JP3768180B2 - 金型組立体及び射出成形方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金型組立体及び射出成形方法に関し、より詳しくは、例えば光ディスク基板や導光板といった表面に微細な凹凸部を有する熱可塑性樹脂から成る成形品を成形するための金型組立体及び射出成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に用いられる射出成形法や射出圧縮成形法では、熱可塑性樹脂から成る成形品の転写性を向上させるために、通常、金型温度、樹脂温度及び金型内圧を高くしている。また、射出圧縮成形法は、射出成形法よりも成形品全体に均一に内圧を加えることができるために、成形品全体の転写性を高めることができることも知られている。
【0003】
射出成形法や射出圧縮成形法では、成形品に屡々反りが生じる。反りの発生を抑制するためには、射出成形法よりも射出圧縮成形法を採用する方が、成形品の歪みを低減できるが故に有効である。ところで、成形品に歪みが発生する要因の1つに、金型のキャビティを構成する面(金型のキャビティ面と呼ぶ)と接触した溶融熱可塑性樹脂が急冷、固化される結果、成形品内部に発生した歪みを挙げることができる。このような溶融熱可塑性樹脂の急冷、固化の原因は、金型が鋼材から作製されていることにある。
【0004】
金型のキャビティ面に設けられた凹凸部を成形品表面に転写する場合、凹凸形状がある程度大きいときには、一般的な成形条件であっても、成形条件次第で転写が可能である。しかしながら、成形品に形成すべき凹凸部が小さくなり、あるいは又、深くなってくると、金型のキャビティ面に設けられた凹凸部を成形品表面に忠実に転写させることが困難になってくる。この原因も、金型が鋼材から作製されていることにある。一般に、転写性を向上させるためには、出来るだけ溶融した状態で熱可塑性樹脂を金型のキャビティ面に無理矢理押し付ける必要がある。しかしながら、鋼材は熱伝導率が高いために、溶融熱可塑性樹脂が金型のキャビティ面と接触した瞬間に固化し始めて固化層が形成され、いくら成形機あるいは金型の圧縮によってキャビティ内の溶融熱可塑性樹脂に圧力を加えても、微細な凹凸部を成形品に転写できないという問題がある。
【0005】
例えば、特開平8−318534号公報には、入れ子に熱伝導率の低い素材を使用して、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の急冷、固化を抑制して、優れた外観を有する成形品を成形する方法が提案されている。ここで、入れ子は、セラミックスやガラスから作製されている。
【0006】
光ディスク基板を製造するための成形用金型が、例えば、特公平3−36653号公報から周知である。この公報に記載された成形用金型にあっては、キャビティ面の少なくとも一部が、ロックウェル硬さ(Aスケール)90以上のセラミックス焼結体(より具体的には炭化ケイ素)から構成されており、光ディスク基板の成形時、このキャビティ面にスタンパが取り付けられる。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−318534号
【特許文献1】
特公平3−36653号
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
成形品表面に凹凸部を形成する場合には、入れ子のキャビティを構成する面(入れ子のキャビティ面)に凹凸部を設けておく必要がある。しかしながら、特開平8−318534号に開示された技術にあっては、セラミックスやガラスは硬く、耐薬品性にも優れているため、入れ子のキャビティ面に凹凸部を設けることは極めて困難である。更には、成形品によって凹凸部のパターンを変更する場合、都度、入れ子を作製しなければならず、成形品の製造コストの増加を招く。
【0009】
特公平3−36653号に開示された技術にあっては、キャビティ面を構成する炭化ケイ素の熱伝導率は60(W/m・K)程度である。それ故、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の急冷、固化を抑制することは困難である。
【0010】
また、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の冷却を抑制する方法として、熱伝導率の低い樹脂系素材を金型の内部に配設する方法も考えられるが、樹脂圧力や熱によって、樹脂系素材に設けられた微細な凹凸部が変形してしまい、耐久性に乏しいといった問題を有する。このような樹脂系素材の表面に金属膜を成膜して微細な凹凸の変形を防ぐことも考えられるが、やはり、樹脂系素材自体が変形を起こしたり、金属膜と樹脂系素材との界面に傷が発生し、その傷までが成形品表面に転写されるといった問題がある。
【0011】
従って、本発明の目的は、成形品の反りや歪みを低減することができ、しかも、微細な凹凸部を容易に、且つ、安定して成形品表面に転写可能であり、しかも、耐久性に優れた金型組立体、及び、かかる金型組立体を用いた射出成形方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明の金型組立体は、
(A)第1の金型部及び第2の金型部から成り、型締め時、キャビティが形成される、熱可塑性樹脂製の成形品を成形するための金型と、
(B)第1の金型部の内部に配設された入れ子と、
(C)キャビティに面した入れ子の表面に形成された活性金属層と、
(D)該活性金属層上に形成された金属薄膜と、
(E)該金属薄膜上に着脱自在に載置され、表面に凹凸部が設けられた金属膜から成るスタンパと、
(F)溶融熱可塑性樹脂をキャビティ内に射出するためのゲート部、
を備えた金型組立体であって、
入れ子は、熱伝導率が1.3(W/m・K)乃至6.3(W/m・K)[0.003乃至0.015cal/(cm・s・K)]、ビッカース硬度が550kg/mm2以上、ヤング率が4.9×1010N/m2(0.5×106kgf/cm2)以上、厚さが0.5mm乃至5.0mmの材料から作製されていることを特徴とする。
【0013】
上記の目的を達成するための本発明の金型組立体は、
(A)第1の金型部及び第2の金型部から成り、型締め時、キャビティが形成される、熱可塑性樹脂製の成形品を成形するための金型と、
(B)第1の金型部の内部に配設された入れ子と、
(C)キャビティに面した入れ子の表面に形成された活性金属層と、
(D)該活性金属層上に形成された金属薄膜と、
(E)該金属薄膜上に着脱自在に載置され、表面に凹凸部が設けられた金属膜から成るスタンパと、
(F)溶融熱可塑性樹脂をキャビティ内に射出するためのゲート部、
を備え、
入れ子は、熱伝導率が1.3(W/m・K)乃至6.3(W/m・K)[0.003乃至0.015cal/(cm・s・K)]、ビッカース硬度が550kg/mm2以上、ヤング率が4.9×1010N/m2(0.5×106kgf/cm2)以上、厚さが0.5mm乃至5.0mmの材料から作製されている金型組立体を用いた熱可塑性樹脂の射出成形方法であって、
第1の金型部と第2の金型部とを型締めし、ゲート部から溶融熱可塑性樹脂をキャビティ内に射出した後、キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させ、次いで、型開きを行い、金型から成形品を取り出すことを特徴とする。
【0014】
本発明の金型組立体あるいは射出成形方法(以下、これらを総称して、単に、本発明と呼ぶ場合がある)においては、金属薄膜の表面には硬質の薄膜が形成されていることが好ましい。これによって、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の熱によるスタンパの伸縮に起因した金属薄膜の表面への摩擦によって金属薄膜の表面に傷が発生することを防止することが可能になるし、金型の取り扱いの際に、金属薄膜の表面に傷が付くことを防止することができる。尚、この場合、スタンパは、この薄膜上に着脱自在に載置されている。薄膜を構成する材料として、TiN、TiAlN、TiC、CBN、BN、アモルファスダイヤモンド、CrN及びCrから成る群から選択された材料を挙げることができ、特に、アモルファスダイヤモンド又はTiN、CrNが好ましい。また、薄膜は、少なくとも1層形成されていればよく、多層であってもよい。例えば、TiNから成る薄膜を金属薄膜の表面に形成し、その上にアモルファスダイヤモンドやCrN等の薄膜を形成してもよい。あるいは又、下地層としてSiO2層を金属薄膜の表面に形成し、その上にアモルファスダイヤモンドやTiN、CrN等の薄膜を形成してもよい。金属薄膜の表面に薄膜を形成する方法としては、常圧CVD法や減圧CVD、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法、レーザCVD法等の化学的気相成長法(CVD法)、真空蒸着法やスパッタ法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法、IVD法(イオン・ベーパー・デポジション法)等の物理的気相成長法(PVD法)を挙げることができる。
【0015】
薄膜の厚さは、5×10-7m乃至2×10-5m、好ましくは1×10-6m乃至1.5×10-5m、一層好ましくは2×10-6m乃至1.0×10-5mであることが望ましい。また、薄膜表面の表面粗さRZは、1nm乃至19nm、好ましくは1nm乃至10nmであることが望ましい。ここで、表面粗さRZは、JIS B 0601:2001の規定に基づく。薄膜の厚さが5×10-7m未満の場合、薄膜の強度の低下を招き、成形中に薄膜が金属薄膜の表面から剥離する場合がある。一方、薄膜の厚さが2×10-5mを越えると、薄膜自体に応力が発生するためにクラック等が生じると共に、薄膜の形成に要するコストが上昇し、しかも、薄膜の形成に長時間を要する。更には、薄膜表面の表面粗さを上記のとおりに規定することによってスタンパの薄膜に対する密着性が向上し、成形品の成形中、入れ子からスタンパがずれることを防止し得るし、転写性も向上する。
【0016】
場合によっては、上記の好ましい各種形態を含む本発明においては、金型組立体を、成形品の成形時、キャビティの容積を可変とし得る構造とすることができる。この場合、例えば油圧シリンダーで可動させることができる可動中子を金型組立体に配設すればよい。そして、成形すべき成形品の容積よりもキャビティの容積が大きくなるように、第1の金型部と第2の金型部とを型締めし、該キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出し、熱可塑性樹脂の射出開始前、開始と同時に、射出中に、あるいは射出完了後、キャビティの容積を成形すべき成形品の容積までへの減少を開始する射出圧縮成形法を採用すればよい。尚、キャビティの容積が成形すべき成形品の容積(VM)となる時点を、熱可塑性樹脂の射出中、あるいは射出完了後(射出完了と同時を含む)とすることができる。
【0017】
即ち、上記の好ましい各種形態を含む本発明の射出成形方法においては、かかる構造の金型組立体を使用し、
型締め時、成形すべき成形品の容積(VM)よりもキャビティの容積(VC)が大きくなるように、金型とを型締めし、且つ、キャビティ内における可動中子の配置位置を制御し、
該キャビティ(容積:VC)内に溶融した熱可塑性樹脂を射出し、
熱可塑性樹脂の射出開始前、開始と同時に、射出中に、あるいは射出完了後(射出完了と同時を含む)、可動中子を移動させて、キャビティの容積を成形すべき成形品の容積(VM)までへの減少を開始すればよい。
【0018】
そして、金型は、第1の金型部のパーティング面と第2の金型部とのパーティング面とで印籠構造が形成されている構造とすることが好ましい。ここで、印籠構造とは、第1の金型部のパーティング面と第2の金型部のパーティング面とが対向しており、金型が完全に型締めされていなくともキャビティが形成されるように、僅かなクリアランスをもって第1の金型部のパーティング面と第2の金型部のパーティング面が摺り合うように第1の金型部と第2の金型部が嵌合する構造を指す。尚、場合によっては、第2の金型部に取り付けられた被覆プレートの端面(側面)と第1の金型部に取り付けられた被覆プレートの端面(側面)とで印籠構造が形成されていてもよいし、第1の金型部に取り付けられた被覆プレートの端面(側面)と第2の金型部のパーティング面とで印籠構造が形成されていてもよいし、第1の金型部のパーティング面と第2の金型部に取り付けられた被覆プレートの端面(側面)とで印籠構造が形成されていてもよい。
