JP3766247B2 - ロック装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のトランクリッドに取り付けられるロック装置に関し、特に、ストライカ進入用の切欠部が形成されたベースと、ベースの切欠部近傍に回動可能に枢着され、切欠部に進入してきたストライカに嵌合し、ストライカに押されて噛合位置まで回動するフックと、ベースに回動可能に枢着され、噛合位置のフックに当接して、フックの回動を規制し、ストライカとフックとの噛合状態を保つラチェットとを有し、開扉時には、ラチェットを回動させ、ストライカとフックとの噛合状態を解除する、トランクリッド用のロック装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のトランクルームの中に人間が入っている状態で、トランクリッドが何らかの原因で閉じられると、トランクリッドのロック装置が作動してトランクリッドがロックされ、人間はトランクルーム内から自力で出られなくなってしまう。そこで、トランクルーム内の人間が自力でこのトランクルームから出られるように、トランクルーム内でトランクリッドのロック解除を行えるようにしたロック装置が、既に提案されている。
【0003】
その構造の一つは、ストライカとフックとの噛合状態を保つラチェットに一端が繋がれたケーブルを設け、このケーブルの他端にループを形成しておき、トランクルームから出る際には、トランクルーム内の人間がケーブルの他端(ループ)を横方向に引くことにより、ラチェットを回動させ、ストライカとフックとの噛合状態を解除するものである。
【0004】
他の構造は、ラチェットに一端が当接したスライドバーを設け、このスライドバーの他端に釦部を形成しておき、トランクルームから出る際には、トランクルーム内の人間がスライドバーの他端(釦部)を横方向に押し込むことにより、ラチェットを回動させ、ストライカとフックとの噛合状態を解除するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
トランクルーム内の人間は、トランクルーム内が暗いことなどから、落ち着いて行動することが難しい。このような状況下において、ケーブルのループを引っ張る行動や、スライドバーの釦部を押し込む行動をとることは容易ではなく、トランクルーム内から出られない状態が長く続くことになる。
【0006】
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、本発明の課題は、トランクルーム内の人間がトランクリッドのロック解除を速やかに且つ容易に行えるロック装置を実現することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決する請求項1記載の発明は、ストライカ進入用の切欠部が形成されたベースと、前記ベースの切欠部近傍に回動可能に枢着され、前記切欠部に進入してきた前記ストライカに嵌合し、前記ストライカに押されて噛合位置まで回動するフックと、前記ベースに回動可能に枢着され、前記噛合位置の前記フックに当接して、前記フックの回動を規制し、前記ストライカと前記フックとの噛合状態を保つラチェットとを有し、開扉時には、前記ラチェットを回動させ、前記ストライカと前記フックとの噛合状態を解除する、トランクリッド用のロック装置において、押動アーム部及び略直線状ハンドル部を備えたロック解除用ハンドルアームを、前記ハンドル部が前記ベースの周辺に位置し且つ前記ハンドル部の操作がトランクルーム内で可能となるように、前記ベースに対して回動可能に取り付け、該ハンドルアームによるロック解除操作時には、前記ラチェットに該ハンドルアームの押動アーム部が当接し、前記ラチェットを回動させ、前記ストライカと前記フックとの噛合状態を解除することを特徴とするものである。
【0008】
この発明では、ベース周辺に位置する略直線状ハンドル部を回動させることによりトランクリッドのロック解除を行う。トランクルーム内の人間は、本能的に、ロック装置部分に手をやり、手に触れたものを操作する。本発明の場合、その手を持っていくところにロック解除用ハンドルアームのハンドル部が存在するため、トランクルーム内の人間は、とっさに、このハンドル部を掴み、操作することになる。
【0009】
この結果、ハンドル部が回動されることになり、ロック解除がなされる。即ち、ラチェットにハンドルアームの押動アーム部が当接し、ラチェットを回動させ、ストライカとフックとの噛合状態が解除される。従って、トランクリッドのロック解除が速やかに且つ容易になされることになる。
【0010】
