JP3765241B2 - プラスチック製インクジェット記録シート用のカチオン性水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物、該組成物を用いた塗工剤及び該塗工剤を塗工したプラスチック製インクジェット記録シート - Google Patents

プラスチック製インクジェット記録シート用のカチオン性水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物、該組成物を用いた塗工剤及び該塗工剤を塗工したプラスチック製インクジェット記録シート Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、プラスチック製インクジェット記録シート用のカチオン性水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物、該組成物を用いた塗工剤及び該塗工剤を用いたプラスチックシートに関し、更に詳しくは、密着性及びインクの耐水性に優れたプラスチック製インクジェット記録シート用のカチオン性水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物と、この組成物を用いた塗工剤と、この塗工剤を用いて塗工したプラスチックシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット記録用のプリンタが普及し、印刷対象も紙のみならず、プラスチックシートへと広げられている。プラスチックシートは吸水性を有していないため、何らかの塗工剤を用いた処理が必要となるが、この塗工剤には、種々のプラスチックシートに対する十分な密着性と、印刷されたインクの耐水性を確保する等の性能が要求されている。
【0003】
これらの塗工剤の性能は、塗工剤を構成する樹脂の性能に依存するが、従来よりプラスチックシートに対する密着性等の理由から、ポリウレタン樹脂を主成分とする溶剤系塗工剤が多用されている。
【0004】
しかし、最近では、環境問題、省資源、労働安全性及び食品衛生等の見地から、水系の塗工剤に対する要望が強くなっている。しかし、水系塗工剤は、一般に、プラスチックシートに対する密着性が不十分であり、特にPET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)に対する密着性が十分でないという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、幅広い種類のプラスチックシートに対して優れた密着性を発揮し、しかも、印刷されたインキの耐水性に優れたプラスチック製インクジェット記録シートを得ることができるカチオン性水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物を提供することである。また、本発明の他の目的は、そのような性能を発揮する塗工剤を提供することである。更に、そのような性能を発揮するプラスチックシートを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ポリイソシアネート(A)とウレタン反応を行うポリオールとしてポリエステルポリオール(B)を用いるとともに、三級アミノ基を有する鎖伸長剤(C)を用いてウレタンプレポリマーを調製し、この三級アミノ基の一部を酸で中和又は四級化剤で四級化してアミン価を1〜40(KOHmg/g)の範囲とすれば、上記目的を達成し得るプラスチック製インクジェット記録シート用のカチオン性水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物を得ることができることを見出したことにより完成されたものである。
【0007】
即ち、本発明のプラスチック製インクジェット記録シート用のカチオン性水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物は、ポリイソシアネート(A)と、ポリエステルポリオール(B)と、分子中に三級アミノ基を有する鎖伸長剤(C)とによって構成されるウレタンプレポリマーの三級アミノ基の一部を酸で中和又は四級化剤で四級化したカチオン性ウレタンプレポリマーを水又はポリアミン化合物(D)を用いて鎖伸長したカチオン性水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物であって、
該水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物のアミン価が1〜40(KOHmg/g)であることを特徴とする。
【0008】
本発明に於いて、鎖伸長剤(C)は、予め三級アミン基の一部を酸で中和又は四級化剤で四級化してからポリイソシアネート(A)及びポリエステルポリオール(B)と反応させることもできる。
【0009】
このように本発明では、ポリオールとしてポリエステルポリオール(B)を用いることにより、プラスチックシートへの密着性が向上している。また、三級アミノ基を有する鎖伸長剤(C)によって導入される三級アミノ基の一部を酸で中和又は四級化剤で四級化してアミン価を1〜40(KOHmg/g)の範囲とすることにより、更にプラスチックシートへの密着性が向上している。また、鎖伸長剤(C)によって導入される三級アミノ基を酸で中和又は四級化剤で四級化することにより、印刷されたインクの耐水性が向上している。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