【0019】
上記の各種形態を含む本発明において、キャビティの一部を構成するとは、成形品の外形を規定するキャビティ面の一部を構成することを意味する。より具体的には、キャビティは、例えば、金型に設けられたキャビティを構成する面(金型のキャビティ面)と、スタンパと、場合によっては、後述する被覆プレートに設けられたキャビティを構成する面(被覆プレートキャビティ面)と、後述する金属製のスリーブから構成されている。
【0020】
本発明においては、第1の金型部を固定金型部とし、第2の金型部を可動金型部とする構成とすることもできるし、第1の金型部を可動金型部とし、第2の金型部を固定金型部とする構成とすることもできる。
【0021】
入れ子を第1の金型部内に配置したとき、入れ子自体の破損を防止する必要がある。入れ子は、硬度が高く、剛性も高い反面、割れたり、欠けたりする可能性がある。例えば、単純に第1の金型部内に入れ子を配置した場合、特に強度の弱い入れ子端部に、型締めの際に圧力が加わり、あるいは、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の圧力が加わる結果、入れ子が破損する虞がある。そこで、入れ子の破損を防止するために、上記の好ましい各種形態を含む本発明においては、第1の金型部若しくは第2の金型部に取り付けられ、キャビティの一部を構成し、入れ子の端部を被覆する被覆プレートを更に備え、入れ子と被覆プレートとの間のクリアランス、あるいは、キャビティに面した入れ子の表面(入れ子のキャビティ面)に着脱自在に載置されたスタンパと被覆プレートとの間のクリアランス、あるいは、入れ子の表面(入れ子のキャビティ面)の上に形成された金属薄膜と被覆プレートとの間のクリアランスは、0.001mm乃至0.02mmである構成とすることが好ましい。
【0022】
クリアランスをこのような範囲とすることで、入れ子に型締め力等が加わらないし、成形品にバリが発生することを防止できる。また、被覆プレートと入れ子のオーバーラップ量(被覆量)は、入れ子端部から0.5mm乃至2mm程度であることが、入れ子端部の弱い部分を確実に被覆するといった観点から望ましい。これ以上のオーバーラップ量(被覆量)になっても特に問題はないが、入れ子を大きく作製しなければならず、また、金属加工も難しくなり、加工精度も低下する虞がある。
【0023】
被覆プレートは金属製とすればよい。被覆プレートは、第1の金型部に取り付けられていてもよいし、第2の金型部に取り付けられていてもよいし、第1の金型部及び第2の金型部に取り付けられていてもよい。第2の金型部に取り付ける場合、型締め時に、上記のクリアランスの範囲を満足すればよい。
【0024】
尚、後述するように、入れ子の端部及び/又は側面をメッキ層で被覆する場合には、入れ子の端部及び/又は側面に破損が発生し難くなるので、被覆プレートを不要とすることが可能となる。あるいは又、被覆プレートを使用する場合、入れ子の端部及び/又は側面に形成されたメッキ層と被覆プレートとの間のクリアランスをゼロとすることもできる。
【0025】
上記の好ましい各種形態を含む本発明において、成形時、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の流動によってスタンパが動かないように、スタンパを、入れ子の周辺部における真空吸着によって金属薄膜上あるいは入れ子のキャビティ面に固定する構成とすることが好ましい。具体的には、入れ子の周辺部に貫通孔部を設け、かかる貫通孔部を塞ぐようにスタンパを金属薄膜上あるいは入れ子のキャビティ面に載置し、貫通孔部を真空吸引装置に接続すればよい。
【0026】
上記の好ましい各種形態を含む本発明において、活性金属層は、Ti、Zr及びBe(活性金属)から成る群から選択された金属と、Ni、Cu、Ag及びFeから成る群から選択された金属との共晶組成物から成り、活性金属層の厚さは、1×10-6m乃至5×10-5m、望ましくは、3×10-6m乃至4×10-5mであることが好ましい。このように活性金属層を入れ子のキャビティ面に形成することによって、入れ子のキャビティ面の上に電気メッキ法にて金属薄膜を成膜することができる。共晶組成物として、より具体的には、例えば、Ti−Ni、Ti−Cu、Ti−Cu−Ag、Ti−Ni−Ag、Zr−Ni、Zr−Fe、Be−Cu、Be−Niを挙げることができる。活性金属層の厚さを1×10-6m乃至5×10-5mとすることによって、高い導電性を有する活性金属層を得ることができ、即ち、非導電性の入れ子に対して導電性を付与することができ、金属薄膜を例えば電気メッキ法にて成膜することが可能となる。しかも、入れ子に対する活性金属層の密着性向上を図ることができ、更には、入れ子のキャビティ面に活性金属層を形成する際に活性金属層の収縮により反りが発生するといった問題の発生を防止することができる。尚、活性金属層を共晶組成物から構成することによって、耐熱性、機械的強度、電気的特性に優れた活性金属層が得られると共に、低温での焼き付けが可能となる。
【0027】
活性金属層を形成する方法として、活性金属ソルダー法を挙げることができる。活性金属ソルダー法を採用することによって、活性金属層は、入れ子のキャビティ面に対して高い密着性を得ることができる。また、入れ子に対して金属薄膜が高い密着力を得られるようになる。ここで、活性金属ソルダー法とは、活性金属層を構成する金属材料から成るペーストを、例えばスクリーン印刷法によって入れ子の表面に塗布し、真空中あるいは不活性ガス中で約800゜C〜1000゜Cの高温で焼き付ける方法を指す。
【0028】
活性金属層の表面粗さRZは、0.5μm乃至5μm、好ましくは1μm乃至2μmであることが望ましい。活性金属層の表面粗さRZをこのように規定することで、金属薄膜を均一に形成することができるし、例えばメッキ法に基づき金属薄膜を形成するとき、ピンホールの減少を図ることができ、更には、平面度が向上することでその後の後工程を簡略化することができる。
【0029】
本発明において、金属薄膜は、Cr、Cr化合物、Ni及びNi化合物から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成ることが好ましい。金属薄膜は、1層から構成してもよいし、複数層から構成してもよい。Cr化合物として、具体的には、ニッケル−クロム合金を挙げることができる。また、Ni化合物として、具体的には、ニッケル−鉄合金、ニッケル−コバルト合金、ニッケル−錫合金、ニッケル−リン合金(Ni−P系)、ニッケル−鉄−リン合金(Ni−Fe−P系)、ニッケル−コバルト−リン合金(Ni−Co−P系)を挙げることができる。
【0030】
金属薄膜の厚さは、5×10-6m乃至2×10-4m、好ましくは3×10-5m乃至1×10-4mであることが望ましい。金属薄膜の厚さが5×10-6m未満では、金属薄膜自体の強度不足により、スタンパとの接触抵抗等の影響で剥離やクラックが発生するといった問題が生じる虞がある。一方、金属薄膜の厚さが2×10-4mを超えると、入れ子全体としての断熱性が低下し、転写性が悪くなるといった問題が生じる虞がある。また、金属薄膜の表面粗さRZは、1nm乃至50nm、好ましくは1nm乃至20nmであることが望ましい。金属薄膜の表面粗さRZをこのように規定することで、スタンパとの密着性が向上するため、スタンパがずれ難くなるし、金属薄膜の粗さが粗い場合に発生する成形品への粗さの転写を防止することができる。尚、金属薄膜上に薄膜を形成する場合にも、金属薄膜の表面粗さRZを、1nm乃至50nm、好ましくは1nm乃至20nmとすることが望ましい。
【0031】
本発明においては、活性金属層が形成されているが故に、金属薄膜を電気メッキ法によって活性金属層上に容易に成膜することができる。但し、金属薄膜の形成方法は電気メッキ法に限定するものではなく、その他、無電解メッキ法、化学メッキ法等、あるいは、無電解メッキ法や化学メッキ法と電気メッキ法の組合せによっても活性金属層上に金属薄膜を成膜することができる。これらの場合、金属薄膜は、少なくとも活性金属層上に成膜されていればよく、例えば、活性金属層上だけでなく入れ子の表面に延在するように成膜されていてもよい。
【0032】
本発明において、スタンパは、Cr、Cr化合物、Ni及びNi化合物から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成ることが好ましい。スタンパを、1層から構成してもよいし、複数層から構成してもよい。Cr化合物として、具体的には、ニッケル−クロム合金を挙げることができる。また、Ni化合物として、具体的には、ニッケル−鉄合金、ニッケル−コバルト合金、ニッケル−錫合金、ニッケル−リン合金(Ni−P系)、ニッケル−鉄−リン合金(Ni−Fe−P系)、ニッケル−コバルト−リン合金(Ni−Co−P系)を挙げることができる。
【0033】
スタンパの厚さは、0.01mm乃至0.4mm、好ましくは0.1mm乃至0.3mmであることが望ましい。スタンパの厚さが0.01mm未満では、転写性が向上する傾向にはあるが、スタンパの耐久性が乏しくなるために、スタンパの破損や変形が生じる虞がある。一方、スタンパの厚さが0.4mmを超えると、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の冷却が促進されるために、転写性が劣る傾向になる。尚、スタンパの厚さとは、スタンパの底面から凹凸部の凸部頂面までの高さを意味する。
【0034】
本発明においては、スタンパの表面に凹凸部が設けられているが、かかる凹凸部の形成形態として、平坦な金属膜の表面に凸部が形成されている形態、平坦な金属膜の表面に凹部が形成されている形態、平坦な金属膜の表面に凸部と凹部の組合せが形成されている形態を挙げることができる。スタンパの作製方法として、平滑なガラス面をマザー型として使用し、電鋳法により作製する方法を挙げることができる。この場合、平坦な金属膜の表面に凹凸部を設ける方法として、レーザを用いる方法、機械加工等によって金属膜の表面に加工を施す方法を挙げることができる。また、表面に凹凸部が設けられた金属膜から成るスタンパの作製方法として、ガラス面にフォトレジストを用いて凹凸部を設けたマザー型を使用し、電鋳法により作製する方法を挙げることができる。
【0035】
本発明にあっては、入れ子を安全、且つ、精度良く第1の金型部内に配置するため、入れ子の端部及び/又は側面に厚めのメッキ層を形成し、このメッキ層を機械加工することで、入れ子と被覆プレートとの間のクリアランスの調整、あるいは、入れ子と第2の金型部との間のクリアランスの調整を比較的容易に行うことができ、精度の高い入れ子を作製することができる。また、この場合、入れ子の端部及び/又は側面にメッキ層を形成すれば、強度の弱い入れ子の端部を保護できるため、クリアランスを限り無くゼロとしても、入れ子に負荷を加えること無く型組みすることが可能となる。メッキ層は、例えば、ニッケル、ニッケル化合物、クロム及びクロム化合物から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から構成することができる。メッキ層は1層から構成してもよいし、多層から構成してもよい。メッキ層の形成のためには、例えば、メッキ層を形成すべき入れ子の部分に、入れ子のキャビティ面に形成された活性金属層から延在する活性金属層を形成すればよい。
【0036】
場合によっては、導電性を有する材料から入れ子を作製することによって、電気メッキ法にてメッキ層を成膜することが可能となる。このような材料として、体積固有抵抗値が1×109Ω・cm以下、好ましくは1×104Ω・cm以下の導電性ジルコニアを挙げることができる。導電性ジルコニアの体積固有抵抗値が1×109Ω・cmを越えると、ジルコニアが電気絶縁体となるため、入れ子の表面にメッキ層を直接成膜することが困難となる。導電性ジルコニアの体積固有抵抗値の下限値は、1×10-4Ω・cmであることが望ましい。ジルコニアを導電性とするためには、ジルコニアに導電性付与剤を添加すればよい。導電性付与剤として、Fe23、NiO、Co34、Cr23、TiO2、TiNの内の少なくとも1種類を挙げることができ、あるいは又、導電性付与剤として、TiC、WC、TaC等の炭化物の内の少なくとも1種類を挙げることもできる。導電性ジルコニアにおける導電性付与剤の含有量は、10重量%以上であることが望ましい。10重量%未満では、体積固有抵抗値を1×109Ω・cm以下とすることが困難な場合がある。一方、導電性付与剤を多量に添加すれば、ジルコニアの体積固有抵抗値は下がるが、得られた焼結体である入れ子の強度が損なわれてしまう。それ故、40重量%以下とすることが望ましい。尚、導電性ジルコニアとして、例えば、導電性付与剤を添加した部分安定化ジルコニアを挙げることができる。尚、入れ子の端部及び/又は側面にメッキ層を形成するためには、メッキ層を形成すべき入れ子の部分以外の部分にマスクを施し、露出した入れ子の部分にメッキ層を形成すればよい。
