JP3766383B2 - 喫味用物品若しくはその部品の密度検出装置 - Google Patents

喫味用物品若しくはその部品の密度検出装置 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、葉たばこの刻等の多数の小片の集合体を具備する棒状の喫味用物品若しくはその部品を被検査体とし、同小片の密度を光学的に検査するための検査装置に関する。この検査装置は、例えば、葉たばこの刻を巻紙で巻上げてたばこロッドを製造するシステムにおいて、たばこロッドへの刻の導入量をフィードバック制御したり、たばこロッドの不良品を排除するために使用可能となる。
背景技術
シガレット、たばこロッド、たばこ用フィルタ等の喫味用物品若しくはその部品を生産する工程において、製品の良否等を知るため、これらの構成部材の密度を検査することが必要となる。例えば、葉たばこの刻を巻紙で巻上げてたばこロッドを製造するシステムにおいて、たばこロッド内の刻の充填状態を知るため、光学式密度検査装置が使用される。この種の検査装置として、特公平8−2288(米国特許第4,805,641及び第4,986,285に対応)には、紫外線から赤外線の領域内の光ビームを使用してたばこストランドの密度を光学的に検査するための装置が開示される。
本発明者が、上記公報に開示のタイプの検査装置を用いてたばこロッドの密度検査を行ったところ、たばこロッド内の刻の特性に依存して、光の減衰率と刻重量との相関が正確にとれないという問題が発生することが見出された。この問題は、次のような幾つかの重要な点が十分に考慮されていないことに起因するものと考えられる。
先ず、刻に含有される水分は、光の減衰率と刻重量との相関に大きな影響を及ぼす。また、発光素子がLEDの場合、単一波長でなく発光波長帯が広がるため、刻による光の減衰率が波長により異なる。また、充填されている刻の隙間、或いはロッドの巻紙表面を伝わってくる光(たばこロッドの円周変化により影響を受ける)により、実際の刻による光の減衰量より受光素子に入射する光が多い。更に、受光素子の暗電流により測定誤差が生じる。
発明の開示
本発明は、かかる従来技術の問題点に基づいてなされたものであり、葉たばこの刻等の多数の小片の集合体を具備する棒状の喫味用物品若しくはその部品を被検査体とし、同小片の密度を高精度で光学的に検査することが可能な密度検査装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の視点は、多数の小片の集合体を具備する棒状の喫味用物品若しくはその部品を被検査体とし、前記小片の密度を光学的に検査するための装置であって、
前記小片を実質的に透過しない第1波長の光からなる第1光ビームを発光する第1光源と、
前記小片を実質的に透過する第2波長の光からなる第2光ビームを発光する第2光源と、
前記第1及び第2光ビームを合成すると共に合成光ビームとして前記被検査体に照射するための光学系と、
前記被検査体に照射する前の前記合成光ビームに含まれる前記第1及び第2光ビームの夫々に対応する第1及び第2投光量を測定するための第1測定部と、
前記被検査体の表面で反射される前記合成光ビームに含まれる前記第1及び第2光ビームの夫々に対応する第1及び第2反射光量を測定するための第2測定部と、
前記被検査体を通過する前記合成光ビームに含まれる前記第1及び第2光ビームの夫々に対応する第1及び第2通過光量を測定するための第3測定部と、
前記第1及び第2投光量、第1及び第2反射光量、及び第1及び第2通過光量に基づいて、前記小片を透過した前記第2光ビームの透過光量を算出すると共に、前記透過光量に基づいて前記小片の密度を算出するための演算回路と、
を具備する。
本発明の第2の視点は、第1の視点の装置において、前記第2測定部は、前記被検査体の表面で反射される前記合成光ビームに含まれる前記第1及び第2光ビームの両方を受光及び検出することにより、前記第1及び第2反射光量を測定する。
本発明の第3の視点は、第1の視点の装置において、第2測定部は、前記被検査体の表面で反射される前記合成光ビームに含まれる前記第1及び第2光ビームの一方のみを受光及び検出することにより、前記第1及び第2反射光量の一方を測定すると共に、前記第1及び第2反射光量の他方は、前記一方の反射光量と同じ反射率で得られるものとして算出することにより測定する。