本発明に於いては、ポリイソシアネート(A)として、従来から慣用されている脂肪族、脂環族、芳香族、芳香脂肪族等のポリイソシアネートを使用することができる。
【0012】
脂肪族ポリイソシアネートの具体例として、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルぺンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルぺンタン−1,5−ジイソシアネート等を挙げることができる。
【0013】
脂環族ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
【0014】
芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0015】
芳香脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0016】
これらのポリイソシアネートは単独でも2種以上混合しても用いることができる。
【0017】
本発明に於いて使用されるポリエステルポリオール(B)は、種々のポリカルボン酸とポリオールとによって構成されるものを使用することができるが、脂肪族二塩基酸及び芳香族二塩基酸からなるジカルボン酸と、脂肪族グリコールとによって構成されるものが、密着性が高くなるという点でより好ましい。上記脂肪族二塩基酸として、例えば、マロン酸、琥珀酸、酒石酸、蓚酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アルキルコハク酸、リノレイン酸、マレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸等、或いはこれらの酸無水物、アルキルエステル、酸ハライド等の反応性誘導体などを挙げることができる。これらの脂肪族ジカルボン酸は単独又は2種以上併用して用いることができる。また、上記芳香族二塩基酸として、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸等、或いはこれらの酸無水物、アルキルエステル、酸ハライド等の反応性誘導体などを挙げることができる。これらの芳香族ジカルボン酸は単独または2種以上併用して用いることができる。
【0018】
本発明に於ける脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール等が例示でき、これらは単独又は2種以上併用して用いることができる。
【0019】
本発明に於いて三級アミノ基を導入するために使用される、分子中に三級アミノ基を有する鎖伸長剤(C)としては、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン等のN−アルキルジアルカノールアミン、N−メチルジアミノエチルアミン、N−エチルジアミノエチルアミン等のN−アルキルジアミノアルキルアミン等を挙げることができる。これらの三級アミノ基を有する鎖伸長剤(C)は単独又は2種以上併用して用いることができる。
【0020】
本発明に於ける鎖伸長剤(C)の添加量は、ポリイソシアネート(A)とポリエステルポリオール(B)と鎖伸長剤(C)との合計に対して5〜20重量%であることがより好ましい。この鎖伸長剤(C)の添加量が5重量%より少ないと、導入される三級アミノ基が少なくなり、密着性及びインクの耐水性が低下するという傾向が現れる。また、鎖伸長剤(C)の添加量が20重量%より多いと、添加量に見合った密着性及びインクの耐水性を向上させる効果が得られず、また、このように鎖伸長剤(C)の添加量を高めたウレタンプレポリマーは調製し難くなる傾向が現れる。
【0021】
本発明に於いては、ポリイソシアネート(A)と、ポリエステルポリオール(B)と、分子中に三級アミノ基を有する鎖伸長剤(C)との反応によって生成するウレタンプレポリマーの末端の遊離NCOの含有量は、1〜5重量%の範囲であることがより好ましい。この末端遊離NCOの含有量が1重量%より少ないと、ウレタンプレポリマーの調製が困難となるので好ましくない。また、末端遊離NCOの含有量が5重量%より多いと、得られる水系ポリウレタン樹脂の凝集力が高くなりすぎるため、密着性の点で好ましくない。
【0022】
本発明に於いては、鎖伸長剤(C)によって導入される三級アミノ基の一部を酸で中和又は四級化剤で四級化したカチオン性ウレタンプレポリマーが調製される。三級アミノ基の一部を酸で中和する場合には、中和に用いる酸として、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、マロン酸、アジピン酸等の有機酸、及び塩酸、燐酸、硝酸等の無機酸を挙げることができる。これらの酸は単独又は2種以上併用して用いることができる。
【0023】
また、三級アミノ基の一部を四級化剤で四級化する場合には、四級化剤としてベンジルクロライド、メチルクロライド等のハロゲン化アルキル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル等の硫酸エステル等を挙げることができる。これらの四級化剤は単独又は2種以上併用して用いることができる。
【0024】
本発明に於いては、上述のように三級アミノ基の中和又は四級化は完全には行われず、一部の三級アミノ基のみが中和又は四級化される。中和又は四級化されずに残される三級アミノ基の量は、水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物のアミン価が1〜40(KOHmg/g)となる量であり、このアミン価は、酸による中和又は四級化により調製することができる。