更に請求項1記載の発明は、前記ストライカと前記フックとが噛合状態にあり、且つ、前記ハンドルアームがロック解除方向に回動していない状態では、前記ハンドルアームの押動アーム部が前記ラチェットと接触していないことを特徴とするものである。
【0011】
この発明では、ハンドルアームの非操作時では、その押動アーム部がラチェットに当接することはない。このため、開扉や閉扉時にラチェットが回動しても、ハンドルアームとラチェットの衝突音は発生しない。又、開扉や閉扉時にラチェットの運動をハンドルアームが妨害することもない。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記ハンドルアームによるロック解除操作時には、前記ハンドル部が前記ストライカ方向に移動することを特徴とするものである。トランクルーム内の人間は、通常、トランクルーム内に横たわった状態にあり、ハンドル部の操作としては、ハンドル部を下方即ちストライカ方向に押し下げる行動をとることが多い。
【0013】
請求項2記載の発明では、ハンドル部の回動方向がこの行動パターンに合致しているため、トランクリッドのロック解除が一層速やかに且つ容易になされることになる。
【0014】
請求項3記載の発明は、車室内に設けられたオープナに連結されると共に前記べースにピンでもって回動可能に枢着され、更に、前記オープナによる開扉時における回動方向と反対方向にスプリングによって付勢された第1のトランスファレバーと、前記ピンでもって回動可能に支持され、開扉の際の回動時に、前記ラチェットの回動端部にラチェット押圧アーム部が当接して、前記ラチェットを回動させ前記ストライカと前記フックとの噛合状態を解除する第2のトランスファレバーであって、キー装置により、前記第1のトランスファレバーに連動して回動する開扉/閉扉モードと前記第1のトランスファレバーとの連動が遮断されたキャンセルモードを選択できる第2のトランスファレバーとを有することを特徴とするものである。
【0015】
請求項3記載の発明では、車室内のオープナや車外からのキープレート操作によって、トランクリッドを開けることができるし、トランクリッドの施錠も行える。しかも、ラチェットにハンドルアームの押動アーム部が直接当接し、ラチェットを回動させる構造は、請求項1記載の発明と同様であり、たとえキャンセルモードであっても、トランクルーム内からトランクリッドを開けることができる。
【0016】
請求項4記載の発明は、前記ラチェットの回動端部は二股状に形成され、二股の一方の端部は、前記オープナによる開扉時に前記第2のトランスファレバーに押動され、他方の端部は、前記ベースの壁に穿設された穴を貫通して前記ベースの背面側に延出し、前記ベースの背面側に位置する前記ハンドルアームの押動アーム部に押動されるように構成したことを特徴とするものである。
請求項5記載の発明は、ストライカ進入用の切欠部が形成されたベースと、前記ベースの切欠部近傍に回動可能に枢着され、前記切欠部に進入してきた前記ストライカに嵌合し、前記ストライカに押されて噛合位置まで回動するフックと、前記ベースに回動可能に枢着され、前記噛合位置の前記フックに当接して、前記フックの回動を規制し、前記ストライカと前記フックとの噛合状態を保つラチェットとを有し、開扉時には、前記ラチェットを回動させ、前記ストライカと前記フックとの噛合状態を解除する、トランクリッド用のロック装置において、押動アーム部及び略直線状ハンドル部を備えたロック解除用ハンドルアームを、前記ハンドル部が前記ベースの周辺に位置し且つ前記ハンドル部の操作がトランクルーム内で可能となるように、前記ベースに対して回動可能に取り付け、該ハンドルアームによるロック解除操作時には、前記ラチェットに該ハンドルアームの押動アーム部が当接し、前記ラチェットを回動させ、前記ストライカと前記フックとの噛合状態を解除するように構成すると共に、車室内に設けられたオープナに連結されると共に前記べースにピンでもって回動可能に枢着され、更に、前記オープナによる開扉時における回動方向と反対方向にスプリングによって付勢された第1のトランスファレバーと、前記ピンでもって回動可能に支持され、開扉の際の回動時に、前記ラチェットの回動端部にラチェット押圧アーム部が当接して、前記ラチェットを回動させ前記ストライカと前記フックとの噛合状態を解除する第2のトランスファレバーであって、キー装置により、前記第1のトランスファレバーに連動して回動する開扉/閉扉モードと前記第1のトランスファレバーとの連動が遮断されたキャンセルモードを選択できる第2のトランスファレバーとを設け、前記ラチェットに二股状に形成された回動端部の一方の端部は、前記オープナによる開扉時に前記第2のトランスファレバーに押動され、他方の端部は、前記ベースの壁に穿設された穴を貫通して前記ベースの背面側に延出し、前記ベースの背面側に位置する前記ハンドルアームの押動アーム部に押動されるように構成したことを特徴とするものである。