本発明の第4の視点は、第1乃至第3のいずれかの視点の装置において、前記小片の密度を代表する基準値と前記演算回路で得られる前記小片の密度の測定値との差である変動値を算出するための検出回路と、前記変動値に基づいて、被検査体の製造システムにおいて被検査体内に導入される小片の量を制御するための制御回路と、を更に具備する。
本発明の第5の視点は、第4の視点の装置において、複数の被検査体に対して前記検出回路で得られる変動値の平均値を算出し、前記制御回路に伝達するための積分回路を更に具備する。
本発明の第6の視点は、第4または第5の視点の装置において、前記変動値としきい値とを比較すると共に前記被検査体の良否を判定するための比較判定回路を更に具備する。
本発明の第7の視点は、第1乃至第6のいずれかの視点の装置において、前記小片は葉たばこの刻であり、前記第1及び第2波長は夫々0.5〜0.8μm、1.2〜1.4μmである。
本発明の第8の視点は、第1乃至第7のいずれかの視点の装置において、前記第1及び第2光ビームは共にレーザ光ビームからなる。
本発明の第9の視点は、第8の視点の装置において、前記第1乃至第3測定部の少なくとも1つは、前記第1及び第2光ビームを同一光路上で受光及び検出する複合受光素子を具備する。
本発明の第10の視点は、第1乃至第9のいずれかの視点の装置において、前記光学系から前記被検査体に照射される前記合成光ビームは平行光ビームからなる。
本発明の第11の視点は、第1乃至第10のいずれかの視点の装置において、前記第1測定部は、前記光学系と前記被検査体との間で、前記合成光ビームから分離されたビーム部分に含まれる前記第1及び第2光ビームを受光及び検出することにより、前記第1及び第2投光量を測定する。
本発明の第12の視点は、第1乃至第11のいずれかの視点の装置において、前記光学系と前記被検査体との間に配設され、前記被検査体に傾斜して対面する鏡面と前記光学系の光軸と整合する孔とを有するミラーを更に具備し、前記光学系からの前記合成光ビームは前記孔に焦点が来る収束光ビームとして前記孔を通過した後に前記被検査体に照射される一方、前記被検査体の表面で反射された前記合成光ビームは前記ミラーにより反射されて前記第2測定部に導入される。
更に、本発明に係る実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が省略されることで発明が抽出された場合、その抽出された発明を実施する場合には省略部分が周知慣用技術で適宜補われるものである。
本発明によれば、葉たばこの刻等の多数の小片の集合体を具備する棒状の喫味用物品若しくはその部品を被検査体とする光学式密度検査装置において、小片を実質的に透過しない第1光ビームと小片を実質的に透過する第2光ビームとを使用することにより、同小片の密度を高精度に検査することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の実施の形態に係る、たばこロッド内の葉たばこの刻の密度を検査するための装置を示す構成図。
図2は多数の小片SPの集合体からなる壁状の被検査体に赤外線レーザビームG1を照射して小片SPの密度を測定する場合のモデルを示す図。
図3は多数の小片SPの集合体からなる棒状の被検査体に赤外線レーザビームG1を照射して小片SPの密度を測定する場合のモデルを示す図。
図4は2つの異なる波長の光ビームを同一光路上で受光及び検出する複合受光素子を示す側面図。
図5は本発明の別の実施の形態に係る、たばこロッド内の葉たばこの刻の密度を検査するための装置を示す構成図。
発明を実施するための最良の形態
以下に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要に応じて行う。
図1は本発明の実施の形態に係る、たばこロッド内の葉たばこの刻の密度を検査するための装置を示す構成図である。
図1図示の如く、本検査装置は第1及び第2光ビームB1、B2を夫々発光するためのレーザダイオードからなる第1及び第2光源12、14を有する。第1光源12の第1光ビームB1は、0.7μmの単一の第1波長を有するレーザビームからなる。第1波長は、第1光ビームB1が、被検査体であるたばこロッドTRの巻紙WPを実質的に透過するが、多数の小片の集合体である葉たばこの刻LSを実質的に透過しないように、0.5〜0.8μmの範囲から選択される。一方、第2光源14の第2光ビームB2は、1.3μmの単一の第2波長を有するレーザビームからなる。第2波長は、第2光ビームB2が、葉たばこの刻LSの水分に殆ど影響されることなく、巻紙WP及び刻LSを実質的に透過するように、1.2〜1.4μmの範囲から選択される。