【0025】
このように三級アミノ基の一部を中和又は四級化して得られたカチオン性ウレタンプレポリマーは、次に水に分散され、又は水に分散後ポリアミン化合物(D)により鎖延長を行うことにより、本発明のカチオン性水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物が得られる。
【0026】
このポリアミン化合物(D)としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、へキシレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イソホロンジアミン、ピペラジン、ジフェニルメタンジアミン、ヒドラジン、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド類等のアミノ基を2個以上有する化合物を挙げることができる。
【0027】
本発明の水系ポリウレタン樹脂塗工剤は、プラスチック製インクジェット記録シートに塗工して使用されるものであり、上記のプラスチック製インクジェット記録シート用の水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物と、水溶性高分子とを含有している。水溶性高分子としては、酸化デンプン、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、カゼイン、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができ、価格の点でポリビニルアルコールが好ましい。
【0028】
また、本発明の水系ポリウレタン樹脂塗工剤は、無機吸水材を更に含有していてもよい。無機吸水材としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、無定形シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトボン等が挙げられ、印字速度及び発色性の点から、無定形シリカが好ましい。
【0029】
本発明に於いては、水酸基数が3個以上のポリオールを添加してもよい。水酸基数が3個以上のポリオールを添加すると、プラスチックシートに対する密着性を改善することができる。但し、得られるポリウレタン樹脂塗工剤組成物の水への分散性を損なわない範囲で使用することが必要である。このようなポリオールとして、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトラオール、1,4−ソルビタン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等を挙げることができ、これらを単独又は2種以上併用して用いることができる。
【0030】
本発明のカチオン性水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物を用いた塗工剤は、軟質ポリ塩化ビニル、半硬質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニル、PET、ポリプロピレン、ポリエチレン等のシートに塗工することができる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例に従って説明する。
【0032】
<カチオン性水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物の調製>
まず、プラスチック製インクジェット記録シート用のカチオン性水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物を、以下のようにして調製した。
【0033】
(実施例1)
1,6−へキサンジオール及びエチレングリコールと、イソフタル酸及びアジピン酸とからなるポリエステルポリオール(分子量1700、商品名「テスラック2477、日立化成ポリマー(株)製)を300重量部と、トリメチロールプロパンを10重量部と、N−メチル−N,N−ジエタノールアミンを48重量部と、イソホロンジイソシアネートを190重量部と、メチルエチルケトン(MEK)267重量部とを反応容器にとり、70〜75℃に保ちながら反応を行い、ウレタンプレポリマーを得た。このウレタンプレポリマーにジメチル硫酸を38.1重量部添加し、50〜60℃で30〜60分間反応させて、NCO含有率が2.5%であるカチオン性ウレタンプレポリマーを得た。得られたカチオン性ウレタンプレポリマーに水1370重量部を均一に添加して乳化させた後、MEKを回収することにより、アミン価10.3の実施例1のカチオン性水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物を得た。
【0034】
(実施例2)
ネオペンチルグリコール及びエチレングリコールと、イソフタル酸及びアジピン酸とからなるポリエステルポリオール(分子量2000、商品名「テスラック2508、日立化成ポリマー(株)製)を238重量部と、トリメチロールプロパンを5.95重量部と、N−メチル−N,N−ジエタノールアミンを38.1重量部と、イソホロンジイソシアネートを137.0重量部と、MEK210重量部を反応容器にとり、70〜75℃に保ちながら反応を行い、ウレタンプレポリマーを得た。このウレタンプレポリマーにジメチル硫酸を30.3重量部添加し、50〜60℃で30〜60分間反応させて、NCO含有率が2.1%であるカチオン性ウレタンプレポリマーを得た。得られたカチオン性ウレタンプレポリマーに水1155重量部を均一に添加して乳化させた後、MEKを回収することにより、アミン価10.7の実施例2のカチオン性水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物を得た。