【0017】
請求項3記載の発明のような構成をとる場合、第1及び第2のトランスファーレバーを支持するピンと、ロック解除用ハンドルアームとが干渉し易いが、請求項4及び5記載の発明のように構成すれば、両者がベースを挟んで配置されることになり、この干渉を容易に回避できると共に、装置全体をコンパクトにできる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の形態例を示す全体構成図、図2は図1における主要部の分解斜視図、図3は図1における主要部の動作説明図、図4は図3におけるA−A断面図である。
【0019】
これらの図において、ベース10は、自動車の車体後部に設けられるトランクリッドに固着されもので、本形態例では、図5及び図6に示したように、溶接等により一体に連結された第1プレート11及び第2プレート12から構成されている。第1プレート11には、トランクリッドに向けられる凹部11aが設けられており、この凹部11aの壁には、ストライカ進入用の略U字形の切欠部11bが形成されている。ここで、ストライカ7は、一般的には丸棒をU字形に折り曲げたもので、両端部がボディ側に固着されている。
【0020】
凹部11a内であって切欠部11bの近傍には、切欠部11bを挟むようにして、フック2と該フック2の作動を規制するラチェット3とが、ピン4,5によって回動可能に枢着され、フック2とラチェット3とは、両者間に掛止されたテンションスプリング6によって互いに近づく方向に付勢されている。
【0021】
フック2は、切欠部11bから凹部11a内に進入してきたストライカ7に嵌合し、ストライカ7に押されて噛合位置まで回動するもの、ラチェット3は、噛合位置にあるフック2に当接して、フック2の回動を規制し、ストライカ7とフック2の噛合状態を保つものである。
【0022】
このため、フック2の一端に形成された爪部2aは、ベース10の切欠部11bに突出したり(図1の状態)、切欠部11bから退避することができ、フック2の他端に設けられた突部2bは、ラチェット3の段部3aと係合可能となっている。
【0023】
本形態例におけるラチェット3は、図7〜図9に示すように、回動端部が二股状に形成され、二股の一方の端部3bよりも長い他方の端部3cは、段差状に形成されている。そして、この端部3cは、図1に示すように、ベース10の第1プレート11(凹部11aの壁)に穿設された矩形状の穴11fを貫通し、第1プレート11の図1における背面側(凹部11aの外側)にまで延びている。
【0024】
ベース10における第1プレート11には、ピン8が突設されている。このピン8には、中央部に円孔20aが穿設された第1のトランスファレバー20と、中央部に円弧状の長孔21aが穿設された第2のトランスファレバー21とが回動可能に嵌合している。
【0025】
第1のトランスファレバー20には、図2に示すように、溝20bが穿設された係止部20cが設けられている。車室内に設けられたオープナに一端部が係止され、他端(先端)に係止ボール14が設けられたワイヤ13は、この溝20bに挿入され、係止ボール14が係止部20cに当接している。これにより、オープナと第1のトランスファレバー20とはワイヤ13を介して係止される。尚、ワイヤ13は、第1プレート11のフランジ11cに固定されたワイヤガイド15に移動可能に挿通されている。
【0026】
又、第1のトランスファレバー20には、アーム部20dが設けられ、ベース10の第1プレート11には、スプリング係止部11dが設けられており、これらアーム部20d・スプリング係止部11d間にテンションスプリング16が掛止されている。このスプリング16により、第1のトランスファレバー20は、図1において、時計方向(ロック解除操作方向と逆方向)に付勢されている。
【0027】
第2のトランスファレバー21は、図2に示すように、外方に突出する第1アーム部21b,第2アーム部21c,ラチェット押圧アーム部21dが設けられている。第1アーム部21bには、車外よりキープレートが挿入できるキー装置(図示せず)のキーロータに一端が係止されたキャンセルリンク17の他端が係止されている。
【0028】
第2アーム部21cの先端部には円弧状の拘束部21eが形成されており、拘束部21eの上部は、第1のトランスファレバー20方向に張り出すように段差成形されている。そして、第1のトランスファレバー20に設けられた折曲突起20eが、この拘束部21eに当接し、スプリング16の回動付勢力でもって、第2のトランスファレバー21を図1における時計方向に付勢している。このため、拘束部21eの下部はベース10(第1プレート11)の突起11eに押し付けられている。即ち、第2のトランスファレバー21の拘束部21eは、第1のトランスファレバー20の折曲突起20eとベース10の突起11eとで拘束された状態にある(図4参照)。