【0037】
本発明において、成形すべき成形品(例えば、光ディスク基板)の形状に依っては、入れ子の中央部に貫通孔が設けられており、第1の金型部には、貫通孔近傍のスタンパの部分を被覆するための金属製のスリーブが貫通孔を通して装着されており、スリーブ先端部とスタンパの該部分との間のクリアランスは5μm乃至30μmである構成とすることもできる。一般に、金属製のスリーブは入れ子よりも大きな線膨張率を有するので、成形時に温度が上昇したとき、入れ子にスリーブから応力が加わる場合がある。従って、スリーブ先端部とスタンパの該部分との間のクリアランスが5μm未満であると、入れ子に応力が加わる虞がある。一方、30μmを超えるとガタが多くなるため、精度が悪くなる虞がある。
【0038】
尚、入れ子に設けられた貫通孔の内壁に、無電解メッキ法及び電気メッキ法にて(入れ子を構成する材料によっては、あるいは活性金属層が形成されている場合には、電気メッキ法のみで)、金属層を形成してもよい。金属層を形成する場合にも、やはり、上述のクリアランスが必要とされる。
【0039】
本発明における入れ子を構成する材料は、鋼材の熱伝導率より小さく、使用する熱可塑性樹脂の熱伝導率より大きい熱伝導率を有する材料であればよく、具体的には、上述した範囲を有することが要求される。入れ子を構成する材料の熱伝導率が6.3(W/m・K)[0.015cal/(cm・s・K)]を超えると、溶融熱可塑性樹脂の固化が促進されるため、スタンパの表面に設けられた凹凸部を成形品表面に転写させることが困難となる。一方、1.3(W/m・K)[0.003cal/(cm・s・K)]未満の場合、入れ子の断熱効果が高くなりすぎ、冷却が長くなり、成形サイクルの長時間化を招くといった問題がある。
【0040】
入れ子あるいは後述する第2の入れ子は、広く、ジルコニア系材料、部分安定化ジルコニア、アルミナ系材料、K2O−TiO2から成る群から選択されたセラミックス、若しくは、ソーダガラス、石英ガラス、耐熱ガラス及び結晶化ガラスから成る群から選択されたガラスから作製することが望ましい。より具体的には、入れ子あるいは第2の入れ子を構成する具体的な材料として、ZrO2、ZrO2−CaO、ZrO2−Y23、ZrO2−MgO、ZrO2−SiO2、ZrO2−CeO2、K2O−TiO2、Al23、Al23−TiC、Ti32、3Al23−2SiO2、MgO−SiO2、2MgO−SiO2、MgO−Al23−SiO2及びチタニアから成る群から選択されたセラミックス、若しくは、石英ガラス及び結晶化ガラスから成る群から選択されたガラスを挙げることができる。
【0041】
部分安定化ジルコニアにおける部分安定化剤は、カルシア(酸化カルシウム,CaO)、イットリア(酸化イットリウム,Y23) 、マグネシア(酸化マグネシウム,MgO)、シリカ(酸化珪素,SiO2)及びセリア(酸化セリウム,CeO2)から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成ることが好ましい。ジルコニア中に含有される部分安定化剤の割合は、部分安定化剤がカルシアの場合、3モル%乃至15モル%、好ましくは6モル%乃至10モル%、イットリアの場合、1モル%乃至8モル%、好ましくは2モル%乃至5モル%、マグネシアの場合、4モル%乃至15モル%、好ましくは8モル%乃至10モル%、セリアの場合、3モル%乃至18モル%、好ましくは6モル%乃至12モル%であることが望ましい。
【0042】
焼結温度抑制剤を3重量%以下の範囲で導電性ジルコニアや部分安定化ジルコニアに含有させてもよい。導電性付与剤としてFe23、NiO、Co24、Cr23、TiO2、TiNを用いる場合、焼成温度抑制剤としてCa、K、Na、Mg、Zn、Sc等の酸化物を挙げることができ、導電性付与剤としてTiC、WC、TaC等の炭化物を用いる場合、焼成温度抑制剤としてAl23、TiO2を挙げることができる。これらの焼成温度抑制剤を3重量%以下の範囲で含有させれば、焼成温度を下げて、ジルコニア及び導電性付与剤の粒成長を抑えることができるため、入れ子の曲げ強度や硬度といった機械的特性を高めることができる。
【0043】
本発明においては、第2の金型部の内部に配設され、キャビティの一部を構成する第2の入れ子を更に備えていてもよい。この場合、第2の入れ子を、第1の金型部の内部に配設された入れ子と同じ表面構造(即ち、キャビティに面した第2の入れ子の表面に活性金属層が形成され、この活性金属層上に金属薄膜が形成され、場合によっては、この金属薄膜上に薄膜が形成された構造)とすることができるし、異なる構造であってもよい。場合によっては、第2の入れ子を金属から作製してもよい。
【0044】
入れ子あるいは第2の入れ子(以下、これらを総称して、入れ子等と呼ぶ)を結晶化ガラスから作製する場合、入れ子等を、結晶化度が10%以上、更に望ましくは結晶化度が60%以上、一層望ましくは結晶化度が70〜100%の結晶化ガラスから作製することが好ましい。10%以上の結晶化度になると結晶がガラス全体に均一に分散するので、熱衝撃強度及び界面剥離性が飛躍的に向上するため、成形品の成形時における入れ子等の破損発生を著しく低下させることができる。結晶化度が10%未満では、成形時にその表面から界面剥離を起こし易いといった欠点がある。尚、入れ子等を構成する結晶化ガラスの線膨張係数が1×10-6/K以下、熱衝撃強度が400゜C以上であることが好ましい。
【0045】
熱衝撃強度とは、所定の温度に加熱した100mm×100mm×3mmのガラスを25゜Cの水中に投げ込んだとき、ガラスに割れが発生するか否かの温度を強度として規定したものである。熱衝撃強度が400゜Cであるとは、400゜Cに熱した100mm×100mm×3mmのガラスを25゜Cの水中に投げ込んだとき、ガラスに割れが発生しないことを意味する。この熱衝撃強度は、耐熱ガラスにおいても180゜C前後の値しか得られない。従って、それ以上の温度で溶融熱可塑性樹脂が入れ子等と接触したとき、入れ子等に歪みが生じ、入れ子等が破損する場合がある。熱衝撃強度は、ガラスの結晶化度とも関係し、10%以上の結晶化度を有する結晶化ガラスから入れ子等を作製すれば、成形時に入れ子等が割れることを確実に防止し得る。
【0046】
ここで、結晶化ガラスとは、原ガラスに少量のTiO2及びZrO2の核剤を添加し、1600゜C以上の高温下で溶融した後、プレス、ブロー、ロール、キャスト法等によって成形され、更に結晶化のために熱処理を行い、ガラス中にLi2O−Al23−SiO2系結晶を成長させ、主結晶相がβ−ユークリプタイト系結晶及びβ−スポジュメン結晶が生成したものを例示することができる。あるいは又、CaO−Al23−SiO2系ガラスを1400〜1500゜Cで溶融後、水中へ移して砕いて小粒化を行った後、集積し、耐火物セッター上で板状に成形後、更に加熱処理を行い、β−ウォラストナイト結晶相が生成したものを例示することができる。更には、SiO2−B23−Al23−MgO−K2O−F系ガラスを熱処理して雲母結晶を生成させたものや、核剤を含むMgO−Al23−SiO2系ガラスを熱処理してコーディエライト結晶が生成されたものを例示することができる。
【0047】
結晶化ガラスにおいては、ガラス基材中に存在する結晶粒子の割合を結晶化度という指標で表すことができる。そして、X線回折装置等の分析機器を用いて非晶相と結晶相の割合を測定することで結晶化度を測定することができる。
【0048】
キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の圧力や熱膨張及び収縮により入れ子のキャビティ面に傷が発生することを防止するといった観点から、入れ子を構成する材料のビッカース硬度は、スタンパよりかなり硬度的に高くなければならず、550kg/mm2以上、好ましくは700kg/mm2以上、一層好ましくは800kg/mm2以上、更に一層好ましくは900kg/mm2以上であることが要求される。入れ子のビッカース硬度が550kg/mm2未満では、成形を繰り返すうちに入れ子のキャビティ面に傷が発生して、その傷が成形品表面に転写されるといった問題が生じ得る。尚、ビッカース硬度は、JIS R1610に規定された方法にて測定することができる。
【0049】
入れ子を構成する材料のヤング率は、4.9×1010N/m2(0.5×106kgf/cm2)以上、好ましくは14.7×1010N/m2(1.5×106kgf/cm2)以上であることが要求される。ヤング率が4.9×1010N/m2未満の場合、溶融熱可塑性樹脂の圧力によって入れ子のキャビティ面が変形する虞があり、その結果、成形品に歪みが発生する場合がある。
【0050】
入れ子あるいは第2の入れ子の厚さは、0.5mm乃至5.0mm、好ましくは2.0mm乃至4.0mmであることが望ましい。入れ子等の厚さが0.5mm未満では、入れ子等の断熱性が不足し、転写性が向上できず、あるいは又、入れ子等の剛性不足により、成形品に反りが生じたり、入れ子等に破損等が発生する虞がある。一方、入れ子等の厚さが5.0mmを超えると、断熱効果が高くなりすぎるために、成形サイクルの長時間化に繋がるといった問題が発生する。ここで、入れ子等の厚さと熱伝導率の関係は、転写性向上と成形サイクルの短縮化を考慮し、薄い入れ子等を用いる場合には熱伝導率の低い材料から入れ子等を作製し、厚い入れ子等を用いる場合には熱伝導率の高い材料から入れ子等を作製することが好ましい。
【0051】
研削加工等によって所定形状に加工した後、入れ子等の装着時に入れ子等が金型部に設けられた装着部から落下して破損する虞がない場合、あるいは又、接着剤を用いることなく入れ子等を装着部に装着可能な場合には、接着剤を用いずに入れ子等を金型部に設けられた装着部に直接装着することができる。あるいは又、エポキシ系、シリコーン系、ウレタン系、アクリル系等の中から選択された熱硬化性接着剤を用いて、入れ子等を装着部に接着してもよいし、ボルト等によって入れ子等を装着部に接着してもよい。尚、装着部が設けられた装着用中子を金型部に取り付け、かかる装着用中子の装着部に入れ子等を装着してもよい。
【0052】
応力の集中を回避するために、入れ子等の端部(エッジ部)に、0.1mm乃至1mmのC面カットを施し、あるいは、曲面を付してもよい。
【0053】
本発明の射出成形方法において成形される成形品として、光ディスク基板を例示することができる。そして、光ディスク基板を成形する場合、スタンパの表面に設けられた凹凸部は、光ディスク基板においてトラックピッチが0.76μm以下であるグルーブ又はピットを形成するために設けられている構成とすることが好ましい。
【0054】
本発明での使用に適した熱可塑性樹脂として、結晶性熱可塑性樹脂や非晶性熱可塑性樹脂を挙げることができ、具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6等のポリアミド系樹脂;ポリオキシメチレン(ポリアセタール,POM)樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等のポリエステル系樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂といったスチレン系樹脂;メタクリル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;変性PPE樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアミドイミド樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂;液晶ポリマーを例示することができる。尚、成形品を光ディスク基板や導光板とする場合、熱可塑性樹脂として透明なポリカーボネート樹脂を使用することが好ましい。