【0035】
(実施例3)
ネオペンチルグリコール及びエチレングリコールと、イソフタル酸及びアジピン酸とからなるポリエステルポリオール(分子量2000、商品名「テスラック2508、日立化成ポリマー(株)製)を238重量部と、トリメチロールプロパンを5.95重量部と、N−メチル−N,N−ジエタノールアミンを38.1重量部と、イソホロンジイソシアネートを137.0重量部と、MEK210重量部を反応容器にとり、70〜75℃に保ちながら反応を行い、NCO含有率が2.1%であるウレタンプレポリマーを得た。得られたウレタンプレポリマーに酸として酢酸を11.5重量部添加し、均一に撹拌してカチオン性ウレタンプレポリマーを得た後、水1155重量部を均一に添加して乳化した後、MEKを回収することにより、アミン価17.1の実施例3のカチオン性水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物を得た。
【0036】
(実施例4)
1,6−へキサンジオール及びエチレングリコールと、イソフタル酸及びアジピン酸とからなるポリエステルポリオール(分子量1700、商品名「テスラック2477、日立化成ポリマー(株)製)を300重量部と、トリメチロールプロパンを10重量部と、N−メチル−N,N−ジエタノールアミンを48重量部と、イソホロンジイソシアネートを190重量部と、メチルエチルケトン(MEK)267重量部とを反応容器にとり、70〜75℃に保ちながら反応を行い、ウレタンプレポリマーを得た。このウレタンプレポリマーにジメチル硫酸を38.1重量部添加し、50〜60℃で30〜60分間反応させて、NCO含有率が2.5%であるカチオン性ウレタンプレポリマーを得た。得られたカチオン性ウレタンプレポリマーに水1370重量部を均一に添加して乳化させた後、エチレンジアミン9.0重量部を水36.0重量部で希釈したエチレンジアミン水溶液を均一に添加してNCO基と完全に反応させ、次にMEKを回収することにより、アミン価10.3の実施例4のカチオン性水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物を得た。
【0037】
(比較例1)
ポリテトラメチレングリコール(分子量2000、商品名PTMG2000、三菱化学(株)製)を238重量部と、トリメチロールプロパンを5.95重量部と、N−メチル−N,N−ジエタノールアミンを38.1重量部と、イソホロンジイソシアネートを137.0重量部と、MEK210重量部を反応容器にとり、70〜75℃に保ちながら反応を行い、ウレタンプレポリマーを得た。このウレタンプレポリマーにジメチル硫酸を30.3重量部添加し、50〜60℃で30〜60分間反応させて、NCO含有率が2.1%であるカチオン性ウレタンプレポリマーを得た。得られたウレタンプレポリマーに水1155重量部を均一に添加して乳化した後、MEKを回収することにより、アミン価10.7の比較例1のカチオン系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物を得た。
(比較例2)
ポリエステルポリオール(分子量1700、商品名「テスラック2477、日立化成ポリマー(株)製)を300重量部と、トリメチロールプロパンを7.5重量部と、N−メチル−N,N−ジエタノールアミンを48重量部と、イソホロンジイソシアネートを177.5重量部と、MEKを267重量部を反応容器にとり、70〜75℃に保ちながら反応を行い、ウレタンプレポリマーを得た。このウレタンプレポリマーの三級アミノ基の全部をジメチル硫酸50.8重量部で四級化し、NCO含有率が2.2%であるカチオン性ウレタンプレポリマーを得た。得られたカチオン性ウレタンプレポリマーに水1370重量部を均一に添加して乳化した後、MEKを回収することにより、アミン価0の比較例2のカチオン性水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物を得た。
【0038】
<カチオン性水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物を用いた塗工剤の調製>
実施例1〜3並びに比較例1及び2で得られたカチオン性水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物を用いて、下記のようにして塗工剤を調製した。
【0039】
実施例1〜3並びに比較例1及び2で得られた各組成物50重量部に、無定形シリカを50部と、20%ポリビニルアルコール水溶液を200重量部配合してプラスチック製インクジェット記録シート用の塗工剤を調製した。
【0040】
<塗工剤を塗工したプラスチック製インクジェット記録シートの作製>
実施例1〜3並びに比較例1及び2の各組成物を用いて上述のようにして調製した各塗工剤を、バーコータを用いて表1に示す3種類のプラスチックシート上に、乾燥後の膜厚が50μmになるように塗布し、120℃で3分間乾操させて、プラスチック製インクジェット記録シートを得た。
【0041】
<耐水性の評価>