【0029】
又、ラチェット押圧アーム部21dは、第2のトランスファレバー21の図1における時計方向の回動時に、ラチェット3の端部3bと当接可能になっている。更に、第1のトランスファレバー20には、オープナによる開扉時における回動時の回動端部の前面に、当接部20fが設けられ、第2のトランスファレバー21には、当接部20fと対向するように、突起21fが設けられており、第1のトランスファレバー20が回動すると、当接部20fが突起21fに当接可能になっている。
【0030】
第2のトランスファレバー21の長孔21aは、上記拘束部21e(図3に示す拘束部21eの点0)を中心とした円弧状の長孔、即ち、第2アーム部21c上の、第1プレート11の突起11e及び第1のトランスファレバー20の折曲突起20eによる規制位置近傍を中心とした円弧状の長孔であって、ピン8との嵌合位置として、第1のトランスファレバー20の当接部20fと回動伝達用の突起21fとの当接が可能な開扉/閉扉位置(図3の実線位置)と、当接が不能なキャンセル位置(図3の二点鎖線位置)とを、回動伝達用の突起21fに与えるものである。
【0031】
言い換えれば、第2のトランスファレバー21は、この長孔21aにより、第1のトランスファレバー20に連動して回動する開扉/閉扉モードと、第1のトランスファレバー20との連動が遮断されたキャンセルモードとを選択できることになる。
【0032】
ロック解除用ハンドルアーム31は、図10に示す形状を有しており、押動アーム部31a及び略直線状ハンドル部31bを備えている。そして、ハンドル部31bがベース10の周辺に位置し且つハンドル部31bの操作がトランクルーム内で可能となるように、ハンドルアーム31は、ピン32によって、ベース10の第2プレート12に回動可能に取り付けられている。本形態例では、ロック解除操作時のハンドル部31bの移動方向は、ストライカ7方向(図1における下方向)に設定されている。
【0033】
ハンドルアーム31の押動アーム部31aは、ハンドルアーム31によるロック解除操作時に、ラチェット3の端部3cに当接し、ラチェット3を回動させ、ストライカ7とフック2との噛合状態を解除するためのものである。
【0034】
又、ハンドルアーム31には、アーム部31cが設けられ、ベース10の第2プレート12には、スプリング係止部12aが設けられており、これらアーム部31c・スプリング係止部12a間にテンションスプリング33が掛止されている。このスプリング33により、ハンドルアーム31は図1において時計方向に付勢され、第2プレート12に切り起こしにより形成されたストッパ12bにアーム部31dが当接した位置で停止している。
【0035】
このストッパ12bによって、ストライカ7とフック2とが噛合状態で、且つ、ハンドルアーム31によるロック解除操作がなされていない状態(図1に示す状態)において、ハンドルアーム31の押動アーム部31aは、ラチェット3に接触していない。
【0036】
ハンドルアーム31のアーム部31dの先端には、円柱状の錘34が取り付けられ、図1における上下方向の衝撃がロック装置に加わっても、ハンドルアーム31が自転しないように構成されている。
【0037】
次に、上記形態例の作動を説明する。図示していないトランクリッドが閉じられてロックされた状態(オープナによるロック解除を禁止する所謂オープナキャンセル操作はなされていない状態)では、本形態例は図1の状態にある。即ち、フック2の突部2bとラチェット3の段部3aとが係合し、フック2の爪部2aがベース10(第1プレート11)の切欠部11bに突出し、ストライカ7はフック2の爪部2aに抜け止めされた噛合状態にある。このロック状態(噛合状態)の解除は、通常は、下記2つの方法で行う。
【0038】
一つめの方法は、車室内に設けられたオープナを用いる方法である。オープナを操作すると、ワイヤ13が図1において上方に移動し、オープナの動きは第1のトランスファレバー20に伝達される。そして、第1のトランスファレバー20がスプリング16の付勢力に抗してピン8を中心に図1における反時計方向に回動し、当接部20fが、第2のトランスファレバー21の突起21fを押動し、第2のトランスファレバー21もピン8を中心に図1における反時計方向に回動する。
【0039】