第1及び第2光源12、14からの第1及び第2光ビームB1、B2は、ハーフミラー16により合成される。被検査体であるたばこロッドTR側に向けて合成された第1合成部分C1即ち合成光ビームは、補正レンズ18及びコリメータレンズ22を通して約5mm幅(たばこロッドTRの直径6〜10mmに対して)の平行光ビームCBに成形された後、たばこロッドTRに照射される。
また、ハーフミラー16により第1合成部分C1から分離された第1及び第2光ビームB1、B2の第2合成部分C2は、ハーフミラー24により更に分割され、第1及び第2受光素子26、28に導入される。第1及び第2光ビームB1、B2に由来する光のみが夫々第1及び第2受光素子26、28に入射するように、第1及び第2受光素子26、28に入口には、夫々0.7μm用フィルタ32及び1.3μm用フィルタ34が配設される。
第1及び第2受光素子26、28の受光量は、投光量制御回路36により測定され、これにより、平行光ビームCBに含まれる第1及び第2光ビームB1、B2の第1及び第2投光量がモニタされる。投光量制御回路36は、平行光ビームCBに含まれる第1及び第2光ビームB1、B2の第1及び第2投光量を算出すると共に、これらが一定となるように、第1及び第2光源12、14の出力をフィードバック制御する。また、平行光ビームCBに含まれる第1及び第2光ビームB1、B2の第1及び第2投光量は、投光量制御回路36から後述の演算回路48に伝達される。
たばこロッドTRの表面、即ち巻紙WPの表面で反射される平行光ビームCBの反射光は、たばこロッドTRの上下に配設された一対の第3受光素子42に、集光レンズ44を介して集光される。本実施の形態において、第3受光素子42と集光レンズ44との間には、1.3μm用フィルタ46が配設されているため、第3受光素子42には第2光ビームB2の反射光のみが入射する。
一対の第3受光素子42の受光量は演算回路48により測定され、演算回路48において、たばこロッドTRの表面で反射される平行光ビームCBに含まれる第1及び第2光ビームB1、B2の第1及び第2反射光量が算出される。第3受光素子42の受光量は第2光ビームB2の反射光のみによるものであるが、演算回路48は、第2光ビームB2の反射光から算出される反射率と同じ反射率で第1光ビームB1も反射されているものとして第1及び第2反射光量の算出を行う。なお、この構成に代え、第2光ビームB2の反射光を受光するための第3受光素子42に加え、第1光ビームB1の反射光を受光するための受光素子を更に配設するようにしてもよい。
たばこロッドTRを透過する平行光ビームCBの透過光は、たばこロッドTRの表面を回り込んだ光を含んだ状態で、集光レンズ52でハーフミラー54上に集光され、ここで分割され、第4及び第5受光素子56、58に導入される。第1及び第2光ビームB1、B2に由来する光のみが夫々第4及び第5受光素子56、58に入射するように、第4及び第5受光素子56、58に入口には、夫々0.7μm用フィルタ62及び1.3μm用フィルタ64が配設される。
第4及び第5受光素子56、58の受光量もまた、演算回路48により測定され、演算回路48において、たばこロッドTRを通過する平行光ビームCBに含まれる第1及び第2光ビームB1、B2の第1及び第2通過光量が算出される。なお、0.7μmの波長を有する第1光ビームB1は葉たばこの刻LSを実質的に透過しないため、第4受光素子56に入射する光は、刻LSの間の隙間を通過した光と、たばこロッドTRの表面を回り込んだ光との合成となる。一方、1.3μmの波長を有する第2光ビームB1は葉たばこの刻LSを実質的に透過するため、第5受光素子58に入射する光は、刻LSを透過した光と、刻LSの間の隙間を通過した光と、たばこロッドTRの表面を回り込んだ光との合成となる。
演算回路48は、上述の第1及び第2投光量、第1及び第2反射光量、及び第1及び第2通過光量に対応する受光量の信号を増幅すると共にこれらに基づいて、たばこロッドTR内の葉たばこの刻LSの密度を算出する。このアルゴリズムについて、先ず、単純化したモデルを示す図2及び図3を参照して説明する。
図2は多数の小片SPの集合体からなる壁状の被検査体に赤外線レーザビームG1を照射して小片SPの密度を測定する場合のモデルを示す図である。この場合、理想状態において、レーザビームG1の投光量と透過光量(ここでは通過光量=透過光量)との基本的な関係は次式で表される。
J=I・exp(−Σ(μi・xi))
ここで、