耐水性は、半硬質ポリ塩化ビニル(PVC)、未処理のポリエチレンテレフタレート(PET)及びコロナ放電処理したポリプロピレンのプラスチックシートに上記のように各塗工剤を塗布して作製したプラスチック製インクジェット記録シートの塗工面に、インクジェットプリンター(エプソン社製MACHJET MJ−830C)を用いて印字を行い、印字部と非印字部の境界にスポイトで1滴の水を滴下して、印字の滲みを目視で観察することにより評価した。評価結果を表1に示した。なお、耐水性の評価結果は、上記3種類のシートで同じ結果となったので、表1では一つの欄にまとめて示してある。
【0042】
耐水性の評価基準は、以下のとおりである。
【0043】
◎:まったく滲まない
○:僅かに滲む(印字の識別可能)
×:滲む(印字の識別不可)。
【0044】
耐水性の評価の結果、表1に示すように、実施例1〜3のカチオン性水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物を用いた塗工剤を塗布したプラスチックシートでは、全くインクの滲みが見られず、耐水性が非常に高いことが解る。これに対して、比較例1及び2のシートでは、印字の滲みが見られ、耐水性に劣ることが解る。
【0045】
【表1】
Figure 0003765241
【0046】
<密着性の評価>
密着性は、表1に示した3種類のプラスチックシートに上記のように各塗工剤を塗布したプラスチック製インクジェット記録シートの塗工面に、粘着テープ(ニチバン製、12mm幅)を貼り、この粘着テープの一端を塗工面に対して直角方向に急速に引き剥がしたときの塗工層の残存量を観察することにより評価した。評価基準評価基準は、以下のとおりである。
【0047】
◎:塗工層が90%以上残る
○:塗工層が70%以上90%未満残る
△:塗工層が60%以上70%未満残る
×:塗工層が60%未満残る。
【0048】
密着性の評価の結果、表1に示すように、実施例1〜3のカチオン性水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物を用いた塗工剤を塗布したプラスチックシートでは、塗工層は90%以上残り、非常に密着性が高いことが解る。これに対して、比較例1及び2のシートでは、塗工層の大きな剥離が起こり、密着性が低いことが解る。
【0049】
【発明の効果】
本発明のプラスチック製インクジェット記録シート用のカチオン性水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物では、三級アミノ基を有する鎖伸長剤(C)によってウレタンプレポリマーに導入される三級アミノ基の全てを中和又は四級化せず、その一部のみを酸で中和又は四級化してアミン価の範囲を1〜40(KOHmg/g)としている。このように三級アミノ基を残すことにより、密着性及びインクの耐水性が非常に高められる。また、ポリオールとしてポリエステルポリオール(B)を用いることにより、プラスチックシートへの密着性が更に向上している。

Claims (8)

  1. ジイソシアネート(ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを除く)(A)と、脂肪族二塩基酸及び芳香族二塩基酸からなるジカルボン酸と脂肪族グリコールとによって構成されるポリエステルポリオール(B)と、分子中に三級アミノ基を有する鎖伸長剤(C)とによって構成されるウレタンプレポリマーの三級アミノ基の一部を酸で中和又は四級化剤で四級化したカチオン性ウレタンプレポリマーを水又はポリアミン化合物(D)を用いて鎖伸長したカチオン性水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物であって、
    該水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物のアミン価が1〜40(KOHmg/g)であることを特徴とするプラスチック製インクジェット記録シート用のカチオン性水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物。
  2. 前記鎖伸長剤(C)の添加量は、前記ポリイソシアネート(A)と前記ポリエステルポリオール(B)と前記鎖伸長剤(C)との合計に対して5〜20重量%である請求項1記載のプラスチック製インクジェット記録シート用のカチオン性水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物。
  3. 前記ウレタンプレポリマーに於ける末端遊離NCO基の含有量が、1〜5重量%の範囲である請求項1又は2に記載のプラスチック製インクジェット記録シート用の水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載のプラスチック製インクジェット記録シート用の水系ポリウレタン樹脂塗工剤組成物と、水溶性高分子とを含有するプラスチック製インクジェット記録シート用の水系ポリウレタン樹脂塗工剤。
  5. 前記水溶性高分子がポリビニルアルコールである請求項4記載のプラスチック製インクジェット記録シート用の水系ポリウレタン樹脂塗工剤。
  6. 無機吸水材を更に含有することを特徴とする請求項4又は5に記載のプラスチック製インクジェット記録シート用の水系ポリウレタン樹脂塗工剤。
  7. 前記無機吸水材が無定型シリカである請求項6記載のプラスチック製インクジェット記録シート用の水系ポリウレタン樹脂塗工剤。
  8. 請求項4乃至7の何れかに記載の水系ポリウレタン樹脂塗工剤を塗工したプラスチック製インクジェット記録シート。
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