【0055】
更には、本発明においては、ポリマーアロイ材料から成る熱可塑性樹脂を用いることができる。ここで、ポリマーアロイ材料は、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたもの、又は、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂を化学的に結合させたブロック共重合体若しくはグラフト共重合体から成る。ポリマーアロイ材料は、単独の熱可塑性樹脂のそれぞれが有する特有な性能を合わせ持つことができる高機能材料として広く使用されている。少なくとも2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料を構成する熱可塑性樹脂として、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AS樹脂といったスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;メタクリル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6等のポリアミド系樹脂;変性PPE樹脂;ポリブチレンテレフタレート樹脂やポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂;ポリオキシメチレン樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリイミド樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂を挙げることができる。2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料として、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂とのポリマーアロイ材料を例示することができる。尚、このような樹脂の組合せを、ポリカーボネート樹脂/ABS樹脂と表記する。以下においても同様である。更に、少なくとも2種類の熱可塑性樹脂をブレンドしたポリマーアロイ材料として、ポリカーボネート樹脂/PET樹脂、ポリカーボネート樹脂/PBT樹脂、ポリカーボネート樹脂/ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂/PBT樹脂/PET樹脂、変性PPE樹脂/HIPS樹脂、変性PPE樹脂/ポリアミド系樹脂、変性PPE樹脂/PBT樹脂/PET樹脂、変性PPE樹脂/ポリアミドMXD6樹脂、ポリオキシメチレン樹脂/ポリウレタン樹脂、PBT樹脂/PET樹脂を例示することができる。
【0056】
尚、以上に説明した各種の熱可塑性樹脂に、安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、染顔料等を添加することができるし、ガラスビーズ、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム等の無機充填材、あるいは有機充填材を添加することもできる。
【0057】
本発明においては、入れ子を構成する材料の熱伝導率及び厚さを規定するが故に、スタンパと接触した溶融熱可塑性樹脂に固化層が形成されることを回避でき、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の急冷を防ぐことができる。また、入れ子を構成する材料のビッカース硬度及びヤング率を規定するが故に、成形を繰り返すうちに入れ子のキャビティ面に傷が発生して、その傷が成形品表面に転写されるといった問題や、入れ子のキャビティ面の変形といった問題の発生を確実に回避することができる。しかも、キャビティに面した入れ子の表面に、表面に凹凸部が設けられた金属膜から成るスタンパを載置するので、微細な凹凸部を成形品表面に転写することができる。そして、金型組立体の耐久性に優れるばかりか、成形品の反りや歪みを低減することができ、しかも、微細な凹凸部を容易に、且つ、安定して成形品表面に転写することができる。
【0058】
更には、キャビティに面した入れ子の表面に活性金属層が形成されているので、その上に金属薄膜を例えば電気メッキ法にて容易に形成することが可能となる。また、金属膜から成るスタンパが金属薄膜上に載置されているので、入れ子のキャビティ面に傷が発生することを確実に防止することができる。
【0059】
【実施例】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
【0060】
(実施例1)
実施例1は、本発明の金型組立体及び射出成形方法に関する。実施例1の金型組立体の模式的な断面図を図1に示し、入れ子の端部近傍を拡大した模式的な一部断面図を図2の(A)に示し、入れ子の模式的な断面図を図2の(B)に示す。
【0061】
実施例1の金型組立体は、第1の金型部(固定金型部)10及び第2の金型部(可動金型部)11から成り、型締め時、キャビティ13が形成される、熱可塑性樹脂製の成形品を成形するための金型と、第1の金型部10の内部に配設された入れ子20(以下、便宜上、第1の入れ子20と呼ぶ)と、キャビティ13に面した第1の入れ子20の表面(第1の入れ子20のキャビティ面21と呼ぶ)に形成された活性金属層25と、活性金属層25上に形成された金属薄膜26と、金属薄膜26上に着脱自在に載置され、表面に凹凸部が設けられた金属膜から成るスタンパ28と、溶融熱可塑性樹脂をキャビティ13内に射出するためのゲート部12を備えている。尚、図1及び図2の(A)においては、スタンパ28の表面に設けられた凹凸部の図示を省略した。実施例1の金型組立体は、更に、第1の金型部10にボルト41を用いて取り付けられ、キャビティ13の一部を構成し、第1の入れ子20の端部を被覆する被覆プレート40を備えている。また、実施例1の金型組立体は、第2の金型部11の内部に配設された第2の入れ子30を更に備えている。
【0062】
第1の入れ子20は、結晶化ガラスから作製されており、その熱伝導率は1.51(W/m・K)[0.0036cal/(cm・s・K)]であり、ビッカース硬度は800kg/mm2であり、ヤング率は8.8×1010N/m2(0.9×106kgf/cm2)であり、厚さは3mmである。第1の入れ子20の形状は、直径124.8mmの円形であり、中央部には直径35.6mmの貫通孔22が設けられている。第1の入れ子20の端部(エッジ部)、及び、貫通孔22の端部(エッジ部)には、0.3mmのC面カットが施されており、応力の集中を回避している。また、第1の入れ子20のキャビティ面21は研磨されており、その表面粗さRZは1.5μmである。
【0063】
活性金属層25は、第1の入れ子20のキャビティ面21だけでなく、貫通孔22の内壁にも形成されており、厚さ40μmのTi−Cu−Agから成る。また、活性金属層25上に形成された金属薄膜26は、厚さ60μmのNi−Pメッキ薄膜から成る。活性金属層25の表面粗さRZは1.2μmであり、金属薄膜26の表面粗さRZは20nmである。
【0064】
活性金属層25を、焼き付け温度850゜Cの活性金属ソルダー法によって形成した。その後、無電解メッキ法に基づき活性金属層25上にNi−Pメッキ薄膜から成る金属薄膜26を成膜した。そして、第1の入れ子20全体の外形が、直径124.8mm、貫通孔22の直径が35.4mm、厚さが3.1mmとなるように、金属加工機にて金属薄膜26の切削及び研削加工を行った。
【0065】
金属薄膜26上にはスタンパ28が着脱自在に載置されている。このスタンパ28は、厚さが0.3mmのニッケル(Ni)膜から成り、直径が124.8mmであり、中央部には直径35.5mmの穴が設けられている。また、キャビティ13に面するスタンパ28の表面には、トラックピッチ0.70μm、グルーブ高さ150nmの微細な凹凸部を成形品に形成するために、微細な凹凸部が設けられている。一方、第1の入れ子20に面するスタンパ28の裏面は平坦である。スタンパ28を、ガラス面にフォトレジストを用いて凹凸部を設けたマザー型を使用し、電鋳法により作製した。尚、凹凸部をグルーブ部のみに設けた。
【0066】
第2の入れ子30は、部分安定化ジルコニア(ZrO2−Y23)から作製されており、その熱伝導率は4.2(W/m・K)[0.01cal/(cm・s・K)]であり、ビッカース硬度は1200kg/mm2であり、ヤング率は20.6×1010N/m2(2.1×106kgf/cm2)であり、厚さは3mmである。尚、ジルコニアZrO2中に含有される部分安定化剤であるイットリアY23は3モル%である。第2の入れ子30の形状は、直径120.6mmの円形であり、中央部には直径30.7mmの貫通孔が設けられている。第2の入れ子30の端部(エッジ部)、及び、貫通孔の端部(エッジ部)には、0.3mmのC面カットが施されており、応力の集中を回避している。第2の入れ子30のキャビティに面した表面(第2の入れ子30のキャビティ面)は研磨されており、その表面粗さRZは1.5μmである。
【0067】
第2の入れ子30のキャビティ面、側面、及び、貫通孔の内壁には、Ti−Cu−Agから成る活性金属層32が形成されている。活性金属層32の厚さは40μmである。活性金属層32を、焼き付け温度850゜Cの活性金属ソルダー法によって形成した。その後、ニッケルメッキを施し、活性金属層32上にニッケル(Ni)から成る第2の金属薄膜31を成膜した。そして、第2の入れ子30全体の外形が、直径120.8mm、貫通孔の直径が30.5mm、厚さが3.1mmとなるように、金属加工機にて第2の金属薄膜31の切削及び研削加工を行った。第2の金属薄膜31のキャビティ13に面した表面は平坦である。
【0068】
実施例1においては、スタンパ28を金属薄膜26上に着脱自在に載置するので、成形時、キャビティ13内に射出された溶融熱可塑性樹脂の流動によってスタンパ28が動かないように、スタンパ28を、第1の入れ子20の周辺部における真空吸着によって第1の入れ子20のキャビティ面21(より具体的には、金属薄膜26上)に固定する。具体的には、図2の(A)に示すように、第1の入れ子20の周辺部に複数の貫通孔部23を設け、かかる貫通孔部23を塞ぐようにスタンパ28を金属薄膜26上に載置する。貫通孔部23は、第1の金型部10に設けられた孔部14を介して真空吸引装置(図示せず)に接続されている。尚、貫通孔部23の内壁に、活性金属層25及び金属薄膜26が形成されていてもよい。
【0069】
第1の金型部10、第2の金型部11、及び、被覆プレート40を鋼材から作製した。そして、第1の入れ子20をエポキシ系接着剤を用いて第1の金型部10に固定した。その後、金属薄膜26上にスタンパ28を載置した。そして、第1の入れ子20の端部上におけるスタンパ28と被覆プレート40との間のクリアランスC1が0.005mmとなるように、また、オーバーラップ量(被覆量)OLが2mmとなるように、被覆プレート40をボルト41を用いて第1の金型部10に取り付けた。次に、鋼材から作製したスリーブ50(便宜上、第1のスリーブ50と呼ぶ)を、第1の入れ子20の中央部に設けられた貫通孔22を通して第1の金型部10に装着した。第1のスリーブ50の先端部によって貫通孔22の近傍のスタンパ28の部分は被覆される。スリーブ50の先端部の外径を35.48mmとした。第1のスリーブ50の先端部とスタンパ28のこの部分との間のクリアランスC2を5μmとした。また、第1の入れ子20に設けられた貫通孔22と第1のスリーブ50との間のクリアランスは10μmであった。第1のスリーブ50内にゲート部12を配設した。尚、スタンパ28は、第1のスリーブ50によっても金属薄膜26に対して固定されている。
【0070】
一方、第2の入れ子30をエポキシ系接着剤を用いて第2の金型部11に固定した。そして、鋼材から作製した第2のスリーブ51を、第2の入れ子30の中央部に設けられた貫通孔を通して第2の金型部11に装着した。第2の入れ子30に設けられた貫通孔の内壁の第2の金属薄膜31と第2のスリーブ51との間のクリアランスは10μmであった。
【0071】
