非イオン性界面活性剤
(c1−3):炭素数12〜14の第2級アルコールにEOを平均7モル付加させた非イオン性界面活性剤
<(c2)成分>
(c2−1):炭素数12の直鎖第1級アルコールにEOを平均47モル付加させた非イオン性界面活性剤
<任意成分>
(d−1):ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド
(e−1):プロピレングリコール
<衣料用仕上げ剤組成物の調製方法>
300mLビーカーに衣料用仕上げ剤組成物の全量が200gになる量のイオン交換水(温度:25℃)を入れた。このビーカーに(D)成分を投入して均一に溶解させた後10分間撹拌した。さらに2cmの羽根が3枚ついたタービン型の撹拌羽根で撹拌(300rpm)しながら上記合成例にて得られた仕上げ剤原液((A)成分と(B)成分と(C)成分)を投入して10分間撹拌した。更に(E)成分と香料を投入して10分間撹拌した。
[衣料用仕上げ剤組成物の処理方法]
<試験布の準備>
T/Cニット布(ポリエステル65質量%、綿35質量%、エアーフライスF401−F11、茶色、マスダ株式会社製)2kgを市販の液体洗剤(花王(株)のアタックバイオジェル(登録商標)、2012年製)を用いて全自動洗濯機(日立アプライアンス(株)、NW−7FT)で5回繰り返し洗濯した(洗剤濃度0.083質量%、水道水(20℃)40L使用、標準コース、洗濯9分−すすぎ2回−脱水6分、浴比1/20)。
洗濯したT/Cニット布を25℃/50%RHの環境下で12時間乾燥させて10×10cm角に裁断し、試験布(X1)とした。
次いで、500mlガラスビーカーに水道水(炭酸塩アルカリ度:37mg/lCaCO3)300g、及び表3〜4に示す実施例1〜12、比較例1〜6の衣料用仕上げ剤組成物0.30gをそれぞれ加えてマグネットスターラーと回転子(クロスヘッド回転子ダブル、型番001.1140、高さ14mm、直径40mm、アズワン製)を使用して10分間撹拌した(回転速度400rpm)。撹拌後、この溶液に試験布(X1)を4枚(10g)入れ、5分間撹拌した(回転速度400rpm)。その後、二層式洗濯機(TOSHIBA VH−52G(H))を用い、試験布(X1)を脱水槽の内壁に貼りつけ2分間脱水し、25℃/50%RHの環境下で12時間乾燥させ、これを試験布(X2)とした。
<毛羽立ち及び毛玉抑制効果の評価法>
表3〜4に示す実施例1〜12、比較例1〜6の衣料用仕上げ剤組成物で処理した各試験布(X2)をアピアランス・リテンションテスター((株)大栄科学精器製作所製、型番「ARP−1」)を用いて荷重3.2Nにて2回転摩擦した。
摩擦した各試験布(X2)の毛羽立ちレベルを以下の基準サンプル1〜4と比較して下記判定基準にて得点をつけて平均点を求めることにより評価した。なお、評価は布帛の外観の評価に5年以上従事した判定者10人(30歳代)により行った。
毛羽立ち抑制効果としては3.5以下が合格であり、好ましくは3.0以下、より好ましくは3.0未満である。
基準サンプル1:未処理の前記T/Cニット布(評価点:0)
基準サンプル2:試験布(X1)(評価点:2.0)
基準サンプル3:実施例2の衣料用仕上げ剤組成物0.2gで処理した試験布
(X2)(評価点:3.5)
基準サンプル4:比較例1の試験布(X2)(評価点:5.0)
〔判定基準〕
0 :基準サンプル1の試験布と同等の外観で、毛羽も毛玉もない。
1.0:基準サンプル1と2の試験布の中間の外観で、極わずかに毛羽立ちが
あるが、毛玉はない。
2.0:基準サンプル2の試験布と同等の外観で、僅かに毛羽立ちがあるが、
毛玉はない。
2.5:基準サンプル2と3の試験布の間の外観であるが、どちらかというと
基準サンプル2の外観に近く、基準サンプル2よりも毛羽立ちは多い
が、毛玉はない。
3.0:基準サンプル2と3の試験布の間の外観であるが、どちらかというと
基準サンプル3の外観に近く、毛羽立ちがあるが、毛玉はない。
3.5:基準サンプル3の試験布と同等の外観で、毛羽立ちはあるが、毛玉は
ない。
4.0:基準サンプル3と4の試験布の間の外観であるが、どちらかというと
基準サンプル3の外観に近く、毛羽立ちがあり、やや毛玉がある。
4.5:基準サンプル3と4の試験布の外観の間であるが、どちらかというと
基準サンプル4の外観に近く、毛羽立ちがあり、毛玉がある。
5.0:基準サンプル4の試験布と同等の外観で、毛羽立ちも毛玉もある。
<希釈分散性の評価法>
準備として、表3〜4に示す衣料用仕上げ剤組成物5gを5mLのプラカップ(ポリプロピレン製、ネオミニカップ、(株)マルエム)に入れたもの(以下、「サンプルカップ」と記載する。)と、200mLプラカップ(ポリプロピレン製、サンプラカップ、(株)サンプラテック)の底部分に直径5mmの穴を4箇所開けたもの(以下、穴あきカップと記載する)を用意した。