I:レーザビームG1の投光量、
J:レーザビームG1の透過光量、
μi:小片SPの透過係数、
xi:小片SPの厚さ。
しかし、たばこロッドのような棒状の被検査体に赤外線レーザビームを照射して葉たばこの刻の密度を測定する場合、たばこロッドの表面で反射された光による入射光量の減少と、同表面を回り込んだ光による通過光量の増加と、刻間を通過した光による通過光量に含まれるノイズを考慮する必要がある。図3は多数の小片SPの集合体からなる棒状の被検査体に赤外線レーザビームG1を照射して小片SPの密度を測定する場合のモデルを示す図である。図3図示のモデルにおいて、上述のような要素を考慮した場合、レーザビームG1の投光量と通過光量との関係は次式で表される。
0−I2−I3=(I−I1)・exp(−Σ(μi・xi))…(1) ここで、
I:レーザビームG1の投光量、
0:レーザビームG1の通過光量、
1:レーザビームG1の反射光量、
2:レーザビームG1の回り込み光量、
3:レーザビームG1の小片SP間を通過した光量、
μi:小片SPの透過係数、
xi:小片SPの厚さ。
たばこロッドTRの場合、各葉たばこの刻LSの1枚の透過係数μiは予め知ることができる。刻LSの総計厚さΣxiは、刻の充填密度と密接な関係があり、また、刻の透過係数μiは略一定である。従って、図1図示の装置においても、式(1)のI、I0、I1、I2及びI3に対応する値を測定することにより、平行光ビームCBの透過経路中における刻LSの総計厚さを求めることができる。また、この総計厚さが分かれば、それに所定の係数を乗ずることにより刻LSの充填密度を精度よく算出することができる。
図1図示の装置において、図3図示のモデルのレーザビームG1に該当するのは、コリメータレンズ22から出る平行光ビームCBに含まれる第2光ビームB2である。即ち、式(1)のIは、コリメータレンズ22から出る平行光ビームCBに含まれる第2光ビームB2の投光量(投光量制御回路36で算出)に相当する。また、式(1)のI1は、たばこロッドTRの表面で反射される平行光ビームCBに含まれる第2光ビームB2の反射光量(受光素子42で受光)に相当する。また、式(1)のI0は、たばこロッドTRを通過する平行光ビームCBに含まれる第2光ビームB2の通過光量(受光素子58で受光)に相当する。
一方、式(1)のI2及びI3は、たばこロッドTRを通過する平行光ビームCBに含まれる第2光ビームB2の通過光量の一部に相当する。このため、図1図示の装置において、I2及びI3は直接測定することができない。しかし、本発明にあっては、第1光ビームB1の正味の投光量と通過光量とから、第2光ビームB2に関するたばこロッドの表面を回り込んだ光及び刻間を通過した光の総ノイズ光量I2+I3を推定することができる。
演算回路48において、具体的には、先ず、第1及び第2光ビームB1、B2夫々の正味の投光量が算出される。正味の投光量は、コリメータレンズ22から出る平行光ビームCBに含まれる第1及び第2光ビームB1、B2の投光量から、たばこロッドTRの表面で反射される平行光ビームCBに含まれる第1及び第2光ビームB1、B2の反射光量を差し引くことにより得られる。ここで、第1及び第2光ビームB1、B2の投光量は、第1及び第2受光素子26、28の受光に基づいて投光量制御回路36で算出されたものである。第1及び第2光ビームB1、B2の反射光量は、第3受光素子42の受光に基づいて演算回路48で算出されたものである。
次に、上記正味の投光量に対する、第1及び第2光ビームB1、B2夫々の通過光量の比(減衰率)が算出される。第1及び第2光ビームB1、B2夫々の通過光量は、第4及び第5受光素子56、58の受光に基づいて演算回路48で算出されたのものである。なお、上述の如く、0.7μmの波長を有する第1光ビームB1は葉たばこの刻LSを実質的に透過しないため、第4受光素子56に入射する光は、刻LSの間の隙間を通過した光と、たばこロッドTRの表面を回り込んだ光との合成となる。一方、1.3μmの波長を有する第2光ビームB1は葉たばこの刻LSを実質的に透過するため、第5受光素子58に入射する光は、刻LSを透過した光と、刻LSの間の隙間を通過した光と、たばこロッドTRの表面を回り込んだ光との合成となる。
次に、第1光ビームB1の正味の投光量と通過光量とから、第2光ビームB2に関するたばこロッドの表面を回り込んだ光及び刻間を通過した光の総ノイズ光量を推定する。そして、この総ノイズ光量を第2光ビームB2の通過光量から差し引くことにより、刻LSを透過した第2光ビームB2の透過光量が得られる。