こうして得られた金型組立体を用いて、光ディスク基板を射出成形した。光ディスク基板を成形するにあたって、キャビティ13の大きさを、直径120mm、厚さ0.6mmとした。成形機として、住友重機械工業株式会社製SD40を使用し、熱可塑性樹脂として、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製ポリカーボネート樹脂(ユーピロンH4000)を使用した。そして、第1の金型部10と第2の金型部11とを型締めし、孔部14、貫通孔部23を介して真空吸引装置(図示せず)により、金属薄膜26上に載置されたスタンパ28を真空吸着した。そして、溶融熱可塑性樹脂温度360゜C、金型温度100゜C、保持圧力50MPa、型締め圧20トンの条件にて、キャビティ13内にゲート部12から溶融熱可塑性樹脂を射出した後、キャビティ13内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させ、次いで、型開きを行い、金型から成形品(光ディスク基板)を取り出した。
【0072】
得られた光ディスク基板の表面における凹凸部の転写率は95%であった。ここで、転写率とは、(成形品表面の凹凸部高さ平均値)/(金属膜に設けられた凹凸部高さ平均値)×100で規定される値である。光ディスク基板には反りが殆ど認められなかった。1万回、射出成形を行ったが、第1の入れ子20、金属薄膜26、スタンパ28、第2の入れ子30、第2の金属薄膜31に損傷や傷の発生は認められなかった。
【0073】
尚、第1の入れ子20を結晶化ガラスから作製する代わりに、第2の入れ子30と同様に、部分安定化ジルコニアから作製してもよい。
【0074】
(比較例1)
比較例1においては、第1の入れ子及び第2の入れ子を鋼材(商品名:STAVAX)から作製した。鋼材の熱伝導率は41.8(W/m・K)[0.1cal/(cm・s・K)]であり、ビッカース硬度は540kg/mm2であり、ヤング率は20.6×1010N/m2(2.1×106kgf/cm2)である。
【0075】
第1の入れ子の厚さを3mm、第2の入れ子の厚さを3.03mmとした。第1の入れ子の形状は、直径124.8mmの円形であり、中央部には直径35.4mmの貫通孔が設けられている。また、第1の入れ子のキャビティ面は鏡面研磨されており、その表面粗さRZは0.03μmである。第1の入れ子のキャビティ面にはスタンパが載置されている。このスタンパは、実施例1におけるスタンパ28と同じものである。
【0076】
第2の入れ子の形状は、直径120.8mmの円形であり、中央部には直径30.5mmの貫通孔が設けられている。第2の入れ子のキャビティ面は鏡面研磨されており、その表面粗さRZは0.03μmである。第2の入れ子には、実施例1と異なり、活性金属層や第2の金属薄膜は設けられていない。
【0077】
第1の金型部、第2の金型部、及び、被覆プレートを鋼材から作製した。そして、第1の入れ子をエポキシ系接着剤を用いて第1の金型部に固定した。その後、第1の入れ子のキャビティ面にスタンパを載置した。そして、第1の入れ子の端部上におけるスタンパと被覆プレートとの間のクリアランスC1がゼロとなるように、また、オーバーラップ量(被覆量)OLが2mmとなるように、被覆プレートをボルトを用いて第1の金型部に取り付けた。次に、鋼材から作製した第1のスリーブを、第1の入れ子の中央部に設けられた貫通孔を通して第1の金型部に装着した。第1のスリーブの先端部によって貫通孔近傍のスタンパの部分は被覆される。第1のスリーブの先端部とスタンパのこの部分との間のクリアランスをゼロとした。
【0078】
一方、第2の入れ子をエポキシ系接着剤を用いて第2の金型部に固定した。そして、鋼材から作製した第2のスリーブを、第2の入れ子の中央部に設けられた貫通孔を通して第2の金型部に装着した。第2の入れ子に設けられた貫通孔の内壁と第2のスリーブとの間のクリアランスは10μmであった。
【0079】
こうして得られた金型組立体を用いて、光ディスク基板を射出成形した。成形機、熱可塑性樹脂及び成形条件を、実施例1と同様とした。
【0080】
得られた光ディスク基板の表面における凹凸部の転写率は50%であった。しかも、光ディスク基板には大きな反りが発生していた。
【0081】
(実施例2)
実施例2は、実施例1の変形である。実施例2においては、金属薄膜26の上に薄膜27が形成されている。そして、スタンパ28は、薄膜27上に着脱自在に載置されている。ここで、薄膜27は、PVD法にて成膜された厚さ1μmのTiNから成る。薄膜27の表面粗さRZは15nmである。実施例2における入れ子の端部近傍を拡大した模式的な一部断面図を図3に示す。この点を除き、実施例2の入れ子20、スタンパ28、金型組立体、射出成形方法は、実施例1と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0082】
(実施例3)
実施例3も、実施例1の変形である。実施例3においては、第1の入れ子20の端部20A及び側面20Bはメッキ層24で被覆されている。入れ子の端部近傍を拡大した模式的な一部断面図を図4に示す。ここで、メッキ層24は、厚さ0.3mmのニッケル層から成る。メッキ層24の形成のためには、メッキ層24を形成すべき第1の入れ子20の部分(具体的には、第1の入れ子20の端部20A及び側面20B)に、少なくとも活性金属層25Aを(場合によっては、図4に示すように、活性金属層25A及び金属薄膜26A)を形成すればよい。
【0083】
あるいは又、第1の入れ子20を、導電性付与剤としてFe23を含有した部分安定化ジルコニアから構成してもよい。そして、メッキ層を形成しない第1の入れ子20の部分にマスク層を形成し、露出した第1の入れ子20の部分に電気メッキ法にてメッキ層24を成膜すればよい。
【0084】
メッキ層24の形成後、メッキ層24を切削加工することが好ましい。これによって、メッキ層24と被覆プレート40との間のクリアランスが例えばゼロとなるように、被覆プレート40をボルト(図示せず)を用いて第1の金型部10に取り付けることができるし、第1の入れ子20の端部の損傷発生をメッキ層24によって確実に抑制することができる。この点を除き、実施例3の入れ子20、スタンパ28、金型組立体、射出成形方法は、実施例1と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。また、実施例3と実施例2とを組み合わせてもよい。このような構造の入れ子の端部近傍を拡大した模式的な一部断面図を図5に示す。
【0085】
(実施例4)
実施例4も、実施例1の変形であり、所謂射出圧縮成形法に関する。実施例4においては、第2の金型部(可動金型部)11には可動中子15が備えられている。また、被覆プレートの構成、及び入れ子の側面の表面構造が、実施例1と若干異なっている。実施例4の金型組立体の模式的な断面図を図6に示す。尚、図6は、可動中子が第1の金型部に最も近づいた状態を示す。第1の入れ子の断面は、図2の(B)に示したと同じ構造を有する。
【0086】
実施例4の金型組立体は、第1の金型部10にボルト(図示せず)を用いて取り付けられ、第1の入れ子20の端部を被覆したメッキ層24Aを被覆する第1の被覆プレート42を備えており、また、第2の金型部11にボルト(図示せず)を用いて取り付けられ、キャビティ13の一部を構成し、第1の入れ子20の端部を被覆する第2の被覆プレート43を備えている。
【0087】
第1の入れ子20は、部分安定化ジルコニア(ZrO2−Y23)から作製されており、その熱伝導率、ビッカース硬度、ヤング率は、実施例1の第2の入れ子30を構成するZrO2−Y23と同じ値を有し、厚さは3mmである。第1の入れ子20の形状は、直径125mmの円形であり、中央部には直径35.7mmの貫通孔22が設けられている。第1の入れ子20の端部(エッジ部)、及び、貫通孔22の端部(エッジ部)には、0.3mmのC面カットが施されており、応力の集中を回避している。また、第1の入れ子20のキャビティ面21は研磨されており、その表面粗さRZは0.7μmである。
【0088】
第1の入れ子20のキャビティ面21、側面20B及び貫通孔22の内壁には、Ti−Cu−Agから成る活性金属層25が形成されている。活性金属層25の厚さは40μmである。活性金属層25を、焼き付け温度850゜Cの活性金属ソルダー法によって形成した。その後、電気メッキを施し、活性金属層25上にクロムから成る厚さ60μmの金属薄膜26を成膜した。そして、第1の入れ子20全体の外形が、直径125.2mm、貫通孔22の直径が35.5mm、厚さが3.1mmとなるように、金属加工機にて金属薄膜26の切削及び研削加工を行った。次いで、第1の入れ子20の側面20Bの金属薄膜26上に、厚さ5mmのニッケルから成るメッキ層24Aを形成した。
【0089】
一方、第2の入れ子30を実施例1と同様に作製した。
【0090】
第1の金型部10、第2の金型部11、可動中子15、及び、被覆プレート40を鋼材から作製した。そして、第1の入れ子20をエポキシ系接着剤を用いて第1の金型部10に固定した。そして、第1の入れ子20の側面20Bにおけるメッキ層24Aと第1の被覆プレート42との間のクリアランスがゼロとなるように、第1の被覆プレート42をボルト(図示せず)を用いて第1の金型部10に取り付けた。次に、鋼材から作製した第1のスリーブ50を、第1の入れ子20の中央部に設けられた貫通孔22を通して第1の金型部10に装着した。第1のスリーブ50の先端部によって貫通孔22の近傍のスタンパ28の部分は被覆される。スリーブ50の先端部の外径を35.48mmとした。第1のスリーブ50の先端部とスタンパ28のこの部分との間のクリアランスC2を5μmとした。更には、可動中子が第1の金型部10に最も近づいたときの、第2の被覆プレート43とスタンパ28との間のクリアランスC1を4μmとした。また、第1の入れ子20に設けられた貫通孔22と第1のスリーブ50との間のクリアランスは10μmであった。第1のスリーブ50内にゲート部12を配設した。
【0091】
一方、第2の入れ子30をエポキシ系接着剤を用いて可動中子15に固定した。そして、鋼材から作製した第2のスリーブ51を、第2の入れ子30の中央部に設けられた貫通孔を通して第2の金型部11に装着した。第2の入れ子30に設けられた貫通孔の内壁の第2の金属薄膜31と第2のスリーブ51との間のクリアランスは10μmであった。
【0092】
こうして得られた金型組立体を用いて、光ディスク基板を射出成形した。成形機として、住友重機械工業株式会社製SD40を使用し、実施例1と同じポリカーボネート樹脂を使用した。そして、第1の金型部10と第2の金型部11とを型締めした。次いで、溶融熱可塑性樹脂温度360゜C、金型温度100゜C、圧縮力40トンの条件にて、キャビティ13内にゲート部12から溶融熱可塑性樹脂を射出した。溶融熱可塑性樹脂の射出完了と同時に、油圧装置16を作動させて可動中子15を第1の金型部10に近づく方向に移動させた。移動量を0.1mmとした。その後、キャビティ13内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させ、次いで、型開きを行い、金型から成形品(光ディスク基板)を取り出した。
【0093】
得られた光ディスク基板の表面における凹凸部の転写率は99%であった。また、光ディスク基板には反りが殆ど認められなかった。1万回射出成形を行ったが、第1の入れ子20、金属薄膜26、スタンパ28、第2の入れ子30、第2の金属薄膜31に損傷や傷の発生は認められなかった。
【0094】
尚、実施例2にて説明した薄膜27を有する構成を実施例4に適用することができる。
【0095】
(実施例5)
実施例1〜実施例4においては、専ら光ディスク基板の成形を例にとり説明したが、成形品は光ディスク基板に限定されない。成形品として、他に、例えば、導光板を挙げることができる。
【0096】
パーソナルコンピュータや携帯電話、PDA等にて使用される液晶表示装置には、液晶表示装置の薄型、軽量化、省電力、高輝度・高精細化の要求に対処するために、面状光源装置が組み込まれている。そして、この面状光源装置には、一般に、テーパー状の傾斜面を有する楔形の導光板が備えられている。この導光板は、平坦な第1面と、この第1面と対向する平坦な第2面を有し、一般に、透明な材料から作製されている。
【0097】