これにより、第2のトランスファレバー21のラチェット押圧アーム部21dがラチェット3の端部3bに当接し、スプリング6の付勢力に抗してラチェット3を図1における時計方向に回動させる。ラチェット3が時計方向に回動していくと、ラチェット3の段部3aからフック2の突部2bが外れ、フック2が、スプリング6の付勢力でもって、図1における時計方向に回動し、ストライカ7がベース10(第1プレート11)の切欠部11bから送り出され、ロック解除状態になる。
【0040】
二つめの方法は、キープレートを用いる方法である。キープレートをキー装置に挿入して、ロック解除方向に回すと、キーロータが回動し、キャンセルリンク17が図1において下方に移動する。キャンセルリンク17が下方に移動すると、第2のトランスファレバー21がピン8を中心に図1における反時計方向に回動し、前述のオープナを用いてロック解除を行う場合と同様に、ロック解除がなされる。
【0041】
一方、オープナキャンセル操作は、キープレートをキー装置に挿入して反ロック解除方向に回すことで行える。これにより、キャンセルリンク17は図1において上方に移動する。このとき、第2のトランスファレバー21の拘束部21eは、第1のトランスファレバー20の折曲突起20eと第1プレート11の突起11eとで拘束された状態にあるので、第2のトランスファレバー21は、ピン8を中心に時計方向に回動することはできず、図3に示す拘束部21eの点0を中心に時計方向に回動し、図3において二点鎖線で示した位置に移動する。これがオープナキャンセル位置(キャンセルモード)である。
【0042】
このキャンセルモードにおいては、オープナを操作して、第1のトランスファレバー20を図1及び図3において反時計方向に回動させても、第1のトランスファレバー20の当接部20fは、第2のトランスファレバー21の突起21fに当接できず、ロックを解除することができない。キャンセルモードの解除は、キープレートをロック方向に回し、第2のトランスファレバー21を実線の位置まで復帰させることにより行える。
【0043】
ロック解除後再びロック状態を得るには、トランクリッドを閉じる方向に押圧し、ストライカ7にロック装置全体を押し付ければよい。これにより、ストライカ7が切欠部11bに進入し、フック2の突部2bを押動して、フック2をスプリング6の付勢力に抗して図1における反時計方向に回動させることになる。そして、突部2bがラチェット3の段部3aと係合することで、再びロック状態となる。
【0044】
自動車のトランクルームの中に人間が入っている状態で、トランクリッドが何らかの原因で閉じられると、ロック装置が作動してトランクリッドがロックされる。しかし、本形態例では、トランクルーム内の人間は、ロック解除用ハンドルアーム31を操作することにより、トランクルーム内から自力で出ることができる。
【0045】
即ち、ロック解除用ハンドルアーム31の略直線状ハンドル部31bはベース10の周辺に位置し、且つ、ハンドル部31bの操作がトランクルーム内で可能となっているので、トランクルーム内の人間は、このハンドル部31bをストライカ7方向(図1における下方向)に押し下げればよい。
【0046】
これにより、ハンドルアーム31が図1において反時計方向に回動し、押動アーム部31aが、ラチェット3の端部3cに当接してラチェット3を図1において時計方向に回動させ、ストライカ7とフック2との噛合状態が解除される。
【0047】
トランクルーム内の人間は、本能的に、ロック装置部分に手をやり、手に触れたものを掴んで操作するので、本形態例のように、ベース10周辺にロック解除用ハンドルアーム31のハンドル部31bを配置した場合、その手を持っていったところにロック解除用のハンドル部31bが存在することになるため、トランクルーム内の人間は、とっさに、このハンドル部31bを掴み、操作しようとする。この結果、ハンドル部31bが回動されることになり、ロック解除が速やかに且つ容易になされることになる。
【0048】
又、トランクルーム内の人間は、通常、トランクルーム内に横たわっており、ハンドル部31bの操作としては、ハンドル部31bを下方即ちストライカ7方向に押し下げる行動をとることが多い。本形態例では、ハンドル部31bの回動方向がこの行動パターンに合致しているため、トランクリッドのロック解除が一層速やかに且つ容易になされることになる。
【0049】
更に、本形態例では、オープナやキープレートを用いてロック解除できるし、必要に応じてオープナキャンセルもできる。しかも、ラチェット3にハンドルアーム31の押動アーム部31aが直接当接し、ラチェット3を回動させる構造のため、たとえキャンセルモードであっても、トランクルーム内からトランクリッドを開けることができる。
【0050】