例えば、第1光ビームB1の減衰率、即ち(通過光量)/(正味の投光量)が10%であり、第2光ビームB2の減衰率、即ち(通過光量)/(正味の投光量)が30%であるとする。この場合、第2光ビームB2の減衰率30%の内、10%は、たばこロッドの表面を回り込んだ光及び刻間を通過した光によるものであり、残りの20%が刻LSを透過した光によるものであることが推定される。即ち、第2光ビームB2の減衰率から第1光ビームB1の減衰率を差し引くことにより、式(1)のI0−I2−I3に相当する正味の光量、即ち透過光量を得ることができる。
演算回路48は、このようにして算出された正味の投光量(I−I1)及び透過光量(I0−I2−I3)と、予め入力された刻LSの透過係数μiとからΣxiを算出し、所定の係数を乗じてたばこロッドTR内の葉たばこの刻LSの密度を算出する。なお、演算回路48は、検出信号内に瞬間的に発生する可能性のあるノイズの影響を除去するため、100μS〜1mSの時間で信号を積分するための積分回路を含む。
演算回路48で算出された刻LSの密度を表す密度信号Yは、量目変動検出回路72に伝達される。量目変動検出回路72は、葉たばこの刻LSの密度の基準値である量目基準信号Xと、演算回路48で算出された密度信号Yとの差(X−Y)を変動値αとして算出する。なお、量目基準信号Xは、たばこの種類により決められている規格填充時に減衰する光の透過量に相当する電圧である。
量目変動検出回路72で算出された変動値αは、積分回路73に伝達される。積分回路73は、変動値αを長時間積分することにより、数100本のたばこロッドTRに対する変動平均値αmを算出する。積分回路73で算出された変動平均値αmは、たばこロッドTRの製造システム80に付随する量目制御回路74に伝達される。量目制御回路74は、変動平均値αmに基づいて、たばこロッドTRの製造システム80において各たばこロッドTR内に充填される刻LSの量を制御する。
量目変動検出回路72で算出された変動値αはまた、比較判定回路76に伝達される。比較判定回路76は、予め設定入力された、変動値αのしきい値であるしきい値信号βと、量目変動検出回路72で算出された変動値αとを比較し、たばこロッドTRの良否を判定する。たばこロッドTRが不良(β<α)と判定された場合、比較判定回路76から排除信号γが排除回路78に伝達される。排除回路78は、排除信号γに基づいて、不良と判定されたたばこロッドTRを製造ラインから排除する。
図5は本発明の別の実施の形態に係る、たばこロッド内の葉たばこの刻の密度を検査するための装置を示す構成図である。この実施の形態は、基本的なコンセプトが図1図示の実施の形態のそれと同一であるから、図1図示の実施の形態との相違点を中心に説明を行う。
図5図示の如く、本検査装置は被検査体であるたばこロッドTRを装着するための装着ブロック90を有する。装着ブロック90は互いに直角な2方向に円筒状の孔92、94が形成された金属製の中実体からなる。一方の孔92は、検査用の平行光ビームCB(合成光ビーム)の光軸に対して同軸状に配設される。孔92の内面は光の吸収を防止するように鏡面状に仕上げられる。孔92の入口及び出口には夫々シリンダーレンズ96及びコリメータレンズ98が配設される。他方の孔94は、たばこロッドTRを挿入するための孔として形成され、その内径はたばこロッドTRを挿入した際に実質的に隙間ができないように選択される。
また、本検査装置は第1及び第2光ビームB1、B2を夫々発光するためのレーザダイオードからなる第1及び第2光源12、14を有する。第1及び第2光ビームB1、B2の波長は図1図示の装置を参照して述べたような条件を満たすように選択される。即ち、第1及び第2光ビームB1、B2の波長は、例えば前述のように、夫々0.7μm及び1.3μmに設定される。
第1及び第2光源12、14からの第1及び第2光ビームB1、B2は、ハーフミラープリズム17aにより合成され、合成光ビームB12が形成される。合成光ビームB12はプリズム17bにより装着ブロック90側に向きを変えられ、シリンダーレンズ19a、19b及びコリメータレンズ22を通して収束光ビームに整形される。この収束光ビームの焦点は、装着ブロック90の直前に配設されたミラー45の中心孔45aに来るように設定される。ミラー45は、鏡面が装着ブロック90に対して傾斜し、例えば45°の角度で対面し、且つその中心孔45aが光軸に対して同軸状となるように配置される。