導光板60の模式的な断面図を図9の(A)に示し、模式的な斜視図を図10に示す。この導光板60は、第1面61、及び、この第1面61と対向した略平面の第2面63を有する。そして、第1面61の表面部には、実施例5においては、高さ5μm、ピッチ200μmの凹凸部62が設けられている。第1面61の表面部に設けられた凹凸部62は、導光板60への光入射方向(図9の(A)に白抜きの矢印で示す)と所定の角度を成す方向(具体的には、略直角の方向)に沿って延びる連続した凹凸形状を有する。即ち、導光板60への光入射方向であって第1面61と垂直な仮想平面で導光板60を切断したときの凹凸部62の断面形状は鋸歯形状(三角形)である。導光板60は、全体として楔状の切頭四角錐形状を有し、切頭四角錐の2つの対向する側面が第1面61及び第2面63に相当し、切頭四角錐の底面に相当する側面(厚肉端部64)から光が入射し、第1面61及び第2面63から光が射出する。厚肉端部64の厚さを1.2mm、切頭四角錐の頂面に相当する側面(薄肉端部65)の厚さを1.0mm、幅を40mm、長さを60mmとした。尚、幅とは、鋸歯(プリズム)形状の凹凸部62と平行な方向(図9の(A)の紙面垂直方向)の長さを意味する。
【0098】
図11の(A)及び図12の(A)に模式的な断面図を示す実施例5の金型組立体は、(A)第1の金型部(可動金型部)110及び第2の金型部(固定金型部)111から成り、型締め時、キャビティ113が形成される、透明樹脂製の導光板を成形するための金型と、(B)キャビティ113内に溶融熱可塑性樹脂を導入するためのサイドゲート方式のゲート部(図示せず)と、(C)第1の金型部110に配設され、キャビティ113の一部を構成する入れ子120を備えている。尚、図11の(A)には金型組立体を型締めした状態を示し、図12の(A)には金型組立体を型開きした状態を示す。金型組立体には、ボルト141によって第1の金型部110に取り付けられ、キャビティ113の一部を構成し、入れ子120の端面を被覆する被覆プレート140が更に備えられている。尚、被覆プレート140は入れ子120の全周の端面を被覆している。また、被覆プレート140にはゲート部(図示せず)が設けられている。
【0099】
図12の(B)に模式的な拡大した断面図を示し、図11の(B)に模式的な拡大された一部断面図を示す入れ子120(厚さ3.0mm)は、このような導光板60の第1面61を成形するために用いられ、部分安定化剤としてイットリア(Y23)を含有した部分安定化ジルコニア(部分安定化された酸化ジルコニウム,ZrO2)から成る。キャビティ113に面した入れ子120の表面には活性金属層125が形成されており、この活性金属層125上には金属薄膜126が形成されている。尚、図11の(A)及び図12の(A)においては、活性金属層125及び金属薄膜126の図示を省略した。そして、導光板60の凹凸部62を形成するために、金属薄膜126上に、凹凸部129が設けられた金属膜から成るスタンパ128が着脱自在に載置されている。ここで、スタンパ128は、実施例1と同様に、入れ子120の周辺部における真空吸着によって入れ子120の表面120C(より具体的には、金属薄膜126上)に固定されている。尚、入れ子120の模式的な断面図を図11の(C)に示す。ZrO2−Y23という組成を有する部分安定化ジルコニア中に含有される部分安定化剤の割合を3モル%とした。部分安定化ジルコニアの熱伝導率は約4.2J/(m・s・K)である。スタンパ128に設けられた鋸歯(プリズム)形状の凹凸部129の深さdは5μmであり、ピッチPは200μmであり、鋸歯形状(三角形)を有する。スタンパ128に設けられた凹凸部129は、導光板への光入射方向と所定の角度を成す方向(具体的には、略直角の方向)に沿って延びる連続した凹凸形状を有し、更には、導光板60の第1面61に形成された凹凸部62と相補的な形状を有する。スタンパ128に設けられた凹凸部129の表面(より具体的には、凹凸部全体の表面)の表面粗さRZを0.2μm以下(具体的には、平均値でRZ=0.01μm)とした。
【0100】
スタンパ128は、電鋳法によって作製された厚さ250μmのNi層の1層から成る。尚、キャビティ113に対向する金属薄膜126の表面の表面粗さRZは30nmである。
【0101】
第1の金型部110と第2の金型部111とを型締めした状態において、被覆プレート140と対向する入れ子120の部分の表面120Dには、表面が平坦なメッキ層124が形成されている。
【0102】
入れ子120を、ジルコニア(ZrO2)粉末及びY23粉末の混合品をプレス成形した後、焼成して作製した(図11の(C)の模式的な断面図参照)。その後、キャビティ113に対向する入れ子120の表面(表面120C)及び被覆プレート140と対向する入れ子120の表面(表面120Dと)に対してダイヤモンド砥石を用いた研磨を行ない、かかる表面120C,120Dの表面粗さRZを1.2μmとした。その後、キャビティ113に対向する入れ子120の表面120C上に、実施例1と同様の方法で活性金属層125を形成した。次に、活性金属層125が露出したメッキマスク層を入れ子120に形成し、実施例1と同様にして、活性金属層125上にクロムメッキによって金属薄膜126を成膜した。
【0103】
その後、メッキ層124を形成すべき部分以外の入れ子120の部分をマスキングして、無電解メッキ法にてNi−P層を形成し、更にその上にニッケル層を形成した。こうして、ニッケル層とNi−P層の2層から成るメッキ層124を得ることができる。
【0104】
尚、金属薄膜126上に、実施例2と同様にして、薄膜を形成してもよい。
【0105】
一方、第1の金型部(可動金型部)110を炭素鋼S55Cから作製し、切削加工を行い、入れ子装着部を設けた。入れ子120の表面120D上に形成されたメッキ層124を金属加工用の平面切削機を用いて切削した。そして、スタンパ128を金属薄膜126に載置した後、入れ子装着部に入れ子120を装着し、入れ子120の端部を被覆プレート140で被覆し、被覆プレート140をボルト141で第1の金型部110に固定した。
【0106】
また、第2の金型部(固定金型部)111を炭素鋼S55Cから作製し、切削加工を行い、入れ子装着部を設けた。そして、入れ子装着部に接着剤を用いて第2の入れ子130を固定した。尚、第2の入れ子130の構成は、貫通孔がないことを除き、実施例1の第2の入れ子30の構成と同じである。尚、第2の入れ子130に実施例1の第2の入れ子30と同様に活性金属層を形成したが、図11の(A)及び図12の(A)においては活性金属層の図示は省略した。第2の入れ子130は第2の入れ子30と同様の方法で作製することができ、第2の入れ子130の表面に形成された活性金属層上は第2の金属薄膜131が形成されている。尚、第2の金属薄膜131の表面粗さRZは0.01μmである。
【0107】
このように作製した第1の金型部(可動金型部)110と第2の金型部(固定金型部)111とを組み付けて実施例5の金型組立体を得た。第1の金型部110と第2の金型部111とを型締めした状態において、入れ子120と被覆プレート140との間のクリアランスC21は0.001mmであり、且つ、入れ子120に対する被覆プレート140の重なり量ΔS21は2.0mmであった。また、第2の入れ子130と被覆プレート140との間のクリアランスC43も0.001mmであり、第2の入れ子130に対する被覆プレート140の重なり量ΔS43は2.0mmであった。このような構造にすることで、入れ子120及び第2の入れ子130の端部は、キャビティ113内に導入された溶融熱可塑性樹脂と接触しなくなる。
【0108】
完成した金型組立体を成形装置に取り付けた後、金型組立体を金型温調機を用いて130゜Cまで加熱後、40゜Cまで急冷しても、入れ子120や第2の入れ子130に割れ等の損傷は発生しなかった。また、スタンパ128や金属薄膜126、第2の金属薄膜131にも損傷は生じなかった。
【0109】
成形装置としてゾディック株式会社製、TR100EH射出成形機を用いた。また、透明な熱可塑性樹脂として重量平均分子量1.6×104のポリカーボネート樹脂を使用して、射出成形を行なった。成形条件を下記の表1のとおりとした。ゲート部(サイドゲート構造を有する)を介してキャビティ113内へ溶融ポリカーボネート樹脂を導入(射出)した。そして、所定量の溶融ポリカーボネート樹脂をゲート部を介してキャビティ113内に導入(射出)した後、キャビティ113内のポリカーボネート樹脂を冷却、固化させ、30秒後に金型組立体の型開きを行い、導光板60を金型組立体から取り出した。
【0110】
[表1]
金型温度:100゜C
樹脂温度:300゜C
射出圧力:1.47×108Pa(1500kgf/cm2−G)
【0111】
得られた導光板60には鋸歯(プリズム)形状の凹凸部62が綺麗に転写されていた。
【0112】
こうして得られた導光板60の模式的な断面図を図9の(A)に示す。導光板60を組み込んだエッジ式のバックライト式面状光源装置にあっては、図9の(B)に概念図を示すように、導光板60の第2面63が液晶表示装置70と対向するように配置されている。そして、光源71から射出され、導光板60の楔形の厚肉端部64から入射した光は、第1面61で反射されて第2面63から射出される光、及び、第1面61を透過する光に分けられる。第1面61を透過した光は、第1面61と対向する位置に配置された反射部材72によって反射させられ、導光板60に再び入射し、第2面63から射出される。第2面63から射出された光は、第2面63と対向して配置された液晶表示装置70へと導かれる。液晶表示装置70と導光板60の第2面63との間には、拡散シート73及びプリズムシート76が1枚、配置され、光を均一に拡散させている。尚、プリズムシート76の表面に設けられた連続した凸形状を有する凸部(図示せず)は、導光板60への光入射方向と略平行の方向に沿って延びている。
【0113】
また、エッジ式のフロントライト式面状光源装置にあっては、図9の(C)に概念図を示すように、導光板60の第2面63が液晶表示装置70と対向するように配置されている。そして、光源71から射出され、導光板60の楔形の厚肉端部64から入射した光を、第1面61の凹凸部62にて反射させ、第2面63から射出させる。そして、第2面63と対向する位置に配置された液晶表示装置70を通過させ、反射部材75によって反射させ、再び液晶表示装置70を通過させる。この光は、更に、位相差フィルム74及び導光板60の第2面63に形成された反射防止層(図示せず)を通過して導光板60の第1面61から射出され、画像として認識される。フロントライト式面状光源装置の方がバックライト式面状光源装置よりも明るく、また、昼間ならば外光のみで明るくできる方式であるが故に、消費電力を低減できるといった利点がある。
【0114】
(比較例2)
比較例2においては、入れ子120及び第2の入れ子130を鋼材から作製した。そして、実施例5と同じ金型にこれらの入れ子120,130を組み込み、実施例5と同じ射出成形機を使用し、実施例5と同じポリカーボネート樹脂を用い、実施例5と同じ条件にて射出成形を行った。しかしながら、表1に示した射出圧力では不十分であったが故に、射出圧力を2.16×108Pa(2200kgf/cm2−G)として、射出成形を行った。しかしながら、得られた導光板には鋸歯(プリズム)形状の凹凸部62が十分に転写されていなかった。
【0115】
導光板の変形例を、以下に説明する。
【0116】
導光板60Aの模式的な断面図を図13の(A)に示し、模式的な斜視図を図14に示す。この導光板60Aにおいては、第1面61の表面部に設けられた凸部62Aは、導光板60Aへの光入射方向と所定の角度を成す方向(具体的には、略直角の方向)に沿って延びる連続した凸形状を有し、導光板60Aへの光入射方向であって第1面61と垂直な仮想平面で導光板60Aを切断したときの連続した凸形状の断面形状は台形である。尚、図における参照番号で、図9の(A)に示したと同じ参照番号は、同じ構成要素を意味する。
【0117】
また、導光板60Bの模式的な断面図を図13の(B)に示し、模式的な平面図を図15に示す。この導光板60Bにおいては、第1面61の表面部に設けられた凸部62Bは、導光板60Bへの光入射方向と所定の角度を成す方向(具体的には、略直角の方向)に沿って配列された不連続の凸形状を有し、導光板60Bへの光入射方向であって第1面61と垂直な仮想平面で導光板60Bを切断したときの不連続の凸形状は角錐である。
【0118】