又、第1及び第2のトランスファーレバー20,21がベース10の第1プレート11の図1における前面側に配置され、ロック解除用ハンドルアーム31が第1プレート11の図1における背面側に配置されたため、第1及び第2のトランスファーレバー20,21を支持するピン8とハンドルアーム31との干渉を容易に回避できると共に、装置全体をコンパクトにできる。
【0051】
加えて、ハンドルアーム31の非操作時では、その押動アーム部31aがラチェット3に当接することはなく、開扉や閉扉時にラチェット3が回動しても、ハンドルアーム31とラチェット3の衝突音が発生するようなことはない。又、開扉や閉扉時にラチェット3の運動をハンドルアーム31が妨害することもない。
【0052】
尚、本発明は上記形態例に限るものではない。例えば、ロック解除用ハンドルアーム31のハンドル部31bは、ベース10の周辺に配置され且つハンドル部31bの操作がトランクルーム内で可能であればよい。このハンドル部31bに蛍光塗料等を塗れば、視覚的にも、ハンドル部の存在を察知し易くなる。
【0053】
又、オープナやキープレートを用いてロック解除する構成やオープナキャンセル機構についても、上記形態例に限る必要はない。以下、オープナキャンセル機構の他の構成例を図11及び図12を用いて説明する。尚、前記オープナキャンセル機構と同一部品には、図11及び図12中に示さない部品についても、同一符号を付して記述する。
【0054】
図11及び図12に示す構成において、中央部に円孔40aが穿設された第1のトランスファレバー40と、中央部に円孔41aが穿設された第2のトランスファレバー41とは、前述のベース10における第1プレート11に、ピン8でもって、回動可能に支持されている。
【0055】
第1のトランスファレバー40には、前述のオープナキャンセル機構と同様に、溝40bが穿設された係止部40cが設けられている。そして、車室内に設けられたオープナに一端部が係止され、他端に係止ボール14が設けられたワイヤ13が、この溝40bに挿入され、係止ボール14が係止部40cに当接している。
【0056】
又、第1のトランスファレバー40には、アーム部40dが設けられ、前述のスプリング係止部11dとの間にテンションスプリング16が掛止されている。このスプリング16により、第1のトランスファレバー40は、図11において、時計方向(ロック解除操作方向と逆方向)に付勢されている。
【0057】
更に、第1のトランスファレバー40には、連動アーム部40fが設けられており、ここに、半径方向に延びた直線状長穴部40gとこれに連続して円周方向に延びた円弧状長穴部40hとからなる、略L字形の長穴40jが形成されている。
【0058】
第2のトランスファレバー41には、連動アーム部41cと、ラチェット押圧アーム部41dとが設けられている。連動アーム部41cには、直線状長穴部40gと重なるように半径方向に延びた直線状の長穴41bが穿設されている。又、ラチェット押圧アーム部41dは、第2のトランスファレバー41の図11における反時計方向の回動時に、ラチェット3の端部3bと当接可能になっている。
【0059】
連動ピン43は、一方の端部43aが、第1のトランスファレバー40略L字形長穴40jに遊嵌し、他方の端部43bが、第2のトランスファレバー41の長穴41bに遊嵌し、両長穴40j,41b内を摺動できるように配置されている。
【0060】
電動アクチュエータ44は、駆動アーム45をシャフト46を中心に回転駆動するものである。この駆動アーム45には、中間部に長手方向(直線状長穴部40g及び長穴41bに交差する方向)に延びたガイド溝45aが形成されており、ここに、連動ピン43の中間部43cが摺動可能に嵌合している。従って、電動アクチュエータ44は、駆動アーム45をシャフト46を中心に回動させることにより、連動ピン43を図11における左方向及び右方向に移動させることができる。
【0061】
更に、駆動アーム45の先端部には、図11における反時計方向の回動時に、第2のトランスファレバー41のラチェット押圧アーム部41dに当接し、これを図11における反時計方向に回動させる押動部45bが設けられている。
【0062】
駆動アーム45が図11における時計方向の回動した状態(図11の状態)では、第2のトランスファレバー41は、第1のトランスファレバー40との連動が解除されたキャンセルモードにあり、第1のトランスファレバー40が反時計方向に回動しても、図11の実線位置にある連動ピン43は、円弧状長穴部40h内にあるために連動アーム部40fに押動されず、その位置を維持する。このため、第2のトランスファレバー41も回動せず、ロック状態が維持される。
【0063】