コリメータレンズ22とミラー45との間にビームスプリッタ25が配設され、合成光ビームB12が分割される。ビームスプリッタ25により合成光ビームB12の検査用のビーム部分から分離されたビーム部分は、複合受光素子27に導入される。複合受光素子27は、2つの異なる波長の光ビームを同一光路上で受光及び検出するための素子であり、ここでは、第1及び第2光ビームB1、B2の波長に適合するように設定される。なお、複合受光素子の詳細は後述する。
複合受光素子27の受光量は、投光量制御回路36により測定され、これにより、合成光ビームB12に含まれる第1及び第2光ビームB1、B2の第1及び第2投光量がモニタされる。投光量制御回路36は、第1及び第2投光量を算出し、第1及び第2光源12、14の出力をフィードバック制御すると共に、第1及び第2投光量を演算回路48に伝達する。
合成光ビームB12の検査用のビーム部分は、ミラー45の中心孔45aを通過し、装着ブロック90の入口のシリンダーレンズ96により平行光ビームに整形された後、たばこロッドTRに照射される。たばこロッドTRの表面からの反射光は、ミラー45で反射され、非球面集光レンズ47a、47bを通して複合受光素子43に導入される。複合受光素子43もまた、反射光内の第1及び第2光ビームB1、B2を同一光路上で受光及び検出することができる。複合受光素子43の受光量は、演算回路48により測定され、これにより、第1及び第2光ビームB1、B2の第1及び第2反射光量がモニタされる。
たばこロッドTRを通過した検査用のビーム部分は、装着ブロック90の出口のコリメータレンズ98により収束光ビームに整形された後、複合受光素子57に導入される。複合受光素子57もまた、通過光内の第1及び第2光ビームB1、B2を同一光路上で受光及び検出することができる。複合受光素子57の受光量は、演算回路48により測定され、これにより、第1及び第2光ビームB1、B2の第1及び第2通過光量がモニタされる。
このようにして得られた、第1及び第2光ビームB1、B2の第1及び第2投光量、第1及び第2反射光量、並びに第1及び第2通過光量を用いて、演算回路48は、たばこロッドTR内の葉たばこの刻LSの密度を算出する。以下、量目変動検出回路72から排除回路78或いは製造システム80への制御の態様は、図1図示の装置を参照して述べたものと全く同じである。
本実施の形態において、刻LSの密度の算出に使用されるアルゴリズムは、図1図示の実施の形態を参照して述べたものと基本的に同じである。但し、図1図示の実施の形態においては、第1光ビームB1の第1反射光量を第2光ビームB2の第2反射光量に基づいて算出するのに対して、本実施の形態においては、第1光ビームB1の第1反射光量を実際に受光及び検出することにより測定する。このため、本実施の形態においては、被検査体が波長に依存して異なる反射率を有する場合でも、誤差を生じることがない。
図4は複合受光素子27、43、57として使用される複合受光素子100を示す側面図である。図4図示の如く、複合受光素子100は、入射する光ビームの光軸OAに対して直交する2つの異なるレベルに配設された受光部102、104を有する。受光部102、104は互いに異なる半導体受光素子から構成され、一次側(上側)の受光部102は短波長(ここでは0.7μm)の第1ビームB1を検出し、二次側(下側)の受光部104は、一次側の受光部102を通過できる長波長(ここでは1.3μm)の第2ビームB2を検出する。また、複合受光素子100の筐体の内面には、受光部102、104を冷却するためのペルチェ素子106が配設される。
このように、第1及び第2光ビームB1、B2を同一光路上で受光及び検出することができる複合受光素子を使用すると、コスト及びスペースの点で大きなメリットが得られる。この点に関連し、第1及び第2光源12、14からの第1及び第2光ビームB1、B2はレーザ光ビームであるため、夫々単一波長を有する。このため、受光に先立って波長分離のような処理を行わなくとも、複合受光素子において第1及び第2光ビームB1、B2の波長が混在した状態で検出されることがない。また、ペルチェ素子106により受光部102、104を冷却することにより、受光部102、104の過熱による温度ドリフトやノイズの発生を防止することができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明はかかる構成に限定されない。特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