高さ45cmの蛇口より、20℃に温調した水道水(炭酸塩アルカリ度:37度(mg/lCaCO3))を流速2.5L/minで流水させた。先に用意した穴あきカップを蛇口から下15cmにカップの底がセットされるように固定した。先に用意したサンプルカップを、蛇口からの水がカップの中を経由するように流水部に当て、仕上げ剤組成物がカップに残らないように流水させると同時に、穴あきカップより落水する水を5Lのたらいで2分間受けた。2分後、水を止め、たらいを5分間静置した。5分後に、予め25℃/50%RHの条件で調湿した200メッシュにて、たらいの中の液をろ過し、105℃の恒温槽で1時間乾燥した。乾燥後のメッシュを25℃/50%RHの条件で調湿し、乾燥前後のメッシュ重量を秤量することにより、組成物から生成した凝集物量を算出した。
凝集物量(%)=[(乾燥後のメッシュ重量(g))−(乾燥前のメッシュ重量(g))]/[(組成物重量(g))×((A)成分配合量(質量%))]×100
希釈分散性としては、凝集物量0.3%以下が合格であり、好ましくは0.2%以下である。
<洗濯機での希釈分散性>
T/Cニット布(ポリエステル65質量%、綿35質量%、エアーフライスF401−F7、黒色、マスダ株式会社製)を幅45cmの筒状のまま長さ60cmに裁断し、試験布(Y1)とした。
全自動洗濯機(TOSHIBA、AW−70DE)に試験布(Y1)を7枚(約1kg)を入れ、柔軟仕上剤の投入口に表3〜4に示す衣料用仕上げ剤組成物を28g投入した後、市販の液体洗剤(花王(株)のエマール(登録商標)、2012年製)を用いて洗濯した(洗剤濃度0.13質量%、水道水(20℃)28L使用、ドライコース、洗濯6分−すすぎ2回−脱水6分、浴比1/30)。洗濯した試験布(Y1)を25℃/50%RHの環境下で12時間乾燥させ、試験布(Y2)とした。
乾燥した試験布(Y2)の表面を観察し、白色の凝集物の付着状態を評価した。洗濯機での希釈分散性は、白色の凝集物が付着した試験布(Y2)の枚数で表し、1枚以下が合格であり、0枚が最も優れている。
Figure 0006204802
Figure 0006204802
以上の結果から明らかなように、本発明の衣料用仕上げ剤組成物は、衣料等の繊維製品の毛羽立ちや毛玉の発生を抑制することができると共に、洗濯機の仕上げ剤保持部使用時に繊維製品に凝集物が付着することがない。

Claims (6)

  1. 炭素数1以上、16以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル(a1)由来の構成単位を70質量%以上、100質量%以下含有し、かつガラス転移温度が−40℃以上、0℃未満であるポリマー(A)、カチオン化澱粉(B)、非イオン性界面活性剤(C)、及び水を含有し、(C)成分が、炭素数8以上、16以下の炭化水素基を少なくとも1つ有し、オキシアルキレン基を平均3モル以上、15モル以下付加したポリオキシアルキレン付加型非イオン性界面活性剤(c1)を含有し、(A)成分100質量部に対する(c1)成分の含有量が5.5質量部以上、15質量部以下である衣料用仕上げ剤組成物の製造方法であって、下記工程I及び工程IIを有する衣料用仕上げ剤組成物の製造方法
    工程I:水系溶媒に対してカチオン化澱粉(B)と非イオン性界面活性剤(C)とを添加して溶液を調製する工程
    工程II:工程Iで得られた溶液に対して(A)成分を構成するモノマー及び重合開始剤を添加して乳化重合を行う工程であって、前記溶液のpHを5.5以上、8.5以下に調整して乳化重合を行う工程
  2. 工程IIにおいて、工程Iで得られた溶液に対して前記重合開始剤を添加する前に、前記溶液のpHを5.5以上、8.5以下に調整する、請求項1に記載の衣料用仕上げ剤組成物の製造方法
  3. 衣料用仕上げ剤組成物が、更に、炭素数8以上、18以下の炭化水素基を有する陽イオン性界面活性剤(D)を含有する、請求項1又は2に記載の衣料用仕上げ剤組成物の製造方法
  4. 衣料用仕上げ剤組成物中の前記(A)成分100質量部に対する前記(B)成分の量が、2質量部以上、50質量部以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の衣料用仕上げ剤組成物の製造方法
  5. 下記工程1〜工程4を有する衣料の処理方法。
    工程1:請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られた衣料用仕上げ剤組成物を洗濯機の仕上げ剤保持部に保持させる工程。
    工程2:前記衣料用仕上げ剤組成物を保持する仕上げ剤保持部に対して、炭酸塩アルカリ度が10度以上、60度以下である水を投入し、前記衣料用仕上げ剤組成物と水とを接触させる工程。
    工程3:工程2の後、仕上げ剤保持部内の前記衣料用仕上げ剤組成物を洗濯槽内に投入する工程。
    工程4:洗濯槽内の水浴中において、衣料用仕上げ剤組成物と衣料とを接触させる工程。
  6. 前記衣料がニット衣料である、請求項5に記載の衣料の処理方法。
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