一方、駆動アーム45を図11における反時計方向に最後まで回動させ、連動ピン43を図11中の二点鎖線の位置まで移動させるた場合は、駆動アーム45の押動部45bが、第2のトランスファレバー41のラチェット押圧アーム部41dに当接し、これを図11における反時計方向に回動させるため、オープナを用いることなく、ロック解除を行える。
【0064】
連動ピン43が図11中の実線位置と二点鎖線位置との中間位置に移動している状態では、第2のトランスファレバー41は、第1のトランスファレバー40に連動して回動する開扉/閉扉モードにある。この開扉/閉扉モードでは、オープナを操作すると、第1のトランスファレバー20が図11における反時計方向に回動し、この回動が連動ピン43を介して第2のトランスファレバー41に伝達され、第2のトランスファレバー41も反時計方向に回動する。これにより、ロック解除状態になる。
【0065】
尚、この構成において、電動アクチュエータ44は、キープレートをキー装置に挿入して、ロック解除方向或いはロック方向に回すことで、正転若しくは逆転し、駆動アーム45を上記の如く回転駆動するように構成されている。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明では、押動アーム部及び略直線状ハンドル部を備えたロック解除用ハンドルアームを、ハンドル部がベースの周辺に位置し且つハンドル部の操作がトランクルーム内で可能となるように、ベースに対して回動可能に取り付け、このハンドル部を回動させることによりトランクリッドのロック解除を行う。トランクルーム内の人間は、本能的に、ロック装置部分に手をやり、手に触れたものを掴んで操作するので、本発明の場合、その手を持っていくところにロック解除用ハンドルアームの略直線状ハンドル部が存在することになり、トランクルーム内の人間は、とっさに、この略直線状ハンドル部を掴み、操作しようとする。この結果、トランクリッドのロック解除が速やかに且つ容易になされることになる。
【0067】
更に請求項1記載の発明では、ハンドルアームの非操作時では、その押動アーム部がラチェットに当接することはなく、開扉や閉扉時にラチェットが回動しても、ハンドルアームとラチェットの衝突音が発生するようなことはない。又、開扉や閉扉時にラチェットの運動をハンドルアームが妨害することもない。
【0068】
請求項2記載の発明では、ハンドルアームによるロック解除操作時には、ハンドル部をストライカ方向に移動させるように構成した。トランクルーム内の人間は、通常、トランクルーム内に横たわった状態にあり、ハンドル部の操作としては、ハンドル部を下方即ちストライカ方向に押し下げる行動をとることが多い。請求項3記載の発明によれば、ハンドル部の回動方向がこの行動パターンに合致するため、トランクリッドのロック解除が一層速やかに且つ容易になされることになる。
【0069】
請求項3記載の発明によれば、第1及び第2のトランスファレバーを設けたことで、オープナやキープレートを用いてロック解除できるし、必要に応じてオープナキャンセルもできる。しかも、ラチェットにハンドルアームの押動アーム部が直接当接し、ラチェットを回動させる構造であるため、たとえキャンセルモードであっても、トランクルーム内からトランクリッドを開けることができる。
【0070】
請求項4及び5記載の発明によれば、第1及び第2のトランスファーレバーとロック解除用ハンドルアームとがベースを挟んで配置されることになり、第1及び第2のトランスファーレバーを支持するピンとロック解除用ハンドルアームとの干渉を容易に回避できると共に、装置全体をコンパクトにできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態例を示す全体構成図である。
【図2】図1における主要部の分解斜視図である。
【図3】図1における主要部の動作説明図である。
【図4】図3におけるA−A断面図である。
【図5】ベースの正面図である。
【図6】ベースの右側面である。
【図7】ラチェットの正面図である。
【図8】ラチェットの右側面図である。
【図9】図8におけるB方向矢視図である。
【図10】ハンドルアームの正面図である。
【図11】オープナキャンセル機構の他の構成例を示す図である。
【図12】図11における主要部の分解斜視図である。
【符号の説明】
2 フック
2a 爪部
3 ラチェット
7 ストライカ
10 ベース
11 第1プレート
11a 凹部
11b 切欠部
11f 穴
12 第2プレート
13 ワイヤ
17 キャンセルリンク
20,40 第1のトランスファレバー
21,41 第2のトランスファレバー
31 ハンドルアーム
31a 押動アーム部
31b ハンドル部
Claims (5)