Claims (12)

  1. 多数の小片の集合体を具備する棒状の喫味用物品若しくはその部品を被検査体とし、前記小片の密度を光学的に検査するための装置であって、
    前記小片を実質的に透過しない第1波長の光からなる第1光ビームを発光する第1光源と、
    前記小片を実質的に透過する第2波長の光からなる第2光ビームを発光する第2光源と、
    前記第1及び第2光ビームを合成すると共に合成光ビームとして前記被検査体に照射するための光学系と、
    前記被検査体に照射する前の前記合成光ビームに含まれる前記第1及び第2光ビームの夫々に対応する第1及び第2投光量を測定するための第1測定部と、
    前記被検査体の表面で反射される前記合成光ビームに含まれる前記第1及び第2光ビームの夫々に対応する第1及び第2反射光量を測定するための第2測定部と、
    前記被検査体を通過する前記合成光ビームに含まれる前記第1及び第2光ビームの夫々に対応する第1及び第2通過光量を測定するための第3測定部と、
    前記第1及び第2投光量、第1及び第2反射光量、及び第1及び第2通過光量に基づいて、前記小片を通過した前記第2光ビームの透過光量を算出すると共に、前記透過光量に基づいて前記小片の密度を算出するための演算回路と、
    を具備する。
  2. 請求項1に記載の装置において、前記第2測定部は、前記被検査体の表面で反射される前記合成光ビームに含まれる前記第1及び第2光ビームの両方を受光及び検出することにより、前記第1及び第2反射光量を測定する。
  3. 請求項1に記載の装置において、第2測定部は、前記被検査体の表面で反射される前記合成光ビームに含まれる前記第1及び第2光ビームの一方のみを受光及び検出することにより、前記第1及び第2反射光量の一方を測定すると共に、前記第1及び第2反射光量の他方は、前記一方の反射光量と同じ反射率で得られるものとして算出することにより測定する。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の装置において、前記小片の密度を代表する基準値と前記演算回路で得られる前記小片の密度の測定値との差である変動値を算出するための検出回路と、前記変動値に基づいて、被検査体の製造システムにおいて被検査体内に導入される小片の量を制御するための制御回路と、を更に具備する。
  5. 請求項4に記載の装置において、複数の被検査体に対して前記検出回路で得られる変動値の平均値を算出し、前記制御回路に伝達するための積分回路を更に具備する。
  6. 請求項4または5に記載の装置において、前記変動値としきい値とを比較すると共に前記被検査体の良否を判定するための比較判定回路を更に具備する。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の装置において、前記小片は葉たばこの刻であり、前記第1及び第2波長は夫々0.5〜0.8μm、1.2〜1.4μmである。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の装置において、前記第1及び第2光ビームは共にレーザ光ビームからなる。
  9. 請求項8に記載の装置において、前記第1乃至第3測定部の少なくとも1つは、前記第1及び第2光ビームを同一光路上で受光及び検出する複合受光素子を具備する。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載の装置において、前記光学系から前記被検査体に照射される前記合成光ビームは平行光ビームからなる。
  11. 請求項1乃至10のいずれかに記載の装置において、前記第1測定部は、前記光学系と前記被検査体との間で、前記合成光ビームから分離されたビーム部分に含まれる前記第1及び第2光ビームを受光及び検出することにより、前記第1及び第2投光量を測定する。
  12. 請求項1乃至11のいずれかに記載の装置において、前記光学系と前記被検査体との間に配設され、前記被検査体に傾斜して対面する鏡面と前記光学系の光軸と整合する孔とを有するミラーを更に具備し、前記光学系からの前記合成光ビームは前記孔に焦点が来る収束光ビームとして前記孔を通過した後に前記被検査体に照射される一方、前記被検査体の表面で反射された前記合成光ビームは前記ミラーにより反射されて前記第2測定部に導入される。
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