更には、導光板60Cの模式的な断面図を図13の(C)に示し、模式的な平面図を図16に示す。この導光板60Cにおいては、第1面の表面部に設けられた凸部62Cは、導光板への光入射方向と所定の角度を成す方向(具体的には、略直角の方向)に沿って配列された不連続の凸形状を有し、不連続の凸形状の形状は略半球である。
【0119】
また、導光板60Dの模式的な断面図を図13の(D)に示し、模式的な平面図を図17に示す。この導光板60Dにおいては、第1面の表面部に設けられた凸部62Dは、導光板への光入射方向と所定の角度を成す方向(具体的には、略直角の方向)に沿って配列された不連続の凸形状を有し、不連続の凸形状の形状は円柱である。
【0120】
導光板60Eへの光入射方向であって第1面61と垂直な仮想平面で導光板60Eを切断したときの凹部62Eの断面形状が三角形である場合の模式的な断面図を図18の(A)に示し、模式的な斜視図を図19に示す。
【0121】
また、第1面61の表面部に設けられた凹部62Fが、導光板60Fへの光入射方向と所定の角度を成す方向(具体的には、略直角の方向)に沿って配列された不連続の凹形状を有し、不連続の凹形状の形状が略半球である導光板60Fの模式的な断面図を図18の(B)に示す。尚、模式的な平面図は、参照番号が異なることを除き、図16と実質的に同様である。
【0122】
更には、第1面61の表面部に設けられた凹部62Gが、導光板60Gへの光入射方向と所定の角度を成す方向(具体的には、略直角の方向)に沿って配列された不連続の凹形状を有し、不連続の凹形状の形状が円柱である導光板60Gの模式的な断面図を図18の(C)に示す。尚、模式的な平面図は、参照番号が異なることを除き、図17と実質的に同様である。
【0123】
実施例5においては、液晶表示装置に組み込む面状光源装置について説明したが、例えば輸送手段における灯具に代表される灯具等に導光板を適用した例を図20の(A)に模式的な断面図で示す。この灯具にあっては、プラスチックス製の基部81の内側底面に平面状の反射板83が固定され、その上方に導光板60が固定されている。導光板60の側面(切頭四角錐の底面に相当する側面64)には、例えば発光ダイオードから成る光源80が配設されている。導光板60の上方には、拡散シート73及びプリズムシート76が固定されている。基部81の上部は、プラスチックス製の光を透過するカバー82によって覆われている。尚、灯具から射出される光を矢印で示す。例えば、第2面63に拡散ドットパターンを設ければ、拡散シート73は不要である。このような構成とすることで、光を透過するカバー82に凹凸を設けなくとも均一な輝度分布、高輝度を達成することができると共に、反射板83を平面状とすることができる。尚、導光板は、図9の(A)に示した導光板に限定されるものではなく、導光板の変形例を用いることもできるし、灯具の構造、構成も例示である。
【0124】
例えば室内灯に代表される灯具等に本発明の導光板あるいは面状光源装置を適用した例を図20の(B)に模式的な断面図で示す。この灯具にあっては、プラスチックス製の基部85の内側底面に平面状の反射板88が固定され、その下方に導光板60が固定されている。導光板60の側面(切頭四角錐の底面に相当する側面64)には、例えば蛍光灯から成る光源84が配設されている。基部85の下部は、プラスチックス製の光を透過するカバー86によって覆われている。尚、灯具から射出される光を矢印で示す。このような構成とすることで、光を射出するカバー86に拡散パターンやレンズパターンを設けなくとも、均一な輝度分布、高輝度を達成することができると共に、反射板88を平面状とすることができる。尚、基部85の側面の部分に貫通孔87を設けておき、係る貫通孔87に例えば光ファイバーの一端を差し込み(図20の(B)では白抜きの矢印で示す)、光源からの光あるいは太陽光を光ファイバーの他端に導入することによって、即ち、光源から射出された光を直接、導光板に導くだけでなく、間接的に導光板に導く構成とすることもできる。あるいは又、光源84と光ファイバーを併設してもよいし、光源84を着脱自在としたり、光源84を移動可能とすることもできる。尚、尚、導光板は、図9の(A)に示した導光板に限定されるものではなく、導光板の変形例を用いることもできるし、灯具の構造、構成も例示である。
【0125】
また、自動車、電車、船舶、航空機等の輸送手段における灯具や灯火(例えば、ヘッドライト、テールライト、ハイマウントストップライト、スモールライト、ターンシグナルランプ、フォグライト、室内灯、メーターパネル用ライト、各種のボタンに内蔵された光源、行き先表示灯、非常灯、非常口誘導灯等)、建築物における各種の灯具や灯火(外灯、室内灯、照明具、非常灯、非常口誘導灯等)、街路灯、信号機や看板、機械、装置等における各種の表示灯具、トンネルや地下通路等における照明具や採光部に、上述の導光板を採用することができる。
【0126】
以下、実施例5における金型組立体の変形例を説明する。
【0127】
型締めした状態を図21の(A)に模式的な断面図として示し、入れ子120の模式的な拡大された断面図を図21の(B)に示すように、第1の金型部110と第2の金型部111とを型締めした状態において、スタンパ128と対向した第2の金型部111の対向面と、第2の金型部111の対向面と対向したスタンパ128の部分128Aとの間のクリアランスC11を0.03mm以下(C11≦0.03mm)とする構造とすることもできる。第1の金型部110と第2の金型部111とを型締めした状態において、入れ子120に対する第2の金型部111の対向面の重なり量ΔS11を0.5mm以上とすることが好ましい。第2の金型部111の対向面は、入れ子120の対向面と対向する第2の金型部111の面に設けられた一種の切り込み(切欠部117)である。尚、第2の金型部111のパーティング面の延在部等とすることもできる。尚、図21の(A)及び図22、図23、図24においては、活性金属層125及び金属薄膜126の図示を省略した。また、場合によっては、金属薄膜126上に実施例2と同様に薄膜を形成してもよい。
【0128】
あるいは又、図22に模式的な断面図を示すように、第1の金型部110と第2の金型部111とを型締めした状態においてスタンパ128と対向する第2の入れ子130の部分の表面には、表面が平滑な第2の金属薄膜131Aが形成されており、第1の金型部110と第2の金型部111とを型締めした状態において、第2の入れ子130と対向したスタンパ128の部分と、スタンパ128と対向した第2の入れ子130の部分との間のクリアランスC41は、0.03mm以下(C41≦0.03mm)である構造とすることもできる。第1の金型部110と第2の金型部111とを型締めした状態において、第2の入れ子130と対向した入れ子120の部分と、入れ子120と対向した第2の入れ子130の部分との重なり量ΔS41は0.5mm以上(ΔS41≧0.5mm)であることが好ましい。
【0129】
あるいは又、図23に模式的な断面図を示すように、入れ子120と第2の入れ子130との間に配設され、第1の金型部110に取り付けられ、ゲート部(図示せず)が設けられた被覆プレート140を金型組立体は更に備えている構成とすることもできる。そして、スタンパ128と被覆プレート140との間のクリアランスC42、及び、第2の入れ子130と被覆プレート140との間のクリアランスC43は0.03mm以下(C42,C43≦0.03mm)であり、入れ子120に対する被覆プレート140の重なり量ΔS42、及び、第2の入れ子130に対する被覆プレート140の重なり量ΔS43は0.5mm以上(ΔS42,ΔS43≧0.5mm)であり、被覆プレート140は入れ子120及び第2の入れ子130の一部分とのみ重なり合っている構成とすることもできる。
【0130】
尚、これらの金型組立体の変形例においては、第2の金型部111や第2の入れ子130、被覆プレート140と対向する部分をスタンパ128とする代わりに、金属薄膜やメッキ層とすることもできる。また、金属薄膜126上に、実施例2と同様にして、薄膜を形成してもよい。
【0131】
射出圧縮成形法にて導光板60を成形することもできる。このような金型組立体の模式的な断面図を図24に示す。この金型組立体は、第2の入れ子の代わりに、鋼製の可動中子115が設けられている点、この可動中子115を移動させるための油圧シリンダー116が設けられている点が、実施例5にて説明した金型組立体と相違している。油圧シリンダー116によって可動中子115を入れ子120に向かう方向に移動させることによって、キャビティ113の容積を変更することができる。金型組立体のその他の構成は、実施例5あるいはその変形例の金型組立体の構成と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0132】
以上に説明した導光板を液晶表示装置に組み込めば、極めて明るい表示の液晶表示装置を得ることができ、消費電力を低減できる。また、例えば輸送手段における灯具に代表される灯具等に導光板を適用すれば、光を射出する灯具等の光透過部材に凹凸を設けなくとも均一な輝度分布、高輝度を達成することができると共に、反射部材(リフレクター)を平面状とすることができるので、灯具等の体積を減少させることができる結果、灯具等の設置場所の制限が少なくなる。また、光源を蛍光管や発光ダイオードとすれば、省電力化、省エネルギーを図ることができるし、光源からの光の有効利用を図ることができる。更には、例えば室内灯に代表される灯具等においては、あるいは又、日光に照らされない部屋や地下室、地下通路にあっても、光源(例えば蛍光灯)の光を有効に、効率良く利用することが可能となり、光源の数を減少させることも可能となる、省エネルギーを達成することができる。また、自然光を光源として用いれば、一層の省エネルギーを達成することができる。
【0133】
以上、本発明を、好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例にて説明した金型組立体の構造や構成、第1の入れ子や第2の入れ子の構成や寸法、成形した成形品、射出成形条件、射出圧縮成形条件は例示であり、適宜変更することができる。例えば、実施例1にて説明した金型組立体を、図7に示すように改造することによって、実施例4にて説明した射出圧縮成形法を実施することができる。また、実施例4にて説明した金型組立体を、図8に示すように改造することによって、実施例1にて説明した射出成形法を実施することができる。
【0134】
【発明の効果】
本発明においては、金型組立体の耐久性に優れるばかりか、成形品の反りや歪みを低減することができ、しかも、微細な凹凸部を容易に、且つ、安定して成形品表面に転写することができる。また、キャビティに面した入れ子の表面の上方に、表面に凹凸部が設けられた金属膜から成るスタンパを着脱自在に載置するので、形状は同じであるが凹凸部の形成位置が相違する成形品を成形する場合、あるいは又、スタンパに傷等が発生した場合、スタンパを交換するだけでよく、入れ子それ自体を交換する必要がなくなり、成形品の成形コスト削減、成形品の設計から実際の製品としての成形品を成形までに要する時間[TAT(Turn Around Time)]の短縮化を図ることができる。
【0135】
また、キャビティに面した入れ子の表面に活性金属層が形成されているので、その上に金属薄膜を容易に形成することができるし、活性金属層上に金属薄膜が形成されているので、入れ子のキャビティ面に傷等の損傷が発生することを確実に防止することができる。
【0136】
しかも、入れ子の端部あるいはエッジ部の破損発生を確実に防止でき、長期間の連続した成形に耐えることができる。更には、キャビティ内での溶融熱可塑性樹脂の流動性が向上するが故に、キャビティ内への溶融熱可塑性樹脂の導入圧力を低く設定できるので、成形品に残留する応力を緩和でき、成形品の品質が向上する。また、導入圧力を低減できるために、金型部の薄肉化、成形装置の小型化が可能となり、成形品のコストダウンも可能になる。更には、入れ子にメッキ層を形成すれば、金型部への入れ子の装着の際の調整が比較的容易となり、金型組立体の製作費用を低減できるし、本発明の金型組立体において、入れ子を、所定のクリアランス(C)や重なり量(ΔS)の範囲内で金型部内に容易に組み込むことが可能となり、長期的な成形を実施しても、入れ子に破損が生じることがなく、容易且つ安価に外観に優れた成形品を成形することが可能となる。更には、成形品の外観を損なうことがなくなり、成形品端部のバリ発生を防止でき、成形品の不良率低減及び成形品の均質化、高品質化を達成することができ、成形品の製造コストの低下を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1の金型組立体の模式的な断面図である。