- ストライカ進入用の切欠部が形成されたベースと、前記ベースの切欠部近傍に回動可能に枢着され、前記切欠部に進入してきた前記ストライカに嵌合し、前記ストライカに押されて噛合位置まで回動するフックと、前記ベースに回動可能に枢着され、前記噛合位置の前記フックに当接して、前記フックの回動を規制し、前記ストライカと前記フックとの噛合状態を保つラチェットとを有し、開扉時には、前記ラチェットを回動させ、前記ストライカと前記フックとの噛合状態を解除する、トランクリッド用のロック装置において、
押動アーム部及び略直線状ハンドル部を備えたロック解除用ハンドルアームを、前記ハンドル部が前記ベースの周辺に位置し且つ前記ハンドル部の操作がトランクルーム内で可能となるように、前記ベースに対して回動可能に取り付け、該ハンドルアームによるロック解除操作時には、前記ラチェットに該ハンドルアームの押動アーム部が当接し、前記ラチェットを回動させ、前記ストライカと前記フックとの噛合状態を解除するように構成すると共に、
前記ストライカと前記フックとが噛合状態にあり、且つ、前記ハンドルアームがロック解除方向に回動していない状態では、前記ハンドルアームの押動アーム部が前記ラチェットと接触していないことを特徴とするロック装置。 - 前記ハンドルアームによるロック解除操作時には、前記ハンドル部が前記ストライカ方向に移動することを特徴とする請求項1記載のロック装置。
- 車室内に設けられたオープナに連結されると共に前記べースにピンでもって回動可能に枢着され、更に、前記オープナによる開扉時における回動方向と反対方向にスプリングによって付勢された第1のトランスファレバーと、
前記ピンでもって回動可能に支持され、開扉の際の回動時に、前記ラチェットの回動端部にラチェット押圧アーム部が当接して、前記ラチェットを回動させ前記ストライカと前記フックとの噛合状態を解除する第2のトランスファレバーであって、キー装置により、前記第1のトランスファレバーに連動して回動する開扉/閉扉モードと前記第1のトランスファレバーとの連動が遮断されたキャンセルモードを選択できる第2のトランスファレバーと
を有することを特徴とする請求項1又は2記載のロック装置。 - 前記ラチェットの回動端部は二股状に形成され、二股の一方の端部は、前記オープナによる開扉時に前記第2のトランスファレバーに押動され、他方の端部は、前記ベースの壁に穿設された穴を貫通して前記ベースの背面側に延出し、前記ベースの背面側に位置する前記ハンドルアームの押動アーム部に押動されるように構成したことを特徴とする請求項3記載のロック装置。
- ストライカ進入用の切欠部が形成されたベースと、前記ベースの切欠部近傍に回動可能に枢着され、前記切欠部に進入してきた前記ストライカに嵌合し、前記ストライカに押されて噛合位置まで回動するフックと、前記ベースに回動可能に枢着され、前記噛合位置の前記フックに当接して、前記フックの回動を規制し、前記ストライカと前記フックとの噛合状態を保つラチェットとを有し、開扉時には、前記ラチェットを回動させ、前記ストライカと前記フックとの噛合状態を解除する、トランクリッド用のロック装置において、
押動アーム部及び略直線状ハンドル部を備えたロック解除用ハンドルアームを、前記ハンドル部が前記ベースの周辺に位置し且つ前記ハンドル部の操作がトランクルーム内で可能となるように、前記ベースに対して回動可能に取り付け、該ハンドルアームによるロック解除操作時には、前記ラチェットに該ハンドルアームの押動アーム部が当接し、前記ラチェットを回動させ、前記ストライカと前記フックとの噛合状態を解除するように構成すると共に、
車室内に設けられたオープナに連結されると共に前記べースにピンでもって回動可能に枢着され、更に、前記オープナによる開扉時における回動方向と反対方向にスプリングによって付勢された第1のトランスファレバーと、
前記ピンでもって回動可能に支持され、開扉の際の回動時に、前記ラチェットの回動端部にラチェット押圧アーム部が当接して、前記ラチェットを回動させ前記ストライカと前記フックとの噛合状態を解除する第2のトランスファレバーであって、キー装置により、前記第1のトランスファレバーに連動して回動する開扉/閉扉モードと前記第1のトランスファレバーとの連動が遮断されたキャンセルモードを選択できる第2のトランスファレバーとを設け、
前記ラチェットに二股状に形成された回動端部の一方の端部は、前記オープナによる開扉時に前記第2のトランスファレバーに押動され、他方の端部は、前記ベースの壁に穿設された穴を貫通して前記ベースの背面側に延出し、前記ベースの背面側に位置する前記ハンドルアームの押動アーム部に押動されるように構成したことを特徴とするロック装置。
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