【図2】図2の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例1の金型組立体における入れ子の端部近傍を拡大した模式的な一部断面図、及び、入れ子の模式的な断面図である。
【図3】図3は、実施例2の入れ子の端部近傍を拡大した模式的な一部断面図である。
【図4】図4は、実施例3の入れ子の端部近傍を拡大した模式的な一部断面図である。
【図5】図5は、実施例3の入れ子の変形例の端部近傍を拡大した模式的な一部断面図である。
【図6】図6は、実施例4の金型組立体の模式的な断面図である。
【図7】図7は、実施例1の金型組立体の変形例の模式的な断面図である。
【図8】図8は、実施例4の金型組立体の変形例の模式的な断面図である。
【図9】図9の(A)、(B)及び(C)のそれぞれは、導光板の模式的な断面図、エッジ式のバックライト式面状光源装置の概念図、及び、エッジ式のフロントライト式面状光源装置の概念図である。
【図10】図10は、導光板の模式的な斜視図である。
【図11】図11の(A)、(B)及び(C)のそれぞれは、実施例5の金型組立体の型締めした状態を示す模式的な断面図、入れ子の模式的な一部断面図、及び、入れ子の模式的な断面図である。
【図12】図12の(A)及び(B)のそれぞれは、実施例5の金型組立体の型開きした状態を示す模式的な断面図、及び、入れ子等の模式的な拡大された断面図である。
【図13】図13の(A)〜(D)のそれぞれは、実施例5の導光板の変形例の模式的な断面図である。
【図14】図14は、図13の(A)に断面図を示した導光板の模式的な斜視図である。
【図15】図15は、図13の(B)に断面図を示した導光板の模式的な平面である。
【図16】図16は、図13の(C)に断面図を示した導光板の模式的な平面である。
【図17】図17は、図13の(D)に断面図を示した導光板の模式的な平面である。
【図18】図18の(A)〜(C)のそれぞれは、実施例5の導光板の変形例の模式的な断面図である。
【図19】図19は、図18の(A)に断面図を示した導光板の模式的な斜視図である。
【図20】図20の(A)及び(B)のそれぞれは、輸送手段における灯具、及び、室内灯に代表される灯具に本発明の導光板あるいは面状光源装置を適用した例を示す模式的な断面図である。
【図21】図21の(A)及び(B)のそれぞれは、実施例5の金型組立体の変形例の断面図、及び、入れ子の模式的な拡大された断面図である。
【図22】図22は、実施例5の金型組立体の別の変形例の断面図である。
【図23】図23は、実施例5の金型組立体の更に別の変形例の断面図である。
【図24】図24は、実施例5の金型組立体の更に別の変形例の断面図である。
【符号の説明】
10・・・第1の金型部(固定金型部)、11・・・第2の金型部(可動金型部)、110・・・第1の金型部(可動金型部)、111・・・第2の金型部(固定金型部)、12・・・ゲート部、13,113・・・キャビティ、14・・・孔部、15,115・・・可動中子、16,116・・・油圧装置、20,120・・・入れ子(第1の入れ子)、20A・・・入れ子(第1の入れ子)の端部、20B・・・入れ子(第1の入れ子)の側面、21・・・入れ子(第1の入れ子)のキャビティ面、22・・・貫通孔、23・・・貫通孔部、24,24A,124・・・メッキ層、25,25A,125・・・活性金属層、26,26A,126・・・金属薄膜、27・・・薄膜、28,128・・・スタンパ、129・・・凹凸部、30,130・・・第2の入れ子、31,131・・・第2の金属薄膜、32・・・活性金属層、40,42,43,140・・・被覆プレート、41,141・・・ボルト、50・・・第1のスリーブ、51・・・第2のスリーブ、60,60A,60B,60C,60D,60E,60F,60G・・・導光板、61・・・第1面、62・・凹凸部、62A,62B,62C,62D・・・凸部、62E,62F,62G・・・凹部、63・・・第2面、64・・・厚肉端部、65・・・薄肉端部、70・・・液晶表示装置、71・・・光源、72・・・反射部材、73・・・拡散シート、74・・・位相差フィルム、75・・・反射部材、76・・・プリズムシート

Claims (21)

  1. (A)第1の金型部及び第2の金型部から成り、型締め時、キャビティが形成される、熱可塑性樹脂製の成形品を成形するための金型と、
    (B)第1の金型部の内部に配設された入れ子と、
    (C)キャビティに面した入れ子の表面に形成された活性金属層と、
    (D)該活性金属層上に形成された金属薄膜と、
    (E)該金属薄膜上に着脱自在に載置され、表面に凹凸部が設けられた金属膜から成るスタンパと、
    (F)溶融熱可塑性樹脂をキャビティ内に射出するためのゲート部、
    を備えた金型組立体であって、
    入れ子は、熱伝導率が1.3(W/m・K)乃至6.3(W/m・K)、ビッカース硬度が550kg/mm2以上、ヤング率が4.9×1010N/m2以上、厚さが0.5mm乃至5.0mmの材料から作製されていることを特徴とする金型組立体。
  2. 前記金属薄膜の表面には薄膜が形成されており、
    前記スタンパは、該薄膜上に着脱自在に載置されていることを特徴とする請求項1に記載の金型組立体。
  3. 薄膜は、TiN、TiAlN、TiC、CBN、BN、アモルファスダイヤモンド、CrN及びCrから成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成ることを特徴とする請求項2に記載の金型組立体。
  4. 薄膜の厚さは、5×10-7m乃至2×10-5mであることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の金型組立体。
  5. (G)第1の金型部若しくは第2の金型部に取り付けられ、キャビティの一部を構成し、入れ子の端部を被覆する被覆プレート、
    を更に備え、
    入れ子と被覆プレートとの間のクリアランス、あるいは、入れ子の前記表面上に形成された金属薄膜と被覆プレートとの間のクリアランスは、0.001mm乃至0.02mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の金型組立体。
  6. 活性金属層は、Ti、Zr及びBeから成る群から選択された金属と、Ni、Cu、Ag及びFeから成る群から選択された金属との共晶組成物から成り、
    活性金属層の厚さは1×10-6m乃至5×10-5mであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の金型組立体。
  7. 金属薄膜は、Cr、Cr化合物、Ni及びNi化合物から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の金型組立体。
  8. 金属薄膜の厚さは、5×10-6m乃至2×10-4mであることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の金型組立体。
  9. スタンパは、Cr、Cr化合物、Ni及びNi化合物から成る群から選択された少なくとも1種類の材料から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の金型組立体。
  10. スタンパの厚さは、0.01mm乃至0.4mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の金型組立体。
  11. 入れ子の端部及び/又は側面にはメッキ層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の金型組立体。
  12. 入れ子の中央部には貫通孔が設けられており、
    第1の金型部には、貫通孔近傍のスタンパの部分を被覆するための金属製のスリーブが貫通孔を通して装着されており、
    スリーブ先端部とスタンパの該部分との間のクリアランスは5μm乃至30μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の金型組立体。
  13. 入れ子は、ZrO2、ZrO2−CaO、ZrO2−Y23、ZrO2−MgO、ZrO2−SiO2、ZrO2−CeO2、K2O−TiO2、Al23、Al23−TiC、Ti32、3Al23−2SiO2、MgO−SiO2、2MgO−SiO2、MgO−Al23−SiO2及びチタニアから成る群から選択されたセラミックス、若しくは、石英ガラス及び結晶化ガラスから成る群から選択されたガラスから作製されていることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の金型組立体。
  14. 入れ子は、部分安定化ジルコニアから作製されていることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の金型組立体。
  15. 第2の金型部の内部に配設され、キャビティの一部を構成する第2の入れ子を更に備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の金型組立体。
  16. (A)第1の金型部及び第2の金型部から成り、型締め時、キャビティが形成される、熱可塑性樹脂製の成形品を成形するための金型と、
    (B)第1の金型部の内部に配設された入れ子と、
    (C)キャビティに面した入れ子の表面に形成された活性金属層と、
    (D)該活性金属層上に形成された金属薄膜と、
    (E)該金属薄膜上に着脱自在に載置され、表面に凹凸部が設けられた金属膜から成るスタンパと、
    (F)溶融熱可塑性樹脂をキャビティ内に射出するためのゲート部、
    を備え、
    入れ子は、熱伝導率が1.3(W/m・K)乃至6.3(W/m・K)、ビッカース硬度が550kg/mm2以上、ヤング率が4.9×1010N/m2以上、厚さが0.5mm乃至5.0mmの材料から作製されている金型組立体を用いた熱可塑性樹脂の射出成形方法であって、
    第1の金型部と第2の金型部とを型締めし、ゲート部から溶融熱可塑性樹脂をキャビティ内に射出した後、キャビティ内の熱可塑性樹脂を冷却、固化させ、次いで、型開きを行い、金型から成形品を取り出すことを特徴とする射出成形方法。
  17. 前記金属薄膜の表面には薄膜が形成されており、
    前記スタンパは、該薄膜上に着脱自在に載置されている金型組立体を用いることを特徴とする請求項16に記載の射出成形方法。
  18. 金型組立体はキャビティの容積を可変とし得る構造であり、
    成形すべき成形品の容積よりもキャビティの容積が大きくなるように、第1の金型部と第2の金型部とを型締めし、
    該キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出し、
    熱可塑性樹脂の射出開始前、開始と同時に、射出中に、あるいは射出完了後、キャビティの容積を成形すべき成形品の容積までへの減少を開始することを特徴とする請求項16又は請求項17に記載の射出成形方法。
  19. (G)第1の金型部若しくは第2の金型部に取り付けられ、キャビティの一部を構成し、入れ子の端部を被覆する被覆プレート、
    を更に備え、
    入れ子と被覆プレートとの間のクリアランス、あるいは、入れ子の前記表面上に形成された前記金属薄膜と被覆プレートとの間のクリアランスは、0.001mm乃至0.02mmであることを特徴とする請求項16乃至請求項18のいずれか1項に記載の射出成形方法。
  20. 成形品は光ディスク基板であることを特徴とする請求項16乃至請求項19のいずれか1項に記載の射出成形方法。
  21. スタンパの表面に設けられた凹凸部は、光ディスク基板においてトラックピッチが0.76μm以下であるグルーブ又はピットを形成するために設けられていることを特徴とする請求項20に記載の射出成形方法。
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